JPH11222713A - 特殊断面セルロースアセテート繊維及びその集合体並びに同繊維の製造方法 - Google Patents

特殊断面セルロースアセテート繊維及びその集合体並びに同繊維の製造方法

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JPH11222713A
JPH11222713A JP3973998A JP3973998A JPH11222713A JP H11222713 A JPH11222713 A JP H11222713A JP 3973998 A JP3973998 A JP 3973998A JP 3973998 A JP3973998 A JP 3973998A JP H11222713 A JPH11222713 A JP H11222713A
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cellulose acetate
fiber
cross
yarn
spinning
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Harumi Taki
晴美 多喜
Takanobu Takenaka
孝信 竹中
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来のアセテート繊維がもつ凹凸の多い断面形
状とそれに基づくドライな感触を低減させ、それとは全
く正反対のウエット感に富んだしっとりした風合いをも
つアセテート繊維及びその集合体、並びに同繊維の製造
方法を提供する。 【解決手段】円の一部を2〜4本の直線で切除した形状
をもち、前記直線の両端と円中心とのなす角度θが15
°≦θ≦45°である紡糸孔を有する紡糸口金により、
酢化度45%以上のセルロースアセテート繊維(1) を紡
糸する。得られた前記繊維(1) は、断面形状が全体とし
て略円形で、円周に複数個の凹窪部(1a)を有し、少なく
とも1の前記凹窪部(1a)はその両端がほぼ接合して擬中
空部(1b)が形成されている。このように、アセテート繊
維に生じる凹凸を制御して減少させると共に、形成され
た凹窪部を繊維内部に封じ込めることで、繊維表面の凹
凸を少なくし、ウェット感に富んだしっとりした風合い
が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は特殊な断面を有する
セルロースアセテート繊維及びその集合体、並びに同繊
維の製造方法に関し、特に、その特殊で新規な断面形状
により、布帛に従来にないウエットな風合いを付与する
ことのできるアセテート繊維及びその集合体、並びに同
繊維の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】セルロースアセテート繊維は、これまで
主として低屈折率であるために発色性に優れており、ド
ライで清涼感豊かな、ファッシション性の高い高級衣料
素材として位置付けられて来ている。このアセテート繊
維の持つ独特のドライタッチの風合いは、主として同繊
維が乾式紡糸により製造されることに由来するものと考
えられている。即ち、一般にアセテート繊維の乾式紡糸
では、原料ポリマーであるアセテートフレークスをアセ
トンや塩化メチレン等の揮発性の高い溶剤に溶解してこ
れを紡糸原液とし、その原液を円形の紡糸孔をもつ紡糸
口金から吐出して、加熱空気により紡糸原液中の溶剤を
蒸発除去させて繊維状に固化される。
【0003】この乾式紡糸の過程では、紡糸原液が紡糸
口金より吐出された直後に、原液自体の持つ熱により外
側の表面層の溶剤が蒸発していわゆるスキン層が形成さ
れ、更に、引き続いて加熱空気により糸内部の溶剤が蒸
発する。この溶剤の蒸発に伴う体積収縮がランダムに生
じるために、繊維にはその断面形状に複雑に入り組んだ
多くの凹凸、通常で4〜12個程度の凹凸が形成され、
断面形状が極めて出入りの大きなものとなる。その結
果、前記繊維は人肌等との接触面積が減少し、独特のド
ライ感や清涼感が生み出されていると考えられ、特に、
春夏の婦人衣料に適した素材とされている。
【0004】かかる乾式紡糸により製造される繊維の断
面形状は、主に、その紡糸口金の紡糸孔形状、固化途中
の原液の流動性、及び乾燥速度により決定されるもので
あり、従来から様々な紡糸孔形状と同紡糸孔により得ら
れる繊維の断面形状とが提案されている。
【0005】例えば、特公昭37−7917号公報に、
多数の紡糸孔形状とその口金より得られる繊維の断面形
状が開示されている。その一例を挙げると、紡糸孔形状
が正三角形であると略Y字状断面の繊維が得られ、ま
た、紡糸孔形状が正方形であると略X字状断面の繊維が
得られる。2/3円形状の紡糸孔からは中空の略円形断
面をもつ繊維が、三日月状の紡糸孔からは中空の長円形
状断面をもつ繊維が得られる。更には、3つのスリット
孔を三角形に配した紡糸孔の場合には、円形中空をもつ
三角形状断面の繊維が得られる。
【0006】また、特開昭60−134012号公報に
開示された紡糸孔は、三角形の3つの頂点が、同三角形
の重心を中心とする円により切除された形状をもち、か
かる紡糸孔により紡糸されたセルロースアセテート繊維
は略Y字状断面をもつ。
【0007】更に、国際公開WO96/35010号公
報には、紡糸原液にセルロースアセテートを可塑化しう
る高分子物質5〜40重量部を添加することにより、セ
ルロースアセテート繊維の断面形状を変更することが試
みられている。例えば、かかる高分子物質を含有する紡
糸原液を円形の紡糸孔から紡糸すると、長円の中央部分
がくびれた繭状断面をもつ繊維が得られる。また、正方
形の紡糸孔を用いると十字状断面の繊維が、三角形の紡
糸孔を用いるとY字状断面の繊維が得られ、更に、23
0°〜250°の扇形の紡糸孔を用いると、端部がほと
んど接合して擬中空部が形成された略C字状断面の繊維
が得られる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年の消費
者ニーズの多様化に伴って、アセテート繊維と云えども
ドライ感のみでなく、多様な風合い・タッチが要求され
ている。特に、アセテート繊維のもつドライ感とは全く
正反対の風合いであるウェット感が、アセテート繊維に
要求されている。
【0009】しかしながら、上述した公報に開示されて
いる繊維のうち、凹凸の大きな断面形状をもつ繊維は、
いずれもドライ感に優れたものであり、かかる要求には
対応できていない。一方、凹凸の少ない円形に近い、単
一の擬中空部をもつ略C字状断面の繊維ではドライ感は
軽減されるものの、擬中空部の面積が大きいために同一
の繊度の場合に軽量となり、重量感やドレープ性が損な
われ、更には、織編加工時に擬中空部がつぶれやすく、
糸切れや毛羽が発生し易いといった問題がある。
【0010】そこで本発明は、従来のアセテート繊維が
もつ凹凸の多い断面形状とそれに基づくドライな感触を
低減させ、それとは全く正反対のウエット感に富んだし
っとりした風合いをもつアセテート繊維及びその集合
体、並びに同繊維の製造方法を提供することを目的とし
ている。具体的には、従来のアセテート繊維にみられる
複雑に入り組んだ多数の凹凸を減少させ、表面ができる
だけ平滑で、肌と繊維との接触感が向上したウエット感
に富んだしっとりした風合いをもつアセテート繊維及び
その集合体、並びに同繊維の製造方法を提供することを
目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、酢化度45%以上のセルロースアセテー
ト繊維であって、その断面形状は全体が略円形で、円周
に複数個の凹窪部を有すると共に、前記凹窪部の両端が
ほぼ接合して形成される少なくともひとつの擬中空部を
有することを特徴とする特殊断面セルロースアセテート
繊維を主要な構成としている。
【0012】即ち、上述のようにアセテート繊維の乾式
紡糸の特性上、溶剤の蒸発に伴う体積収縮は避けられな
いため、本発明者らは、アセテート繊維に生じる凹凸を
制御して減少させると共に、形成された凹窪部を繊維内
部に封じ込め、擬中空部を少なくともひとつ形成するこ
とで、繊維表面の凹凸を少なくし、ウェット感に富んだ
しっとりした風合いを実現させたものである。
【0013】前記セルロースアセテートはセルロースの
繰り返し単位中に存在する3個の水酸基のうち、平均2
〜3個の水酸基がアセチル化されて酢酸エステルとなっ
たものであり、特に平均2.1〜3.0個がアセチル化
されたもの(酢化度45〜62%)が好ましい。
【0014】更に、前記凹窪部の個数が2〜4個である
ことが好ましく、また、前記擬中空部が2〜3個である
ことが好ましい。更には、前記擬中空部の総面積が繊維
の全断面積の1〜5%であることが好ましい。なお、本
発明において、前記繊維の全断面積とは、前記擬中空部
及び前記凹窪部を含まない繊維部分の断面積をいう。
【0015】このように、前記凹窪部の数を2〜4個と
出来るだけ少なくすると共に、そのうちの2〜3個を前
記擬中空部とし、更には前記擬中空部の総面積を全断面
積の1〜5%と出来るだけ小さくすることにより、繊維
の断面形状が全体的に丸みのある平滑な形状となり、繊
維と人肌との接触面積が増加するため、ウェットでしっ
とりした風合いを付与することができると共に、張り腰
の少ないしなやかな風合いが得られる。
【0016】この凹窪部が1つしかない場合は、溶剤の
蒸発に伴う体積収縮がこの唯一の凹窪部に集中すること
になり、その結果、前記凹窪部は空隙率が比較的大きな
窪みとなり、ウェット感を付与するといった本願の目的
を達成するには不利な断面形状となる。一方、この凹窪
部の数が5個以上と多くなると、繊維との接触感が減少
し、目的とするウェット感とは相反するドライ感を高め
ることとなる。更に、前記凹窪部の数の増加により同凹
窪部の面積が大きくなるにつれ、繊維の曲げに対する抵
抗力が増し、いわゆる張り腰のある風合いが付与されて
しまう。
【0017】更に、本願の目的とするウェット感やしっ
とり感は、糸の柔軟性やドレープ性とも大いに関係があ
る。即ち、腰が無くて曲げ抵抗が小さい柔軟性の高いド
レープ性に富んだ糸は、いずれも人肌との接触感が大き
く、ウェット感やしっとり感を付与するのに効果的であ
る。従って、糸の繊度及び比重を適切に選択すること
は、断面形状を上述のように特殊化することと相まっ
て、ウェット感を付与するといった目的を達成すること
が可能となる。この観点から、前記アセテート繊維は単
繊維繊度が5d/f以下であることが好ましく、前記単
繊維繊度が3d/f以下では更にウェット感を向上させ
ることができる。
【0018】また、ドレープ性を向上させるためには糸
の比重を重くすることも大いに効果があり、この比重を
重くするために、高比重無機物等をセルロースアセテー
ト繊維中に含有保持させることができる。前記アセテー
ト繊維は比重が3.5以上、屈折率が1.3〜1.9の
微粒子無機物を5〜30重量%含むことが好ましく、前
記微粒子無機物は硫酸バリウムであることが好ましい。
かかる繊維は、前記微粒子無機物をアセテートとの重量
比が5:95〜30:70である紡糸原液を用いて紡糸
することにより得られる。前記無機物を含むアセテート
繊維は、実質的に比重が1.35〜1.65となり、ウ
ェット感を更に向上させることが可能となる。更に、前
記無機物の屈折率が1.3〜1.9である、アセテート
繊維の屈折率に近い屈折率をもつ無機物を採用すること
で、本来セルロースアセテートのもつ低屈折率に伴う光
沢感や発色性を損うことがない。
【0019】また、本発明は、上述した特殊断面セルロ
ースアセテート繊維を全繊維本数の60%以上含んでな
ることを特徴とするセルロースアセテート繊維集合体を
他の主要な構成としている。即ち、上述のような特殊断
面形状を有するセルロースアセテートの単繊維の本数が
全繊維本数の60%以上である前記繊維集合体は、編織
物としたときに同編織物に十分なウェット感を呈するこ
とができるが、この割合が60%未満では、目的とする
ウェット感を十分に付与することができず、好ましくは
前記単繊維が全繊維本数の70%以上である。
【0020】また、本発明は、円の一部を2〜4本の直
線で切除した形状をもち、前記直線の両端と円中心との
なす角度θが15°≦θ≦45°である紡糸孔を有する
紡糸口金を用いて乾式紡糸することを特徴とするセルロ
ースアセテート繊維の製造方法を更に他の主要な構成と
している。
【0021】かかる紡糸孔から紡糸された繊維は、紡糸
直後の断面形状が前記紡糸孔の形状と略一致しており、
即ち、繊維表面は前記紡糸孔の直線部分から紡糸された
平坦表面と、前記紡糸孔の円弧部分から紡糸された円弧
表面とを有している。かかる繊維表面をもつ繊維は、紡
糸直後に繊維表面が乾燥する際に、前記平坦表面の乾燥
速度が円弧表面の乾燥速度よりも遅く、前記平坦表面は
前記円弧表面よりも表皮層の形成が遅れる。そのため、
その後に繊維内部の溶剤が蒸発することに伴う体積収縮
の際に、乾燥程度の小さい平坦表面に前記体積収縮の応
力が集中し、同平坦表面が糸内部に向かって陥没して凹
窪部が形成され、更に、体積収縮により同凹窪部が内部
へと入り込むことによりその両端がほぼ接合して擬中空
部が形成される。
【0022】従って、前記紡糸孔の前記直線部分の寸法
が長い場合には、凹窪部の断面積が大きくなり、ウェッ
ト感が少なく、嵩高感の大きな張り腰のある風合いとな
るため、好ましくない。また、逆にこの直線部分の寸法
が短かすぎると、紡糸直後の繊維の前記平坦表面と前記
円弧表面との乾燥速度の差異が小さく、両表面における
表皮層の形成が比較的均一化するため、上述したような
体積収縮による応力の集中がなくなり、結果的には円形
の紡糸孔により紡糸された繊維と略同一の断面形状とな
る。
【0023】このように前記直線部分の寸法が、得られ
る繊維の断面形状、即ち凹窪部の大きさに影響を及ぼす
ものであり、本発明者等はこの直線部分の寸法及びその
数について鋭意検討を加えた結果、上述したような具体
的な数値を得るに至ったものである。また、かかる紡糸
孔の形状は、特殊断面形状をもつ繊維を紡糸するための
特殊孔形状の中にあっては比較的変化の小さい形状であ
り、その形成が容易である。そのため、紡糸孔の面積が
小さい紡糸口金を作製することが可能となり、細繊度の
アセテート繊維を紡糸する際に極めて有利であり、上述
したように細繊度とすることで、ウェット感を向上させ
ることができる。
【0024】更に、乾式紡糸をする際に、前記紡糸口金
から吐出される際の紡糸原液の温度を45〜70℃、好
ましくは50〜60℃と通常(70℃前後)よりは低め
に設定することが好ましい。この紡糸原液温度が45℃
よりも低いと紡糸原液中の溶剤が十分に乾燥せず、紡糸
工程中に複数の単繊維が密着したり、或いは糸切れを起
こす原因となる。一方、70℃よりも高いと紡糸直後の
乾燥程度が大きくなるため、紡糸孔の形状を上述のよう
な特殊な形状としても、繊維の平坦表面と円弧表面との
乾燥速度が略同一となり、上述したような乾燥速度の差
異から生じる擬中空部の形成がなされず、従来の円形紡
糸孔により紡糸された繊維と同様に、凹凸数が多い通常
の断面形状に近い断面形状をもつ繊維となる。
【0025】
【本発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につ
いて、図面及び代表的な実施例を参照して具体的に説明
する。図1及び図2は本発明の典型的な実施態様である
特殊断面セルロースアセテート繊維をモデル的に示す断
面図、図3は本発明の特殊断面セルロースアセテート繊
維の製造方法に使用される紡糸口金の紡糸孔の平面図で
ある。
【0026】図1に示す特殊断面セルロースアセテート
繊維1は、断面形状が全体として略円形であり、円周に
4個の凹窪部1aを有している。更に、前記凹窪部1a
のうち少なくとも2以上の前記凹窪部1aは、その両端
がほぼ接合して擬中空部1bを形成している。このよう
に繊維表面の凹凸が少ないため、繊維表面と人肌との接
触面積が大きくなり、ウェット感に富んだしっとりした
風合いが得られる。
【0027】図2に示す特殊断面セルロースアセテート
繊維2は、断面形状が全体として略円形であり、円周に
2個の凹窪部2aを有しており、且つ2つの前記凹窪部
2aはいずれも、その両端がほぼ接合して擬中空部2b
を形成している。この単繊維2は図1の単繊維1に比
べ、その繊維表面の凹凸が更に少なく、繊維表面は略円
形である。従って、図1の単繊維1よりも更に優れたウ
ェット感が得られる。
【0028】かかる繊維を製造するための本発明の製造
方法に使用される紡糸口金に形成された紡糸孔の典型的
な形状について、図5を参照して説明する。前記紡糸孔
10は、直径Rの円の一部が同一寸法の4本の直線11
で等間隔に切除された形状をもつ。前記直線11の両端
11a,11aと円中心Oとのなす角度θが15°≦θ
≦45°の間で設定される。
【0029】次に、上記紡糸孔10をもつ紡糸口金を用
いて乾式紡糸されたセルロースアセテート繊維について
実施例を参照して説明する。なお、本発明は以下の実施
例に限定されるものではない。
【0030】以下の実施例及び比較例における各種の評
価は次のようにして測定した。 <中空率>図4及び図5に示すような断面写真を撮影
し、同写真から以下の式により求めた値である。 {(擬中空部の総面積)/(擬中空部及び凹窪部を除く
繊維部分の断面積)}×100% <風合い>得られたセルロースアセテート繊維(マルチ
フィラメント)を用いて平編み組織で編地を作成し、精
錬染色後、ハンドリングで風合評価を実施した。このと
き、比較例1を標準とし、これよりウエット感のあるも
のを良と評価した。
【0031】〔比較例1〕平均酢化度61.2%のセル
ロースアセテートを、塩化メチレン/メタノール混合溶
剤に溶解し、紡糸原液を調製した。この紡糸原液を72
℃に調整し、孔径が38μmの円形の紡糸孔をもつ紡糸
口金により、紡速730m/分にて紡糸を行い、75デ
ニール/20フィラメントのセルロースアセテートマル
チフィラメントを得た。
【0032】〔実施例1〜6,比較例2〜5〕平均酢化
度61.2%のセルロースアセテートを、塩化メチレン
/メタノール混合溶剤に溶解し、紡糸原液を調製した。
この紡糸原液を57℃に調整し、表1に示す紡糸口金を
用いて紡速500m/分にて紡糸を行い、55デニール
/22フィラメントのセルロースアセテートマルチフィ
ラメントを得た。各フィラメントの断面形状、中空率及
び風合いについての評価結果を表1に示す。更に、実施
例2、実施例5、比較例3、及び比較例5については、
それぞれ断面写真を図4〜7に示す。
【0033】
【表1】 実施例2のセルロースアセテートマルチフィラメント
は、その単繊維が、図4に示すように断面形状が全体と
して略円形であり、円周に4個の凹窪部を有している。
更に、前記凹窪部のうち少なくとも2以上の前記凹窪部
は、その両端がほぼ接合して擬中空部を形成している。
かかる実施例2の単繊維は、図6及び図7に示す比較例
3及び比較例5の繊維と比べて繊維表面の凹凸が少な
く、従って、繊維表面と人肌との接触面積がこれら比較
例と比べて大きいため、ウェット感に富んだしっとりし
た風合いが得られる。
【0034】図5に示す特殊断面セルロースアセテート
繊維は、断面形状が全体として略円形であり、円周に2
個の凹窪部を有しており、且つ2つの前記凹窪部はいず
れも、その両端がほぼ接合して擬中空部を形成してい
る。この実施例5の単繊維は実施例2の単繊維と比べ
て、その繊維表面の凹凸が更に少なく、繊維表面は略円
形である。従って、実施例2よりも更に優れたウェット
感が得られる。
【0035】また、上記実施例2及び実施例5から、繊
維に形成される凹窪部の数は、紡糸孔の直線の数と一致
することがわかる。更に、紡糸孔の直径Rが同一の場合
には、前記角度θが小さい、即ち、前記直線の寸法が長
いほど、中空率が少なくなり、凹窪部の面積が小さくな
ることがわかる。
【0036】更に、比較例2〜5のように、紡糸孔の直
線の両端と円中心とのなす前記角度θが大きく、前記直
線の寸法が長いと、図6及び図7に示すように凹窪部の
面積が大きくなり、しかも、その凹窪部の両端は互いに
接合せず離れた状態で擬中空部は形成されない。そのた
め、繊維の表面には凹凸が多く、人肌との接触面積が少
ないため、ドライ感の大きな風合いとなる。
【0037】〔実施例7〜18〕平均酢化度61.2%
のセルロースアセテートを塩化メチレン/メタノール混
合溶剤に溶解し、紡糸原液とした。この紡糸原液を57
℃に調整し、表2に示す紡糸口金を用いて紡速500m
/分で紡糸し、セルロースアセテートマルチフィラメン
トを得た。結果を表2に示す。
【0038】
【表2】 紡糸孔の直径Rが小さくなると、得られた単繊維の中空
率も小さくなる。なお、本発明に使用される紡糸口金の
紡糸孔形状は上述したように比較的単純な形状をもつた
め、実施例12や実施例18のように25μmといった
細径の紡糸孔をもつ紡糸口金を製造することが可能とな
り、同実施例のように75d/50f(1.5d/f)
といった繊度の小さなセルロースアセテート繊維を製造
することが可能となる。
【0039】〔実施例19〜24〕平均酢化度61.2
%のセルロースアセテートを、塩化メチレン/メタノー
ル混合溶剤に溶解し、更にこの溶液に硫酸バリウムをア
セテートに対し18重量%の割合(硫酸バリウム:アセ
テートが15.3:84.7)で添加して紡糸原液を調
製した。この紡糸原液を57℃に調整し、表3に示す紡
糸口金を用いて紡速500m/分で紡糸し、セルロース
アセテートマルチフィラメントを得た。結果を表3に示
す。
【0040】
【表3】 紡糸原液に硫酸バリウムが添加されている場合でも、紡
糸に際して何ら不都合が生じることはなく、また、実施
例19〜実施例21と実施例8〜実施例10とを、及び
実施例22〜24と実施例14〜16とを比較しても、
中空率に大きな差異はなく、断面及び風合いも良好な繊
維を得ることができる。しかも、前記繊維は硫酸バリウ
ムを含有するため、比重が重くなりドレープ性が向上す
る。
【0041】〔実施例25〜30〕平均酢化度55.5
%のセルロースアセテートを、アセトン/水混合溶剤に
溶解し紡糸原液を調製した。この紡糸原液を表4に示す
紡糸口金を用いて、吐出時の紡糸原液温度を52℃に調
整し、紡速500m/分で紡糸し、セルロースアセテー
トマルチフィラメントを得た。結果を表4に示す。
【0042】
【表4】
【0043】
【発明の効果】本発明は、2〜4本の直線で円の一部を
切除した形状であり、且つ、前記直線の両端と円中心と
のなす角度θが15°〜45°である紡糸孔をもつ紡糸
口金によりセルロースアセテート繊維を乾式紡糸するこ
とにより、その繊維断面が全体として略円形で、その円
周に複数の凹窪部をもち、同凹窪部のいくつかはその両
端がほぼ接合して擬中空部を形成している極めて平滑で
特殊な断面形状をもつセルロースアセテート繊維を提供
することができる。また、このように断面形状が略円形
で凹凸の小さな形状の繊維は、その繊維表面と人肌との
接触面積が増えるため、今までに成し得なかった十分な
ウェット感をもつしっとりした風合いを生み出すことが
可能となり、その意義は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な実施態様による特殊断面セル
ロースアセテート繊維の断面をモデル的に示す断面図で
ある。
【図2】本発明の他の実施態様による特殊断面セルロー
スアセテート繊維の断面をモデル的に示す断面図であ
る。
【図3】本発明の製造方法において使用される紡糸口金
の紡糸孔形状の平面図である。
【図4】本発明の実施例2であるセルロースアセテート
マルチフィラメント糸の断面の顕微鏡写真(倍率600
倍)である。
【図5】本発明の実施例5であるセルロースアセテート
マルチフィラメント糸の断面の顕微鏡写真(倍率600
倍)である。
【図6】比較例3のセルロースアセテートマルチフィラ
メント糸の断面の顕微鏡写真(倍率600倍)である。
【図7】比較例5のセルロースアセテートマルチフィラ
メント糸の断面の顕微鏡写真(倍率600倍)である。
【符号の説明】
1 特殊断面セルロースアセテート繊維 1a 凹窪部 1b 擬中空部 2 特殊断面セルロースアセテート繊維 2a 凹窪部 2b 擬中空部 10 紡糸孔 11 直線 11a 直線の両端

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酢化度45%以上のセルロースアセテー
    ト繊維であって、その断面形状は全体が略円形で、円周
    に複数個の凹窪部を有すると共に、前記凹窪部の両端が
    ほぼ接合して形成される少なくともひとつの擬中空部を
    有することを特徴とする特殊断面セルロースアセテート
    繊維。
  2. 【請求項2】 前記凹窪部が2〜4個である請求項1記
    載の特殊断面セルロースアセテート繊維。
  3. 【請求項3】 前記擬中空部が2〜3個である請求項1
    記載の特殊断面セルロースアセテート繊維。
  4. 【請求項4】 前記擬中空部の総面積が繊維の全断面積
    の1〜5%である請求項1記載の特殊断面セルロースア
    セテート繊維。
  5. 【請求項5】 単繊維繊度が5d/f以下である請求項
    1記載の特殊断面セルロースアセテート繊維。
  6. 【請求項6】 屈折率が1.3〜1.9、比重が3.5
    以上の微粒子無機物を5〜30重量%含む請求項1記載
    の特殊断面セルロースアセテート繊維。
  7. 【請求項7】 前記微粒子無機物が硫酸バリウムである
    請求項6記載の特殊断面セルロースアセテート繊維。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の特殊断面セルロースアセ
    テート繊維を全繊維本数の60%以上含んでなることを
    特徴とするセルロースアセテート繊維集合体。
  9. 【請求項9】 円の一部を2〜4本の直線で切除した形
    状をもち、前記直線の両端と円中心とのなす角度θが1
    5°≦θ≦45°である紡糸孔を有する紡糸口金を用い
    て乾式紡糸することを特徴とするセルロースアセテート
    繊維の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記紡糸口金から吐出される紡糸原液
    の温度は45〜70℃である請求項9記載の製造方法。
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