JP2008086945A - 選択的透過膜の性能回復方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 選択的透過膜として水処理に使用したことにより透過流束が増加した、アニオン荷電を有するナノろ過膜や逆浸透膜に対し、その透過流速を適正範囲まで低減させて、膜汚染や透過水質の悪化を防止し、中性領域で非荷電状態にあるシリカなどの除去性を高めるために有効な、選択的透過膜の性能回復方法を提供する。
【解決手段】 選択的透過膜として水処理に使用したことにより透過流束が増加した、アニオン荷電を有するナノろ過膜または逆浸透膜に対し、ノニオン系界面活性剤を膜面に接触させる処理を行い、透過流束を、前記使用の開始時における値の+20%から−20%の範囲内まで低下させ、選択的透過膜の性能回復を図る。
【選択図】 なし
【解決手段】 選択的透過膜として水処理に使用したことにより透過流束が増加した、アニオン荷電を有するナノろ過膜または逆浸透膜に対し、ノニオン系界面活性剤を膜面に接触させる処理を行い、透過流束を、前記使用の開始時における値の+20%から−20%の範囲内まで低下させ、選択的透過膜の性能回復を図る。
【選択図】 なし
Description
本発明は、透過流束が増加したナノろ過膜や逆浸透膜の透過流束を回復する選択的透過膜の性能回復方法ならびにその回復方法によって処理された膜を使用した水処理方法に関する。
ナノろ過膜や逆浸透膜は、無機電解質や非荷電物質を効率的に除去出来るため、海水およびかん水の脱塩、医療用・工業用の純水、超純水の製造、廃水処理、食品工業など幅広い分野に利用されている。この様に多様な分野で高い要求水質を安定供給するためには、温度、濃度条件などそれぞれのプラント条件にあった最適な膜透過流束、除去性能を有するナノろ過膜や逆浸透膜を選定し使用する必要がある。
しかし、これらのナノろ過膜や逆浸透膜は、被処理水中に存在する物質による悪影響を受ける。例えば、酸化性物質による酸化劣化や強いアルカリ性液体によるアルカリ加水分解を受け、長期継続的に、もしくは突発的に膜劣化が引き起こされ、透過流束が増大するように変質する。この様に透過流束が増大するように変質した場合、当初設定された運転圧力では透過流束が設計値よりも高くなり過ぎ、微生物や濁質の膜への付着が増加し膜汚染が促進される。また、透過流束が設計値に合うようにするために運転圧力を下げて運転すると、除去対象物質の除去率が低下し透過水の水質が悪化する。膜の劣化原因が酸化劣化やアルカリ加水分解の場合には、ナノろ過膜や逆浸透膜においては、アニオン荷電による荷電排除効果により除去可能な無機電解質の除去よりも、非荷電物質の除去への悪影響が大きく、特に非荷電物質の除去率が悪くなり、例えば、中性領域で解離していないシリカなどの水質悪化が著しくなる。そのため、この様な透過流束の増加を伴う膜劣化が起きた場合には、頻繁な膜洗浄や膜交換が必要となる。
また、選択的透過膜として水処理に使用したことによる膜の劣化や膜性能低下は、被処理水の特性によっても相違し、使用による膜性能低下を修復するための方法として、特開昭55−114306号公報記載の方法や、特開昭57−119804号公報記載の方法が提案されている。
特開昭55−114306号公報には、塩排除率を向上させるための半透膜処理剤として、測鎖として、アセトキシ基および末端カルボキシル基を有する有機基を有するビニル系ポリマーを主要成分として含有する半透膜処理剤が提案されている。この半透膜処理剤では、溶媒透過性を向上させるために導入された測鎖によって透過流束の低下が制限されてしまうため、透過流束の低下要求量が大きい場合には適用する事が出来ない。
また、特開昭57−119804号公報には、水処理に使用したことによって、アニオン性基を有する有機物質が膜に沈積して透過流束が減少した場合、その沈積した有機物質を除去して透過流速を高めるためには、第4級アミノ基を有する両性界面活性剤やカチオン性界面活性剤での処理が有効であることが開示されている。なお、その比較例2には、ノニオン性界面活性剤で処理することが記載され、アニオン性基を有する有機物質が沈積したことにより低下した透過流束を、若干高めることができたと記載されている。このようにアニオン性基を有する有機物質の沈積によって透過流速が低下した場合、その透過流速を高める回復処理として、界面活性剤による処理が知られていた。
特開昭55−114306号公報
特開昭57−119804号公報
本発明は、選択的透過膜として水処理に使用したことにより透過流束が増加した、アニオン荷電を有するナノろ過膜や逆浸透膜に対し、その透過流速を適正範囲まで低減させて、膜汚染や透過水質の悪化を防止し、かつ、中性領域で非荷電状態にあるシリカなどの除去性を高めて、透過水の水質を向上させるための、選択的透過膜の性能回復方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の選択的透過膜の性能回復方法は、選択的透過膜として水処理に使用したことにより透過流束が増加した、アニオン荷電を有するナノろ過膜または逆浸透膜に対し、ノニオン系界面活性剤を膜面に接触させる処理を行い、透過流束を、前記使用の開始時における値の+20%から−20%の範囲内まで低下させることを特徴とするものである。
ここで、選択的透過膜として水処理に使用したことによる透過流束の増加が、膜の酸化劣化もしくはアルカリ加水分解に由来するものである場合に本発明は好適である。
さらに、以上の様な性能回復方法によって透過流速を低減させて性能回復させたナノろ過膜や逆浸透膜を使用して水処理を行う水処理方法である。
本発明の透過流束の回復方法によれば、劣化によって透過流束が増加したアニオン荷電を有するナノろ過膜や逆浸透膜について、その透過流束を製造時レベルの透過流束並みに回復させることができるので、本発明の回復方法によって処理されたナノろ過膜や逆浸透膜を使用した水処理方法によれば、透過流束が増加したことによる膜汚染の過度な促進や設計値通りの透過流束を守るための過度な運転圧力低下による透過水の水質悪化を防止し、かつ無機電解質や非荷電物質などの除去対象物質の水質を改善させることができる。
本発明法による選択的透過膜の性能回復は、膜の透過流束を適正範囲まで低減させることによる性能回復であり、選択的透過膜として水処理に使用したことにより透過流束が増加した、アニオン荷電を有するナノろ過膜または逆浸透膜に対し、ノニオン系界面活性剤を膜面に接触させる処理を行うものである。
本発明の性能回復方法は、透過流束が増加したことによる膜汚染の過度な促進を防止し、さらに、設計値通りの透過流束を守るための過度な運転圧力低下による透過水の水質悪化を防止するために、透過流束が、使用開始時の初期値よりも20%を超えて増加した場合に適用すればよい。
本発明の性能回復方法を適用するナノろ過膜や逆浸透膜は、アニオン荷電を有する選択的透過膜であって、低い運転圧力で高い透過流束と除去性能を有し、性能回復薬品との安定した吸着効果が得られるアニオン荷電を有するナノろ過膜や逆浸透膜膜であることが好ましい。例えば、芳香族系ポリアミド膜、脂肪族系ポリアミド膜、これらを複合したポリアミド膜等に対し、本発明を好適に適用することが出来る。
本発明に用いるノニオン系界面活性剤としては、アニオン荷電を有するナノろ過膜や逆浸透膜と安定した吸着効果が得られるものであることが好ましく、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの高級アルコール系のノニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルやポリエチレングリコールモノ−P−イソオクチルフェニルエーテルなどのアルキルフェノール系のノニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンソウビタン脂肪酸エステルなどの脂肪族系のノニオン系界面活性剤などを挙げることができる。
本発明の性能回復方法による透過流束の回復は、透過流束が増加したことによる膜汚染の過度な促進や設計値通りの透過流束を守るための過度な運転圧力低下による透過水の水質悪化を防止し、かつ過剰な運転圧力増加を防止するために、ノニオン系界面活性剤との接触後の透過流束を、運転開始時の初期値の+20%から−20%の範囲内にする。さらには、+10%から−10%の範囲内にすることがより好ましい。
本発明の性能回復方法を適用する、透過流束が増加したナノろ過膜や逆浸透膜の劣化原因としては、ノニオン系界面活性剤が劣化部位に安定的に吸着するために最適な劣化部位の大きさを有する、水中の酸化物質による酸化劣化もしくは強アルカリ物質によるアルカリ加水分解による劣化を受けたナノろ過膜や逆浸透膜である事が好ましい。
本発明法において、ノニオン系界面活性剤をナノろ過膜や逆浸透膜の膜面に接触させる処理を行うとき、その接触方法に対して特に制限はなく、例えば、ナノろ過膜や逆浸透膜を圧力容器に装填した状態でノニオン系界面活性剤を含む水溶液を圧力容器に通水しナノろ過膜や逆浸透膜と接触させ処理することができる。あるいはノニオン系界面活性剤を含む水溶液にナノろ過膜や逆浸透膜を浸漬することもできる。ナノろ過膜や逆浸透膜を圧力容器に装填した状態で薬品洗浄を施す設備が有る場合には、その洗浄設備を使用してノニオン系界面活性剤を含む水溶液を圧力容器に通水しナノろ過膜や逆浸透膜に接触させ処理することができる。
ノニオン系界面活性剤を含む水溶液をナノろ過膜や逆浸透膜に通水するときの圧力は特に制限はなく、ナノろ過膜や逆浸透膜に被処理水を通水するときの圧力以下、あるいは、薬品洗浄設備で運転される圧力以下であることがより好ましい。
ノニオン系界面活性剤を含む水溶液の濃度は、1〜1000mg/L以下であることが好ましく、50〜500mg/Lであることがより好ましい。ノニオン系界面活性剤の濃度が低過ぎる場合には、透過流束の回復に長時間を要する恐れがあり、1000mg/Lを超えるほどに高過ぎる濃度ではナノろ過膜や逆浸透膜の表面に吸着されない状態で過剰に付着したノニオン系界面活性剤が膜面に残り、必要以上の透過流束低下を引き起こす可能性がある。
ノニオン系界面活性剤を含む水溶液を通水する時間は、1〜36時間が好ましく、2〜12時間であることがより好ましい。ノニオン系界面活性剤を含む水溶液の濃度を高くすることによって透過流束低下までに要する時間を短縮する事ができるが、必要以上の透過流束低下を引き起こす可能性がある。
ノニオン系界面活性剤によって透過流束の回復を行う場合には、ノニオン系界面活性剤との接触前にナノろ過膜や逆浸透膜表面の膜汚染物質を事前に取り除く事によってより持続性が高い回復効果を得ることができる。膜汚染物質を取り除く方法としては一般的にこれらの膜の洗浄薬品として用いられる薬品が使用できる。例えば、苛性ソーダ、アニオン系界面活性剤を含むアルカリ性溶液やクエン酸、塩酸などを含む酸性溶液などがあげられる。これらの洗浄薬品による洗浄は、それぞれの薬品を用いて単独に洗浄する方法でも、複数の薬品を交互に用いて洗浄する方法でもよい。さらにノニオン系界面活性剤での処理実施後に膜面に吸着せずに過剰に存在するノニオン系界面活性剤を水洗やこれらの洗浄薬品によって洗い流すことも好ましい。
本発明の透過流束の回復方法の処理によって、劣化部位からの溶媒と溶質の両方の透過を抑制することができるため、透過流束の回復だけでなく、無機電解質や非荷電物質などの除去対象物質の透過を低下させて回復することもできる。アニオン荷電を有するナノろ過膜や逆浸透膜の場合、膜の荷電による排除効果がある無機電解質よりも非荷電物質の除去率の改善効果が大きい。非荷電物質としては、例えば、非電解質有機物質や中性領域では解離していない物質(例えば、シリカやホウ素)などがあげられる。
以上の様な性能回復方法で処理したナノろ過膜や逆浸透膜を使用した水処理方法は、膜汚染の過度な促進や透過水質悪化を防止した運転を行うことができる。
以下に実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、実施例および比較例において、除去率、透過率および透過流束は下記の方法により求めた。
(1) 除去率
被処理水中における塩化ナトリウムの濃度(Na0)、シリカの濃度(Si0)を測定し、さらに、透過水中における塩化ナトリウムの濃度(Na1)、シリカの濃度(Si1)を測定する。
NaCl除去率(%)=(1−Na1/Na0)X 100
シリカ除去率(%)=(1−Si1/Si0)X 100
(1) 除去率
被処理水中における塩化ナトリウムの濃度(Na0)、シリカの濃度(Si0)を測定し、さらに、透過水中における塩化ナトリウムの濃度(Na1)、シリカの濃度(Si1)を測定する。
NaCl除去率(%)=(1−Na1/Na0)X 100
シリカ除去率(%)=(1−Si1/Si0)X 100
(2) 透過率
NaCl透過率(%)= 100−NaCl除去率
シリカ透過率(%)= 100−シリカ除去率
(3) 透過流束
透過流束(m3/(m2・d))= 透過水量 / (膜面積 X 採取時間)
NaCl透過率(%)= 100−NaCl除去率
シリカ透過率(%)= 100−シリカ除去率
(3) 透過流束
透過流束(m3/(m2・d))= 透過水量 / (膜面積 X 採取時間)
[実施例1]
製造された時の初期性能が透過流束1.20(m3/(m2・d))、NaCl除去率99.7%、シリカ除去率99.5%であった芳香族系ポリアミド逆浸透膜を、水処理する実プラント運転において2年間実際に逆浸透膜として使用した結果、酸化劣化によって透過流束が1.84(m3/(m2・d)に増加した性能劣化逆浸透膜を準備した。
製造された時の初期性能が透過流束1.20(m3/(m2・d))、NaCl除去率99.7%、シリカ除去率99.5%であった芳香族系ポリアミド逆浸透膜を、水処理する実プラント運転において2年間実際に逆浸透膜として使用した結果、酸化劣化によって透過流束が1.84(m3/(m2・d)に増加した性能劣化逆浸透膜を準備した。
この性能劣化逆浸透膜を、ノニオン系界面活性剤である、ポリエチレングリコールモノ−P−イソオクチルフェニルエーテル(市販製品 シグマアルドリッチ社製、TRITON−X 405)の1000mg/L水溶液に、16時間浸漬して接触処理した。この接触処理させた後の逆浸透膜について、塩化ナトリウム1500mg/Lとシリカ10mg/Lの混合水溶液を用いて1.5MPa、25℃、pH6.5で逆浸透膜特性を評価し、その結果を表1に示す。
2年間実際に逆浸透に使用した逆浸透膜は、洗浄後の透過流束が、製造時の初期特性に比し53%増加した1.84m3/(m2・d)であった。これをノニオン系界面活性剤での処理したところ、製造時の初期の透過流束の82%である0.98m3/(m2・d)に低下し、膜汚染を抑制した良好な運転が可能な透過流束水準となった。このとき無機電解質である塩化ナトリウムの除去率は、99.5%から99.6%に改善された。そのため、塩化ナトリウムが透過水中に漏れる透過率は0.5%から0.4%に20%改善された。これに対し、非荷電物質であるシリカの除去率は、98.0%から99.0%に改善し、シリカの透過率は2.0%から1.0%に50%改善された。透過流束が良好に回復し、非荷電物質の除去性能が特に改善していることがわかる。
[実施例2]
実施例1の場合と同じく、2年間の使用により性能劣化した逆浸透膜に対し、ノニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルの1000mg/L水溶液に16時間浸漬して接触処理した。それ以外は、実施例1と全く同じ条件で処理し、実施例と同一条件で性能評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1の場合と同じく、2年間の使用により性能劣化した逆浸透膜に対し、ノニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルの1000mg/L水溶液に16時間浸漬して接触処理した。それ以外は、実施例1と全く同じ条件で処理し、実施例と同一条件で性能評価を行った。その結果を表1に示す。
2年間の使用により透過流束が1.84m3/(m2・d)に増加していた逆浸透膜は、ノニオン系界面活性剤の接触処理により透過流束が1.42m3/(m2・d)(製造時の透過流束の118%)に低下し、膜汚染を抑制した良好な運転が可能な透過流束となった。
[比較例1]
実施例1の場合と同じく、2年間の使用により性能劣化した逆浸透膜に対し、カチオン系界面活性剤であるセチルトリメチルアンモニウムクロリドの1000mg/L水溶液に16時間浸漬して接触処理した。それ以外は、実施例1と全く同じ条件で処理し、実施例と同一条件で性能評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1の場合と同じく、2年間の使用により性能劣化した逆浸透膜に対し、カチオン系界面活性剤であるセチルトリメチルアンモニウムクロリドの1000mg/L水溶液に16時間浸漬して接触処理した。それ以外は、実施例1と全く同じ条件で処理し、実施例と同一条件で性能評価を行った。その結果を表1に示す。
2年間の使用により透過流束が1.84m3/(m2・d)に増加していた逆浸透膜は、カチオン系界面活性剤を接触処理させたところ、透過流束が0.47m3/(m2・d)(製造時の透過流束の25%)と極めて大きく低下した。この場合、透過流束の低下が大きすぎるため運転圧力が過剰に高くなり運転を継続する事が出来なくなってしまう。
[比較例2]
実施例1の場合と同じく、2年間の使用により性能劣化した逆浸透膜に対し、アルデヒド類であるグルタルアルデヒドの5000mg/L水溶液に16時間浸漬して接触処理した。それ以外は、実施例1と全く同じ条件で処理し、実施例と同一条件で性能評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1の場合と同じく、2年間の使用により性能劣化した逆浸透膜に対し、アルデヒド類であるグルタルアルデヒドの5000mg/L水溶液に16時間浸漬して接触処理した。それ以外は、実施例1と全く同じ条件で処理し、実施例と同一条件で性能評価を行った。その結果を表1に示す。
この場合は、処理して、透過流束、塩化ナトリウム除去率、シリカ除去率の何れにも改善効果は見られなかった。グルタルアルデヒドは、製造初期の芳香族系ポリアミド膜に対して透過流束を低減させる効果があるが、長期間運転された膜に対する透過流束の低下効果は得られなかった。
[実施例3]
実施例1の場合と同じく、2年間の使用により性能劣化した逆浸透膜を用い、実際のプラントでの透過流束であった0.7m3/(m2・d)になるように運転圧力を0.62MPaに調整して性能評価した。その結果を表2の処理前の欄に示す。
実施例1の場合と同じく、2年間の使用により性能劣化した逆浸透膜を用い、実際のプラントでの透過流束であった0.7m3/(m2・d)になるように運転圧力を0.62MPaに調整して性能評価した。その結果を表2の処理前の欄に示す。
この性能劣化した逆浸透膜を実施例2の場合と同様にして非ノニオン界面活性剤処理した。この処理した逆浸透膜を用い、実際のプラントでの透過流束であった0.7m3/(m2・d)になるように運転圧力を0.77MPaに調整して性能評価した。その結果を表2の処理後の欄に示す。
透過流束を0.7m3/(m2・d)になるように運転圧力を調整した場合には、逆浸透膜の透過流束値を低減させたことによって運転圧力の過剰な低下が改善され、塩化ナトリウムとシリカの除去性能が改善されていることがわかる。シリカの透過率は、5.3%から3.9%に27%減少した。
本発明の透過流束の回復方法は、選択的透過膜として水処理に使用した結果透過流束が増加したアニオン荷電を有するナノろ過膜や逆浸透膜について、その性能を回復させるために適用することができる。そして、本発明法は、ナノろ過膜や逆浸透膜を長期にわたって繰り返し使用する場合に有用である。
Claims (3)
- 選択的透過膜として水処理に使用したことにより透過流束が増加した、アニオン荷電を有するナノろ過膜または逆浸透膜に対し、ノニオン系界面活性剤を膜面に接触させる処理を行い、透過流束を、前記使用の開始時における値の+20%から−20%の範囲内まで低下させることを特徴とする選択的透過膜の性能回復方法。
- 選択的透過膜として水処理に使用したことによる透過流束の増加が、膜の酸化劣化もしくはアルカリ加水分解に由来するものであることを特徴とする請求項1に記載の選択的透過膜の性能回復方法。
- 請求項1または請求項2に記載の性能回復方法によって透過流速を低減させて性能回復させたナノろ過膜または逆浸透膜を使用して水処理を行うことを特徴とする水処理方法。
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