JPH1119489A - 膜モジュールの洗浄方法 - Google Patents

膜モジュールの洗浄方法

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JPH1119489A
JPH1119489A JP18732797A JP18732797A JPH1119489A JP H1119489 A JPH1119489 A JP H1119489A JP 18732797 A JP18732797 A JP 18732797A JP 18732797 A JP18732797 A JP 18732797A JP H1119489 A JPH1119489 A JP H1119489A
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JP
Japan
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membrane
washing
cleaning
membrane module
water
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JP18732797A
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English (en)
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Kazunari Marui
一成 丸井
Atsuo Kumano
淳夫 熊野
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 河川水や地下水などの自然水の浄水処理に使
用された膜モジュールの膜を劣化させることなくモジュ
ール性能を回復させる洗浄方法を提供する。 【解決手段】 膜モジュールを洗浄してモジュール性能
を回復させる洗浄方法において、はじめに酸性に調整さ
れた金属イオン封鎖剤を含有する第1洗浄液で洗浄し、
次に弱アルカリ性に調整された過ホウ酸塩を含有する第
2洗浄液を用いて洗浄する洗浄方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は河川水や地下水など
の自然水の浄水処理に使用された膜モジュール内の膜表
面に、ファウリング物質が沈着堆積することによって、
膜モジュール差圧の上昇や、透水量低下、除去率の変化
など膜性能の変化した膜モジュールを膜を劣化させるこ
となくモジュール性能を回復させる洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、河川水や地下水等の自然水の浄水
処理において、凝集沈殿に代わる処理方法として膜分離
技術を適用する処理方法が注目されている。
【0003】膜分離による浄水処理は膜の1次側より未
浄化水を供給し2次側に浄化された水を回収する処理方
法である。効率的に浄水を使用するために高回収率の処
理が要求される。そのため膜の1次側には高濃度に濃縮
された濃縮液が接触する。膜モジュールの浄水処理を継
続すると、濃縮液中のファウラントが膜面に沈着堆積
し、モジュール差圧の上昇や、透水量の低下、除去率の
変化を引き起こす。このため上記の特性値の変化が一定
条件に達すると膜モジュールを洗浄する必要がある。な
お、ここでのモジュール差圧とはモジュール差圧の供給
水圧力と濃縮水圧力の差である。
【0004】ファウリング物質の沈着堆積により性能が
低下した膜モジュールを洗浄しモジュール性能を回復さ
せる方法として、定期的に高速流で膜面をフラッシング
する方法や空気でスクラビングする物理的な洗浄方法が
行われている。また、上記洗浄方法をおこなっても性能
低下が著しく洗浄による性能回復が不十分である場合、
クエン酸や水酸化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム等
の薬品による化学的洗浄がおこなわれている。またパル
プ廃水等の処理での洗浄として、強アルカリ性の過ホウ
酸塩による洗浄方法が特開昭55−75706号公報に
開示されている。そしてエチレンジアミン四酢酸と過ホ
ウ酸ナトリウムの混合液にて、ポリアクリロニトリルや
アクリロニトリルを主成分とする共重合体の膜を洗浄す
る方法が特開昭54−23080号公報に開示されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらフラッシ
ングや空気によるスクラビングでは、ファウラントの外
表部が主として除去され膜表面近傍のファウラントの除
去は十分に行われず、未除去物が累積、成長する場合が
ある。また化学的な分解がなされないため膜性能が回復
不能となる場合がある。金属イオン封鎖剤のクエン酸溶
液による洗浄では、金属のイオン、特に鉄、マンガン等
は除去可能であるが、有機物のファウラントの除去は困
難である。水酸化ナトリウム溶液による洗浄では、濁質
成分の除去には有効であるが、カルシウム塩、金属イオ
ンの除去は困難である。次亜塩素酸ナトリウム溶液によ
る洗浄では、有機物の分解には有効であるが、金属イオ
ン共存下ではその効果は低減する。過ホウ酸塩溶液単独
による洗浄では、高アルカリ溶液のため膜を劣化させる
恐れがあり、またファウラントに金属イオンが共存して
いる場合は膜を加速的に劣化させる。エチレンジアミン
四酢酸と過ホウ酸塩の混合溶液による洗浄では、エチレ
ンジアミン四酢酸によりファウラントから脱離したキレ
ートをつくらなかった金属イオンが過ホウ酸塩での反応
時に触媒として作用し膜を加速的に劣化させる。
【0006】長期連続運転した膜モジュール、特に金属
イオンと有機物が共存してファウリングとなっている膜
モジュールを洗浄した場合、前項の理由により従来の薬
液洗浄では十分にファウラントを除去することができな
い。特に河川水や地下水などの自然水を浄水処理した膜
モジュールを従来の薬液で洗浄した場合、性能回復の効
果が小さい。
【0007】また酢酸セルロース系、ポリアミド系のよ
うな膜では、強アルカリ、強酸領域で薬品洗浄するとフ
ァウラントの除去はできるが、膜を劣化させ性能回復不
可能となる場合がある。さらに過ホウ酸塩のようなアル
カリ性洗浄液では、鉄やマンガンなどの金属イオンがフ
ァウラントに共存している場合、膜は加速的に劣化す
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は性能低下した膜
モジュールを効果的に洗浄し性能回復するために、酸性
に調整された金属イオン封鎖剤を含有する第1洗浄液で
洗浄し十分に純水にて第1洗浄液を洗い流したのち、弱
アルカリ性に調整された過ホウ酸塩を含有する第2洗浄
液で洗浄をおこなう2ステップの洗浄方法である。
【0009】この方法による洗浄では、膜の劣化を起こ
させにくいpH域で洗浄液を使用し、第1段階として、
金属イオン封鎖剤を含む第1洗浄液により膜面から金属
イオンを脱離させ、十分に第1洗浄液を洗い流し、第2
洗浄液に使用される弱アルカリ剤で洗浄時に膜を加速的
に劣化させる金属イオンを共存させないように除去す
る。その後、第2段階の過ホウ酸塩を含む第2洗浄液に
より、有機物由来のファウラントを除去し膜を劣化させ
ることなく膜モジュールの性能回復が可能となる。
【0010】本発明における膜モジュールは、その膜素
材および膜構造は特に限定されない。たとえば酢酸セル
ロース系、ポリアミド系の非対称膜やポリアミド系、ポ
リスルホン系などの複合膜が挙げられる。
【0011】本発明における第1洗浄液の金属イオン封
鎖剤は金属イオンを封鎖するものであれば特に限定はな
い。たとえばクエン酸、クエン酸アンモニウム、クエン
酸ナトリウムなどが挙げられる。好ましくはクエン酸、
クエン酸アンモニウムが挙げられる。上記金属封鎖剤の
濃度は特に限定されないが1.0重量%以上3.0重量
%以下が好ましい。また膜を劣化させないために洗浄液
のpHは2.0以上4.5以下が好ましい。膜の劣化を
極小に抑えるためにはpHは4.0がより好ましい。
【0012】本発明における第2洗浄液の過ホウ酸塩に
は、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸アンモニウムなどが
ある。好ましくは過ホウ酸ナトリウムが挙げられる。過
ホウ酸塩の濃度は特に限定されないが、本願の場合、過
ホウ酸塩の濃度が高いほど洗浄効果は大きくなるが、高
すぎると膜が劣化するため3.0重量%以下が好まし
い。一方、過ホウ酸塩の濃度が低いと膜モジュール性能
を回復するのに十分な洗浄効果が得られないため0.5
重量%以上が好ましい。より好ましくは2.0重量%以
上2.5重量%以下が挙げられる。また上記過ホウ酸塩
は膜を劣化させないために洗浄液のpHは8.5以上
9.5以下が好ましい。膜の劣化を極小に抑えるために
はpHは9.0以下がより好ましい。
【0013】本発明における洗浄条件は、膜モジュール
の特性、形状により適宜決定される。洗浄液流れ方向
は、供給ポートから濃縮ポート、および/または濃縮ポ
ートから供給ポートへの流れ方向または、これらの組み
合わせが好ましい。洗浄液流量は特に限定されないが、
1.5L/min以上、15L/min以下が好ましい。洗浄液温
度は20℃以上50℃以下が好ましい。洗浄サイクルは
循環、浸漬、もしくは循環と浸漬の繰り返しが好まし
い。洗浄時間は特に限定されないが2〜20時間が好ま
しい。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0015】実施例1 ポリアミド系非対称中空糸膜を用いたナノろ過膜モジュ
ール(東洋紡績株式会社製)を使用し、前処理に精密ろ
過膜を用いて回収率90%でワンパス運転により約1年
間実河川水の処理を実施した。定期的なフラッシングは
実施した。フラッシング条件は2時間毎に1回、処理時
の流量の4から5倍の流量にて実施した。運転初期はモ
ジュール差圧0.35kg/cm2 であったが、長期連続運
転終了後、モジュール差圧は1.5kg/cm2 になった。
【0016】この膜モジュールについて、第1洗浄液と
してアンモニアにてpH4.0に調整した2重量%クエ
ン酸洗浄液を使用し、洗浄液温度25℃にて、モジュー
ルの供給ポートより濃縮ポートへ、液流量2L/minにて
洗浄液を流し、20分間循環と40分間浸漬を3回繰り
返し洗浄を実施した。純水にて流量17L/min 、1時
間、第1洗浄液を洗い流したのち、第2洗浄液として塩
酸にてpH9.0に調整した2重量%過ホウ酸ナトリウ
ム洗浄液を使用し、洗浄液温度30℃にてモジュールの
供給ポートより濃縮ポートへ液流量2L/min にて洗浄液
を流し5時間循環洗浄を実施した。
【0017】上記の洗浄方法で洗浄した膜モジュールの
モジュール差圧は0.43kg/cm2となった。洗浄によ
るモジュール差圧の回復率は下式で定義され92%の回
復率となった。
【数1】
【0018】比較例1 実施例1の長期連続運転で使用した他の膜モジュールを
用いて、アンモニアにてpH4.0に調整した2重量%
クエン酸洗浄液を使用し、洗浄液温度25℃にて、モジ
ュールの供給ポートより濃縮ポートへ、液流量2L/min
にて洗浄液を流し、20分循環と40分浸漬を3回繰り
返し洗浄を実施した。
【0019】上記の洗浄方法で洗浄した膜モジュールの
モジュール差圧は1.1kg/cm2 となった。洗浄による
回復率は23%であった。
【0020】比較例2 実施例1の長期連続運転で使用した他の膜モジュールを
用いて、pH9.0に調整した水酸化ナトリウム洗浄液
を使用し、洗浄液温度25℃にてモジュールの供給ポー
トより濃縮ポートへ液流量2L/min にて洗浄液を流し1
時間循環洗浄を実施した。
【0021】上記の洗浄方法で洗浄した膜モジュールの
モジュール差圧は1.2kg/cm2 となった。洗浄による
回復率は15%であった。
【0022】比較例3 実施例1で使用した他の膜モジュールを用いて、膜モジ
ュール内を満水にし60m3/hの空気をモジュールの供
給ポートより濃縮ポートへ30秒間流入させ、モジュー
ル内付着物を除去するために純水にてモジュールの供給
ポートより濃縮ポートへ流量17L/min 、3分通水し、
はく離物を押出し洗浄しこれを35回繰り返した。
【0023】上記の洗浄方法で洗浄した膜モジュールの
モジュール差圧は0.8kg/cm2 となった。洗浄による
回復率は54%であった。
【0024】
【表1】
【0025】実施例2 実施例1の長期連続運転で用いた膜モジュールの中空糸
膜について、第1洗浄液として、アンモニアにてpH
4.0に調整した2重量%クエン酸洗浄液を使用し、洗
浄液温度25℃にて、18時間振とう浸漬を実施した。
その後、純水にて十分第1洗浄液を洗い流したのち、第
2洗浄液として塩酸にてpH9.0に調整した2重量%
過ホウ酸ナトリウム洗浄液を使用し、洗浄液温度30℃
にて18時間振とう浸漬を実施した。
【0026】上記の洗浄の前後で中空糸膜の透過水量の
変化率は101%であった。走査型電子顕微鏡(略して
SEM )写真より、洗浄後、膜表面の露出が観察された
(図1)。 変化率(%)=(洗浄後の透過水量)/(洗浄前の透過
水量)×100
【0027】比較例4 実施例2の膜モジュールの中空糸膜について、アンモニ
アにてpH4.0に調整した2重量%クエン酸洗浄液を
使用し、洗浄液温度25℃にて18時間振とう浸漬を実
施した。
【0028】上記の洗浄の前後で中空糸膜の透過水量の
変化率は87%であった。SEM写真より洗浄後に膜表面
の露出は観察されなかった(図2)。
【0029】比較例5 実施例2の膜モジュールの中空糸膜について、塩酸にて
pH9.0に調整した2重量%エチレンジアミン四酢酸
および2重量%リン酸三ナトリウムの混合洗浄液を使用
し、洗浄液温度25℃にて18時間振とう浸漬を実施し
た。
【0030】上記の洗浄の前後で中空糸膜の透過水量の
変化率は86%であった。SEM写真より洗浄後に膜表面
の露出は観察されなかった(図3)。
【0031】
【表2】
【0032】実施例3 複合中空糸膜として、特開平8ー281085号公報に
基づいて、ポリスルホン系の中空糸支持膜の外表面にピ
ペラジンとトリメシン酸クロリドを界面重合させて得ら
れた架橋ポリピペラジンアミドからなる分離活性層が形
成されたナノろ過膜を用いて、小型のナノろ過膜モジュ
ール(東洋紡績株式会社製)を作製し、供給圧力2.3
から2.5kg/cm2 、水温12℃から15℃で、回収率
80%にて水道水の1ヶ月間連続通水した。運転初期の
透過水量は490L/日であった。連続運転後の透過水
量は230L/日であった。
【0033】この膜モジュールについて、第1洗浄液と
してアンモニアにてpH4.0に調整した2重量%クエ
ン酸洗浄液を使用し、洗浄液温度25℃にて20分循環
と40分浸漬を3回繰り返し洗浄を実施した。純水にて
流量17L/min 、1時間、第1洗浄液を洗い流したの
ち、第2洗浄液として塩酸にてpH9.0に調整した2
重量%過ホウ酸ナトリウム洗浄液を使用し、洗浄液温度
30℃にて5時間循環洗浄を実施した。
【0034】上記の洗浄後、透過水量は、462L/日
まで回復した。
【0035】比較例6 実施例3と同条件にて、膜モジュールに水道水の連続通
水を実施した。運転初期の透過水量は490L/日であ
った。連続通水後の透過水量は230L/日であった。
【0036】アンモニアにてpH4.0に調整した2重
量%クエン酸洗浄液を使用し、洗浄液温度25℃にて2
0分循環と40分浸漬を3回繰り返し洗浄を実施した。
【0037】上記の洗浄後、透過水量は、328L/日
となった。
【0038】
【表3】
【0039】
【数2】
【0040】
【発明の効果】本発明による膜モジュールの洗浄方法
は、ファウリング物質が沈着堆積した膜モジュールの、
特に金属イオンと有機物が共存してファウリングとなっ
ている膜モジュールの場合、膜を劣化させることなく膜
モジュール性能を効果的に回復させることが可能になっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の洗浄方法による洗浄後の膜表面の走
査型電子顕微鏡写真である。
【図2】 比較例4の洗浄方法による洗浄後の膜表面の
走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】 比較例5の洗浄方法による、洗浄後の膜表面
の走査型電子顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B01D 71/68 B01D 71/68 C02F 1/44 C02F 1/44 H

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膜モジュールの洗浄方法において、酸性
    に調整された金属イオン封鎖剤を含有する第1洗浄液で
    洗浄し、次に弱アルカリ性に調整された過ホウ酸塩を含
    有する第2洗浄液で洗浄することを特徴とする膜モジュ
    ールの洗浄方法。
  2. 【請求項2】 第1洗浄液のpHの範囲が2.0以上
    4.5以下である請求項1に記載の洗浄方法。
  3. 【請求項3】 第2洗浄液のpHの範囲が8.5以上
    9.5以下である請求項1又は2に記載の洗浄方法。
  4. 【請求項4】 過ホウ酸塩の濃度が0.5重量%以上
    3.0重量%以下である請求項1から3のいずれかに記
    載の洗浄方法。
  5. 【請求項5】 金属イオン封鎖剤がクエン酸塩である請
    求項1から4のいずれかに記載の洗浄方法。
  6. 【請求項6】 膜素材が酢酸セルロース系もしくはポリ
    アミド系の非対称膜である請求項1から5のいずれかに
    記載の洗浄方法。
  7. 【請求項7】 膜素材がポリアミド系もしくはポリスル
    ホン系の複合膜である請求項1から5のいずれかに記載
    の洗浄方法。
  8. 【請求項8】 膜モジュールが中空糸膜モジュールであ
    る請求項1から7のいずれかに記載の洗浄方法。
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