JPH11193318A - 硬化性組成物 - Google Patents

硬化性組成物

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JPH11193318A
JPH11193318A JP21876098A JP21876098A JPH11193318A JP H11193318 A JPH11193318 A JP H11193318A JP 21876098 A JP21876098 A JP 21876098A JP 21876098 A JP21876098 A JP 21876098A JP H11193318 A JPH11193318 A JP H11193318A
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JP
Japan
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group
dendrimer
curable composition
compound
vinyl group
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JP21876098A
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English (en)
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Hiroaki Tanaka
洋明 田中
Minoru Nakamura
稔 中村
Kenrou Sunahara
建朗 砂原
Toru Kurihashi
透 栗橋
Yoshinori Kawashima
美紀 川島
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】溶剤を含まない無溶剤の硬化性組成物において
高分子量で低粘度の多分枝化合物を使用することによ
り、安全性や物性的に問題のある低分子量化合物の配合
率を低減せしめ、作業環境の改善に寄与し、なおかつ従
来より用いられているロールコーター、ナイフコーター
などの塗工方法、オフセット印刷、グラビア印刷、凸版
印刷、スクリーン印刷などの印刷方式で造膜でき、やは
り従来ある紫外線、赤外線、電子線、γ線照射等の放射
線、特に、電子線、γ線照射等の場合には触媒や開始剤
を使用せずに硬化させることができる低粘度で硬化性の
硬化性組成物を提供することを目的とする。 【解決手段】ビニル系デンドリマー(A)5〜99重量
%、およびそれ以外の重合性不飽 和基含有化合物
(B)1〜95重量%とからなる硬化性組成物。(A)
コア部位、分岐部位、枝部位、および少なくとも4個の
末端部位から構成され、末端部位としてビニル基、およ
び活性水素含有官能基を有するビニル基含有デンドリマ
ー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗料、インキ等の被膜
形成材料用または封止剤、成形剤、接着剤、粘着剤用の
樹脂として使用することができ、また、熱・放射線硬化
型樹脂組成物の硬化剤あるいは反応性希釈剤として使用
することができる硬化性組成物に関する。更に、本発明
は、熱、または放射線硬化型の樹脂として印刷インキ、
塗料のビヒクル、または接着剤等として利用することが
できる硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、塗料、接着剤、粘着剤、インキ、
充填剤、成形材料には有機溶剤を含有する樹脂溶液が使
われてきた。これらの樹脂溶液は、塗装、充填工程およ
び硬化乾燥工程で大量の有機溶剤を飛散する。地球環境
また作業環境への関心の高まりとともに、このような樹
脂溶液の使用に対する制限が加えられるようになってき
ている。その一つの方法として、水溶性樹脂、粉体、ホ
ットメルト等樹脂素材の開発が進められてきたが、水系
の樹脂組成物は分散媒である水を蒸発させるために多大
な熱量を必要とし、更に塗装性を向上する意味から若干
の有機溶剤を含むことが多く廃液処理の点からも問題が
残っている。また、粉体またはホットメルトの塗装、充
填の場合には、従来の塗装、充填設備と方法が大いに異
なるために、新規の設備を導入する必要が生まれる。上
記の問題を解決するために、樹脂溶液のハイソリッド
化、水溶化樹脂の改良等を行われており、こうした努力
により、今後樹脂溶液の使用量は低下の傾向がさらに顕
著となると考えられる。しかし、根本的な解決策とし
て、公害、安全衛生、引火、爆発等の問題がなく、広範
囲に適用でき、且つ塗工、充填の容易な無溶剤型液状樹
脂組成物の開発が強く要望されている。
【0003】無溶剤型液状樹脂組成物の代表的なものと
しては、放射線硬化性樹脂組成物を挙げることができ
る。従来の放射線硬化型樹脂組成物は、各種のアクリレ
ート系モノマー等の低粘度単量体、及びウレタンアクリ
レート、エポキシアクリレート、またはエステルアクリ
レート等の反応性オリゴマー、更に必要に応じてその他
の樹脂成分等から構成されている。低粘度単量体は主に
反応性希釈剤として組成物の粘度を制御する目的で使用
されているが、これを多く含有すると硬化時の体積収縮
が大きく、硬化塗膜が脆弱であり、また塗膜中の残留モ
ノマーによる臭気等が問題とされていた。そのため反応
性希釈剤の使用量軽減や分子量増加等の改良が望まれて
いた。
【0004】また硬化物の機械的性能を向上させるには
多官能の反応性希釈剤、反応性オリゴマー、更には高分
子量樹脂素材等の配合が好ましいが、これらの素材は高
粘度または固体のものであるため硬化前組成物の流動特
性を考慮すると、多量の反応性希釈剤の配合が必要とな
りその配合量には限界があった。従って従来の無溶剤型
液状樹脂組成物を硬化させていられる硬化物は硬度、強
靱性、機械特性、耐薬品性等の硬化物特性に乏しく実用
的には溶剤系、水系の樹脂組成物には遙かに及ばない性
質であった。塗膜性能を向上させる目的で、多量の高分
子量反応性オリゴマーや樹脂素材を配合した放射線硬化
型樹脂組成物も開発されているが、塗工可能な粘度まで
下げるために低分子量の反応性希釈剤や有機溶剤等を使
用しており環境上の改良がなされたとは言い難い現状が
ある。
【0005】また近年、櫛型、星形、デンドリマーなど
高次に分岐された構造を有するポリマーの研究が進むに
従い、末端にメタアクリル基を有するデンドリマーが検
討されている(Ref.Shi W.et.al.,J Appl Polym Sci,5
9,12,1945(1996)., Moszner N.et.al.,Macromol chem p
hys, 197,2,621(1996).特開平8-231864)。しかしながら
公知の化合物ではラジエーション硬化系素材としては十
分な硬化性や基材に対する十分な接着性が得られなかっ
た。また粘度としても同一分子量のリニヤー化合物と比
較すると確かに低粘性であるといえるが多量に配合して
低粘性の樹脂組成物得るという目的は十分達成されてい
るとはいえない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、十分な塗膜
性能を有し、且つ塗工可能な低粘性を備えた無溶剤型樹
脂組成物を得ることを目的とし、高分子量でありながら
低粘度である多官能性の液状樹脂を使用することにより
安全性や性能面に問題のある低分子量化合物の配合率を
低減した硬化性組成物を提供するものである。また本発
明は、従来より用いられているロールコーター、ナイフ
コーターなどの塗工方法、オフセット印刷、グラビア印
刷、凸版印刷、スクリーン印刷などの印刷方式で造膜で
き、加熱、紫外線、赤外線、電子線、γ線照射等の従来
からあるトリガーにより硬化することができ、特に電子
線、γ線照射等の場合には触媒や開始剤を使用せずに硬
化させることができる硬化性組成物を提供するものであ
る。
【0007】本発明者は上記問題を解決するために様々
な樹脂系の構造と粘度との相関性等について鋭意研究を
行なった結果、一般的な線状ポリマーより櫛形ポリマ
ー、更には多分岐ポリマーとポリマーの分子構造を変化
させることにより、高分子量でありながら低粘度であ
り、且つビニル基等の官能基を数多く導入できることを
見いだした。また、高度に分岐した構造を有するために
相溶性の高い反応性希釈剤中にあっても鎖の広がりが限
られるために同分子量の線状ポリマーより低い組成物粘
度を有することを見いだした。また、ビニル基含有デン
ドリマーが末端に活性水素含有官能基を有することによ
り、各種基材、特にこれまでラジエーション硬化系では
非常に困難とされていたプラスチック素材に良好な密着
性を示すことを見いだした。更に、高分子量でありなが
ら従来の造膜方法で造膜できる粘度範囲内にあり、なお
かつ従来からある硬化方法、特に電子線を硬化トリガー
として使用することにより高速度で硬化させることがで
きる硬化性組成物を見いだした。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、下記ビニ
ル基含有デンドリマー(A)5〜99重量%、および上
記以外の重合性不飽和基含有化合物(B)1〜95重量
%とからなる硬化性組成物に関する。 ビニル基含有デンドリマー(A):コア部位、分岐部
位、枝部位、および少なくとも4個の末端部位から構成
され、末端部位としてビニル基、および活性水素含有官
能基を有するビニル基含有デンドリマー。
【0009】更に本発明は、1分子中に少なくとも3個
の末端官能基を有し、且つ5個以上の末端官能基由来の
活性水素を有する多官能化合物(a)に活性水素と反応
可能な官能基を有するビニル基含有化合物(c)を反応
してなるビニル基含有デンドリマーを用いてなる上記の
硬化性組成物に関する。
【0010】更に本発明は、多官能化合物(a)が有す
る活性水素含有末端官能基由来の活性水素の少なくとも
1個にビニル基を導入し、且つ全活性水素の95%以下
にビニル基を導入したビニル基含有デンドリマーを用い
てなる上記の硬化性組成物に関する。
【0011】更に本発明は、多官能化合物(a)が下記
式(i),(ii)で示されるポリアミノ系デンドリマ
ーである上記の硬化性組成物に関する。
【0012】
【化2】
【0013】更に本発明は、ポリアミノ系デンドリマー
に活性水素含有(メタ)アクリレート系化合物(b)を
マイケル付加させてなる多官能化合物(a)に、イソシ
アネート基含有ビニル化合物(c−1)を付加させてな
るビニル基含有デンドリマーを用いてなる上記の硬化性
組成物に関する。
【0014】更に本発明は、ビニル基を導入した枝部位
の鎖長が原子数9〜70個であるビニル基含有デンドリ
マーを用いてなる上記の硬化性組成物に関する。更に本
発明は、数平均分子量が200〜100000で、粘度
100000cps(30℃)以下の液状であるビニル基
含有デンドリマーを用いてなる上記の硬化性組成物に関
する。
【0015】更に本発明は、重合性不飽和基含有化合物
(B)の粘度が1〜10000cps(30℃)で、数
平均分子量が2000以下である上記の硬化性組成物。
更に本発明は、粘度が10〜50000cps(30
℃)である上記の硬化性組成物に関する。
【0016】更に本発明は、放射線硬化性である上記の
硬化性組成物に関する。更に本発明は、上記の硬化性組
成物を用いてなる印刷インキに関する。更に本発明は、
上記の硬化性組成物を用いてなる塗料に関する。更に本
発明は、上記の硬化性組成物に放射線を照射してなる硬
化物に関する。
【0017】
【発明の実施の形態】一般的にデンドリマーという用語
は、高度に分岐した規則性の高い多分岐化合物に対して
使用されてきた。しかしながら最近のデンドリマーの合
成法に関する研究の進行に伴い、1ステップ法等による
デンドリティック化合物の開発等、合成法の簡素化を目
的とした規則性の低い種々の多分岐化合物が新規デンド
リマーとして開発され、その命名法に関しては未だ結論
の出ていない現状である。そこで、本発明においてデン
ドリマーとは三次元的に分岐した多分岐化合物をいい、
規則性の低いハイパーブランチ(hyper -branched)と規
則性の高いデンドリマーを総称するものとする。斯かる
デンドリマーは、図1に示したように、コア部位、枝部
位、分岐部位、及び末端部位から構成される。図1には
更に本発明における最小単位のデンドリマーおよび標準
的なデンドリマーのモデル図と各デンドリマーが含有す
るコア部位に結合した枝の数、枝部位の数、分岐部位、
および末端部位の数を示す。
【0018】本発明において、コア部位および分岐部位
は少なくとも3つの枝が結合した構造であり、例えば1
原子で構成されるものとしては、下記式(2−a)、
(2−b)を挙げられ、環状化合物で構成されるものと
しては下記式(2−c)、(2−d)、(2−e)で示
されるものが挙げられる。また、式(2−f)や(2−
g)で示されるような構造や金属原子もコア部位や分岐
部位として例示できる。尚、下記式(2−h)〜(2−
l)で示された構造はコア部位のみに相当する構造の例
示であり、斯かる構造のコア部位は4個以上の枝を有す
ることができ好ましい。またコア部位と分岐部位の区別
はデンドリマー合成時の出発原料の構造から定められる
ものとする。下記構造式中Rxは炭素数1〜12,好ま
しくは1〜6のアルキレン基である。
【0019】
【化3】
【0020】本発明において枝部位とは、1つのコア部
位または分岐部位と、隣接する分岐部位または末端部位
とを結合する構成部位の総称であり、構造は特に限定さ
れないが、少なくとも4個の原子から構成されているも
のとする。またデンドリマー1分子中に存在する枝部位
の数は少なくとも5個、好ましくは7〜125個、更に
好ましくは9〜100個である。
【0021】また、本発明において、ビニル基含有デン
ドリマーが含有する末端部位は、式(8−1)〜(8−
6)で示したビニル基および式(3−1)〜(3−8)
で示した活性水素含有末端官能基である。
【0022】また、一般に規則性の正しいデンドリマー
場合、その大きさは世代(ジェネレーション)という概
念用語で表される。本発明において、上記定義のコア化
合物から出発した分岐構造体を第1世代デンドリマーと
いい、第1世代の全末端部位から分岐した分岐構造を有
する構造体を第2世代という。図2には、4本の枝が結
合したコア部位と末端部位を有する第3世代デンドリマ
ーを示した。さらに図中に各世代を示し、これを本発明
における世代の定義とする。
【0023】また、本発明において、多官能化合物
(a)が有する活性水素含有末端官能基とは、ビニル基
を導入するための反応部位であり、また未反応状態でも
塗膜性能を向上させる役割を果たす。本発明において多
官能化合物(a)は1分子中に活性水素含有末端官能基
を少なくとも3個、好ましくは4個〜64個含有し、且
つそれに由来する活性水素を5個以上好ましくは6〜1
28個含有する。上記の活性水素含有末端官能基として
は、例えば下記で示される活性水素を含有する有機残基
を挙げることができる。
【0024】 −NH2 : 一級アミノ基 (3−1 ) −NHR1:二級アミノ基 (R1は炭素数3以下のアルキル基)(3−2 ) −COOH: カルボキシル基 (3−3) −OH : 水酸基 (3−4) −Si(OR)3-n(OH)n(n=1〜3の整数) :ヒドロキシシリル基 (3−5) −P=O(OH)2 :リン酸基 (3−6)
【0025】活性水素含有末端官能基の種類は特に限定
されないが、結合部の構造により塗膜物性に影響を及ぼ
すことから基本的には目的とする物性に応じて選択され
る。一級アミノ基、ヒドロキシシリル基、リン酸基を用
いるとより多くのビニル基を導入することができる。
【0026】また本発明において多官能化合物(a)と
して、本発明で定義したデンドリマー構造を使用すると
低粘性と硬化性とのバランスが向上することから好まし
い。本発明で使用できるデンドリマー構造を有する多官
能化合物(a)としては例えば、末端部位としてアミノ
基、水酸基、またはカルボキシル基を有するデンドリマ
ーが挙げられる。
【0027】具体的に例示すると、末端にアミノ基を有
するポリアミノ系デンドリマーとしては、上記式
(i)、(ii)で示した、ブチレンジアミンとアクリ
ロニトリルを反応させ、末端のニトリル基をアミンに還
元する反応を1ステップとし、この反応を繰り返すこと
により得られるプロピレンイミン系デンドリマー(WO09
3/14147,US5530092,特公平7-330631)、アンモニアやエ
チレンジアミンにメチルアクリレートをマイケル付加
し、更にエステルアミド交換反応により末端に二級アミ
ノ基を導入する反応を1ステップとし必要に応じて繰り
返し反応させることにより得られる下記式(iv)で示
したアミドアミン系デンドリマー(WO84/02705,特公平6
-70132)またはその中間生成物、また下記式(ii
i)、(v)で示される構造の化合物などを挙げること
ができる。また、末端にカルボキシル基を有するデンド
リマーとしては、下記式(vi)〜(x)を例示する事
ができる。更に末端に水酸基を有するデンドリマーとし
ては下記式(xi)〜(xv)を例示することができ
る。
【0028】この他ポリエステル系デンドリマー(DEP44
437021,特開平8-231864、WO093/17060),ポリフェニレン
アミドデンドリマー(S.C.E.Backson,et.al.,Macromol.
Symp.77.1(1994))ポリフェニレンエステルデンドリマー
(K.L.Wooley,et,al.,PolymerJournal,26,187(1994))な
どを例示できる。また数種のデンドリマーを混合して用
いてもよい。
【0029】
【化4】
【0030】
【化5】
【0031】
【化6】
【0032】
【化7】
【0033】
【化8】
【0034】
【化9】
【0035】
【化10】
【0036】
【化11】
【0037】
【化12】
【0038】
【化13】
【0039】
【化14】
【0040】
【化15】
【0041】
【化16】
【0042】本発明において使用される規則性の高いデ
ンドリマーの好ましい大きさは、特に限定しないが、好
ましくは1〜5世代、更に好ましくは1〜3世代、特に
1または2世代のデンドリマーを用いると好ましい硬化
前粘性と硬化後物性を併せ持ったものが得られる。斯か
る1世代または2世代のデンドリマーとしては、DSM
社より製品化されている上記式(i),(ii)で示さ
れるポリアミノ系デンドリマーが入手しやすさの点から
好ましい。
【0043】また本発明において、使用される多官能化
合物(a)の数平均分子量は、特に限定しないが、好ま
しい分子量範囲としては数平均分子量として30〜50
000、更に好ましくは50〜5000の化合物であ
り、数平均分子量が5000、特に50000以上の場
合、粘度が高くなったり固体であることから取扱い上好
ましくない場合もある。
【0044】また本発明において、使用される多官能化
合物(a)としては、上記デンドリマーをそのまま使用
することも可能であるが、デンドリマーが有する活性水
素含有末端官能基に適度の鎖長を有する枝部位と末端官
能基を導入する事により、好ましい硬化前粘度と硬化物
特性を有するビニル基含有デンドリマーを得ることがで
きる。また、多官能化合物に含有する活性水素含有末端
官能基がアミノ基、ヒドロキシシリル基等の場合にはこ
れを分岐部位とすることにより活性水素含有末端官能基
の数を更に増加することができる。多官能化合物(a)
の変性方法は、官能基の種類と目的とする活性水素含有
末端官能基の種類によって選択することができ、特に限
定はされないが、例えば活性水素含有末端官能基として
一級または二級のアミノ基を有する上記ポリアミノ系デ
ンドリマーに、活性水素含有(メタ)アクリレート系化
合物(b)をマイケル付加させることにより、簡便に変
性することができる。
【0045】本発明における活性水素含有(メタ)アク
リル系化合物(b)は、分子中に1個以上の水酸基、カ
ルボキシル基などを有する(メタ)アクリル系化合物で
あり、例えば下記式(4)で示されるヒドロキシアルキ
ル(メタ)アクリレート系化合物、 CH2=C(R1)COO−R2−OH (4) (式中、R1は水素原子またはCH3、R2は炭素数2〜
22、好ましくは2〜16のアルキル基をそれぞれ表
す。)
【0046】下記式(5)で示されるポリアルキレング
リコールモノ(メタ)アクリレート系化合物、 CH2=C(R1)COO(Cx2xO)mH (5) (式中、R1は水素原子またはCH3、xは1〜6、好ま
しくは2〜4の整数、mは1〜25、好ましくは4〜1
6の整数をそれぞれ表す。)
【0047】下記式(6)で示されるポリラクトンモノ
(メタ)アクリレート系化合物、 CH2=C(R1)COOCy2yO(COCz2zO)kH (6) (式中、R1は水素原子またはCH3、yは2〜22、好
ましくは2〜16の整数、zは2〜15、好ましくは3
〜5の整数、kは1〜20、好ましくは1〜5の整数を
それぞれ表す。)
【0048】または、下記式(7)で示されるウレタン
モノ(メタ)アクリレート系化合物である。 CH2=C(R1)COR3O[CONHR4NHOR5O]hH (7) (式中、R1は水素原子またはCH3、R3は炭素数2〜
22のアルキル基、R4は下記式(3−a)〜(3−
h)で示されるイソシアネート残基、R5は−(Cp2p
O)q−または-Cp2p-で示される二価アルコール残
基、式中、pは1〜4の整数、qは1〜100の整数、
hは1〜10の整数をそれぞれ表す。)
【0049】
【化17】
【0050】本発明において、上記活性水素含有(メ
タ)アクリル系化合物(b)の鎖長としては、硬質な硬
化物が必要とされる場合には鎖長の短いものを、また可
撓性を向上させる目的では鎖長の長いものが好ましい。
上記範囲内では鎖長の延長に伴い分子量が増加するにも
係わらずバルク粘度が低下する傾向を示す。上記範囲よ
り長い場合にはビニル基含有デンドリマーのバルク粘度
が高くなったり、常温では固体であり、更に硬化性が乏
しくなりこともあるため好ましくない。
【0051】更に具体例を挙げると、一般式(4)に示
したヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート系化合物
としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4
−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロ
キシブチル(メタ)アクリレートなどがある。
【0052】一般式(5)で示されるアルキレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート系化合物としては、例え
ば、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、
トリエチレングチコールモノ(メタ)アクリレート、テ
トラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ト
リプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラ
プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジプロピ
レングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラ
メチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどがあ
る。
【0053】一般式(6)で示されるポリカプロラクト
ンモノ(メタ)アクリレート系化合物としては、2-
(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンカプ
ロラクトネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチ
ルハイドロジェンジカプロラクトネート、2-(メタ)
アクリロイルオキシエチルハイドロジェンポリ(重合度
3〜5)カプロラクトネート、2−(メタ)アクリロイ
ルオキシエチル−2−ヒドロキシ−6ヘキサノラクトネ
ートなどがある。
【0054】更に上記一般式(4)〜(7)に示した以
外にも、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル2−ヒ
ドロキシプロピルフタレート、3−クロロ−2−ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−
3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートがあり、
またグリセロールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールモノ(メタ)アクリレート、エチレンオキ
サイド変性ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレ
ート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレー
ト、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンモ
ノ(メタ)アクリレートなども使用することができる。
【0055】また、分子中にカルボキシル基を有する
(メタ)アクリル系化合物としては、マレイン酸、フマ
ル酸、イタコン酸、シトラコン酸、または、これらのア
ルキルもしくはアルケニルモノエステル、フタル酸β−
(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、イソフタル
酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、テレ
フタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステ
ル、コハク酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエス
テル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮
酸等を使用することができる。
【0056】本発明において上記、アクリル系化合物
(b)の配合量としては、活性水素含有(メタ)アクリ
ル系化合物(b)が少なくとも1個付加されていれば特
に制限されないが、ポリアミノ系デンドリマー由来の全
活性水素に対して、好ましくは10%以上、更に好まし
くは50%以上である。これより少ない場合には多分岐
構造が得られにくく、また(b)成分の特徴が十分反映
されにくいため好ましくない場合がある。
【0057】上記、多能化合物の合成方法は従来法に準
じて行なうことができるが、メタノール、エタノールな
どのアルコールを反応溶媒として用いると副反応が起き
にくい。溶媒を用いる際にはポリアミノ系デンドリマー
の配合重量に対し、1〜100倍使用することが好まし
い。また、特に加熱は必要としないが、ポリアミノ系デ
ンドリマーまたは(メタ)アクリル系化合物の分子量が
大きい時などには30℃〜70℃の範囲で加熱すること
が好ましい。反応時間は使用するアミノ化合物の種類と
反応温度により様々であるが、30分〜72時間、一般
的には常温で1昼夜程度、50〜100℃に加温すると
1〜10時間以内には終了する。
【0058】本発明においてビニル基は多官能化合物
(a)に反応性を持たせるために導入され、重合性の二
重結合を有するものであれば特に限定しないが、以下に
好ましい構造を示す。 CH2=CHCOO− ;アクリル基 (8−1) CH2=CH(CH3)COO−;メタアクリル基 (8−2) CH2=CH− ;ビニル基 (8−3) CH2=CH−CH2−O− ;アリル基 (8−4) −CH=CH− ;ジエニル基 (8−5) CH2=CH−C64− ;フェニルビニル基 (8−6) CH2=CH−O− ;ビニルエーテル基 (8−7) 上記のビニル基のうちラジエーション硬化時の反応性の
点からUV硬化ではアクリル基が好ましく、電子線硬化
時にはメタクリル基でも比較的高い硬化性が示され、反
応性、安全性の両面から好ましいと言える。また、(メ
タ)アクリル基とビニルエーテル基との組合せMP硬化
促進の面から好ましい。
【0059】また本発明においてビニル基を導入した枝
部位の鎖長とは末端ビニル基が結合した分岐部位の結合
原子の次から数えて最初のZ−CH=CH−(Zは水素
原子または有機残基)構造までのリニヤーに結合した原
子数とする。途中に芳香環、シクロ環、ヘテロ環などの
環構造を含有する場合は、環構造との結合数を原子数に
代えて数えることにする。本発明においビニル基を導入
した枝部位の好ましい鎖長は2〜100、更に好ましく
は9〜70である。
【0060】本発明においてビニル基含有デンドリマー
は上記の多官能化合物(a)にビニル基を導入すること
により得られ、基本的には、多官能化合物(a)が含有
する活性水素含有末端官能基と、活性水素と反応可能な
官能基を有するビニル基含有化合物(c)との反応によ
って得られる。本発明において、活性水素と反応可能な
官能基は、多官能化合物(a)が含有する活性水素含有
末端官能基の種類によって選択されるが、例えば多官能
化合物(a)が有する活性水素含有末端官能基が一級ま
たは二級アミノ基の場合には、(メタ)アクリル基、カ
ルボキシル基、水酸基、エポキシ基が好ましく、また、
活性水素含有末端官能基が水酸基の場合にはイソシアネ
ート基、グリシジル基、またはカルボキシル基が好まし
い。
【0061】多官能化合物(a)の末端がアミノ基の場
合に使用できるビニル基含有化合物(c)としては、2
−ヒドロキシ−3−アクリロキシプロピルメタクリレー
ト等、アクリロイル基とその他のビニル基を有する化合
物を例示できるが、この場合は末端にアクリル基を導入
できないため特にUV硬化性化合物としては十分な硬化
性は得られにくい場合もある。
【0062】上記末端が水酸基の場合に使用できるビニ
ル基含有化合物(c)としては、グリシジル(メタ)ア
クリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)
アクリレート、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘ
キサン、(3,4−エポキシシクロヘキシル−5−ヒド
ロキシヘキサノイックカルボキシレート)(メタ)アク
リレートなどのエポキシ基含有ビニル化合物が挙げられ
る。また、イソシアネート基を有するイソシアネート基
含有ビニル化合物(c−1)を使用すると、多官能化合
物(a)が有する活性水素含有化合物が、水酸基、カル
ボキシル基、アミノ基等の場合に使用でき、特に水酸基
とイソシアネート基との組み合わせは穏和な条件下で進
行するため末端のビニル基の安定性を考慮すると好まし
いと言える。
【0063】上記のイソシアネート基含有ビニル化合物
(c−1)に関する好ましい使用方法としては、例えば
ポリアミノ系デンドリマーに、活性水素含有(メタ)ア
クリレート系化合物(a−1)をマイケル付加させるこ
とにより得た多官能化合物(a)にイソシアネート基含
有ビニル化合物(c−1)を付加反応させることによ
り、ビニル基を導入する事ができる。
【0064】上記イソシアネート基含有ビニル化合物
(c−1)としては、例えばメタクリロイルオキシエチ
ルイソシアネート(MOI)、ビニルイソシアネート、
アリルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシア
ネート(MAI)、イソプロペニル−α,α−ジメチル
ベンジルイソシアネート(TMI)等がある。また、本
発明において、ジイソシアネート化合物とイソシアネー
ト基と反応可能な官能基を含有するビニル化合物とを等
モルで反応せしめた化合物もイソシアネート基含有ビニ
ル化合物(c−1)として使用することができる。
【0065】上記ジイソシアネート化合物としては、
1,6−ジイソシアナトヘキサン、ジイソシアン酸イソ
ホロン、ジイソシアン酸4,4’−ジフェニルメタン、
ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、キシ
リレンジイソシアネート、ジイソシアン酸トルトルイレ
ン、ジイソシアン酸ヘキサメチレン、ジイソシアン酸4
−メチル−m−フェニレン、ナフチレンジイソシアネー
ト、パラフェニレンジイソシアネート、テトラメチルキ
シリレンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイ
ソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、シク
ロヘキシルジイソシアネート、2,2,4−トリメチル
ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメ
チルヘキサメチレンジイソシアネート、m−テトラメチ
ルキシリレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシ
リレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート
等を挙げることができる。
【0066】また、本発明において使用されるイソシア
ネート基と反応可能な官能基を含有するビニル化合物と
してはアミノ基、水酸基、カルボキシル基等を有するビ
ニル化合物が挙げられるが、水酸基、カルボキシル基を
有するものがイソシアネート基との反応性の面から好ま
しい。斯かる、水酸基を有する(メタ)アクリル系化合
物としては上記の化合物のうち、水酸基を1つだけ含有
するものは使用できるが、比較的分子量が低いものの方
がジイソシアネートとの反応性の面から好ましく、例え
ば4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)ア
クリロイルオキシエチルハイドロジェンカプロラクトネ
ート等を挙げることができる。
【0067】本発明におけるビニル基の導入率は、多官
能化合物(a)中に存在する全活性水素に対し、少なく
とも1個以上、且つ95%以下であり、好ましくは10
〜90%、更に好ましくは20〜80%である。これよ
り少ないと充分な硬化性が得られないため好ましくな
く、これより多いと得られるビニル基含有デンドリマー
の高粘度化、他成分との相溶性の低下、密着性等の皮膜
物性の低下が見られることがあり好ましくない。例え
ば、イソシアネート基含有ビニル化合物(c−1)の配
合量は、多官能化合物(a)中に存在するポリアミノ系
デンドリマー由来の未反応活性水素、または活性水素基
含有(メタ)アクリル系化合物(b)末端由来の全活性
水素基に対し少なくとも1個、且つ95%以下であり、
好ましくは10〜95%更に好ましくは20〜80%で
ある。
【0068】上記のイソシアネート基含有ビニル化合物
(c−1)を添加する際、必要に応じて通常のウレタン
合成時に使用される触媒、例えば、オクチル酸スズ、2
−エチルヘキサン酸スズ等のスズ系の触媒等を添加して
もよい。好ましい触媒の添加量はイソシアネート基含有
ビニル化合物(c−1)対して1〜0.01重量%であ
る。
【0069】また、本発明により得られるビニル基含有
デンドリマーは、数平均分子量200〜100000、
好ましくは300〜50000更に好ましくは400〜
40000であり、また100000cps以下、好ま
しくは50000〜500cps、更に好ましくは20
000〜1000cpsの粘性(30℃)を示す液状で
ある。これより分子量が低いと硬化収縮が激しくなるた
め好ましくない。また分子量が高い場合は造膜可能な粘
度範囲である場合には特に問題ではないが、上記の範囲
以上に分子量が高くなると粘度が高くなるため塗工性の
点で好ましくない。また、粘度としては上記の範囲を越
えると多成分との溶解性や造膜性の点で好ましくない。
【0070】また、本発明においてビニル基含有デンド
リマー(A)は単独で用いても十分な塗膜性能を有する
が、硬化性組成物の粘度や硬化性を調節する目的で、こ
れ以外の重合性不飽和基含有化合物(B)と混合し、組
成物とすることもできる。また本発明において使用され
る、重合性不飽和基含有化合物(B)としては、分子中
に1個以上の不飽和二重結合を有する化合物であれば特
に限定しないが、(メタ)アクリル系化合物、ビニル系
単量体、ジエン系単量体等を例示することができるが、
これらの中では安全性や入手の容易さから(メタ)アク
リル系単量体の使用が好ましい。
【0071】(メタ)アクリル系化合物としては、例え
ば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アク
リレート、2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシメ
チル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレ
ートなどの単官能(メタ)アクリル系化合物、エチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、1,3ブチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオ
ールジアクリレート、1,9ノナンジオールジ(メタ)
アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アク
リレート、2,2ビス[4−{(メタ)アクリロキシ・
ジエトキシ}フェニル]プロパン、2,2ビス[4−
{(メタ)アクリロキシエトキシ}フェニル]プロパ
ン、2,2ビス[4−{(メタ)アクリロキシ・ポリエ
トキシ}フェニル]プロパン、2,2ビス[4−{(メ
タ)アクリロキシ・ジプロポキシ}フェニル]プロパ
ン、2,2ビス[4−{(メタ)アクリロキシプロポキ
シ}フェニル]プロパン、2,2ビス[4−{(メタ)
アクリロキシ・ポリプロポキシ}フェニル]プロパンな
どの2官能の(メタ)アクリル系化合物、トリメチロー
ルプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロー
ルメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロール
エタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメ
タンテトラ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロ
ールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリ
スリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの3官能以
上の(メタ)アクリル系化合物などを挙げることができ
る。
【0072】また、ビニル系化合物として例えば、メチ
ルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビ
ニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシ
ルビニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、ビ
ニル−4−ヒドロキシブチルエーテル、ブタンジオール
1,4ジビニルエーテル、ビニルピロリドン、ビニルカ
プロラクラム、ビニルカルバゾール、ビニル−1−イミ
ダゾール、ジビニルエチレン尿素、N−ビニルホルムア
ミド、N−ビニルホルマリン、アリルグリシジルエーテ
ル、アリルクロライド等を挙げることができる。また、
ジエン系化合物、スチレン系化合物、不飽和脂肪酸系化
合物等を使用しても良い。
【0073】上記の重合性不飽和基含有化合物(B)の
うちビニル基含有デンドリマーの反応性希釈剤として好
ましいものはSP値として8.5〜12.5、更に好ま
しくは9.0〜10.0である。この範囲の化合物はビ
ニル基含有デンドリマーまたは一般的な反応性オリゴマ
ーとの相溶性が優れているものであり、鎖が広がりにく
いデンドリマーの特徴を活かせる領域である。
【0074】上記の重合性不飽和基含有化合物(B)の
粘度は組成物としたときの粘度が目的の条件にあってい
れば特に限定しないが、好ましくは1〜10000cps
以下(30℃)、更に好ましくは5〜5000cps(3
0℃)であり、これより低いものは低分子量のものが多
いことからPII値等安全性の点で好ましくなく、これよ
り高いものは粘度調節剤としての寄与が乏しくなるため
好ましくない。また、数平均分子量は好ましくは200
0以下、更に好ましくは100〜1000である。
【0075】また、本発明においてビニル基含有デンド
リマー(A)と重合性不飽和基含有化合物(B)との配
合率としては、好ましくは(A):(B)=5:95〜
99:1、更に好ましくは20:80〜80:20であ
る。これよりビニル基含有デンドリマー(A)が少ない
と硬化収縮が激しくなるなど硬化特性が著しく低下する
ため好ましくない。更に本発明において得られる硬化性
組成物の粘度は10〜50000cps(30℃)好まし
くは20〜20000cps(30℃)である。これより
低い粘度の組成物を得るにはさらに多くの低分子量の重
合性不飽和基含有化合物(B)を配合する必要があり好
ましくない。またこれより高い粘度の硬化性組成物は、
加工性に乏しいため好ましくない。
【0076】本発明において、硬化性組成物の造膜性、
硬化特性を高めるために、アミノ樹脂、フェノール樹脂
等の硬化剤樹脂を配合しても差し支えない。また、被膜
性能を向上させるため、公知のポリアミド樹脂、セルロ
ース誘導体、ビニル系樹脂、ポリオレフィン、天然ゴム
誘導体、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、
ポリスチレンなどの汎用ポリマー、アルキド樹脂、ロジ
ン変性アルキド樹脂、アマニ油変性アルキド樹脂などの
不飽和変性アルキド樹脂、アマニ油、桐油、大豆油など
の乾性油等を配合してもよい。ただし、これらの配合量
は何れも好ましくは40重量%さらに好ましくは20重
量%以下である。さらに、必要に応じて溶剤、相溶化
剤、界面活性剤または、滑剤等を添加してもよい。これ
らの配合量は、20重量%好ましくは10重量%以下で
ある。本発明により得られる硬化性組成物に染料やカー
ボンブラック、チタンホワイト、フタロシアニン、アゾ
色素、キナクリドン等の顔料からなる着色剤やSi系微
粒子、雲母など無機充填剤等を適当量添加することによ
り各種印刷インキや着色塗料等として使用することがで
きる。また、放射線照射により硬化せしめる場合には、
公知の光重合増感剤や開始剤を添加することができる。
【0077】本発明の硬化性組成物を用いた被膜形成材
料用組成物は、各種鋼板、アルミニウム板等の金属板、
プラスチックフィルム、紙、プラスチックフィルムラミ
ネート紙等の基材にロールコーター、ナイフコーターな
どの塗工方法、またはオフセット印刷、グラビア印刷、
凸版印刷、シルクスクリーン印刷などの印刷方式など従
来からある方法で、0.1〜500μmの膜厚で造膜で
き、加熱または電子線、紫外線、可視光線、赤外線等の
放射線を照射することにより硬化せしめることができ
る。電子線照射により硬化せしめる場合には、好ましく
は10〜1000kV、さらに好ましくは30〜300
kVの範囲の加速電圧を持つ電子線照射装置が用いられ
る。30〜100kV程度の低加速電圧の電子線照射シ
ステムを使用すると被照射体表面にエネルギーが集中す
るため、薄膜の硬化には効果的である。照射線量(DO
SE)は、好ましくは0.1〜100Mrad、更に好
ましくは0.5〜20Mradの範囲である。これより
少ないと充分な硬化物が得られにくく、またこれより大
きいと塗膜や基材に対するダメージが大きいため好まし
くない。なお、本発明における造膜とは、印刷および塗
装などの方法により、紙、金属、プラスチック、セラミ
ックス等よりなる基材上に、樹脂を厚さ0.1〜500
μmの膜を形成せしめることをいう。
【0078】
【実施例】次に本発明を実施例により更に詳細に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。 ◎構造解析、数平均分子量、および粘度の測定方法 1)構造解析 ここで合成した多分岐化合物の構造は1H−NMRによ
り確認した。 2)数平均分子量:ゲル透過クロマトグラフィー(東ソ
ー SC−8020)1 H−NMRで解析した数種類の構造既知の多分岐化合
物からゲルパーメーションクロマトグラフ(GPC)の
検量線を独自に作成し、これを基にGPCで測定した結
果を採用した。また、分子量分布(Mw/Mn)は、同
測定機器において得られる値を採用した。 3)粘度:レオメータ(レオメトリクス社製:RDS−
II、RFS−II) サンプルの粘度にあわせてレオメトリクス社製レオメー
タRDS−II(高粘度タイプ)または、RFS−II
(低粘度タイプ)で測定した定常粘度(ズリ速度=1〜
10/secの値)をそれぞれ採用した。 ◎電子線照射装置と照射条件 1)エリアビーム型電子線照射装置 Curetron EBC-200
-20-30(日新ハイホ゛ルテーシ゛) 電子線加速度:200kV DOSEは5〜80kGyの範囲で電流量により調節し
た。 2)MIN−EB(AIT社製) 電子線加速度: 60kV DOSEは5〜80kGyの範囲でベルトコンベア速度
で調節した。
【0079】◎実施例、比較例で使用した以下の化合物
の略号を記す。 1)多官能化合物(a) DAB4:構造式(i)に記載 4−Cascade:1,4−Diaminobuta
ne[4]:propylamine DAB8:構造式(ii)に記載 8−Cascade:1,4−Diaminobuta
ne[4]:(1−azabutylidene)4
propylamine MNP12:構造式(xiii)に記載 12−Cascade:methane[4]:(no
nylidyne):propanol;構造式(xi
ii)
【0080】2)活性水素含有(メタ)アクリレート系
化合物(b) 4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート PPG6A:ポリプロピレングリコール(PPG鎖の重
合度=6)アクリレート PEG7A:ポリエチレングリコール(PEG鎖の重合
度=7)アクリレート PCL1A:2-(メタ)アクリロイルオキシエチルハ
イドロジェンカプロラクトネート(ダイセル化学(株)
製プラクセルFA−1DT) PCL2A:2-(メタ)アクリロイルオキシエチルハ
イドロジェンジカプロラクトネート(ダイセル化学
(株)製プラクセルFA−2D) SA:2−アクリロイルオキシエチルエチルハイドロジ
ェンサクシネート 3)活性水素と反応可能な官能基を有するビニル基含有
化合物(c) MOI:メタクリロイルオキシエチルイソシアネート TMI:3-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジル
イソシアネート GMA:グリシジルメタクリレート G201P:2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロ
ピルメタクリレート(共栄社化学(株)製ライトエステ
ルG-201P) および下記合成例1〜4に示す合成品
【0081】3)重合性不飽和基含有化合物(B) NODA:1,9ノナンジオールジアクリレート(Mn=2
68、η=7.3cps) TPGDA:トリプロピレングリコールジアクリレート
(Mn=300、η=12cps) TMPT3EO:EO変性トリメチロールプロパントリ
アクリレート 新中村化学社製NKエステルA−TMPT−3EO(Mn
=428、η=50cps) DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(Mn=578、η=5000cps) BP4EA:2,2ビス[4−{アクリロキシポリエト
キシ}フェニル]プロパン(Mn=512,η=750cps) その他比較例で直鎖状ウレタンアクリレートオリゴマー
としてUV−1700B日本合成化学工業社製、紫光U
V−1700B(Mn=2000、η=22500cps)を使用した。
【0082】(合成例1)トリレンジイソシアネート
(TDI)と4HBAとの等モル付加体 撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、コンデンサー、
及び4HBA:144g、酢酸エチル144gの混合溶
液を充填した滴下ロートを備えた1000ミリリットル
四つ口丸底フラスコにTDI:174g、酢酸エチル:
174g、2ーエチルヘキサン酸錫:0.2gを配合
し、50℃に設定した湯浴にて加熱撹拌しながら滴下ロ
ート中に充填した上記溶液を1時間で滴下した。滴定法
によりNCO価が理論値以下になったところで反応を終
了した。
【0083】(合成例2)イソホロンジイソシアネート
(IPDI)と4HBAとの等モル付加体 撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、コンデンサー、
及び4HBA:144g、酢酸エチル144gの混合溶
液を充填した滴下ロートを備えた1000ミリリットル
四つ口丸底フラスコにIPDI:222g、酢酸エチ
ル:220g、2ーエチルヘキサン酸錫:0.2gを配
合し、50℃に設定した湯浴にて加熱撹拌しながら滴下
ロート中に充填した上記溶液を1時間で滴下した。滴定
法によりNCO価が理論値以下になったところで反応を
終了した。
【0084】(合成例3)IPDIとHEAとの等モル
付加体 撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、コンデンサー、
及びHEA:116g、酢酸エチル120gの混合溶液
を充填した滴下ロートを備えた1000ミリリットル四
つ口丸底フラスコにIPDI:222g、酢酸エチル:
220g、2ーエチルヘキサン酸錫:0.2gを配合
し、50℃に設定した湯浴にて加熱撹拌しながら滴下ロ
ート中に充填した上記溶液を1時間で滴下した。滴定法
によりNCO価が理論値以下になったところで反応を終
了した。
【0085】(合成例4)ヘキサメチレンジイソシアネ
ート(HMDI)とHEAとの等モル付加体 撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、コンデンサー、
及びHEA:116g、酢酸エチル120gの混合溶液
を充填した滴下ロートを備えた1000ミリリットル四
つ口丸底フラスコにHMDI:168g、酢酸エチル:
170g、2ーエチルヘキサン酸錫:0.2gを配合
し、50℃に設定した湯浴にて加熱撹拌しながら滴下ロ
ート中に充填した上記溶液を1時間で滴下した。滴定法
によりNCO価が理論値以下になったところで反応を終
了した。
【0086】(実施例1)DAB4−H8M4(1/1
0モルスケール)の合成 撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、及びコンデンサ
ーを備えた1000ミリリットル四つ口丸底フラスコに
DAB4:31.6g、HEA:92.8g、酢酸エチ
ル:125gを配合し、75℃に設定した湯浴にて3時
間還流させた後、一部サンプリングし、1H−NMRを
測定したところ、アクリル基由来のプロトンピークがほ
ぼ消失していた。そこで、湯浴温度を60℃に下げ、M
OI:62.1gと酢酸エチル:63gの混合溶液を添
加し、更に10〜30分後、2ーエチルヘキサン酸錫:
0.3gを添加した。3〜4時間加熱撹拌を続け、IR
チャートのNCO基特性吸収(2270cm-1)が消失
した時点を反応終点とした。更に、反応溶媒として用い
た酢酸エチルをエバポレータで脱溶剤することにより目
的とするビニル基含有デンドリマーを得た。
【0087】(実施例2)DAB4−B8M4(1/1
0モルスケール)の合成 撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、及びコンデンサ
ーを備えた500ミリリットル四つ口丸底フラスコにD
AB4:31.6g、4HBA:115g、酢酸エチ
ル:63g、メタノール:30gを配合し、75℃に設
定した湯浴にて3時間還流させた後、一部サンプリング
し、1H−NMRを測定したところ、アクリル基由来の
プロトンピークがほぼ消失していた。そこで、反応器と
コンデンサーの間に分流管をセットし、80℃の湯浴に
て常圧で加温・撹拌を続けながら溶媒を留去した、さら
にコンデンサー上部から真空ラインを接続し、70℃に
下げた湯浴で40mmHg以下まで減圧することにより
酢酸エチルおよびメタノールを完全に留去したところ、
粘稠な液状樹脂を得た(収率98%)。そこで、湯浴温
度70℃のまま、MOI:60.9g、酢酸エチル:2
10gを添加し、更に10分後、2ーエチルヘキサン酸
錫:0.3gを添加した。3時間加熱撹拌を続け、IR
チャートのNCO基特性吸収(2270cm-1)が消失
した時点を反応終点とした。更に、反応溶媒として用い
た酢酸エチルをエバポレータで脱溶剤することにより目
的とするビニル基含有デンドリマーを得た。
【0088】(実施例3)DAB4−P4B4M4(1
/10モルスケール)の合成 撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、及びコンデンサ
ーを備えた500ミリリットル四つ口丸底フラスコにD
AB4:31.6g、4HBA:57.5g、PPG6
A:191g、酢酸エチル:120g、メタノール:3
0gを配合し、75℃に設定した湯浴にて4時間還流さ
せた後、一部サンプリングし、1H−NMRを測定した
ところ、アクリル基由来のプロトンピークがほぼ消失し
ていた。そこで、反応器とコンデンサーの間に分流管を
セットし、80℃の湯浴にて常圧で加温・撹拌を続けな
がら溶媒を留去した、さらにコンデンサー上部から真空
ラインを接続し、70℃に下げた湯浴で40mmHg以
下まで減圧することにより酢酸エチルおよびメタノール
を完全に留去したところ、粘稠な液状樹脂を得た(収率
98%)。そこで、湯浴温度70℃のまま、MOI:6
0.9g、酢酸エチル:345gを添加し、更に10分
後、2ーエチルヘキサン酸錫:0.3gを添加した。3
時間加熱撹拌を続け、IRチャートのNCO基特性吸収
(2270cm-1)が消失した時点を反応終点とした。
更に、反応溶媒として用いた酢酸エチルをエバポレータ
で脱溶剤することにより目的とするビニル基含有デンド
リマーを得た。
【0089】(実施例4)DAB4−P8M4(1/1
0モルスケール)の合成 撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、及びコンデンサ
ーを備えた500ミリリットル四つ口丸底フラスコにD
AB4:31.6g、PPG6A:382g、酢酸エチ
ル:178g、メタノール:30gを配合し、75℃に
設定した湯浴にて4時間還流させた後、一部サンプリン
グし、1H−NMRを測定したところ、アクリル基由来
のプロトンピークがほぼ消失していた。そこで、反応器
とコンデンサーの間に分流管をセットし、80℃の湯浴
にて常圧で加温・撹拌を続けながら溶媒を留去した、さ
らにコンデンサー上部から真空ラインを接続し、70℃
に下げた湯浴で40mmHg以下まで減圧することによ
り酢酸エチルおよびメタノールを完全に留去したとこ
ろ、粘稠な液状樹脂を得た(収率98%)。そこで、湯
浴温度70℃のまま、MOI:60.9g、酢酸エチ
ル:480gを添加し、更に10分後、2ーエチルヘキ
サン酸錫:0.3gを添加した。3時間加熱撹拌を続
け、IRチャートのNCO基特性吸収(2270c
-1)が消失した時点を反応終点とした。更に、反応溶
媒として用いた酢酸エチルをエバポレータで脱溶剤する
ことにより目的とするビニル基含有デンドリマーを得
た。
【0090】(実施例5)DAB8−B16M8(1/
20モルスケール)の合成 撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、及びコンデンサ
ーを備えた500ミリリットル四つ口丸底フラスコにD
AB8:36.7g、4HBA:115g、酢酸エチ
ル:65g、メタノール:30gを配合し、75℃に設
定した湯浴にて3時間還流させた後、一部サンプリング
し、1H−NMRを測定したところ、アクリル基由来の
プロトンピークがほぼ消失していた。そこで、反応器と
コンデンサーの間に分流管をセットし、80℃の湯浴に
て常圧で加温・撹拌を続けながら溶媒を留去した、さら
にコンデンサー上部から真空ラインを接続し、70℃に
下げた湯浴で40mmHg以下まで減圧することにより
酢酸エチルおよびメタノールを完全に留去したところ、
粘稠な液状樹脂を得た(収率97%)。そこで、湯浴温
度70℃のまま、MOI:60.2g、酢酸エチル:2
15gを添加し、更に10分後、2ーエチルヘキサン酸
錫:0.3gを添加した。4時間加熱撹拌を続け、IR
チャートのNCO基特性吸収(2270cm-1)が消失
した時点を反応終点とした。更に、反応溶媒として用い
た酢酸エチルをエバポレータで脱溶剤することにより目
的とするビニル基含有デンドリマーを得た。
【0091】(実施例6)DAB4−B4G4(1/1
0モルスケール)の合成 撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、及びコンデンサ
ーを備えた500ミリリットル四つ口丸底フラスコにD
AB4:31.6g、G201P:85.7g、4HB
A:57.7g、酢酸エチル:87g、メタノール:3
0gを配合し、75℃に設定した湯浴にて5時間還流さ
せた後、一部サンプリングし、1H−NMRを測定した
ところ、アクリル基由来のプロトンピークがほぼ消失し
ていた。更に、反応溶媒として用いた酢酸エチルをエバ
ポレータで脱溶剤することにより目的とするビニル基含
有デンドリマーを得た。
【0092】(実施例7)MNP12−M6(1/20
モルスケール)の合成 撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、及びコンデンサ
ーを備えた500ミリリットル四つ口丸底フラスコにM
NP12:60.8g、MOI:46.5g、酢酸エチ
ル:108gを添加し、湯浴温度70℃で撹拌した。更
に10分後、2ーエチルヘキサン酸錫:0.22gを添
加した。3時間加熱撹拌を続け、IRチャートのNCO
基特性吸収(2270cm-1)が消失した時点を反応終
点とした。更に、反応溶媒として用いた酢酸エチルをエ
バポレータで脱溶剤することにより目的とするビニル基
含有デンドリマーを得た。
【0093】(実施例8〜19)撹拌装置、窒素導入
管、温度センサー、及びコンデンサーを備えた四つ口丸
底フラスコに表1中に示した多官能化合物(a)、当量
の酢酸エチルを配合し、ここに、活性水素含有(メタ)
アクリル系化合物(b)を酢酸エチルにて75重量%に
なるように希釈した溶液を撹拌しながら添加した。活性
水素含有化合物としてHEAを用いた場合以外は、更に
多官能化合物(a)と同モル数のメタノールを配合す
る。以上の反応溶液を75℃に設定した湯浴にて4時間
還流させた後、一部サンプリングし、1H−NMRを測
定し、アクリル基由来のプロトンピークにより反応終点
を確認をした後、反応器とコンデンサーの間に分流管を
セットし、80℃の湯浴にて常圧で加温・撹拌を続けな
がら溶媒を留去した。さらにコンデンサー上部から真空
ラインを接続し、70℃に下げた湯浴で40mmHg以
下まで減圧することにより酢酸エチルおよびメタノール
を完全に留去したところ、粘稠な液状樹脂を得た。そこ
で、湯浴温度70℃のまま、新たに酢酸エチルをNV5
0%になるように添加し、イソシアネート基含有ビニル
単量体(c)を(メタ)アクリル系化合物(b)の合計
モル数に収率をかけたモル数だけ添加し、更に反応系全
体の濃度が50%になるように酢酸エチルにて希釈し
た。更に10分後、2ーエチルヘキサン酸錫をイソシア
ネート基含有ビニル単量体(c)の 0.5重量%添加
した。そのまま3時間以上加熱撹拌を続け、IRチャー
トのNCO基特性吸収(2270cm-1)が消失した時
点を反応終点とした。更に、反応溶媒として用いた酢酸
エチルをエバポレータで脱溶剤することにより目的とす
るビニル基含有デンドリマーを得た。得られたビニル基
含有デンドリマーの合成時の原料組成と得られたビニル
基含有デンドリマーの特性を併せて表1に示す。 ま
た、比較例として同様の方法により測定した活性水素含
有末端官能基を持たないデンドリマー(比較例1)、極
性基市販の直鎖状ウレタンアクリレートUV-1700B(比較
例2)およびジペンタエリスリトールヘキサアクリレー
ト(DHPA)(比較例3)の評価結果も併せて示す。
【0094】
【表1】
【0095】(実施例20〜50)実施例1〜19で得
られたビニル基含有デンドリマー(A)と重合性不飽和
基含有化合物(B)を用いて調製した硬化性組成物の粘
度を表2にしめす。また、得られた硬化性組成物を#6
のバーコーターで4種類のフィルム(評価用の基材のサ
イズ→厚さ;20μm、幅;5cm、長さ;20cm)
上に塗布し種々のDOSE(5、20、40kGy)で
電子線を照射した。表2に、使用したビニル基含有デン
ドリマーの種類と電子線照射により得られた塗膜の硬化
特性(指触試験→×:タック有、△:タック無だが爪で
傷付き有、○:タック無爪による傷つき無)、基材接着
性(セロテープ剥離試験による塗膜未剥離率)および、
耐溶剤性(MEKラビング試験50回前後の重量変化より
求めた残存率)、カール性(基材フィルム変型性の官能
試験により評価→○:カール無、△:端が反る程度、×:
フィルムが巻いてしまう)、耐摩耗性の評価結果を示
す。また、比較例として同様の方法により測定した活性
水素含有末端官能基を持たないビニル基含有デンドリマ
ー(比較例4)、市販の直鎖状ウレタンアクリレートUV
-1700B(比較例5)およびジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレート(DHPA)(比較例6)の評価結果も併せて
示す。
【0096】
【表2】
【0097】
【0098】
【発明の効果】本発明により無溶剤型の硬化性樹脂とし
て高分子量でありながら低粘度である多官能性の液状樹
脂を使用することにより、通常の無溶剤型の硬化性組成
物に使用されている安全性や物性的に問題のある低分子
量化合物の配合率を低減もしくは不含とせしめることに
より作業環境の改善に寄与し、かつ従来より用いられて
いるロールコーター、ナイフコーターなどの塗工方法、
オフセット印刷、グラビア印刷、凸版印刷、スクリーン
印刷などの印刷方式で造膜でき、加熱、紫外線、赤外
線、電子線、γ線照射等の従来からあるトリガーにより
硬化することができ、特に電子線、γ線照射等の場合に
は触媒や開始剤を使用せずに硬化させることができる硬
化性組成物を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】デンドリマーのモデル図
【図2】デンドリマーのモデル図
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年2月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】
【化1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】本発明において、コア部位および分岐部位
は少なくとも3つの枝が結合した構造であり、例えば1
原子で構成されるものとしては、下記式(2−a)、
(2−b)が挙げられ、環状化合物で構成されるものと
しては下記式(2−c)、(2−d)、(2−e)で示
されるものが挙げられる。また、式(2−f)や式(2
−g)で示されるような構造や金属原子もコア部位や分
岐部位として例示できる。またコア部位と分岐部位の区
別はデンドリマー合成時の出発原料の構造から定められ
るものとする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】
【化2】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正内容】
【0065】斯かるジイソシアネート化合物としては
イソシアン酸イソホロン、ジイソシアン酸4,4’−
ジフェニルメタン、ポリメリックジフェニルメタンジイ
ソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジイソシ
アン酸トルイレン、ジイソシアン酸ヘキサメチレン、ジ
イソシアン酸4−メチル−m−フェニレン、ナフチレン
ジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、
テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキ
シルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシ
アネート、シクロヘキシルジイソシアネート、2,2,
4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,
4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、
m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−テ
トラメチルキシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジ
イソシアネート等を挙げることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 155/00 C09D 155/00 C09J 155/00 C09J 155/00 (72)発明者 栗橋 透 東京都中央区京橋二丁目3番13号 東洋イ ンキ製造株式会社内 (72)発明者 川島 美紀 東京都中央区京橋二丁目3番13号 東洋イ ンキ製造株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記ビニル基含有デンドリマー(A)5〜
    99重量%、および上記 以外の重合性不飽和基含有化
    合物(B)1〜95重量%とからなる硬化性組成物。 ビニル基含有デンドリマー(A):コア部位、分岐部
    位、枝部位、および少なくとも4個の末端部位から構成
    され、該末端部位としてビニル基および活性水素含有官
    能基を有するビニル基含有デンドリマー。
  2. 【請求項2】1分子中に少なくとも3個の末端官能基を
    有し、且つ5個以上の末端官能基由来の活性水素を有す
    る多官能化合物(a)と、活性水素と反応可能な官能基
    を有するビニル基含有化合物(c)とを反応してなるビ
    ニル基含有デンドリマーを用いてなる請求項1記載の硬
    化性組成物。
  3. 【請求項3】多官能化合物(a)が有する活性水素含有
    末端官能基由来の活性水素の少なくとも1個にビニル基
    を導入し、且つ全活性水素の95%以下にビニル基を導
    入したビニル基含有デンドリマーを用いてなる請求項1
    または2記載の硬化性組成物。
  4. 【請求項4】多官能化合物(a)が下記式(i)または
    (ii)で示されるポリアミノ系デンドリマーである請
    求項3記載の硬化性組成物。 【化1】
  5. 【請求項5】ポリアミノ系デンドリマーに活性水素含有
    (メタ)アクリレート系化合物(b)をマイケル付加さ
    せてなる多官能化合物(a)と、イソシアネート基含有
    ビニル化合物(c−1)とを反応してなるビニル基含有
    デンドリマーを用いてなる請求項1ないし4いずれか記
    載の硬化性組成物。
  6. 【請求項6】ビニル基を導入した枝部位の鎖長が原子数
    9〜70個であるビニル基含有デンドリマーを用いてな
    る請求項1ないし5いずれか記載の硬化性組成物。
  7. 【請求項7】数平均分子量が200〜100000で、
    粘度100000cps(30℃)以下の液状であるビニ
    ル基含有デンドリマーを用いてなる請求項1ないし6い
    ずれか記載の硬化性組成物。
  8. 【請求項8】重合性不飽和基含有化合物(B)の粘度が
    1〜10000cps(30℃)で、数平均分子量が2
    000以下である請求項1ないし7いずれか記載の硬化
    性組成物。
  9. 【請求項9】組成物の粘度が10〜50000cps
    (30℃)である請求項1ないし8いずれか記載の硬化
    性組成物。
  10. 【請求項10】放射線硬化性である請求項1ないし9い
    ずれか記載の硬化性組成物。
  11. 【請求項11】請求項1ないし10いずれか記載の硬化
    性組成物を用いてなる印刷インキ。
  12. 【請求項12】請求項1ないし10いずれか記載の硬化
    性組成物を用いてなる塗料。
  13. 【請求項13】請求項1ないし12いずれか記載の硬化
    性組成物に放射線を照射してなる硬化物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011038075A (ja) * 2009-07-17 2011-02-24 Hitachi Chem Co Ltd 接着剤組成物及び該接着剤組成物を用いた回路部材の接続構造体
JP2011038080A (ja) * 2009-07-17 2011-02-24 Hitachi Chem Co Ltd 接着剤組成物及び接続構造体
WO2019208554A1 (ja) * 2018-04-27 2019-10-31 三菱ケミカル株式会社 硬化性組成物、硬化物、積層体

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011038075A (ja) * 2009-07-17 2011-02-24 Hitachi Chem Co Ltd 接着剤組成物及び該接着剤組成物を用いた回路部材の接続構造体
JP2011038080A (ja) * 2009-07-17 2011-02-24 Hitachi Chem Co Ltd 接着剤組成物及び接続構造体
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