JPH1121793A - 偽造防止用紙 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、簡単に偽造のできない複写防止用紙
を提供することを目的とし、ホログラムの装飾効果を損
なうことのない、細片ホログラムフィルムを漉き込んだ
偽造防止用紙を提供することにある。 【解決手段】マイクロ文字ホログラムまたはマイクロ文
字回折格子が施された微細なホログラムフィルム片を漉
き込んだ偽造防止用紙としたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、偽造防止用紙に関す
る。より詳しくは、複写機によるコピーを行っても、原
稿とは全く異なる複写物しか得られない偽造防止用紙に
関する。

【０００２】

【従来の技術】各種のホログラム及び回折格子は公知技
術であり、その優れた立体的美観や装飾性に優れた外観
を有することと、複製や偽造が困難であることからカー
ドを始め各種の商品の偽造防止手段としてカード等に貼
着され広く利用されている。

【０００３】また偽造防止用紙としては、抄紙時に金属
蒸着フィルムの細片を漉き込んだものや、細巾の金属蒸
着フィルムをまつり縫い状に漉き込んだものなどが広く
知られている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記の様な金属蒸着フ
ィルムを紙に漉き込んだ用紙の場合、カラー複写機でコ
ピーしても元の原稿と異なる色相に複写されるため、複
写防止用紙としての機能は満足するものであった。

【０００５】しかし、単なる金属蒸着フィルムを漉き込
むだけでは装飾効果に乏しく、更に金属蒸着フィルムの
入手は容易であるため、一般の用紙に金属蒸着フィルム
を貼着した模造品を作製することは容易であった。

【０００６】また、装飾効果を与えるために金属蒸着フ
ィルムの代わりにホログラムフィルムを用いることが考
えられるが、通常のホログラム画像を用いたフィルムを
細片化した場合、元のホログラム画像を判別することが
できず、単なる虹彩色のフィルムを用いたものと同様の
効果しか得られないという問題点があった。

【０００７】そこで本発明は、簡単に偽造のできない複
写防止用紙を提供することを目的とする。さらに詳しく
は、ホログラムの装飾効果を損なうことのない、細片ホ
ログラムフィルムを漉き込んだ偽造防止用紙を提供する
ことを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、以上の目的を
達成するために、請求項１の発明に於いてはマイクロ文
字ホログラムまたはマイクロ文字回折格子が施された微
細なホログラムフィルム片を漉き込んだ偽造防止用紙と
したものである。

【０００９】また請求項２の発明に於いては、前記ホロ
グラムフィルム片が１ｍｍφ以上の大きさであり、かつ
前記マイクロ文字ホログラムまたはマイクロ文字回折格
子の大きさが１ｍｍφ以下であることを特徴とする偽造
防止用紙としたものである。

【００１０】

【作用】マイクロ文字ホログラムまたはマイクロ文字回
折格子が施された所定の形状を有する微細なホログラム
フィルム片を漉き込んだことにより、ホログラムフィル
ム片が干渉色を有するため、カラー複写機でコピーして
も元の原稿とは異なる色相にしか複写されない複写防止
機能を有し、更にはマイクロ文字ホログラムまたはマイ
クロ文字回折格子を用いることにより、偽造防止用紙自
体の偽造をより困難にすることができる。

【００１１】また、漉き込むホログラムフィルム片を１
ｍｍφ以上の大きさとし、かつマイクロ文字ホログラム
またはマイクロ文字回折格子の大きさを１ｍｍφ以下と
することにより、ホログラム画像を破壊することなく、
ホログラム画像情報自体に意味を持たせることができ、
ホログラムの装飾効果を損なうことがない。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について図
面に基づき説明する。

【００１３】図１は本発明の偽造防止用紙の一例を示す
断面図、図２は本発明のホログラムフィルム片の一例を
示す断面図、図３は本発明のホログラムフィルム片を作
製する際に使用するホログラム転写箔の一例を示す断面
図、図４は本発明のマイクロ文字ホログラム及びホログ
ラムフィルム片の一例を示す模式図である。

【００１４】まず、図３により本実施例のホログラムフ
ィルム片１２を作製するために使用するホログラム転写
箔３０の積層構造を説明する。

【００１５】基材３１の上に剥離性保護層３２が積重さ
れ、その上にはホログラム形成層３３が積重され、その
上に反射性薄膜層３４が積重され、その上に接着剤層３
５が積重されている。

【００１６】ホログラム形成層３３は、剥離性保護層３
２とは反対側の面にレリーフホログラム形成面を有し、
前記ホログラム形成面上に反射性薄膜層３４が蒸着また
はスパッタリング等により形成されている。

【００１７】前記ホログラム形成面は、レリーフ型ホロ
グラムを構成する微細な凹凸パターンが形成されたニッ
ケル製のプレス版を、ホログラム形成層３３上に加熱押
圧するなどの周知の方法により形成可能である。

【００１８】基材３１は、厚さ２５μｍの透明なポリエ
チレンテレフタレートフィルムである。基材としては、
他にポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン等の合成樹
脂、天然樹脂、紙、合成紙などから単独で選択されたも
の、または上記より選択されて組み合わされた複合体が
使用可能となっている。

【００１９】剥離性保護層３２は、ホログラム形成層３
３をより効果的に支持体２１に転写するために設けられ
たものであり、以下の配合比からなる組成物がグラビア
印刷法により、乾燥温度１１０℃、厚さ１．５μｍで形
成されている。

【００２０】 アクリル樹脂 …３０部 ポリエステル樹脂 … ５部 トルエン …４０部 メチルエチルケトン …４０部 メチルイソブチルケトン …２０部

【００２１】剥離性保護層３２としては、他に熱可塑性
アクリル樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリプロピレ
ン樹脂あるいはこれらにオイルシリコン、脂肪酸アミ
ド、ステアリン酸亜鉛を添加したものが使用可能となっ
ている。または、無機物を使用してもよい。

【００２２】ホログラム形成層３３はエンボス成形性が
良好で、プレスムラが生じ難く、明るい再生像が得ら
れ、剥離性保護層３２及び反射性薄膜層３４との接着性
が良好である樹脂であって、以下の配合比からなる組成
物がグラビア印刷法により、乾燥温度１１０℃、厚さ
１．０μｍで形成されている。

【００２３】 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 …２５部 ウレタン樹脂 …１０部 メチルエチルケトン …７０部 トルエン …３０部

【００２４】また、ホログラム形成面は、このような組
成のホログラム形成層３３に対し、版面温度が１６５℃
のプレス成型により形成されている。

【００２５】ホログラム形成層３３としては、他にポリ
カーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル
樹脂などの熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メ
ラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン（メタ）アクリレ
ート、ポリエステル（メタ）アクリレート、エポキシ
（メタ）アクリレート、ポリオール（メタ）アクリレー
ト、メラミン（メタ）アクリレート、トリアジン（メ
タ）アクリレートなどの熱硬化性樹脂あるいはこれらの
混合物、さらにはラジカル重合性不飽和基を有する熱成
型性材料などが使用可能であり、また、上記以外のもの
でも、ホログラム画像を形成可能な安定性を有する材料
であれば使用可能である。

【００２６】反射性薄膜層３４は、ホログラムの画像情
報をより効果的に見せるために、光線を反射する層であ
って、ここでは厚さ８０ｎｍのＡｌが真空蒸着法により
形成されている。

【００２７】なお、反射性薄膜層３４としては反射率が
高い金属材料が装飾性の上で好ましく、例えばＳｎ、Ｔ
ｅ、Ｉｎ、Ｃｕ、Ｂｉ、Ｚｎ、Ｐｂ等の金属単体あるい
はこれらの金属の合金、化合物などが使用可能となって
いる。

【００２８】更に反射性薄膜層３４としては、ホログラ
ム形成層３３よりも屈折率が高い、ＺｎＳ、ＴｉＯ2 、
ＭｇＯ、ＳｉＯ2 などのセラミック材料を用いることも
可能である。

【００２９】また、このような反射性薄膜層３４を形成
する方法としては、真空蒸着法の他にスパッタリング
法、イオンプレーティング法等の成膜手段が適用可能で
あり、膜厚としては１０ｎｍ〜１００ｎｍの範囲にある
ことが好ましい。

【００３０】接着剤層３５は、以下の配合比からなる組
成物がグラビア印刷法により、乾燥温度１１０℃、厚さ
２．０μｍで形成されている。

【００３１】 ポリウレタン樹脂 …３０部 ポリエステル樹脂 …２０部 メチルエチルケトン …５０部 トルエン …５０部

【００３２】なお、接着剤層３５としては、他にも、反
射性薄膜層３４を変質させたり冒すものでなければ通常
用いられるものでよく、例えばアクリル系接着剤、ポリ
エステル系ポリアミドなどが使用可能であるが、これら
に限定されるものではない。

【００３３】次に、図２により本実施例のホログラムフ
ィルム片１２の積層構造を説明する。

【００３４】支持体２１の上に接着剤層３５が積重さ
れ、その上に反射性薄膜層３４が積重され、その上にホ
ログラム形成層３３が積重され、その上に剥離性保護層
３２が積重されている。

【００３５】このホログラムフィルム片１２は、上記で
説明したホログラム転写箔３０と支持体２１を熱ロール
間に通過させて貼合し、冷却後に基材３１を取り除き、
ついで打ち抜き機を使用して細片に打ち抜くことで作製
することが可能である。本実施例では、１．２ｍｍ角の
正方形に打ち抜いてホログラムフィルム片１２を作製し
たが、形状は三角形、四角形などの多角形、円形、楕円
形、星型など任意の形状を選択することが可能である。

【００３６】支持体２１は、ホログラムフィルム片１２
を抄紙工程において基紙１１と接着可能とするためのフ
ィルムであり、澱粉系、メチルセルロース系、ポリビニ
ルアルコール系、ポリアクリル酸系などの種々の水溶性
フィルムを使用することができる。

【００３７】上記支持体２１は、抄紙工程の紙漉き形成
時（ワイヤパート）に水で溶解したり過度の膨潤を起こ
さないこと、湿紙の乾燥時（ドライパート）に過度のフ
ィルム変形を起こさないこと、乾燥後に基紙１１との密
着性が良いことなどが必要であり、本実施例では厚さ１
６μｍのポリビニルアルコール系水溶性フィルム（以下
ＰＶＡフィルムと称する）を使用した。

【００３８】次に、図１により本実施の形態の偽造防止
用紙１０について説明する。偽造防止用紙１０は、ホロ
グラムフィルム片１２が基紙１１の表面に遍在した構造
となっている。

【００３９】基紙１１としては、クラフトパルプ（Ｋ
Ｐ）、サルファイトパルプ（ＳＰ）、サーモメカニカル
パルプ（ＴＭＰ）などの製紙用パルプを主体とし、これ
に乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、サイズ剤、定着
剤、濾水性向上剤、消泡剤、などを適宜併用し、長網抄
紙機や円網抄紙機などの公知の抄紙機で抄紙することが
できる。

【００４０】本発明では以下の配合からなる紙料を用
い、長網抄紙機を使用して坪量１１０ｇ／ｍ2 で通常通
りに抄造を行った。

【００４１】 ＮＢＫＰ …２０部 ＬＢＫＰ …８０部 白土 …１０部 紙力増強剤 … 少量 サイズ剤 … １部 硫酸バンド … 適量

【００４２】偽造防止用紙１０を製造するためには、基
紙１１の抄造工程中にホログラムフィルム片１２を基紙
１１の表面に混入する必要がある。本実施例では、上記
方法で作製したホログラムフィルム片１２をスライス直
後に振りかけ、後は通常通りの抄造方法で偽造防止用紙
１０を製造した。

【００４３】最後に、図４により本実施の形態のマイク
ロ文字ホログラム及びホログラムフィルム片を表面から
見た外観について説明する。

【００４４】本発明に於けるマイクロ文字ホログラムま
たはマイクロ文字回折格子の作製方法は、公知の２Ｄホ
ログラムの撮影方法や、２光束干渉法による回折格子の
撮影方法を用いて作製することができる。

【００４５】即ち、通常の大きさの文字が配置されたネ
ガ平面原稿を準備し、これを被写体としてレンズで縮小
すると同時にホログラム撮影を行うか、これをマスク原
稿として同様にレンズで縮小して２光束干渉法の回折格
子撮影を行うことで作製することができる。

【００４６】なお、ここでマイクロ文字とは、アルファ
ベット、平仮名、カタカナ、漢字などの文字に加えて円
形、三角形、星型などの簡単な図形、数字、記号なども
含んでいる。また、ホログラムフィルム片１２を振りか
ける際に表裏の選別が困難なため、左右対称のマイクロ
文字を使用することが装飾効果を考えるとより望まし
い。

【００４７】本実施例では、文字の大きさが約３ｍｍφ
のアルファベットで左右対称の文字を選別し、ランダム
に配列した原稿を使用した。これを１０分の１に縮小し
てホログラムの撮影を行い、大きさが約０．３ｍｍφの
マイクロ文字ホログラム４１をフォトレジストに撮影し
た。

【００４８】上記フォトレジストから、公知の電気メッ
キ法によりプレス版を作製して、前述のプレス成型など
の加工によりホログラム転写箔を作製した。

【００４９】以上説明してきた方法で作製した偽造防止
用紙１０は、１ｍ² 当たり１０００〜１４００個のホロ
グラムフィルム片１２が混入されており、表面に遍在し
ていた。また、漉き込まれたホログラムフィルム片１２
の表面もしくは裏面を観察すると、図４に示したよう
に、一片当たり９〜１６個の文字の欠けがない完全なマ
イクロ文字ホログラム４１を確認することができ、装飾
効果の高い偽造防止用紙１０を得ることができた。

【００５０】この偽造防止用紙１０をカラー複写機で複
写したところ、ホログラムフィルム片１２が有する虹彩
色は再現されず、更にマイクロ文字ホログラム４１の文
字輪郭さえも再現されなかった。また、目視による判断
で原稿と複写物の違いを明確に認めることができた。

【００５１】

【発明の効果】以上説明した本発明の偽造防止用紙は、
次のような顕著な効果を奏する。 １）カラー複写機で複写を試みても、用紙に混入された
虹彩色を有するホログラムフィルム片の色が再現でき
ず、マイクロ文字ホログラムまたはマイクロ文字回折格
子の文字輪郭も再現できないため、カラー複写機で偽造
したものであるか否かの判定が即座に可能となる。 ２）仮に抄紙機による偽造を試みても、マイクロ文字ホ
ログラムまたはマイクロ文字回折格子自体の作製が困難
であるため、偽造防止用紙自体の偽造を容易に行うこと
ができない。 ３）マイクロ文字ホログラムまたはマイクロ文字回折格
子が、漉き込まれたホログラムフィルム片の表面または
裏面に配列されることにより、ホログラム画像情報自体
に意味を持たせることができ、装飾効果を格段に上げる
ことが可能となる。 ４）プリベイトカード、ＩＤカード、ポイントカード、
入場券、小切手、株券、債券、紙幣、商品券、パスポー
ト、乗車券、各種チケット、包装紙、絵本、色紙等の広
範囲な媒体に適用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の偽造防止用紙の一例を示す断面図。

【図２】本発明のホログラムフィルム片の一例を示す断
面図。

【図３】本発明のホログラムフィルム片を作製する際に
使用するホログラム転写箔の一例を示す断面図。

【図４】本発明のマイクロ文字ホログラム及びホログラ
ムフィルム片の一例を示す模式図。

【符号の説明】

１０…偽造防止用紙 １１…基紙 １２…ホログラムフィルム片 ２１…支持体 ３０…ホログラム転写箔 ３１…基材 ３２…剥離性保護層 ３３…ホログラム形成層 ３４…反射性薄膜層 ３５…接着剤層 ４１…マイクロ文字ホログラム

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新藤 直彰 東京都台東区台東１丁目５番１号 凸版印 刷株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】マイクロ文字ホログラムまたはマイクロ文
   字回折格子が施された微細なホログラムフィルム片を漉
   き込んだことを特徴とする偽造防止用紙。
2. 【請求項２】前記ホログラムフィルム片が１ｍｍφ以上
   の大きさであり、かつ前記マイクロ文字ホログラムまた
   はマイクロ文字回折格子の大きさが１ｍｍφ以下である
   ことを特徴とする請求項１記載の偽造防止用紙。