JPH11200827A - エンジンの冷却装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】エンジンのヘッド部や潤滑ポンプやカム軸やク
ランク軸廻りへ流れる潤滑油を通す潤滑油路をシリンダ
ーボディの壁面に設けているが、シリンダーボディの壁
面は、外面部は外気に接当し内面部はクランク室の高温
空気に接当しているため、潤滑油の油温が上昇した場合
そのままでは温度が下がり難く、潤滑油の劣化が早く進
むとエンジンの潤滑部の耐久性が劣ったり、頻繁に交換
すると油代が増えてコストアップとなる欠点を有してい
た。 【解決手段】シリンダーボディ１の外端部にシリンダー
筒部２を設け、シリンダー筒部２内端よりもさらに内方
の外壁部にシリンダー筒部２の軸心と直交方向に潤滑油
路３を配設し、シリンダー筒部２外周にウォータージャ
ケット４を設けたものであって、該ウォータージャケッ
ト４を潤滑油路３近傍内方まで延長して覆ったことを特
徴とするエンジンの冷却装置とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、エンジンの冷却装置
に関する。この発明は、エンジンのシリンダーブロック
内に発生する熱を、ウォータージャケット内の冷却水
で、効率良く冷却しようとするものである。

【０００２】

【従来の技術、及び、発明が解決しようとする課題】従
来、シリンダーブロック内のウォータージャケットは、
シリンダー筒部の外周を冷却するために、シリンダー筒
部の長さの範囲以内までしか設けていなかった。また、
エンジンの、ヘッド部や潤滑ポンプやカム軸やクランク
軸廻りへ流れる潤滑油を通す潤滑油路は、油路が各部所
にわたっているため、シリンダー筒部廻り以外のシリン
ダーブロック部に設けられていた。このような従来構成
のものでは、潤滑油の油温が上昇した場合そのままでは
温度が下がり難く、ラジエター内等に送って冷却する必
要が生じ、配管等が長く必要と成りコストアップとなる
欠点を有していた。

【０００３】

【課題を解決するための手段】この発明は、従来装置の
このような不具合を解消しようとするものであって、次
のような技術的手段を講じた。即ち、シリンダーボディ
１の外端部にシリンダー筒部２を設け、シリンダー筒部
２内端よりもさらに内方の外壁部にシリンダー筒部２の
軸心と直交方向に潤滑油路３を配設し、シリンダー筒部
２外周にウォータージャケット４を設けたものであっ
て、該ウォータージャケット４を潤滑油路３近傍内方ま
で延長して覆ったことを特徴とするエンジンの冷却装置
の構成とした。

【０００４】

【実施例】図例は、この発明の一実施例を示すものであ
って、エンジン５の冷却水を収納するウォータージャケ
ット４を、シリンダーボディ１部のシリンダー筒部２廻
りに設けた冷却装置部に折り込んでいる。まず、全体か
ら説明すると、農用トラクター１１に搭載されているエ
ンジン５の前方にはラジエータ１２が配設され、冷却フ
ァン１３でラジエータ１２廻りの空気を吸引し冷却して
いる。エンジン５の上方はボンネット１４で覆われ、左
右両側方はサイドカバー１５，１５で覆われ、前方はフ
ロントグリル１６で覆われている。１７は前部防塵網で
ある。

【０００５】エンジン５の構成は、シリンダーボディ１
下部に鋳鉄製のオイルパン１８を取り付け、シリンダー
ボディ１上方にシリンダーヘッド１９とヘッドカバー２
０を取り付けている。ヘッドカバー２０上には、潤滑油
を注入するための注油口を閉鎖するキヤップ２１が取り
付けられている。シリンダーヘッド１９には、吸気用の
インテークマニホールド２２と排気用のエキゾーストマ
ニホールド２３が取り付けられている。２４はエアクリ
ーナ、２５はマフラーである。

【０００６】シリンダーボディ１下端部にはクランク軸
８が配設され、シリンダー筒部２内に内装した図示しな
いピストンとの間をコンロッドで連結し、燃焼室での爆
発動を回転動に変換している。シリンダーボディ１の上
下中間部で側壁近傍にはカム軸２６が設けられ、各燃焼
室の吸排弁を開閉作動している。図例のシリンダーボデ
ィ１は、直列多気筒のディーゼルエンジン用のものであ
って、シリンダーボディ１内には複数のシリンダー筒部
２，２．．が配設され、夫れ夫れのシリンダー筒部２と
外壁面６との間に冷却水を保持したウォータージャケッ
ト４，４．．．．が設けられている。

【０００７】シリンダーボディ１のシリンダー筒部２の
下方には、クランク８を軸支する半円部の軸受９部が設
けられ、この半円部の軸受９下半部を別のメタル蓋（図
示せず。）で支持し固定している。シリンダー筒部２の
下端「イ」近傍から、クランク軸８の軸心近傍までの外
壁は、末広がりの傾斜したスカート部７と成っており、
このスカート部７外皮にシリンダー筒部２の軸心と直交
した方向に向かって、上下の潤滑油路３，３を構成して
いる。

【０００８】そして、この上下の潤滑油路３，３の内側
に内壁１０を設け、スカート部７と内壁１０間までウォ
ータージャケット４を下方に延出している。当社従来の
ものを説明すると、直立状のシリンダーボディ１ａ上部
に設けたシリンダー筒部２ａに対し、ウォータージャケ
ット４ａ部の下端はシリンダー筒部２ａの下端「ロ」と
略同程度の位置としている。そして、ウォータージャケ
ット４ａ外方の外壁面６ａから下方に延びた、スカート
部７ａに潤滑油路３ａ，３ａを、シリンダー筒部２ａの
軸心と直交した方向に配設している。この潤滑油路３ａ
の内方にも外方にも、冷却水は配されていない。

【０００９】先ず、潤滑油の流れの関係について簡単に
述べると、エンジン５の各部を潤滑した潤滑油は、エン
ジン５下部のオイルパン１８に流下し溜っている。オイ
ルパン１８内には、金属網目等のフィルター２７を先端
に取り付けた吸引パイプ２８が配設されており、潤滑油
をオイルポンプ２９を介して吸引加圧し、エンジン５の
各回転軸や弁廻り部に圧送している。３０はカートリッ
ジ式フィルターであって、壁面外部に着脱自在に取り付
けられており、所定時間使用後に取り替える。潤滑油路
３は、このカートリッジ式フィルター３０への吸引油路
や圧送油路等の各部を潤滑する通過油路であって、シリ
ンダーボディ１のスカート部７の壁部長手の前後方向に
沿って配設し、油路通過中に内方のウォータージャケッ
ト４内の冷却水で油温を下げる。

【００１０】次に、冷却水の流れについて述べる。シリ
ンダーボディ１の前壁面３１には、図６，図７で示すよ
うに、前壁面３１上部に、ウォータージャケット４側に
貫通状に上部孔３６が開口している。そしてこの上部孔
３６前部に、前端に冷却ファン１３を設け内部にウォー
ターポンプ３２を配設した、ポンプケース３３が取り付
けられている。ポンプケース３３の後面開口部は、板３
４によって外周部を塞がれ、中央の開口３５部が後方に
向かって開いており、この開口３５と前述の上部孔３６
を対向させている。

【００１１】ポンプケース３３には軸３７が、ベアリン
グ（図示せず。）を介して軸承されており、軸３７に取
り付けた従動プーリー３８を、Ｖベルト４１等を介して
クランク軸８で駆動回転している。３９は吸引口であっ
て、ポンプケース３３から外方に突出しており、突出先
端部にロワーパイプ４０の一端部を取り付けている。ロ
ワーパイプ４０の他端側は、ラジエター１２の下部に接
続されており、ラジエター１２内で減温された冷却水を
ウォーターポンプ３２側に吸引し、シリンダーボディ１
側のウォータージャケット４内へ圧送する。

【００１２】また、板３４の開口３５に対し、図７，図
８で示すように、吐出口４２をウォータージャケット４
内に先端を絞って突出状に構成すると、冷却水は矢印
「ハ」で示すように遠くのシリンダー筒部２へ直接流れ
冷却するから奥側の冷却が向上し、全体のシリンダー筒
部２，２の冷却性能が安定する。図９平面図と図１３側
面図で示すものは、サイアミーズ型エンジンのシリンダ
ー形態であって、隣のシリンダー筒部２ｂ，２ｂ．．間
を近づけて一体化して、エンジンを小型化しているもの
である。このような形態のエンジンでは、シリンダー上
部を斜め方向キリ孔の連結水路４３で左右連結していて
も、シリンダー上死点近傍前後がどうしても高温部と成
って、耐久性が低下していた。

【００１３】このようなシリンダーボディ１ｂの、前壁
面３１ｂ上方に開口した上部孔３６ｂに取り付ける板３
４ｂを、図１０で示すように、上窓孔４４と下窓孔４５
とひさし４６の構成として、冷却水の流入量を入口側で
上下二等分すると共に、下方へ流入する冷却水を、ウォ
ータージャケット４ｂの底面方向に強く案内する。ま
た、冷却上流側の第一のシリンダー筒部２ｂの外周に、
図１１で示すように上下の案内スロープ４７，４８を設
けておく。

【００１４】従来のものにおける冷却水の流れは、図１
３で示すように、上部孔３６ｂからウォータージャケッ
ト４ｂへ流入した冷却水は、そのまま第一のシリンダー
から第二のシリンダーを経て第三のシリンダーへと略水
平方向に流れると共に、上死点近傍で熱くなった冷却水
は、シリンダーヘッド１９ｂ側に流れていた。図１２で
示すものは、これを、板３４ｂを介した上窓孔４４か
ら、略３割程度水平方向に流し、残りを下窓孔４５から
ひさし４６でウォータージャケット４ｂの底部側に流
し、上下の案内スロープ４７，４８でシリンダーの上死
点近傍に案内している。

【００１５】上下の窓孔４４，４５の寸法や、ひさし４
６や上下の案内スロープ４７，４８の傾斜角度を変更す
ることにより、エンジン全体のヒートバランスは必要に
応じて変更できる。

【００１６】

【発明の作用効果】この発明は、以上説明したように、
シリンダーボディ１の外端部にシリンダー筒部２を設
け、シリンダー筒部２内端よりもさらに内方の外壁部に
シリンダー筒部２の軸心と直交方向に潤滑油路３を配設
し、シリンダー筒部２外周にウォータージャケット４を
設けたものであって、該ウォータージャケット４を潤滑
油路３近傍内方まで延長して覆ったことを特徴とするエ
ンジンの冷却装置の構成としたので、シリンダーボディ
１の外壁部長手の前後方向に沿って配設した潤滑油路中
の油温を、油路通過中に内方のウォータージャケット４
内の冷却水で油温を下げることができ、油の劣化を遅ら
せることができる。、

【図面の簡単な説明】

【図１】シリンダー廻りを一部断面した、要部正面図で
ある。

【図２】一部断面した、エンジンの全体背面図である。

【図３】一部断面した、エンジンの全体側面図である。

【図４】一部断面した農用トラクターの、全体側面図で
ある。

【図５】従来エンジンの、シリンダー廻りを一部断面し
た、要部正面図である。

【図６】ウォーターポンプ廻りの、分解斜視図である。

【図７】シリンダー廻りの、断面平面図である。

【図８】別要部の、部品斜視図である。

【図９】別形態のエンジンにおける、シリンダー廻り
の、断面平面図である。

【図１０】図９における部品の、部品斜視図である。

【図１１】図９における、シリンダー廻りの、斜視図で
ある。

【図１２】図９エンジンにおける、シリンダー廻りを一
部断面した、側面図である。

【図１３】図９エンジン形態における、従来構成を示
す、一部断面した、側面図である。

【符号の説明】

１ シリンダーボディ ２ シリンダー筒部 ３ 潤滑油路 ４ ウォータージャケット

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シリンダーボディ１の外端部にシリンダ
   ー筒部２を設け、シリンダー筒部２内端よりもさらに内
   方の外壁部にシリンダー筒部２の軸心と直交方向に潤滑
   油路３を配設し、シリンダー筒部２外周にウォータージ
   ャケット４を設けたものであって、該ウォータージャケ
   ット４を潤滑油路３近傍内方まで延長して覆ったことを
   特徴とするエンジンの冷却装置。