JPH11217393A - 有機ホスホニウムクロライドの製造法 - Google Patents

有機ホスホニウムクロライドの製造法

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JPH11217393A
JPH11217393A JP33093298A JP33093298A JPH11217393A JP H11217393 A JPH11217393 A JP H11217393A JP 33093298 A JP33093298 A JP 33093298A JP 33093298 A JP33093298 A JP 33093298A JP H11217393 A JPH11217393 A JP H11217393A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、有機ホスホニウムブロマイドから
対応する有機ホスホニウムクロライドを製造する公知の
方法が有する問題を一挙に解決して、有機ホスホニウム
ブロマイドから対応する有機ホスホニウムクロライドを
簡便に効率よく製造できる方法を提供することを課題と
する。 【解決手段】 本発明の課題は、有機ホスホニウムブロ
マイドと塩素イオンを、水−有機溶媒の不均一混合溶媒
系において接触させることを特徴とする有機ホスホニウ
ムクロライドの製造法によって解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有機ホスホニウムブ
ロマイドから対応する有機ホスホニウムクロライドを非
常に容易にかつ効率よく製造する方法に関する。有機ホ
スホニウムクロライドは、相間移動触媒、重合触媒、ハ
ロゲン交換触媒など、各種反応の触媒として有用であ
る。
【0002】
【従来の技術】有機ホスホニウムブロマイドから対応す
る有機ホスホニウムクロライドを製造する方法として
は、例えば、有機ホスホニウムブロマイドをイオン交換
樹脂で処理する方法〔J.Am.Chem.Soc.,
70,737(1948)〕が知られている。しかし、
この方法では、多量のイオン交換樹脂が必要とされるだ
けでなく、イオン交換樹脂の再生が毎回必要になり、し
かも再生の際には塩素イオンや臭素イオンを含む廃液が
多量に排出されるという問題がある。更に、得られた有
機ホスホニウムクロライドは有機溶媒から再結晶して精
製する必要があり、その収率もテトラフェニルホスホニ
ウムクロライドで79%に過ぎない。
【0003】また、有機ホスホニウムブロマイドを対応
する有機ホスホニウムフルオロボレートに変換した後
に、これを塩化カリウムで処理して対応する有機ホスホ
ニウムクロライドを得る方法〔日本化学雑誌,86,1
12(1965)〕も知られている。しかし、この方法
では、有機ホスホニウムフルオロボレートへの変換を行
う際に非常に高価なホウフッ化銀を化学量論量必要と
し、更に有機溶媒から再結晶を繰り返して有機ホスホニ
ウムクロライドを精製するという煩雑な操作が必要であ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、有機ホ
スホニウムブロマイドから対応する有機ホスホニウムク
ロライドを製造する公知の方法は、イオン交換樹脂を多
量に使用する、イオン交換樹脂の再生を必要とする、廃
液を多量に排出する、再結晶等の煩雑な精製を必要とす
る、有機ホスホニウムクロライドの収率が低い、ホウフ
ッ化銀を化学量論量使用するなどの問題を有している。
本発明は、このような問題を一挙に解決して、有機ホス
ホニウムブロマイドから対応する有機ホスホニウムクロ
ライドを簡便にかつ効率よく製造できる方法を提供する
ことを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は、有機ホ
スホニウムブロマイドと塩素イオンを、水−有機溶媒の
不均一混合溶媒系において接触させることを特徴とする
有機ホスホニウムクロライドの製造法によって解決され
る。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明で使用される有機ホスホニ
ウムブロマイドは、化学構造式(I)で表される化合物
である。この有機ホスホニウムブロマイドは、三級ホス
フィンと臭素化合物を反応させる公知の方法〔Che
m.Ber.,99,2782(1966)〕などによ
り容易に合成することができる。
【0007】
【化1】 (式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、アリール基、アラ
ルキル基、アルキル基、又は複素環基を表す。)
【0008】前記のアリール基としては、フェニル基、
ビフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜14のアリー
ル基が挙げられ、前記のアラルキル基としては、ベンジ
ル基、フェネチル基、シンナミル基、ナフチルメチル基
等の不飽和結合を有していてもよい炭素数7〜15のア
ラルキル基が挙げられる。前記のアルキル基としては、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロプロ
ピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロ
ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、ビニル基、プロ
ペニル基、ブテニル基、1,3−ブタジエニル基等の環
構造あるいは不飽和結合を有していてもよい炭素数1〜
16のアルキル基が挙げられる。また、前記の複素環基
としては、チエニル基、フリル基、ピリジル基等のイオ
ウ原子、酸素原子、又は窒素原子を含有する炭素数4〜
16の複素環基が挙げられる。
【0009】R1 、R2 、R3 、R4 は各種異性体を含
み、置換基を1つ以上有していてもよい。また、R1
2 、R3 、R4 は互いに同一であっても異なっていて
もよく、2つの基の間で架橋されてリン原子を含む環を
形成していてもよい。
【0010】前記の置換基としては、例えば、アルコキ
シ基(好ましくは炭素数1〜12)、チオアルコキシ基
(好ましくは炭素数1〜12)、アラルキルオキシ基
(好ましくは炭素数7〜13)、アリールオキシ基(好
ましくは炭素数6〜16)、チオアリールオキシ基(好
ましくは炭素数6〜16)、アシル基(好ましくは炭素
数1〜12)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭
素数2〜16)、カルボキシル基、アミノ基、アルキル
置換アミノ基(好ましくは炭素数2〜16)、ニトロ
基、シアノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(フッ素、
塩素、臭素等)等が挙げられる。
【0011】R1 、R2 、R3 、R4 がアリール基、ア
ラルキル基、又は複素環基の場合、これらは、前記の置
換基以外に、環構造(複素環を含む)あるいは不飽和結
合を有していてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1
〜12)をその環上に置換基として1つ以上有していて
もよい。また、R1 、R2 、R3 、R4 が複素環基の場
合、これらは、前記の置換基以外に、アリール基(好ま
しくは炭素数6〜16)をその複素環上に置換基として
1つ以上有していてもよい。
【0012】前記の有機ホスホニウムブロマイドとして
は、例えば、次のような化合物が挙げられる。即ち、R
1 〜R4 がアルキル基である有機ホスホニウムブロマイ
ドとしては、テトラエチルホスホニウムブロマイド、テ
トラブチルホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリ
ブチルホスホニウムブロマイドなどが挙げられる。R1
〜R4 がアリール基又はアルキル基である有機ホスホニ
ウムブロマイドとしては、メチルトリフェニルホスホニ
ウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロ
マイド、プロピルトリフェニルホスホニウムブロマイ
ド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ヘキ
シルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ヘプチルト
リフェニルホスホニウムブロマイド、テトラデシルトリ
フェニルホスホニウムブロマイド、ジメチルジフェニル
ホスホニウムブロマイドや、シクロプロピルトリフェニ
ルホスホニウムブロマイド等の環構造を有するアルキル
基をもつものや、アリルトリフェニルホスホニウムブロ
マイド、1,3−ブタジエニルトリフェニルホスホニウ
ムブロマイド等の不飽和結合を有するアルキル基をもつ
ものなどが挙げられる。
【0013】R1 〜R4 がアリール基又は置換基を有す
るアルキル基である有機ホスホニウムブロマイドとして
は、(1,3−ジオキソラン−2−イル)メチルトリフ
ェニルホスホニウムブロマイド、2−(1,3−ジオキ
ソラン−2−イル)エチルトリフェニルホスホニウムブ
ロマイド、2−(1,3−ジオキサン−2−イル)エチ
ルトリフェニルホスホニウムブロマイド等の複素環基を
有するアルキル基をもつものや、ブロモメチルトリフェ
ニルホスホニウムブロマイド等のハロゲン原子を有する
アルキル基をもつものや、4−カルボキシブチルトリフ
ェニルホスホニウムブロマイド、2−カルボキシアリル
トリフェニルホスホニウムブロマイド等のカルボキシル
基を有するアルキル基をもつものや、4−エトキシカル
ボニルブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド等の
アルコキシカルボニル基を有するアルキル基をもつもの
や、2−ジメチルアミノメチルトリフェニルホスホニウ
ムブロマイド等のアルキル置換アミノ基を有するアルキ
ル基をもつものや、フェナシルトリフェニルホスホニウ
ムブロマイド等のアシル基を有するアルキル基をもつも
のなどが挙げられる。
【0014】R1 〜R4 がアリール基又はアラルキル基
である有機ホスホニウムブロマイドとしては、ベンジル
トリフェニルホスホニウムブロマイド、4−エトキシベ
ンジルトリフェニルホスホニウムブロマイド、シンナミ
ルトリフェニルホスホニウムブロマイドなどが挙げられ
る。R1 〜R4 がアリール基である有機ホスホニウムブ
ロマイドとしては、テトラフェニルホスホニウムブロマ
イド、p−ビフェニルトリフェニルホスホニウムブロマ
イド、1−ナフチルトリフェニルホスホニウムブロマイ
ド、2−ナフチルトリフェニルホスホニウムブロマイド
などが挙げられる。
【0015】R1 〜R4 が置換基を有するアリール基で
ある有機ホスホニウムブロマイドとしては、o−メチル
フェニルトリフェニルホスホニウムブロマイド、m−メ
チルフェニルトリフェニルホスホニウムブロマイド、p
−メチルフェニルトリフェニルホスホニウムブロマイ
ド、p−イソプロピルフェニルトリフェニルホスホニウ
ムブロマイド、p−t−ブチルフェニルトリフェニルホ
スホニウムブロマイド、m−トリフルオロメチルフェニ
ルトリフェニルホスホニウムブロマイド、2,4,6−
トリメチルフェニルトリフェニルホスホニウムブロマイ
ド等のアルキル基を有するアリール基をもつものや、p
−クロロフェニルトリフェニルホスホニウムブロマイド
等のハロゲン原子を有するアリール基をもつものや、m
−メトキシフェニルトリフェニルホスホニウムブロマイ
ド、p−メトキシフェニルトリフェニルホスホニウムブ
ロマイド、p−エトキシフェニルトリフェニルホスホニ
ウムブロマイド等のアルコキシ基を有するアリール基を
もつものや、p−アミノフェニルトリフェニルホスホニ
ウムブロマイド等のアミノ基を有するアリール基をもつ
ものや、m−シアノフェニルトリフェニルホスホニウム
ブロマイド、p−シアノフェニルトリフェニルホスホニ
ウムブロマイド等のシアノ基を有するアリール基をもつ
ものや、p−ニトロフェニル−トリ−p−トリルホスホ
ニウムブロマイド等のニトロ基を有するアリールをもつ
ものなどが挙げられる。
【0016】本発明で使用される塩素イオンとしては、
アルカリ金属の塩化物(塩化リチウム、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム
等)、アルカリ土類金属の塩化物(塩化ベリリウム、塩
化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム
等)などの塩素イオンを含有する化合物や、塩酸(塩化
水素水溶液)に由来するものが挙げられる。塩素イオン
を含有する化合物の中ではアルカリ金属の塩化物が好ま
しいが、中でも塩化ナトリウムが特に好ましい。なお、
これらの化合物は単独で使用しても混合して使用しても
よい。
【0017】塩素イオンを含有する化合物は、有機ホス
ホニウムブロマイドに対して1〜500倍モル、特に5
〜250倍モル、更には10〜200倍モル使用される
ことが好ましい。このとき、塩素イオンを含有する化合
物は、水−有機溶媒の不均一混合溶媒系を構成する水に
溶解された水溶液(塩素イオンを含む水溶液)として使
用される。この水溶液を調製するために使用される水の
量は、塩素イオンを含有する化合物によって異なるが、
塩素イオンを含有する化合物1gに対して1〜20gの
範囲であることが好ましい。但し、有機ホスホニウムブ
ロマイドと塩素イオンを接触させる温度において、塩素
イオンを含有する化合物がその飽和濃度より低い濃度に
なるように水の量を調節することが好ましい。例えば、
塩化ナトリウムを使用する場合、塩化ナトリウム1gに
対して2.55〜20g、更には2.79〜19gの水
を使用することが好ましい。
【0018】塩素イオンを含む水溶液は予め調製して使
用してもよい。また、有機ホスホニウムブロマイドと塩
素イオンを接触させる系において、固体状の塩素イオン
を含有する化合物を添加して該水溶液を調製して使用し
てもよい。なお、塩素イオンを含む水溶液を予め調製す
る場合は、水の全量を使用して該水溶液を調製してもよ
く、水の一部を塩素イオンを含有する化合物が飽和しな
い範囲で使用し、残りを有機ホスホニウムブロマイドと
塩素イオンを接触させる系で使用して該水溶液を調製し
てもよい。
【0019】本発明で使用される有機溶媒としては、有
機ホスホニウム塩を溶解することができ、かつ有機ホス
ホニウム塩の存在下で塩素イオンを含む水溶液に均一に
溶解又は混合しない有機溶媒であればどのようなもので
も使用することができる。即ち、有機ホスホニウムブロ
マイドと塩素イオンとの接触において(有機ホスホニウ
ム塩と塩素イオンの存在下で)、水−有機溶媒の不均一
混合溶媒系を形成するものであればよい。この有機溶媒
は単独で使用しても複数で使用しても差し支えない。な
お、この場合の有機ホスホニウム塩は有機ホスホニウム
ブロマイド及び対応する有機ホスホニウムクロライドを
表す。このような有機溶媒としては、例えば、炭素数2
以上(好ましくは炭素数2〜12)のアルコール(脂肪
族又は芳香脂肪族アルコール)、脂肪族ハロゲン化炭化
水素、ニトリル、アミド、及び炭素数5以上の尿素化合
物が挙げられる。これら有機溶媒の中では、炭素数2以
上のアルコール及び脂肪族ハロゲン化炭化水素が好まし
いが、中でも炭素数2以上のアルコールが特に好まし
い。
【0020】前記の炭素数2以上のアルコールとして
は、炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜12の脂肪族
又は芳香脂肪族アルコールが挙げられる。このようなア
ルコールとしては、例えば、エタノール、1−プロパノ
ール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノ
ール、2−メチル−1−プロパノール、1,1−ジメチ
ルエタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、
3−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−
メチル−1−ブタノール、1,1−ジメチル−1−プロ
パノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−
ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メ
チル−2−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプ
タノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、1−
オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘ
キサノール、1−ノナノール、2−ノナノール、1−デ
カノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、
1,6−ヘキサンジオール、シクロペンタノール、シク
ロヘキサノール等の炭素数2〜12の脂肪族アルコール
(アルキルアルコール)や、ベンジルアルコール、フェ
ネチルアルコール(1−フェニルエタノール、2−フェ
ニルエタノール)等の炭素数7〜12の芳香脂肪族アル
コール(アラルキルアルコール)が挙げられる。炭素数
2以上のアルコールの中では、有機ホスホニウム塩の溶
解しやすさ、水溶液へのそのアルコールの溶解又は混合
しにくさ、及び対応する有機ホスホニウムクロライドの
生成しやすさなどの点から、炭素数3〜6の脂肪族アル
コールが特に好ましい。
【0021】前記の脂肪族ハロゲン化炭化水素として
は、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジ
クロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,
1,2−トリクロロエタン、1,2−ジクロロプロパ
ン、1,3−ジクロロプロパン、1,2,3−トリクロ
ロプロパン、1,4−ジクロロブタン、1,6−ジクロ
ロヘキサン等の炭素数1〜10の脂肪族ハロゲン化炭化
水素が使用される。
【0022】前記のニトリルとしては、例えば、アセト
ニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、アジポ
ニトリル、ベンゾニトリル等の炭素数1〜8の脂肪族又
は芳香族ニトリルが使用される。前記のアミドとして
は、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド等の炭素数3〜6の脂肪族アミドが使用される。ま
た、前記の炭素数5以上の尿素化合物としては、例え
ば、テトラメチルウレア、1,3−ジメチルイミダゾリ
ジン−2−オン等の炭素数5〜9の脂肪族尿素化合物が
使用される。
【0023】更に、本発明では、それ自身では有機ホス
ホニウムブロマイドを殆ど溶解することができない有機
溶媒(第2の有機溶媒)でも、前記の有機溶媒に一部混
合して使用することができる。このような有機溶媒とし
ては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼ
ン、イソプロピルベンゼン、メチルナフタレン等の芳香
族炭化水素、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等
の芳香族ハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチル
ケトン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステ
ル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブ
チルエーテル、ジフェニルエーテル等のエーテルが挙げ
られる。第2の有機溶媒の使用量は使用される有機ホス
ホニウムブロマイドによって異なるが、有機ホスホニウ
ムブロマイド1gに対して0.2〜100g、特に0.
5〜50g、更には1〜25gの範囲であることが好ま
しい。これらの溶媒は蒸留などにより回収して再使用す
ることができる。
【0024】有機ホスホニウムブロマイドと塩素イオン
を水−有機溶媒の不均一混合溶媒系において接触させる
操作は、例えば、有機ホスホニウムブロマイドを前記の
有機溶媒に溶解させた溶液と、前記の塩素イオンを含む
水溶液とを、バッチ式又は連続式で接触させることによ
って行うことができる。この操作は1回で行ってもよ
く、また複数回に分けて行ってもよいが、1〜50回、
好ましくは2〜30回、更に好ましくは3〜20回で行
われる。なお、この操作は反応速度を上げるために攪拌
下で行うことが好ましく、1回の操作時間は0.001
〜6時間、好ましくは0.005〜3時間、更に好まし
くは0.01〜1時間程度であればよい。
【0025】有機ホスホニウムブロマイドと塩素イオン
を接触させる場合の温度は使用される有機溶媒(前記の
第2の有機溶媒を含む)や圧力により異なるが、−20
℃〜150℃、更には0〜100℃の範囲で有機溶媒
(第2の有機溶媒を含む)が液体として存在し、かつ塩
素イオンを含有する化合物や有機ホスホニウムブロマイ
ド及び対応する有機ホスホニウムクロライドが固体とし
て析出しない温度であることが好ましい。また、このと
きの圧力は減圧、常圧、加圧のいずれでも差し支えない
が、装置や操作の簡便さを考慮すると、常圧から10k
g/cm2 程度の加圧であることが好ましい。
【0026】有機ホスホニウムブロマイドと塩素イオン
を接触させた後、生成した有機ホスホニウムクロライド
は、水層を分離して得られる有機層(対応する有機ホス
ホニウムクロライドを含む有機溶媒溶液)から容易に分
離することができる。例えば、該有機層から有機溶媒を
蒸留で除去して有機ホスホニウムクロライドを固体で得
る方法や、該有機層を冷却して有機ホスホニウムクロラ
イドを固体で分離する方法などがある。
【0027】また、該有機層から有機ホスホニウムクロ
ライドを溶解できる有機溶媒を蒸留で除去し、次いで有
機ホスホニウムクロライドを溶解しにくい分離用溶媒を
加えて有機ホスホニウムクロライドを固体で得る方法
や、該有機層に有機ホスホニウムクロライドを溶解しに
くい分離用溶媒を直接添加して有機ホスホニウムクロラ
イドを固体で得る方法や、該有機層に有機ホスホニウム
クロライドを溶解しにくい分離用溶媒を添加して、有機
ホスホニウムクロライドを溶解できる有機溶媒を共沸さ
せながら蒸留除去して有機ホスホニウムクロライドを固
体で得る方法などがある。なお、有機ホスホニウムクロ
ライドを溶解しにくい分離用溶媒としては、前記の第2
の有機溶媒と同様の有機溶媒が、単独又は複数で、有機
ホスホニウムクロライド1gに対して好ましくは0.1
〜20ml、更に好ましくは0.2〜10ml程度使用
される。また、有機ホスホニウムクロライドが水に溶け
にくい場合は、この有機溶媒の代わりに水を分離用溶媒
として同様の割合で使用することもできる。
【0028】有機ホスホニウムクロライドを溶解できる
有機溶媒を蒸留除去して有機ホスホニウムクロライドを
固体で分離するとき、有機ホスホニウムクロライドを溶
解できる有機溶媒が蒸留後に残存している場合は、水を
添加して、分離できる有機ホスホニウムクロライドの量
を増加させることができる。この水の添加量は、原料の
有機ホスホニウムブロマイド1モルに対して0.1〜6
モル、特に0.5〜5モル、更には1〜4モル程度であ
ることが好ましい。また、この水は原料のホスホニウム
ブロマイド1モルに対して1モル以下(例えば、0.0
001〜1モル、更には0.0005〜1モル程度)の
塩酸を含んでいてもよい。
【0029】また、前記の塩素イオンを含有する化合物
が有機層に含まれている場合は、有機ホスホニウムクロ
ライドは溶解するが塩素イオンを含有する化合物は溶解
し難い溶媒を添加するなどして、塩素イオンを含有する
化合物をデカンテーション、濾過、遠心分離等の方法で
固体として除くことができる。例えば、有機層から有機
溶媒を蒸留除去し、次いで塩化メチレン、クロロホル
ム、1,2−ジクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化
水素を添加して有機ホスホニウムクロライドを溶解さ
せ、残存する不溶物を分離したり、或いは、有機層から
必要に応じて有機溶媒を蒸留除去し、次いでベンゼン、
トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン
等の芳香族炭化水素を添加して適当な温度で有機ホスホ
ニウムクロライドを溶解させ、残存する不溶物を分離す
ることによって、塩素イオンを含有する化合物を除去で
きる。このようにして得られた有機ホスホニウムクロラ
イドは、必要に応じて再結晶や再沈殿等の方法で更に精
製される。なお、本発明で使用された有機溶媒はいずれ
も回収して、必要であれば水を除去するなどして再使用
することができる。
【0030】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。なお、臭素イオン、塩素イオンの分析は0.01
モル/L(リットル)の硝酸銀水溶液で電位差滴定する
方法により行った。また、有機ホスホニウムブロマイド
は、三級ホスフィンと臭素化合物を反応させる公知の方
法〔Chem.Ber.,99,2782(196
6)〕などで合成したものを用いた。
【0031】実施例1 ガラス製2L(リットル)分液ロートに、テトラフェニ
ルホスホニウムブロマイド(357.74mmol)、
1−ブタノール(750ml)、イオン交換水(40m
l)、及び25重量%塩化ナトリウム水溶液(375m
l)を入れて、室温で45分間攪拌した。得られた溶液
(2層から成る)を更に7分間攪拌した後に静置して、
下層(水層)を除去した。残った上層(有機層)に25
重量%塩化ナトリウム水溶液(375ml)を加え7分
間攪拌した後に静置して、下層(水層)を除去した。引
き続き、残った有機層に25重量%塩化ナトリウム水溶
液(375ml)を加え、7分間攪拌して静置し、水層
を分離する操作を6回繰り返した。
【0032】得られた有機層から水を含んだ1−ブタノ
ール(566g)を蒸留で除去した後、固体が一部析出
した残渣にキシレン(100ml)を加え、バス温12
0℃で加熱攪拌した。この溶液を90℃に加熱したグラ
スフィルターを用いて濾過し、フィルター上の固体を1
−ブタノール(15ml)とキシレン(15ml)の熱
混合溶媒(90℃)で洗浄した。この濾液と洗液を合わ
せて減圧下で濃縮して溶媒(99.42g)を除いた
後、これにキシレン(100ml)を加えて減圧下で更
に濃縮して溶媒(91.87g)を除いた。
【0033】得られたスラリーにキシレン(250m
l)と水(13ml)を加えて攪拌した後、析出した固
体を吸引濾過により集めてキシレン(50ml)で洗浄
した(2回)。次いで、得られた固体を65℃で熱風乾
燥し、更に65〜200℃で減圧乾燥して、テトラフェ
ニルホスホニウムクロライドを収率95.9%で得た。
このホスホニウムクロライド中のハロゲンの割合は、モ
ル基準で、塩素イオンが99%以上で、臭素イオンが電
位差滴定で検出できない程度(1%以下)であった。な
お、以上の操作は、特に記載しない限り、常温、常圧下
で行った(以下、同様)。
【0034】実施例2 ガラス製100ml分液ロートに、テトラフェニルホス
ホニウムブロマイド(23.85mmol)と1−ブタ
ノール(50ml)を入れ、60℃に加熱して均一溶液
とした後、室温まで冷却した。この溶液にイオン交換水
(3ml)と25重量%塩化ナトリウム水溶液(25m
l)を加えて4分間攪拌して静置し、得られた溶液(2
層から成る)から下層(水層)を除去した。次いで、残
った上層(有機層)に25重量%塩化ナトリウム水溶液
(25ml)を加え、4分間攪拌して静置した後、下層
(水層)を除去した。引き続き、残った有機層に25重
量%塩化ナトリウム水溶液(25ml)を加え、4分間
攪拌して静置し、水層を分離する操作を6回繰り返し
た。
【0035】得られた有機層から水を含んだ1−ブタノ
ールを減圧蒸留で除去し、その残渣(粘稠なスラリー)
を塩化メチレン(30ml)に溶解した後、グラスフィ
ルターを用いて濾過して不溶物を除いた。次いで、この
濾液と、フィルター上の固体を塩化メチレン(5ml)
で洗浄して得られた洗液を合わせて、減圧下で濃縮して
塩化メチレンを除いた。得られた残渣に、トルエン(3
0ml)、ジエチルエーテル(10ml)、及び水(1
ml)を加えて、析出した固体を吸引濾過により集めて
トルエンで洗浄した。得られた固体を65〜180℃で
減圧乾燥して、テトラフェニルホスホニウムクロライド
を収率94.3%で得た。このホスホニウムクロライド
中のハロゲンの割合は、モル基準で、塩素イオンが99
%以上で、臭素イオンが電位差滴定で検出できない程度
(1%以下)であった。
【0036】実施例3 ガラス製2L分液ロートに、テトラフェニルホスホニウ
ムブロマイド(536.61mmol)、1−ブタノー
ル(1125ml)を入れ、30分間攪拌して均一溶液
とした。この溶液にイオン交換水(60ml)と25重
量%塩化ナトリウム水溶液(562.5ml)を加えて
10分間攪拌して静置し、得られた溶液(2層から成
る)から下層(水層)を除去した。次いで、残った上層
(有機層)に25重量%塩化ナトリウム水溶液(56
2.5ml)を加え、7分間攪拌して静置した後、下層
(水層)を除去した。引き続き、残った有機層に25重
量%塩化ナトリウム水溶液(562.5ml)を加え、
7分間攪拌して静置し、水層を分離する操作を6回繰り
返した。
【0037】得られた有機層から水を含んだ1−ブタノ
ール(849g)を蒸留で除去した後、固体が一部析出
した残渣に、攪拌下、バス温120℃でキシレン(15
0ml)を20分間で滴下した。更に、この溶液をその
温度で20分間攪拌した後、90℃に加熱したグラスフ
ィルターを用いて濾過し、フィルター上の固体を1−ブ
タノール(18ml)とキシレン(27ml)の熱混合
溶媒(90℃)で洗浄した。この濾液と洗液を合わせ
て、バス温170〜177℃で濃縮して溶媒(325m
l)を除いた。なお、このとき、175mlの溶媒が留
出した時点でキシレン(150ml)を40分間で滴下
した。濃縮後、バスを130℃まで冷却して攪拌下でキ
シレン(300ml)を30分かけて滴下し、次いでバ
スを95℃まで冷却して攪拌下で36重量%塩酸(1m
l)とイオン交換水(9ml)から調製した塩酸を15
分かけて滴下した。
【0038】攪拌下でバスを室温まで冷却した後、析出
した固体を吸引濾過により集めてキシレン(75ml)
で洗浄した(2回)。得られた固体を65〜100℃で
熱風乾燥し、更に65〜230℃で減圧乾燥して、テト
ラフェニルホスホニウムクロライドを収率97.6%で
得た。このホスホニウムクロライド中のハロゲンの割合
は、モル基準で、塩素イオンが99%以上で、臭素イオ
ンが電位差滴定で検出できない程度(1%以下)であっ
た。
【0039】実施例4 ガラス製2L分液ロートに、テトラフェニルホスホニウ
ムブロマイド(536.61mmol)、1−ブタノー
ル(204ml)、実施例3で回収した水を含んだ1−
ブタノール(849g;水含量103g)、25重量%
塩化ナトリウム水溶液(514ml)、及び塩化ナトリ
ウム(14.32g)を入れ、1時間攪拌して固体を全
て溶解させた。その後、10分間攪拌して静置し、得ら
れた溶液(2層から成る)から下層(水層)を除去し
た。次いで、残った上層(有機層)に25重量%塩化ナ
トリウム水溶液(562.5ml)を加え、7分間攪拌
して静置した後、下層(水層)を除去した。引き続き、
残った有機層に25重量%塩化ナトリウム水溶液(56
2.5ml)を加え、7分間攪拌して静置し、水層を分
離する操作を6回繰り返した。
【0040】得られた有機層から水を含んだ1−ブタノ
ール(958.61g)を減圧蒸留で除去した後、その
固体残渣(216.13g)を塩化メチレン(400m
l)に溶解して、不溶物を濾過により除去した。不溶物
を塩化メチレン(40ml)で洗浄して得られた洗液と
濾液を合わせて塩化メチレンを留去し、更に減圧下(3
00〜25mmHg)、50〜80℃で残存する溶媒を
留去した。
【0041】得られた固体を粉砕し60〜200℃で減
圧乾燥して、テトラフェニルホスホニウムクロライドを
収率98.2%で得た。このホスホニウムクロライド中
のハロゲンの割合は、モル基準で、塩素イオンが99%
以上で、臭素イオンが電位差滴定で検出できない程度
(1%以下)であった。
【0042】実施例5 ガラス製100ml分液ロートに、テトラフェニルホス
ホニウムブロマイド(23.85mmol)と塩化メチ
レン(50ml)を入れ、この溶液に23.3重量%塩
化ナトリウム水溶液(20ml)を加えて激しく振盪し
た後、得られた溶液(2層から成る)から上層(水層)
を除去した。次いで、残った下層(有機層)に23.3
重量%塩化ナトリウム水溶液(20ml)を加え、激し
く振盪して静置した後、上層(水層)を除去した。引き
続き、残った有機層に23.3重量%塩化ナトリウム水
溶液(20ml)を加え、激しく振盪し、水層を分離す
る操作を8回繰り返した。
【0043】得られた有機層を乾燥剤(無水硫酸マグネ
シウム)で処理した後、乾燥剤を濾過により除き、その
濾液から塩化メチレンを留去した。得られた固体を65
〜200℃で減圧乾燥して、テトラフェニルホスホニウ
ムクロライドを収率96.7%で得た。このホスホニウ
ムクロライド中のハロゲンの割合は、モル基準で、塩素
イオンが82%で、臭素イオンが18%であった。
【0044】実施例6 ガラス製100ml分液ロートに、p−t−ブチルフェ
ニルトリフェニルホスホニウムブロマイド(21.03
mmol)とイソプロパノール(50ml)を入れ、こ
の溶液に25.9重量%塩化ナトリウム水溶液(20m
l)とイオン交換水(11ml)を加えて激しく振盪し
た後、得られた溶液(2層から成る)から下層(水層)
を除去した。次いで、残った上層(有機層)に25.9
重量%塩化ナトリウム水溶液(20ml)とイオン交換
水(3ml)を加え、激しく振盪して静置した後、下層
(水層)を除去した。引き続き、残った有機層に25.
9重量%塩化ナトリウム水溶液(20ml)を加え、激
しく振盪し、水層を分離する操作を7回繰り返した。な
お、この操作のうち、2、4、5、7回目にイオン交換
水をそれぞれ2ml添加した。
【0045】得られた有機層を減圧下で濃縮した後、そ
の固体残渣をイオン交換水(18ml)より再結晶し、
吸引濾過により結晶を分離した。得られた結晶をイオン
交換水(10ml)で2回洗浄し、次いで65〜170
℃で減圧乾燥して、p−t−ブチルフェニルトリフェニ
ルホスホニウムクロライドを収率95%で得た。このホ
スホニウムクロライド中のハロゲンの割合は、モル基準
で、塩素イオンが99%以上で、臭素イオンが電位差滴
定で検出できない程度(1%以下)であった。
【0046】実施例7 ガラス製2L分液ロートに、テトラフェニルホスホニウ
ムブロマイド(357.74mmol)と1−ブタノー
ル(1125ml)を入れ、30分間攪拌して均一溶液
とした。この溶液に、イオン交換水(60ml)と25
重量%塩化ナトリウム水溶液(562.5ml)を加え
て、10分間攪拌して静置し、得られた溶液(2層から
成る)から下層(水層)を除去した。次いで、残った上
層(有機層)に25重量%塩化ナトリウム水溶液(56
2.5ml)を加え、7分間攪拌して静置した後、下層
(水層)を除去した。引き続き、残った有機層に25重
量%塩化ナトリウム水溶液(562.5ml)を加え、
7分間攪拌して静置し、水層を分離する操作を6回繰り
返した。
【0047】得られた有機層から水を含んだ1−ブタノ
ール(846.74g)を蒸留で除去した後、固体が一
部析出した残渣に攪拌下でキシレン(150ml)を加
え、液温75℃で20分間攪拌した後、75℃に加熱し
たグラスフィルターを用いて濾過し、フィルター上の固
体を1−ブタノール(9ml)とキシレン(13.5m
l)の熱混合溶媒(75℃)で洗浄した。次いで、この
洗液と濾液を合わせて、バス温170〜177℃で蒸留
して溶媒(300ml)を除いた。なお、このとき、1
50mlの溶媒が留出した時点でキシレン(150m
l)を40分間で滴下した。
【0048】蒸留終了後、液温を105℃まで下げ、攪
拌下で、36重量%塩酸(1.5ml)とイオン交換水
(28.5ml)の混合液を15分かけて滴下した。そ
の後、15分間で液温を90℃まで下げ、攪拌下で、キ
シレン(250ml)を45分間かけて滴下した。得ら
れた液(2層から成る)を攪拌しながら室温まで冷却
し、析出した固体を吸引濾過により集めてキシレン(7
5ml)で2回洗浄した。次いで、その固体を65〜1
20℃で熱風乾燥し、更に65〜200℃で減圧乾燥し
て、テトラフェニルホスホニウムクロライドを収率9
7.3%で得た。このホスホニウムクロライド中のハロ
ゲンの割合は、モル基準で、塩素イオンが99%以上
で、臭素イオンが電位差滴定で検出できない程度(1%
以下)であった。
【0049】実施例8 ガラス製2L分液ロートに、p−t−ブチルフェニルト
リフェニルホスホニウムブロマイド(421.05mm
ol)とイソプロパノール(1000ml)を入れ、3
0分間攪拌して均一溶液とした。この溶液に、イオン交
換水(180ml)と24.5重量%塩化ナトリウム水
溶液(450ml)を加えて、7分間攪拌して静置し、
得られた溶液(2層から成る)から下層(水層)を除去
した。次いで、残った上層(有機層)に24.5重量%
塩化ナトリウム水溶液(450ml)を加え、7分間攪
拌して静置した後、下層(水層)を除去した。引き続
き、残った有機層に25重量%塩化ナトリウム水溶液
(562.5ml)を加え、7分間攪拌して静置し、水
層を分離する操作を6回繰り返した。
【0050】得られた有機層から水を含んだイソプロパ
ノール(511.43g)を蒸留で除去した後、その残
渣に、攪拌下、85〜90℃でイオン交換水(360m
l)を30分間で加えて、再び蒸留で水を含んだイソプ
ロパノール(154.1g)を除去した。更に、蒸留残
渣にイオン交換水(100ml)を加えて蒸留で水を含
んだイソプロパノール(100ml)を除去する操作を
2回繰り返した。
【0051】得られた残渣に、攪拌下、90〜104℃
で36重量%塩酸(1.5ml)とイオン交換水(10
0ml)の混合液を滴下した後、液を室温まで冷却し、
更に氷水で冷却した。得析出した固体を吸引濾過により
集めてイオン交換水(70ml)で3回洗浄した。次い
で、その固体を65〜120℃で熱風乾燥し、更に10
0〜180℃で減圧乾燥して、p−t−ブチルフェニル
トリフェニルホスホニウムクロライドを収率95.8%
で得た。このホスホニウムクロライド中のハロゲンの割
合は、モル基準で、塩素イオンが99%以上で、臭素イ
オンが電位差滴定で検出できない程度(1%以下)であ
った。
【0052】
【発明の効果】本発明により、有機ホスホニウムブロマ
イドから対応する有機ホスホニウムクロライドを製造す
る公知の方法が有する、イオン交換樹脂を多量に使用す
る、イオン交換樹脂の再生を必要とする、廃液を多量に
排出する、再結晶等の煩雑な精製を必要とする、有機ホ
スホニウムクロライドの収率が低い、ホウフッ化銀を化
学量論量使用するなどの問題を一挙に解決して、有機ホ
スホニウムブロマイドから対応する有機ホスホニウムク
ロライドを非常に簡便にかつ効率よく製造することがで
きる。本発明の方法は、例えば、R1 、R2 、R3 、R
4 がアリール基である有機ホスホニウムクロライドの製
造において、トリアリールホスフィンとアリールブロマ
イドから有機ホスホニウムブロマイドを経由して対応す
る有機ホスホニウムクロライドを容易に合成することが
でき、トリアリールホスフィンとアリールクロライドか
ら対応する有機ホスホニウムクロライドを直接製造する
ことが困難である場合に特に有効である。また、原料の
アリール(又は、アルキル、アラルキル)クロライドの
合成や取扱いが容易でない場合にも有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新居田 貞夫 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機ホスホニウムブロマイドと塩素イオ
    ンを、水−有機溶媒の不均一混合溶媒系において接触さ
    せることを特徴とする有機ホスホニウムクロライドの製
    造法。
  2. 【請求項2】 塩素イオンがアルカリ金属塩化物に由来
    するものである、請求項1記載の有機ホスホニウムクロ
    ライドの製造法。
  3. 【請求項3】 塩素イオンが塩化ナトリウムに由来する
    ものである、請求項1記載の有機ホスホニウムクロライ
    ドの製造法。
  4. 【請求項4】 有機溶媒が、炭素数2以上のアルコー
    ル、脂肪族ハロゲン化炭化水素、ニトリル、アミド、又
    は炭素数5以上の尿素化合物である、請求項1記載のホ
    スホニウムクロライドの製造法。
  5. 【請求項5】 有機ホスホニウムブロマイドがテトラア
    リールホスホニウムブロマイドで、有機ホスホニウムク
    ロライドがテトラアリールホスホニウムクロライドであ
    る、請求項1記載の有機ホスホニウムクロライドの製造
    法。
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