JPH11222730A - ポリエステル系制電性複合繊維 - Google Patents

ポリエステル系制電性複合繊維

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JPH11222730A
JPH11222730A JP2581298A JP2581298A JPH11222730A JP H11222730 A JPH11222730 A JP H11222730A JP 2581298 A JP2581298 A JP 2581298A JP 2581298 A JP2581298 A JP 2581298A JP H11222730 A JPH11222730 A JP H11222730A
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fiber
polyester
antistatic
polyoxyethylene
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JP2581298A
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Kouji Kanno
幸治 菅埜
Atsushi Taniguchi
敦 谷口
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、風合いが柔らかく、ストレッチ性、
弾性回復性に優れ、さらに制電性を有したスポーツ用
途、カーペット用途に好適なポリプロピレンテレフタレ
ート繊維を提供せんとするものである。 【解決手段】前記した本発明の目的は、ポリオキシエチ
レン系ポリエーテルが繊維全体に占める比率が0.5〜
10重量%となるごとくポリプロピレンテレフタレート
に混合してなる混合物の芯部と、ポリプロピレンテレフ
タレートの鞘部からなる複合ポリエステル繊維であっ
て、該繊維の残留伸度が60%以下、ヤング率が35g
/d以下、10%伸長時の伸長弾性回復率が80%以上
であることを特徴とするポリエステル系制電性複合繊維
により達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、風合いが柔らか
く、弾性回復性に優れた制電性を有するポリエステル系
複合繊維に関する。さらに詳しくはポリプロピレンテレ
フタレート繊維の低ヤング率、高弾性回復性を有し、さ
らに制電性に有効なポリオキシエチレン系ポリエーテル
を繊維中に局在化してなるわずかな制電性成分によって
高度の制電性を有するポリエステル系制電性複合繊維に
関するものであり衣料用途だけでなくカーペットなどの
産資用途にも好適なポリエステル系制電繊維である。
【0002】
【従来の技術】周知のようにポリエステル繊維は、優れ
た物理的、化学的特性を有し多方面に応用されている。
しかしながら、ポリエステル繊維は疎水性で静電気が発
生しやすいという欠点を有するため、その応用分野は一
部制限されている。たとえば、衣料分野においては、特
に冬期の乾燥時期に見られる脱着時の放電現象、身体へ
のまとわりつき等の不快感を与える原因となっている。
また、産資用途でも同様にカーペットなどにおいて帯
電、放電現象が問題となっている。
【0003】従来から、かかるポリエステル繊維の帯電
性を低減もしくは防止するため、数多くの提案がなされ
ている。たとえば、繊維表面に帯電防止剤を塗布する方
法、繊維表面に親水性物質をグラフト重合する方法、制
電性物質を練り込む方法などが提案されている。
【0004】しかし、これらの方法はいずれもその耐熱
性、製糸性、および製品の品質などの点で大きな問題が
あり工業化の大きな障害となっている。
【0005】これらの問題点の解決手段として、例えば
ポリエステル繊維に制電性を付与する試みの1つとして
ポリオキシアルキレングリコールをポリエステルに配合
する方法が知られている。しかしながら、この方法でポ
リエステル繊維に十分な制電性を発揮させるには15〜
20重量%もの多量のポリオキシアルキレングリコール
を要し、得られる制電性ポリエステル繊維は物性、特に
熱的性質が大幅に低下し、実用に耐えない。
【0006】この欠点を解消するため、ポリエステルに
実質的に不溶性のポリオキシアルキレングリコール、ポ
リオキシアルキレングリコール・ポリアミドブロック共
重合体、ポリオキシアルキレングリコール・ポリエステ
ルブロック共重合体等を使用し、さらに有機や無機のイ
オン性化合物を配合する方法も知られている。この方法
によれば、制電剤の使用量を減らし、物性低下の比較的
少ない制電性ポリエステルを得ることが出来る。しかし
ながら、この方法によって得られる制電性ポリエステル
繊維においても、染色堅牢性が低下し易い等の欠点があ
り、さらにポリエステル繊維の風合い改善のために一般
に広く行われているアルカリ減量処理、とくに20重量
%以上のアルカリ減量処理を施した場合、その後に通常
行われる120〜140℃の温度での染色工程で制電性
が容易に失われるという欠点がありこの用途での使用に
耐えない。
【0007】さらに、ポリエステルに実質的に不溶性の
ポリオキシアルキレングリコールとスルホン酸金属塩か
らなる制電剤を含有したポリエステルを中空繊維に溶融
紡糸することによって制電剤の大半を繊維中空部の周辺
に凝集局在化せしめ、アルカリ減量処理による風合い改
善を可能にする方法も提案されている。しかしながら、
かかる方法で十分な制電性をポリエステル繊維に付与す
るためには製糸条件等を厳密にコントロールして制電剤
の中空部周辺への凝集化を制御する必要があり、安定し
たコントロールが難しく制電性が安定しないという欠点
がある。
【0008】また、特公昭44−905号公報、特公昭
44−911号公報には複合繊維の芯部に未変性のポリ
エステルを配し、鞘部に制電性を有するブロックポリエ
ーテルアミド、またはブロックポリエーテルアミドとポ
リアミドの混合物を配する技術が開示されてる。しか
し、この技術によってもパッケージ上での解舒性の不
良、芯鞘界面の密着性が劣るため延伸、仮撚工程などの
後加工工程での剥離が起き糸の物性が損なわれることな
どが問題であった。
【0009】さらにこの問題の解決手段として特開昭5
5−122020号公報において鞘部にポリエステル、
芯部にブロックポリエーテルアミドとポリエステルの混
合物を配する技術が開示されている。しかし、この技術
では一部の用途においては優れた物性を示すが、ストレ
ッチ性や弾性回復性を求められる用途、例えばスポーツ
用途、カーペット用途においてナイロンの後塵を拝して
いるのが実状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
の欠点に鑑み、風合いが柔らかく、ストレッチ性、弾性
回復性に優れ、さらに制電性を有したスポーツ用途、カ
ーペット用途に好適なポリエステル系複合繊維を提供す
ることを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、ポリオ
キシエチレン系ポリエーテルが繊維全体に占める比率が
0.5〜10重量%となるごとくポリプロピレンテレフ
タレートに混合してなる混合物の芯部と、ポリプロピレ
ンテレフタレートの鞘部からなる複合ポリエステル繊維
であって、該繊維の残留伸度が60%以下、ヤング率が
35g/d以下、10%伸長時の伸長弾性回復率が80
%以上であることを特徴とするポリエステル系制電性複
合繊維により達成される。
【0012】
【発明の実施の形態】ポリプロピレンテレフタレート
(以下PPTと略す)繊維は、伸長弾性回復率が優れ、
ヤング率が低く染色性が良好で、化学的にも安定してお
り、衣料用に好適な繊維である。
【0013】本発明のPPTとは、テレフタル酸を主た
る酸成分とし、1,3プロパンジオールを主たるグリコ
ール成分として得られるポリエステルである。ただし、
20モル%、より好ましくは10モル%以下の割合で、
他のエステル結合の形成可能な共重合成分を含むもので
あっても良い。共重合可能な化合物として、例えばイソ
フタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ア
ジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸などのジカルボン酸
類、一方,グリコール成分として、例えばエチレングリ
コール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオ
ペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど
を上げることができるが、これらに限られるも剤ではな
い。
【0014】また、艶消剤として二酸化チタン、滑剤と
してのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤としてヒン
ダードフェノール誘導体、着色顔料などを必要に応じて
添加することができる。
【0015】本発明のPPTの極限粘度は0.5以上
1.2以下であることが好ましい。0.5未満では紡糸
時に繊度ムラや糸切れが多発するなどして安定して紡糸
することが困難となったり、得られたとしても引張強度
や耐屈曲摩耗性など実用面で劣る場合がある。また極限
粘度が1.2を越えると溶融粘度が高くなりすぎるため
ギアポンプ等の計量性に劣り、吐出不良により安定して
紡糸することが困難となったり、得られる繊維の風合い
が硬いものとなる傾向があり好ましくない場合がある。
より好ましくはPPTの極限粘度は0.8以上1.0以
下である。
【0016】本発明のポリエステル系制電性複合繊維
は、ポリオキシエチレン系ポリエーテルが繊維全体に占
める比率が0.5〜10重量%となるごとくPPTに混
合していることが必要である。このポリオキシエチレン
系ポリエーテルは、下記一般式で表されるポリオキシエ
チレンブロックを主鎖成分とし、該ポリオキシエチレン
分子鎖末端を1または2以上の特定オキシアルキレン単
位で封鎖することによって水不溶化した非ランダム共重
合型のポリオキシエチレン系ポリエーテルであることが
好ましい。
【0017】ここで水不溶とは、純水100g中に試料
5gを入れて100℃で60分間加熱処理した後、室温
まで放冷し、次いで遠心分離処理して得た透明上澄液を
蒸発乾固して得た固形物の重量が10重量%以下である
ことをいう。
【0018】
【式1】 上式中Zは1〜6個の活性水素を有する分子量300以
下の有機化合物の残基であり、メタノール、プロパノー
ル、ブタノール、フェノール、エチレングリコール、ビ
スフェノールA、プロピレングリコール、ブチレングリ
コール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメ
チロールプロパン、トリエタノールアミン、ジグリセリ
ン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等のヒドロキ
シル基含有化合物の残基およびエチレンジアミン、ヘキ
サメチレンシアミン、ジエチレントリアミン等の1級お
よび2級アミン類の残基等を挙げることができ、なかで
もヒドロキシル基含有化合物が好ましい。
【0019】R1は炭素原子数6以上の未置換アルキレ
ン基または置換アルキレン基であり、なかでも炭素原子
数6〜50の置換アルキレン基が好ましく、その中でも
炭素原子数6〜50のアルキルエチレン基が特に好まし
い。かかるR1の好ましい具体例としては、シクロヘキ
シレン基、フェニルエチレン基、ヘキシルエチレン基、
メチル−ヘキシルエチレン基等をあげることができる。
また、R1は上記2種以上の混合であってもよい。
【0020】R2は水素原子、炭素原子数1〜40の一
価の炭化水素基または炭素原子数2〜40の一価のアシ
ル基であり、該炭化水素基としてはアルキル基、アルケ
ニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリ
ール基、またはヒドロキシアルキル基が好ましい。また
該アシル基としてはアルカノイル基、アルケノイル基、
シクロアルキルカルボニル基、アルキルアリールカルボ
ニル基が好ましい。
【0021】kはZの元になる有機化合物が有する活性
水素原子数に対応する1〜6の整数である。lはk×l
が70以上となる整数であることが必要であり、分子間
または分子内で同一であっても異なってもよい。k×l
の値が70未満であるときには最終的に得られるポリエ
ステル繊維の制電性の初期性能および熱水耐久性、洗濯
耐久性が共に不十分になる。また、k×lの値が大きく
なるにしたがって制電性およびその耐久性が向上する
が、この値が300を越えると制電性およびその耐久性
の向上は認められ難くなり、かえって該ポリオキシエチ
レン系ポリエーテルの水不溶化が困難になる傾向がある
のでlとしてはk×lの値が300以下となる整数であ
ることが好ましい。k×lのより好ましい範囲は80〜
200の範囲である。
【0022】mは1以上の整数であり、分子間または分
子内で同一であっても異なっていてもよいがZに結合し
たk個の分枝内でmはすべて1以上の整数である必要が
ある。
【0023】mがOである分枝が存在するときは、最終
的に得られるポリエステル繊維の制電耐久性が不十分に
なる。かかるポリオキシエチレン系ポリエーテルを構成
するCH2CH2O単位およびR1O単位の配列は、CH2
CH2O単位からなるポリオキシエチレンブロックが主
鎖を構成し、該ポリオキシエチレン分子鎖末端にR1
単位が1単位でまたは2単位以上のブロックを形成して
局在化する配列をとる必要がある。かかる特定の構造を
とることによってはじめて、少量のR1O単位の導入で
該ポリオキシエチレン系ポリエーテルの高度な水不溶化
と高度な吸湿性向上を可能にすることができ、高度な制
電性およびその耐久性の達成が可能となる。CH2CH2
O単位とR1O単位とがランダムに配列している場合
は、本発明の目的は達成されない。
【0024】上記した水不溶性ポリオキシエチレン系ポ
リエーテルの分子量は5000〜16000の範囲内で
あることが好ましい。分子量が5000未満のときは、
該ポリエーテルがポリエステル繊維中で十分な長さの筋
状分散形態をとり難いために初期制電性能が不十分とな
る場合があり、また前記R1O単位をいくら増やしても
該ポリオキシエチレン系ポリエーテルの熱水、熱アルカ
リ、洗濯水等への脱落を防止するのは困難であり、最終
的に得られるポリエステル繊維の制電性およびその耐久
性が共に不十分となる。
【0025】分子量が16000を越えると、該ポリオ
キシエチレン系ポリエーテルの芳香族ポリエステル中で
の溶融混和性が急激に悪化し、分散性が不良化するの
で、紡糸が困難となるばかりでなく、得られる繊維の制
電性や物性が不良となり、その上前述した圧力減量白化
現象が顕著に発生するようになるので事実上実施不可能
な領域になる。さらに、分子量が大きくなることによ
り、低温、低湿度条件化での制電性も不良となる。これ
は、該ポリオキシエチレン系ポリエーテルのポリエステ
ルマトリックス中での熱運動が小さくなるので、特に低
温でイオン伝導による制電性能が低下するためと推定さ
れる。なかでも該ポリオキシエチレン系ポリエーテルの
より好ましい分子量範囲は5500〜14000であ
る。
【0026】かかる非ランダム共重合型のポリオキシエ
チレン系ポリエーテルは、活性水素化合物にエチレンオ
キサイドを反応させる第1段反応、次いでその生成物に
炭素原子数6以上のオレフィンオキサイドを反応させる
第2段反応および必要に応じてその生成物のヒドロキシ
ル末端を炭化水素基もしくはアシル基で封鎖する第3段
反応とにより合成することが出来る。かかるオレフィン
オキサイドとしてはなかでもノネンオキサイド、シクロ
ヘキセンオキサイド、炭素原子数12〜14のα−オレ
フィンオキサイドが特に好ましい。
【0027】かかるポリオキシエチレン系ポリエーテル
は、1種のみ単独で使用しても2種以上を併用してもよ
い。また、ポリオキシエチレン系ポリエーテルの配合量
は、芯鞘型複合繊維の繊維全体に対して0.5〜10重
量%の範囲であり、好ましくは1〜7重量%の範囲であ
る。繊維全体に占めるポリオキシエチレン系ポリエーテ
ルの比率が、0.5重量%未満では十分な制電性を付与
することが出来ず、また10重量%を越える場合制電性
の向上効果が飽和しそれ以上の向上は期待できないばか
りでなく、添加量上昇による糸特性の悪化が生じてく
る。
【0028】本発明においては、上記したポリオキシエ
チレン系ポリエーテルに併用して有機金属塩が使用され
ることが好ましい。ここでいう有機金属塩とは、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン
酸、ノニルベンゼンスルホン酸、ジブチルナフタレンス
ルホン酸、ヘキサデシルスルホン酸、ドデシルスルホン
酸などのスルホン酸とナトリウム、カリウム、リチウ
ム、等のアルカリ金属塩、ジステアリルリン酸ナトリウ
ムなどのリン酸エステルのアルカリ金属塩などがある。
さらにスルホン酸金属塩として下記一般式で示されるも
のも好ましく例示することができる。 R’O(R”O)a(CH2bSO3M (式中、R’は一価の炭化水素基、R”は炭素原子数2
〜4のアルキレン基、aは1〜100の整数、bは2〜
4の整数、MはNa、K、Li等のアルカリ金属塩)な
かでも、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、平均
の炭素原子数が14であるアルキルスルホン酸ナトリウ
ム混合物、C1225O(CH2CH2O)3−CH2CH2
SO3Na、C1633O(CH2CH2O)23CH2CH2
CH2S03Na等のスルホン酸の金属塩が良好である。
【0029】かかる有機金属塩は1種でも、2種以上併
用してもよい。その配合量は芯鞘型複合繊維の芯成分を
構成するPPTに対して0.1〜5重量%の範囲が好ま
しく、なかでも0.5〜3重量%の範囲が特に好まし
い。
【0030】これらポリオキシエチレン系ポリエーテル
を混合した制電性PPTとPPTの2種成分を芯鞘状に
複合紡糸する方法としては、公知の複合紡糸技術を採用
することができる。芯/鞘の複合比率は任意に選択する
ことはできるが、フィブリル化による品質低下を抑制す
るために芯成分の比率は5〜50重量%が好ましい。芯
鞘の複合状態は同心偏心いずれでも良いが同心が特に好
ましい。また、繊維断面の形状は丸または異形断面いず
れでも良いし、丸と異形断面が混在していてもよい。
【0031】本発明は、ポリオキシエチレン系ポリエー
テルをPPTに混合してなる混合物を芯部とし、PPT
を鞘部とすることにより、優れた耐久性と良好な制電性
を有するばかりでなく、PPT繊維の特徴である伸長弾
性回復率が優れ、ヤング率が低く、他のポリエステル繊
維と同等の染色堅牢性、耐候性を有し、鞘部と芯部の剥
離が生じることがなく、かつ、フィブリル化による品質
低下のないPPT繊維を製造することができる。
【0032】本発明のPPT制電性繊維は、該繊維の残
留伸度が60%以下、ヤング率が35g/d以下、10
%伸長時の伸長弾性回復率が80%以上であることを同
時に満足することが必要である。残留伸度が60%を越
えると後工程で繊維が伸びやすく安定した糸加工、製織
等ができなくなる。好ましくは30〜40%の範囲内で
ある。また、ヤング率が35g/dを越えると本発明の
特徴である風合いの柔らかさが失われてしまう。好まし
くは20〜30g/dである。さらに、10%伸長時の
伸長弾性回復率が80%を下回るとストレッチ性に欠け
てしまう。好ましくは90%以上である。
【0033】本発明によって得られたポリプロピレンテ
レフタレート制電性複合繊維は、従来のポリエステル繊
維の各種用途に、すなわち通常のフィラメント、ステー
プル等の分野にそのまま適用可能であるばかりではな
く、従来のポリエステル繊維に比べストレッチ性、弾性
回復性に優れ、さらに制電性を有していることにより、
スポーツ用途、カーペット用途に好適な繊維である。ま
た、本発明による繊維と制電性を有しない一般の合成繊
維、アセテート、レーヨンなどの半合成繊維、綿、羊
毛、麻などの天然繊維と混紡、合糸、合撚、または交編
織することにより制電性の良好な布帛を得ることもでき
る。
【0034】
【実施例】以下実施例により本発明をより詳細に説明す
る。なお実施例中の各特性値は次の方法で求めた。 A.極限粘度[η] オルソクロロフェノール10mlに対し試料0.10g
を溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計を用
いて測定した。
【0035】B.電気比抵抗 試料を0.2%のアニオン界面活性剤の弱アルカリ水溶
液中で電気洗濯機を用いて2時間洗濯後、水洗、乾燥す
る。ついで、該試料を長さ(L)5cm、繊度1000
デニールの繊維束に引き揃えて20℃、40%RH下で
2日間調湿した後、振動容量型微小電位測定装置によ
り、印可電圧500Vで試料の抵抗を測定し次式により
算出し、500×108Ω・cm以下を良好と判断し
た。
【0036】
【式2】 C.摩擦帯電圧 京大化研式ロータリースタティックテスター(興亜商会
製)により、摩擦対象布としてあらかじめのり抜き、精
錬、漂白した綿の平織りカナキン3号(目付100g/
cm3)を用いローター回転数400rpm、印可電圧
100V、温度20℃、相対湿度30%の雰囲気で測定
した値であり、2500V以下を良好と判断した。
【0037】D.伸長弾性回復率 試料を自記記録装置付定速伸長形引張試験機を用い、デ
ニール当たり1/30gの初荷重をかけた状態で20c
mのつかみ間隔に取り付け、引張速度をつかみ間隔の1
0%にして所定の伸度まで引き伸ばす。直ちに、同じ速
度で除重し記録した応力−歪曲線から、所定の伸度まで
の一定伸びをα、応力が初荷重と等しくなるまで低下し
た時の回復伸びをβとすると下式で求められる。 伸長弾性回復率(%)=β/α×100
【0038】E.風合い ソフト感、ストレッチ性について官能評価により○△×
の3段階で判定した。これらが最も良い場合を○とし最
も悪い場合を×として評価した。(○が最高、×が最低
ですべてが○の物が合格である。) F.フィブリル化性 図1にフィブリル化試験機の概略図を示す。湿潤状態の
試料(染色した織編物)1を摩擦布2との摩擦面積が1
2.5cm2になるように、ヘッド3にホルダー4を使
って取り付け、その上に荷重の和が750gになるよう
に荷重を置く。
【0039】一方、摩擦台6を滑り止め用のサンドペー
パ7を介して取り付け、85r.p.mで偏心回転さ
せ、15分間摩擦を行った後、試料1を外しフィブリル
化の程度を肉眼で判定する。すなわち、フィブリル化が
起こっている場合には摩擦された部分が摩擦されていな
い部分に比べて白く見えるので、摩擦された部分が白く
見える場合には耐フィブリル性不良と判定し、摩擦され
た部分が他の部分と区別できない場合には耐フィブリル
性良好と判定した。 実施例1 ジメチルテレフタル酸19.4kg、1,3−プロパン
ジオール15.2kgにテトラブチルチタネート0.0
2kgを触媒として用い、140℃〜230℃でメタノ
ールを留出しつつエステル交換反応を行った後、さら
に、250℃温度一定の条件下で2時間重合を行いさら
に下記化学式
【0040】
【式3】 (但し、jは18〜28の整数で平均21、lは平均値
として約115、mは平均値として3である。)で表さ
れる、平均分子量7106の水不溶性ポリオキシエチレ
ン系化合物を20重量%となるよう溶融状態で添加、お
よびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを3重量%
となるよう50%のエチレングリコール溶液にして添加
した。引き続き1時間重合を行い極限粘度[η]が0.
87の制電性PPTを得た。
【0041】一方、ジメチルテレフタル酸19.4k
g、1,3−プロパンジオール15.2kgにテトラブ
チルチタネート0.02kgを触媒として用い、140
℃〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反
応を行った後、さらに、250℃温度一定の条件下で3
時間重合を行い極限粘度[η]が0.89のPPTを得
た。
【0042】公知の複合紡糸機を使用し、上記の方法で
製造した極限粘度[η]が0.87の制電性PPTぺレ
ットを芯成分とし一方のホッパーから供給し、他方のホ
ッパーから極限粘度[η]が0.89のPPTのペレッ
トを鞘成分として供給し、紡糸温度260℃にて芯対鞘
の複合比が50対50(重量比)の同心円複合糸を紡糸
引き取り速度1800m/分で紡糸した。得られた未延
伸糸を通常のホットロール延伸機を用いて1HR60
℃、2HR90℃、延伸比3.1倍で延伸して75デニ
ール24フィラメントの延伸糸を得た。
【0043】紡糸性、及び延伸性ともに良好であった。
得られた延伸糸の電気比抵抗は2.5×108Ω・cm
であり、この糸を編成し染色した編み物の摩擦帯電圧は
220Vと良好な制電性耐フィブリル性を示した。ま
た、得られた繊維は、強度3.6g/d、伸度40%、
ヤング率30g/d、10%伸長弾性回復率93%とソ
フトさとストレッチ性を兼ね備えた繊維であった。
【0044】実施例2〜7、比較例1,2 水不溶性ポリオキシエチレン系ポリエーテルとドデシル
ベンゼンスルホン酸ナトリウムの重合添加量を表1のよ
うに変更した以外は同様な操作を行い制電性PPTを得
た。このポリマ芯成分とし、極限粘度[η]0.89の
PPTを鞘成分とし、鞘対芯の複合比を表1のように変
更し実施例1と同様な紡糸を行い75デニール24フィ
ラメントの延伸糸を得た。製糸性、得られた糸のヤング
率、10%伸長弾性回復率、電気比抵抗、これらの糸を
編成し染色した編物の摩擦帯電圧、耐フィブリル化性は
表1のようであった。
【0045】繊維全体に対するポリオキシエチレン系ポ
リエーテルの比率を0.5重量%以下とした比較例1は
製糸性、耐フィブリル性は良好だが制電性が不足してい
る。また、比率を10重量%以上とした比較例2の場
合、製糸性がやや悪化する。またポリアルキレンエーテ
ルの比率が増大することによる制電効果の上昇はほとん
どなくなる。
【0046】比較例3 実施例1で使用した水不溶性ポリオキシエチレン系ポリ
エーテルとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを重
合添加した制電性PPTを芯成分とし、極限粘度[η]
0.64のポリエチレンテレフタレートを鞘成分とし、
鞘対芯の複合比が50対50とし、実施例1の複合紡糸
機を用い紡糸温度285℃、紡糸引き取り速度1800
m/分で紡糸した。得られた未延伸糸を通常のホットロ
ール延伸機を用いて1HR80℃、2HR120℃、延
伸比2.7倍で延伸して75デニール24フィラメント
の延伸糸を得た。得られた糸は制電性は良好なもののヤ
ング率が60g/dと高く、さらに10%伸長弾性回復
率が46%と低く、硬くストレッチ性の劣るものであっ
た。
【0047】比較例4 実施例1で得られた未延伸糸を用い、延伸倍率を変えて
残留伸度75%の延伸糸を得た。
【0048】得られた繊維は、強度2.8g/d、伸度
75%、ヤング率24g/d、10%伸長弾性回復率7
2%であり、強度、ストレッチ性が低く、後工程で糸の
伸びが起き工程通過性の悪いものであった。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、風合いが柔らかく、ス
トレッチ性、弾性回復性に優れさらに制電性を付与でき
るポリプロピレンテレフタレートを提供することが可能
となり特にストレッチ性、弾性回復性を要求されるスポ
ーツ用途、カーペット用途などへの展開が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィブリル化を評価する試験機の概略図であ
る。
【符号の説明】
1:試料 2:摩擦布 3:摩擦ヘッド 4:ホルダー 5:荷重 6:摩擦台 7:サンドペーパ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオキシエチレン系ポリエーテルが繊維
    全体に占める比率が0.5〜10重量%となるごとくポ
    リプロピレンテレフタレートに混合してなる混合物の芯
    部と、ポリプロピレンテレフタレートの鞘部からなる複
    合ポリエステル繊維であって、該繊維の残留伸度が60
    %以下、ヤング率が35g/d以下、10%伸長時の伸
    長弾性回復率が80%以上であることを特徴とするポリ
    エステル系制電性複合繊維。
  2. 【請求項2】芯成分中に有機金属塩が0.1〜5重量%
    含有されていることを特徴とする請求項1記載のポリエ
    ステル系制電性複合繊維。
  3. 【請求項3】芯部と鞘部が実質的に同心円状に配置し、
    かつ芯部の比率が5〜50重量%であることを特徴とす
    る請求項1または2記載のポリエステル系制電性複合繊
    維。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7147815B2 (en) 2002-12-23 2006-12-12 E. I. Du Pont De Nemours And Company Poly(trimethylene terephthalate) bicomponent fiber process
JP2009509065A (ja) * 2005-09-19 2009-03-05 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 高捲縮複合繊維
JP2010090507A (ja) * 2008-10-08 2010-04-22 Teijin Fibers Ltd 制電性芯鞘型ポリトリメチレンテレフタレート極細糸

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JP2009509065A (ja) * 2005-09-19 2009-03-05 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 高捲縮複合繊維
JP2010090507A (ja) * 2008-10-08 2010-04-22 Teijin Fibers Ltd 制電性芯鞘型ポリトリメチレンテレフタレート極細糸

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