JPH11191490A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子

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JPH11191490A
JPH11191490A JP9360274A JP36027497A JPH11191490A JP H11191490 A JPH11191490 A JP H11191490A JP 9360274 A JP9360274 A JP 9360274A JP 36027497 A JP36027497 A JP 36027497A JP H11191490 A JPH11191490 A JP H11191490A
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organic
electron injection
layer
injection layer
earth metal
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JP9360274A
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English (en)
Inventor
Hideki Hosokawa
秀記 細川
Hisayoshi Fujikawa
久喜 藤川
Seiji Tokitou
静士 時任
Yasunori Taga
康訓 多賀
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Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機EL素子の寿命の向上する。 【解決手段】 ガラス基板10上に透明陽極電極12、
正孔輸送層14、発光層16、電子注入層18、金属陰
極電極20を形成する。そして、電子注入層18の材料
としてアルカリ土類金属のフッ化物(MgF2、Ca
2、SrF2、BaF2))を含むものを用いる。電子
注入層18の厚さは、例えば0.1nm〜20nmとす
ることが好適である。アルカリ土類金属のフッ化物はア
ルカリ金属の化合物やアルカリ土類金属の酸化物に比
べ、水との反応性が小さく、吸水し難くい。よって、素
子の発光効率は、アルカリ金属の化合物やアルカリ土類
金属の酸化物を用いた従来の有機EL素子と同程度の高
い特性としつつ、素子の寿命を従来の素子に比較して格
段に長くすることが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一対の電極間に正
孔輸送層と、有機材料からなる発光層と、電子注入層と
を備え、両電極から正孔輸送層及び電子注入層を介して
発光層にキャリアを注入することによって発光層を発光
させる有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機
EL素子という)、特に、その電子注入層に関する。
【0002】
【従来の技術】有機EL素子を利用した平面ディスプレ
イや、平面光源は、次世代のディスプレイ材料として大
きな注目を浴びており、研究開発が盛んに行われてい
る。特に、有機EL素子を利用すれば、直流低電圧駆
動、高視野角、自発光などの特徴を有する高解像度ディ
スプレイが実現可能であり、その利用価値は非常に高い
と考えられている。
【0003】有機EL素子は、ガラス基板上の透明電極
(陽極)/発光層/金属電極(陰極)の積層を基本構造
とし、陽極には仕事関数の大きな物質が用いられ、陰極
には仕事関数の小さな物質が用いられ発光層に有機材料
が用いられている。そして、両電極から発光層に注入さ
れる正孔と電子とが、発光層で再結合することによって
発光する。
【0004】このような有機EL素子の実用化に際して
は、素子寿命が短いことが問題となっている。短寿命の
一因は、陰極から発光層への電子注入効率を高くし、陰
極電極としての安定性を保つため、例えば、仕事関数の
小さい(活性な)金属Mgと、仕事関数の大きい(安定
な)金属Agの合金を陰極材料として用いていることが
挙げられる。このような合金電極の場合、Mg単体の電
極のように急激な酸化は生じないが、大気中の水分と徐
々に反応して酸化が進み、劣化するからである。
【0005】一方、例えば特開平9−17574号公報
に示されるように、発光層と金属陰極電極との間に電子
注入層を設け、Al等の仕事関数が大きい金属を陰極電
極に用い、電子注入層としてアルカリ金属の化合物(酸
化物、過酸化物、複合酸化物、ハロゲン化物、窒化物、
アルカリ金属塩)或いはアルカリ土類金属の酸化物など
を用いることが提案されている。これらの材料は単体の
アルカリ金属に比較して化学的に安定であるため、電子
注入層にこれらアルカリ金属の化合物又はアルカリ土類
金属の酸化物を用いることで、素子の長寿命化が可能と
なっている。また、このような電子注入層を設けること
で、電子の注入効率などが向上することが見い出されて
いる。この注入効率の向上は、電子注入層のアルカリ金
属の化合物或いはアルカリ土類金属の酸化物によって、
陰極電極から有機発光層を見た場合の電子に対する障壁
が低下し、発光層に電子が注入されやすくなることに起
因している。このため、陰極電極として仕事関数の大き
な材料を用いても、低い駆動電圧での高効率な電子注入
が可能となり、素子の発光効率の向上に寄与することと
なる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、電子注入層に
用いられているこれらアルカリ金属の化合物(酸化物、
過酸化物、複合酸化物、ハロゲン化物、窒化物、アルカ
リ金属塩)や、アルカリ土類金属の酸化物は、アルカリ
金属単体に比べれば安定であるとはいえ、水分の吸着や
潮解性の性質を有する。このため成膜中においても、成
膜後素子が形成された後においても、水と反応し、化合
物自体の変質或いは吸着した水により陰極電極が酸化さ
れてしまい、素子の寿命は依然として不十分である。
【0007】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、素子寿命が長く、かつ発光効率の高い
有機EL素子の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明はなされたものであり、基板上に形成された透
明陽極電極と、陰極電極との間に、正孔輸送層、有機材
料からなる発光層、電子注入層をこの順で狭持し、前記
陽極電極から前記正孔輸送層を介して前記発光層に正孔
を注入し、前記陰極電極から前記電子注入層を介して前
記発光層に電子を注入することで前記発光層を発光させ
る有機EL素子であって、前記電子注入層として、アル
カリ土類金属のフッ化物を含む材料を用いることを特徴
とする。
【0009】また、本発明において、該電子注入層の厚
みは、0.1nm〜20nmの範囲内とすることが好適
である。
【0010】本発明では、このように電子注入層にアル
カリ土類金属のフッ化物(MgF2、CaF2、Sr
2、BaF2)を使用することにより、有機EL素子の
安定性と素子の寿命の改善を可能としている。これは、
アルカリ土類金属のフッ化物が、従来用いられているア
ルカリ金属の化合物或いはアルカリ土類金属の酸化物に
比べて水との反応性が低く、成膜中における吸水が少な
いためである。また、成膜後、外部からの水の侵入に対
しても低い吸水性を示すことも理由の一つである。更
に、アルカリ土類金属のフッ化物は、アルカリ金属の化
合物に比べて融点が高いため、耐熱安定性も改善するこ
とができる。また、本発明では、電子注入層を設けるこ
とで、陰極電極から発光層への電子注入が容易、つまり
電子注入効率の向上が可能であり、素子の駆動電圧を低
くでき、高い発光効率を実現することができる。
【0011】アルカリ金属の化合物或いはアルカリ土類
金属の酸化物は、図2(a)のような面心立方構造(N
aCl構造)又は図2(b)のような体心立方構造(C
sCl構造)を備える。面心立方構造は、Na+(或い
はCl-)の構成する八面体の隙間にCl-(或いはNa
+)が入り込むような構造であり、各Na+の周りには6
個のCl-が位置し、各Cl-の周りには6個のNa+
位置する。体心立方構造は、六面体の各格子点にCl-
(或いはCs+)が位置し、各格子点の対角線の交点、
つまり六面体の中心にCs+(或いはCl-)が位置して
いる。
【0012】これに対し、アルカリ土類金属のフッ化物
は、図2(c)のようにホタル石(CaF2)構造又は図
2(d)の用にルチル(TiO2)構造を備えている。
ホタル石構造は、例えば、Ca2+が面心立方構造をと
り、Ca2+の構成する四面体の間隙にF-が入り込んで
いる。そして、各Ca2+の周りに8個のF-が位置し、
各F-の周りに4個のCa2+が位置する。ルチル構造
は、Ti4+が体心立方格子構造をとり、このTi4+の周
りに6個のO2-が位置し、この6個のO2-が八面体を構
成し、各O2-の周りに3個のTi4+が位置する。
【0013】アルカリ土類金属のフッ化物の結晶構造は
このようにホタル石構造或いはルチル構造をとるため、
水を吸収し難く、潮解性を示さないとともに、電子注入
層を構成した場合に、均一な膜を形成することができ
る。従って、有機EL素子の発光面上における発光ムラ
が小さくなり、素子の特性向上にも寄与する。
【0014】また、本発明において、電子注入層の材料
としては、アルカリ土類金属のフッ化物単独には限られ
ず、アルカリ土類金属のいずれかのフッ化物を含有して
いれば、他にアルカリ金属の化合物やアルカリ土類金属
の酸化物を含んでいても良い。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(以下
実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0016】図1は、本実施形態に係る有機EL素子の
構成を示す図である。ガラス基板10の上面には、透明
陽極電極12が形成されている。この透明陽極電極12
は、ITO(Indium Tin Oxid)、SnO2、ln23
どが利用される。透明陽極電極12の上には、有機材料
からなる正孔輸送層14及び発光層16が積層形成され
る。
【0017】正孔輸送層14には、主として芳香族アミ
ン系材料が用いられる。例えば下式(1)に表すような
TPTE(トリフェニルアミン4量体)や、下式(2)
に表すようなα−NPB(Bis [N-(1-naphthyl)-N-phen
yl] benzidine)が好適である。
【0018】
【化1】
【化2】 また、発光層16には、、これまでに報告されている既
知のどの材料を用いてもよい。例えば、化学式(3)〜
(20)に示すような青色から黄緑発光までの材料が利
用可能である。
【0019】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】 発光層16の上には、本実施形態の特徴であるアルカリ
土類金属のフッ化物(MgF2、CaF2、SrF2、B
aF2)を材料として含む電子注入層18が形成されて
いる。この電子注入層18は、概ね0.1nm〜20n
mの範囲内の厚さとする。電子注入層18の上には金属
陰極電極20が形成されている。この金属陰極電極20
の材料は、特に限定されず、例えば一般的なAlやAg
などが利用可能な他、Au、Cu、Crなどの金属材料
でも良く、さらにはITOやZnO等の透明導電性酸化
物を用いてもよい。
【0020】また、発光層16と電子注入層18との間
には、図示しない電子輸送層を設けても良い。この電子
輸送層の材料としては、例えば化学式(21)〜(2
4)に示すようなオキシジアゾール系の材料などが利用
可能である。
【0021】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【0022】
【実施例】[実施例1]次に、図1に示す本発明の有機
EL素子の実施例1について説明する。
【0023】基板としては、透明陽極電極12としてI
TOが予め形成されているガラス基板10を用い、この
基板に対し、有機アルカリ洗浄剤セミコクリーン56
(フルウチ化学)、純水、アセトン、エタノールの順で
超音波洗浄を施した。その後ITO表面の有機汚染物質
を除去するために、UVオゾン処理を行い、素早く基板
を真空蒸着装置にセットした。次に、真空中で装置内に
有機膜用のマスクを装着し、カーボンるつぼ加熱によ
り、有機膜として、トリフェニルアミン四量体層(正孔
輸送層14)、キノリノールアルミ錯体(発光層16)
の順に成膜した。
【0024】その後、真空中でマスクを陰極用のものに
変更し、真空蒸着法により、アルカリ土類金属のフッ化
物SrF2をクヌーセンセル加熱して0.5nmの厚さ
の電子注入層18を形成し、続いてAlをクヌーセンセ
ル加熱して150nmの厚さの金属陰極電極20を形成
した。なお、各膜の形成にあたり、真空蒸着装置内の真
空度は、例えば2×10-6Torr以下に設定し、更に成膜
レートは、例えば有機膜及びSrF2については約3n
m/min、Alについては50〜100nm/min
とした。また、この実施例において、有機EL素子の発
光面積は9mm2に設定している。
【0025】このような実施例1の方法によって作成し
た有機EL素子(金属陰極電極Al/電子注入層SrF
2)の発光輝度の寿命特性、印加電圧−発光輝度特性、
注入電流密度−発光輝度特性、注入電流密度−発光効率
特性の評価結果について、以下図3〜図6を参照して説
明する。なお、各図3〜図6では、比較例1として金属
陰極電極Alと発光層との間に電子注入層を設けない構
造の有機EL素子、比較例2として金属陰極電極Alと
アルカリ金属のフッ化物LiFからなる電子注入層を備
えた構造の有機EL素子を用い、これらの素子を上記実
施例1と同様の条件で形成し、それぞれの特性について
実施例1の有機EL素子と比較している。
【0026】図3は、発光輝度の寿命特性であり、縦軸
は相対輝度、横軸は対数軸による素子の駆動時間(経過
時間)を示している。また、図3は、上記実施例1、比
較例1及び2の有機EL素子に対し、十分に窒素置換し
たチャンバー内において、駆動電流として素子に直流1
mA(11mA/cm2)を流し、発光輝度が初期の半
分(相対輝度0.5)になるまでの素子寿命を示してい
る。図3に示されるように、電子注入層なしの比較例1
は、0.5時間程度で相対輝度が0.5以下に低下して
しまっておりその寿命は非常に短い。LiFの電子注入
層を備える比較例2では、60時間程度で相対輝度が
0.5以下となっている。これらに対し、実施例1の有
機EL素子は、駆動時間60時間付近でも相対輝度は
0.6程度にしか低下しておらず、電子注入層としてア
ルカリ土類金属のフッ化物SrF2を用いることで素子
の寿命が長くなっていることが分かる。
【0027】図4は、実施例1、比較例1及び比較例2
の各有機EL素子の印加電圧−発光輝度特性を示し、縦
軸は発光輝度(cd/m2)、横軸は陽極−陰極間への
印加電圧(V)である。図4に示されるように、実施例
1の素子は、比較例2の素子よりも多少劣るものの、電
子注入層なしの比較例1の素子と比較して十分な低電圧
駆動が可能となっている。
【0028】図5は、実施例1、比較例1及び2の有機
EL素子の注入電流密度−発光輝度特性を示している。
また図6は、注入電流密度−発光効率特性を示してい
る。なお、図5において、縦軸が発光輝度(cd/
2)、横軸が対数軸による注入電流密度(mA/c
2)、図6においては縦軸が発光効率(lm/W)、
横軸が対数軸による注入電流密度(mA/cm2)であ
る。図5に示されるように、実施例1の有機EL素子の
注入電流密度に対する発光輝度は、比較例2とほぼ同等
であり、また図6に示されるように発光効率についても
実施例1の有機EL素子は、比較例2と同程度の高い発
光効率特性が得られている。
【0029】以上まとめると、実施例1の有機EL素子
によれば、電子注入層としてアルカリ金属のフッ化物を
用いた素子(比較例2)に対し、これと同程度の高い発
光効率を実現しつつ、素子の寿命を5〜10程度長くす
ることを可能としている。
【0030】[実施例2]実施例2では、電子注入層の
材料として上記実施例1のSrF2(厚さ0.5nm)
の代わりに、同じくアルカリ土類金属のフッ化物である
CaF2(厚さ0.5nm)を用いた有機EL素子を作
製している。材料を変更する以外の他層の材料及び製造
条件は実施例1と同一である。
【0031】実施例2の有機EL素子(金属陰極電極A
l/電子注入層CaF2)と実施例1と同様の比較例1
及び2の有機EL素子における発光輝度の寿命特性、印
加電圧−発光輝度特性、注入電流密度−発光輝度特性、
注入電流密度−発光効率特性の評価結果については、図
7〜図10に示す。
【0032】図7は、実施例2と比較例1及び2の各有
機EL素子の発光輝度の寿命特性である。図7に示され
るように実施例2の有機EL素子は、駆動時間60時間
付近でも相対輝度は0.6程度にしか低下せず、電子注
入層としてアルカリ土類金属のフッ化物CaF2を用い
た場合にも、SrF2を用いた場合と同様に(実施例1
及び図3参照)、素子の寿命が長くなっていることが分
かる。
【0033】図8は、実施例2、比較例1及び比較例2
の各有機EL素子の印加電圧−発光輝度特性を示してい
る。図8に示されるように、実施例2の有機EL素子に
おいても、上記実施例1の素子と同様に(図4参照)、
比較例2の素子よりも多少劣るものの、電子注入層なし
の比較例1の素子と比較して十分な低電圧駆動が可能と
なっている。
【0034】図9は、実施例2、比較例1及び2の有機
EL素子の注入電流密度−発光輝度特性、図10は、各
素子の注入電流密度−発光効率特性を示している。図9
に示されるように、実施例2の有機EL素子の注入電流
密度に対する発光輝度は、比較例2とほぼ同等であり、
発光効率についても図10に示されているように実施例
2の有機EL素子は、比較例2と同程度の高い発光効率
特性が得られている。このように実施例2の有機EL素
子は、その注入電流密度に対する発光輝度特性、及び発
光効率について、実施例1と同様に高い特性が得られて
いる(図5、図6参照)。
【0035】[実施例3]実施例3では、電子注入層と
して、上記実施例1及び2のSrF2、CaF2(厚さ
0.5nm)の代わりに、同じくアルカリ土類金属のフ
ッ化物であるBaF2及びMgF2(厚さ0.5nm)を
用いた有機EL素子を作製した。電子注入層以外の材料
は、実施例1と同一である。但し、有機材料の正孔輸送
層及び発光層の膜厚をそれぞれ70nmと厚くしてい
る。また、この実施例3では、有機膜を作製した後、金
属電極用のマスクに変更するために、一度、大気中に試
料を取り出している。その他の製造条件は実施例1と同
じである。
【0036】実施例3の有機EL素子(金属陰極電極A
l/電子注入層BaF2、金属陰極電極Al/電子注入
層MgF2)と、同じ膜厚の有機膜を備えた比較例3
(金属陰極電極Al/電子注入層LiF)と、同様の有
機膜を備えた比較例4(金属陰極電極MgAg、電子注
入層なし)のそれぞれの発光輝度の寿命特性、印加電圧
−発光輝度特性、注入電流密度−発光輝度特性、注入電
流密度−発光効率特性の評価結果については、図11〜
図15に示す。なお、金属陰極電極としてのMgAg電
極は、Al電極などと並んで一般的に使用されている電
極である。
【0037】図11は、発光輝度の寿命特性である。実
施例3では、素子作製工程中でマスク交換のため一旦大
気に試料を曝している。このため、実施例1及び2の特
性に比べると、有機膜に水が吸着するため、輝度の半減
寿命が短くなっている。しかし、同じ条件で作製した比
較例3及び4と比べると、実施例3のBaF2及びMg
2を用いた有機EL素子は、その寿命が大幅に改善さ
れている。金属陰極電極成膜前に試料を大気中に取り出
し、有機膜の表面に水が吸着したような条件であって
も、アルカリ土類金属のフッ化物であるBaF2及びM
gF2を電子注入層として用いることにより素子特性が
安定となり、輝度の半減寿命も十分長くなることがわか
る。
【0038】図12は、実施例3、比較例3及び4の有
機EL素子の印加電圧−発光輝度特性を示している。実
施例3のBaF2及びMgF2を用いた素子は、比較例3
と比べると発光開始電圧がやや高いが、電子注入層を備
えない比較例4よりも発光開始電圧は低く、十分な低電
圧駆動が可能である。
【0039】図13は、実施例3、比較例3及び4の有
機EL素子の注入電流密度−発光輝度特性を示してい
る。なお、図13において、縦軸が対数軸による発光輝
度(cd/m2)、横軸が対数軸による注入電流密度
(mA/cm2)である。また、図14は、図13の特
性に関し、注入電流密度0〜200mA/cm2までの
間の発光輝度を表している。図13及び図14に示され
るように、実施例3の素子の注入電流密度に対する発光
輝度は、比較例3及び4とほぼ同一である。
【0040】また、図15は、注入電流密度−発光効率
を示している。図15に示されるように比較例3のAl
/LiFの素子よりもやや発光効率は低下しているもの
の、比較例4のMgAg電極の素子に比べると十分な発
光効率が得られていることがわかる。このように有機膜
の膜厚を実施例1及び2よりも厚くしたり、金属陰極電
極形成前に大気中での工程が付加されて有機膜表面に水
が吸着した状態になっていても、安定に素子を作製する
ことができる。そして、実施例1及び2と同様に、注入
電流密度−発光輝度特性、注入電流密度−発光効率特性
とともに高い特性が得られている。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、電子注
入層の材料としてアルカリ土類金属のフッ化物を用いる
ことで、アルカリ金属の化合物やアルカリ土類金属の酸
化物に比べ、水との反応性が小さく、吸水し難く、これ
により有機EL素子としての寿命を延ばすことを可能と
している。一方で、素子の発光効率は従来のアルカリ金
属の化合物やアルカリ土類金属の酸化物を用いた場合と
同程度とすることができる。従って、高い発光効率で、
寿命の長い有機EL素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る有機EL素子の構成
を示す図である。
【図2】 アルカリ土類金属のフッ化物とアルカリ金属
の化合物及びアルカリ土類金属の酸化物の結晶構造の相
違を示す図である。
【図3】 実施例1及び比較例の有機EL素子の発光輝
度の寿命を示す図である。
【図4】 実施例1及び比較例の有機EL素子の印加電
圧と発光輝度との関係を示す図である。
【図5】 実施例1及び比較例の有機EL素子の注入電
流密度と発光輝度との関係を示す図である。
【図6】 実施例1及び比較例の有機EL素子の注入電
流密度と発光効率との関係を示す図である。
【図7】 実施例2及び比較例の有機EL素子の発光輝
度の寿命を示す図である。
【図8】 実施例2及び比較例の有機EL素子の印加電
圧と発光輝度との関係を示す図である。
【図9】 実施例2及び比較例の有機EL素子の注入電
流密度と発光輝度との関係を示す図である。
【図10】 実施例2及び比較例の有機EL素子の注入
電流密度と発光効率との関係を示す図である。
【図11】 実施例3及び比較例の有機EL素子の発光
輝度の寿命を示す図である。
【図12】 実施例3及び比較例の有機EL素子の印加
電圧と発光輝度との関係を示す図である。
【図13】 実施例3及び比較例の有機EL素子の注入
電流密度と発光輝度との関係を示す図である。
【図14】 図3の一部を拡大して特性を示した図であ
る。
【図15】 実施例3及び比較例の有機EL素子の注入
電流密度と発光効率との関係を示す図である。
【符号の説明】
10 ガラス基板、12 透明陽極電極、14 正孔輸
送層、16 発光層、18 電子注入層(アルカリ土類
金属のフッ化物)、20 金属陰極電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 時任 静士 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 多賀 康訓 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成された透明陽極電極と、陰
    極電極との間に、正孔輸送層、有機材料からなる発光
    層、電子注入層をこの順で狭持し、 前記陽極電極から前記正孔輸送層を介して前記発光層に
    正孔を注入し、前記陰極電極から前記電子注入層を介し
    て前記発光層に電子を注入することで前記発光層を発光
    させる有機エレクトロルミネッセンス素子であり、 前記電子注入層として、アルカリ土類金属のフッ化物を
    含む材料を用いることを特徴とする有機エレクトロルミ
    ネッセンス素子。
JP9360274A 1997-12-26 1997-12-26 有機エレクトロルミネッセンス素子 Pending JPH11191490A (ja)

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