JPH11210854A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

トロイダル型無段変速機

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JPH11210854A
JPH11210854A JP1166198A JP1166198A JPH11210854A JP H11210854 A JPH11210854 A JP H11210854A JP 1166198 A JP1166198 A JP 1166198A JP 1166198 A JP1166198 A JP 1166198A JP H11210854 A JPH11210854 A JP H11210854A
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JP
Japan
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trunnion
pivot shaft
shaft
shaft portion
continuously variable
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Application number
JP1166198A
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English (en)
Inventor
Takashi Imanishi
尚 今西
Nobuo Goto
伸夫 後藤
Makoto Fujinami
誠 藤波
Hiroshi Kato
寛 加藤
Nobuaki Mitamura
宣晶 三田村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パワーローラを支持するラジアルニードル軸
受の転走面となる、枢支軸部22の先半部38の耐久性
を確保する。 【解決手段】 上記先半部38の外周面の表面粗さを、
0.2μmRa以下にする。又、この外周面に、浸炭窒
化処理層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば自動車用
の変速機として利用するトロイダル型無段変速機の改良
に関し、特に、トラニオンに対してパワーローラを支持
する為の変位軸の耐久性向上を図るものである。
【0002】
【従来の技術】自動車用変速機として、図3〜4に略示
する様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研究さ
れている。このトロイダル型無段変速機は、例えば実開
昭62−71465号公報に開示されている様に、入力
軸1と同心に入力側ディスク2を支持し、この入力軸1
と同心に配置した出力軸3の端部に出力側ディスク4を
固定している。トロイダル型無段変速機を納めたケーシ
ングの内側で上記両ディスク2、4の軸方向中間位置に
は、上記入力軸1並びに出力軸3に対して捻れの位置に
ある枢軸5、5を中心として揺動するトラニオン6、6
を設けている。
【0003】これら各トラニオン6、6は、両端部外側
面に上記枢軸5、5を、上記入力軸1及び出力軸3の軸
方向に対して直角な方向に(但し捩れの位置に)設けて
いる。又、上記各トラニオン6、6の中心部には変位軸
7、7の基端部を支持し、上記枢軸5、5を中心として
各トラニオン6、6を揺動させる事により、各変位軸
7、7の傾斜角度の調節を自在としている。各トラニオ
ン6、6に支持された変位軸7、7の周囲には、それぞ
れパワーローラ8、8を回転自在に支持している。そし
て、これら各パワーローラ8、8を、上記入力側、出力
側両ディスク2、4の間に挟持している。上記入力側、
出力側両ディスク2、4の互いに対向する内側面2a、
4aは、それぞれ断面が、上記枢軸5を中心とする円弧
を回転させて得られる凹面をなしている。そして、球状
凸面に形成された各パワーローラ8、8の周面8a、8
aを、上記内側面2a、4aに当接させている。
【0004】上記入力軸1と入力側ディスク2との間に
は、ローディングカム式の押圧装置9を設け、この押圧
装置9によって、上記入力側ディスク2を出力側ディス
ク4に向け、弾性的に押圧自在としている。この押圧装
置9は、入力軸1と共に回転するカム板10と、保持器
11により保持された複数個(例えば4個)のローラ1
2、12とから構成している。上記カム板10の片側面
(図3〜4の左側面)には、円周方向に亙る凹凸面であ
るカム面13を形成し、上記入力側ディスク2の外側面
(図3〜4の右側面)にも、同様のカム面14を形成し
ている。そして、上記複数個のローラ12、12を、上
記入力軸1の中心に対して放射方向の軸を中心とする回
転自在に支持している。
【0005】上述の様に構成するトロイダル型無段変速
機の使用時、入力軸1の回転に伴ってカム板10が回転
すると、カム面13によって複数個のローラ12、12
が、入力側ディスク2の外側面に設けたカム面14に押
圧される。この結果、上記入力側ディスク2が、上記複
数のパワーローラ8、8に押圧されると同時に、上記1
対のカム面13、14と複数個のローラ12、12との
押し付け合いに基づいて、上記入力側ディスク2が回転
する。そして、この入力側ディスク2の回転が、上記複
数のパワーローラ8、8を介して出力側ディスク4に伝
達され、この出力側ディスク4に固定の出力軸3が回転
する。
【0006】入力軸1と出力軸3との回転速度比(変速
比)を変える場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で
減速を行なう場合には、前記枢軸5、5を中心として前
記各トラニオン6、6を揺動させ、上記各パワーローラ
8、8の周面8a、8aが図3に示す様に、入力側ディ
スク2の内側面2aの中心寄り部分と出力側ディスク4
の内側面4aの外周寄り部分とにそれぞれ当接する様
に、各変位軸7、7を傾斜させる。反対に、増速を行な
う場合には、上記枢軸5、5を中心として上記各トラニ
オン6、6を揺動させ、各パワーローラ8、8の周面8
a、8aが図4に示す様に、入力側ディスク2の内側面
2aの外周寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの
中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、各変位軸
7、7を傾斜させる。各変位軸7、7の傾斜角度を図3
と図4との中間にすれば、入力軸1と出力軸3との間
で、中間の変速比を得られる。
【0007】更に、図5〜6は、実願昭63−6929
3号(実開平1−173552号)のマイクロフィルム
に記載された、より具体化されたトロイダル型無段変速
機を示している。入力側ディスク2と出力側ディスク4
とは円管状の入力軸15の周囲に、それぞれニードル軸
受16、16を介して回転自在に支持している。又、カ
ム板10は上記入力軸15の端部(図5の左端部)外周
面にスプライン係合し、鍔部17によって上記入力側デ
ィスク2から離れる方向への移動を阻止されている。そ
して、これらカム板10とローラ12、12とにより、
上記入力軸15の回転に基づいて上記入力側ディスク2
を、出力側ディスク4に向け押圧しつつ回転させる、ロ
ーディングカム式の押圧装置9を構成している。上記出
力側ディスク4には出力歯車18を、キー19、19に
より結合し、これら出力側ディスク4と出力歯車18と
が同期して回転する様にしている。
【0008】1対のトラニオン6、6の両端部は1対の
支持板20、20に、揺動並びに軸方向(図5の表裏方
向、図6の左右方向)に亙る変位自在に支持している。
そして、上記各トラニオン6、6の中間部に形成した円
孔23、23部分に、変位軸7、7を支持している。こ
れら各変位軸7、7は、互いに平行で且つ偏心した支持
軸部21、21と枢支軸部22、22とを、それぞれ有
する。このうちの各支持軸部21、21を上記各円孔2
3、23の内側に、請求項に記載したラジアル軸受に相
当するラジアルニードル軸受24、24を介して、回転
自在に支持している。又、上記各枢支軸部22、22の
周囲にパワーローラ8、8を、請求項に記載したラジア
ルニードル軸受に相当するラジアルニードル軸受25、
25を介して、回転自在に支持している。
【0009】尚、上記1対の変位軸7、7は、上記入力
軸15に対して180度反対側位置に設けている。又、
これら各変位軸7、7の各枢支軸部22、22が各支持
軸部21、21に対し偏心している方向は、上記入力
側、出力側両ディスク2、4の回転方向に関し同方向
(図6で左右逆方向)としている。又、偏心方向は、上
記入力軸15の配設方向に対しほぼ直交する方向として
いる。従って、上記各パワーローラ8、8は、上記入力
軸15の配設方向に亙る若干の変位自在に支持される。
この結果、構成各部品の寸法精度や弾性変形等に起因し
て、上記各パワーローラ8、8が上記入力軸15の軸方
向(図5の左右方向、図6の表裏方向)に変位する傾向
となった場合でも、構成各部品に無理な力を加える事な
く、この変位を吸収できる。
【0010】又、上記各パワーローラ8、8の外側面と
上記各トラニオン6、6の中間部内側面との間には、パ
ワーローラ8、8の外側面の側から順に、これら各パワ
ーローラ8、8に加わるスラスト荷重を支承する為のス
ラスト玉軸受26、26と、これら各スラスト玉軸受2
6、26を構成する外輪28、28に加わるスラスト荷
重を支承する為のスラストニードル軸受27、27とを
設けている。これらスラスト玉軸受26、26及びスラ
ストニードル軸受27、27が、請求項に記載したスラ
スト軸受に相当する。このうちのスラスト玉軸受26、
26は、上記各パワーローラ8、8に加わるスラスト方
向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ8、8の
回転を許容するものである。又、上記スラストニードル
軸受27、27は、上記各パワーローラ8、8から上記
各外輪28、28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、
上記枢支軸部22、22及び上記外輪28、28が上記
支持軸部21、21を中心に揺動する事を許容する。
【0011】更に、上記各トラニオン6、6の一端部
(図6の左端部)にはそれぞれ駆動ロッド29、29を
結合し、これら各駆動ロッド29、29の中間部外周面
に駆動ピストン30、30を固設している。そして、こ
れら各駆動ピストン30、30を、それぞれ駆動シリン
ダ31、31内に油密に嵌装している。トロイダル型無
段変速機の変速比を変える場合には、これら各駆動シリ
ンダ31、31内に圧油を給排し、上記各駆動ピストン
30、30を介して上記各駆動ロッド29、29を、軸
方向に関して互いに逆方向に移動させる。
【0012】又、前記ラジアルニードル軸受25及びス
ラスト玉軸受26の耐久性を確保すべく、これら両軸受
25、26に十分量の潤滑油を送り込む為に、駆動ロッ
ド29とトラニオン6と変位軸7との内部には、図7に
示す様な潤滑油供給装置を設けている。この潤滑油供給
装置は、上記駆動ロッド29及びトラニオン6の内部に
設けた送り込み側給油通路32と、上記スラスト玉軸受
26を構成する外輪28に形成した給油孔33、33
と、上記変位軸7の先半部を構成する枢支軸部22の内
側に設けた受入側給油通路34とから成る。トロイダル
型無段変速機の運転時には、この変速機中に組み込んだ
図示しないポンプの作用により、上記送り込み側給油通
路32に潤滑油を送り込み、上記両軸受26、25を潤
滑する。
【0013】上述の様に構成されるトロイダル型無段変
速機の運転時に、前記入力軸15の回転は、押圧装置9
を介して入力側ディスク2に伝えられる。そして、この
入力側ディスク2の回転が、上記1対のパワーローラ
8、8を介して出力側ディスク4に伝えられ、更にこの
出力側ディスク4の回転が、出力歯車18より取り出さ
れる。入力軸15と出力歯車18との間の回転速度比を
変える場合には、前記1対の駆動ピストン30、30を
互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン3
0、30の変位に伴って前記1対のトラニオン6、6
が、それぞれ逆方向に変位し、例えば図6の下側のパワ
ーローラ8が同図の右側に、同図の上側のパワーローラ
8が同図の左側に、それぞれ変位する。この結果、これ
ら各パワーローラ8、8の周面8a、8aと上記入力側
ディスク2及び出力側ディスク4の内側面2a、4aと
の当接部に作用する、接線方向の力の向きが変化する。
そして、この力の向きの変化に伴って上記各トラニオン
6、6が、支持板20、20に枢支された枢軸5、5を
中心として、互いに逆方向に揺動する。この結果、前述
の図3〜4に示した様に、上記各パワーローラ8、8の
周面8a、8aと上記各内側面2a、4aとの当接位置
が変化し、上記入力軸15と出力歯車18との間の回転
速度比が変化する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従来のトロイダル型無
段変速機の場合には、各トラニオン6、6に対して各パ
ワーローラ8、8を回転並びに変位自在に支持する為の
変位軸7、7の表面性状に就いて、特に考慮していなか
った。この為、使用状態が厳しくなると、必ずしも十分
な耐久性を得られない可能性がある。この理由に就い
て、図8〜11により説明する。先ず、トロイダル型無
段変速機の運転時に上記パワーローラ8は、図8に示す
様に、入力側ディスク2と出力側ディスク4との間で強
く挟持される。この結果、上記パワーロー8の中心孔
が、図9に誇張して示す様に楕円形に弾性変形し、上記
変位軸7を構成する枢支軸部22を、入力側、出力側両
ディスク2、4の配列方向に亙って強く押圧する。
【0015】一方、上記パワーローラ8を入力側ディス
ク2と出力側ディスク4との間で強く挟持すると、これ
ら入力側、出力側両ディスク2、4の内側面2a、4a
とパワーローラ8の周面8aとの係合に基づき、このパ
ワーローラ8を上記入力側、出力側両ディスク2、4の
直径方向外方に押圧する大きな力が加わる。そしてこの
力に基づいて、上記パワーローラ8をその内側面に支持
しているトラニオン6が、図10(A)に示した状態か
ら同図(B)に示した状態に弾性変形する。変位軸7の
支持軸部21は、トラニオン6の中央から少しずれた位
置に枢支している為、上記トラニオン6の弾性変形に基
づいて上記変位軸7が傾斜する。そして、この傾斜に基
づいて、上記変位軸7の枢支軸部22の外周面とラジア
ルニードル軸受25を構成するニードル35、35とが
片当たりする。より具体的には、図11に斜格子で示す
部分で、これら各ニードル35、35の転動面と上記枢
支軸部22の外周面とが強く当接する。
【0016】そして、これらパワーローラ8の弾性変形
に基づく片当たりと、上記変位軸7の傾斜に基づく片当
たりとが合成されて、上記枢支軸部22に、図12に斜
格子で示す様な負荷圏が表われる。この様な負荷圏で
は、上記各ニードル35、35の転動面から上記枢支軸
部22の外周面に、大きな面圧が加えられる。一方、1
0000rpm 以上の高速で使用される一般的なラジアル
ニードル軸受の転走面(ニードル35、35の転動面が
当接する、内輪軌道部分及び外輪軌道部分)の表面粗さ
は、0.4μmRa程度である。ところが、上述の様な
負荷圏では、上記各ニードル35、35の転動面と上記
枢支軸部22の外周面とが強く当接する為、この外周面
の表面粗さが0.4μmRa程度である場合には、これ
ら両面同士の当接部に油膜が形成されにくい。
【0017】又、上述の様に大きな面圧が作用する部分
は、トロイダル型無段変速機の運転に伴う発熱量が多く
なる。しかも、この部分は、入力側、出力側両ディスク
2、4の内側面2a、4aとパワーローラ8の周面8a
とが当接するトラクション部にも近く、このトラクショ
ン部で発生する熱による温度上昇も著しい。従って、上
記大きな面圧が作用する部分の耐熱性を確保しないと、
やはり上記変位軸7の耐久性を十分に確保する事ができ
ない。本発明はこの様な事情に鑑みて、上記各ニードル
35、35の転動面と上記枢支軸部22の外周面との当
接部に油膜が形成され易くしたり、或はこの枢支軸部2
2の外周面部分の耐熱性を確保する事により、上記枢支
軸部22を含む変位軸7の耐久性を向上させ、この変位
軸7を組み込んだトロイダル型無段変速機の耐久性及び
信頼性の向上を図る事を目的として発明したものであ
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明のトロイダル型無
段変速機は何れも、前述した従来のトロイダル型無段変
速機と同様に、それぞれの軸方向片面を断面が円弧形の
凹面とし、この凹面同士を互いに対向させた状態で互い
に同心に、且つ互いに独立して回転自在に支持した少な
くとも1対のディスクと、これら両ディスクの回転中心
に対し捩れの位置にある枢軸を中心として揺動するトラ
ニオンと、このトラニオンの中間部に、上記枢軸の軸方
向に対し直角方向に形成した円孔と、互いに平行で且つ
偏心している支持軸部及び枢支軸部から成り、このうち
の支持軸部を上記円孔の内側にラジアル軸受により回転
自在に支持すると共に上記枢支軸部を上記トラニオンの
中間部内側面から突出させた変位軸と、外周面を回転円
弧面状の凸面とし、上記枢支軸部の周囲にラジアルニー
ドル軸受により回転自在に支持されて、上記両ディスク
の凹面同士の間に挟持されたパワーローラと、このパワ
ーローラと上記トラニオンの中間部内側面との間に設け
たスラスト軸受とを備える。特に、請求項1に記載した
トロイダル型無段変速機に於いては、上記枢支軸部の外
周面で上記ラジアルニードル軸受を構成するニードルの
転動面が当接する転走面に相当する部分を、超仕上によ
り表面粗さが0.2μmRa以下の平滑面としている。
更に、請求項2に記載したトロイダル型無段変速機に於
いては、上記変位軸が鋼製であり、この変位軸のうちの
少なくとも枢支軸部の外周部の表面部分に、炭素濃度が
0.8〜1.5重量%で、窒素濃度が0.05〜0.5
重量%である浸炭窒化処理層を形成している。そして、
少なくとも上記表面部分に、浸炭窒化処理後に焼き入れ
・焼き戻し処理を施している。
【0019】
【作用】上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段
変速機は、前述した従来のトロイダル型無段変速機と同
様の作用に基づき、1対のディスク同士の間で回転力の
伝達を行ない、更にトラニオンの傾斜角度を変える事に
より、これら両ディスクの回転速度比を変える。特に、
請求項1に記載したトロイダル型無段変速機の場合に
は、枢支軸部の外周面とラジアルニードル軸受を構成す
るニードルの転動面との当接部分に油膜を形成され易く
できる。この為、上記枢支軸部の外周面に早期剥離等の
損傷が発生する事を有効に防止できる。又、請求項2に
記載したトロイダル型無段変速機の場合には、枢支軸部
の外周部の表面部分に存在する浸炭窒化処理層により、
この表面部分の耐熱性を確保して、やはり上記外周面に
早期剥離等の損傷が発生する事を有効に防止できる。
【0020】
【発明の実施の形態】図1〜2は、本発明の実施の形態
の1例を示している。尚、本発明の特徴は、トラニオン
6(図3〜7)にパワーローラ8を回転自在に支持する
為の変位軸7部分にある。その他の部分の構造及び作用
は、前述した従来構造を含め、従来から知られ、或は考
えられているトロイダル型無段変速機と同様であるか
ら、同等部分に関する図示並びに説明は省略若しくは簡
略にし、以下、本発明の特徴部分並びに先に説明してい
ない部分を中心に説明する。
【0021】上記変位軸7は、互いに平行で且つ偏心し
た支持軸部21と枢支軸部22とを有する。これら支持
軸部21と枢支軸部22との連続部には、円板状の鍔部
36を形成している。又、この枢支軸部22のうち、こ
の鍔部36寄りの基半部37の外径D37は、先半部38
の外径D38よりも大きく(D37>D38)している。この
様に上記枢支軸部22の基半部37の外径D37を大きく
する事により、上記支持軸部21と枢支軸部22との連
続部の断面積を確保し、この連続部の曲げ合成を向上さ
せて、トロイダル型無段変速機の運転時に上記変位軸7
がこの連続部で曲がりにくくすると共に、この変位軸7
の熱処理時の変形も小さくしている。更に、上記支持軸
部21の基端面、即ち上記鍔部36側の端面でこの鍔部
36の外周面よりも直径方向外方に突出している部分に
は、面取り部39を形成している。この面取り部39
は、パワーローラ8を支持するスラスト玉軸受26の外
輪28との干渉防止を図ると共に、上記支持軸部21と
鍔部36との連続部を滑らかにする事により、上記変位
軸7の熱処理時に於ける変形を抑える事を目的としてい
る。この様な面取り部39の傾斜角度θは、10〜45
°の範囲に規制する。
【0022】一方、上述した様な変位軸7により回転自
在に支持されるパワーローラ8を支持するスラスト玉軸
受26の外輪28の中心部には、上記鍔部36及び基半
部37をがたつきなく印ろう嵌合自在な、中心孔40を
形成している。この為にこの中心孔40は、上記基半部
37をがたつきなく内嵌自在な小径部41と、上記鍔部
36を内嵌自在な大径部42とから構成している。又、
この大径部42の深さD42を、上記鍔部36の厚さT36
よりも僅かに大きく(D42>T36)して、上記鍔部36
及び基半部37を上記中心孔40に嵌合させた状態で、
この鍔部36の一部が上記外輪28の外面(図2の上
面)から突出しない様にしている。この理由は、上記鍔
部36が、上記外輪28とトラニオン6の内側面との間
に設けるスラストニードル軸受27(図5〜7)と干渉
するのを防止する為である。
【0023】上記パワーローラ8は、上述の様な形状を
有する変位軸7を構成する枢支軸部22のうちの先半部
38の周囲に、ラジアルニードル軸受24(図6〜7)
により、回転自在に支持している。特に、本発明の場合
には、上記先半部38の外周面、即ち、上記枢支軸部2
2の外周面で上記ラジアルニードル軸受24を構成する
ニードル35、35(図5〜9)の転動面が当接する転
走面に相当する部分を、超仕上により表面粗さが0.2
μmRa以下の平滑面としている。更に、上記変位軸7
は、SCM 435(JIS G 4105)の如きク
ロムモリブデン鋼、SUJ 2(JIS G 480
5)の如き高炭素クロム軸受鋼等の鋼製としている。そ
して、この様な鋼製の変位軸7のうちの少なくとも上記
先半部38の外周部の表面部分(実際には変位軸7の表
面全体)に、炭素濃度が0.8〜1.5重量%で、窒素
濃度が0.05〜0.5重量%である浸炭窒化処理層を
形成している。そして、少なくとも上記先半部38の表
面部分(実際には変位軸7の表面全体)に、浸炭窒化処
理後に焼き入れ・焼き戻し処理を施して、この表面部分
の硬度をHRc60以上にしている。
【0024】上述の様に構成する本発明のトロイダル型
無段変速機の場合には、上記枢支軸部22を構成する先
半部38の外周面と上記ラジアルニードル軸受24を構
成するニードル35、35の転動面との当接部分に油膜
を形成され易くできる。この為、上記先半部38の外周
面に早期剥離等の損傷が発生する事を有効に防止でき
る。次の表1は、上記先半部38の外周面の表面粗さ
が、この外周面の寿命に及ぼす影響を知る為に、本発明
者が行なった耐久試験の結果を示している。尚、試料1
〜8に関して、上記先半部38の外周面の表面粗さ以外
の条件は総て同じとした。即ち、後述する表2のNo.
4の材料、炭素濃度、窒素濃度で、表面硬度は凡そHR
c62である。
【0025】
【表1】
【0026】この表1に示した耐久試験の結果から明ら
かな通り、上記先半部38の外周面を、超仕上により表
面粗さが0.2μmRa以下の平滑面とすれば、この外
周面に早期剥離等の損傷が発生する事を防止できる。
尚、前記変位軸7の外周面で、上記先半部38以外の部
分の表面粗さは、この先半部38部分程良くする必要は
ない。例えば、前記支持軸部21は前記トラニオン6に
対して、僅かな揺動変位を自在に支持されるのみである
から、外周面の表面粗さが1.6μmRa程度で十分で
ある。
【0027】又、本発明のトロイダル型無段変速機の場
合には、上記枢支軸部22を構成する先半部38の外周
部の表面部分に存在する浸炭窒化処理層により、この表
面部分の耐熱性を確保して、やはり上記外周面に早期剥
離等の損傷が発生する事を有効に防止できる。次の表2
は、上記先半部38の表面部分に存在する浸炭窒化処理
層中に含まれる炭素及び窒素の含有量(炭素及び窒素の
濃度)が、この外周面の寿命に及ぼす影響を知る為に、
本発明者が行なった耐久試験の結果を示している。尚、
試料1〜7に関して、上記先半部38の外周面の浸炭窒
化処理層中に含まれる炭素及び窒素の含有量以外の条件
は総て同じとした。即ち、前述した表1のNo.6の仕
上げ処理を処したものを使用した。
【0028】
【表2】
【0029】
【発明の効果】本発明のトロイダル型無段変速機は、以
上に述べた通り構成され作用する為、トラニオンに対し
てパワーローラを支持する為の変位軸の枢支軸部の外周
面に、早期剥離等の損傷が発生する事を有効に防止でき
る。この結果、トロイダル型無段変速機の耐久性、信頼
性の向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す、変位軸を図
6と同方向から見た図。
【図2】同じくパワーローラ及びスラスト玉軸受の断面
図。
【図3】従来から知られたトロイダル型無段変速機の基
本的構成を、最大減速時の状態で示す側面図。
【図4】同じく最大増速時の状態で示す側面図。
【図5】従来の具体的構造の1例を示す断面図。
【図6】図5のA−A断面図。
【図7】給油通路を設けた構造を示す要部断面図。
【図8】トロイダル型無段変速機の運転時にパワーロー
ラに加わる荷重を説明する為の部分断面図。
【図9】図8のB−B断面図。
【図10】トロイダル型無段変速機の運転時に於けるト
ラニオンの変形状態を示す断面図。
【図11】枢軸の傾斜に基づく枢支軸部の負荷範囲を示
す為の断面図。
【図12】枢軸の傾斜とパワーローラの変形とに基づく
枢支軸部の負荷範囲を示す為の図。
【符号の説明】
1 入力軸 2 入力側ディスク 2a 内側面 3 出力軸 4 出力側ディスク 4a 内側面 5 枢軸 6 トラニオン 7 変位軸 8 パワーローラ 8a 周面 9 押圧装置 10 カム板 11 保持器 12 ローラ 13、14 カム面 15 入力軸 16 ニードル軸受 17 鍔部 18 出力歯車 19 キー 20 支持板 21 支持軸部 22 枢支軸部 23 円孔 24、25 ラジアルニードル軸受 26 スラスト玉軸受 27 スラストニードル軸受 28 外輪 29 駆動ロッド 30 駆動ピストン 31 駆動シリンダ 32 送り込み側給油通路 33 給油孔 34 受入側給油通路 35 ニードル 36 鍔部 37 基半部 38 先半部 39 面取り部 40 中心孔 41 小径部 42 大径部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 寛 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 三田村 宣晶 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれの軸方向片面を断面が円弧形の
    凹面とし、この凹面同士を互いに対向させた状態で互い
    に同心に、且つ互いに独立して回転自在に支持した少な
    くとも1対のディスクと、これら両ディスクの回転中心
    に対し捩れの位置にある枢軸を中心として揺動するトラ
    ニオンと、このトラニオンの中間部に、上記枢軸の軸方
    向に対し直角方向に形成した円孔と、互いに平行で且つ
    偏心している支持軸部及び枢支軸部から成り、このうち
    の支持軸部を上記円孔の内側にラジアル軸受により回転
    自在に支持すると共に上記枢支軸部を上記トラニオンの
    中間部内側面から突出させた変位軸と、外周面を回転円
    弧面状の凸面とし、上記枢支軸部の周囲にラジアルニー
    ドル軸受により回転自在に支持されて、上記両ディスク
    の凹面同士の間に挟持されたパワーローラと、このパワ
    ーローラと上記トラニオンの中間部内側面との間に設け
    たスラスト軸受とを備えるトロイダル型無段変速機に於
    いて、上記枢支軸部の外周面で上記ラジアルニードル軸
    受を構成するニードルの転動面が当接する転走面に相当
    する部分を、超仕上により表面粗さが0.2μmRa以
    下の平滑面とした事を特徴とするトロイダル型無段変速
    機。
  2. 【請求項2】 それぞれの軸方向片面を断面が円弧形の
    凹面とし、この凹面同士を互いに対向させた状態で互い
    に同心に、且つ互いに独立して回転自在に支持した少な
    くとも1対のディスクと、これら両ディスクの回転中心
    に対し捩れの位置にある枢軸を中心として揺動するトラ
    ニオンと、このトラニオンの中間部に、上記枢軸の軸方
    向に対し直角方向に形成した円孔と、互いに平行で且つ
    偏心している支持軸部及び枢支軸部から成り、このうち
    の支持軸部を上記円孔の内側にラジアル軸受により回転
    自在に支持すると共に上記枢支軸部を上記トラニオンの
    中間部内側面から突出させた変位軸と、外周面を回転円
    弧面状の凸面とし、上記枢支軸部の周囲にラジアルニー
    ドル軸受により回転自在に支持されて、上記両ディスク
    の凹面同士の間に挟持されたパワーローラと、このパワ
    ーローラと上記トラニオンの中間部内側面との間に設け
    たスラスト軸受とを備えるトロイダル型無段変速機に於
    いて、上記変位軸が鋼製であり、この変位軸のうちの少
    なくとも枢支軸部の外周部の表面部分に、炭素濃度が
    0.8〜1.5重量%で、窒素濃度が0.05〜0.5
    重量%である浸炭窒化処理層が形成されており、少なく
    とも上記表面部分は、浸炭窒化処理後に焼き入れ・焼き
    戻し処理を施されている事を特徴とするトロイダル型無
    段変速機。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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DE19929249B4 (de) * 1999-01-11 2005-06-09 Nsk Ltd. Exzenterwelle für ein stufenlos verstellbares Toroidalgetriebe
JP2009257593A (ja) * 2009-08-07 2009-11-05 Ntn Corp 円筒ころ軸受

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