JPH08100339A - カーペット用ポリエステル捲縮糸およびタフティングカーペット - Google Patents

カーペット用ポリエステル捲縮糸およびタフティングカーペット

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JPH08100339A
JPH08100339A JP23491194A JP23491194A JPH08100339A JP H08100339 A JPH08100339 A JP H08100339A JP 23491194 A JP23491194 A JP 23491194A JP 23491194 A JP23491194 A JP 23491194A JP H08100339 A JPH08100339 A JP H08100339A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 柔軟でソフトなタッチを有すると共に、耐久
性にすぐれたカーペットを与え得るカーペット用ポリエ
ステル捲縮糸、およびこのポリエステル捲縮糸をフェー
スヤーンとして用いてなる住居用としてのすぐれた性能
と使用後の再利用容易性を有するタフティングカーペッ
トを提供する。 【構成】 分子鎖の全繰返し単位の90モルパーセント
以上がエチレンテレフタレート単位からなり、固有粘度
が0.65以上のポリエステルを溶融紡糸してなる扁平
断面糸の集合体であって、単糸繊度が4〜15デニー
ル、総繊度が500〜5000デニールのポリエステル
マルチフィラメントより構成されたことを特徴とするカ
ーペット用ポリエステル捲縮糸。上記扁平断面糸の偏平
率は2〜6の範囲が、またポリエステルマルチフィラメ
ントの捲縮伸長率は3〜20パーセントの範囲にあるこ
とが好ましい。また、本発明のタフティングカーペット
は、上記のポリエステル捲縮糸をフェースヤーンとして
用いたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業用の利用分野】本発明は、カーペット用ポリエス
テル捲縮糸およびタフティングカーペットに関するもの
であり、更に詳しくは、柔軟でソフトなタッチを有する
と共に、耐久性にすぐれたカーペットを与え得るカーペ
ット用ポリエステル捲縮糸およびこのポリエステル捲縮
糸をフェースヤーンとして用いてなる住居用としてのす
ぐれた性能を有するタフティングカーペットに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は、そのすぐれた反撥
弾性、防汚性および染色堅牢性などのの特性を生かし
て、従来から種々のインテリア用途素材として用いられ
ている。
【0003】また、ポリエステル繊維は、ステープルの
紡績糸を中心に、カーペットのフェースヤーンとしても
利用されているが、ポリエステルステープル紡績糸をフ
ェースヤーンとして構成したカーペットは、いわゆる遊
び毛と呼ばれる単繊維の抜けやピリングにないりやすい
という問題を有していた。
【0004】近年、これらの問題を改善するために、ポ
リエステル長繊維、つまりポリエステルマルチフィラメ
ントの捲縮糸が、カーペットのフェースヤーンとして用
いられ始めており、このような技術については、例えば
特開平4−82910号公報などに開示されている。
【0005】しかしながら、ポリエステルマルチフィラ
メントは、その剛性が高いことから粗剛感が強すぎ、柔
軟でソフトな風合いを有するタフティングカーペット、
特に住居用途としてのすぐれた性能を有するカーペット
を与え得ないという欠点があった。
【0006】さらに言及すれば、カーペット用としての
ソフト感を得るために、ポリエステルマルチフィラメン
トの単糸を扁平化あるいは細デニール化しようとすれ
ば、フィラメント製糸工程において単糸切れを生じやす
くなる。
【0007】また、ポリエステルマルチフィラメントに
対し、特にカーペットのフェースヤーンに適した捲縮を
与えるためには、流体捲縮を付与する直前に高い延伸倍
率にて延伸する必要があって、この際に単糸の延伸切れ
が頻発したり、流体捲縮装置内で糸切れを生じたりする
ばかりか、カーペットとしての使用中にフィブリル化を
起こしやすいという問題があった。
【0008】したがって、上述した従来技術において
は、これらポリエステル捲縮糸の風合い向上、延伸加工
性の安定化、およびさらにはカーペットの耐久性を、す
べて同時に達成するカーペット用ポリエステル捲縮糸に
ついては提案されておらず、この点で多くの課題を残し
たものとなっている。
【0009】同じく、従来のポリエステル捲縮糸を用い
たカーペットにおいては、遊び毛の解消、表面タッチの
ソフト化および耐久性の向上などの点で多くの問題が残
されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点を解消するため検討した結果、達
成されたものである。
【0011】したがって、本発明の目的は、柔軟でソフ
トなタッチを有すると共に、耐久性にすぐれたカーペッ
トを与え得るカーペット用ポリエステル捲縮糸およびこ
のポリエステル捲縮糸をフェースヤーンとして用いてな
る住居用としてのすぐれた性能を有するタフティングカ
ーペットを提供することにある。
【0012】さらに、本発明の他の目的は、使用後の再
利用を容易としたタフティングカーペットを提供するこ
とにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のカーペット用ポリエステル捲縮糸は、分
子鎖の全繰返し単位の90モルパーセント以上がエチレ
ンテレフタレート単位からなり、固有粘度が0.65以
上のポリエステルを溶融紡糸してなる扁平断面糸の集合
体であって、単糸繊度が4〜5デニール、総繊度が50
0〜5000デニールのポリエステルマルチフィラメン
トより構成されたことを特徴とする。
【0014】そして、上記カーペット用ポリエステル捲
縮糸は、扁平断面糸の偏平率が2〜6の範囲にあり、さ
らにはポリエステルマルチフィラメントの捲縮伸長率が
3〜20パーセントの範囲にあることを特徴とする。
【0015】また、本発明のタフティングカーペット
は、分子鎖の全繰返し単位の90モルパーセント以上が
エチレンテレフタレート単位からなり、固有粘度が0.
65以上のポリエステルを溶融紡糸してなる偏平率が2
〜6の扁平断面糸の集合体であって、単糸繊度が4〜5
デニール、総繊度が500〜5000デニール、捲縮伸
長率が3〜20パーセントのポリエステルマルチフィラ
メントより構成されたポリエステル捲縮糸をフェースヤ
ーンとして用いたことを特徴とする。
【0016】以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】本発明でいうポリエステル捲縮糸とは、ポ
リエステルマルチフィラメントに対し、加熱空気あるい
は蒸気などの加熱流体によって捲縮を付与した捲縮糸を
意味し、捲縮を有するものであれば特に限定されない
が、従来公知の加熱流体による捲縮加工装置、例えば特
公昭58ー1214号公報および特開昭56ー1019
25号公報などに開示される捲縮加工装置を用いて捲縮
が付与されたものが好ましい。
【0018】本発明のカーペット用ポリエステル捲縮糸
の構成素材は、分子鎖の全繰返し単位の90モルパーセ
ント以上、さらに好ましくは95パーセント以上がエチ
レンテレフタレート単位からなるポリエステルであり、
使用するポリエステルは本発明の構成要件および目的を
損なわない範囲において、エチレングリコールおよびテ
レフタル酸以外の少量の第三成分を含んでもよい。
【0019】そして、本発明において構成素材として使
用するポリエステルは、オルソクロロフェノールを溶媒
とし、オスワルド型粘度計を用いて25℃にて測定した
固有粘度が0.65以上、好ましくは0.7以上、より
好ましくは0.8以上であることが必要である。
【0020】上記の固有粘度は、ポリエステルの数平均
分子量を示す指標でもあり、この固有粘度が0.65よ
りも低い場合は、特に偏平断面糸によるマルチフィラメ
ントの場合に、十分な機械的特性が得られないばかり
か、耐候性、耐熱性および耐疲労性といったカーペット
のフェースヤーンに要求される高い性能が得られないた
め好ましくない。
【0021】一般に、固有粘度の低いポリエステルを素
材とするポリエステルマルチフィラメントの場合、単糸
の扁平化をおこなったり、あるいは単糸繊度を小さくす
ればするほど、フィラメント製糸工程において単糸切れ
を生じやすい。また特にカーペットのフェースヤーンに
適した捲縮を得ようとするには、流体捲縮を付与する直
前に高い延伸倍率にて延伸する必要があり、この際に単
糸の延伸切れが頻発したり、更には加熱流体捲縮時に糸
切れを生じたりするばかりか、カーペットとして使用中
においてもフィブリル化するなどの問題を発生しやすく
なる。
【0022】しかるに、本発明のポリエステルの捲縮糸
は、従来よりも高い分子量で安定したポリエステルを素
材として用いるので、延伸加工性を損なうことなく、ま
たカーペットがフィブリル化するといった問題を生じる
こともなくて、耐久性の高いカーペットを与えることが
できる。
【0023】また、本発明では、より柔軟でソフトな風
合いのカーペットを与え得るポリエス捲縮糸となすため
に、扁平断面糸の繊度を4〜15デニール,好ましくは
4〜10デニールの範囲に設定し、これによって、単糸
剛性を小さくすることができる。
【0024】単糸繊度が4デニール未満となると、フィ
ラメントを加熱流体にて捲縮加工しても十分な捲縮が得
にくく、さらにはカーペット使用中にピリングを生じや
すくなるため好ましくない。
【0025】逆に、単糸繊度が15デニールを越える
と、捲縮糸のソフト感が損なわれるため好ましくない。
【0026】また、本発明のポリエステル捲縮糸は、総
繊度が500〜5000デニール、好ましくは800〜
3000デニールの範囲にあることが、カーペットのフ
ェースヤーンとして高次加工する際の取扱いを考慮して
適切である。
【0027】すなわち、総繊度が500デニール未満で
は、タフト時の目付を多くする必要があり、加工コスト
が高くなる。逆に5000デニールを越えると、タフト
時の取扱いが複雑で実用的でないため好ましくない。
【0028】そして、本発明のポリエステル捲縮糸は、
その柔軟性とソフト感をより向上させるために、単糸断
面が偏平率2〜6の範囲にある偏平断面糸とすることが
望ましい。
【0029】この扁平率は、値の大きな方が柔軟でソフ
トとなるが、扁平率が6を越えると、特に単糸繊度を小
さくした際に単糸断面の厚みが極度に薄くなって、捲縮
糸が過度に柔らかくしかもへたりやすくなるため好まし
くない。
【0030】なお、ここでいう扁平断面糸の扁平率と
は、図1および図2に示した単糸断面の短辺部の最大長
さ(A)と、長辺部の最大長さ(B)の比(B/A)を
意味し、この扁平率が2〜6の範囲であれば、断面に1
個以上の凹凸を有するものであってもよい。
【0031】さらに、本発明のポリエステル捲縮糸は、
その捲縮伸長率を3〜20パーセント、より好ましくは
3〜10パーセントの範囲に制御することによって、よ
り嵩高性に富み、この捲縮糸を用いて得られるカーペッ
ト表面のカバーリング性も良好となる。
【0032】ここで、捲縮伸長率が3パーセント未満で
は、捲縮繊維の特徴である嵩高性が不足し、また20パ
ーセントを越えると、その捲縮によって得られるカーペ
ットの表面がフエルト化し、風合が堅くなって柔軟性が
損なわれやすくなるため好ましくない。
【0033】次に、本発明のポリエステル捲縮糸は、こ
れを用いるカーペットの製造工程におけるコストダウン
指向、特に染色レスの要求、あるいは染色による物性値
の変化を避ける点から、マルチフィラメント中に0.0
8〜1.2重量パーセント、好ましくは0.1〜0.5
重量%パーセントの着色剤を含有することが望ましい。
【0034】ただし、着色剤の含有量が1.2重量パー
セントを越えると、フィラメント製糸工程での糸切れを
誘発したり、ポリエステルの粘度低下を引き起こすなど
の問題を生じ、また0.08重量%パーセント未満で
は、マルチフィラメントの色相の均一性が悪化したり、
また色相が淡くなり過ぎたりといった欠点が生じるため
好ましくない。
【0035】本発明で用いることのできる着色剤の一例
としては、カーボンブラック、アントラキノン系着色
剤、ジオキサジン系着色剤、フタロシアニン系着色剤、
ペリレン系着色剤、ペリノン系着色剤、縮合アゾ系着色
剤、チオインジゴ系着色剤、二酸化チタンおよび酸化鉄
系着色剤などが挙げられる。
【0036】着色剤の添加の方法としては、ポリエステ
ル縮重合のためのエステル化工程あるいはエステル交換
工程、または縮重合反応工程において添加する方法、チ
ップ乾燥時にブレンドして紡糸する方法、紡糸時に着色
剤を直接添加する方法、着色剤を高濃度含有するマスタ
ーチップを溶融し別途溶融したベースポリマとブレンド
して紡糸する方法(メルトブレンド方式)、および着色
剤を高濃度含有するマスターチップとベースチップをブ
レンドして溶融紡糸する方法(チップブレンド方式)な
どの添加技術を適用することができるが、品質の安定
性、操業の安定性およびコストなどの点を考慮すると、
マスターチップを使用する方法が特に有効である。
【0037】また、本発明のタフティングカーペット
は、上記で説明したカーペット用ポリエステル捲縮糸、
すなわち分子鎖の全繰返し単位の90モルパーセント以
上がエチレンテレフタレート単位からなり、固有粘度が
0.65以上のポリエステルを溶融紡糸してなる偏平率
が2〜6の扁平断面糸の集合体であって、単糸繊度が4
〜5デニール、総繊度が500〜5000デニール、捲
縮伸長率が3〜20パーセントのポリエステルマルチフ
ィラメントより構成されたポリエステル捲縮糸、さらに
好ましくは着色剤を含有するポリエステル捲縮糸をフェ
ースヤーンとして用いて構成されたものである。
【0038】本発明のタフティングカーペットは、上述
したポリエステル捲縮糸の作用により、柔軟でソフトな
表面タッチとすぐれた耐久性を備えるとともに、その使
用後においては、再溶融することによって、ポリエステ
ル樹脂あるいはポリエステル繊維としてリサイクル使用
可能である。
【0039】一般に、ポリエステルは非常にリサイクル
に適した素材であり、そのリサイクル方法は回収ポリマ
ーをモノマーまで分解することなく再溶融して利用する
ケースが多いが、その再溶融によって粘度低下おこすこ
とから、回収品の固有粘度は0.65以上、さらにはよ
り高いもの好ましい。
【0040】そして、カーペットのフェースヤーンとし
て用いるために、本発明のポリエステル捲縮糸に着色剤
を含有せしめる場合には、リサイクルを考慮してカーボ
ンブラック系着色剤を用いたものであることが望まし
い。
【0041】またさらに、カーペットを構成する1次基
布、あるいは2次基布を、ポリエステル捲縮糸の不織布
として構成することが、フェースヤーンとそれ以外の部
材の分離の繁雑さを考慮して望ましい。
【0042】次に、本発明のポリエステル捲縮糸の製造
方法の一例について説明する。
【0043】まず、ポリエステルのベースチップを押出
機に供給し、溶融ポリエステルとなし、続いて紡糸口金
から押出紡出する。
【0044】ここで、着色剤を含有させる場合には、例
えば、着色剤を10重量パーセント以上、好ましくは1
5重量パーセント以上、より好ましくは20重量パーセ
ント以上含有するポリエステルマステーチップを、ポリ
エステル原着糸中の着色剤濃度が0.08〜1.2重量
パーセントの範囲となるよう計量して、前記ベースチッ
プと混合するとよい。
【0045】紡糸された糸条は、冷風により冷却・固化
し、さらに引き続いて油剤を付着した後、300〜12
00m/分で回転する引取りロールで引取る。
【0046】さらに、この未延伸糸を2〜6倍で延伸す
る延伸工程に導き、続いて加熱流体捲縮付与装置に導入
する。加熱流体は加熱蒸気を用いるのが好ましい。
【0047】加熱流体にて捲縮付与された糸条は、冷却
された後、捲縮がへたらない程度に引き伸ばされて、最
後にパッケージに巻き取られる。
【0048】上記工程の任意部分で一旦フィラメントを
巻取ってもよいが、好ましくは連続で行うのが良い。
【0049】また、本発明のタフティングカーペットを
製造するには、上記の方法により得たポリエステル捲縮
糸をタフティング機にセットし、このポリエステル捲縮
糸をフェースヤーンとして、ポリエステル不織布の一次
基布などにタフティングした後、裏張りをおこなってカ
ーペットを得る。また必要に応じて、途中にスチーミン
グ、ブラッシング、スプレー、染色、シャーリングおよ
びポリシャーなどの種々の加工を行うことが可能であ
る。
【0050】本発明のカーペット用ポリエステル捲縮糸
およびこれを用いたタフティングカーペットは、柔軟で
ソフトなタッチを有すると共に、耐久性にすぐれた特性
を生かして、特に住居用カーペット用途として適してい
るが、その効果、目的を必要とするものであれば、住居
用カーペット以外の非住居用カーペットや他の用途にも
利用可能である。
【0051】
【実施例】以下、実施例にて本発明をさらに説明する。
【0052】なお、前述および以下に説明する実施例中
の物性値は、次の方法により求めた値である。
【0053】<固有粘度>オルソクロロフェノールを溶
媒として、オスワルド型粘度計を用い、25℃の温度に
て測定した。
【0054】<捲縮伸長率>捲縮糸に無荷重化で98℃
×5分間の沸騰水処理をした後、風乾し、初荷重(2m
mg/d)をかけ、長さ(L1)を測定する。次いで定
荷重(100mmg/d)をかけて長さ(L2)を測定
し、下記式により算出した。 捲縮伸長率(%)=100×(L2−L1)/(L1) <扁平率>単糸断面を切断後、光学顕微鏡を用いて,図
1に示すごとく単糸長辺部の最大径(B)と、単糸短辺
部の最大径(A)を測定し、下記式により算出した。 偏平率=(B)/(A) <原糸強力・強度・伸度>オリエンテック社製テンシロ
ン引張り試験機を用い、試長250mm、引張速度30
0mm/分の条件で測定した。
【0055】<耐候強力保持率・伸度保持率>サンシャ
インウェザーメータにて、83℃×200時間の照射を
おこなった後、オリエンテック社製テンシロン引張り試
験機を用い、試長250mm、引張速度300mm/分
の条件で測定し、上記で求めた処理前の値からの保持率
を求めたものである。
【0056】[実施例1〜4]表1に示したように、そ
れぞれ固溶粘度が相違(ただし、すべて固有粘度0.7
以上)するポリエスチレンテレフタレートベースチップ
をエクストルダー型紡糸機で溶融し、扁平型口金より紡
糸した。
【0057】紡糸部より得た糸条に先ず油剤を付着せし
め、続いて引取りロールで引取り、加熱延伸ロールにて
延伸したすることにより、表1に示したように単糸繊
度、トータル繊度(総繊度)、フィラメント数および扁
平率がそれぞれ相違する4種類のマルチフィラメントを
得た。
【0058】各マルチフィラメントは、連続して特公昭
58ー1214号公報に記載の捲縮加工装置に送られ
て、250℃以上での加熱蒸気処理を行い捲縮付与した
後、捲縮がへたらない程度に引き伸ばし、最後に0.0
8g/d程度の巻取張力で巻き取ることにより、表1に
示したように捲縮伸長率がそれぞれ相違する4種類の捲
縮糸に捲縮加工された。
【0059】なお、実施例3および実施例4では、カー
ボンブラックを10重量パーセント含有するポリエチレ
ンテレフタレートをベースチップに対して重量比40分
の1で計量、混合した後、上記方法にて紡糸延伸加工し
て巻き取った。
【0060】この際、延伸加工性を評価すると共に、得
られたポリエステルマルチフィラメント捲縮糸の原糸特
性として、固有粘度、扁平率、原糸強度・伸度および耐
候強力保持率・伸度保持率を測定した。
【0061】また、上記にて得られた各ポリエステル捲
縮糸を、ポリエステルの不織布に対し、目付600g/
2 のカットパイルカーペットとしてタフティングし
た。
【0062】得られたカーペットの特性として、下記の
基準によりカーペット表面のソフト感、耐摩耗性および
表面のカーバーリング性を評価し、この結果を上記原糸
特性の評価結果とあわせて表1に示した。
【0063】<カーペットの評価基準> ◎……きわめて良好 ○……良好 △……若干不良 ×……不良。
【0064】
【表1】 表1に示したとおり、本実施例1〜4のポリエステル捲
縮糸は、きわめてすぐれた延伸加工性を有すると共に、
強度・伸度および耐候処理後の強力・伸度保持率などの
物理特性も、カーペットヤーンとしてすぐれたものであ
った。
【0065】また、得られたカーペットは、柔軟でソフ
ト感に富んでいるとともにカーバーリング性も良好であ
った。
【0066】[比較例1〜4]表1に示したように、固
有粘度が相違する3種類のポリエスチレンテレフタレー
トのベースチップを用い、実施例3と同様な方法にて、
表1に示したように、単糸繊度、トータル繊度(総繊
度)、フィラメント数、断面形状、扁平率および捲縮伸
長率がそれぞれ相違する3種類のポリエステル捲縮糸お
よびカーペットを得た。
【0067】各ポリエステル捲縮糸およびカーペットに
ついて、上記実施例と同様の評価を行った結果を表2に
あわせて示す。
【0068】
【表2】 表2に示したとおり、比較例1および比較例2は、使用
するポリエステルの固有粘度が低いことから、カーペッ
トの風合いはソフトであったが、耐摩耗性・カバーリン
グ性に劣り、また、延伸加工時に糸切れが多発するとと
もに、良好な物理特性が得られなかった。
【0069】さらに、比較例3では、三角断面形状とし
たため、原糸の物理特性は確保されたが、カーペットは
フエルト調で風合に劣り、粗剛なものであった。
【0070】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明のポリエス
テル捲縮糸は次の効果を奏する。
【0071】ポリエステルの固有粘度、断面形状、単糸
繊度、総繊度および捲縮伸長率を特定することによっ
て、ポリエステルマルチフィラメントの捲縮糸を安定し
て得ることができ、また柔軟性に富みソフトでかつ耐久
性のすぐれたカーペットを与え得るポリエステル捲縮糸
が得られる。
【0072】また、単糸の扁平率を特定の範囲にするこ
とでより柔軟な風合いを確実に得ることができるととも
に耐久性もより優れたものとなる。
【0073】さらに、本発明のタフティングカーペット
は、住居用カーペットとしてのすぐれた柔軟性と耐久性
を有しておりまた、リサイクルも容易に可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係るポリエステル捲縮糸を断面
方向に切断し、光学顕微鏡によってスケッチしたものの
一例である。
【図2】図2は同じく本発明に係るポリエステル捲縮糸
を断面方向に切断し、光学顕微鏡によってスケッチした
ものの一例である。
【符号の説明】
(A)……単糸短辺部の最大径 (B)……単糸長辺部の最大径

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子鎖の全繰返し単位の90モルパー
    セント以上がエチレンテレフタレート単位からなり、固
    有粘度が0.65以上のポリエステルを溶融紡糸してな
    る扁平断面糸の集合体であって、単糸繊度が4〜15デ
    ニール、総繊度が500〜5000デニールのポリエス
    テルマルチフィラメントより構成されたことを特徴とす
    るカーペット用ポリエステル捲縮糸。
  2. 【請求項2】 扁平断面糸の偏平率が2〜6の範囲に
    あることを特徴とする請求項1に記載のカーペット用ポ
    リエステル捲縮糸。
  3. 【請求項3】 ポリエステルマルチフィラメントの捲
    縮伸長率が3〜20パーセントの範囲にあることを特徴
    とする請求項1または2に記載のカーペット用ポリエス
    テル捲縮糸。
  4. 【請求項4】 ポリエステルマルチフィラメントが、
    0.08〜1.2重量ハーセントの着色剤を含有するこ
    とを特徴とする請求項1、2、または3に記載のカーペ
    ット用ポリエステル捲縮糸。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3または4に記載のポ
    リエステル捲縮糸をフェースヤーンとして用いたことを
    特徴とするタフティングカーペット。
  6. 【請求項6】 住居用に用いることを特徴とする請求
    項5に記載のタフティングカーペット。
JP23491194A 1994-09-29 1994-09-29 カーペット用ポリエステル捲縮糸およびタフティングカーペット Expired - Fee Related JP3252615B2 (ja)

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