JPH11212212A - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料

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JPH11212212A
JPH11212212A JP1419398A JP1419398A JPH11212212A JP H11212212 A JPH11212212 A JP H11212212A JP 1419398 A JP1419398 A JP 1419398A JP 1419398 A JP1419398 A JP 1419398A JP H11212212 A JPH11212212 A JP H11212212A
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coating
layer
gelatin
liquid
surface tension
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JP1419398A
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Koji Fukazawa
孝二 深沢
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高速で薄膜塗布を行うのに有利であり、画像
形成したプリント写真やフィルムのオイル成分の析出や
画像色素の滲みが防止できるハロゲン化銀写真感光材料
を提供する。 【解決手段】 剪断速度を連続的に変化させると
き、2,000/秒及び15,000/秒の時のそれぞ
れの粘度ηAとηBが、ηB/ηA≧0.5なる関係を各々
満たし、ゼラチンを、5.5重量%以上の濃度で含有す
るか、 気液界面を有する塗布液層の動的表面張力を
DSTa、その隣接層のものをDSTbとするとき、D
STa/DSTb≦1.0であり、かつ、この塗布液層
の静的表面張力をSSTa、その隣接層のものをSST
bとするとき、SSTa/SSTb≦1.0であり、か
つ、|DSTa−SSTb|≦20dyne/cmであ
る、複数の構成層形成用塗布液を重層塗布して得られ、
ゼラチンに対するオイル成分の重量比が0.55以上
0.85以下である感光性層を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜化や塗布の高
速化に有利であり、更には画像形成したプリント写真や
フィルムのオイル成分の析出や画像色素の滲み、熱処理
を加えた際の画像色素の変色が有効に防止されたハロゲ
ン化銀写真感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、支持体面に写真構成層を塗布
して所望の写真性能を有する感光材料を形成する方法と
して数多くのものが知られている。
【0003】ガラス板等の剛直性を有する支持体を用い
る場合、工業的には支持体を密接に配列して搬送し、塗
布膜厚みを制御しながら塗布液を流延するギーザ法が採
用される。可撓性の支持体を用いる場合、数百〜数千m
に及んで巻かれた長尺支持体を延展しながら塗布液を塗
布する方法が採られ、簡単な方法としてはディピング法
やダブルロール法がある。そして塗布膜厚みは、塗布速
度や粘度、エアードクター等の修正手段、等によりコン
トロールされる。
【0004】この様な方法は、カラー写真感光材料の様
な写真構成層が数〜十数層に及ぶ多層構成の感光材料に
は生産効率上不利であるため、多層同時塗布が可能なス
ライドホッパー法やカーテンコーティング法等が通常用
いられる。
【0005】スライドホッパー法は、斜降するスライド
面の上縁にある複数の吐出スリットから、感光材料の上
層側の塗布液を上方から順次流延させて、スライド面上
で塗膜層を形成して積層させ、一括してビードを形成さ
せながら延展移行する支持体面に塗工するものである。
このビードを安定に形成させるのが重要で、ビード上下
に気圧差を設け下側を負圧にすることがよく行われる。
又、各塗布液の物性と物性の相互の関係が安定な塗布を
行うのに重要である。
【0006】近年は、迅速処理性等の写真性能上の要請
から、各写真構成層が薄膜化しているが、薄膜化は安定
な塗布の阻害要因であり、如何に塗布速度を大きくして
生産効率向上を図るかが大きな課題となっている。
【0007】又、薄膜化するにしても、写真性能を維持
するためにゼラチン付き量やハロゲン化銀付き量は減量
し難いという制約があるため、塗布液中のゼラチン濃度
を増加させる必要がある。結果、塗布液の粘度が上昇し
次の様な弊害を招くことが判った。即ち、薄膜化のため
に、例えば最下層塗布液の粘度を15〜20cpで塗布
速度150m/分以上の高速で塗布を行うと、数mmの
ピッチで支持体の走行方向に沿った規則的な塗布故障が
生じることがある。この故障の原因は定かではないが、
その一因として塗布部において支持体に最初に接する最
下層塗布液の支持体に対する濡れが不良であることが考
えられる。この様な塗布故障に対しては最下層の粘度を
小さくすることが有効であるが、低粘度化しようとする
と塗布層の湿潤膜厚が大きくなってしまう。
【0008】重層した塗布液の合計湿潤膜厚を大きくす
ることなく、最下層を低粘度化して薄膜化を可能とする
技術として、特公昭56−20534号には、最下層で
湿潤膜厚を2〜12μm、粘度1〜8cpとし、その隣
接層は湿潤膜厚15〜20μm、粘度10〜100cp
とすることが記載されているが、この技術においては、
最下層の粘度が低すぎるためビード部が不安定となり、
最下層とその隣接層の間で混合が起こる問題がある。ま
た最下層を低粘度化するためにゼラチン濃度を小さくす
る必要があり、上層との間にゼラチン濃度の差が生じ
る。そのために、塗布直後の塗布層の流動化を阻止し、
その後の乾燥ゾーンでの乾燥風量を大きくして乾燥効率
を大きくするための、塗布層をゲル化するセットゾーン
を設けている。このゲル化ゾーンは設備のレイアウト
上、通常、塗布直後に垂直に支持体を搬送して冷風を塗
布層に吹き付ける様に構成される。この場合、最下層と
その上層にはゼラチン濃度の差があるため、ゲル化点が
異なり、最下層がゲル化しないうちに上層のみゲル化す
る領域が有り、加えて上層の膜厚が最下層のそれに比べ
て厚いことから、最下層が垂直方向へ流動して最下層と
その上層の間にズレが生じ、ムラ状塗布故障が生じてし
まうことがある。
【0009】特公昭60−12107号には、最下層の
粘度を、低剪断速度(100/秒)の時には20〜20
0cpに、高剪断速度の時には10cp以下にすること
が記載されているが、この技術によれば最下層とその隣
接層の間で混合が起こってしまう。
【0010】特開昭56−108566号には、低剪断
速度の時は最下層とその隣接層との粘度差を±10cp
とし、高剪断速度の時は最下層をその隣接層より低剪断
にする方法が、特開昭61−174970号には、前記
と同様な方法を最上層とその隣接層にも適用する方法
が、特開昭59−100434号には、比較的高粘度の
層の下層に加速層、上層に伸展層を設け、この加速層の
湿潤膜厚が2〜30μmの時の粘度を1〜20cpと
し、伸展層の湿潤膜厚5〜20μmでの粘度を1〜10
cpとすることが、それぞれ記載されている。これらは
何れも基本的には最下層の粘度をその隣接層の粘度より
も低くする技術であるが、高速で薄膜を塗布する条件で
は、低粘度化はビード形成には有利であるものの、支持
体走行方向に沿った縦スジ状塗布故障の発生を十分に抑
えることができない。
【0011】このスライドホッパー法による多層ビード
コーティングに関しては特開昭52−115214号、
同54−1350号、同56−108566号等に記載
があり、諸方法による良好な写真層の形成について数多
くの努力が払われ、各種の技術開示がされた。例えば、
特開昭52−115214号においては感光材料の層構
成において最下層に与える条件として、塗布液の塗布量
2〜12cm/m2、粘度1〜8cpを規定しており、
また、特開昭56−108566号においては該最下層
の塗布液の粘度η0に関し、低せん断速度で塗布する際
には該最下層の真上層の塗布液の粘度η1との間にη0
η1±10(cp)の許容範囲を設定し、また高せん断
速度の場合にはη0<η1を規定している。
【0012】一方、特公昭49−24133号、同49
−35447号、同53−31005号にその基本技術
が開示されるカーテンコーティング法は、スライドホッ
パービード塗布法に比べ、比較的高粘度における塗布性
及び薄膜塗布性に優れるが、垂下する液膜両縁の液膜ガ
イド付近から膜裂けを起こしたり、液膜の両縁に厚膜部
分又は脈状の隆起を生ずる、液膜の安定性を保証するた
めには供給液量を少なくとも1.4〜1.5cm3/c
m・秒としなければならないことから更なる薄膜化が困
難である、液膜を形成するコーターのスライド面終端の
端庇から液が離れる時にいわゆるティーポット効果等好
ましくない現象が発生する、液膜が支持体に接触して塗
設される際に塗布層と支持体間に気泡を抱き込む、ヒー
ル状の液溜が生成する、等の問題を有する。
【0013】これに対して、特開昭54−6887号に
は案内手段としてのワイヤを液膜に順応させて移動する
ことが、特開昭50−88138号、同55−7336
5号、同59−132966号等にはゼラチン液、水或
いは低粘度ゼラチン溶液等を液膜両端縁部分の液に混ぜ
て垂下させ、液膜両縁の厚膜や脈条を防止することが、
特開昭51−57734号、同52−69946号、同
52−114636号、同61−292140号等に
は、端庇の液流下面の形状、曲率、液膜の支持体に対す
る着地角度による改良が、特開昭50−71651号、
同53−4953号、同54−50542号、同55−
56867号には液膜の安定性改善に関する方法が、特
開昭59−100435号には3層以上の重層カーテン
塗布法において最上層、最下層となる塗布液を低粘度の
薄層として液膜の安定性を得ることが、それぞれ記載さ
れている。
【0014】しかしながら、前記したような各種の技術
的努力にも拘らず、スライドホッパービード法、カーテ
ンコーティング等で形成される写真層の被膜形状にはム
ラ状塗布故障、ハジキ状塗布故障等の被膜故障が後を絶
たない。
【0015】複数の液体層からなる積層体を移行する支
持体面に供給して塗設する際、該積層体の最上層となる
塗布液の表面張力を、前記最上層以外の層となる塗布液
の表面張力よりも低く調整することを特徴とする写真感
光材料の製造方法が提案(特開昭60−126648
号)されている。
【0016】通常はこのように多層塗布の場合、塗布後
の塗膜の安定化のために、最上層に界面活性剤を添加
し、ウィルヘルミー式、デュヌーイ式の毛管上昇等の方
法で測定される静的もしくは準静的な表面張力を他の層
よりも低くする。
【0017】一方、カーテンコーティング法の場合、特
開平3−94871号に記載されている如く、自由落下
区間において表裏の自由界面での表面張力差が大きいと
端部が不安定化し、表面張力の高い側の面から縮流を起
こし、膜切れの原因となる。具体的には自由落下液膜中
の動的表面張力に差がある2液をスライド面上で積層
し、カーテン液膜を形成すると自由落下液膜中の端部に
おいて動的表面張力の高い液が縮流を起こし極端な薄膜
部となる。このような状態で塗布を行うと、端部に正規
の膜厚分布が得られない部分が出来るのみならず、ここ
での自由落下液膜の強度が著しく劣化するため液膜全体
の破壊につながることがある。このように動的表面張力
を適切に設定しないとカーテン塗布において安定な塗布
ができないという問題がある。
【0018】このようにカーテンコーティングにおい
て、カーテン膜を安定して形成させることは、非常に重
要なことである。スライド面を流下した塗布液がダイス
リップを離れて、カーテン膜を形成するとき表面張力に
より縮まろうとする塗布液をエッジガイドと呼ばれるサ
イド部の棒(もしくは板)で保持させて塗布液の流下幅
を確保している。しかし、縮まろうとする塗布液の力を
エッジガイドが支えられなかったときには膜破壊が生
じ、安定なカーテン膜形成が困難となる。従来の技術で
はカーテン膜が形成出来ずこわれたり、たとえカーテン
膜が形成できたとしても塗布開始とともにエッジガイド
のカーテン膜保持力不足のために、塗布液が支持体の搬
送方向に引っ張られる力により、端部のカーテン膜が破
壊される現象が生じることがあった。
【0019】即ち、特開平1−99668号では、これ
を改善し膜が破壊しないようにするために両側の端部に
別にサイド液を流し、カーテン膜を補強安定化させる手
段等が取られている。しかしカーテン膜は破壊しなくな
っても端部に該サイド液が集中堆積するために両側サイ
ドの膜厚が厚くなり過ぎる。
【0020】この両側サイドの膜厚増大を抑えるため
に、特開昭61−477号、特開平6−233954号
で開示しているように、エッジガイド部のカーテン膜端
部厚膜部を吸引で除去したりしている。
【0021】また特開昭51−57734号では、平板
型エッジガイドの使用によりカーテン膜安定化が行われ
ている。しかしこれでもカーテン膜の安定化は不充分で
あり、塗布液の条件によってはカーテン膜形成が不可と
なっている。また両端厚膜現象も解消されない。
【0022】また塗布液に界面活性剤を添加し静的表面
張力、動的表面張力を低下させると、塗布液の発泡性が
増大し、かつ消泡性は劣化する。この場合、泡状塗布故
障、尾引き状塗布故障の発生を促し、表面張力の低下手
段も必ずしも塗布性に対して問題点がない訳ではない。
【0023】また、画像形成したプリント写真やフィル
ムを高温高湿環境に長期間保存した場合に、稀に、感光
材料に含有されているオイル成分(色素、画像安定剤、
紫外線吸収剤等やそれらの分散溶媒)がプリントやフィ
ルムの表面に析出したり、オイル成分の拡散によって色
素画像が滲んだりすることがある。
【0024】また感光材料が長期間高温高湿環境に置か
れた場合、それにより得た画像形成したプリント写真や
フィルムの色変動が生じたり、またプリント写真を後熱
処理する場合にも色変動が生じることがある。もちろ
ん、この種の色変動、画像にじみは生じない方が好まし
いのは言うまでもない。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の事情に
鑑みてなされたものであり、その目的は、高速で薄膜塗
布を行うのに有利であり、更には画像形成したプリント
写真やフィルムのオイル成分の析出や画像色素の滲み、
熱処理を加える際の画像色素の変色を有利に防止できる
ハロゲン化銀写真感光材料を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、 剪断速度を0/秒から20,000/秒まで連続的
に変化させるとき、剪断速度2,000/秒及び15,
000/秒の時のそれぞれの粘度ηAとηBが、ηB/ηA
≧0.5なる関係を各々満たし、ゼラチンを、5.5重
量%以上の濃度で含有する複数の構成層形成用塗布液を
重層塗布して得られ、ゼラチンに対するオイル成分の重
量比が0.55以上0.85以下である感光性層を有す
るハロゲン化銀写真感光材料、全ての感光性層のゼラチ
ンに対するオイル成分の重量比が0.55以上0.85
以下であること、及び 気液界面を有する塗布液層の動的表面張力をDST
a、その隣接層の動的表面張力をDSTbとするとき、
DSTa/DSTb≦1.0であり、かつ、気液界面を
有する塗布液層の静的表面張力をSSTa、その隣接層
の静的表面張力をSSTbとするとき、SSTa/SS
Tb≦1.0であり、かつ、|DSTa−SSTb|≦
20dyne/cmである複数の構成層形成用塗布液を
重層塗布して得られ、ゼラチンに対するオイル成分の重
量比が0.55以上0.85以下である感光性層を有す
るハロゲン化銀写真感光材料、全ての感光性層のゼラチ
ンに対するオイル成分の重量比が0.55以上0.85
以下であること、によって達成される。
【0027】以下、本発明について詳述する。
【0028】本発明の構成層形成用塗布液は、剪断速度
を0/秒から20,000/秒まで連続的に変化させる
とき、剪断速度2,000/秒及び15,000/秒の
時のそれぞれの粘度ηAとηBが、ηB/ηA≧0.5なる
関係(以下、本発明の粘度変化率とも言う。)を各々満
たすことを特徴とする。用いる塗布手段はスライドホッ
パー塗布装置であることが好ましい。また本発明の塗布
液を重層塗布するのに好ましい方法としては、スライド
ホッパービード塗布法、スライドホッパーカーテン塗布
法が挙げられる。
【0029】ここに剪断とは、一般に、物体の中に2本
の直交する基準線を引いたとき、変形によってそれらの
線のなす角が直角からずれる様な変形を言い、変形を引
き起こす力を剪断力と言う。例えば、2枚の平行板の隙
間に試料を挟み、一方の板をその面内で一方向にずらす
ときに試料に生ずる変形で、板の間隔をh、移動距離を
δ、移動速度v、変形前に試料中にとった板に垂直な線
が変形によって傾く角度をθとするとき、 剪断の程度 γ=δ/h・tanθ 剪断速度 γ′=dγ/dt=d/dt(δ/h・tanθ) 速度勾配 γ″=dv/dh=d/dh(dδ/dt) =d/dt(dδ/dh) であり、d/dt(dδ/dh)を剪断変形速度と言う
(高分子辞典、高分子学会、高分子辞典編集委員会編、
朝倉書店発行 参照。)。
【0030】また剪断速度については、特公昭60−1
2107号及び特開昭56−108566号の記載を参
照できる。
【0031】本発明の、溶液の剪断速度が連続的に変化
する時の溶液の粘度変化率は、溶液に対して連続的に変
化する剪断力を加え、その時々刻々の溶液粘度を連続的
に計測して、剪断速度2,000/秒及び15,000
/秒の時のそれぞれの粘度を求めることにより得られ
る。具体的には、HAAKE社製レオメーターを用いて
求めたものとする。
【0032】本発明の粘度変化率が0.50より小さく
なると、良好な塗布性が得られず、尾引き故障、スジ故
障、濃度ムラ等が発生し易くなり、また塗布速度を高速
化した際にそれが顕著となり、本発明の効果が得られな
い。
【0033】一方、本発明においては、気液界面を有す
る塗布液層の動的表面張力をDSTa、その隣接層の動
的表面張力をDSTbとするとき、 DSTa/DSTb≦1.0 気液界面を有する塗布液層の静的表面張力をSSTa、
その隣接層の静的表面張力をSSTbとするとき、 SSTa/SSTb≦1.0 かつ、 |DSTa−SSTb|≦20dyne/cm なる関係を満たすことを特徴とし、用いる塗布手段はス
ライドホッパー塗布装置であることが好ましい。また、
本発明の塗布液を重層塗布するのに好ましい方法として
は、スライドホッパービード塗布法、スライドホッパー
カーテン塗布法が挙げられる。
【0034】気液界面を有する塗布液層とは、スライド
ホッパービード塗布法においては、スライドホッパーと
ウェブの間の間隙に生じる重層塗布液のビードにおける
気液界面を有する塗布液層を意味し、スライドホッパー
カーテン塗布法においては、スライドホッパーから流下
しウェブに衝突するまでの間に生じる重層塗布液の自由
落下カーテン膜における気液界面を有する塗布液層を意
味する。
【0035】前記スライドホッパー塗布法による重層塗
布の系においては、スライド面と塗布液との固・液界
面、積層された塗布液間の液・液界面及び積層体表面
(最上層表面)と外気との間の気・液界面が生じ、また
カーテン塗布法においてスライドホッパーから吐出した
重層塗布液の自由落下カーテン部では、積層された塗布
液間の液・液界面及び積層体表面(最上層表面)と外気
との間の気・液界面が生じる事になり、界面において界
面に関する諸種の現象が発生する。
【0036】即ち、スライド面での積層は既にウェット
・オン・ウェットの重層工程であり、スライド面に対す
る塗布液の濡れ、塗布液層間の相互接液に由来する重層
性の問題等液体層をなす塗布液自体の粘度等の塗布膜流
延に関わる物性の他に塗布液の作る液体層表面の界面特
性が既に絡んでいる。
【0037】更に、スライド面から支持体面に積層体が
コーティングビードを作るか、自由落下カーテン膜を作
って、乗り移る際には、積層体構造が受けるせん断力等
の他に液体層表面が受けるせん断力等を考慮しなければ
ならない。
【0038】また、前記コーティングビード、もしくは
自由落下カーテン膜を過ぎ、支持体液体層が塗設された
系においては、液体をなす塗布液は、支持体と液体層表
面(最上層表面)で形成する封筒状の偏平薄筒の中に包
み込まれており重力或いは機械的振動によって内部流動
する。液体層表面は該内部流動及び、表面自体の自重に
よって表面開裂それに続く表面収縮を起こす。該開裂
後、収縮は表面下に接する液体を成す塗布液を帯同し、
ムラの生成を誘い、また、重層性等と呼応してハジキ状
塗布故障を発生する等、界面に関する動力学的諸現象が
繰り返されると思われる。
【0039】そして、スライドホッパー等による多層ビ
ードコーティング、もしくは多層自由落下カーテンコー
ティングによって積層塗膜形成をする場合に、塗布故障
なく、かつ、再現性よく塗布品質を保証するには、積層
構造体の耐せん断性、流延性に関連する物性、例えば粘
度の制御だけでなく、動的表面張力、静的表面張力に対
する考察が必須であることが見い出された。なお、多層
同時塗布、多層ビードコーティング、多層自由落下カー
テンコーティングにおける塗布故障対策として、動的表
面張力、静的表面張力の関係を取り上げた技術開示はこ
れまでにない。
【0040】即ち、本発明者等は、塗布故障、特にムラ
状塗布故障、及びハジキ状塗布故障に関して鋭意検討
し、動的表面張力と静的表面張力の関係が該塗布故障に
対して多大な影響を及ぼす事を知った。つまり、ムラ状
塗布故障は動的表面張力が大きい場合、小さい場合に発
生しやすく、またハジキ状塗布故障は動的表面張力が大
きい場合に発生しやすい。逆に、ムラ状塗布故障の発生
の最少範囲はハジキ状塗布故障の発生しくい条件とほぼ
同一となる。また動的表面張力や静的表面張力がある範
囲より小さいと塗布液の発泡性、脱泡性に影響を及ぼ
し、アワ状塗布故障を発生させることがある。従って、
動的表面張力と静的表面張力は個々に存在する特性値で
はなく、両者の関連において塗布故障に対して影響を及
ぼすと考えたのである。
【0041】更に、本発明に関わる積層体からなる液体
層においては積層体の内部層を構成する各層の塗布液の
動的表面張力、静的表面張力より液体層表面即ち、最上
層表面を形成する塗布液の動的表面張力、静的表面張力
が小さい場合、好ましくは5dyne/cm以上小さい
場合には、ムラ状塗布故障、ハジキ状塗布故障をともに
殆ど回避することができることも判った。これは、前記
した偏平薄筒が安定に形成されるためと考えられる。従
って、本発明においては、該最上層の塗布液の動的表面
張力、静的表面張力をその他の層の塗布液のそれらより
も前記最少範囲の中で小ならしめるものである。
【0042】本発明においてムラ状塗布故障及びハジキ
状塗布故障をともに最少とする液体層表面の動的表面張
力、静的表面張力は20〜50dyne/cmであり、
更に好ましくは25〜45dyne/cmであり、ま
た、積層体を構成する各層の塗布液の動的表面張力、静
的表面張力は前記範囲内にあることが好ましく、更に最
上層を構成する塗布液の動的表面張力、静的表面張力は
この範囲で多層より5dyne/cm以上小さいことが
好ましい。
【0043】前記最外層となる塗布液の動的表面張力
は、最外層以外の層となる塗布液の表面張力より少なく
とも5dyne/cm(38℃)低いことが好ましい。
また、最上層より下の層を構成する塗布液は、その隣接
層に対応する塗布液の動的表面張力の差が5dyne/
cm(38℃)以内であることが好ましい。
【0044】動的表面張力の測定方法については、ジャ
ーナル・オブ・フルーイッド・メカニズム J.Flu
id Mech.(1981),vol.112.pp
443〜458において述べられているリン(S.P.
Lin)等の報文により確立されている。
【0045】またジョース(P.Joos)等はジャー
ナル・オブ・コロイド アンド インターフェイス・サ
イエンス(J.Colloid and Interf
ace Science)Vol.115.No2.F
eb.1987においてカーテン膜内での界面活性剤の
挙動について考察してある。ここで簡単に説明すると次
の通りである。すなわち、該文中の第1図で示すよう
に、ダイス31から測定液を流下させ、ガイド棒32に
て液膜を作り、その液膜にピン状のオブスタイルを与え
ると、液膜には角度θの液膜乱れが生じ、この乱れ角度
θ及び流液Q等から次の式によって動的表面張力σが得
られる。
【0046】σ=1/2ρQusin2θ U2=u0 2+2gH u0=(Q2ρg/3μ)1/2 u:測定点流速 u0:初速 H:高さ ρ:液密度 μ:液粘度 Q:単位幅あたりの流速 (ここで、測定条件としては、液粘度が38±1.5
℃、カーテン幅が147mm、オブスタクル高さがHが
42mm) 一方、静的表面張力についても、最外層となる塗布液の
静的表面張力は、最外層以外の層となる塗布液の表面張
力より少なくとも5dyne/cm(38℃)低いこと
が好ましい。また、最上層より下の層を構成する塗布液
は、その隣接層に対応する塗布液の静的表面張力の差が
5dyne/cm(38℃)以内であることが好まし
い。
【0047】静的表面張力の測定方法については、一般
的な界面化学、コロイド化学の参考書等において述べら
れているが、例えば新実験化学講座第18巻(界面とコ
ロイド)、日本化学会編、丸善株式会社発行:P.68
〜117を参照出来る。ここで簡単に説明すると次の通
りである。
【0048】輪環法(デュヌーイ法) 液面に接触させた輪環を液面から引き上げる時、引き上
げる力と輪環−液面間に生じる表面張力がつり合い、こ
れを測定する事により静的表面張力を求めることが出来
る。
【0049】P=2・2πR・γ P:輪環を引き上げる力 γ:液体の表面張力 R:輪環の平均半径 γ=P/4πR 垂直板法(ウィルヘルミー法) 液面に浮かせた垂直板を液面から引き上げる時、上向き
の力(垂直板を引き上げる力と垂直板にかかる浮力)と
下向きの力(垂直板にかかる重力と垂直板−液面間に生
じる表面張力がつり合い、これを測定することにより静
的表面張力を求めることが出来る。
【0050】P+B=Mg+Lγ P:垂直板を引き上げる力 B:垂直板にかかる浮力 L:垂直板の水面断面の周囲の長さ γ:液体の表面張力 γ=(P+B−Mg)/L 但し一般的にはB=0(垂直板の水平断面と液面と同じ
位置に存在させる)のため、 γ=(P−Mg)/L 本発明は、最外層の動的表面張力をDSTa、その隣接
層の動的表面張力をDSTbとするとき、 DSTa/DSTb≦1.0 最外層の静的表面張力をSSTa、その隣接層の静的表
面張力をSSTbとするとき、SSTa/SSTb≦
1.0 となる場合、 |DSTa−SSTa|≦20dyne/cm もしくは、 |DSTa−SSTa|≦20dyne/cm かつ 1.0≦DSTa/SSTa≦2.0 なる関係を保持することを特徴とするが、各該当層の動
的表面張力、及び静的表面張力は上記の方法により容易
に測定することが出来る。
【0051】本発明の動的表面張力と静的表面張力の関
係において、 |DSTa−SSTa|≦20dyne/cm、もしく
は、 |DSTa−SSTa|≦20dyne/cm かつ 1.0≦DSTa/SSTa≦2.0 なる関係を保持することを特徴とするが、 |DSTa−SSTa|>20dyne/cm もしくは DSTa/SSTa<1.00、DSTa/SSTa>
2.00 となると、良好な塗布性が得られず、尾引き状塗布故
障、スジ状塗布故障、濃度ムラ状塗布故障等が発生しや
すくなり、また塗布速度を高速化した際にそれが顕著と
なり、本発明の効果が得られない。
【0052】本発明において塗布速度は、生産性向上の
観点から180m/分以上とする事が出来、200m/
分以上のごとき高速塗布にも対応可能、更には230〜
300m/分の塗布速度で本発明の効果を遺憾なく発揮
する。勿論、180m/分以下の塗布速度であっても本
発明の効果を妨げるものではない。また、塗布時の塗布
層の合計湿潤膜厚は100μm以下、更には90μm以
下で本発明の効果を遺憾なく発揮する。
【0053】本発明に適用される一般的なビードコーテ
ィング、もしくはカーテンコーティングの適用条件は、
塗布速度60〜300cm/minで、 塗布液粘度:1〜200cp 流量 :各層0.1cc/cm・sec以上で、か
つ全流量が0.5〜5cc/cm・sec以内である。
【0054】なお、主たる溶媒は水であり、2〜20層
の多層同時塗布に適用できる。
【0055】本発明において、ハロゲン化銀写真感光材
料は少なくとも1層の感光性層を有し、該感光性層のゼ
ラチンに対するオイル成分の重量比が0.55以上0.
85以下であることを特徴とする。
【0056】感光性層のオイル成分とは、発色色素前駆
体(カプラー)、画像安定剤、それらの分散溶媒であ
り、油溶性水難溶性化合物である。通常、これらは低沸
点有機溶媒に溶解され、界面活性剤を含有したゼラチン
水溶液と混合された後、分散されることにより安定な分
散粒子となる。これを感光性層用塗布液に混合する。こ
の感光性層用塗布液が他の非感光性層用塗布液とともに
支持体に塗設され、乾燥されることにより感光材料が完
成する。
【0057】感光性層用塗布液中のオイル成分とゼラチ
ンとの比率は感光材料より得られた写真プリントやフィ
ルムの画像色素安定性に密接に関わっている。つまりこ
の比率が高いほど、オイル成分の安定性が劣化し、写真
プリントやフィルムの色素安定性が劣化する。特に、ゼ
ラチンに対するオイル成分の重量比が0.85を越える
と感光材料としての使用に耐えない。また、この比率が
低いと所望の発色色素濃度を得ることができない。具体
的には、該比率が0.55未満の場合、画像色素濃度が
満足できるものではない。
【0058】本発明において、各層塗布液のバインダー
はゼラチンが好ましく、高速塗布を行っても良好な塗布
性を維持できることから、その濃度は5.5重量%以上
である。また、写真特性、物理特性の観点から、形成さ
れる感光材料のゼラチン量は1m2あたり、6.5〜
8.5g程度、好ましくは7.0〜8.0gである。
【0059】本発明において、塗布液にηB/ηA≧0.
5なる粘度変化率を付与するには、各層塗布液のバイン
ダー、好ましくはゼラチンの選択、ゼラチンとの相互作
用により塗布液の流動特性を規制し得る物質の添加、等
の手段を挙げることができ、具体的には、次に述べる、
ゼラチンを用いること、ゼラチンとの相互作用を有する
物質を用いること、それらの組み合わせが挙げられる。
【0060】本発明の動的表面張力と静的表面張力の関
係において、 |DSTa−SSTa|≦20dyne/cm かつ SSTa/SSTb≦1.0 なる関係を保持することを特徴とするが、この関係を付
与するには、各層塗布液のバインダー、好ましくはゼラ
チンの選択、ゼラチンとの相互作用により塗布液の動的
表面張力と静的表面張力の特性を制御し得る物質の添
加、等の手段を挙げる事が出来、具体的には、以下に述
べる、ゼラチンを用いる事、ゼラチンとの相互作用を有
する物質を用いる事、それらの組み合わせが挙げられ
る。
【0061】第1に、各層塗布液の少なくとも1つに、
高分子量成分の含有率が8%以下、好ましくは4%以
下、更には0.5〜3%のゼラチン、低分子量成分の
含有率が35%以下、好ましくは30%以下、更には2
5%以下のゼラチン、及びα成分の含有率が40%以
上、好ましくは45%以上のゼラチンから選ばれる少な
くとも1種を含有することが好ましい。
【0062】ゼラチンの分子量については、D.Lor
ry and M.Vedrines,Proceed
ings of the 4th IAG Confe
rence,Fribourg,Sept.,198
3,P.35、大野隆司、小林裕幸、水澤伸也、日本写
真学会誌、47,237(1984)等に記載されてい
るように、コラーゲンの構成単位であるα成分(分子量
約10万)及び、その2量体、3量体であるβ成分、γ
成分、多量体である高分子量成分、さらには、これらの
成分が不規則に切断された低分子量成分からなるのが一
般的である。ゼラチン分子量分布の測定は、上記文献
や、特開昭60−80838号、同62−87952
号、同62−265645号、同62−279329
号、同64−46742号等に記載されているように、
ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(以下、「GP
C法」とも記す)によって行われる。本発明において
は、ゼラチンの各成分の割合は以下の条件でGPC法に
よって求めたものとする。
【0063】(GPC法) a)カラム:Asahipak、GS−620(旭化成
工業社製) 2本直列接続 カラム温度50℃ b)溶離液:0.1M KH2PO4と0.1M Na2
HPO4との等量混合溶液 pH6.8 流速1.0ml/min c)試 料:ゼラチンの0.2%溶離液溶液 注入量 100μl d)検 出:紫外線吸収分光光度計(UV波長230n
m) リテンションタイム(Retention Time)
による230nmの吸収の変化を示すチャート(図1)
は、まず排除限界のピークが現れ、次にゼラチンのγ成
分、β成分、α成分によるピークが順次現れ、更にリテ
ンションタイムが長くなるにつれて徐々に減衰するよう
な形となる。
【0064】高分子量成分の含有率は、排除限界のピー
クの面積の全体の面積に占める割合を算出することによ
り求めることができる。具体的には、リテンションタイ
ム15分位に現れるピークの右側(リテンションタイム
が増大する側)の極小点から横軸に垂線を引き、その垂
線とそこより左側(リテンションタイムの小さい側)の
測定曲線とベースラインに囲まれた部分の面積の、全体
の面積に占める割合を算出する。
【0065】低分子量成分の含有率は、α成分のピーク
よりも低分子量側の部分の面積の全体の面積に占める割
合を算出することにより求めることができる。具体的に
は、リテンションタイム23分位に現れるピークaから
リテンションタイムで+1.5分の位置に横軸に垂直な
線cを引く。測定曲線、c及びベースラインに囲まれた
部分の面積の、全体の面積に占める割合を算出する(図
2参照)。
【0066】α成分の含有率は、リテンションタイム2
3分位に現れるα成分のピークaの左隣(リテンション
タイムが小さい方向)の極小点から横軸に垂直な線bを
引き、測定曲線、b、先程引いたc及びベースラインに
囲まれた部分の面積の、全体の面積に占める割合を算出
することにより求められる。
【0067】尚、ここにおけるゼラチンの低分子量成分
やα成分の含有率は、硬膜処理を施す以前のゼラチン、
即ち、写真構成層を形成する塗布液に添加されるゼラチ
ンのそれである。又、異なる複数のゼラチンを用いる場
合は、用いられたゼラチンのそれぞれの含有率の平均と
する。
【0068】用いられるゼラチンは、牛骨、牛皮、豚皮
等のいずれを原料としたゼラチンでもよいが、好ましく
は牛骨を原料として製造された石灰処理ゼラチンであ
る。
【0069】またゼラチンのゼリー強度(バギー法によ
る)は、好ましくは250g以上である。
【0070】ゼラチンのカルシウム含量(バギー法によ
る)は、好ましくは1000ppm以下であり、特に好
ましくは500ppm以下である。ゼラチン中のカルシ
ウム含量を低減させるには、一般にイオン交換樹脂カラ
ムによる処理が好ましく用いられる。
【0071】又、用いられるゼラチンは、写真的活性を
低減させる目的で過酸化水素等による酸化処理を行うこ
ともできる。ゼラチンの製法の詳細については、例えば
Arthur Veis著「The Macromol
ecular Chemistry of Gelat
in」,Academic Press,187〜21
7頁(1964年)、T.H.James:The T
heory of the Photographic
Process4th.ed. 1977,(Mac
millan)55頁、科学写真便覧(上)72〜75
頁(丸善)、写真工学の基礎−銀塩写真編119〜12
4頁(コロナ社)等に記載されている。
【0072】例えば石灰処理ゼラチンは以下のようにし
て作る。まず、燐酸カルシウムを除去したコラーゲンの
みからなるオセインを2〜3ヵ月間、飽和石灰水中に浸
漬(石灰漬け)した後、水洗、中和し、約60℃の温湯
で抽出(1番抽出)を行う。次いで約65℃で2番抽出
を、約75℃で3番抽出を、更には80℃以上で4番抽
出を行う。各抽出液は瀘過、減圧濃縮後、約10℃で冷
却、凝固させ、次いで乾燥して得られる。
【0073】ゼラチンの低分子量成分を減少させる手段
としては、例えば特開昭60−80838号に記載され
ている方法が採用できる。
【0074】上記製造法において、1番から4番まで抽
出番手が進むにつれて高分子量成分の含有量が増加し、
α成分が減少する。写真用ゼラチンとしては、一般的に
低温で抽出された1番、2番抽出のものが使用され、こ
れらゼラチンの高分子量成分は3〜10重量%である。
【0075】ゼラチンの高分子量成分を減少させる手段
としては、例えば、 原料の石灰処理の期間、温度等の条件を調節する 前処理を施した原料からゼラチンを水相に抽出する
際の温度と時間を調節し、50〜60℃の比較的低温で
抽出する。一般に抽出は順次、第1抽出、第2抽出、第
3抽出と行われるが、第1抽出物が好ましく、更に、短
い抽出時間で抽出されることが好ましい ゼラチン溶液に超音波照射を行う ゼラチン溶液に過酸化水素水を添加する 限外濾過膜による分子量分画法を用いる アルコール類等の有機溶媒を用いたコアセルベーシ
ョン法による分子量分画法を用いる が挙げられ、単独又は組み合わせて採用することができ
る。
【0076】バインダーとして、前記ゼラチン以外にゼ
ラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマ
ー、蛋白質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一或いは
共重合体の如き合成親水性高分子物質等の親水性コロイ
ドも用いることができ、例えばポリアクリルアミド、コ
ロイド状アルブミン、セルロースアセテート、セルロー
スニトレート、ポリビニルアルコール、加水分解された
ポリビニルアセテート、フタル化ゼラチン等が挙げられ
る。
【0077】第2に、各層塗布液の少なくとも1つに下
記一般式(1)で表される化合物を含有することが好ま
しい。
【0078】
【化1】
【0079】〔式中、L1及びL2は各々、カルボキシ基
またはその塩、カルボキシ基またはその塩を有する置換
基又は水素原子を表すが、同時に水素原子であることは
無い。Mはスルホニル基またはその塩、又はスルホニル
基またはその塩を有する置換基を表し、Nはカルボキシ
基、スルホニル基を有さない置換基、水素原子又はハロ
ゲン原子を表す。x、y、zは各々モル%を表し、x+
y+z=100であり、x及びyが同時に0であること
は無い。〕 ここにおける置換基としては、アルキル基、アルケニル
基、アリール基、ベンゼン環、複素環が挙げられ、それ
らの水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、
炭素、窒素、硫黄、酸素、燐原子から構成される2価の
結合基を有していてもよい。又、カルボキシ基及びスル
ホニル基の塩としてはアルカリ金属塩が挙げられる。以
下にL1、L2、M、Nの具体例を挙げるがこれらに限定
されるものではない。
【0080】
【化2】
【0081】
【化3】
【0082】
【化4】
【0083】又、x、y、zとして、 x=0の時、y=20〜100、z=0〜80が好まし
く、更にはy=40〜100、z=0〜60が好ましい y=0の時、x=20〜80、z=20〜80が好まし
く、更にはx=40〜60、z=40〜60が好ましい z=0の時、x=0〜100、y=0〜100が好まし
く、更にx=0〜80、y=20〜100が好ましく、
より好ましくはx=20〜60、y=40〜80である x≠0、y≠0及びz≠0の時、x、y、zはともに5
〜50であることが好ましい。
【0084】本発明において、一般式(1)で表される
化合物の重量平均分子量は200〜2,000,000
程度、好ましくは1,000〜1,000,000、更
には10,000〜800,000である。
【0085】ここに、重量平均分子量(Mw)は、単位
体積中にMiなる分子量の分子がNi個存在するものと
すると、 Mw=(ΣMi2Ni)/(ΣMiNi) により定義される(“化学大辞典”化学大辞典出版委員
会編、共立出版株式会社発行、参照。)。又、重量平均
分子量を得るための分子量分布の測定は、特開昭60−
80838号、同62−87952号、同62−265
645号、同62−279329号、同64−4674
2号等に記載されるゲルパーミエーションクロマトグラ
フ法(GPC法)によって行うことができる。
【0086】以下に、一般式(1)で表される化合物の
具体例を挙げるが、これらに限定されない。
【0087】
【化5】
【0088】
【化6】
【0089】これらの化合物は、仏国特許第764,3
94号や、西独特許第645,625号に記載される様
に、親水性高分子として知られ、ゼラチンの代替物とし
てハロゲン化銀写真感光材料に用いられて来たものであ
り、例えばスチレン又はスチレン誘導体のモノマーと無
水マレイン酸とをラジカル重合して得られた共重合体を
加水分解した後、中和するといった公知の合成法によっ
て容易に得ることができる。これらは前記親水性バイン
ダーとの併用により層を形成することができる。
【0090】これら一般式(1)で表される化合物は、
感光材料の感光性ハロゲン化銀乳剤層、中間層、保護層
等任意の層に含有させることができる。その添加量は感
光材料1m2当たり0.001〜10g程度、好ましく
は0.005〜2g、更には0.010〜1gである。
又、ゼラチン1g当たりでは0.1mg以上、好ましく
は0.4mg以上、更には1〜100mgである。
【0091】これらの化合物を感光材料に含有させるに
は、水もしくは水と相溶性を有する溶剤(低級アルコー
ル類、エステル類、ケトン類等)やこれらの混合溶剤に
溶解して塗布液に添加すればよい。添加時期は塗布時又
は塗布前の任意の時期でよいが、ハロゲン化銀乳剤層に
添加する場合、化学熟成以降塗布の間に添加するのが好
ましい。
【0092】本発明においては、塗布液の少なくとも1
つが一般式R−(A)m−Xで表されるベタイン性界面
活性剤を含有することが好ましい。ここに、Rはアルキ
ル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基又はア
リールオキシ基を表し、これらは置換基を有してもよ
く、Aは2価の連結基を表し、Xはベタイン性基を表
し、mは0又は1を表す。
【0093】Aは好ましくは、アルキレン基(エチレン
基、トリメチレン基等)、アリーレン基(フェニレン基
等)又はアリールアルキレン基(フェニルエチレン基
等)で、これらは置換基を有してもよく、酸素原子、エ
ステル基、アミド基、スルホニル基、硫黄原子、スルホ
ンアミド基の様な異種の原子又は基で中断された2価の
連結基も含まれる。
【0094】Xで表されるベタイン性基としては、例え
ば次に示すものが挙げられる。
【0095】
【化7】
【0096】〔式中、R1及びR2は、各々水素原子、炭
素原子数1〜8の置換基を有してもよいアルキル基又は
置換基を有してもよいアリール基を表し(メチル基、エ
チル基、ベンジル基等)、R3は炭素原子数1〜5のア
ルキレン基(メチレン基、エチレン基、プロピレン基、
ブチレン基等)を表す。
【0097】以下に代表的なベタイン性界面活性剤の具
体例を示すが、本発明に用いるものはこれらに限定され
ない。
【0098】
【化8】
【0099】
【化9】
【0100】この他に、特公平1−19136号に記載
の化合物(II−1)〜(II−6)、特開昭61−203
452号に記載の化合物(1)〜(5)、同62−28
3334号に記載の化合物(1)〜(24)、同63−
174041号に記載の化合物(8)〜(13)、特開
平1−158439号に記載の化合物(1)〜(3
8)、特開平2−28641号に記載の化合物(I−
1)〜(I−18)、等も用いることができる。これら
は単独で用いても併用してもよい。
【0101】ベタイン性界面活性剤の使用量は、感光材
料1m2当たり0.1〜1000mg程度、好ましくは
0.5〜300mg、更には1.0〜150mgであ
る。
【0102】ベタイン性界面活性剤を添加する層として
好ましくは、最上層又は裏面層である。又、感光材料の
表面保護層上に塗布してもよい。
【0103】本発明においては、塗布液の少なくとも1
つが少なくとも1種のノニオン性界面活性剤を含有する
ことが好ましい。ノニオン性界面活性剤は下記一般式
(N)で表されるものが好ましい。
【0104】一般式(N) R−(G)m−X 〔式中、Rは、アルキル基(置換基を有するものも含ま
れる)、アルコキシ基(置換基を有するものも含まれ
る)、アルケニル基(置換基を有するものも含まれ
る)、アリール基(置換基を有するものも含まれる)、
またはアリーロキシ基(置換基を有するものも含まれ
る)を表す。
【0105】Gは2価の連結基を表し、Xは、ノニオン
性基の親水性基を表し、またmは0または1を表す。〕 Gは、好ましくは、アルキレン基(置換基を有するもの
も含まれる、例えばエチレン基、トリメチレン基等)、
アリーレン基(置換基を有するものも含まれる、例え
ば、プロピル基、フェニレン基等)またはアリールアル
キレン基(置換基を有するものも含まれる、例えばフェ
ニルエチレン基等)を表し、これらの基には、酸素原
子、エステル基、アミド基、スルホニル基、硫黄原子の
様な異種の原子または異種の基で中断された2価の連結
基も含まれる。
【0106】Xで表されるノニオン性基としては、例え
ば−(B−O)n−Rsである。ここでBは、−CH2CH
2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH(OH)−C
2−または−CH(CH3)−CH2−を表し、nはポ
リオキシアルキレン基の平均重合度を表し、1〜50の
整数である。またRsは、水素原子、置換基を有するも
のも含むアルキル基または置換基を有するものも含むア
リール基を表す。
【0107】代表的なノニオン性界面活性剤の具体例を
以下に示すが、本発明に用いられるものはこれらに限定
されない。
【0108】
【化10】
【0109】
【化11】
【0110】
【化12】
【0111】本発明において使用されるノニオン性界面
活性剤の使用量は、ハロゲン化銀写真感光材料の1m2
あたり、0.1〜1000mgが好ましく、0.5〜3
00mgが、更に好ましく、1.0〜150mgが特に
好ましい。
【0112】ノニオン性界面活性剤は、それぞれノニオ
ン性界面活性剤を単体で用いてもよいし、2種以上併用
してもよい。
【0113】ベタイン性界面活性剤またはノニオン性界
面活性剤の添加層は、特に制限はないが、表面保護層ま
たは裏面層もしくは支持体に一番近い側の層であること
が好ましい。あるいは、ハロゲン化銀写真感光材料の表
面保護層の更にその上層に塗設されてもよい。即ち、重
層構成のうち、支持体に最も近い側の層、支持体から最
も遠い側の層に使用されることが特に好ましい。
【0114】又、本発明において、以下に述べるカチオ
ン性界面活性剤を塗布液の少なくとも1つに添加するこ
とも好ましい。ここに言うカチオン性界面活性剤は 一般式(K) R−L−X+- 〔式中、Rは置換基を有しても良い炭素数1〜20の炭
素主鎖基を表す。Lは化学結合手又は2価基を表す。X
+はカチオン、Z-はカウンターアニオンを表す。〕で表
される化合物である。
【0115】RとしてはCn2n+1、Cn2n+1、Cnm
2n+1-m(n=1〜20、好ましくは3〜15、m=1
〜20、好ましくは3〜11)を挙げることができる。
【0116】Lの例としては、−SO2N(R1)(CH
2p−,−CON(R1)(CH2p−,−SO2N(R
1)(CH2p−,−CON(R1)(CH2p−,−O
(CH2p−,−(CH2p−,−O(CH2CH2O)
q(CH2p−,−O(CH2p−,−N(R1)(CH
2p−,−SO2N(R1)(CH2pO(CH2r−,
−CON(R1)(CH2pO(CH2r−,−SO2
(R1)(CHR1p−,−(CH2p(CHOH)
s(CH2r−等を挙げることができる。
【0117】X+の例としては、−N+(R13,−N+
(CH2CH2OCH33,−N+48O(R1),−N
+(R1)(R2)(CH2CH2OCH3),−N+
55,−N+(R1)(R2)(CH2p65,−N
+(R1)(R2)(R2)等を挙げることができる。ここ
でR1及びR2は各々、水素原子又は炭素原子数1〜6の
アルキル基(置換基を有してもよい)を表し、p,r,s
は各々0〜6、qは1〜20である。
【0118】Z-の例としては、I-,Cl-,Br-,C
3SO3 -,CH3−C64−SO3 -等を挙げることがで
きる。
【0119】以下に本発明に好ましく使用されるカチオ
ン性界面活性剤の具体例を示すが、これらに限定される
ものではない。
【0120】
【化13】
【0121】
【化14】
【0122】本発明においては、カチオン性界面活性剤
としては下記一般式(FK)で表される含フッ素界面活
性剤を用いることが好ましい。
【0123】 一般式(FK) Rf′−L−X+- 〔式中、Rf′は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、
少なくとも一つの水素原子は弗素原子で置換されてい
る。L、X+及びZ-は一般式(K)と同義である。〕 Rf′の例としては、−Ckk+1(k=1〜20、特に
3〜12が好ましい),−Cm2m,−Cm2m-1(m=
2〜20、特に3〜12が好ましい)等を挙げることが
できる。
【0124】以下に本発明に好ましく用いられる含フッ
素カチオン性界面活性剤の具体例を挙げるが、これらに
限定されない。
【0125】
【化15】
【0126】
【化16】
【0127】
【化17】
【0128】本発明では特に難溶性の−SO2N(R1
−なる結合を少なくとも一つ含む含フッ素カチオン性界
面活性剤を使用することが好ましい。ここで難溶性と
は、23℃の純水100ccに該活性剤を2.0g添加
して1時間撹拌し、23℃で24時間放置した後に沈澱
物を生じたり、浮遊物が観察されたときに難溶性とす
る。例えばFK−1,FK−8,FK−15,FK−1
6等が相当するが、これらに限られるわけではなく上記
のテストにより分けることができる。
【0129】カチオン性界面活性剤の使用量は、感光材
料1m2当たり0.01〜500mg程度、好ましくは
0.05〜200mg、更には0.1〜100mgであ
る。
【0130】又、本発明においては、少なくとも1層の
塗布液に下記一般式(FA)で表される含フッ素界面活
性剤を含有することが好ましい。
【0131】一般式(FA) (Cf)−(Y)n 式中、Cfは少なくとも3個の弗素原子と少なくとも2
個の炭素原子を含むn価の基で表し、Yは−COOM,
−SO3M,−OSO3M又は−P(=O)(OM)2を表
す。Mは水素原子又はアルカリ金属もしくは第4級アン
モニウム塩の如きカチオンを表し、nは1又は2であ
る。
【0132】更に好ましく用いられる弗素系アニオン性
活性剤としては、下記一般式(FA′)で示されるもの
である。
【0133】 一般式(FA′) Rf−(D)t−Y 式中、Rfは炭素原子数3〜30の弗素置換アルキル基
又はアリール基を表し、Dは−O−,−COO−,−C
ON(R3)−又は−SO2N(R3)−なる結合を少な
くとも一つ含む炭素原子数1〜12の2価の基を表す。
3は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、tは1又
は2であり、Yは−COOM−,−SO3M,−OSO3
M又は−P(=O)(OM)2を表し、Mは水素原子又
はアルカリ金属もしくは第4級アンモニウム塩の如きカ
チオンを表す。
【0134】次に一般式(FA)で表される化合物の具
体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0135】
【化18】
【0136】
【化19】
【0137】
【化20】
【0138】
【化21】
【0139】
【化22】
【0140】特に好ましくは、−SO2N(R3)−なる
結合を少くとも一つ含む含フッ素アニオン性界面活性剤
を使用することである。
【0141】含フッ素アニオン性界面活性剤の使用量
は、感光材料1m2当たり0.05〜1000mg程
度、好ましくは0.1〜500mg、更には0.5〜2
00mgである。
【0142】上記の含フッ素アニオン性界面活性剤或い
は含フッ素カチオン性界面活性剤は、例えば米国特許第
2,559,751号、同2,567,011号、同
2,732,398号、同2,764,602号、同
2,806,866号、同2,809,998号、同
2,915,376号、同2,915,528号、同
2,918,501号、同2,934,450号、同
2,937,098号、同2,957,031号、同
3,472,894号、同3,555,089号、英国
特許第1,143,927号、同1,130,822
号、特公昭45−37304号、特開昭47−9613
号、同49−134614号、同50−117705
号、同50−117727号、同50−121243
号、同52−41182号、同51−12392号の、
英国化学会誌(J.Chem.Soc.)1950年2
789頁、同1957年2574頁及び2640頁、米
国化学会誌(J.Amer.Chem.Soc.)79
巻2549頁(1957年)、油化学(J.Japan
Oil Chemists Soc.)12巻653
頁、有機化学会誌(J.Org.Chem.)30巻3
524頁(1965年)等に記載された方法によって合
成することができる。
【0143】これらの含フッ素界面活性剤のうち、ある
種のものは大日本インキ化学工業社からメガファック
(Megafac)Fなる商品名で、ミネソタ・マイニ
ング・アンド・マニファクチュアリング・カンパニー社
からフルオラッド(Fluorad)FCなる商品名
で、インペリアル・ケミカル・インダストリー社からモ
ンフロール(Monflor)なる商品名で、イー・ア
イ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社からゾ
ニルス(Zonyls)なる商品名で、又、ファルベベ
ルケ・ヘキスト社からリコベット(Licowet)V
PFなる商品名で、それぞれ市販されている。
【0144】これらのカチオン性界面活性剤と含フッ素
アニオン性界面活性剤は併用して用いることが好まし
い。カチオン性界面活性剤と含フッ素アニオン性界面活
性剤の合計使用量は、感光材料1m2当たり0.1〜1
000mg程度、好ましくは0.5〜300mg、更に
は0.1〜150mgである。また両者の割合は、モル
比で1:9〜9:1が好ましく、更に好ましくは3:7
〜7:3である。
【0145】使用される層としては、表面保護層、裏面
保護層、中間製品の表面層等が好ましく、表面保護層や
裏面保護層上に塗布して用いてもよい。
【0146】本発明の感光材料に使用されるハロゲン化
銀乳剤の組成は、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、沃臭化
銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀等、任意であるが、塩化銀を
95モル%以上含有する実質的に沃化銀を含有しない塩
臭化銀が好ましく、臭化銀を高濃度に含有する部分をエ
ピタキシー接合やコアシェル、局在形態で有するものが
好ましい。更には、臭化銀の高濃度部分はハロゲン化銀
結晶粒子の頂点にあることが好ましい。またハロゲン化
銀乳剤には重金属イオンを含有せしめるのが有利であ
る。
【0147】ハロゲン化銀粒子の形状は任意であり、好
ましいものの1例として(100)面を結晶表面として
有する立方体を挙げることができる。粒径も任意である
が、迅速処理性及び写真性能の点から0.1〜1.2μ
m程度、好ましくは0.2〜1.0μmである。粒径の
分布は変動係数(=粒径分布の標準偏差/平均粒径)が
0.22以下が好ましく、更には0.15以下である。
変動係数0.15以下の単分散性のハロゲン化銀乳剤を
2種以上同一ハロゲン化銀乳剤層に添加することが特に
好ましい。
【0148】ハロゲン化銀乳剤には金化合物を用いる増
感法、カルコゲン化合物を用いる増感法を組み合わせて
適用できる。また還元増感法を用いてもよい。
【0149】更に、感光材料の調製工程中に生じるカブ
リを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現
像時に生じるカブリを防止する目的で公知のカブリ防止
剤、安定剤を用いることができる。又、イラジエーショ
ン防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収
を有する染料を用いることができる。又、腐敗や着色防
止のため、種々の防黴剤を用いてもよい。
【0150】感光材料に用いる分光増感色素としては、
公知の化合物をいずれも用いることができる。半導体レ
ーザーを用いたプリンターにより露光する場合には、赤
外に感光性を有する増感色素を用いる。強色増感剤とし
ては、スチルベン、アザインデン、メルカプト複素環化
合物、チオ尿素あるいはフェノール類とヘキサメチレン
テトラミンの縮合物、環状化合物(クラウンエーテル
等)を用いることができる。
【0151】感光材料に好ましく用いることのできるイ
エローカプラーとしては、特開平4−114154号8
頁に記載の一般式(Y−I)で表されるカプラーを挙げ
ることができる。具体的な化合物は、同公報9〜11頁
にYC−1〜YC−9として記載されているものを挙げ
ることができる。中でも同公報11頁に記載されている
YC−8、YC−9は好ましい色調の黄色を再現でき好
ましい。
【0152】感光材料に好ましく用いることのできるマ
ゼンタカプラーとしては、特開平4−114154号1
2頁に記載の一般式(M−I)、(M−II)で表される
カプラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同
公報13〜16頁にMC−1〜MC−11として記載さ
れているものを挙げることができる。中でも同公報15
〜16頁に記載されているMC−8〜MC−11は青か
ら紫、赤に至る色の再現性及びディティールの描写力に
優れ、好ましい。
【0153】感光材料に好ましく用いることのできるシ
アンカプラーとしては、特開平4−114154号公報
17頁に記載の一般式(C−I)、(C−II)で表され
るカプラーを挙げることができる。具体的な化合物は、
同公報18〜21頁にCC−1〜CC−14として記載
されているものを挙げることができる。
【0154】発色色素の吸収波長をシフトさせる目的
で、特開平4−114154号公報33頁に記載の化合
物(d−11)、同公報35頁に記載の化合物(A′−
1)等の化合物を用いることができる。また、これ以外
にも米国特許4,774,187号に記載の蛍光色素放
出化合物を用いることもできる。
【0155】感光材料の支持体としては、ポリエチレン
やポリエチレンテレフタレートで被覆した紙、天然パル
プや合成パルプからなる紙支持体、塩化ビニルシート、
白色顔料を含有するポリプロピレンやポリエチレンテレ
フタレート、バライタ紙等を用いることができる。
【0156】感光材料は、当業界で公知の現像処理を行
うことにより画像を形成することができる。通常は、発
色現像後、漂白処理及び定着処理を施される。漂白処理
と定着処理は同時に行ってもよい。定着処理の後は、水
洗処理又は安定化処理が行われる。
【0157】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0158】実施例1 坪量180g/m2の紙パルプの両面に高密度ポリエチ
レンをラミネートし、紙支持体を作製した。但し、乳剤
層を塗布する側には、表面処理を施したアナターゼ型酸
化チタンを15重量%の含有量で分散して含む溶融ポリ
エチレンをラミネートし、反射支持体を作製した。この
反射支持体をコロナ放電した後、ゼラチン下塗り層を設
け、以下に示す構成の各層を塗設し、ハロゲン化銀写真
感光材料を作製した。この時の塗布は、米国特許第2,
761,417号に記載のマルチスライドホッパー方式
で、塗布速度230m/分で行った。これを塗布条件A
とする。
【0159】塗布液は下記のごとく調製した。
【0160】第1層塗布液 イエローカプラー(Y−1)23.4g、色素画像安定
化剤(ST−1)3.34g、(ST−2)3.34
g、(ST−5)3.34g、ステイン防止剤(HQ−
1)0.33g、化合物A5.0g及び高沸点有機溶媒
(DBP)5.0gに酢酸エチル60ccを加え溶解
し、この溶液を20%界面活性剤(SU−1)7ccを
含有する10%ゼラチン水溶液220ccに超音波ホモ
ジナイザーを用いて乳化分散させてイエローカプラー分
散液を作製した。この分散液を下記条件にて作製した青
感性ハロゲン化銀乳剤と混合し第1層塗布液を調製し
た。
【0161】第2層〜第7層塗布液も上記第1層塗布液
と同様に表1および表2の塗布量になるように各塗布液
を調製した。
【0162】又、硬膜剤として(H−1)、(H−2)
を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−
2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。ま
た各層にF−1を全量が0.04g/m2となるように
添加した。
【0163】各層のゼラチンの種類、ゼラチン濃度、一
般式(1)で表される化合物の種類、量及び添加層を表
に記載の如く変化させて、粘度変化率ηB/ηAを変化さ
せ、試料101〜106を作製した。ここに、 ゼラチンa 牛骨を原料とした石灰処理ゼラチン 高分子量成分 8.5% α成分 35% 低分子量成分 38% ゼラチンb 牛骨を原料とした石灰処理ゼラチン 高分子量成分 6.0% α成分 36% 低分子量成分 32% ゼラチンc 牛骨を原料とした石灰処理ゼラチン 高分子量成分 3.5% α成分 36% 低分子量成分 26% ゼラチンd 牛骨を原料とした石灰処理ゼラチン 高分子量成分 3.5% α成分 43% 低分子量成分 27% ゼラチンe 牛骨を原料とした石灰処理ゼラチン 高分子量成分 2.5% α成分 48% 低分子量成分 22% 粘度変化率はHAAKE社製レオメーターを使用し以下
の測定条件で求めた。
【0164】 測定温度 :38℃ 測定頭 :MK−50 ローター :HS−1 85167 回転数 :0から500までの連続回転、及び50
0から0までの連続回転 剪断速度 :0/秒から20,000/秒、及び2
0,000/秒から0/秒までの連続変化 連続回転時間:1分間
【0165】
【表1】
【0166】
【表2】
【0167】SU−1:トリ−i−プロピルナフタレン
スルホン酸ナトリウム SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナ
トリウム塩 SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,
5,5−オクタフルオロペンチル)・ナトリウム塩 DBP :ジブチルフタレート DOP :ジオクチルフタレート DIDP:ジ−i−デシルフタレート PVP :ポリビニルピロリドン H−1 :テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタ
ン H−2 :2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−ト
リアジン・ナトリウム 化合物A:P−t−オクチルフェノール
【0168】
【化23】
【0169】
【化24】
【0170】
【化25】
【0171】
【化26】
【0172】
【化27】
【0173】(青感性ハロゲン化銀乳剤の調製)40℃
に保温した2%ゼラチン水溶液1l中に下記(A液)及
び(B液)をpAg=7.3、pH=3.0に制御しつ
つ30分かけて同時添加し、更に下記(C液)及び(D
液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ18
0分かけて同時添加した。
【0174】この時、pAgの制御は特開昭59−45
437号に記載の方法により行い、pHの制御は硫酸又
は水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
【0175】 (A液) 塩化ナトリウム 3.42g 臭化カリウム 0.03g 水を加えて 200ml (B液) 硝酸銀 10g 水を加えて 200ml (C液) 塩化ナトリウム 102.7g K2IrCl6 4×10-8モル/モルAg K4Fe(CN)6 2×10-5モル/モルAg 臭化カリウム 1.0g 水を加えて 600ml (D液) 硝酸銀 300g 水を加えて 600ml 添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液
と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行っ
た後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.71μ
m、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.
5モル%の単分散立方体乳剤EMP−1を得た。ここで
いう平均粒径とは、ハロゲン化銀粒子の投影像を同面積
の円像に換算したときの粒径である。
【0176】(A液)と(B液)の添加時間及び(C
液)と(D液)の添加時間を変更した以外はEMP−1
と同様にして平均粒径0.64μm、粒径分布の変動係
数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方
体乳剤EMP−1Bを得た。
【0177】上記乳剤EMP−1に対し、下記化合物を
用い60℃にて最適に化学増感を行った。又、EMP−
1Bに対しても同様に最適に化学増感を行い、EMP−
1とEMP−1Bを銀量で1:1の割合で混合し、青感
性ハロゲン化銀乳剤(Em−B)を得た。
【0178】 チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モル AgX 塩化金酸 0.5mg/モル AgX 安定剤 STAB−1 3×10-4モル/モル AgX 安定剤 STAB−2 3×10-4モル/モル AgX 安定剤 STAB−3 3×10-4モル/モル AgX 増感色素 BS−1 4×10-4モル/モル AgX 増感色素 BS−2 1×10-4モル/モル AgX (緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製)(A液)と(B液)
の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変更す
る以外はEMP−1と同様にして平均粒径0.40μ
m、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分
散立方体乳剤EMP−2を得た。また平均粒径0.50
μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単
分散立方体乳剤EMP−2Bを得た。
【0179】上記乳剤EMP−2に対し、下記化合物を
用い55℃にて最適に化学増感を行った。又、EMP−
2Bに対しても同様に最適に化学増感を行い、EMP−
2とEMP−2Bを銀量で1:1の割合で混合し、緑感
性ハロゲン化銀乳剤(Em−G)を得た。
【0180】 チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モル AgX 塩化金酸 1.0mg/モル AgX 安定剤 STAB−1 3×10-4モル/モル AgX 安定剤 STAB−2 3×10-4モル/モル AgX 安定剤 STAB−3 3×10-4モル/モル AgX 増感色素 GS−1 4×10-4モル/モル AgX (赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製)(A液)と(B液)
の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変更す
る以外はEMP−1と同様にして平均粒径0.40μ
m、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分
散立方体乳剤EMP−3を得た。また平均粒径0.38
μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単
分散立方体乳剤EMP−3Bを得た。
【0181】上記乳剤EMP−3に対し、下記化合物を
用い60℃にて最適に化学増感を行った。又、EMP−
3Bに対しても同様に最適に化学増感を行い、EMP−
3とEMP−3Bを銀量で1:1の割合で混合し、赤感
性ハロゲン化銀乳剤(Em−R)を得た。
【0182】 チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モル AgX 塩化金酸 2.0mg/モル AgX 安定剤 STAB−1 3×10-4モル/モル AgX 安定剤 STAB−2 3×10-4モル/モル AgX 安定剤 STAB−3 3×10-4モル/モル AgX 増感色素 RS−1 1×10-4モル/モル AgX 増感色素 RS−2 1×10-4モル/モル AgX STAB−1:1−(3−アセトアミドフェニル)−5
−メルカプトテトラゾール STAB−2:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾ
ール STAB−3:1−(4−エトキシフェニル)−5−メ
ルカプトテトラゾール また赤感光性乳剤にはジベンゾ−18−クラウン6をハ
ロゲン化銀1モル当たり2.0×10-3添加した。
【0183】
【化28】
【0184】同様の層構成で、特公昭49−35447
号に記載されている様な自由落下カーテン膜方式によ
り、塗布速度240m/分、カーテン膜高さ5cm(塗
布条件B)で、各層のゼラチン濃度、感光性層のオイル
成分とゼラチンとの重量比、一般式(1)で表される化
合物の種類、量、及び添加層を下表に記載の如く変化さ
せて、粘度変化率ηB/ηAを変化させ、試料201〜2
11を作製した。
【0185】
【表3】
【0186】
【表4】
【0187】
【表5】
【0188】
【表6】
【0189】現像処理は下記現像処理工程により行っ
た。
【0190】 処理工程 処理温度 時間 補充量 発色現像 38.0±0.3℃ 45秒 80cc 漂白定着 35.0±0.5℃ 45秒 120cc 安 定 化 30〜34℃ 60秒 150cc 乾 燥 60〜80℃ 30秒 現像処理液の組成を下記に示す。
【0191】 発色現像液タンク液及び補充液 タンク液 補充液 純水 800ml 800ml トリエチレンジアミン 2g 3g ジエチレングリコール 10g 10g 臭化カリウム 0.01g − 塩化カリウム 3.5g − 亜硫酸カリウム 0.25g 0.5g N−エチル−N−(βメタンスルホンアミドエチル)−3−メチル−4−アミ ノアニリン硫酸塩 6.0g 10.0g N,N−ジエチルヒドロキシルアミン 6.8g 6.0g トリエタノールアミン 10.0g 10.0g ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム塩 2.0g 2.0g 蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体) 2.0g 2.5g 炭酸カリウム 30g 30g 水を加えて全量を1lとし、タンク液はpH=10.1
0に、補充液はpH=10.60に調整する。
【0192】 漂白定着液タンク液及び補充液 ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄アンモニウム2水塩 65g ジエチレントリアミン五酢酸 3g チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 100ml 2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール 2.0g 亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 27.5ml 水を加えて全量を1lとし、炭酸カリウム又は氷酢酸で
pH=5.0に調整する。
【0193】 安定化液タンク液及び補充液 o−フェニルフェノール 1.0g 5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g 2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g ジエチレングリコール 1.0g 蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g 1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g 塩化ビスマス(45%水溶液) 0.65g 硫酸マグネシウム・7水塩 0.2g PVP 1.0g アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g ニトリロ三酢酸・三ナトリウム塩 1.5g 水を加えて全量を1lとし、硫酸又はアンモニア水でp
H=7.5に調整する。
【0194】評価は以下の様に行った。
【0195】《高速塗布速度耐性》本発明の試料204
〜211の塗布にあたって条件の変更を適宜行い、順次
塗布速度を大きくしてゆき、カーテン膜の安定性が劣化
して塗布不良が見られる様になる速度を評価し、高速塗
布限界速度とした。
【0196】《塗布性》 (尾引き状塗布故障、スジ状塗布故障)未処理の生試料
の塗布性を目視で観察し、以下の基準で評価した。
【0197】 1:塗布故障は見られず、塗布性が良好である 2:1m2当たり1〜5個の尾引き状塗布故障又はスジ
状塗布故障が見られる 3:1m2当たり6〜9個の尾引き状塗布故障又はスジ
状塗布故障が見られる 4:1m2当たり10個以上の尾引き状塗布故障又はス
ジ状塗布故障が見られる。
【0198】(濃度ムラ状塗布故障)青色、緑色、赤色
の各々の単色露光後の処理済み試料を目視で観察し、以
下の基準で塗布性を評価した。
【0199】 1:塗布面の濃度ムラは目視では判別できず、塗布性が
良好である 2:1m2当たり1〜3箇所程度の微細な濃度ムラ状塗
布故障が見られる 3:1m2当たり4〜6箇所程度の微細な濃度ムラ状塗
布故障が見られる 4:1m2当たり7箇所以上の微細な濃度ムラ状塗布故
障、若しくは大柄の濃度ムラ状故障が見られる。
【0200】(オイル成分染み出し)処理済み試料を7
5℃で80%RHの恒温恒湿機に20日間保存して試料
面を目視で観察し、以下の基準で評価した。
【0201】 1:オイル成分の染み出しや析出は見られない 2:10cm×10cm当たり1〜5箇所のオイル成分
の染み出し、析出が見られる 3:10cm×10cm当たり6〜9箇所のオイル成分
の染み出し、析出が見られる 4:10cm×10cm当たり10箇所以上のオイル成
分の染み出し、析出が見られる (色素画像の滲み)同様に保存した処理済み試料の試料
面を目視で観察し、以下の基準で評価した。
【0202】 1:画像の滲みは見られない 2:画像の滲みが一部見られ、画質の劣化が判別される 3:画像の滲みが見られ、画質の劣化が目立つ 4:画像の滲みが著しく、画質の劣化が著しい。
【0203】(後熱圧力処理)写真プリントの表面を耐
熱性フィルムシートで被覆し、これに20g/cm2
圧力下、110℃で2分間の後熱圧力処理を施す。特定
部分の濃度の変化率を算出した。変化率が少ないほど、
後熱圧力処理耐性が優れていることを示す。
【0204】(生試料加熱処理後の色変動)生試料を5
0℃,80%RHの条件で6日間放置した後、同様にし
て写真プリントを作製し、通常の写真プリントとの比較
をする。特定部分の濃度の変化率を算出した。変化率が
少ないほど、生試料加熱処理後の色変動耐性が優れてい
ることを示す。
【0205】以上の結果を表7に示す。
【0206】
【表7】
【0207】表から明らかなように、塗布性能のみなら
ず写真プリントの性能も充分満足のいくものが得られ
る。
【0208】実施例2 塗布助剤として、第1層、第7層、及び必要に応じ第2
層、第6層、及びその他の層に界面活性剤(SU−
2)、(SU−3)を添加し、表面張力は後記の表に記
載の通りとなるように、界面活性剤量を調整し、各層の
ゼラチンの種類、ゼラチン濃度、一般式(1)で表され
る化合物及びその他表に記載の添加剤(化合物)の種
類、量および添加層、を表に記載の如く変化させて、動
的表面張力、静的表面張力を変化させ、他は実施例1と
同様にして試料301〜306を作製した。
【0209】動的表面張力は前記記載の方法により、具
体的にはコニカ株式会社製動的表面張力測定装置を用
い、また静的表面張力は前記記載の方法により、具体的
には伊藤製作所製デュヌーイ表面張力計を用いて測定し
た。
【0210】第1層の動的表面張力、静的表面張力をそ
れぞれDST1,SST1として、第2層、第6層、第7
層の動的表面張力、静的表面張力をそれぞれ、DS
2,SST2、DST6,SST6、DST7,SST7
した。動的表面張力、静的表面張力、及びそれらの関係
については下表に記載の通りとなる。
【0211】同様の層構成で、特公昭49−35447
号に記載されている様な自由落下カーテン膜方式によ
り、塗布速度240m/分、カーテン膜高さ5cm(塗
布条件B)で、各層のゼラチン濃度、感光性層のオイル
成分とゼラチンとの重量比、一般式(1)で表される化
合物の種類、量、及び添加層を下表に記載の如く変化さ
せて、動的表面張力、静的表面張力を変化させ、試料4
01〜410を作製した。
【0212】
【表8】
【0213】
【表9】
【0214】
【表10】
【0215】
【表11】
【0216】実施例1と同様にして評価した結果を表1
2に示す。
【0217】
【表12】
【0218】実施例3 実施例1において、現像処理を以下の様に変更した以外
は同様にして評価を行ったところ、同じような傾向の結
果が得られ、本発明の効果が確認された。
【0219】 処理工程 処理温度 時間 補充量 発色現像 38.0±0.3℃ 22秒 81cc 漂白定着 35.0±0.5℃ 22秒 54cc 安 定 化 30〜34℃ 25秒 150cc 乾 燥 60〜80℃ 30秒 現像処理液の組成を下記に示す。
【0220】 発色現像液タンク液及び補充液 タンク液 補充液 純水 800ml 800ml ジエチレングリコール 10g 10g 臭化カリウム 0.01g − 塩化カリウム 3.5g − 亜硫酸カリウム 0.25g 0.5g N−エチル−N−(βメタンスルホンアミドエチル)−3−メチル−4−アミ ノアニリン硫酸塩 6.5g 10.5g N,N−ジエチルヒドロキシルアミン 3.5g 6.0g N,N−ビス(2−スルホエチル)ヒドロキシアミン 3.5g 6.0g トリエタノールアミン 10.0g 10.0g ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム塩 2.0g 2.0g 蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体) 2.0g 2.5g 炭酸カリウム 30g 30g 水を加えて全量を1lとし、タンク液はpH=10.1
0に、補充液はpH=10.60に調整する。
【0221】 漂白定着液タンク液及び補充液 タンク液 補充液 ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄アンモニウム2水塩 100g 50g ジエチレントリアミン五酢酸 3g 3g チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 200ml 100ml 2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール 2.0g 1.0g 亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 50ml 25ml 水を加えて全量を1lとし、炭酸カリウム又は氷酢酸で
タンク液はpH=7.0に、補充液はpH=6.5に調
整する。
【0222】 安定化液タンク液及び補充液 o−フェニルフェノール 1.0g 5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g 2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g ジエチレングリコール 1.0g 蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g 1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g PVP 1.0g アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g エチレンジアミン4酢酸 1.0g 亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 10ml 水を加えて全量を1lとし、硫酸又はアンモニア水でp
H=7.5に調整する。
【0223】実施例4 実施例1で作製した試料で、コニカ(株)製自動現像
機;NPS−868Jを用い、同処理剤;ECOJET
−Pで、同処理プロセス;CPK−2−J1に従ってラ
ンニング処理を行い、得られた画像のオイル成分染み出
しと色素画像滲みについて評価を行ったところ、同様の
傾向の結果が得られた。
【0224】実施例5 支持体として、以下の3種類のものを使用した以外は、
実施例1と全く同様の方法で試料を作製した。
【0225】
【表13】
【0226】SRa値は、特開平1−173030号に
記載されているように支持体表面の平滑性を表し、数値
が小さいほど平滑性の高いことを示す。この測定方法に
ついては同公報に記載されている。尚、本実施例1で使
用した紙支持体の中心面平均粗さは0.13μmであっ
た。
【0227】得られた試料について実施例1と同様、塗
布性とオイル成分の染み出しと色素画像の滲みの評価を
行ったところ、同様の効果が得られた。
【0228】実施例6 写真印画紙用支持体を以下の如くの方法で作製した。
【0229】晒サルファイトパルプを約40°SRに叩
解し、これにパルプ対2%量の石油樹脂サイズ、対パル
プ1%量の澱粉サイズを加える。そして、ビニルシクロ
ヘキセンジエポキサイド1部とスチレン−無水マレイン
酸共重合物7部よりなる樹脂混合液を固形分対パルプ1
%添加し、150g/m2の目方に抄紙し、更にタブサ
イズにてゼラチンを0.5g/m2付着させた。
【0230】これに、グロッシーバライタ、マットバラ
イタ、ゼラチン、クエン酸、クロム明礬等を混和させた
液を乾燥重量15g/m2となるように塗布した。この
ようにして出来上がった支持体は、一般的にバライタ原
紙と称される。
【0231】この様に作製したバライタ原紙を使用した
以外は、実施例1と全く同様の方法で試料を作製した。
【0232】得られた試料について実施例1と同様の評
価を行ったところ、本発明の効果が得られた。
【0233】実施例7 支持体として以下のものを使用した以外は、実施例1と
全く同様の方法で試料を作製した。
【0234】支持体は、坪量180g/m2の紙パルプ
の両面に、高密度ポリエチレンをラミネートし、ポリエ
チレン樹脂被覆紙を作製した。ただし、乳剤層を塗布す
る側には、表面処理を施したアナターゼ型酸化チタンを
15重量%の含有量で分散して含む溶融、ポリエチレン
をラミネートして、反射支持体を作製した。この時、前
記中心線平均粗さは0.11μmになるように、高密度
ポリエチレンをラミネートした。
【0235】得られた試料について実施例1と同様の評
価を行なったところ、同様の効果が得られた。
【0236】
【発明の効果】本発明によれば、画像形成したプリント
写真やフィルムのオイル成分の析出や画像色素の滲み、
熱処理を加える際の画像色素の変色が防止できるハロゲ
ン化銀写真感光材料を、高速で薄膜で形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】GPC法による、ゼラチン分子量分布の測定曲
線における高分子量成分を示すチャートである。
【図2】GPC法による、ゼラチン分子量分布の測定曲
線における低分子量成分を示すチャートである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 剪断速度を0/秒から20,000/秒
    まで連続的に変化させるとき、剪断速度2,000/秒
    及び15,000/秒の時のそれぞれの粘度ηAとη
    Bが、ηB/ηA≧0.5なる関係を各々満たし、ゼラチ
    ンを、5.5重量%以上の濃度で含有する複数の構成層
    形成用塗布液を重層塗布して得られ、ゼラチンに対する
    オイル成分の重量比が0.55以上0.85以下である
    感光性層を有することを特徴とするハロゲン化銀写真感
    光材料。
  2. 【請求項2】 全ての感光性層のゼラチンに対するオイ
    ル成分の重量比が0.55以上0.85以下であること
    を特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀写真感光材
    料。
  3. 【請求項3】 気液界面を有する塗布液層の動的表面張
    力をDSTa、その隣接層の動的表面張力をDSTbと
    するとき、DSTa/DSTb≦1.0であり、かつ、
    気液界面を有する塗布液層の静的表面張力をSSTa、
    その隣接層の静的表面張力をSSTbとするとき、SS
    Ta/SSTb≦1.0であり、かつ、|DSTa−S
    STb|≦20dyne/cmである複数の構成層形成
    用塗布液を重層塗布して得られ、ゼラチンに対するオイ
    ル成分の重量比が0.55以上0.85以下である感光
    性層を有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材
    料。
  4. 【請求項4】 全ての感光性層のゼラチンに対するオイ
    ル成分の重量比が0.55以上0.85以下であること
    を特徴とする請求項3に記載のハロゲン化銀写真感光材
    料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005335115A (ja) * 2004-05-25 2005-12-08 Konica Minolta Photo Imaging Inc 熱転写受像シートとその製造方法
JP2009255595A (ja) * 2009-08-10 2009-11-05 Dainippon Printing Co Ltd 熱転写受像シートとその製造方法

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