JP3126902B2 - 特殊断面を有するセルロースアセテート繊維およびその製造方法 - Google Patents

特殊断面を有するセルロースアセテート繊維およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特殊断面を有するセル
ロースアセテート繊維およびその製造方法に関する。さ
らに詳細には、アセテート紡糸原液中にポリエチレング
リコールを添加し、通常の紡糸原液温度より低い温度で
乾式紡糸することにより、これまでにない特殊な断面形
状を有し、優れた光沢および風合を持つセルロースアセ
テート繊維およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】セルロースアセテート繊維(以下「アセ
テート」ともいう)は、優れた発色性とドライな風合を
有し、ファッション用素材などとして、その優れた特性
を発揮している。しかしながら、近年、テキスタイルに
対する消費者ニーズの高級化および多様化が進み、その
さらなる改良、向上が望まれている。
【0003】また、糸の断面形状については、アセテー
ト繊維の場合、原料であるアセテートフレークスをアセ
トン、塩化メチレンなどの溶剤に溶解した紡糸原液を紡
糸口金より吐出させ、紡糸筒内で溶剤を蒸発させるとい
う乾式紡糸であるため、円形の紡糸孔を有する紡糸口金
より紡糸原液を吐出させたとしても、糸となって巻き取
られる段階では、その断面は多数の凹凸のある形状とな
っている。これは、紡糸筒内で糸が乾燥される際、まず
糸の外側の部分が乾燥して表皮を形成し、さらに内部の
溶剤が蒸発して除去されるために、その分、先に形成さ
れた表皮が部分的に糸の内側に入り込み、凹凸ができる
と考えられている。
【0004】従来、アセテート繊維の断面形状を変える
手段として、紡糸口金を工夫する方法が取られている。
例えば、特公昭37−7917号公報では、三角や四角
の紡糸孔を有する紡糸口金より、紡糸原液を吐出させる
ことが試みられている。また、特開昭60−13401
2号公報では、特定の断面形状の紡糸孔を特定の間隔で
複数穿設することにより、Y型断面アセテート繊維を得
ている。さらに、特開平3−59105号公報では、内
管を外側口金の端面より吐出させ、かつ吐出部の外径、
長さを特定範囲に調整した2重管型紡糸口金を用い、中
空断面を有するアセテート繊維を得ることが試みられて
いる。しかしながら、これらの先行技術では、いずれも
溶剤の乾燥状態を変えることができず、凸部および凹部
の数が揃った糸ができ難く、断面形状が目的とする形か
ら大きくずれたものが混入していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アセテート
繊維の断面形状の凹凸を減少させ、かつこれまでに紡糸
口金を改良する方法では得られなかった断面形状を持
ち、独自の光沢および風合を有するアセテート繊維を提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、二つの凸部を
凹部を介して結合してなるほぼまゆ形の断面形状を有
し、隣り合う凸部のうち、より突出している側から凹部
の底までの距離に相当する凹部の深さが5μm以下の単
糸が60%以上存在することを特徴とする特殊断面を有
するセルロースアセテート繊維である。
【0007】また、本発明は、アセテートフレークス、
およびアセテートフレークスに対しポリエチレングリコ
ールを5〜40重量%、ならびにアセテートフレークス
およびポリエチレングリコールに溶解可能な溶剤を混合
した紡糸原液を、円形の紡糸孔を有する紡糸口金を用
い、紡糸口金から吐出される際の紡糸原液温度を55〜
62℃で紡糸することを特徴とする上記特殊断面を有す
るセルロースアセテート繊維の製造方法である。
【0008】本発明の対象となるセルロースアセテート
は、セルロースの繰り返し単位中に存在する3個の水酸
基のうち、平均1〜3個の水酸基が酢酸エステルとなっ
たものであり、特に平均1.9〜2.8個がエステル化
されたもの(酢化度47〜60%)が好ましい。
【0009】図1に示すように、本発明のアセテート繊
維(単糸)10は、二つの凸部11,12を凹部13を
介して結合してなるほぼまゆ形の断面形状を有してお
り、しかも隣り合う凸部11,12のうち、より突出し
ている側11a,12aから凹部の底13aまでの距離
に相当する凹部の深さtが5μm以下、好ましくは3μ
m以下である。この深さが5μmを超えると、断面中央
部が細くなり折れてしまうため、まゆ形から大きくずれ
た断面形状となってしまう。
【0010】また、本発明のアセテート繊維(マルチフ
ィラメント)は、上記の断面形状を有する単糸が60%
以上、好ましくは80%以上であり、60%未満では布
帛の光沢および風合が良くならない。
【0011】一般に、アセテート繊維は、アセテートフ
レークスをアセトンや塩化メチレンなどの溶剤に溶解し
て紡糸原液とし、これを円形の紡糸孔を有する紡糸口金
より吐出して、乾式紡糸することによって得られる。こ
の乾式紡糸においては、紡糸口金より紡糸原液が吐出さ
れると同時に溶剤が蒸発していき硬化していくが、その
際、まず初めに外側が硬化し、表皮が形成し、これが内
部の溶剤が抜けていく際に部分的に内側に入り込み、凹
凸が出来上がる。通常の紡糸原液を用いた場合、この度
合いが大きく、凹部の深さは6〜10μmとなる。
【0012】本発明のアセテート繊維を得るには、紡糸
原液中にポリエチレングリコールを添加することによ
り、この表皮形成が遅れ、内部の溶剤が除去されてから
硬化するため、表皮が糸の内側に入り込む度合いが低く
なり、形状の変化が低く抑えられるため、凹凸が減少
し、ほぼまゆ形の断面形状を保持することになる。
【0013】上記アセテートに含有させるポリエチレン
グリコールの分子量は特に限定されないが、紡糸原液と
の相溶性の点で、好ましくは25,000以下、さらに
好ましくは20,000以下である。25,000を超
えると、紡糸原液との相溶性が悪くなり紡糸調子が悪く
なる。
【0014】ポリエチレングリコールの添加量は、アセ
テートに対し5〜40重量%、好ましくは20〜30重
量%である。5重量%未満では、本発明の特殊断面形状
が得られず、一方40重量%を超えると、紡糸原液粘度
が著しく低下し、紡糸の際の糸切れの原因となり好まし
くない。
【0015】また、本発明においては、ポリエチレング
リコールが含まれるアセテート紡糸原液を用いて乾式紡
糸する際、紡糸口金から吐出される際の紡糸原液温度を
55〜62℃、好ましくは58〜60℃に保つ必要があ
る。アセテート繊維を乾式紡糸する際の紡糸原液温度
は、通常、62℃を超え70℃以下である。本発明で
は、この通常の紡糸原液温度よりも低い上記範囲に設定
することによって、本発明の目的とする特殊断面形状を
有するアセテート繊維が得られる。この紡糸原液温度が
55℃よりも低いと、紡糸原液中の溶剤が充分に乾燥せ
ず、糸切れの原因となる。一方、62℃よりも高いと、
溶剤の乾燥状態が変わり、1単糸あたりの凹凸の数は減
少するが、上記凹部の深さが5μmを超える凹部の数が
多数出現することになる。
【0016】ポリエチレングリコールをアセテート紡糸
原液に添加するには、例えばセルロースアセテートをア
セトンや塩化メチレンなどの溶剤に溶解する際、すなわ
ちアセテート紡糸原液を調製する際に加える方法、ある
いはポリエチレングリコールに熱をかけて溶融してお
き、これを所望の含有量となる割合でアセテート紡糸原
液と混合しながら紡糸機に送り、乾式紡糸する方法など
が挙げられる。この際、乾式紡糸条件は、ドラフト比
1.1〜1.4、巻き取り速度200〜900m/分程
度である。
【0017】なお、添加したポリエチレングリコール
は、布帛形成後の精錬の際に溶出するが、繊維の断面形
状はこれにより変化することはない。
【0018】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもの
ではない。なお、実施例中における各種の評価は、次の
ようにして測定した。
【0019】断面率 図1に見られるような、ほぼまゆ形の断面形状を有し、
凹部の深さtが5μm以下の単糸数のアセテート繊維
(マルチフィラメント)中における割合を%で示した。光沢 得られたアセテート繊維(マルチフィラメント)を用い
て、筒編物を作製し、精錬により油剤およびポリエチレ
ングリコールを除去したのちの光沢を目視により評価し
た。なお、比較例8を標準(良)、これより良好なもの
を極めて良と判定した。風合 光沢評価と同様の処理をした筒編物を手触りで評価し
た。なお、比較例8を標準(良)、これよりドライタッ
チで嵩高性が良好なものを極めて良と判定した。
【0020】実施例1〜8、比較例1〜6 平均酢化度54.7%のセルロースアセテートフレーク
スとポリエチレングリコール(PEG)を表1に示す割
合で合わせて31重量部、アセトン68重量部、水1重
量部を混合し、脱泡して均一な紡糸原液を調製した。こ
の紡糸原液を、表1に示す条件で、乾式紡糸装置にて、
孔径50μm、孔数33個の円形の紡糸孔を有する紡糸
口金を用いて、吐出の際の紡糸原液温度を所望の温度に
調整しながら、ドラフト比1.2、巻き取り速度700
m/分で乾式紡糸し、120デニール/33フィラメン
トのアセテート繊維を得た。結果を表1に示す。なお、
実施例7、比較例4により得られたアセテート繊維の断
面形状の顕微鏡写真(倍率400倍)をそれぞれ図2、
図3に示す。
【0021】比較例7〜8 平均酢化度54.7%のセルロースアセテートフレーク
ス24重量部、アセトン75重量部、水1重量部を混合
し、脱泡して均一な紡糸原液を調製した。この紡糸原液
を、表1に示す条件で、乾式紡糸装置にて、孔径50μ
m、孔数33個の円形の紡糸孔を有する紡糸口金を用い
て、吐出の際の紡糸原液温度を所望の温度に調整しなが
ら、実施例1と同様の乾式紡糸条件で乾式紡糸し、12
0デニール/33フィラメントのアセテート繊維を得
た。結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、これまでに得られなか
った均一かつ特殊断面を有するアセテート繊維を得るこ
とができ、優れた光沢および風合を有するアセテート布
帛を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の特殊断面を有するアセテート繊維の断
面の拡大模式図である。
【図2】実施例7により得られたアセテート繊維の断面
の顕微鏡写真(倍率400倍)である。
【図3】比較例4により得られたアセテート繊維の断面
の顕微鏡写真(倍率400倍)である。
【符号の説明】
10 アセテート繊維(単糸) 11,12 凸部 13 凹部 t 凹部の深さ
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 2/28 - 2/30 D01D 5/04 D01D 5/253 D01D 1/09

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二つの凸部を凹部を介して結合してなる
    ほぼまゆ形の断面形状を有し、隣り合う凸部のうち、よ
    り突出している側から凹部の底までの距離に相当する凹
    部の深さが5μm以下の単糸が60%以上存在すること
    を特徴とする特殊断面を有するセルロースアセテート繊
    維。
  2. 【請求項2】 乾式紡糸の際に形成される繊維中に、ポ
    リエチレングリコールを5〜40重量%含有してなる請
    求項1記載の特殊断面を有するセルロースアセテート繊
    維。
  3. 【請求項3】 セルロースアセテートフレークス、およ
    びセルロースアセテートフレークスに対しポリエチレン
    グリコールを5〜40重量%、ならびにセルロースアセ
    テートフレークスおよびポリエチレングリコールに溶解
    可能な溶剤を混合した紡糸原液を、円形の紡糸孔を有す
    る紡糸口金を用い、紡糸口金から吐出される際の紡糸原
    液温度を55〜62℃で乾式紡糸することを特徴とする
    請求項1記載の特殊断面を有するセルロースアセテート
    繊維の製造方法。
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