JPH11211355A - 焼結機幅方向の原料通気性均一化装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スクリ−ン式シュ−トによって生じる溝を埋
め平滑な表面を形成するとともに、溝近傍の生じる低密
度領域をなくすことにより幅方向の装入密度も均一にす
る焼結機幅方向の原料層の通気性を均一にする装置を提
供する 【解決手段】 焼結機のスクリ−ン式シュ−トと点火炉
との間でかつ焼結原料層上に設けられ、パレットの幅方
向に延設された軸を有するスクリュ−式原料掻き寄せ羽
根と、該スクリュ−式原料掻き寄せ羽根の上下動装置
と、前記掻き寄せ羽根の回転数変更装置とからなる焼結
機幅方向の原料通気性均一化装置。さらに、前記スクリ
ュ−式原料掻き寄せ羽根の下流にカットオフプレ−トを
設ければ原料の通気性がより向上する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、焼結機のスクリ−
ン式シュ−トによって生じる焼結原料層の上部の溝を埋
めパレット幅方向の通気性のバラツキをなくすための焼
結原料表層部の均し装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】焼結機パレット上に焼結原料（以下、単
に原料という）を装入する際、パレット下部に粗粒原
料、上部に細粒原料を堆積させることにより原料層全体
の通気性を改善する目的で開発された原料装入装置が特
開平５−１３３５号公報に開示されている。この装置は
ワイヤ−等の線状部材とそれを支持するガイド部材から
構成されたスクリ−ン式シュ−トである。このガイド部
材はパレット幅方向に数箇所設けられるが、原料の流れ
を阻害するため、ガイド部材の直下では原料の堆積量が
他の部分に比べて少なくなり、原料層に層厚の薄い溝が
できる。この溝はその周辺の原料の流れ込みにより形成
されるので原料密度も小さくなる。このようにして形成
された原料層ではパレット幅方向において、溝の部分の
通気性が他の部分に比べて高くなりその方向の通気性に
バラツキが生じる。それが大きくなるとコ−クスの未燃
焼部が発生し、そのため焼結歩留りの低下、品質の低下
およびコ−クス原単位の上昇等の問題が生じる。

【０００３】従来この問題を解決するために本発明者等
は、スクリ−ン式シュ−トとカットオフプレ−トとの間
に複数のＶ字形状の掻き寄せ体を有するスクレ−パ−を
提案している（特願平８−９３９４４号）。

【０００４】また、パレット幅方向において、装入原料
の表層部の密度を高めることなく、原料厚さを調整でき
る装置としてパレット上方に高さと傾斜角が調整可能な
一対のスクリュ−羽根をパレットの幅方向に亙って設け
た装置が開示されている（特開平８−１３６１５２
号）。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】特願平８−９３９４４
号のＶ字形状の掻き寄せ体を有するスクレ−パ−では、
掻き寄せ体が固定式のため掻き寄せ体の前面には大なり
小なり常に原料の盛り上がりが形成される。このため、
パレットの幅方向で平滑な表面を形成できるが、掻き寄
せ体の前面の原料盛り上がり部分の直下部では、上方か
ら押圧が懸かることになり、幅方向において密度のバラ
ツキが生じる。これにより、未焼部分（未焼結の部分の
略）の生成、歩留りの低下、品質の低下およびコ−クス
原単位の上昇の問題は依然として残る。

【０００６】また、特開平８−１３６１５２号のスクリ
ュ−羽根を掻き寄せ体として利用すると、パレット中心
部から両端部へ原料を掻き寄せるから、原料表層に押圧
を懸けることなく溝を埋め、平滑な表面を形成できる
が、この場合も溝近傍の低密度領域は依然として残るた
め、幅方向における密度のバラツキは小さくなるものの
消えることがない。

【０００７】本発明は、スクリ−ン式シュ−トによって
生じる溝を埋め平滑な表面を形成するとともに、溝近傍
に生じる低密度領域をなくすことにより幅方向の装入密
度も均一にする焼結機幅方向の原料層の通気性を均一に
する装置を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を、
次の装置によって達成する。

【０００９】第１の装置は、焼結機のスクリ−ン式シュ
−トと点火炉との間でかつ焼結原料層上に設けられ、パ
レットの幅方向に延設された軸を有するスクリュ−式原
料掻き寄せ羽根と、該スクリュ−式原料掻き寄せ羽根の
上下動装置と、前記掻き寄せ羽根の回転数変更装置とか
らなる焼結機幅方向の原料通気性均一化装置である。

【００１０】第２の装置は、第１の装置の掻き寄せ羽根
の傾斜を反対にしてかつ原料をパレットの中央に掻き寄
せる二つの羽根で構成した焼結機幅方向の原料通気性均
一化装置である。

【００１１】第３の装置は、第１の装置または、第２の
装置にスクリュ−式原料掻き寄せ羽根の下流にカットオ
フプレ−トを設けた焼結機幅方向の原料通気性均一化装
置である。

【００１２】「作用」 第１の発明：原料をスクリ−ン式シュ−トを通してパレ
ット上に装入する過程でガイド部材直下のパレット幅方
向の定位置に形成される溝に対して、スクリュ−式原料
掻き寄せ羽根は、軸を回転することにより原料を溝位置
へ運搬するよう螺旋の巻き方にしており、溝の大きさお
よびパレット速度に応じて、掻き寄せ羽根の原料層への
食い込み深さとその回転数を決め、本装置を運転すれ
ば、原料表層に押圧を懸けることなく溝を埋めることが
できる。

【００１３】第２の発明：溝部に凸部が形成される。単
に平らに均したのでは溝部の通気性が他の部分より若干
高くなるが、上記凸部により幅方向の通気性の不均一は
より改善される。

【００１４】第３の発明：この凸部を下流のカットオフ
プレ−トで、他の原料層表面を僅かに押圧を懸ける程度
に均せば、原料表面の平滑化と同時に溝および近傍の低
密度領域もなくすことができ、幅方向の通気性の不均一
はさらに改善できる。

【００１５】従って、前記Ｖ字形状の掻き寄せ体および
前記一対のスクリュ−羽根を掻き寄せ体として利用する
方法の問題を解消することができる。

【００１６】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
いて以下に説明する。

【００１７】図１は、本発明装置の正面図（図３のＢ−
Ｂ矢視図）図２は、図１のＥ−Ｅ矢視図，図３は本発明
装置に係るスクリュ−式原料掻き寄せ羽根の下流にカッ
トオフプレ−トを設けたものの斜視図である。

【００１８】図３において、原料２はスクリ−ン式シュ
−ト４により、パレット１に装入される。スクリ−ン式
シュ−ト４は多数の線状部材４ａとこれらを支持しガイ
ドするガイド部材４ｂより構成されている。５はガイド
部材４ｂによって生じた溝である。スクリュ−式原料掻
き寄せ羽根６ａはスクリ−ン式シュ−ト４と点火炉３の
間に設置され、回転軸を回転させることにより原料層の
表層の原料を掻き寄せ溝を埋め、他の部分より凸にす
る。この原料表層の凸部７はスクリュ−式原料掻き寄せ
羽根６の下流に設けたカットオフプレ−ト８の前面に原
料堆積部９を形成させる。カットオフプレ−ト８で溝５
の存在していた部位に押圧を懸け、原料層の表面を平滑
にする。これによりパレット幅方向に均一な密度を有す
る原料層が得られる。

【００１９】図１に示すように本発明装置は、回転軸６
ｂに羽根板を一定のピッチで螺旋状に巻いて取りつけた
スクリュ−式掻き寄せ羽根６ａ、回転軸６ｂを回転さ
せ、かつ回転数を変更することができる回転変更装置１
５およびこれらを上下動する上下動装置１７の主要部か
ら構成されている。スクリュ−式掻き寄せ体６の回転軸
６ｂは支持フレ−ム１９の両端部の下面に取付けられた
軸受け１２に軸支されている。回転軸６ｂの一方端部は
軸受け１２から突出している。その突出部に従動スプロ
ケット１３が取付けられており、一方支持フレ−ム１９
の側部に設けられた取付け台２０に取付けられた電動機
を含む回転数変更装置１５の出力軸に駆動スプロケット
１４が取付けられている。そして、この駆動スプロケッ
ト１４と従動スプロケット１３との間にチェ−ン１６が
巻き掛けされて、スクリュ−式原料掻き寄せ体６が回転
数変更装置１５によって回転せられるようになってい
る。一対の上下動装置１７が梁２１に取付けられてお
り、上下動装置のスクリュ−ロッド１８が支持フレ−ム
１９を吊持している。また、スクリュ−式原料掻き寄せ
体６はパレット１の幅方向に沿って設置されている。原
料層２中の１１は溝近傍に形成される低密度領域であ
る。

【００２０】溝５（この例では４条ある。）に向かって
原料を掻き寄せるために、回転軸６ｂには溝５の直上を
境にして左右に逆向きに巻かれた螺旋羽根が対向して取
付けられている（溝上の螺旋羽根の終端６ｃおよび隣り
あう溝と溝の中央で螺旋羽根の終端６ｄが軸心を中心と
して１８０°ずらしている）。即ち、溝が４条のこの例
では、左右に逆向きに巻かれた螺旋羽根ブロックが回転
軸６ｂに沿って４ブロック取付けられている。なお、左
右の螺旋羽根の終端６ｃと６ｃを接続してもよいし、溝
幅等に応じて間隔を空けてもよい。左右の螺旋羽根の終
端６ｄと６ｄについても状況に応じて接続してもよい
し、間隔を空けてもよい。

【００２１】図２において、矢印１０はパレット１の進
行方向を示す。原料表層部に生じた４条の溝５の大きさ
に応じて上下動装置１７を操作して、原料掻き寄せ羽根
６ａを原料層２への食い込み深さを設定する。回転軸６
ｂを溝の大きさに応じた回転数をもって破線矢印２２の
向きに回すと、溝以外の表層の原料が矢印２３の向きに
掻き寄せられて各溝を埋め、さらに、スクリュ−式掻き
寄せ体６の通過後に所定量盛り上げた凸部７を形成せし
める。なお、原料掻き寄せ羽根６ａの原料層２への食い
込み深さｈは、原料掻き寄せ羽根６ａによる掻き寄せ量
（溝５の埋め込み量と盛り上げ量の合計）ｑおよびスク
リュ−の軸方向送り速度とパレットの合成速度ｖの函数
であるから、ｑおよびｖにより食い込み深さｈを決めれ
ばよい。

【００２２】図４は、スクリュ−式掻き寄せ羽根の上流
におけるパレット幅方向の原料層の断面図である。ガイ
ド部材によって生じた溝５の下方近傍に低密度領域１１
が形成されている。

【００２３】図５は、カットオフプレ−ト８の前面（上
流側）に塞き止められてできた原料堆積部位置のパレッ
ト幅方向の原料層の断面図である。この原料堆積部９は
カットオフプレ−ト８により押圧が懸けられ平面に均さ
れるから、溝近傍の低密度領域１１は解消される。

【００２４】図６は、カットオフプレ−トを通過した後
の原料層のパレット幅方向断面図である。原料層はパレ
ット幅方向において、平滑な原料表面で、かつ均一な密
度となる。

【００２５】

【実施例】図７は、Ｖ字形状の掻き寄せ体を有するスク
レ−パを用いる方法（特願平８−９３９４４号）；従来
技術１、パレットの中心部を境に一対のスクリュ−羽根
を用いる方法（特開平８−１３６１５２号）；従来技術
２、本願発明の請求項１の方法；本発明１、請求項２の
方法；本発明２および請求項３の方法；本発明３につい
て、パレット幅方向の通気性バラツキ度と焼結歩留り
（％）を調査した結果を棒グラフに表わした図である。
これより以下のことが分かる。

【００２６】（１）従来技術１および２に比較して、パ
レット幅方向の通気性バラツキ度は本発明１〜３の方が
より小さい。本発明においてはそのバラツキ度が、本発
明１＞本発明２＞本発明３の順序で小さくなる。 （２）従来技術１および２に比較して、歩留りは本発明
１〜３方がより向上している。本発明においてはその歩
留りが、本発明１＜本発明２＜本発明３の順序で向上す
る。

【００２７】

【発明の効果】本発明の第１または第２の装置によれ
ば、原料表面全体に亙り押圧を懸けることなく溝周辺の
原料を掻き寄せて溝を埋め、さらに溝位置に原料を盛り
上げた凸部を形成させることができ、パレット幅方向に
おいて略均一な通気性を得ることができる。

【００２８】さらに、第３の装置のようにカットオフプ
レ−トを追加すれば、カットオフプレ−ト前面に原料堆
積層を形成させつつ均すので、溝近傍の低密度領域を解
消することができ、パレット幅方向において均一な通気
性を確保できる。これより未燃焼部分の発生、歩留りの
低下、品質の低下およびコ−クス原単位の上昇を防止す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明装置の正面図である。

【図２】図１のＥ−Ｅ矢視図である。

【図３】本発明装置のカットオフプレ−トを設けたもの
の矢視図である。

【図４】スクリュ−式掻き寄せ羽根の上流における幅方
向の原料層の断面図である。

【図５】カットオフプレ−トの前面（上流側）に塞き止
められてできた原料堆積部位置のパレット幅方向の原料
層の断面図である。

【図６】カットオフプレ−トを通過した後の原料層の幅
方向断面図である。

【図７】従来技術と本発明方法のパレットの幅方向のバ
ラツキ度および焼結歩留りを棒グラフに表わした図であ
る。

【符号の説明】

１ パレット ２ 焼結原料 ３ 点火炉 ４ スクリ−ン式シュ−ト ５ 溝 ６ スクリュ−式原料掻き寄せ体 ７ 原料表層の凸部 ８ カットオフプレ−ト ９ 原料堆積部 １１ 低密度領域 １２ 軸受け １３ 従動スプロケット １４ 駆動スプロケット １５ 回転数変更装置 １６ チェ−ン １７ 上下動装置 １８ スクリュ−ロッド １９ 支持フレ−ム ２０ 取付け台 ２１ 梁

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 焼結機のスクリ−ン式シュ−トと点火炉
   との間でかつ焼結原料層上に設けられ、パレットの幅方
   向に延設された軸を有するスクリュ−式原料掻き寄せ羽
   根と、該スクリュ−式原料掻き寄せ羽根の上下動装置
   と、前記掻き寄せ羽根の回転数変更装置とからなる焼結
   機幅方向の原料通気性均一化装置。
2. 【請求項２】 掻き寄せ羽根の傾斜を反対にしてかつ原
   料をパレットの中央に掻き寄せる二つの羽根で構成した
   請求項１記載の焼結機幅方向の原料通気性均一化装置。
3. 【請求項３】 さらに、前記スクリュ−式原料掻き寄せ
   羽根の下流にカットオフプレ−トを設けた請求項１また
   は２記載の焼結機幅方向の原料通気性均一化装置。