JPH11221611A - 鋼板表面の磁性体除去方法および装置 - Google Patents

鋼板表面の磁性体除去方法および装置

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JPH11221611A
JPH11221611A JP2578398A JP2578398A JPH11221611A JP H11221611 A JPH11221611 A JP H11221611A JP 2578398 A JP2578398 A JP 2578398A JP 2578398 A JP2578398 A JP 2578398A JP H11221611 A JPH11221611 A JP H11221611A
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JP
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steel sheet
magnetic
magnet
magnets
belt
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JP2578398A
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Yasuhiro Mayumi
康弘 真弓
Masatoshi Kamae
雅敏 構
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁力の弱い磁石でも鋼板表面に付着した磁性
体を効率よく吸着することができ、しかも鋼板表面を疵
つけない磁性体除去方法および装置を提供する。 【解決手段】 連続的に通板される帯状の鋼板Sの表面
に付着した磁性体粉Pを除去する方法であって、一対の
磁石1、2を、前記鋼板Sの厚さ方向において鋼板Sの
上下両側に離間した位置で、しかも同じ極が向かい合う
ように配置することにより、前記一対の磁石1、2の対
向する同じ極から出る磁力線の少なくとも一部を前記鋼
板Sの表面とほぼ平行にのばすことを特徴とする磁性体
除去方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鋼板表面の磁性体除
去方法および装置(以下、単に磁性体除去方法および装
置という)に関する。さらに詳しくは磁力の弱い磁石で
も鋼板表面に付着した磁性体を効率よく吸着することが
でき、しかも鋼板表面を疵つけない磁性体除去方法およ
び装置に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
より、冷間圧延などにより製造される鋼板は、ロールの
磨耗などにより、鋼板表面にニッケル粉または鉄粉など
の磁性体からなる粉(以下、磁性体粉という)が付着す
るばあいがある。この磁性体粉が付着したまま鋼板をプ
レス加工すれば、鋼板表面に凹み疵が生じるため、プレ
ス加工前に磁性体粉を鋼板表面から除去する必要があ
る。そこで、従来では種々の方法で磁性体粉の除去が行
なわれている。そのうち、とくに除去効率の高い方法と
して、磁石を用いた除去方法が広く行なわれている。
【0003】たとえば、特開昭53−18453号公報
に記載された磁性体粉を除去するための装置は、冷間圧
延機の最終スタンド出側と巻取機とのあいだにおいて、
鋼帯を挟んで上下に磁石を設置したものである。この装
置は、ロールに15mm間隔で直径10mm、深さ40
mm程度の大きさの穴を格子状に形成し、この穴に永久
磁石が埋め込まれた構成である。永久磁石は、ロールの
外部に露出する極が隣接する磁石の露出する極と異なる
ように埋め込まれ、N極、S極が互い違いに並ぶように
配置されている。磁石が埋め込まれたロールは、鋼帯に
接触しないように回転して鋼帯表面の鉄粉などを吸着す
る。
【0004】しかし、ロール表面に磁石を埋め込むばあ
い、磁石が多数必要になり、しかもロール構造が複雑に
なる。したがって、ロールおよび装置全体が非常に高価
になる。また、個々の磁石の表面積が小さいため、磁力
線が遠くに飛ばず、ロール表面近傍にのみ集中してしま
い鋼板まで磁力線が届かない。そのため、磁力をアップ
するために、磁性体粉を吸引するために残留磁気が90
00ガウス程度の非常に強力な磁石を用いる必要があ
る。
【0005】また、他の従来例として、特開平4−94
808号公報に記載された磁性体粉を除去するための装
置は、永久磁石ロールによって鉄粉を鋼板に圧着させな
がら当該永久磁石ロールに鉄粉を吸着させることによっ
て鉄粉を鋼板表面から除去する。しかし、この方法によ
れば、鉄粉を鋼板に圧着させたときに鋼板に押し疵が発
生したり、永久磁石ロールの周速と鋼板速度とが一致し
ないばあいには、鋼板表面にすり疵などを発生させてし
まうため、装置としての信頼性が低いという問題があ
る。
【0006】本発明はかかる問題を解消するためになさ
れたものであり、磁力の弱い磁石でも鋼板表面に付着し
た磁性体を効率よく吸着することができ、しかも鋼板表
面を疵つけない磁性体除去方法および装置を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の磁性体除去方法
は、連続的に通板される帯状の鋼板表面に付着した磁性
体粉を除去する方法であって、一対の磁石を、前記鋼板
の厚さ方向において鋼板の上下両側に離間した位置で、
しかも同じ極が向かい合うように配置することにより、
前記一対の磁石の対向する同じ極から出る磁力線の少な
くとも一部を前記鋼板表面とほぼ平行にのばすことを特
徴とする。
【0008】本発明の磁性体除去装置は、連続的に通板
される帯状の鋼板表面に付着した磁性体粉を除去するた
めの装置であって、一対の磁石が、前記鋼板の厚さ方向
において鋼板の上下両側に離間した位置で、しかも同じ
極が向かい合うように配置されてなることを特徴とする
ものである。
【0009】前記一対の磁石のうちの少なくとも一方の
磁石と前記鋼板とのあいだにおいて前記鋼板と平行な部
分を有する非磁性体からなるベルトが配設されてなるの
が好ましい。
【0010】前記ベルトが前記磁石の周囲を取り囲むエ
ンドレスベルトからなり、前記エンドレスベルトの外面
に近接して非磁性体からなるパイプが前記鋼板の幅方向
に延設され、前記パイプの内部において、N極およびS
極が螺旋状に表面磁化されてなるスパイラル磁石が回転
自在に収納されてなるのが好ましい。
【0011】前記エンドレスベルトを支持するロールの
うち、少なくとも1個のロールが、少なくとも一部が磁
石からなる磁石ロールからなるのが好ましい。
【0012】前記ベルトが前記磁石の周囲を取り囲むエ
ンドレスベルトからなり、前記エンドレスベルトの外面
には螺旋状の溝または突条からなる保持部が形成されて
なるのが好ましい。
【0013】前記磁石によって鋼板から離脱された磁性
体の粉を吸引するための吸引手段を有してなるのが好ま
しい。
【0014】
【発明の実施の形態】つぎに、図面を参照しながら本発
明の磁性体除去方法および装置を詳細に説明する。図1
は本発明の磁性体除去方法の動作原理を模式的に示す側
面図、図2は本発明の磁性体除去装置の一実施例を示す
斜視説明図、図3は図2の磁性体除去装置を鋼板の幅方
向から見た側面図、図4は図2の磁性体除去装置を鋼板
の進行方向から見た正面図、図5は本発明の磁性体除去
装置の他の実施例を示す斜視説明図、図6は図5の磁性
体除去装置を鋼板の幅方向から見た側面図、図7は図5
の磁性体除去装置を鋼板の進行方向から見た正面図、図
8は図5のスパイラルベルトの拡大断面図、図9〜13
はそれぞれケース1〜5における磁石の配置を示す側面
図、図14はケース1〜5の鉄粉の除去効率のグラフ、
および図15は図1に対する比較例として、磁石1個の
ばあいの磁力線の向きを模式的に示す側面図である。
【0015】図1に示されるように、本発明の磁性体除
去方法は、連続的に通板される帯状の鋼板Sの表面に付
着したニッケル粉または鉄粉などの磁性体粉Pを除去す
る方法であり、一対の磁石1、2を用いて磁性体粉Pを
除去する。
【0016】具体的には、一対の磁石1、2を前記鋼板
Sの厚さ方向に鋼板Sから図1の上下両側にほぼ等距離
(±15mm程度)に離間した位置で、しかも同じ極
(たとえば、図1においてはN極同士)を向かい合うよ
うに配置する。それにより、磁石1、2のN極同士から
出る磁力線は、互いに反撥しあうことにより、前記鋼板
Sの表面とほぼ平行にのばすことができる(図1(a)
参照)。なお、上下の磁石1、2の磁力を変えたばあい
には上下両側に等距離にはならず、上下どちらかに片寄
る。
【0017】このとき、図1(b)に示されるように、
微小的に見たばあい、鋼板Sの表面を通過する磁力線L
1および鋼板Sの表面上の磁性体粉Pを通過する磁力線
2はほぼ平行になる。それにより、鋼板Sの表面付近
および磁性体粉Pは鋼板Sの表面とほぼ同じ向きに並列
に磁極分化する(たとえば、図1(b)において、鋼板
Sの表面付近および磁性体粉Pは、それぞれ左側がN
極、右側がS極に分化する)。その結果、鋼板Sと磁性
体粉Pとは反撥し、磁性体粉Pは磁石1、2に吸引され
る。
【0018】このように、一対の磁石1、2を鋼板Sの
厚さ方向において鋼板の上下両側に配置することによ
り、磁性体粉Pの除去効率が非常によくなるので、磁石
は3000ガウス程度の弱い残留磁気を有する磁石を採
用すれば充分である。また、磁石1、2は鋼板Sに対し
て非接触に配置されているため、鋼板Sにきずを与える
ことがない。
【0019】前記磁石1、2は、永久磁石でもよいし、
電磁石でもよく、いずれのばあいでも前述の作用を奏す
ることができる。また、磁石1、2のS極同士を対向し
て配置させても前述と同様の作用を奏することができ
る。
【0020】ここで、比較例として、図15に示される
ように、鋼板Sに1個の磁石31の一方の極(たとえば
N極)を近接して配置したばあい、磁石31のN極から
出る磁力線L3は鋼板Sの厚さ方向にそのままのび、磁
性体粉Pおよび鋼板Sの両方を貫通する。それにより、
鋼板Sの表面および磁性体粉Pは直列に磁極分化し、図
15のように上方から順に並ぶ。したがって、磁性体粉
Pと鋼板Sとは互いに吸着するため、磁性体粉Pは磁石
31に吸引されにくくなり、磁性体粉の除去効率がわる
くなる。
【0021】また、鋼板Sの下側にある磁性体粉Pも磁
力線L3が貫通するので、前述と同様に磁性体粉Pと鋼
板Sとが互いに吸着するため、磁性体粉Pが落下しなく
なるという問題がある。
【0022】つぎに、本発明の磁性体除去装置の一実施
の形態について図2〜4を参照しながら詳細に説明す
る。
【0023】図2〜4に示される磁性体除去装置は、前
記一対の磁石1、2と、非磁性体のエンドレスベルト3
と、非磁性体のパイプからなる外筒4と、該外筒4に内
蔵されたスパイラル磁石5と、吸引機構6とから構成さ
れている。
【0024】図2〜4に示される一対の磁石1、2は、
図1に示される磁石と共通のものである。前述と同様
に、磁石1、2の対向する同じ極(図2〜4におけるN
極)から出る磁力線は、図1(b)に示される磁力線L
1、L2のように鋼板Sの表面とほぼ平行にのびるため、
磁性体粉Pを効率よく磁石1、2に吸着することができ
る。
【0025】エンドレスベルト3は、前記磁石1の周囲
を取り囲むように配設され、かつ少なくとも一部が鋼板
Sの進行方向と平行に走行しうる無端ベルトである。
【0026】エンドレスベルト3は、非磁性体で柔らか
いベルトであれば何でもよく、たとえばゴムなどからな
るベルトによって作製される。また、エンドレスベルト
3は、磁石1から出る磁力線がエンドレスベルト3を透
過して鋼板S上の磁性体粉Pを吸着できる程度の厚さ
(たとえば、3mm程度)に作製される。
【0027】また、エンドレスベルト3の鋼板Sの進行
方向と平行な部分3aが500mm以下程度の長さ、と
くに好ましくは250mm程度の長さであれば、エンド
レスベルト3がたるんで鋼板Sに接触することがない。
たとえば、250mmのロールスパンSのばあい、エン
ドレスベルト3のたわみ量Dは5mm程度である。さら
にロールスパンSを2倍の500mmにすれば、たわみ
量DとスパンSの関係は二乗の比例関係(D∝S2)で
あるため、たわみ量Dは4倍の20mm(具体的な磁石
−鋼板間距離は10〜15mm程度である)になるた
め、鋼板に接触してしまい、ベルトが破断する。一方、
ベルトに張力をさらに加えると、ゴムなどからなるベル
トは延びたり、変形して蛇行の原因となり問題である。
【0028】エンドレスベルト3の回転方向は、図3に
示されるように鋼板Sと部分3aとが逆方向になるよう
な回転方向でもよいし、その同一方向でもよい。とく
に、逆方向のばあい、一旦吸着した磁性体粉がスパイラ
ル磁石に到達するまでに万一鋼板上に落下したばあい
に、その磁性体粉が再度上下同極配置の磁石中を通過す
ることになり磁石に吸引されるという効果を奏する。な
お、同一方向のばあい、外筒4、スパイラル磁石5およ
び磁石ロール9は、図3における右側に配置すればよ
い。
【0029】外筒4は、前記磁石1の上部であって、エ
ンドレスベルト3の外面に近接して前記鋼板Sの幅方向
に延設されたパイプである。外筒4は、非磁性体のパイ
プであれば何でもよく、たとえばアルミニウムパイプな
どによって作製される。また、外筒4は、スパイラル磁
石5から出る磁力線が外筒4を透過してエンドレスベル
ト3上の磁性体粉Pを吸着できる程度の厚さ(たとえ
ば、2mm程度)に作製される。
【0030】スパイラル磁石5は、N極およびS極が螺
旋状に表面磁化されたものである。スパイラル磁石5
は、外筒4の内部に回転自在に収納されている。スパイ
ラル磁石5の一端は、駆動モータ7の駆動軸に連結され
ている。スパイラル磁石5は、エンドレスベルト3上の
磁性体粉を吸着しうるように、その強さおよび配置が決
定される。
【0031】また、図3に示されるように、エンドレス
ベルト3は、磁石1の周囲に三角配置された駆動ロール
8、磁石ロール9および補助ロール10に掛けられてい
る。磁石ロール9は、ロール表面またはロール全体が磁
石からなるロールであってもよいし、非磁性体パイプの
中に磁石を収納したものであってもよく、磁石1の磁力
によってエンドレスベルト3の面上に吸着された磁性体
粉Pが前記スパイラル磁石5へ向かう経路の近傍に設け
られている。そのため、この磁石ロール9の磁力によっ
て、磁性体粉Pが前記スパイラル磁石5へ向かう経路の
途中で落下するのを防止することができる。磁石ロール
9の磁力については強い磁石でも問題ないが、経路の途
中で磁性体粉Pが落下しない程度の弱い磁力(具体的に
は100〜200ガウス)でも問題ない。なお、磁石1
のN極とスパイラル磁石5との距離が短くて磁性体粉P
の落下の心配がないばあいなどには、磁石ロールの代わ
りに磁石を有しない通常の補助ロールを採用してもよ
い。
【0032】吸引機構6は、前記磁石1によって鋼板S
から離脱した磁性体粉Pを吸引するための機構である。
本実施の形態の吸引機構6は、吸引用ポンプなどからな
る本体6aと、ホース6bと、ホース6bに接続された
吸引ノズル6cとからなり、吸引ノズル6cは、鋼板S
の側方であって外筒5の端部付近の外面に向いている。
なお、吸引機構6を設けずに外筒4の端部から自然落下
させてもよい。
【0033】なお、図2〜4に示される磁性体除去装置
の例ではエンドレスベルト3、外筒4およびスパイラル
磁石5などが鋼板Sの上側のみに配置されているが、本
発明はこれに限定されるものではなく、鋼板Sの下側に
も設けてもよいことはいうまでもない。
【0034】以上のごとく構成された磁性体吸引装置
は、以下のようにして鋼板Sの表面から磁性体粉Pを除
去することができる。
【0035】まず、エンドレスベルト3を駆動ロール8
によって回転させ、スパイラル磁石5を回転させ、吸引
機構6を作動させる。
【0036】ついで、鋼板Sを図3の右方へ進行させれ
ば、鋼板Sの表面に付着する磁性体粉Pは一対の磁石
1、2のあいだの領域付近にきたとき、前述の図1のば
あいと同様に鋼板Sの表面とほぼ平行にのびる磁力線
(図1(b)のL1、L2参照)によって、エンドレスベ
ルト3の外面に吸着される。
【0037】ついで、エンドレスベルト3の回転によっ
て、磁性体粉Pはスパイラル磁石5へ向かって進行す
る。磁性体粉Pはスパイラル磁石5の付近にきたとき、
スパイラル磁石5の磁力によって、外筒4の外面に吸着
される。
【0038】スパイラル磁石5から出る磁力線は、隣接
するN極部分とS極部分とのあいだを結ぶようにのびて
いるため、スパイラル磁石5の回転によって、磁性体粉
Pは、隣接するN極部分とS極部分とのあいだを順に移
動していき、鋼板Sの板幅から外れる外筒4の先端付近
まで移動する。最後に、磁性体粉Pは吸引機構6によっ
て捕集される。
【0039】つぎに、本発明の磁性体除去装置の他の実
施の形態を図5〜8を参照しながら詳細に説明する。
【0040】図5〜8に示される磁性体除去装置は、前
記一対の磁石1、2と、非磁性体のスパイラルベルト1
1と、前記吸引機構6とから構成されている。
【0041】図5〜7に示される一対の磁石1、2は、
図1に示されるものと共通する。前述と同様に、磁石
1、2の対向する同じ極(図5〜7におけるN極)から
出る磁力線は、図1(b)に示される磁力線L1、L2
ように鋼板Sの表面と平行にのびるため、磁性体粉Pを
効率よく磁石1、2に吸着することができる。
【0042】スパイラルベルト11は、無端ベルトの外
面に螺旋状の溝または突条からなる保持部12が形成さ
れたものであり、前記磁石1、2の周囲を取り囲むよう
に配設され、かつ少なくとも一部が鋼板Sの進行方向と
平行に走行する。保持部12は、磁性体粉Pを保持する
ための部分であり、図8に示されるように溝13を形成
してもよいし、反対に突条を形成してもよい。
【0043】スパイラルベルト11は、前記エンドレス
ベルト3と同じ材料および厚さなどからなる非磁性体の
ベルトで作製される。溝13は、磁性体粉Pの大きさ
(溶接のスパッタ屑(電気溶接で発生する火花屑)のよ
うな大きいもので0.5〜1mm、圧延粉のような小さ
なもので1〜5μm)より余裕をみて幅は3mm程度、
深さは1.5mm程度とし、ピッチは3mm程度として
いる。また、鋼板Sの進行方向に対しての角度は45°
以下であれば磁性体粉Pをベルトに引っ掛からずにうま
く搬送できるため好ましく、とくに好ましくは25°程
度である。
【0044】また、スパイラルベルト11の鋼板Sの進
行方向と平行な部分11aの長さも、前記エンドレスベ
ルト3の部分3aと同様に500mm以下程度の長さ、
とくに好ましくは250mm程度の長さであれば、スパ
イラルベルト11がたるんで鋼板Sに接触することがな
い。
【0045】スパイラルベルト11の回転方向は、図5
〜6に示されるように鋼板Sと部分11aとが逆方向に
なるような回転方向でもよいし、同一方向でもよい。
【0046】また、図5〜6のエンドレスベルト3は、
磁石1、2の周囲に矩形配置された駆動ロール14およ
び3個の補助ロール15に掛けられている。
【0047】吸引機構6は、前記図2に示されるものと
共通する。ただし、図5〜6の例では鋼板Sの上下両側
に配置されたスパイラルベルト11の外面に付着した磁
性体粉Pを吸引するために、図2の吸引ノズル6cの代
わりに上下両方に開口する吸引ノズル6dが用いられ
る。吸引ノズル6dは、鋼板Sの側方であって、上下の
スパイラルベルト11に挟まれた領域に配置されてい
る。なお、吸引機構6を設けずに外筒4の端部から自然
落下させてもよい。
【0048】図5〜8に示される磁性体吸引装置は、以
下のようにして鋼板Sの表面の磁性体粉Pを吸引する。
【0049】まず、スパイラルベルト11を駆動ロール
14によって鋼板Sの進行方向と平行に回転させ、吸引
機構6を作動させる。駆動ロール14は図7の駆動モー
タ17によって回転駆動される。
【0050】ついで、鋼板Sを進行させれば、鋼板Sの
表面に付着する磁性体粉Pは一対の磁石1、2のあいだ
の領域付近にきたとき、前述の図1のばあいと同様に鋼
板Sの表面とほぼ平行にのびる磁力線(図1(b)のL
1、L2参照)によって、スパイラルベルト11の外面に
吸着される。
【0051】ついで、スパイラルベルト11の回転によ
って、磁性体粉Pは保持部12の溝13の内壁に押され
ることにより、磁性体粉Pが鋼板Sの板幅から外れるス
パイラルベルト11の先端付近まで移動され、最後に吸
引機構6によって捕集される。
【0052】なお、図5〜8に示される磁性体除去装置
の例ではスパイラルベルト11が鋼板Sの上下両側に配
置されているが、本発明はこれに限定されるものではな
く、鋼板Sの上側のみまたは下側のみにスパイラルベル
トを設けてもよいことはいうまでもない。
【0053】以上の図2のエンドレスベルト3および図
5のスパイラルベルト11は、鋼板Sに対向する部分3
a、11aが鋼板Sの進行方向と平行であるため、鋼板
Sの板幅に関係なく短くすることができる。したがっ
て、ベルトの張力が弱くてもベルトがたるんで鋼板Sに
接触して破れるおそれがない。
【0054】たとえば、ベルトが鋼板Sの進行方向と直
角にのびるばあいでは、ベルトの鋼板Sに対向する部分
は、少なくとも鋼板Sの板幅(900〜1200mm程
度)よりも長くする必要がある。一方、本実施の形態の
図2および図5のように、ベルトの鋼板Sに対向する部
分3a、11aは鋼板Sの進行方向と平行であるため、
部分3a、11aは500mm以下程度の長さ、とくに
好ましくは250mm程度の長さまで短縮することがで
き、その結果、エンドレスベルト3がたるんで鋼板Sに
接触することがない。
【0055】つぎに、磁石の配置と磁性体粉の除去効率
とのあいだの関係について、図9〜14を参照しながら
考察する。
【0056】実験例として、以下の図9〜13に示され
るケース1〜5について、上面に磁性体粉の例として鉄
粉が散在した鋼板S(またはケース5についてはダンボ
ールB)を図面の右方向へ移動することにより、除去さ
れた鉄粉重量から初期鉄粉重量を除した鉄粉の除去効率
(%)を測定した。実験結果は図14のグラフに示され
る結果になった。ここで、ケース3〜4が本発明の実施
の形態である。
【0057】ケース1:鋼板Sの上下両側に鋼板Sから
20mmだけ離間させて磁石21、22を配置し、異な
る極同士として、磁石21のN極と磁石22のS極とを
対向させる(図9参照)。
【0058】ケース2:鋼板Sの上側のみに鋼板Sから
20mmだけ離間させて磁石21を配置する(図10参
照)。
【0059】ケース3:鋼板Sの上下両側に鋼板Sから
20mmだけ離間させて磁石21、22を配置し、同じ
極同士として、磁石21のN極と磁石22のN極とを対
向させる(図11参照)。
【0060】ケース4:前記ケース3の磁石21、22
の組に隣接して、磁石23、24を配置し、同じ極同士
として、磁石23のS極と磁石24のS極とを対向させ
る。このばあい、上側の磁石21のN極と磁石23のS
極とが隣接し、下側の磁石22のN極と磁石24のS極
とが隣接する(図12参照)。
【0061】ケース5:予備テストとして、鋼板Sの代
わりにダンボールBを用いる。ダンボールBの上側のみ
にダンボールBから20mmだけ離間させて磁石21を
配置する(図13参照)。
【0062】図14より明らかなように、ケース1がき
わだって除去効率が低く、ついでケース2が低いが、そ
れに対して本発明の実施の形態であるケース3〜4が非
常に除去効率が高いことがわかった。なお、ダンボール
Bを用いたケース5は除去効率が98.5%である。
【0063】ここで、図9〜13に磁力線の方向を破線
で示しつつ、ケース1〜5の鉄粉除去の様子を検証す
る。
【0064】図9〜10に示されるケース1〜2におい
ては、磁力線は、鋼板Sを貫通する。それにより、前述
の図15のばあいと同様に、鋼板S上の鉄粉と鋼板Sと
のあいだで直列に磁極分化が生じるため、鉄粉は鋼板S
に付着したまま磁石に吸着されにくくなる。とくに、図
9に示されるケース1のばあい、ほぼすべての磁力線が
鋼板Sを貫通するため、鉄粉が鋼板Sに付着する割合が
高く、除去効率が非常にわるくなる。
【0065】一方、本発明のケース3〜4は、前述の図
1のばあいと同様に、磁力線が鋼板Sの表面とほぼ平行
にのびることにより、鉄粉と鋼板Sとのあいだでは並列
に磁極分化が行なわれるため、非常に除去効率が高くな
る。とくに、図12に示されるケース4のばあい、磁石
21のN極と磁石23のS極とのあいだ、および磁石2
2のN極と磁石24のS極とのあいだで、磁力線が鋼板
Sの表面とほぼ完全に平行にのび、かつ中央部の磁力線
の強さは両端の磁力線の強さよりも1.5倍程度強くな
るため、鉄粉が鋼板Sから離れる割合が高く、除去効率
がより一層高くなる。
【0066】なお、図13に示されるダンボールBを用
いたケース5においては、ダンボールBが磁極分化しな
いので、ほぼ100%に近い割合で鉄粉を磁石に吸着す
ることができた。
【0067】
【発明の効果】本発明によれば、鋼板に対して非接触で
磁性体除去効率が非常に高い磁性体除去方法および装置
を提供することができる。
【0068】しかも、本発明では従来と比較してあまり
強力な磁石を必要としないため、安価に磁性体除去装置
を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁性体除去方法の動作原理を模式的に
示す側面図である。
【図2】本発明の磁性体除去装置の一実施の形態を示す
斜視説明図である。
【図3】図2の磁性体除去装置を鋼板の幅方向から見た
側面図である。
【図4】図2の磁性体除去装置を鋼板の進行方向から見
た正面図である。
【図5】本発明の磁性体除去装置の他の実施の形態を示
す斜視説明図である。
【図6】図5の磁性体除去装置を鋼板の幅方向から見た
側面図である。
【図7】図5の磁性体除去装置を鋼板の進行方向から見
た正面図である。
【図8】図5のスパイラルベルトの拡大断面図である。
【図9】ケース1における磁石の配置を示す側面図であ
る。
【図10】ケース2における磁石の配置を示す側面図で
ある。
【図11】ケース3における磁石の配置を示す側面図で
ある。
【図12】ケース4における磁石の配置を示す側面図で
ある。
【図13】ケース5における磁石の配置を示す側面図で
ある。
【図14】ケース1〜5の鉄粉の除去効率のグラフであ
る。
【図15】図1に対する比較例として、磁石1個のばあ
いの磁力線の向きを模式的に示す側面図である。
【符号の説明】
1 磁石 2 磁石 3 エンドレスベルト 4 外筒 5 スパイラル磁石 6 吸引機構 11 スパイラルベルト 12 保持部 13 溝 S 鋼板 P 磁性体粉

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続的に通板される帯状の鋼板表面に付
    着した磁性体からなる粉を除去する方法であって、一対
    の磁石を、前記鋼板の厚さ方向において鋼板の上下両側
    に離間した位置で、しかも同じ極が向かい合うように配
    置することにより、前記一対の磁石の対向する同じ極か
    ら出る磁力線の少なくとも一部を前記鋼板表面とほぼ平
    行にのばすことを特徴とする鋼板表面の磁性体除去方
    法。
  2. 【請求項2】 連続的に通板される帯状の鋼板表面に付
    着した磁性体からなる粉を除去するための装置であっ
    て、一対の磁石が、前記鋼板の厚さ方向において鋼板の
    上下両側に離間した位置で、しかも同じ極が向かい合う
    ように配置されてなる鋼板表面の磁性体除去装置。
  3. 【請求項3】 前記一対の磁石のうちの少なくとも一方
    の磁石と前記鋼板とのあいだにおいて前記鋼板と平行な
    部分を有する非磁性体からなるベルトが配設されてなる
    請求項2記載の磁性体除去装置。
  4. 【請求項4】 前記ベルトが前記磁石の周囲を取り囲む
    エンドレスベルトからなり、前記エンドレスベルトの外
    面に近接して非磁性体からなるパイプが前記鋼板の幅方
    向に延設され、前記パイプの内部において、N極および
    S極が螺旋状に表面磁化されてなるスパイラル磁石が回
    転自在に収納されてなる請求項3記載の磁性体除去装
    置。
  5. 【請求項5】 前記エンドレスベルトを支持するロール
    のうち、少なくとも1個のロールが、少なくとも一部が
    磁石からなる磁石ロールである請求項4記載の磁性体除
    去装置。
  6. 【請求項6】 前記ベルトが前記磁石の周囲を取り囲む
    エンドレスベルトからなり、前記エンドレスベルトの外
    面には螺旋状の溝または突条からなる保持部が形成され
    てなる請求項3記載の磁性体除去装置。
  7. 【請求項7】 前記磁石によって鋼板から離脱された磁
    性体の粉を吸引するための吸引手段を有してなる請求項
    2、3、4、5または6記載の磁性体除去装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002217244A (ja) * 2001-01-15 2002-08-02 Mitsui Mining & Smelting Co Ltd 電子部品実装用フィルムキャリアテープの金属屑粉の除去方法および電子部品実装用フィルムキャリアテープの金属屑粉の除去装置
KR20180021627A (ko) * 2016-08-22 2018-03-05 유겐가이샤 타쿠쇼 강판용 클리너 장치
KR20200065708A (ko) * 2018-11-30 2020-06-09 주식회사 포스코 철분 제거장치
CN113380565A (zh) * 2021-05-31 2021-09-10 浙江英洛华新能源科技有限公司 具有加强磁场的继电器

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