JP2002213556A - トロイダル型無段変速機用パワーローラ軸受およびトロイダル型無段変速機 - Google Patents

トロイダル型無段変速機用パワーローラ軸受およびトロイダル型無段変速機

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JP2002213556A
JP2002213556A JP2001007789A JP2001007789A JP2002213556A JP 2002213556 A JP2002213556 A JP 2002213556A JP 2001007789 A JP2001007789 A JP 2001007789A JP 2001007789 A JP2001007789 A JP 2001007789A JP 2002213556 A JP2002213556 A JP 2002213556A
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Japan
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power roller
continuously variable
toroidal
variable transmission
roller bearing
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JP2001007789A
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Kikuo Maeda
喜久男 前田
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NTN Corp
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NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C19/00Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement
    • F16C19/02Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows
    • F16C19/10Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows for axial load mainly
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C2361/00Apparatus or articles in engineering in general
    • F16C2361/65Gear shifting, change speed gear, gear box

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Friction Gearing (AREA)
  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温での優れた疲労寿命特性と耐水素脆性特
性とを兼ね備えたトロイダル型無段変速機のパワーロー
ラ軸受用転動体を提供することである。 【解決手段】 パワーローラ軸受1a、1bのボール1
7を形成する鋼材に、合金元素としてCrを2質量%以
上に含有し、少なくともその表層部の炭素量を0.7質
量%以上とした合金鋼を採用することにより、優れた高
温疲労寿命特性と耐水素脆性特性とを兼ね備えたものと
し、その耐久寿命を著しく延長できるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、トロイダル型無
段変速機用パワーローラ軸受とトロイダル型無段変速機
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境保護に貢献する燃費削減
と、車の基本性能である走行性を両立する技術として、
無段変速機の採用が注目されている。この中で、トロイ
ダル型無段変速機は、スムーズでパワフルな発進を可能
とするものとして、比較的排気量の大きい車に搭載され
つつある。なお、トロイダル型無段変速機には、ハーフ
トロイダル型のものとフルトロイダル型のものとがあ
る。
【0003】図1は、本発明の実施形態であるトロイダ
ル型無段変速機の1例を示す。このトロイダル型無段変
速機は、ハーフトロイダル型でダブルキャビティ方式の
ものであり、入力軸2に2つの入力ディスク3a、3b
が設けられ、それぞれの入力ディスク3a、3bに対向
させて2つの出力ディスク4a、4bが同軸上に配置さ
れており、入力ディスク3aと出力ディスク4a、およ
び入力ディスク3bと出力ディスク4bの間の各キャビ
ティに、それぞれ1対ずつ4つのパワーローラ軸受1
a、1bが、対向する2つの凹形トロイド面5、6に差
し渡されている。
【0004】前記入力軸2の基端側に設けられた入力デ
ィスク3aは、トルクコンバータ7と前後進切り換え装
置8を介してエンジンからの動力を伝達されるローディ
ングカム9から、カムローラ10を介して回転力を伝達
され、入力軸2および他端側の入力ディスク3bと一体
に回転する。また、各出力ディスク4a、4bは、後述
する機構で各パワーローラ軸受1a、1bから回転力を
伝達され、この回転力は歯車11と歯車軸12を介して
出力軸13に伝達される。
【0005】前記各パワーローラ軸受1a、1bは、対
向するトロイド面5、6と係合する内輪としてのパワー
ローラ14と、トラニオン15に固定された外輪16
と、転動体としての複数のボール17とから成り、パワ
ーローラ14が枢軸18に回転自在に支持されている。
パワーローラ14は、各トロイド面5、6との間に介在
する油膜の剪断力により回転し、各入力ディスク3a、
3bからの回転力を各出力ディスク4a、4bに伝達す
る。
【0006】前記4つのパワーローラ軸受1a、1b
は、各トラニオン15がリンク(図示省略)により結合
され、トロイド面5、6の中心となるピボット軸Pの回
りに、2つずつパワーローラ軸受1aおよび1b同士、
ならびに、入力軸2に対して同じ側のパワーローラ軸受
1aと1bとが、互いに対称な角度に傾転するようにな
っている。
【0007】上記トロイダル型無段変速機のパワーロー
ラ軸受は、内輪(パワーローラ)が各トロイド面と高い
接触圧力で係合し、転動体と内外輪間の軌道面には高い
スラスト荷重が作用する。このため、軌道面での摩擦発
熱による温度上昇と、高い転動接触圧力により、転動体
が短寿命となる問題がある。
【0008】この問題への対策として、特開平7−20
8568号公報には、転動体の素材として中炭素鋼また
は高炭素鋼を用い、これを浸炭窒化処理して、焼入れ、
焼戻しすることが提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のトロイ
ダル型無段変速機のパワーローラ軸受は、転動体の高温
での硬さの低下を抑制して、その疲労寿命特性をある程
度向上させることができるが、パワーローラ軸受の転動
体には、潤滑油との反応で生じる水素により、水素脆性
損傷が発生する恐れがあり、上記中炭素鋼または高炭素
鋼を浸炭窒化処理する対策では、水素脆性損傷を抑制す
ることができない。
【0010】そこで、この発明の課題は、高温での優れ
た疲労寿命特性と耐水素脆性特性とを兼ね備えたトロイ
ダル型無段変速機のパワーローラ軸受用転動体を提供す
ることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、この発明のパワーローラ軸受は、トロイダル型無
段変速機の入力軸側と出力軸側にそれぞれ設けられた、
入力ディスクと出力ディスクとに対向させて形成された
凹形トロイド面間に差し渡して配置され、これらの両ト
ロイド面と係合して、前記入力軸から出力軸に回転力を
伝達するパワーローラを、複数の転動体により回転自在
に支持するパワーローラ軸受において、前記転動体を、
合金元素としてCrが2質量%以上に含有され、少なく
ともその表層部の炭素量が0.7質量%以上とされた鋼
材で形成した構成を採用したものである。
【0012】すなわち、転動体を形成する鋼材に、合金
元素としてCrを2質量%以上に含有する合金鋼を採用
することにより、水素脆性を抑制するとともに、転動体
の少なくとも表層部の炭素量を0.7質量%以上とする
ことにより、焼入れ、焼戻し後に得られる表層硬さの高
温での低下を抑制して、転動体の疲労寿命特性を向上さ
せた。炭素量は、浸炭または浸炭窒化処理により表層部
のみを0.7質量%以上とする他に、素材自体の炭素量
を0.7質量%以上とし、表層部のみでなく全体を0.
7質量%以上としてもよい。
【0013】なお、Crは水素脆性を抑制する合金元素
であること、および、炭素は、焼入れ、焼戻しされた鋼
の硬さを増大させるとともに高温での軟化を抑制し、耐
熱性を改善する作用があることはよく知られている。上
記Cr量と炭素量の各下限値は、後述するパワーローラ
軸受の使用条件をシミュレートする各試験の結果に基づ
いて決定したものである。
【0014】前記転動体を形成する鋼材としては、耐熱
軸受鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼を採用する
ことができる。
【0015】前記転動体を形成する鋼材を、粉末冶金法
で製造されたものとすることにより、共晶炭化物を均一
に分布させて、大きな共晶炭化物をなくすことができ、
転動体の疲労寿命特性をより向上させることができる。
【0016】また、この発明のトロイダル型無段変速機
は、入力軸側と出力軸側にそれぞれ入力ディスクと出力
ディスクが設けられ、この入力ディスクと出力ディスク
とに凹形トロイド面が対向させて形成され、これらの両
トロイド面と係合し、前記入力軸から出力軸に回転力を
伝達するパワーローラを、複数の転動体により回転自在
に支持するパワーローラ軸受を備えたトロイダル型無段
変速機において、上記のいずれかのパワーローラ軸受を
用いる構成を採用することにより、長時間の安定した作
動を保障できるようにした。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図1乃至図3に基づき、こ
の発明の実施形態を説明する。図1および図2は、第1
の実施形態を示す。このトロイダル型無段変速機は、前
述したように、ハーフトロイダル型でダブルキャビティ
方式のものであり、図1に示すように、入力軸2に2つ
の入力ディスク3a、3bが設けられ、それぞれの入力
ディスク3a、3bに対向させて2つの出力ディスク4
a、4bが同軸上に配置されており、入力ディスク3a
と出力ディスク4a、および入力ディスク3bと出力デ
ィスク4bの間の各キャビティに、それぞれ1対ずつ4
つのパワーローラ軸受1a、1bが、対向する2つの凹
形トロイド面5、6に差し渡されている。
【0018】前記入力軸2の基端側に設けられた入力デ
ィスク3aは、トルクコンバータ7と前後進切り換え装
置8を介してエンジンからの動力を伝達されるローディ
ングカム9から、カムローラ10を介して回転力を伝達
され、入力軸2および他端側の入力ディスク3bと一体
に回転する。また、各出力ディスク4a、4bは、後述
する機構で各パワーローラ軸受1a、1bから回転力を
伝達され、この回転力は歯車11と歯車軸12を介して
出力軸13に伝達される。
【0019】図2に示すように、各パワーローラ軸受1
a、1bは、対向するトロイド面5、6と係合する内輪
としてのパワーローラ14と、トラニオン15に固定さ
れた外輪16と、転動体としての複数のボール17とか
ら成り、パワーローラ14が枢軸18に回転自在に支持
されている。パワーローラ14は、各トロイド面5、6
との間に介在する油膜の剪断力により回転し、各入力デ
ィスク3a、3bからの回転力を各出力ディスク4a、
4bに伝達する。
【0020】前記4つのパワーローラ軸受1a、1b
は、各トラニオン15がリンク(図示省略)により結合
され、トロイド面5、6の中心となるピボット軸Pの回
りに、2つずつパワーローラ軸受1aおよび1b同士、
ならびに、入力軸2に対して同じ側のパワーローラ軸受
1aと1bとが、互いに対称な角度に傾転するようにな
っている。
【0021】したがって、前記4つのパワーローラ14
は、それぞれのトロイド面5、6と同一半径方向位置で
係合し、傾転角度に応じた変速比で、回転力を均等に各
入力ディスク3a、3bから各出力ディスク4a、4b
に伝達する。また、4つのパワーローラ軸受1a、1b
は、それぞれ互いに対称な角度に傾転するので、各パワ
ーローラ14の各トロイド面5、6との係合点における
面圧は、軸方向ならびに軸直交方向で相殺され、面圧に
よる前記油膜の剪断力のみが有効に作用して、効率よく
回転力が伝達される。
【0022】前記ボール17は、後の表1に実施例とし
て示す化学成分を有する鋼材で形成したものである。
【0023】図3は、第2の実施形態を示す。このトロ
イダル型無段変速機は、フルトロイダル型でダブルキャ
ビティ方式のものであり、凹形トロイド面19が形成さ
れた2つの入力ディスク20a、20bが入力軸21に
設けられ、各凹形トロイド面19に対向する凹形トロイ
ド面22を両面に形成された出力ディスク23が同軸上
に配置されて、入力ディスク20a、20bと出力ディ
スク23間の各キャビティに、それぞれ1対ずつ4つの
パワーローラ軸受24a、24bが、対向する2つの凹
形トロイド面19、22に差し渡されている。
【0024】前記入力軸21の基端側に設けられた入力
ディスク20aは、トルクコンバータ(図示省略)を介
してエンジンからの動力を伝達される油圧ピストン25
から回転力を伝達され、入力軸21および他端側の入力
ディスク20bと一体に回転する。出力ディスク23
は、第1の実施形態と同様に、各パワーローラ軸受24
a、24bから回転力を伝達され、この回転力は出力デ
ィスク23に固定された歯車(図示省略)を介して出力
軸26に伝達される。
【0025】前記各パワーローラ軸受24a、24b
は、対向するトロイド面19、22と係合するパワーロ
ーラ27を、玉軸受28でトラニオン29に回転自在に
支持するものであり、パワーローラ27は、各トロイド
面19、22との間に介在する油膜の剪断力により回転
し、各入力ディスク20a、20bの回転力を出力ディ
スク23に伝達する。
【0026】このフルトロイダル型のパワーローラ軸受
24a、24bは、傾転中心となるピボット軸Pが、パ
ワーローラ27の各トロイド面19、22との接触点を
結ぶ直線上にあり、傾転支持部に荷重が作用しない点が
第1の実施形態のハーフトロイダル型のものと異なる。
4つのパワーローラ27が、各トロイド面19、22と
同一半径方向位置で係合し、傾転角度に応じた変速比
で、回転力を伝達することは、ハーフトロイダル型のも
のと同じである。
【0027】前記各玉軸受28のボール30も、後の表
1に実施例として示す化学成分を有する鋼材で形成した
ものである。
【0028】上述した各実施形態のトロイダル型無段変
速機は、ダブルキャビティ方式のものであるが、本発明
に係るトロイダル型無段変速機は、シングルキャビティ
方式のものにも適用することができる。
【0029】以下に実施例および比較例を挙げる。
【0030】
【実施例】表1に実施例1〜8として主要化学成分を示
す8種類の鋼材を用いた、高温転動寿命試験用のボー
ル、スミアリング試験用のリング状試験片および耐水素
脆性試験用の玉軸受を用意した。実施例1、3は、それ
ぞれマルテンサイト系ステンレス鋼であるSUS440
Cと13%Cr鋼、実施例2は、SUS440Cを粉末
冶金法で製造したもの、実施例4、5は、それぞれ耐熱
軸受鋼であるM50とT1、実施例6乃至8は、それぞ
れCr含有量を2%以上の範囲で変化させた合金鋼であ
る。
【0031】なお、上記各実施例の鋼材は、いずれも、
素材の炭素量が0.7%以上のものを標準的な焼入れ、
焼戻し処理により硬化させ、表層部をビッカース硬さで
Hv750以上としたものであるが、素材の炭素量が
0.7%未満のものに浸炭または浸炭窒化処理を施し、
表層部の炭素量のみを0.7%以上とすることもでき
る。
【0032】
【表1】
【0033】
【比較例】表1に比較例1〜3として示す種類の鋼材を
用いて、実施例と同様のボール、リング状試験片および
玉軸受を用意した。比較例1は、軸受鋼として最も多く
使用されている高炭素クロム軸受鋼SUJ2、比較例2
は、SUJ2を浸炭窒化処理したもの、比較例3は、
0.7%炭素鋼を浸炭窒化処理したものである。これら
の各比較例の鋼材も、標準的な焼入れ、焼戻し処理によ
り、表層部をビッカース硬さでHv 750以上としたも
のである。
【0034】上記実施例および比較例のボール、リング
状試験片および玉軸受について、それぞれ高温転動寿命
試験、スミアリング試験および耐水素脆性試験を実施し
た。
【0035】各試験の概要と結果は以下の通りである。
なお、各試験結果としての転動寿命、スミアリング強度
および水素脆性剥離寿命は、それぞれ比較例1の試験結
果を基準値1.0とした相対値である、転動寿命比、ス
ミアリング強度比および脆性剥離寿命比で、表2に表示
した。
【0036】
【表2】 (1)高温転動寿命試験 高温用スラスト寿命試験を用いて、ボールをセラミック
材料の平板レースと軌道溝を有するスラスト玉軸受レー
スとの間で転動させ、以下の試験条件で高温転動寿命試
験を行った。接触面圧Pmax がより過酷となる平板レー
ス側にセラミック材料を用いたのは、ボールよりも先に
平板レースが剥離損傷しないようにするためである。な
お、転動寿命はL10寿命(サンプルの90%が破損し
ないで使える時間)で評価した。
【0037】 ・ボール寸法 :直径1/4インチ×3個 ・レース寸法 :外径47mm ・接触面圧Pmax :5.5GPa(ボール対平板レー
ス) ・負荷速度 :3000回/分(レース回転速度2
000rpm) ・潤滑油 :エーテル系合成油 ・油音 :200℃ 表2に示すように、浸炭窒化処理を施した比較例2、3
は、基準とした比較例1のせいぜい2倍程度の寿命比で
あった。
【0038】これに対して、実施例1は浸炭窒化処理を
施した比較例2と同程度の寿命比であるが、その他の実
施例は、いずれも比較例1の3倍以上の寿命比であっ
た。特に、耐熱軸受鋼M50の実施例4、および5〜8
%Cr合金鋼の実施例6、7、ならびに粉末冶金法で製
造した実施例2は、7倍以上の優れた寿命比を示し、実
施例2が最も長寿命であった。これは、実施例2が粉末
冶金法で製造され、共晶炭化物が均一に分布されている
ので、応力集中源となる大きな共晶炭化物がないためと
考えられる。
【0039】(2)スミアリング試験 スミアリング試験は、同一形状の一対のリング状試験片
を、駆動軸と、この駆動軸と平行な従動軸に取り付け、
両試験片の円筒面を互いに押し当てて転動させるもので
あり、従動軸は一定速度で回転駆動され、駆動軸は従動
軸と等速回転から徐々に増速される。スミアリング強度
は、試験片の円筒面にスミアリングが発生した時点の駆
動軸と従動軸の速度比で評価される。なお、一対のリン
グ状試験片は同種のサンプルのものとした。試験条件
は、以下の通りである。
【0040】 ・試験片の最大表面粗さ:3.0μm ・接触面圧Pmax :2.1GPa ・潤滑油 :タービン油VG46 ・駆動軸回転速度:200rpmから100rpmずつ
増速 ・従動軸回転速度:200rpm一定 表2に示すように、実施例の各試験片は、いずれも比較
例1の1.3倍以上のスミアリング強度を有する。なか
でも、耐熱軸受鋼の実施例4、5およびSUS440C
の実施例1、2が、より優れたスミアリング強度を有す
る。
【0041】一方、浸炭窒化処理を施した比較例2、3
は、若干スミアリング強度の向上が認められるが、いず
れも実施例には及ばない。
【0042】(3)耐水素脆性試験 玉軸受を軸受試験機の回転軸に取り付け、分解して水素
を発生しやすい潤滑剤を用いて、耐水素脆性試験を行っ
た。水素脆性剥離寿命は、水素脆性剥離が発生するまで
の時間で評価した。なお、試験終了後のサンプルについ
て、ミクロ組織の変化も調査した。試験条件は、以下の
通りである。
【0043】・玉軸受寸法 :内径17mm、外径47
mm、幅12mm ・回転軸回転数:0〜18000rpm(1秒で180
00rpmまで加速、25秒間回転後、1秒で停止し
て、3秒間保持を繰り返す) ・軸受荷重 :3.2kN ・試験温度 :室温 ・潤滑剤 :エステル系グリース ・打ち切り時間 :300時間(軸受鋼の標準剥離時間
の6倍) 表2に示すように、実施例の玉軸受は、いずれも比較例
1の5倍以上の寿命比を示し、実施例1乃至6は、30
0時間の打ち切り時間まで水素脆性剥離が発生しなかっ
た。また、実施例の玉軸受は、全て、ミクロ組織の変化
も認められなかった。
【0044】これに対して、比較例の玉軸受は、いずれ
も100時間未満で水素脆性剥離が発生し、表層部に脆
性剥離特有の幅広いミクロ組織変化が認められた。
【0045】以上の各試験結果より、各実施例は、いず
れも優れた高温疲労寿命特性とスミアリング強度を有
し、かつ、耐水素脆性特性も非常に優れていることがわ
かる。したがって、軌道面での摩擦発熱による温度上昇
が大きく、高い転動接触圧力が作用するトロイダル型無
段変速機用パワーローラ軸受の転動体に適した性能を備
えている。
【0046】
【発明の効果】以上のように、この発明のトロイダル型
無段変速機用パワーローラ軸受は、転動体を形成する鋼
材に、合金元素としてCrを2質量%以上に含有し、少
なくともその表層部の炭素量を0.7質量%以上とした
合金鋼を採用することにより、優れた高温疲労寿命特性
と耐水素脆性特性とを兼ね備えたものとしたので、その
耐久寿命を著しく延長することができる。
【0047】また、この発明のトロイダル型無段変速機
は、上記のようなパワーローラ軸受を採用したので、長
時間の安定した作動を保障することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態のトロイダル型無段変速機を示
す縦断面図
【図2】図1のパワーローラ軸受を示す拡大縦断面図
【図3】第2の実施形態のトロイダル型無段変速機を示
す縦断面図
【符号の説明】
1a、1b パワーローラ軸受 2 入力軸 3a、3b 入力ディスク 4a、4b 出力ディスク 5、6 トロイド面 7 トルクコンバータ 8 前後進切り換え装置 9 ローディングカム 10 カムローラ 11 歯車 12 歯車軸 13 出力軸 14 パワーローラ 15 トラニオン 16 外輪 17 ボール 18 枢軸 19 トロイド面 20a、20b 入力ディスク 21 入力軸 22 トロイド面 23 出力ディスク 24a、24b パワーローラ軸受 25 油圧ピストン 26 出力軸 27 パワーローラ 28 玉軸受 29 トラニオン 30 ボール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16C 33/32 F16C 33/32

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トロイダル型無段変速機の入力軸側と出
    力軸側にそれぞれ設けられた、入力ディスクと出力ディ
    スクとに対向させて形成された凹形トロイド面間に差し
    渡して配置され、これらの両トロイド面と係合して、前
    記入力軸から出力軸に回転力を伝達するパワーローラ
    を、複数の転動体により回転自在に支持するパワーロー
    ラ軸受において、前記転動体を、合金元素としてCrが
    2質量%以上に含有され、少なくともその表層部の炭素
    量が0.7質量%以上とされた鋼材で形成したことを特
    徴とするトロイダル型無段変速機用パワーローラ軸受。
  2. 【請求項2】 前記転動体を形成する鋼材が、耐熱軸受
    鋼である請求項1に記載のトロイダル型無段変速機用パ
    ワーローラ軸受。
  3. 【請求項3】 前記転動体を形成する鋼材が、マルテン
    サイト系ステンレス鋼である請求項1に記載のトロイダ
    ル型無段変速機用パワーローラ軸受。
  4. 【請求項4】 前記転動体を形成する鋼材が、粉末冶金
    法で製造されたものである請求項1乃至3のいずれかに
    記載のトロイダル型無段変速機用パワーローラ軸受。
  5. 【請求項5】 入力軸側と出力軸側にそれぞれ入力ディ
    スクと出力ディスクが設けられ、この入力ディスクと出
    力ディスクとに凹形トロイド面が対向させて形成され、
    これらの両トロイド面と係合し、前記入力軸から出力軸
    に回転力を伝達するパワーローラを、複数の転動体によ
    り回転自在に支持するパワーローラ軸受を備えたトロイ
    ダル型無段変速機において、前記パワーローラ軸受に請
    求項1乃至4のいずれかに記載のパワーローラ軸受を用
    いたことを特徴とするトロイダル型無段変速機。
JP2001007789A 2001-01-16 2001-01-16 トロイダル型無段変速機用パワーローラ軸受およびトロイダル型無段変速機 Pending JP2002213556A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005098057A1 (ja) * 2004-04-01 2005-10-20 Ntn Corporation 転動部品および転がり軸受
JP2006312952A (ja) * 2005-05-06 2006-11-16 Ntn Corp 転がり軸受装置
CN1333185C (zh) * 2003-07-28 2007-08-22 崔光彩 滚轮球面弧盘无级变速器
JP2014085153A (ja) * 2012-10-19 2014-05-12 Ntn Corp 転動部品の寿命評価方法および寿命評価装置

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