JPH11217464A - 水硬化性エラストマー組成物及びその成形体 - Google Patents

水硬化性エラストマー組成物及びその成形体

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JPH11217464A
JPH11217464A JP34783897A JP34783897A JPH11217464A JP H11217464 A JPH11217464 A JP H11217464A JP 34783897 A JP34783897 A JP 34783897A JP 34783897 A JP34783897 A JP 34783897A JP H11217464 A JPH11217464 A JP H11217464A
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olefin resin
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Sumio Shibahara
澄夫 柴原
Takeshi Iwasa
毅 岩佐
Atsushi Sugizaki
敦 杉崎
Shigeyoshi Kohara
茂良 古原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温から低温までの広い温度域にわたって加
硫ゴム並のゴム弾性および耐油性を有しつつ、良好な成
形加工性をもたせるといった相反する特性を併せ持つエ
ラストマー組成物を得る。 【解決手段】 オレフィン系樹脂中に架橋したゴムが分
散し、該ゴム及び該オレフィン系樹脂が加水分解性シラ
ン基を含有してなる水硬化性エラストマー組成物を成形
した後、好ましくはシラノール縮合触媒の存在下に水分
と接触させて、加水分解性シラン基を有するゴム、オレ
フィン系樹脂を架橋させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形加工工程では
熱可塑性を有し、成形後に水架橋させることによって成
形加工性と低温領域から高温領域に至るまで加硫ゴム並
みのゴム弾性を合わせ持つ水硬化性エラストマー組成物
及びその成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ゴム的な弾性を有しており加硫を
必要とせず、しかも熱可塑性樹脂と同様の優れた成形加
工性を備えたエラストマーとして、熱可塑性エラストマ
ーが自動車部品、家電部品、電線被覆材、医療部品、雑
貨、履物等の分野に用いられている。特にポリプロピレ
ンのようなオレフィン系樹脂成分中で、EPDMゴムを
選択的に架橋させた完全架橋型オレフィン系熱可塑性エ
ラストマーは、ゴム弾性、耐熱変形性、耐候性の点で加
硫ゴムに近い性能を示す。例えば、特公昭58−461
38号公報、米国特許第4803244号等には、それ
ぞれ、熱反応性アルキルフェノール樹脂、オルガノシロ
キサン化合物を架橋剤として用いた完全架橋型オレフィ
ン系熱可塑性エラストマーに関する製法が開示されてい
る。しかしながら、ゴム特性、耐油性は加硫ゴムに比較
するとまだ不充分である。
【0003】また、特開平1−217053号公報、特
開平1−236250号公報、特開平7−330971
号公報等にはオレフィン系熱可塑性エラストマーにシラ
ングラフト化オレフィン系樹脂を混合した組成物が記載
されている。これらの組成物はいずれも、加硫ゴムに比
べると耐熱変形性、低温時のゴム特性が不足している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来の熱可塑
性エラストマー組成物では困難であった高温から低温ま
での広い温度域にわたって加硫ゴム並のゴム弾性を有
し、優れた耐油性を持ちつつ、良好な成形加工性を発現
させるといった相反する特性を両立させるべくなされた
ものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】加硫ゴム並みのゴム弾性
及び耐油性を有しつつ、良好な成形加工性も有するとい
うこの困難な課題を達成するために種々検討を進めた結
果、オレフィン系樹脂中に架橋したゴムが分散し、ゴム
及びオレフィン系樹脂が加水分解性シラン基を含有して
なる構造をもつ水硬化性エラストマー組成物を成形後に
水蒸気下での処理等を行うことにより、課題を達成でき
るという知見を見いだし本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明はオレフィン系樹脂中に架橋したゴムが分
散し、該ゴム及び該オレフィン系樹脂が加水分解性シラ
ン基を含有してなる水硬化性のエラストマー組成物であ
る。また、本発明は前記の水硬化性エラストマーを成形
した後、好ましくはシラノール縮合触媒の存在下に水分
と接触させて、加水分解性シラン基を有するゴム、オレ
フィン系樹脂を架橋させてなることを特徴とする水硬化
性エラストマー組成物の成形体である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明で用いられるゴムは特に限
定されるものではなく、架橋可能な合成ゴム及び天然ゴ
ム全般を指す。例を挙げるとすれば、エチレン−α・オ
レフィン−非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン−α・
オレフィン共重合体ゴム、ブチルゴム、ポリブタジエン
ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重
合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、アクリ
ロニトリル−ブタジエンゴム等があげられる。そしてこ
れらのゴムに含まれる脂肪族不飽和2重結合を(部分的
に)水素添加してもよい。これらのゴムは1種又は2種
以上のブレンド物で用いてもよい。特にオレフィン系樹
脂との相溶性の観点で好ましいのはエチレン−α・オレ
フィン−非共役ジエン共重合体ゴムである。
【0007】ここで、エチレン−α・オレフィン−非共
役ジエン共重合体ゴムは、エチレン、α・オレフィン及
び非共役ジエンからなるものであり、α・オレフィンは
炭素数3〜15のものが適している。非共役ジエンはジ
シクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、エチリデ
ンノルボルネン、及びメチレンノルボルネン等が使用で
きる。本発明においては、入手の容易さ、耐衝撃性改良
の観点からα・オレフィンにはプロピレンが適してお
り、従ってEPDMが好適である。共重合体ゴムのエチ
レン/α・オレフィン比は重量比で50/50〜90/
10、さらに好適には60/40〜80/20が適して
いる。
【0008】ここで、用いられるゴムのムーニ粘度、M
1+4(125℃)は10〜120、好ましくは40〜
100である。このムーニ粘度はゴムの分子量と加工特
性の指標となっている。ここで、ゴム自身のムーニ粘度
10未満のものはゴム分子量が非常に小さいことを意味
しており、架橋ゴムの分子量が小さくなり、圧縮永久歪
みが大きくなる傾向がある。逆に、120を超えたもの
は成形加工性が著しく悪化するが、前記のゴムにパラフ
ィン系オイルを予め溶融混練(油展)し、見掛けのムー
ニ粘度を120以下に調整を施したものが市販されてお
り、これを用いることもできる。また、ゴムのヨウ素価
は反応性の指標となっており値が大きいほど高活性を意
味するが、本発明で用いられるゴム種では10〜30、
特に15〜30の高活性種が好ましい。
【0009】オレフィン系樹脂は、ポリエチレン、ポリ
プロピレン等の樹脂が挙げられる。ポリエチレンとして
は高密度タイプ(HDPE)、中密度タイプ(MDPE)、
低密度タイプ(LDPE)、直鎖状中低密度タイプ(L−
LDPE)等が挙げられる。ポリエチレンのMFRは好
ましくは0.1〜50g/10min、さらに好ましく
は0.5〜20g/10minである。ポリエチレンの
MFRが前記の下限値より小さいと押出加工性が悪くな
る傾向にあり、上限値を越えると架橋度の低下を引き起
こす傾向にある。また、ポリエチレンの密度が前記の下
限値より小さいと加熱変形等の耐熱性の低下を引き起こ
す傾向にあり、上限値を越えるとL−LDPEの場合は
押出加工性が悪くなる傾向にある。
【0010】また、ポリプロピレンとしてはアイソタク
チックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピ
レンやプロピレンと他の少量のα−オレフィンのランダ
ムまたは及びブロック共重合体、具体的にはプロピレン
−エチレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合
体、及びポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリブテン−
1等をあげることができる。アイソタクチックポリプロ
ピレンまたはその共重合体を用いる場合のMFRは0.
1〜50g/10min特に0.5〜30g/10mi
nの範囲のものが好適に使用できる。上記オレフィン系
樹脂を2種以上組み合わせて用いることは何ら差し支え
なく、シラングラフト化のしやすさの観点からはポリエ
チレンを10%以上含むことが好ましい。
【0011】次に本発明で用いられるゴム架橋剤はゴム
成分を架橋し、ゴム弾性を発現させるために添加する。
通常、架橋触媒とともに添加される。ここで、架橋触媒
というのは、架橋剤が架橋反応を起こすために用いられ
る触媒、あるいは架橋反応を助けるような架橋助剤のこ
とを意味している。架橋触媒を用いることにより、実用
的な速度で架橋剤が架橋反応を起こすことができる。架
橋剤、架橋触媒については特に制限なく、通常のジエン
含有ゴムの加硫剤たる化合物、組成物から選ぶことがで
きる。例えば、イオウ系架橋剤、過酸化物系架橋剤、熱
反応性フェノール樹脂、オキシム系架橋剤、SiH基含
有化合物等があげられる。耐候変色性の観点からは、架
橋剤が分子内にSiH基を2つ以上持つシリコン化合
物、架橋触媒がハイドロシリル化触媒の組み合わせが好
ましい。
【0012】分子内にSiH基を2つ以上有するシリコ
ン系化合物とハイドロシリル化触媒による架橋とは、S
iH基による、ゴム成分中の不飽和炭化水素への選択的
な付加反応(ハイドロシリル化)を用いたものである。こ
こで用いられる架橋剤は、2分子以上のゴムに対して付
加するため、架橋剤1分子中に2つ以上のSiH基を有
する必要がある。このようなシリコン系架橋剤の好まし
い例としては、下記の、線状オルガノハイドロジェンシ
ロキサンなどのオルガノシロキサン構造を有する化合物
及びこれらより誘導された化合物が挙げられる。ゴムの
架橋密度を上げるにはシリコン系架橋剤のSiH基が多
いほど好ましい。SiH基を10個以上有する線状ポリ
オルガノハイドロジェンシロキサンが好ましく、より好
ましくは15個以上である。さらに、好ましい架橋剤と
しては、下記の、のようなSiH基を含有するユニ
ットのみで構成されている線状オルガノハイドロジェン
シロキサンが挙げられる。
【0013】
【化1】
【0014】[式中、Rはそれぞれ独立に炭素数1から
24のアルキル基及びアルコキシル基;フェニル基、ア
リール基並びにアリールオキシ基の中から選ばれた1種
または2種以上の置換基であり、好ましくはメチル基で
ある。nは2から100、好ましくは5から80、mは
1から100である。各々の置換基のRは同じものであ
っても異なっていてもよい。]
【0015】エラストマー組成物の製造にあたり、前記
シリコン系架橋剤の配合量は、ゴム成分100重量部に
対して0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量
部、さらに好ましくは3〜7重量部である。架橋剤の配
合量がこれより少ないと、充分な架橋が得られずエラス
トマーのゴム特性が充分でない場合がある。一方、架橋
剤の配合量がこれより多くてもその効果は殆ど増加せず
架橋剤のブリードが生ずる場合がある。
【0016】つぎに、ハイドロシリル化触媒(ゴム架橋
触媒)は、前記のシリコン系化合物によるハイドロシリ
ル化反応を促進する触媒であり、ハイドロシリル化反応
において触媒作用を示すものであれば特に制限はない
が、好ましくは白金のビニルシロキサン錯体(カールス
テッド触媒)や塩化白金酸などの白金化合物や錯体など
を挙げることができる。この中でも、白金/ジビニルテ
トラメチルジシロキサン錯体などの白金とビニル基含有
のシロキサン化合物との錯体が最も好ましい。これらハ
イドロシリル化触媒は、材料中に高分散させるため、単
体もしくは液体に溶解した組成物をあらかじめ樹脂に練
り込んでマスターバッチとして用いる方法、あるいは無
機フィラーなどの固体成分に担持させて用いる方法が好
ましい。練り込む樹脂としては、オレフィン系樹脂が好
ましく、特にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
−α・オレフィン共重合体が好ましい。
【0017】ここで、本組成物の製造の一方法に用いら
れるゴムの動架橋工程とは、オレフィン系樹脂の存在下
で、ゴムを動的に架橋させることを意味する。水架橋を
行う前の成形可能なエラストマー1gを沸騰キシレンを
用いてソックスレー抽出器で10時間リフラックスし、
残留物を80メッシュの金網で濾過し、(メッシュ上に
残留した不溶物乾燥重量(g))/(組成物1g中に含
まれるゴム成分の重量(g))の百分率で示されるゲル
含有率が少なくとも30%、好ましくは50%以上(た
だし、無機充填物等の不溶成分はこれに含まない)とな
るように架橋したものであり、かつ該架橋がエラストマ
ーの溶融混練中に行われることを特徴とする。
【0018】次に本組成物の製造の一方法に用いるシラ
ングラフト化工程について説明する。シラングラフト化
工程は、ゴム及び/又はオレフィン系樹脂をシラングラ
フト化する工程であり、有機不飽和シラン及び遊離ラジ
カル発生剤から構成されるシラングラフト化剤を用い
る。その構成成分の有機不飽和シランとしては、一般式
RR’SiY2(Rは1価のオレフィン性不飽和炭化水
素基、Yは加水分解しうる有機基、R’は脂肪族不飽和
炭化水素基以外の1価の炭化水素基あるいはYとおなじ
もの)で表せる化合物が使用される。R’がYと同一で
一般式RSiY3で表せられる有機シランを利用するこ
とが好適であり、例えばビニルトリメトキシシラン、ビ
ニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、
アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン
等があげられる。
【0019】これらの添加量としては[ゴム+オレフィ
ン系樹脂]100重量部に対して好ましくは0.1〜1
0重量部である。0.1重量部未満であると十分なグラ
フト化が起こらず、又10重量部を上回ると経済的でな
いばかりか成形加工性が低下する傾向がある。また、シ
ラングラフト化剤のもう1つの構成成分である遊離ラジ
カル発生剤は、シラングラフト化反応の開始剤として用
いられ、重合開始作用の強い種々の有機過酸化物が例示
される。これらの添加量は、[ゴム+オレフィン系樹
脂]100重量部に対して0.01〜0.5重量部が好
ましい。0.01重量部未満では十分なシラングラフト
化反応が進行せず、また0.5重量部を上回ると樹脂の
分解のような副反応のため、押出加工性が低下し成形物
外観が悪くなる傾向にある。
【0020】また、シラングラフト化剤の添加方法には
制限はなく、各構成成分を別々に添加してもよいが、好
ましくは有機シランが液状の場合には、先に遊離ラジカ
ル発生剤を有機シランに溶解させた後に、添加する方法
が用いられる。また、シラングラフト化剤を樹脂に練り
込んだマスターバッチを用いて、添加する方法も好適で
ある。
【0021】シラングラフト化工程は、ゴム、オレフィ
ン系樹脂、シラングラフト化剤を所定量混合し、遊離ラ
ジカルの分解温度以上で溶融混練する。前述したゴムの
動架橋工程、シラングラフト化工程の順序は制限は全く
ないが、工程管理の容易さの観点からは、ゴム、オレフ
ィン系樹脂、ゴム架橋剤を混合したものを溶融混練[ゴ
ムの動架橋工程]して得られた組成物に、シラングラフ
ト化剤を添加し溶融混練[シラングラフト化工程]をする
のが好ましい。
【0022】次に本発明で用いられるパラフィン系オイ
ルを説明する。この成分は得られる成形物の硬度を調整
し、柔軟性を与えるために必要に応じて添加することが
出来る。一般にゴムの軟化、増容、加工性向上に用いら
れるプロセスオイルまたはエクステンダーオイルとよば
れる鉱物油系ゴム用軟化剤は芳香族環、ナフテン環、パ
ラフィン鎖の3者を組みあわせた混合物であり、パラフ
ィン鎖の炭素数が全炭素数の50%以上占めるものがパ
ラフィン系と呼ばれ、ナフテン環炭素数が30から45
%のものがナフテン系、芳香環炭素数が30%を越える
ものが芳香族系とされる。本発明で用いられるオイルは
上記区分でパラフィン系のものが好ましい。パラフィン
系ゴム用軟化剤の性状は37.8℃における動粘度が2
0〜500cst、流動点が−10〜−15℃および引
火点が170〜300℃を示す。
【0023】パラフィン系オイルの好ましい配合量とし
ては前記のゴム100重量部に対して10〜200重量
部であり、さらに好ましくは10〜150重量部であ
る。150重量部をこえた配合のものは、軟化剤のブリ
ードアウトを生じやすく、最終製品に粘着性を生じる恐
れがあり、機械的性質を低下させる傾向がある。また、
10重量部未満だと添加する意味がない。また、パラフ
ィンオイルの添加方法は何ら制限が無くシラングラフト
化工程及びゴムの動架橋の工程と同時に行ってもよく、
また、シラノール縮合触媒を添加した後に添加しても良
い。
【0024】本発明では、さらに必要に応じて、炭酸カ
ルシウム、カーボンブラック、タルク、水酸化マグネシ
ウム、マイカ、硫酸バリウム、天然ケイ酸、合成けい酸
(ホワイトカーボン)、酸化チタン等の無機充填剤や各
種添加剤を添加することができる。添加剤の例をあげる
と、造核剤、外滑剤、内滑剤、ヒンダードアミン系光安
定剤、リン系光安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防
止剤、着色剤、難燃剤、シリコン系オイル(オルガノシ
ロキサン、シランカップリング剤等)が該当する。ま
た、ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ウレタン
樹脂のような他の熱可塑性樹脂、各種の相溶化剤をブレ
ンドすることもできる。
【0025】これらの製造法には、通常の樹脂組成物、
ゴム組成物の製造に用いられる一般的な全ての方法を採
用できる。基本的には機械的溶融混練方法であり、これ
らには単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、
各種ニーダー、ブラベンダー、ロール等が用いられる。
また、この際溶融混練する温度は160℃〜230℃、
剪断速度は100〜1000/secの中から好適に選
ぶことが出来る。シラノール縮合触媒は、加水分解性シ
ランを含有するゴムとオレフィン樹脂を実用的な速度で
水架橋させるために用いられる。シラノール縮合触媒の
具体例としては、ジブチル錫ジラウリレート等が挙げら
れる。これらの添加量は前記の[ゴム+オレフィン系樹
脂]100重量部に対して0.001〜3重量部であ
る。
【0026】必要によりシラノール縮合触媒を添加した
組成物は、十分にドライブレンドをした後に、公知の熱
可塑性樹脂成形機を用いて所望の形状に賦形することが
可能である。即ち、射出成形、押出成形、カレンダー成
形、ブロー成形等の各種の成形方法が適用可能である。
こうして得られた組成物を水分と接触させることによっ
て前記エラストマー組成物中に含まれる加水分解性シラ
ン基を含有する熱可塑性樹脂を水架橋させることができ
る。ここで、水架橋の条件としては、60℃の温水中に
24時間浸漬させる方法や、100℃の沸騰水中で2時
間浸漬させる方法や、さらには水蒸気の充満した部屋の
中に2時間放置する方法等を任意に選ぶことができる。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、
本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0027】
【実施例】以下に示す実施例及び比較例において配合し
た各成分は次の通りである。 <成分a(1):EPDM> エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合
体ゴム 出光DSM(株)製ケルタンK712[プロピレン含量:
40重量%,ムーニ粘度 ML1+4(125℃):6
3,ヨウ素価:16]
【0028】<成分b(1):HDPE> 日本ポリオレフィン(株)製ジェイレックスHD5050
[MFR(190℃)=5.0g/10分] <成分b(2):LDPE> 日本ユニカー(株)製NUC8009[MFR(190
℃)=9.0g/10分] <成分b(3):PP> ポリプロピレン樹脂、住友化学工業(株)W501[MF
R(230℃)=3.1g/10分]
【0029】<成分b(4):シラングラフト化PE>
低密度ポリエチレン樹脂、日本ユニカー(株)製NUC8
009[MFR(190℃)=9.0g/10分]10
0重量部に対して、ビニルトリエトキシシラン2重量
部、ジクミルパーオキサイド0.15重量部をよく混和
し、押出機を用いて、押出温度200〜250℃で混練
し、ストランドカットを行いシラングラフトマーのペレ
ットを得た。 <成分c(1):架橋剤> 日本ユニカー(株)製
【0030】
【化2】
【0031】<成分c(2):架橋剤> 日本ユニカー(株)製
【0032】
【化3】
【0033】<成分c(3):架橋剤>テトラメチル
−チウラムジサルファイド100部に対して硫黄26部
の混合物からなる硫黄系架橋剤(特開平1−23625
0号公報に記載) <成分d(1):白金錯体MB>ポリジメチルシロキサ
ン中に溶解した白金/ビニルシロキサン錯体(白金含量
2%)5gを高密度ポリエチレン(比重:0.95)9
5g中に溶融混練することにより白金マスターバッチ
(MB)を調製した。 <成分d(2):ロジウム触媒>ビス−シクロオクタジ
エンロジウム塩1gを低密度ポリエチレン(比重0.9
23)500g中に溶融混練することにより調製した。
【0034】<成分e(1):シラングラフト化剤>液
状のビニルトリメトキシシラン(信越化学(株)製)20
gに、粉末状のジクミルパーオキサイド1gを溶かして
調製した。 <成分f(1):縮合触媒> ジブチル錫ジラウリレート <成分g(1):オイル>出光興産(株)製ダイアナプロ
セスオイルPW−380[パラフィン系プロセスオイ
ル、動粘度:381.6cst(40℃)、30.1(1
00℃)、平均分子量746、環分析値:CA=0%、
CN=27%、CP=73%]
【0035】《実施例1〜4》成分a〜成分dをドライ
ブレンドした後、同方向型二軸混練機(日本製鋼所製T
EX44)を使用して、800/secの剪断速度で樹
脂温160〜180℃になるように混練して、ゴムの動
架橋工程をおこない、組成物を得た。次にこの組成物に
成分eを添加し、ドライブレンドした後、同方向型二軸
混練機(日本製鋼所製TEX44)を使用して、800
/secの剪断速度で樹脂温160〜180℃になるよ
うに混練して、シラングラフト化工程を実施し、ギアポ
ンプを用いて成分gを添加して水硬化性エラストマー組
成物を得た。しかる後、シラノール縮合触媒を添加し、
この組成物を用いて射出成形を行った。得られた成形品
を80℃の温水中にて3時間処理して架橋を促進して下
記(1)〜(4)に示す諸物性の評価を行った。一方、シラ
ノール縮合触媒を加えて押出成形し、80℃の温水中に
て3時間処理して下記(5)により成形性を評価した。
【0036】《比較例1〜3》比較例1では、米国特許
第4803244号に記載されているポリプロピレン樹
脂を用いて実施例に準じて熱可塑性エラストマーを製造
した。(シラングラフト化工程は無く、水架橋は行えな
い。) 比較例2では、特開平1−236250号公報に記載さ
れているシラングラフト化PEを用いた場合において、
実施例1〜4で記述したのと同様の方法により混練、成
形を行った例を記載した。比較例3では、特開平1−2
36250号公報に記載されているシラングラフト化P
Eを用いた場合において、実施例1〜4で記述したのと
同様の方法により混練、成形を行った例を記載した。得
られた各エラストマー組成物の評価項目を以下に示す。
【0037】評 価 (1) 硬度(JIS K6301 Aタイプ) (2) 圧縮永久歪みCS[%](JIS K6301、2
5%圧縮 70℃×100HR、25℃×100HR、
−40℃×100HR) (3) 低温耐衝撃性 75×75×t1の試験片を−60℃のドライアイス−メタノ
ール溶液中に10分間浸漬後、デュポン式落球衝撃試験
を5回実施した。5回の試験のうち、試験後亀裂が生じ
なかった回数を表中に記載した。[試験条件 錘重量:
500g先端球R:3/16 落下高さ:1m] (4) 耐油性[%](JIS K6301、No3試験油
(潤滑油)を使用し、70℃で2時間、50×50×t
2の試験片を浸漬し、浸漬前後の重量変化(%)を求め
た。)
【0038】(5) 成形性(φ50mm押出機を用いてL
/D=20のスクリュー、100mm×t0.5のダイ
スを用いてC/R=3.0、混練温度200℃、回転数
100rpmにて、150×500mmのテープを作成
し、目視にて表面を観察し、直径100ミクロン以上の
ブツを10つ以上観察した場合は×、2〜9つ観察した
場合は△、1つ以下のブツしか観察しなかった場合は○
とした。) 下記の表1〜4より明らかなように本発明のエラストマ
ー組成物は、高温時及び低温時のゴム弾性、低温耐衝撃
性及び耐油性に優れると共に優れた成形性を有する。こ
の理由としては、上記の工程により得られるエラストマ
ー組成物は、海成分と島成分との間でもシラングラフト
化水架橋を媒介とした共架橋が存在しているためと考え
ている。
【0039】
【発明の効果】本発明で得られたエラストマー組成物は
水架橋処理を施す前は熱可塑性樹脂の成形方法を実施で
き、水架橋処理を施すことによって高温下でも低温下で
も加硫ゴム並のゴム弾性を持つ。即ち、該エラストマー
組成物は溶融混練させて所望の形状に容易に成形するこ
とができ、柔軟性、耐熱クリープ性能、耐油性に優れ、
高温から低温までの広い温度範囲にわたって加硫ゴム同
等以上のゴム弾性を発現できるため、自動車部品や、建
築用材料、家電部品、各種電線被覆(絶縁、シース)及
び各種工業部品に好適に成形し用いることができる。特
にこれまで加硫ゴムしか用いることができなかったパッ
キン、シール、ホース、チューブにも適用が可能であ
る。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉崎 敦 東京都品川区東品川2丁目5番8号 住友 ベークライト株式会社内 (72)発明者 古原 茂良 東京都品川区東品川2丁目5番8号 住友 ベークライト株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オレフィン系樹脂中に架橋したゴムが分
    散し、該ゴム及び該オレフィン系樹脂が加水分解性シラ
    ン基を含有してなる水硬化性エラストマー組成物。
  2. 【請求項2】 ゴム、オレフィン系樹脂、ゴム架橋剤、
    加水分解性シラン、遊離ラジカル発生剤を原料とし、ゴ
    ムの動架橋及びシラングラフト化によって製造された水
    硬化性エラストマー組成物。
  3. 【請求項3】 ゴム100重量部に対してパラフィン系
    オイルを10〜300重量部含んでいる請求項1又は2
    記載の水硬化性エラストマー組成物。
  4. 【請求項4】 ゴムがエチレン−α・オレフィン−非共
    役ジエン共重合体ゴムであり、ゴム架橋剤が分子内にS
    iH基を2つ以上有するシリコン系化合物である1、2
    又は3記載の水硬化性エラストマー組成物。
  5. 【請求項5】 上記組成物の製造方法が、エチレン−α
    ・オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム、オレフィン
    系樹脂、分子内にSiH基を2つ以上有するシリコーン
    系架橋剤、ハイドロシリル化触媒を動的に熱処理して熱
    可塑性エラストマー組成物を得る工程と、さらに加水分
    解性シラン化合物をグラフト化する工程からなる請求項
    4記載の水硬化性エラストマー組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3、4又は5の水硬化性
    エラストマーを成形した後、水分と接触させて、加水分
    解性シラン基を有するゴム及びオレフィン系樹脂を架橋
    させてなることを特徴とする水硬化性エラストマー組成
    物の成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019159505A1 (ja) * 2018-02-14 2019-08-22 株式会社村田製作所 伸縮性基板およびその製造方法
JP2022033348A (ja) * 2017-03-29 2022-02-28 株式会社イノアックコーポレーション 熱可塑性樹脂組成物の製造方法

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