JP2007200662A - 有機led素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来より駆動電圧を減少させることのできる有機LED素子の製造方法を提供する。
【解決手段】陰極9は、第1の導電層9a、バッファ層9bおよび第2の導電層9cが順次積層されて形成される。バッファ層9bはLiF層であることが好ましく、第1の導電層9aおよび第2の導電層9cは、ともにAl層であることが好ましい。陰極9を形成した後にエージングを行うことによって、従来より駆動電圧の低い有機LED素子1を得ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機LED(Light−Emitting Diode)素子の製造方法に関する。
有機LED素子は、有機EL(Electro Luminescence)素子とも呼ばれ、有機物中に注入された電子と正孔が再結合して生じた励起子によって発光が起こる現象を利用した素子である。
近年では、この有機LED素子を用いたディスプレイの開発が盛んに行われている。これは、有機LEDディスプレイが、液晶ディスプレイに比較して、広い視野角、速い応答速度および高いコントラストなどを有することによるものである。
一般に、有機LED素子は、陰極と陽極の間に有機層が挟持された構造を有している。そして、電圧を印加すると、陰極からは電子が、陽極からは正孔がそれぞれキャリアとして注入される。これらのキャリアが有機層の内部で再結合すると、励起子が発生して発光が起こる。
こうした有機LED素子においては、陰極と有機層の界面に、LiFなどの仕事関数の小さいアルカリ金属化合物を設けることにより、これらの間のエネルギー障壁を低下させて駆動電圧の低減を図ることができるとされる(例えば、非特許文献1および非特許文献2参照)。
ティー・ワキモト(T.Wakimoto)ら、IEEE Trans.Electron Devices、1997年、第44巻、p.1,245 エル・エス・ハン(L.S.Hung)ら、Applied Physics Letter、1997年、第70巻、p.152
しかしながら、有機LED素子に対するさらなる低電圧化の要求は高い。そこで、本発明は、従来より駆動電圧を減少させることのできる有機LED素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
本発明は、基板の上に、陽極、発光層を含む有機層および陰極が順次積層されてなる積層体が形成された有機LED素子の製造方法において、
前記陰極は、第1の導電層、バッファ層および第2の導電層が順次配置されて形成され、
前記積層体を形成した後にエージングを行うことを特徴とする有機LED素子の製造方法に関する。
前記エージングは、前記陽極の電位が前記陰極の電位より高い条件で前記発光層に通電する順方向のエージングと、前記陰極の電位が前記陽極の電位より高い条件で前記発光層に通電する逆方向のエージングとを組み合わせて実施され、
前記逆方向のエージングにおける印加電圧の印加時間に関する積分値が、前記順方向のエージングにおける印加電圧の印加時間に関する積分値の2倍以上であるようにすることができる。
前記バッファ層はLiF層とすることが好ましい。
前記第1の導電層および前記第2の導電層は、ともにAl層とすることが好ましい。
前記有機層はAlq層を有し、前記第1の導電層は該Alq層に接するようにして形成されることが好ましい。
本発明によれば、第1の導電層、バッファ層および第2の導電層を順次積層して陰極を形成し、また、積層体を形成した後にエージングを行うことによって、従来より駆動電圧の低い有機LED素子を製造することができる。
本発明の有機LED素子は、基板の上に、陽極、発光層を含む有機層および陰極が順次積層されてなる積層体が形成された構造を有する。そして、本発明では、陰極が、第1の導電層、バッファ層および第2の導電層が順次積層されて形成されることを第1の特徴とする。ここで、バッファ層は、LiF(フッ化リチウム)層とすることが好ましい。尚、有機層は、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層を有するものとすることができる。この場合、正孔ブロッキング層はなくてもよい。また、正孔注入層および正孔輸送層の双方がなくてもよいし、正孔注入層のみがなくてもよい。さらに、正孔輸送層および電子輸送層は複数の層からなっていてもよい。
また、本発明は、上記の積層体を形成した後にエージングを行うことを第2の特徴とする。エージングは、通電しない状態で行ってもよいし、通電した状態で行ってもよい。例えば、陽極の電位が陰極の電位より高い条件で発光層に通電する順方向のエージングと、陰極の電位が陽極の電位より高い条件で発光層に通電する逆方向のエージングとを組み合わせて実施することができる。この場合、逆方向のエージングにおける印加電圧の印加時間に関する積分値が、順方向のエージングにおける印加電圧の印加時間に関する積分値の2倍以上であるようにする。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。尚、本明細書において、正孔注入性とは陽極から正孔を注入され得る能力を称し、正孔輸送性とは注入された正孔を発光層へ輸送する能力を称する。また、電子注入性とは陰極から電子を注入され得る能力を称し、電子輸送性とは注入された電子を発光層へ輸送する能力を称する。
図1は、本実施の形態における有機LED素子1の模式的断面図である。図において、基板2の上には、陽極3、正孔注入層4、正孔輸送層5、発光層6、正孔ブロッキング層7、電子輸送層8および陰極9が形成されている。そして、本発明の有機LED素子の製造方法では、第1の導電層9aと第2の導電層9cの間にバッファ層9bが挟持されて陰極9が構成されることを第1の特徴としている。
基板2には、可視光に対して透過率の高い材料が用いられる。具体的には、アルカリガラス、無アルカリガラスおよび石英ガラスなどの無機ガラスの他に、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコール並びにポリフッ化ビニリデンおよびポリフッ化ビニルなどのフッ素含有ポリマーなどの透明材料が挙げられる。
陽極3には、透明であって仕事関数の大きな金属若しくはその合金または他の導電性化合物が用いられる。例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、SnOまたはZnOなどを陽極材料として用いることができる。例えば、基板2の上に、これらの膜を蒸着法またはスパッタ法などによって成膜した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることにより、陽極3を形成することができる。
正孔注入層4と正孔輸送層5は、ともに正孔輸送性の有機材料によって構成される。すなわち、陽極3とのイオン化ポテンシャルの差が小さいことによって、陽極3からの正孔注入障壁が低く、また、正孔移動度の高い材料が用いられる。
本実施の形態においては、例えば、陽極3の上に銅フタロシアニンを蒸着することによって、正孔注入層4を形成することができる。また、銅フタロシアニンに代えて、4,4′,4″−トリス{N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ}トリフェニルアミンおよび4,4′,4″−トリス{N,N−ジフェニルアミノ}トリフェニルアミンなどのトリフェニルアミン誘導体などを用いることもできる。
正孔輸送層5としては、例えば、N,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[N−フェニル−N−(2−ナフチル)−4’−アミノビフェニル−4−イル]−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(NPTE)、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(HTM2)およびN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)などを用いることができる。本実施の形態においては、例えば、正孔注入層4の上にα−NPDを蒸着することによって、正孔輸送層5を形成することができる。
発光層6には、注入された電子と正孔が再結合できる場を提供し、且つ、発光効率の高い材料を用いる。具体的には、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム錯体(Alq)、ビス(8−ヒドロキシ)キナルジンアルミニウムフェノキサイド(Alq′OPh)、ビス(8−ヒドロキシ)キナルジンアルミニウム−2,5−ジメチルフェノキサイド(BAlq)、モノ(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)リチウム錯体(Liq)、モノ(8−キノリノラート)ナトリウム錯体(Naq)、モノ(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)リチウム錯体、モノ(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)ナトリウム錯体およびビス(8−キノリノラート)カルシウム錯体(Caq)などのキノリン誘導体の金属錯体、テトラフェニルブタジエン、フェニルキナクドリン(QD)、アントラセン、ペリレン並びにコロネンなどの蛍光性物質が挙げられる。
上記の蛍光性物質は、それ自体で発光が可能なホスト物質と組み合わせて、ドーパントとして使用することが好ましい。これにより、ホスト物質の発光波長特性を変化させることができ、長波長に移行した発光が可能になるとともに、素子の発光効率および安定性を向上させることが可能となる。
ホスト物質としては、キノリノラト錯体が好ましく、特に、8−キノリノールおよびその誘導体を配位子としたアルミニウム錯体が好ましい。
本実施の形態においては、例えば、正孔輸送層5の上に、ホスト物質およびドーパントを同時に蒸着することによって、発光層6を形成することができる。
尚、発光層6は、発光材料の他に、陽極から注入された正孔または陰極から注入された電子を発光材料まで輸送させる正孔注入材料または電子注入材料を含有していてもよい。
例えば、発光層6は、正孔輸送層5の上に形成された正孔輸送性発光層(図示せず)と、正孔輸送性発光層の上に形成された電子輸送性発光層(図示せず)とから構成されるものとすることができる。正孔輸送性発光層は、例えば、赤色発光層として機能する有機材料からなるものとすることができる。一方、電子輸送性発光層は、例えば、青色発光層として機能する有機材料からなるものとすることができる。これらは、具体的には、正孔輸送性または電子輸送性の有機材料を母材とし、これに蛍光性物質が添加されてなるものとすることができる。
陽極3と陰極9の間に直流電流が印加されると、陽極3からは、正孔注入層4と正孔輸送層5を介して、正孔輸送性発光層へ正孔が注入される。また、陰極9からは、電子輸送層8および正孔ブロッキング層7を介して、電子輸送性発光層へ電子が注入される。さらに、これらの発光層の界面で正孔と電子の移動が起こると、各発光層の内部にて正孔と電子が再結合して励起子が生成される。そして、発光層内の蛍光性物質に励起子の励起エネルギーが移動することにより、蛍光性物質の発光ピーク波長に応じた固有の色の発光が起こる。この場合、視認者には、各発光層の発光色の混色が有機LED素子1の発光色として認識される。
このように、正孔輸送性発光層には、電子輸送性発光層から電子が注入される。一方、電子輸送性発光層には、正孔輸送性発光層から正孔が注入される。そして、これらの発光層の界面から所定の厚さの領域を発光帯域として、正孔輸送性発光層で赤色の光が発光し、同時に、電子輸送性発光層で青色の光が発光すると、人間の目には白色の光が発光したものとして映る。
正孔ブロッキング層7は、発光層6から電子輸送層8への正孔の移動をブロックする層である。このため、正孔ブロッキング層7には、発光層6よりイオン化ポテンシャルの大きな電子輸送性の有機材料を用いる。本実施の形態においては、例えば、発光層6の上にオキサジアゾールを蒸着することによって、正孔ブロッキング層7を形成することができる。但し、本実施の形態においては、正孔ブロッキング層7を設けなくてもよい。
例えば、発光層にカルバゾール骨格を有する化合物を用いた場合、この化合物は正孔輸送性を有しているものの、イオン化ポテンシャルが大きいために、注入された正孔が陰極側に抜けやすいという問題がある。そこで、本実施の形態のように、陰極側に正孔ブロッキング層を設けることにより、正孔が陰極側に移動するのを抑制して、発光層内で電子と効率よく再結合できるようにすることが可能となる。
電子輸送層8は、電子輸送性の有機材料から構成される。本実施の形態においては、電子輸送層8としてAlq層を用いることが好ましい。
前述の非特許文献1には、有機層を構成するAlq層と、陰極であるAl(アルミニウム)層との間に、アルカリ金属化合物を設けた有機LED素子が開示されている。
これに対して、本発明者は、Alq層の上に陰極を設け、この陰極をLiF層が2つのAl層で挟持された構造とし、さらに後述するエージングを行うことによって、従来より駆動電圧の低い有機LED素子が得られることを見出した。この理由については、必ずしも明白ではないが、Alq層と陰極の界面にLiF層が何らかの影響を及ぼしていると予想される。したがって、Alq層に接するAl層の膜厚は、あまり厚くない方が好ましいと考えられる。また、LiFは絶縁体であるので、LiF層9の膜厚は10nm以下とすることが好ましく、5nm以下とすることがより好ましい。例えば、第1の導電層9aとしてのAl層の膜厚を2nm程度とし、バッファ層9bとしてのLiF層の膜厚を0.5nm程度とし、第2の導電層9cとしてのAl層の膜厚を100nm程度とすることができる。
尚、バッファ層9bは、LiF層以外の絶縁層であってもよい。例えば、MgF(フッ化マグネシウム)、NaCl(塩化ナトリウム)、KI(ヨウ化カリウム)、CsF(フッ化セシウム)およびCsI(ヨウ化セシウム)などの他のアルカリハロゲン化物、Al(アルミナ)またはPMMA(ポリメチルメタクリレート)などを用いることもできる。これらは、昇華性の絶縁材料であるので、LiFと同様に、蒸着法を用いて薄膜状に形成することが可能である。
また、第1の導電層9aおよび第2の導電層9cは、Al層以外のものであってもよい。また、第1の導電層9aと第2の導電層9cとは、異なる導電材料から形成されていてもよい。第1の導電層9aおよび第2の導電層9cに適用可能な材料としては、仕事関数の小さな金属またはその合金、具体的には、アルカリ金属、アルカリ土類金属および周期表第3族の金属などが挙げられる。例えば、Alの他に、Mg(マグネシウム)、または、MgとAl、MgとAg(銀)、MgとIn(インジウム)若しくはAlとLi(リチウム)などの合金を用いることができる。これらの膜は、蒸着法などによって成膜した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることにより、陰極9とすることができる。
ところで、一般に、有機LED素子では、発光時間の経過とともに電流密度あたりの輝度が変化することが起こる。これに対しては、有機LED素子の製造工程において、所定の条件にしたがったエージングを行うことが効果的である。特に、Liは、仕事関数が小さいために、酸素や水に対する反応性が高く化学的に不安定な材料である。このため、本発明の有機LED素子の製造方法では、エージングを行うことによって輝度の変化を抑制することを第2の特徴としている。
本実施の形態におけるエージングは、通電しない状態で行ってもよいし、通電した状態で行ってもよい。
エージングを行う温度は、高い方が好ましい。但し、高すぎると有機LED素子を構成ずる各部品、特に有機材料へのダメージが大きくなることから、使用する材料に応じて適当な温度を設定することが好ましい。具体的には、使用する有機材料のガラス転移点より低い温度とすることが好ましい。特に、発光層6に用いるホスト物質のガラス転移点より低い温度とすることが好ましい。
通電した状態でエージングを行う場合には、陽極の電位が陰極の電位より高い条件で発光層に通電する順方向のエージングと、陰極の電位が陽極の電位より高い条件で発光層に通電する逆方向のエージングとを組み合わせて実施する。このとき、逆方向のエージングにおける印加電圧の印加時間に関する積分値が、順方向のエージングにおける印加電圧の印加時間に関する積分値の2倍以上であるようにする。尚、「印加電圧の印加時間に関する積分値」とは、横軸に印加時間を、縦軸に印加電圧をそれぞれとり、印加電圧の時間的変化を描いた場合の印加時間に関する印加電圧の積分値を言う。
順方向のエージングは、有機LED素子を発光させて素子の初期劣化を促す効果を有する。一方、逆方向のエージングは、素子が発光しない状態で素子に微小の電流を流すことによって、劣化に大きく寄与する部位を低減させる効果や、発光層内の分子を再配列させて輝度を安定化させる効果を有する。また、順方向のエージングおよび逆方向のエージングは、いずれも有機LED素子のリーク部位の修復を図る効果を併せ持っている。
順方向のエージングと逆方向のエージングは、任意の組み合わせによって実施することができる。例えば、いずれかの方向のエージングを所定時間実施した後に、これと反対方向のエージングを所定時間実施することができる。また、順方向のエージングと逆方向のエージングとを、複数回切り替えて実施することもできる。この場合、切り替えの回数に特に制限はない。また、印加する電流は、直流および交流のいずれであってもよい。さらに、直流と交流を組み合わせてもよく、矩形波であってもよい。
順方向のエージングの際には、通常、有機LED素子の動作時よりも大きい電流が流れる。これに対して、逆方向のエージングの際には、電流はほとんど流れない。本実施の形態においては、順方向のエージングの際の電圧は5V〜40Vであることが好ましく、電流は5mA/cm〜1,000mA/cmであることが好ましい。一方、逆方向のエージングの際の電圧は、10V〜50Vであることが好ましい。
エージングは、陽極、発光層を含む有機層および陰極が順次積層されてなる積層体を形成した後、すなわち、本実施の形態においては、陰極9を形成した後に行う。例えば、有機LED素子の製造工程の最終段階でエージングを行うことができる。また、積層体を形成し、発光層に通電する条件が整った段階で行うこともできる。尚、エージングを行う雰囲気は、窒素雰囲気中および空気中のいずれであってもよい。
エージングは、有機LED素子の電流密度あたりの輝度が、予め定められた所定の範囲に入るまで行うことが好ましい。例えば、輝度の時間的変化が単調減少である場合には、輝度が初期値の90%になるまでエージングを行うことができる。尚、輝度変化が単調でない場合には、単調変化となるまでエージングを行うとしてもよい。
以上述べたように、第1の導電層9a、バッファ層9bおよび第2の導電層9cを順次積層して陰極9を形成し、エージングを行うことによって、従来より駆動電圧の低い有機LED素子を得ることができる。
以下に、本発明の実施例とこの比較例について述べる。
実施例1.
ガラス基板の上にITOを成膜して、陽極を形成した。次に、これを真空蒸着機の中に入れ、真空蒸着機の内部を1×10−6Torrまで減圧した。次いで、式(1)に示す物質を2Å/秒の速度で40nmの厚さに蒸着して、陽極の上に正孔注入層を形成した。さらに、式(2)に示す物質を2Å/秒の速度で20nmの厚さに蒸着して、正孔注入層の上に正孔輸送層を形成した。
式(1)
CuPc

Figure 2007200662
式(2)
α−NPD
Figure 2007200662
式(3)に示す物質および式(4)に示す物質をホスト物質とし、式(5)に示す物質をドーパントとして、正孔輸送層の上にこれらを同時に蒸着することによって、厚さ20nmの正孔輸送性発光層を形成した。ホスト物質の蒸着速度は、2Å/秒とした。また、ドーパントの蒸着速度は、0.02Å/秒とした。
式(3)

Figure 2007200662

式(4)
Figure 2007200662
式(5)

Figure 2007200662
続いて、式(4)に示す物質および式(3)に示す物質をホスト物質とし、式(6)に示す物質をドーパントとして、正孔輸送性発光層の上にこれらを同時に蒸着することによって、厚さ40nmの電子輸送性発光層を形成した。ホスト物質の蒸着速度は、2Å/秒とした。また、ドーパントの蒸着速度は、0.02Å/秒とした。
式(6)
ペリレン

Figure 2007200662
続いて、式(4)に示す物質を2Å/秒の速度で電子輸送性発光層の上に蒸着し、正孔ブロッキング層を形成した。
次いで、式(7)に示す物質を2Å/秒の速度で10nmの厚さに蒸着して、正孔ブロッキング層の上に電子輸送層を形成した。
式(7)
Alq
Figure 2007200662
次に、Alを5Å/秒の速度で2nmの厚さに蒸着し、続いて、LiFを0.5Å/秒の速度で0.5nmの厚さに蒸着した後、再びAlを5Å/秒の速度で100nmの厚さに蒸着して、電子注入層の上に陰極を形成した。
得られた有機LED素子に対して、125℃の温度で2時間のエージングを行った。
エージング後の有機LED素子の発光特性を評価したところ、500cd/mの輝度を得るときの電流効率は10.2cd/Aであり、駆動電圧は9.4Vであった。
実施例2.
実施例1と同様にして有機LED素子を形成した後、温度125℃の下で、順方向のバイアス電圧7Vを10ミリ秒印加するエージングと、逆方向のバイアス電圧35Vを90ミリ秒印加するエージングとを交互に繰り返す駆動(周波数20Hz)を2時間行った。
エージング後の有機LED素子の発光特性を評価したところ、500cd/mの輝度を得るときの電流効率は10.4cd/Aであり、駆動電圧は8.0Vであった。
比較例.
ガラス基板の上にITOを成膜して、陽極を形成した。次に、これを真空蒸着機の中に入れ、真空蒸着機の内部を1×10−6Torrまで減圧した。次いで、式(1)に示す物質を2Å/秒の速度で40nmの厚さに蒸着して、陽極の上に正孔注入層を形成した。さらに、式(2)に示す物質を2Å/秒の速度で20nmの厚さに蒸着して、正孔注入層の上に正孔輸送層を形成した。
次に、式(3)に示す物質および式(4)に示す物質をホスト物質とし、式(5)に示す物質をドーパントとして、正孔輸送層の上にこれらを同時に蒸着することによって、厚さ20nmの正孔輸送性発光層を形成した。ホスト物質の蒸着速度は、2Å/秒とした。また、ドーパントの蒸着速度は、0.02Å/秒とした。
続いて、式(4)に示す物質および式(3)に示す物質をホスト物質とし、式(6)に示す物質をドーパントとして、正孔輸送性発光層の上にこれらを同時に蒸着することによって、厚さ40nmの電子輸送性発光層を形成した。ホスト物質の蒸着速度は、2Å/秒とした。また、ドーパントの蒸着速度は、0.02Å/秒とした。
続いて、式(4)に示す物質を2Å/秒の速度で電子輸送性発光層の上に蒸着し、正孔ブロッキング層を形成した。
次いで、式(7)に示す物質を2Å/秒の速度で20nmの厚さに蒸着して、正孔ブロッキング層の上に電子輸送層を形成した。続いて、LiFを0.5Å/秒の速度で5nmの厚さに蒸着して、電子注入層としてのLiF層を形成した。
最後に、Alを5Å/秒の速度で100nmの厚さに蒸着して、電子注入層の上に陰極を形成した。
得られた有機LED素子に対して、エージングを行った。具体的には、温度125℃の下で、順方向のバイアス電圧7Vを10ミリ秒印加するエージングと、逆方向のバイアス電圧35Vを90ミリ秒印加するエージングとを交互に繰り返す駆動(周波数20Hz)を2時間行った。
エージング後の有機LED素子の発光特性を評価したところ、500cd/mの輝度を得るときの電流効率は10.2cd/Aであり、駆動電圧は8.8Vであった。
図2に、実施例1と比較例について、電圧に対する輝度変化を評価した結果を示す。また、図3に、実施例2と比較例について、電圧に対する輝度変化を評価した結果を示す。これらの図から明らかであるように、同じ値の輝度を得るのに、実施例1および実施例2の電圧は比較例より低くなっている。したがって、本発明によれば、従来例より駆動電圧を低くできることが分かった。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。
本実施の形態における有機LED素子の模式的断面図である。 実施例1および比較例について、電圧に対する輝度変化を評価した結果である。 実施例2および比較例について、電圧に対する輝度変化を評価した結果である。
符号の説明
1 有機LED素子
2 基板
3 陽極
4 正孔注入層
5 正孔輸送層
6 発光層
7 正孔ブロッキング層
8 電子輸送層
9 陰極

Claims (5)

  1. 基板の上に、陽極、発光層を含む有機層および陰極が順次積層されてなる積層体が形成された有機LED素子の製造方法において、
    前記陰極は、第1の導電層、バッファ層および第2の導電層が順次配置されて形成され、
    前記積層体を形成した後にエージングを行うことを特徴とする有機LED素子の製造方法。
  2. 前記エージングは、前記陽極の電位が前記陰極の電位より高い条件で前記発光層に通電する順方向のエージングと、前記陰極の電位が前記陽極の電位より高い条件で前記発光層に通電する逆方向のエージングとを組み合わせて実施され、
    前記逆方向のエージングにおける印加電圧の印加時間に関する積分値が、前記順方向のエージングにおける印加電圧の印加時間に関する積分値の2倍以上であるようにする請求項1に記載の有機LED素子の製造方法。
  3. 前記バッファ層はLiF層である請求項1または2に記載の有機LED素子の製造方法。
  4. 前記第1の導電層および前記第2の導電層は、ともにAl層である請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機LED素子の製造方法。
  5. 前記有機層はAlq層を有し、前記第1の導電層は該Alq層に接するようにして形成される請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機LED素子の製造方法。
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