JPH11181628A - ポリエステル系制電性複合繊維 - Google Patents

ポリエステル系制電性複合繊維

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JPH11181628A
JPH11181628A JP35079097A JP35079097A JPH11181628A JP H11181628 A JPH11181628 A JP H11181628A JP 35079097 A JP35079097 A JP 35079097A JP 35079097 A JP35079097 A JP 35079097A JP H11181628 A JPH11181628 A JP H11181628A
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JP
Japan
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fiber
polyester
antistatic
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polypropylene terephthalate
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JP35079097A
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Kouji Kanno
幸治 菅埜
Atsushi Taniguchi
敦 谷口
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】風合いが柔らかく、ストレッチ性、弾性回復性
に優れ、さらに制電性を有したスポーツ用途、カーペッ
ト用途に好適なポリエステル系制電性複合繊維を提供す
る。 【解決手段】ブロックポリエーテルアミド組成物中のポ
リアルキレンエーテルの繊維全体に占める比率が0.0
5〜5重量%となるごとくブロックポリエーテルアミド
組成物をポリプロピレンテレフタレートに混合せしめて
なる混合物の芯部と、ポリプロピレンテレフタレートの
鞘部からなるポリエステル系制電性複合繊維であって、
該繊維の残留伸度が60%以下、ヤング率が35g/d
以下、10%伸長時の弾性回復率が80%以上であるこ
とを特徴とするポリエステル系制電性複合繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、風合いが柔らか
く、弾性回復性に優れた制電性を有するポリエステル系
複合繊維に関する。さらに詳しくはポリプロピレンテレ
フタレート繊維の低ヤング率、高弾性回復性を有し、さ
らに制電性に有効なブロックポリエーテルアミド組成物
を繊維中に局在化してなるわずかな制電性成分によって
高度の制電性を有するポリエステル系制電性複合繊維に
関するものであり、衣料用途だけでなくカーペットなど
の産資用途にも好適なポリエステル系制電性複合繊維に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、ポリエステル繊維は、優
れた物理的、化学的特性を有し、多方面に応用されてい
る。しかしながら、ポリエステル繊維は疎水性で静電気
が発生しやすという欠点を有するため、その応用分野は
一部制限されている。たとえば、衣料分野においては、
特に冬期の乾燥時期に見られる脱着時の放電現象、身体
へのまとわりつき等の不快感を与える原因となってい
る。また、産資用途でも同様にカーペットなどにおい
て、帯電、放電現象が問題となっている。
【0003】従来から、かかるポリエステル繊維の帯電
性を低減もしくは防止するため、数多くの提案がなされ
ている。たとえば、繊維表面に帯電防止剤を塗布する方
法、繊維表面に親水性物質をグラフト重合する方法、制
電性物質を練り込む方法などが提案されている。
【0004】しかし、これらの方法はいずれもその耐熱
性、製糸性、および製品の品質などの点で大きな問題が
あり、工業化の大きな障害となっている。
【0005】これらの問題点の解決手段として、特公昭
44−905号公報、特公昭44−911号公報には、
複合繊維の芯部に未変性のポリエステルを配し、鞘部に
制電性を有するブロックポリエーテルアミド、またはブ
ロックポリエーテルアミドとポリアミドの混合物を配す
る技術が開示されてる。しかし、この技術によってもパ
ッケージ上での解舒性の不良、芯鞘界面の密着性が劣る
ため、延伸、仮撚り工程などの後加工工程での剥離が生
じ、糸の物性が損なわれることなどが問題であった。
【0006】さらにこの問題の解決手段として、特開昭
55−122020号公報において、鞘部にポリエステ
ル、芯部にブロックポリエーテルアミドとポリエステル
の混合物を配する技術が開示されている。しかし、この
技術では一部の用途においては優れた物性を示すが、ス
トレッチ性や弾性回復性を求められる用途、例えばスポ
ーツ用途、カーペット用途において、ナイロンの後塵を
拝しているのが実状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
の欠点に鑑み、風合いが柔らかく、ストレッチ性、弾性
回復性に優れ、さらに制電性を有したスポーツ用途、カ
ーペット用途に好適なポリエステル系制電性複合繊維を
提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の本発明の目的は、
ブロックポリエーテルアミド組成物中のポリアルキレン
エーテルの繊維全体に占める比率が0.05〜5重量%
となるごとくブロックポリエーテルアミド組成物をポリ
プロピレンテレフタレートに混合せしめてなる芯部と、
ポリプロピレンテレフタレートの鞘部からなるポリエス
テル系制電性複合繊維であって、該繊維の残留伸度が6
0%以下、ヤング率が35g/d以下、10%伸長時の
弾性回復率が80%以上であることを特徴とするポリエ
ステル系制電性複合繊維により達成される。
【0009】
【発明の実施の形態】ポリプロピレンテレフタレート繊
維は、伸長弾性回復率が優れ、ヤング率が低く染色性が
良好で、化学的にも安定しており、衣料用に好適な繊維
であって、特開昭52−5320号公報や特開昭52−
8124号公報などにみられるように古くから知られて
いる。しかしながら、原料の1,3プロパンジオールが
比較的高価であるため、これまで繊維としては使われて
いなかった。
【0010】本発明で用いられるブロックポリエーテル
アミド組成物とは、有機電解質、フェノール系抗酸化剤
を所定量含有したブロックポリエーテルアミドのことで
ある。ここでいう有機電解質とは、ドデシルベンゼンス
ルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸、ノニルベン
ゼンスルホン酸、ヘキサデシルスルホン酸、ドデシルス
ルホン酸などのスルホン酸とナトリウム、カリウム、リ
チウムなどのアルカリ金属塩、ジステアリン酸ソーダな
どのリン酸のアルカリ金属塩、その他有機カルボン酸の
アルカリ金属塩などがあり、なかでもドデシルベンゼン
スルホン酸ソーダなどのスルホン酸の金属塩が良好であ
る。
【0011】フェノール系抗酸化剤としては、たとえば
1,3,5トリメチル−2,4,6−トリ(3,5−ジ
−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼ
ン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ter
t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチ
ル−P−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−エ
チル−6−tert−ブチルフェノール)などのフェノ
ール系水酸基の隣接位置に立体障害を有する置換基のは
いったフェノール系誘導体である。
【0012】ブロックポリエーテルアミドとは、ポリエ
ーテルとポリアミドとのブロック共重合体であり、ポリ
エーテルとポリアミドとの単なるブレンド物は本発明で
いうブロックポリエーテルアミドに含まれない。
【0013】ブロックポリエーテルアミドを構成するポ
リエーテルとはポリアルキレンエーテルのことであり、
ポリエチレンエーテル、ポリプロピレンエーテル、ポリ
エチレンプロピレンエーテルなどのエチレンオキサイド
の重合生成物である。これらポリエーテルの分子量は1
000以上、好ましくは3000〜8000のものがよ
く、なかでもポリエチレングリコールの使用が最も適し
ている。
【0014】一方、ブロックポリエーテルアミドを構成
するポリアミドは、ナイロン6、ナイロン8、ナイロン
12、ナイロン66、ナイロン610のようなホモポリ
アミドあるいはこれら同士または他の共重合成分を含む
共重合体であり、ポリアミド形成成分の重縮合反応によ
り生成するホモまたはコポリアミドである。
【0015】ブロックポリエーテルアミドの製造法とし
ては、たとえばポリアルキレングリコールの両末端をシ
アノエチル化した後、水素添加してポリアルキレンエー
テルジアミンとし、これをアジピン酸やセバシン酸など
の適当なジカルボン酸と反応せしめてナイロン塩を合成
し、この塩と前記ポリアミドを形成するモノマを重縮合
する方法、およびポリアルキレングリコールの両末端を
アミノ化してポリアルキレンエーテルジアミンとした
後、前記の方法と同じ方法で重縮合する方法などが挙げ
られるが、これらのブロックポリエーテルアミドの製造
方法をとくに限定するものではない。ブロックポリエー
テルアミド中のポリエーテル成分対ポリアミド成分の重
量比は50対50から70対30が適当である。
【0016】ブロックポリエーテルアミドの重縮合方法
も特に限定されるものではなく、通常の公知のポリアミ
ドの重縮合法たとえばナイロン6などでよく採用される
常圧重合法、あるいはナイロン66などに採用される加
圧重合法などが、回分式、連続式を問わず採用すること
ができる。
【0017】ブロックポリエーテルアミド組成物中の有
機金属塩の比率は、1〜10重量%が好ましい。より好
ましくは3〜7重量%の範囲である。1重量%未満では
制電性向上作用が不足し、10重量%を超える量ではブ
ロックポリエーテルアミド組成物の溶融粘度の低下によ
る筋形成能力の悪化によりかえって制電性が低下する。
【0018】また、フェノール系抗酸化剤のブロックポ
リエーテルアミド組成物中の比率は、1〜10重量%が
好ましい。より好ましくは3〜7重量%である。1重量
%未満では製糸工程、仮撚などの糸加工工程、布帛の染
色、および仕上げ加工工程などにおける熱酸化劣化によ
る制電性の悪化を十分に抑制することは困難となる場合
があり、また10重量%を越えて添加しても熱酸化抑制
効果が飽和し、それ以上の効果は認められず経済的でな
い。
【0019】なお、本発明のブロックポリエーテルアミ
ド組成物に対し、有機金属、およびフェノール系抗酸化
剤の他に艶消し剤、着色防止剤、蛍光剤、耐光剤、顔料
などの他の添加物を加えることは何ら差し支えない。
【0020】本発明のポリプロピレンテレフタレートと
は、テレフタル酸を主たる酸成分とし、1,3プロパン
ジオールを主たるグリコール成分として得られるポリエ
ステルである。ただし、20モル%、より好ましくは1
0モル%以下の割合で、他のエステル結合の形成可能な
共重合成分を含むものであっても良い。共重合可能な化
合物として、例えばイソフタル酸、コハク酸、シクロヘ
キサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン
酸などのジカルボン酸類、一方,グリコール成分とし
て、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロ
ヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコールなどを上げることができるが、こ
れらに限られるものではない。
【0021】また、艶消剤として、二酸化チタン、滑剤
としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤としてヒ
ンダードフェノール誘導体、着色顔料などを必要に応じ
て添加することができる。
【0022】本発明のポリプロピレンテレフタレートの
極限粘度は0.5以上1.2以下であることが好まし
い。0.5未満では紡糸時に繊度ムラや糸切れが多発す
るなどして安定して紡糸することが困難となったり、得
られたとしても引張強度や耐屈曲摩耗性など実用面で劣
る場合がある。また極限粘度が1.2を越えると溶融粘
度が高くなりすぎるため、ギアポンプ等の計量性に劣
り、吐出不良により安定して紡糸することが困難となっ
たり、得られる繊維の風合いが硬いものとなる傾向があ
り好ましくない場合がある。より好ましくはPPTの極
限粘度は0.8以上1.0以下である。
【0023】これらブロックポリエーテルアミド組成物
とポリプロピレンテレフタレートの2種成分を芯鞘状に
複合紡糸する方法としては、公知の複合紡糸技術を採用
することができる。芯/鞘の複合比率は任意に選択する
ことはできるが、フィブリル化による品質低下を抑制す
るために芯成分の比率は5〜50重量%が好ましい。芯
鞘の複合状態は同心、偏心のいずれでもよいが、同心が
特に好ましい。また、繊維断面の形状は丸、異形断面お
よび丸と異形断面が混在していてもよい。
【0024】本発明は、ブロックポリエーテルアミド組
成物のポリアルキレンエーテル成分の繊維全体に占める
比率が0.05〜5重量%となるごとくブロックポリエ
ーテルアミド組成物をポリプロピレンテレフタレートに
混合せしめてなる混合物を芯部とし、ポリプロピレンテ
レフタレートを鞘部とすることにより、優れた耐久性と
良好な制電性を有するばかりでなく、芯鞘共にポリプロ
ピレンテレフタレート繊維を配するため、伸長弾性回復
率が優れ、ヤング率が低く、また他のポリエステル繊維
と同等の染色堅牢性、耐候性を有し、鞘部と芯部の剥離
が生じることがなく、かつ、フィブリル化による品質低
下のないポリエステル系制電性複合繊維とすることがで
きる。
【0025】繊維全体に占めるポリアルキレンエーテル
成分の比率が、0.05重量%未満では十分な制電性を
付与することができず、また5重量%を越す場合は制電
性の向上効果が飽和し、それ以上の向上は期待できない
ばかりでなく、添加量上昇による糸特性の悪化が生じて
くる。繊維全体に占めるポリアルキレンエーテル成分の
比率は0.1〜1重量%とすることが特に好ましい。
【0026】本発明のポリエステル系制電性複合繊維
は、残留伸度が60%以下、ヤング率が35g/d以
下、10%伸長時の弾性回復率が80%以上であること
を同時に満足することが重要である。残留伸度が60%
を越えると、後工程で繊維が伸びやすくなり、安定した
糸加工、製織等ができにくくなる。好ましくは30〜4
0%の範囲内である。また、ヤング率が35g/dを越
えると、本発明の特徴である風合いの柔らかさが失われ
てしまう。好ましくは20〜30g/dである。さら
に、10%伸長時の弾性回復率が80%を下回るとスト
レッチ性に欠けるものになってしまう。好ましくは90
%以上である。
【0027】本発明の制電性複合繊維は、従来のポリエ
ステル繊維の各種用途に、すなわち通常のフィラメン
ト、ステープル等の分野にそのまま適用可能であるばか
りではなく、従来のポリエステル繊維に比べ、ストレッ
チ性、弾性回復性に優れ、さらに制電性を有しているこ
とにより、スポーツ用途、カーペット用途に好適な繊維
である。また、本発明による制電性複合繊維と、制電性
を有しない一般の合成繊維、アセテート、レーヨンなど
の半合成繊維、綿、羊毛、麻などの天然繊維と混紡、合
糸、合撚、または交編織することにより、制電性の良好
な布帛を得ることもできる。
【0028】
【実施例】以下実施例により本発明をより詳細に説明す
る。なお実施例中の各特性値は次の方法で求めた。 A.ブロックポリエーテルアミド組成物の相対粘度 試料を70%の抱水クロラール中に1%濃度になるよう
に溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計を用
いて測定した。
【0029】B.極限粘度[η] オルソクロロフェノール10mlに対し試料0.10g
を溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計を用
いて測定した。
【0030】C.電気比抵抗 試料を0.2%のアニオン界面活性剤の弱アルカリ水溶
液中で電気洗濯機を用いて2時間洗濯後、水洗、乾燥す
る。ついで、該試料を長さ(L)5cm、繊度1000
デニールの繊維束に引き揃えて20℃、40%RH下で
2日間調湿した後、振動容量型微小電位測定装置によ
り、印可電圧500Vで試料の抵抗を測定し次式により
算出した。
【0031】ρ=(R×D)/(9×105 ×L×d) ρ:体積固有抵抗(Ω・cm) R:抵抗(Ω) d:試料密度(g/cm3 ) D:繊度(デニール) L:試料長 D.摩擦帯電圧 京大化研式ロータリースタティックテスター(興亜商会
製)により、摩擦対象布としてあらかじめのり抜き、精
錬、漂白した綿の平織りカナキン3号(目付100g/
cm3 )を用いローター回転数400rpm、印可電圧
100V、温度20℃、相対湿度30%の雰囲気で測定
した値である。
【0032】E.弾性回復率 試料を自記記録装置付定速伸長形引張試験機を用い、デ
ニール当たり1/30gの初荷重をかけた状態で20c
mのつかみ間隔に取り付け、引張速度をつかみ間隔の1
0%にして所定の伸度まで引き伸ばす。直ちに、同じ速
度で除重し記録した応力−歪曲線から、所定の伸度まで
の一定伸びをα、応力が初荷重と等しくなるまで低下し
た時の回復伸びをβとすると下式で求められる。
【0033】弾性回復率(%)=(β/α)×100 F.フィブリル化性 図1に示すフィブリル化試験機を用い、湿潤状態の試料
(染色した織編物)1を摩擦2との摩擦面積が12.5
cm2 になるように、ヘッド3にホルダー4を使って取
り付け、その上に荷重の和が750gになるように荷重
を置く。
【0034】一方、摩擦台6を滑り止め用のサンドペー
パ7を介して取り付け、85r.p.mで偏心回転さ
せ、15分間摩擦を行った後、試料1を外しフィブリル
化の程度を肉眼で判定する。
【0035】すなわち、フィブリル化が起こっている場
合には摩擦された部分が摩擦されていない部分に比べて
白く見えるので、摩擦された部分が白く見える場合には
耐フィブリル性不良と判定し、摩擦された部分が他の部
分と区別できない場合には耐フィブリル性良好と判定し
た。
【0036】実施例1 ポリエチレングリコールにアルカリ触媒の存在下でアク
リロニトリルを反応させ、さらに水素添加反応を行うこ
とにより両末端の97%以上がアミノ基であるポリエチ
レングリコールジアミン(数平均分子量4000)を合
成し、これとアジピン酸を常法で塩反応させることによ
りポリエチレングリコールジアンモニウムアジペートの
45%の水溶液を得た。容量2m3の濃縮缶に上記45
%のポリエチレングリコールジアンモニウムイソフタレ
ート水溶液を200kg、85%カプロラクタム水溶液
を120kg、40%のヘキサメチレンジアンモニウム
イソフタレート水溶液を16kg投入し、常圧で内温が
110℃になるまで約2時間加熱し80%濃度に濃縮し
た。つづいて容量800lの重合缶に上記濃縮液を移行
し、重合缶内に2.5l/minで窒素を流しながら加
熱を開始した。
【0037】内温が120℃になった時点でドデシルベ
ンゼンスルホン酸ソーダ(DBS)を5.2kgと1,
5,5トリメチル−2,4,6−トリ(3,5−ジ−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン
(TTB)5.2kgを添加し、撹拌を開始して内温が
245℃になるまで、18時間加熱し重合を完結させ
た。
【0038】重合終了後缶内に窒素で7kg/fcm2
の圧力をかけ、幅約15cm、厚さ1.5mmのベルト
状に溶融ポリマを回転無端ベルト(長さ6m、ベルト材
質:ステンレス、裏面を水スプレーで冷却)上に押し出
し、冷却後通常の方法でペレタイズした。得られたペレ
ットの相対粘度は2.18であった。
【0039】一方、ジメチルテレフタル酸19.4k
g、1,3−プロパンジオール15.2kgにテトラブ
チルチタネート0.02kgを触媒として用い、140
℃〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反
応を行った後、さらに、250℃温度一定の条件下で3
時間重合を行い極限粘度[η]が0.89のポリプロピ
レンテレフタレートを得た。
【0040】公知の複合紡糸機を使用し、上記方法で製
造した相対粘度2.18のブロックポリエーテルアミド
組成物からなるペレットを、上記方法で製造した極限粘
度[η]が0.89のポリプロピレンテレフタレートぺ
レットに1.40重量%混合したペレットを芯成分とし
一方のホッパーから供給し、他方のホッパーから上記方
法で製造した極限粘度[η]が0.89のポリプロピレ
ンテレフタレートのペレットを鞘成分として供給し、紡
糸温度260℃にて芯対鞘の複合比が50対50(重量
比)の同心円複合糸を紡糸引き取り速度1800m/分
で紡糸した。得られた未延伸糸を通常のホットロール
(HR)延伸機を用いて1HR60℃、2HR90℃、
延伸比3.1倍で延伸して75デニール24フィラメン
トの延伸糸を得た。
【0041】紡糸性、及び延伸性ともに良好であった。
得られた延伸糸の電気比抵抗は13×108 Ω・cmで
あり、この糸を編成し染色した編み物の摩擦帯電圧は4
50Vと良好な制電性耐フィブリル性を示した。また、
得られた繊維は、強度3.5g/d、伸度42%、ヤン
グ率28g/d、10%伸長弾性回復率93%とソフト
さとストレッチ性を兼ね備えた繊維であった。
【0042】実施例2〜4、比較例1,2 実施例1で使用したブロックポリエーテルアミド組成物
からなるペレットを極限粘度[η]0.89のポリプロ
ピレンテレフタレートに比率を種々変えて混合したペレ
ットを芯成分とし、極限粘度[η]0.89のポリプロ
ピレンテレフタレートを鞘成分とし、鞘対芯の複合比を
70対30とした以外は実施例1と同様な紡糸を行い、
75デニール24フィラメントの延伸糸を得た。製糸
性、得られた糸のヤング率、10%伸長回復率、電気比
抵抗、これらの糸を編成し染色した編物の摩擦帯電圧、
耐フィブリル化性は表1のようであった。糸全体のポリ
アルキレンエーテルの比率を0.05重量%以下とした
比較例1は製糸性、耐フィブリル性は良好であったが、
制電性が不足している。また、比率を5重量%以上とし
た比較例2の場合、製糸性がやや悪化する。またポリア
ルキレンエーテルの比率が増大することによる制電効果
の上昇はほとんどなくなる。
【0043】比較例3 実施例1で使用したブロックポリエーテルアミド組成物
からなるペレットを極限粘度[η]0.64のポリエチ
レンテレフタレートに1.40重量%混合したペレット
を芯成分とし、極限粘度[η]0.89のポリプロピレ
ンテレフタレートを鞘成分とし、鞘対芯の複合比を50
対50とし、実施例1の複合紡糸機を用い紡糸温度28
5℃、紡糸引き取り速度1800m/minで紡糸し
た。得られた未延伸糸を通常のホットロール延伸機を用
いて、1HR80℃、2HR120℃、延伸比2.7倍
で延伸して75デニール24フィラメントの延伸糸を得
た。得られた糸は制電性は良好なものの、ヤング率が5
0g/dと高く、さらに10%伸長弾性回復率が60%
と低いため、硬くて、ストレッチ性の劣るものであっ
た。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、風合いが柔らかく、ス
トレッチ性、弾性回復性に優れ、さらに制電性を付与で
きる制電性複合繊維を提供することが可能となり、特に
ストレッチ性、弾性回復性を要求されるスポーツ用途、
カーペット用途などへの展開が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィブリル化を評価する試験機の概略図であ
る。
【符号の説明】
1:試料 2:摩擦布 3:摩擦ヘッド 4:ホルダー 5:荷重 6:摩擦台 7:サンドペーパ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ブロックポリエーテルアミド組成物中のポ
    リアルキレンエーテルの繊維全体に占める比率が0.0
    5〜5重量%となるごとくブロックポリエーテルアミド
    組成物をポリプロピレンテレフタレートに混合せしめて
    なる混合物の芯部と、ポリプロピレンテレフタレートの
    鞘部からなるポリエステル系制電性複合繊維であって、
    該繊維の残留伸度が60%以下、ヤング率が35g/d
    以下、10%伸長時の弾性回復率が80%以上であるこ
    とを特徴とするポリエステル系制電性複合繊維。
  2. 【請求項2】芯部と鞘部とが実質的に同心円状に配置さ
    れ、かつ芯部の比率が5〜50重量%であることを特徴
    とする請求項1記載のポリエステル系制電性複合繊維。
JP35079097A 1997-12-19 1997-12-19 ポリエステル系制電性複合繊維 Pending JPH11181628A (ja)

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JP35079097A JPH11181628A (ja) 1997-12-19 1997-12-19 ポリエステル系制電性複合繊維

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