JP2001032128A - 新規なセルロースアセテート太細糸及びその製造方法 - Google Patents
新規なセルロースアセテート太細糸及びその製造方法Info
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Abstract
もに、繊維表面を変化させることにより、従来のセルロ
ースアセテート太細糸にはない穏やかなスパンシルキー
様光沢とドライな感触を有し、かつ糸物性の低下のない
セルロースアセテート太細糸を提供する。 【解決手段】 糸の長手方向に太繊度部と細繊度部とが
ランダムに存在するセルロースアセテート太細糸であっ
て、繊維表面にほぼ繊維軸方向に沿ってゆるやかな高低
のうねりのある畝状隆起部が複数存在するセルロースア
セテート太細糸であって、セルロースアセテート繊維の
乾式紡糸において、吐出後の引き取りでの引き取り速度
を特定条件を満たして間欠的にかつランダムに低速にす
ることにより太繊度部を形成してセルロースアセテート
太細糸を製造する際、特定の低ドラフト条件を満たして
吐出・引き取ることにより製造する。
Description
アセテート太細糸及びその製造方法に関する。
パルプであることから天然植物繊維の特徴とその製造方
法から合成繊維の特徴とを併せ有し、半合成繊維ともい
われ、優雅な光沢、発色性、ドライ感、適度な吸湿性を
有し、衣料用繊維として優れた特徴を備えたものであ
る。しかしながら、近年の繊維製品に対する消費者のニ
ーズは極めて多様化、高級化しており、消費者に受け入
れられる繊維素材を提供するためには、単にポリマ基質
に由来する特徴だけではなく、新規な差別化風合い、特
殊機能の付与が必要不可欠となっている。
ト繊維においても要求事項は例外ではなく、特公平3−
31802号公報等にて示されるような繊維の断面形態
や繊維表面を変化させる等の各種手段を用いて種々の風
合いを付与する等の改良がなされている。風合い付与の
形態的な手段の一つとして、繊維の長手方向に太細差の
ある太細糸については、ポリエステル繊維を中心に数多
く提案されている。一般にポリエステル繊維において繊
維の長手方向に太細差を形成させるには、ポリエステル
未延伸糸を特定条件下で不完全な延伸を行い、ネッキン
グ現象を生じせしめることを基本とする技術が用いら
れ、数多くの提案があり、かつ実用化されている。
は紡糸原液を加熱雰囲気中に吐出する乾式紡糸により製
造されることから、紡糸ノズルから紡糸原液が吐出され
ると瞬時に大部分の溶剤が蒸発し、繊維形成がなされる
ため、ポリエステル繊維等のような未延伸糸という中間
体は存在せず、従ってネッキング現象を基本とした技術
での太細糸の製造は困難である。これに対し、ネッキン
グ現象を基本とすることなく、セルロースアセテート繊
維の乾式紡糸において、溝付きの引き取りローラーを用
い引き取り速度を間欠的に低速化して糸の長手方向に太
細繊度差のある太細糸を得る方法が特公平3−9203
号公報で提案されている。
糸の長手方向に太細繊度差があるのみではなく、糸の長
手方向に太細繊度差を形成させるとともに、繊維表面を
変化させることにより、従来のセルロースアセテート太
細糸にはない穏やかなスパンシルキー様光沢とドライな
感触を有し、かつ糸物性の低下のないセルロースアセテ
ート太細糸を提供することにある。
に太繊度部と細繊度部とがランダムに存在するセルロー
スアセテート太細糸であって、繊維表面にほぼ繊維軸方
向に沿ってゆるやかな高低のうねりのある畝状隆起部が
複数存在することを特徴とする新規なセルロースアセテ
ート太細糸、及び、セルロースアセテート繊維の乾式紡
糸において、吐出後の引き取りにおける引き取り速度を
下記条件(1)及び(2)を満足させて間欠的にかつラ
ンダムに低速にすることにより太繊度部を形成してセル
ロースアセテート太細糸を製造する際、下記条件
(3)、(4)及び(4)を満足させて吐出・引き取る
ことを特徴とする新規なセルロースアセテート太細糸の
製造方法、にある。 (1) V0/V1>1.5 (2) T<120/V0 (3) V0≦VF≦V0 (4) 0.15<VF/VJ<0.6 (5) VJ<2400VF/VJ+600 (但し、V0は高速時の引き取り速度(m/分)、V1
は低速時の引き取り速度(m/分)、TはV1の継続時
間(秒)、VJは紡糸ノズルでの紡糸原液の吐出線速度
(m/分)、VFは引き取り速度(m/分)を表す)
の乾式紡糸は、セルロースアセテートフレークをアセト
ン、塩化メチレン/メタノール混合物等の溶剤に溶解し
て紡糸原液を調製し、この紡糸原液を小孔径の紡糸ノズ
ルから加熱空気中に吐出し、溶剤を蒸発させて糸状体を
形成させる工程をとるが、紡糸原液が紡糸ノズルから吐
出されると、極く短時間に糸状体の表層のかなりの溶媒
が蒸発してスキン層が形成され、更に蒸発が進むにつれ
て、溶媒が糸状体内部を拡散し、溶媒が糸状体内部から
失われるに伴って糸状体の体積が減少し、繊維表面の収
縮が生ずる。通常の紡糸領域(図1のB領域、VF/V
Jが0.7以上)では、この収縮が半径方向に限定さ
れ、得られるセルロースアセテート繊維は、繊維断面が
いわゆる菊型の形状を呈し、繊維表面が図6、図7に示
すように繊維軸方向に極めて直線的で平滑なものとな
る。
糸の長手方向に太繊度部と細繊度部とがランダムに存在
するセルロースアセテート太細糸であって、繊維の収縮
が半径方向のみならず繊維の長手方向にも及んでおり、
繊維表面にほぼ繊維軸方向に沿ってゆるやかな高低のう
ねりのある畝状隆起部が複数存在し、繊維断面が菊型の
形状を呈し、繊維表面が図4、図5に示すように繊維軸
方向にゆるやかな高低のうねりのある複数の畝状隆起部
により複雑な凹凸のある表面となっていおり、特に図5
に示す太繊度部においては屈曲及び高低が顕著なうねり
のある畝状隆起部が存在する。
繊度部においては、細繊度部に比べ更に凹凸が顕著とな
り、かかる繊度差、繊維断面形状及び繊維表面形状によ
り本発明のセルロースアセテート太細糸は、穏やかなス
パンシルキー様光沢とさらっとしたドライな感触を有
し、かつ糸物性の低下のないものである。
質ポリマーのセルロースアセテートは、酢化度48.5
〜56.2%のセルロースジアセテートであってもよい
し、酢化度56.2〜62.5%のセルローストリアセ
テートであってもよく、また、セルロースアセテートに
は艶消剤等の添加剤が含まれていてもよい。
次のようにして製造することができる。即ちセルロース
アセテート繊維の乾式紡糸において、吐出後の引き取り
工程での引き取り速度を下記条件(1)及び(2)を満
足させ間欠的にかつランダムに低速にすることにより太
部を形成させるとともに、下記条件(3)、(4)及び
(5)を満足させて紡糸することにより本発明のセルロ
ースアセテート太細糸を得ることができる。 (1) V0/V1>1.5 (2) T<120/V0 (3) V0≦VF≦V0 (4) 0.15<VF/VJ<0.6 (5) VJ<2400VF/VJ+600 (但し、V0、V1、T、VJ及びVFは前記と同じ)
は、明瞭な太繊度部の形成ができず、条件(2)のTが
120/V0以上では太繊度部が繊維長手方向に長くな
り糸物性の低下を招く。また、条件(3)の関係を満た
し、かつ条件(4)のVF/V Jは通常紡糸ドラフトと
いわれるが、紡糸ドラフト条件(4)と条件(5)とで
囲まれる紡糸領域(図1のA領域)にて紡糸する、即ち
吐出・引き取りにより、吐出後の繊維形成時の糸状体の
体積の減少の過程で、その長手方向の束縛を緩和させ、
繊維の収縮が半径方向のみならず繊維の長手方向にも発
生し、太繊度部と細繊度部とによる繊度差、繊維の半径
方向の収縮による菊型の繊維断面形状及び繊維軸方向の
ゆるやかな高低のうねりのある複数の畝状隆起部により
形成の複雑な凹凸による繊維表面形状が生ずる。
細糸を具体的に製造する装置の例の概略図であり、1は
紡糸ノズル、2は加熱筒、3は油剤付与装置、4はトラ
バースガイド、5は引き取りローラー、6は巻き取り装
置を表す。紡糸での引き取り速度を間欠的にかつランダ
ムに低速にするためには、引き取りローラー5として図
3(イは正面図、ロは側面図)に示すような溝付きの引
き取りローラーを用いることが好ましい。図3に示す引
き取りローラーは、直径D0なるローラーの一部円周方
向に深さ(D0−D1)なる深さの溝を角度θで設けて
なる。図2におけるトラバースガイド4は、引き取りロ
ーラー5の溝を中心として左右に移動し得るものであ
り、トラバースガイド4の移動手段はランダムな周期で
往復し得るものであれば機械式、電気式等のいずれの方
式であってもよい。
が(図1の紡糸領域A)にて吐出し、加熱筒2での脱溶
剤により形成された糸状体は油剤供給装置3を経て、一
定回転数の引き取りローラー5で引き取られ完全な糸形
態に形成固定され、更に巻き取り装置6で巻き取られる
が、この引き取りローラー5での引き取りの際、トラバ
ースガイド4の左右の移動に対応して、引き取りローラ
ー5上の糸状体の位置が左右にトラバースし、一時的に
糸状体が引き取りローラー5の溝に落ち込んだ状態或い
は引き取りローラー5の溝のない面にある状態で、引き
取られる。
が変わらなくとも、ローラーの溝部分での表面速度は溝
のない部分よりも低速になるため、糸状体が溝に落ち込
んでいる間には太繊度糸が形成されることになり、溝に
落ち込んでいない状態では細繊度糸が形成される。ま
た、この溝の深さは、糸の細繊度部と太繊度部との繊度
差に明確に対応し、溝が深くなるに従い繊度差は大きく
なる。従って、引き取りローラー5における溝の深さと
長さによって条件(1)、(2)を満たすように設定す
ることが重要である。
極度に深い場合は、トラバースガイド4の移動にもかか
わらず、一旦糸状体が溝の中に落ちると、糸を溝から脱
出させることが困難となるため、本発明の場合は、溝は
引き取りローラー5の全周に亘ることなく、溝部の一部
は必ず溝のないローラー面と同一表面をなすようにする
ことが重要である。
条件(1)、(2)により糸の長手方向に太繊度部と細
繊度部を形成させ、前記条件(3)、(4)、(5)に
より繊維表面に繊維軸方向にゆるやかな高低のうねりの
ある複数の畝状隆起部を形成させ、繊維の側面に複雑な
凸凹を持った独特の光沢と感触を有するセルロ−スアセ
テ−ト太細糸を得るものである。
る。
−ストリアセテ−トフレークを塩化メチレンとメタノー
ルの混合溶剤に溶解し、固形分濃度21.9重量%に調
製した紡糸原液を、乾式紡糸装置にて孔径30μm、孔
数20個の紡糸ノズルから吐出線速度990m/分で温
度50℃の加熱雰囲気中に吐出して糸状体とした後、θ
=270゜、最大深さ53mmの溝を有する直径212
mmの溝付き引き取りローラーにより最大引き取り速度
500m/分から最小引き取り速度250m/分(紡糸
ドラフト0.51〜0.25)の間で、引き取り速度2
50m/分での継続時間0.024〜0.12秒、トラ
バースガイド移動周期(片道)0.15〜1.5秒の条
件で引き取り、巻き取って84dtex/20fの太細
糸を得た。
速度500m/分のときに形成の細部及び引き取り速度
250m/分のときに形成の太繊度部の各側面写真で、
得られた太細糸の細繊度部及び太繊度部ともにそれらの
側面状態は、ほぼ繊維軸方向に沿って繊維表面にゆるや
かな高低のうねりのある畝状隆起部が複数存在してお
り、長さが20cm以下、太さが細繊度部の1.9〜2
倍の太繊度部と細繊度部とを有しており、特に太繊度部
での繊維表面の隆起部間のシワ状の谷間は細繊度部での
それに比べ更に細かく深くなっていた。得られた太細糸
は強度1.31g/d、伸度27.0%であり、得られ
た太細糸の布帛での評価ではドライ感がより強く独特な
細かなスラブ状の表面変化や上品な光沢のある製品が得
られた。
を、乾式紡糸装置にて孔径38μm、孔数20個の紡糸
ノズルから吐出線速度617m/分で温度50℃の加熱
雰囲気中に吐出して糸状体とした後、実施例で用いたと
同じ溝付き引き取りローラーにより最大引き取り速度5
00m/分から最小引き取り速度250m/分(紡糸ド
ラフト0.81〜0.41)の間で、引き取り速度25
0m/分での継続時間0.024〜0.12秒、トラバ
ースガイド移動周期(片道)0.15〜1.5秒の条件
で引き取り、巻き取って84dtex/20fの太細糸
を得た。
速度500m/分のときに形成の細繊度部及び引き取り
速度250m/分のときに形成の太繊度部の各側面写真
で、得られた太細糸の太繊度部の側面状態は、ほぼ繊維
軸方向に沿って繊維表面に微かに屈曲のある畝状隆起部
が複数存在しているが、細繊度部の側面状態は、繊維軸
方向に沿って畝状隆起部が平滑にかつ直線的に存在して
おり、得られた太細糸は強度1.26g/d、伸度2
9.3%であり、長さが5〜20cm、太さが細繊度部
の1.9〜2倍の太繊度部と細繊度部を有していたが、
布帛での評価ではドライ感、光沢が実施例によるものに
比べ劣るものであった。
は、糸の長手方向の繊度差、繊維断面形状及び繊維表面
形状により穏やかなスパンシルキー様光沢とさらっとし
たドライな感触を有し、かつ糸物性の低下のないもので
あることから、布帛としたときに繊細なスラブ状の外観
を呈し、織物、編物素材として衣料用途に好適なるもの
である。
紡糸条件領域を示すグラフである。
に製造する装置の例の概略図である。
て、イは正面図、ロは側面図である。
0m/分のときに形成の細繊度部の側面写真(倍率80
0倍)である。
0m/分のときに形成の太繊度部の側面写真(倍率80
0倍)である。
0m/分のときに形成の細繊度部の側面写真(倍率80
0倍)である。
0m/分のときに形成の太繊度部の側面写真(倍率80
0倍)である。
2)
に太繊度部と細繊度部とがランダムに存在するセルロー
スアセテート太細糸であって、繊維表面にほぼ繊維軸方
向に沿ってゆるやかな高低のうねりのある畝状隆起部が
複数存在することを特徴とする新規なセルロースアセテ
ート太細糸、及び、セルロースアセテート繊維の乾式紡
糸において、吐出後の引き取りにおける引き取り速度を
下記条件(1)及び(2)を満足させて間欠的にかつラ
ンダムに低速にすることにより太繊度部を形成してセル
ロースアセテート太細糸を製造する際、下記条件
(3)、(4)及び(4)を満足させて吐出・引き取る
ことを特徴とする新規なセルロースアセテート太細糸の
製造方法、にある。 (1) V0/V1>1.5 (2) T<120/V0 (3) V1≦VF≦V0 (4) 0.15<VF/VJ<0.6 (5) VJ<2400VF/VJ+600 (但し、V0は高速時の引き取り速度(m/分)、V1
は低速時の引き取り速度(m/分)、TはV1の継続時
間(秒)、VJは紡糸ノズルでの紡糸原液の吐出線速度
(m/分)、VFは引き取り速度(m/分)を表す)
次のようにして製造することができる。即ちセルロース
アセテート繊維の乾式紡糸において、吐出後の引き取り
工程での引き取り速度を下記条件(1)及び(2)を満
足させ間欠的にかつランダムに低速にすることにより太
部を形成させるとともに、下記条件(3)、(4)及び
(5)を満足させて紡糸することにより本発明のセルロ
ースアセテート太細糸を得ることができる。 (1) V0/V1>1.5 (2) T<120/V0 (3) V1≦VF≦V0 (4) 0.15<VF/VJ<0.6 (5) VJ<2400VF/VJ+600 (但し、V0、V1、T、VJ及びVFは前記と同じ)
Claims (2)
- 【請求項1】 糸の長手方向に太繊度部と細繊度部とが
ランダムに存在するセルロースアセテート太細糸であっ
て、繊維表面にほぼ繊維軸方向に沿ってゆるやかな高低
のうねりのある畝状隆起部が複数存在することを特徴と
する新規なセルロースアセテート太細糸。 - 【請求項2】 セルロースアセテート繊維の乾式紡糸に
おいて、吐出後の引き取りにおける引き取り速度を下記
条件(1)及び(2)を満足させて間欠的にかつランダ
ムに低速にすることにより太繊度部を形成してセルロー
スアセテート太細糸を製造する際、下記条件(3)、
(4)及び(5)を満足させて吐出・引き取ることを特
徴とする新規なセルロースアセテート太細糸の製造方
法。 (1) V0/V1>1.5 (2) T<120/V0 (3) V0≦VF≦V0 (4) 0.15<VF/VJ<0.6 (5) VJ<2400VF/VJ+600 (但し、V0は高速時の引き取り速度(m/分)、V1
は低速時の引き取り速度(m/分)、TはV1の継続時
間(秒)、VJは紡糸ノズルでの紡糸原液の吐出線速度
(m/分)、VFは引き取り速度(m/分)を表す)
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JP19904399A JP4217350B2 (ja) | 1999-07-13 | 1999-07-13 | 新規なセルロースアセテート太細糸の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009256830A (ja) * | 2008-04-16 | 2009-11-05 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | セルロースアセテート混繊糸の製造方法 |
CN112593320A (zh) * | 2020-12-02 | 2021-04-02 | 杭州勤想实业有限公司 | 一种醋酸竹节纱加工方法及醋酸竹节纱 |
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- 1999-07-13 JP JP19904399A patent/JP4217350B2/ja not_active Expired - Fee Related
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