JPH11209595A - 生分解性形状記憶高分子成形体の形状記憶方法と形状復元方法 - Google Patents

生分解性形状記憶高分子成形体の形状記憶方法と形状復元方法

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JPH11209595A
JPH11209595A JP10022616A JP2261698A JPH11209595A JP H11209595 A JPH11209595 A JP H11209595A JP 10022616 A JP10022616 A JP 10022616A JP 2261698 A JP2261698 A JP 2261698A JP H11209595 A JPH11209595 A JP H11209595A
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和郎 中山
Yasuko Kodama
コダマ・ヤスコ
Reon Tebeiku
テベイク・レオン
Kon Sai
昆 斉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生分解性を示し、かつ、溶融成形可能な形状
記憶を有する高分子組成物及びその成形方法を提供す
る。 【解決手段】 ポリラクチドとポリ(ε−カプロラクト
ン)を主成分とする高分子ブレンド組成物からなり、該
ポリラクチドの含有量が25重量%から95重量%の範
囲であることを特徴とする生分解性形状記憶高分子組成
物。前記生分解性形状記憶高分子組成物を、繊維状、フ
ィルム、シート状等の所定形状の成形体に成形すること
を特徴とする生分解性形状記憶高分子組成物の成形方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形が可能な脂肪
族ポリエステル系で、使用後に、土壌中や水中で分解可
能な新規生分解性形状記憶高分子組成物及びその成形方
法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、例
えば、農業、漁業用分野での締め付け具、パイプのかん
合部品、センサー、アクチュエーター、また、玩具や、
医療分野での保護用具、ギブス、治療用具に好適に利用
できる新規な生分解性形状記憶高分子組成物及びその成
形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】生分解性とは、材料が生体中で生分解し
たり、土壌中や水中で微生物や酵素によって分解され、
低分子になる現象である。形状記憶とは材料を変形した
ときに、その変形が固定されるものの、変形前の形状を
記憶しており、加熱することで元の形状に戻る現象であ
る。従来から、脂肪族ポリエステルの一部は生分解性を
示すことが知られており、ポリラクチドやポリ(ε−カ
プロラクトン)は、この現象が顕著である。また、形状
記憶高分子に関して、ポリノルボルネン、ポリウレタン
エラストマー、トランスポリイソプレン等が形状記憶の
現象を示すことが知られている(特開昭59−5352
8号公報、同61−293214号広報、同62−86
025号公報)。形状記憶高分子は、一般に形状記憶合
金に比べ、軽量、安価であり、また、錆びないこと、電
気絶縁性を示すなどの特徴があり、この特性を利用した
用途が注目されている。形状記憶の性質を示す材料は、
変形後の流動を防ぐために架橋するか又は、共重合又
は、著しく高分子化させる必要があった。このために、
成形体の形状も制限があり、満足な状況とはいえない。
また、生分解性を示す材料ではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、生分解性を
示し、かつ、溶融成形可能な形状記憶を有する高分子組
成物及びその成形方法を提供することをその課題とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成に至っ
た。即ち、本発明によれば、ポリラクチドとポリ(ε−
カプロラクトン)を主成分とする高分子ブレンド組成物
からなり、該ポリラクチドの含有量が25重量%から9
5重量%の範囲であることを特徴とする生分解性形状記
憶高分子組成物が提供される。また、本発明によれば、
前記生分解性形状記憶高分子組成物を、繊維状、フィル
ム、シート状等の所定形状の成形体に成形することを特
徴とする生分解性形状記憶高分子組成物の成形方法が提
供される。ポリラクチド及びポリ(ε−カプロラクト
ン)が、生分解性を示すことは公知であるが、本発明に
よる前記高分子ブレンド組成物が形状記憶効果を発揮す
ることは本発明者らによって初めて見い出されたもので
ある。なお、本明細書で言う形状記憶とは、従来公知の
方法によって成形体を作り、この成形体にそのポリ(ε
−カプロラクトン)の融点以上でポリラクチドの融点よ
り低い温度の加熱条件下で伸びや、曲げ、圧縮、ねじり
等の変形を与えた後、冷却してその変形を固定化したも
のを、再度前記範囲の温度に加熱したときに、その変形
が解消され、元の形状に復元することを意味する。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の生分解性形状記憶高分子
組成物は、ポリラクチド(ポリ乳酸)とポリ(ε−カプ
ロラクトン)を主成分とする高分子ブレンド組成物であ
って、そのポリラクチドの含有量が25重量%から95
重量%の範囲であることを特徴とする。本発明で用いる
ポリラクチドは、次の繰返し構造単位を有するものであ
る。
【化1】 本発明では、ポリラクチドには、そのL−体、D−体及
びDL−体が包含されるが、本発明の場合、L−体を7
0〜100重量%含有するもの、好ましくはポリ(L−
ラクチド)の使用が好ましい。D−体やDL−体の含有
量が高くなりすぎると、ポリラクチドの融点やガラス転
移温度の低下が生じるのであまり好ましいものではな
い。本発明で用いるポリ(ε−カプロラクトン)として
は、市販のものをそのまま使用することができる。本発
明の組成物において、そのポリラクチドの含有量は、2
5〜95重量%、好ましくは30〜90重量%である。
ポリラクチドの含有量が前記範囲より多くなると、その
成形品に大きな変形を与えた場合に回復率の低下の問題
を生じるので好ましくない。一方、前記範囲より少なく
なると、成形品の軟化と回復率の低下の問題を生じるの
で好ましくない。
【0006】本発明の生分解性形状記憶高分子組成物を
成形するには、ポリラクチドとポリ(ε−カプロラクト
ン)をあらかじめドライブレンドしたのち、二軸押出機
を用いて、溶融混練し、得られた高分子ブレンド組成物
を、繊維状、フィルム、シート状等の所定形状の成形体
に成形する。本発明の組成物から繊維状成形体を得るに
は、ポリラクチドの融点(Tm)である174℃以上の
温度、好ましくは、190℃から250℃の範囲で溶融
混練したのち、溶融紡糸法によって紡糸すればよい。ま
た、フィルムやシート状、パイプ状のものを得るには、
174℃以上の温度で、好ましくは、190℃から25
0℃の範囲で溶融混練したのち、押出成形法、ブロー成
形法、圧縮成形等によってフィルムやシート状、パイプ
状に成形すればよい。さらに、容器等の成形体は、17
4℃以上の温度、好ましくは、190℃から250℃の
範囲で溶融混練したのち、射出成形法等によって成形す
ればよい。
【0007】
【発明の効果】本発明の生分解性形状記憶高分子組成物
は、架橋や共重合をほどこしていないにもかかわらず、
形状記憶性にすぐれている。本発明の組成物が形状記憶
性を有する理由は、ポリラクチドからなる高融点成分
と、ポリ(ε−カプロラクトン)からなる低融点成分と
からなる高分子ブレンドにおいて、そのポリラクチドの
含有量が25重量%から95重量%の範囲である高分子
組成物は、非相溶性であって、ポリラクチドとポリ(ε
−カプロラクトン)のそれぞれの融点及びガラス転移温
度が独立して現れ、かつ、前者のガラス転移温度と後者
の融点がほぼ同じ温度にあることにある。この結果、ポ
リ(ε−カプロラクトン)の融点以上で、即ち、ポリラ
クチドのガラス転移温度以上で、その組成物から形成し
た成形物は流動することなく容易に変形し、この温度よ
り低い温度に冷やすことでその変形形状が固定できる。
再び、変形を固定した成形物を、ポリ(ε−カプロラク
トン)の融点以上、即ち、ポリラクチドのガラス転移温
度以上に加熱すると、その変形した組成物は変形前の形
状を回復することができる。本発明の組成物、さらに、
それを成形して得られた繊維、フィルム、シート、パイ
プ、容器等の各種成形物は、その形状に応じた用途、例
えば、農業、漁業用分野での締め付け具、パイプのかん
合部品、センサー、アクチュエーターに好適に利用でき
る。また、玩具や、医療分野での保護用具、ギブス、治
療用具に好適に利用できる。
【0008】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。
【0009】実施例1 原料のポリラクチドとして、島津製作所製ラクティ10
12〔ポリ(L−ラクチド)〕を用いた。このものの融
点は174℃で、ガラス転移温度の範囲は62℃から7
0℃であった。また、ポリ(ε−カプロラクトン)とし
て、UCC社製TONE P787を用いた。このもの
の融点(DSCのピーク温度)は64.1℃で、ガラス
転移温度は−62℃であった。両者を真空下で24時間
以上乾燥したのち、室温度でポリラクチド75重量%と
ポリ(ε−カプロラクトン)25重量%の割合でドライ
ブレンドした。この混合物を二軸押出機内で温度205
℃に加熱溶融、混練したのち、幅60mm、隙間1.0
5mmのTダイからシート状に押出し、水中で冷却後に
巻き取った。こうして得られた厚さ約1mmのシートを
長さ100mm、幅10mmに切り出し、70℃で、速
度120mm/分の速度で長手方向に35%の伸びを与
えたのち、室温に放置した。次に、この変形したシート
を70℃に保持した恒温槽に入れたところ、回復率10
0%で、変形前の寸法を回復した。
【0010】実施例2 実施例1において、ポリラクチドとポリ(ε−カプロラ
クトン)の組成比を変えた組成物から得られたシートに
70℃において与えた変形と、回復率の関係を表1に示
す。
【0011】
【表1】
【0012】表1に示した回復率は以下のようにして測
定されたものである。 (回復率)70℃で、速度120mm/分の速度で長手
方向に伸びを与えたのち、室温に放置した。次に、この
変形したシートを長手方向の一端をはさみ、70℃に保
持した恒温槽内で、上下に5分間つるしたのち、室温に
取り出し、寸法を測定した。この場合の回復率は、次に
式により定義される。 与えた伸び = 100(L1−L0)/L0
(%) 回復率 = {1−(L2−L0)/L0}x100
(%) L0: シートの長さ L1: 変形後の長さ L2: 回復後の長さ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年2月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 生分解性形状記憶高分子成形体の形状
記憶方法と形状復元方法
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形が可能な脂肪
族ポリエステル系で、使用後に、土壌中や水中で分解可
能な新規生分解性形状記憶高分子組成物を用いて形成し
た成形体の形状記憶方法及び形状復元方法に関するもの
である。さらに詳しくは、本発明は、例えば、農業、漁
業用分野での締め付け具、パイプのかん合部品、センサ
ー、アクチュエーター、また、玩具や、医療分野での保
護用具、ギブス、治療用具に好適に利用できる新規生分
解性形状記憶高分子組成物を用いて形成した成形体の形
状記憶方法及び形状復元方法に関するものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正内容】
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、生分解性を
示し、かつ、溶融成形可能な形状記憶性高分子組成物を
用いて形成した成形体の形状記憶方法及び形状復元方法
を提供することをその課題とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至
った。即ち、本発明によれば、高分子成形体に形状記憶
させる方法において、該高分子成形体として、ポリラク
チドとポリ(ε−カプロラクトン)を主成分とし、該ポ
リラクチドの含有量が25重量%から95重量%の範囲
である生分解性形状記憶高分子組成物を所定形状に成形
して形成された生分解性形状記憶高分子成形体を用いる
とともに、該成形体を、該ポリ(ε−カプロラクトン)
の融点以上で該ポリラクチドの融点より低い温度で変形
させることを特徴とする生分解性形状記憶高分子成形体
の形状記憶方法が提供される。また、本発明によれば、
形状記憶させた高分子成形体の形状を復元させる方法に
おいて、該高分子成形体として、ポリラクチドとポリ
(ε−カプロラクトン)を主成分とし、該ポリラクチド
の含有量が25重量%から95重量%の範囲である生分
解性形状記憶高分子組成物を所定形状に成形して形成さ
れた生分解性形状記憶高分子成形体を用いるとともに、
該成形体を、該ポリ(ε−カプロラクトン)の融点以上
で該ポリラクチドの融点より低い温度に加熱することを
特徴とする生分解性形状記憶高分子成形体の形状復元方
法が提供される。ポリラクチド及びポリ(ε−カプロラ
クトン)が生分解性を示すことは公知であるが、本発明
による前記高分子ブレンド組成物が形状記憶効果を発揮
することは本発明者らによって初めて見い出されたもの
である。なお、本明細書で言う形状記憶とは、従来公知
の方法によって成形体を作り、この成形体にそのポリ
(ε−カプロラクトン)の融点以上でポリラクチドの融
点より低い温度の加熱条件下で伸びや、曲げ、圧縮、ね
じり等の変形を与えた後、冷却してその変形を固定化し
たものを、再度前記範囲の温度に加熱したときに、その
変形が解消され、元の形状に復元することを意味する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 コダマ・ヤスコ 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 テベイク・レオン 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 斉 昆 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリラクチドとポリ(ε−カプロラクト
    ン)を主成分とする高分子ブレンド組成物からなり、該
    ポリラクチドの含有量が25重量%から95重量%の範
    囲であることを特徴とする生分解性形状記憶高分子組成
    物。
  2. 【請求項2】 該ポリラクチドがポリ(L−ラクチド)
    を70〜100重量%含有する請求項1の組成物。
  3. 【請求項3】 ポリラクチドとポリ(ε−カプロラクト
    ン)を主成分とし、該ポリラクチドの含有量が25重量
    %から95重量%の範囲である生分解性形状記憶高分子
    組成物を所定形状の成形体に成形することを特徴とする
    生分解性形状記憶高分子組成物の成形方法。
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