JP2002198171A - 有機電界発光素子の製造方法 - Google Patents

有機電界発光素子の製造方法

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JP2002198171A
JP2002198171A JP2000395479A JP2000395479A JP2002198171A JP 2002198171 A JP2002198171 A JP 2002198171A JP 2000395479 A JP2000395479 A JP 2000395479A JP 2000395479 A JP2000395479 A JP 2000395479A JP 2002198171 A JP2002198171 A JP 2002198171A
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organic layer
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JP2000395479A
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Kunio Aketo
邦夫 明渡
Noritake Isomura
典武 磯村
Motofumi Suzuki
基史 鈴木
Kazue Kojima
和重 小島
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Denso Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機EL素子の長寿命化を達成する。 【解決手段】 基板10上に第1電極12、有機層2
0、第2電極18が順に積層される有機EL素子であ
り、有機層20は、例えば3級アミンであるトリフェニ
ルアミン多量体を主成分とする第1有機層(正孔輸送
層)と、キノリノールアルミ錯体を主成分とする第2有
機層(発光層)とを有する。有機層20は常温以上、有
機層のガラス転移温度以下(60℃以上80℃以下)の
温度範囲で形成し、基板温度を上記ガラス転移温度以下
の例えば50℃以下に保持して第2電極18(電子注入
層14含む)を有機層20の上に形成する。これによ
り、有機層を平坦かつ不純物濃度低く形成し、かつ有機
層と第2電極との間の化学反応が抑制され素子長寿命化
が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、有機電界発光素
子(以下有機EL素子)の製造方法、特に、耐久性向上
を実現するための製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機EL素子は、陽極と陰極との間に少
なくとも有機発光層を備えた構造を有し、陽極から正孔
を、陰極から電子を注入すると、注入された正孔と電子
が有機層中を移動し、衝突、再結合を起こして消滅す
る。再結合により発生したエネルギーは発光分子の励起
状態の生成に使われ、これにより素子は蛍光を発する。
【0003】このような自発光素子は、視野角の制限が
なく、また低消費電力であって、高速応答が可能である
等の優れた特性を有しており、次世代の発光素子として
着目されている。
【0004】しかし、発光部が有機層で形成されたこの
ような有機EL素子はその寿命が短いという点が問題点
として指摘されている。寿命が短い原因の一つとして、
有機物化合物の結晶化による膜の変質、劣化など安定性
の面で問題が指摘されている。例えば、素子駆動時にお
いて発生するジュール熱により素子の接合界面に剥離が
起こったり、有機層が変形することや、有機物自身の変
質が起こり、有機層が熱的に劣化したりするためである
と現在のところ考えられている。
【0005】そして、長寿命化のために、膜安定性の高
い材料開発だけでなく、製造における条件についても最
適化の試みが必要となってきている。特開平10−25
473号公報には、第1電極形成後、有機層及び第2電
極の成膜時に形成温度を80℃以上で、蒸着する有機材
料のガラス転移温度(Tg)以下の温度に設定すること
が開示されている。さらに、このような条件とすること
で、初期特性、耐熱性、耐久性を向上可能であることが
開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平10−25
473号公報に開示されたような条件を採用することで
特性の向上は図られるが、その効果は十分ではなく、例
えば、車載用ディスプレイの用途など、かなりの高温下
におかれる状況では、十分な耐久性を示すことができな
い。
【0007】上記課題を解決するために、この発明は、
有機EL素子の耐久性を高め、車載用などへの用途おい
ても長い寿命の素子を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
にこの発明は、以下のような特徴を有する。
【0009】まず、基板上に第1電極と、発光層を含む
少なくとも1層の有機層と、第2電極とが順に積層され
て構成される有機電界発光素子の製造方法において、該
素子は、常温以上ガラス転移温度以下の基板温度で形成
した場合に、輝度半減寿命が極大となる素子であり、前
記素子を常温で形成した場合より長い輝度半減寿命を示
す基板温度条件で該素子を製造することを特徴とする。
【0010】また、本発明の他の特徴は、上記製造方法
において、前記第2電極は、基板温度を輝度半減寿命の
極大を与える温度より低い温度に設定して形成すること
である。
【0011】さらに本発明の特徴は、基板上に第1電極
と、発光層を含む少なくとも1層の有機層と、第2電極
とが順に積層されて構成される有機電界発光素子の製造
方法において、前記有機層は、常温以上で該有機層のガ
ラス転移温度以下の温度範囲で形成し、前記第2電極
は、基板温度を前記有機層形成温度より低く設定して形
成することである。
【0012】また、本発明において、前記有機層は、形
成温度が常温以上ガラス転移温度以下の温度範囲におい
てその温度が高くなるにつれてその表面荒さが減少する
第1有機層と、形成温度が前記常温以上ガラス転移温度
以下の温度範囲の所定温度以上でその表面荒さが増大す
る第2有機層と、を有することを特徴とする。
【0013】さらに、本発明において、前記常温以上ガ
ラス転移温度以下の温度範囲において形成された前記第
1及び第2有機層の表面荒さの積は、前記常温において
前記第1及び第2有機層を形成したときの積より小さい
ことを特徴とする。
【0014】本発明のさらに別の特徴は、前記有機層
は、正孔注入層及び正孔輸送層、又は正孔輸送層から構
成される第1有機層と、キノリノールアルミ錯体を主成
分とする第2有機層とが順に積層されて構成され、前記
第1及び第2有機層を60℃以上80℃以下の温度で形
成することである。
【0015】また、本発明において、前記第1有機層
は、例えば、3級アミン、例えば、トリフェニルアミン
多量体であることを特徴とする。
【0016】さらに本発明の他の特徴は、前記第2電極
が基板温度を50℃以下に保持して前記有機層上に形成
することである。
【0017】本発明において、例えば、前記60℃以上
80℃以下の温度範囲で形成した前記第1有機層の表面
荒さは、常温で形成した場合の90%以下であり、キノ
リノールアルミ錯体を主成分とする前記第2有機層の表
面荒さは、常温で形成した場合の120%以下である。
【0018】上述の公報に示されたように有機層及び第
2電極の成膜時に基板温度を80℃以上でガラス転移温
度以下の範囲とする方法について、本願の発明者の研究
により以下のような事実が判明した。(i)耐久性(寿
命)は成膜温度が高くなるとその分向上するが、特定温
度で極大値を示し、その温度以上では低下する。(ii)
有機層形成後に形成される第2電極を高温で成膜する
と、素子の耐久性には逆効果となる。上記温度で有機膜
を形成すると、例えば、キノリノールアルミ錯体を主成
分とする有機層ではハイドロカーボン系不純物が低減
し、またトリフェニルアミン多量体を主成分とする有機
層は平坦化する。しかし、キノリノールアルミ錯体を主
成分とする有機層は、逆に表面荒さが急激に増加するこ
とが判明した。さらに、この表面荒さの急増により、上
記ハイドロカーボン系不純物の減少、トリフェニルアミ
ン多量体を主成分とする有機層の平坦化による素子の長
寿命化効果は大きく打ち消されてしまい、結果として高
い長寿命化効果が得られないことについても判明した。
【0019】一方、本発明は、上述のような条件で有機
層を形成することにより、有機層を表面を平滑に保つこ
とができ、かつハイドロカーボンなどの不純物濃度を低
く抑えることができるので、有機層の寿命を延ばすこと
ができる。
【0020】次に、有機層の上に形成される第2電極に
ついては上記特開平10−25473号公報の開示のよ
うに80℃以上、ガラス転移温度以下の温度で形成する
と、第2電極とその下層の有機層との間で反応生成物の
形成が促進され、逆に寿命を縮めてしまう。従って、有
機層自体について上記80℃以上、ガラス転移温度以下
という条件で形成することで長寿命化効果を得ても、全
体としてその効果を打ち消してしまい、あまり長い寿命
を実現することができない。
【0021】これに対し、本発明のように、第2電極に
ついてもその形成温度を最適化することにより、第2電
極と有機層との間に反応性生成物が形成されることを抑
制する。従って、本発明によれば、有機層の形成温度を
最適化することにより得られた長寿命化効果を損なうこ
となくさらに第2電極を形成でき、有機EL素子として
の寿命を延ばすことを可能とする。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いてこの発明の好
適な実施の形態(以下実施形態という)について説明す
る。
【0023】この発明の実施形態に係る有機EL素子
は、基板上に、第1電極(陽極)、有機化合物を主成分
とする少なくとも1層からなる有機層、第2電極(陰
極)がこの順に積層されて構成されている。有機層は、
発光層の単層構造のほか、正孔輸送層と発光層や、発光
層と電子輸送層の2層構造、正孔輸送層と発光層及び電
子輸送層や、正孔注入層と正孔輸送層及び発光層の3層
構造など様々な構成が採用可能である。
【0024】有機EL素子のより具体的な構成例として
は、例えば、ガラス基板上に、透明導電膜であるITO
を用いた第1電極、正孔注入層と正孔輸送層及び発光層
の積層構造からなる有機層、電子注入層、及びAl、M
g、Ag或いはCuなど金属材料からなる第2電極をこ
の順に積層した構造が挙げられる。有機層の材料として
は、例えば正孔注入層としては銅フタロシアニン(Cu
Pc)を用いることができる。正孔輸送層としては、例
えばトリフェニルアミン多量体(2量体:TPD、3量
体:TPT、4量体:TPTEなど)が採用可能であ
り、この多量体の中では、例えばガラス転移温度が高い
等の理由から4量体が好適である。発光層としては、例
えば電子輸送性も備えた発光性有機材料であるキノリノ
ールアルミ錯体(Alq3)等を用いることができる。
また、電子注入層としては、フッ化リチウムなどを使用
することができる。もちろん、本発明において、有機E
L素子の構成、材料は上記例には限られない。
【0025】本実施形態では、このような有機EL素子
の製造にあたり、有機層の形成温度を常温以上で有機層
のガラス転移温度以下に設定する。常温以上とは、室温
以上、つまり、例えば25℃程度より高い温度を意味す
る。また有機層のガラス転移温度以下とは、複数の有機
層が存在する場合において、そのうち最も低いガラス転
移温度以下を意味する。正孔輸送層としてトリフェニル
アミン4量体、発光層としてキノリノールアルミ錯体を
主成分とする場合には、上記温度範囲は、例えば60℃
以上80℃以下である。
【0026】また、本実施形態において、この有機層上
に形成される第2電極の形成温度については、該第2電
極と有機層との間に反応生成物が形成されない低い温度
(例えば50℃以下)で形成する。
【0027】有機EL素子の寿命に影響を与える要因と
しては様々なものが挙げられるが、素子の形成温度は素
子特性に大きな影響を及ぼすことが本出願人の研究によ
り明らかとなった。この形成温度に依存する特性として
は、有機層の平坦性が挙げられ、有機層内の不純物濃度
もまた依存性を有することが判明した。さらに、第2電
極と有機層との間の反応生成物量も形成温度依存性を有
することが判明した。そこで、本実施形態では、有機層
の形成温度、第2電極の形成温度を上記のように設定す
ることで、これらの特性を改善し、素子の輝度半減寿命
を延ばしている。
【0028】<有機層の平坦性>まず有機層の平坦性に
ついて説明する。トリフェニルアミン多量体を主成分と
する有機層は、上述のように正孔輸送層として用いるこ
とができるが、これを主成分とする有機層は、形成温度
が高くなると表面荒さRaが減少する。一方、発光層や
電子輸送層には、キノリノールアルミ錯体を主成分とし
た有機層を用いることができるが、この有機層は形成温
度が高くなると表面荒さRaが増加し、特に、70℃以
上の条件で急激に増加する傾向を示すことがわかった。
【0029】従って、このような傾向を示す両有機層の
積層構造を平坦に保つためには、トリフェニルアミン多
量体を主成分とする有機層を平坦化するためにある程度
形成温度を高くし、かつキノリノールアルミ錯体を主成
分とする有機層の表面荒さがあまり増加しないような形
成温度に抑えておく必要がある。
【0030】そこで、本実施形態では、有機層の形成温
度を60℃以上で80℃以下に設定する。このような温
度設定で有機層を蒸着形成すれば、トリフェニルアミン
多量体を主成分とする有機層の表面荒さRaを常温で形
成した場合の90%以下にまで平坦化しつつ、キノリノ
ールアルミ錯体を主成分とした有機層の表面荒さRaを
常温で形成した場合の120%以下に抑えることが可能
となる。これにより有機層の総合的な平坦性の指針とし
てトリフェニルアミン多量体を主成分とする有機層の表
面荒さRaと、キノリノールアルミ錯体を主成分とする
有機層の表面荒さRaとの積を、常温で形成した場合の
95%以下に抑えることができる。この結果、界面荒さ
が原因となる素子駆動にともなる輝度低下を抑えること
ができ、有機電界発光素子の長寿命化が可能となる。
【0031】<有機層中の不純物>蒸着によって成膜さ
れるキノリノールアルミ錯体を主成分とする有機層中に
はCxy(ハイドロカーボン系不純物)が存在する。と
ころが、このハイドロカーボン系不純物は、キノリノー
ルアルミ錯体に比べて揮発性が高く、形成温度を高くす
れば容易に再蒸発させることが可能である。一方、キノ
リノールアルミ錯体自体は100℃以下の形成温度では
揮発性が低く、このような形成温度領域での再蒸発量は
ハイドロカーボン系不純物と比べて余り変化しない。よ
って、形成温度を高くすることにより、キノリノールア
ルミ錯体に対するハイドロカーボン系不純物の割合を減
少させることができ、キノリノールアルミ錯体を主成分
とする有機層の純度を高めることが可能となる。キノリ
ノールアルミ錯体を主成分とする有機層は、多くの場合
発光層であり、この部分を高純度化することにより、ハ
イドロカーボン系不純物による素子駆動に伴う輝度低下
を抑制できる。従って、有機EL素子の長寿命化が可能
となる。
【0032】<第2電極>上述のように、有機EL素子
の有機層形成時の温度をある程度高くすることにより、
有機界面の平坦化効果や、ハイドロカーボン系不純物低
減効果を得ることができ、これにより素子の長寿命化が
可能となる。しかし、上述の有機層上に形成される第2
電極までも有機層と同じ高温で形成すると問題が発生す
る。第2電極材料は、蒸着によって形成するため、蒸着
時の飛来粒子のエネルギーが元々高い。従って、上述の
ような有機層形成温度下で第2電極の蒸着を行うと、有
機層側の温度が高いので、第2電極材料である飛来粒子
と有機層との反応が促進され、有機層と第2電極との間
で反応生成物が形成されてしまう。そして、このような
反応生成物の存在は、かえって素子を短命化させてしま
う。従って、本実施形態では、第2電極の形成温度につ
いて、これを下げ、反応生成物の形成を抑制し、有機層
の形成温度を高くすることで得られる長寿命化効果を失
わないようにする。従って、有機EL素子の寿命を延ば
すことができる。
【0033】本実施形態において、以上説明したような
方法により形成された有機EL素子は、高温で成膜する
のでキノリノールアルミ錯体を主成分とする有機層の配
向性が増大するので、発光効率が多少低下するが、寿命
は延びる。このような特性を有する有機EL素子は、発
光効率が低いことから低消費電力であることが重要視さ
れる家庭用民生品への用途には好適でない。しかし、耐
久性が最重要視される車載用モニターなどの用途におい
て好適である。
【0034】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。図
1は、実施例1として作製した有機EL素子の構造を示
している。この素子は、ガラス基板10の上に、第1電
極(ホール注入電極:陽極)12、有機層20、第2電
極(電子注入電極:陰極)18が積層された構造であ
る。有機層20は、正孔注入層22として銅フタロシア
ニン(CuPc)、正孔輸送層24としてトリフェニル
アミン4量体(TPTE)、発光層26としてキノリノ
ールアルミ錯体(Alq3)の積層構造とした。第1電
極12として透明導電膜であるITOを用い、第2電極
18には、Alを用いた。また第2電極18と有機層
(発光層26)との層間には電子注入層14としてフッ
化リチウム(LiF)を用いた。各層の厚さは、IT
O:150nm、銅フタロシアニン:10nm、トリフ
ェニルアミン4量体:50nm、キノリノールアルミ錯
体:60nm、フッ化リチウム:0.5nm、アルミ:
100nmとした。
【0035】各層のうち、第1電極12となるITO以
外は、全て真空蒸着法によりその位置に(in-situ)形
成した。なお、ITOは、基板上に既に形成された状態
で市販されているものをそのまま用いた。
【0036】このITOの上に、有機層20と、電子注
入層14としてのLiFを70℃の基板温度で成膜し、
第2電極18としてAlを常温にて成膜し、実施例1に
係る有機EL素子を作製した。
【0037】また、比較例1として、有機層20及び電
子注入層14を常温、50℃、90℃、105℃の基板
温度条件で成膜し、第2電極18を常温にて成膜した有
機EL素子を作製した。
【0038】<寿命>図2は、このようにして作製した
実施例1の素子と比較例1の素子の輝度半減寿命(左縦
軸)と、発光効率(右縦軸)の形成温度依存性を示して
いる。発光効率は、形成温度が高くなるに従い有機層の
配向性(結晶性)が上昇して低下しているが、寿命につ
いては、60℃以上、80℃以下に相当する実施例1の
70℃の条件にて、300時間以上と、最高値が得られ
ており、比較例のうち、常温で形成した素子の2〜3倍
の寿命が得られている。
【0039】さらに、実施例2として、実施例1におい
て、発光層26に、Alq3に対して1%の量のメチル
化キナクリドンをドーピングした有機EL素子を作製し
た。
【0040】また、比較例2として、実施例2と同様の
構造の素子で、有機層20及び電子注入層14を常温
(比較例2-1)および105℃(比較例2-2)の基板温度
条件で成膜し、第2電極18を常温で成膜した有機EL
素子を作製した。図3は実施例2の素子と比較例2の素
子について、高温環境(85℃)の下で輝度30%減寿
命の形成温度依存性を示している。図3に示されるよう
に、85℃という高温環境下における寿命についても、
60℃以上、80℃以下の範囲に相当する実施例1と同
じ70℃成膜条件において作成した実施例2の素子は、
1000時間以上が達成されている。そして、この数値
は最高値であり、比較例2のうち、常温で形成した素子
(比較例2-1)の3倍以上の寿命が得られている。
【0041】<平坦性>次に、TPTEを主成分とする
正孔輸送層24と、Alq3を主成分とする発光層26
の各表面荒さRaを評価するために、ガラス基板上にI
TO、CuPc、TPTEを順に積層させた構造と、ガ
ラス基板上にITO、CuPcとTPTE、Alq3
順に積層した構造をそれぞれ常温、70℃(実施例
3)、90℃、105℃の基板温度にて形成した。なお
形成した各層の厚さは、上記実施例1と同じとした。こ
れらの試料についてTPTE及びAlq3表面をAFM
によって評価し、表面荒さRaを求めた。
【0042】図4は、TPTE及びAlq3の表面荒さ
Raの形成温度依存性を示している。図中「TEL」で
表したTPTEは、形成温度が高くなるほどその表面荒
さRaが低下していくが、Alq3は、形成温度が高く
なるほど表面荒さRaは増大し、特に70℃を超えると
急激に増大していることがわかる。そして、実施例2で
ある70℃の条件で形成したTPTE層の表面荒さRa
は、常温で形成した場合の84%にまで平坦化してお
り、Alq3層の表面荒さRaは、常温で形成した場合
の100.5%に抑えられている。
【0043】図5は、図4の結果から求めたTPTE
(図中TEL)及びAlq3の表面荒さRaの積の形成
温度依存性を示す。図5から、TPTE及びAlq3
表面荒さRaの積は70℃で最小となり、常温で形成し
た場合の84.4%まで低減していることがわかる。以
上のことから実施例2のように有機層を構成するTPT
EとAlq3とは、70℃で成膜したときに有機層20
として最も高い平坦性が実現されることがわかる。
【0044】<不純物濃度>次にAlq3層中のハイド
ロカーボン系不純物量の評価結果を示す。ガラス基板上
にITO、CuPc、TPTE、Alq3を順に積層し
た構造を形成し、その成膜温度条件として常温と70℃
(実施例4)を採用した。各試料についてTOF−SI
MSを用いて評価を行い、ハイドロカーボン系不純物量
を求めた。図6は、その結果得られたハイドロカーボン
系不純物量とAlq3の形成温度依存性を示している。
いずれのハイドロカーボン系不純物も形成温度が高いほ
ど存在量(図では強度)が減少している。そして、Cx
y(:x≦5、y≦12)で表される不純物は、70
℃の形成温度条件では、常温で形成されたAlq3と比
較して各不純物の存在量は90%以下になった。
【0045】<第2電極形成温度>次に、有機層を70
℃で形成し、Al電極18についても(電子注入層も含
む)これを70℃で形成した有機EL素子を比較例とし
て作製した。この有機EL素子の輝度半減寿命を調べた
ところ、上記実施例1で得られた寿命の1/3程度に過
ぎなかった。以上のことから、Al電極については(電
子注入層も含む)、50℃以上の成膜温度条件とするこ
とにより、有機EL素子を短寿命化させてしまうことが
確認された。
【0046】以上の結果より、本発明の製造方法にした
がって有機EL素子の有機層と第2電極層とを形成する
ことにより、有機EL素子の輝度半減寿命を格段に延ば
すことが可能であることが確認された。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、この発明において
は、温度特性の異なる複数種類の有機化合物をそれぞれ
主成分とする有機層を全体として表面が滑らかで平坦で
あり、不純物量を少なく抑えることができ、また有機層
とその上層の第2電極との間に両者の反応化合物が形成
されてしまうことを防止でき、車載用などの用途におい
て必須の耐久性に優れた有機EL素子を製造することが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係る有機EL素子の概略断
面構成を示す図である。
【図2】 本発明の実施例1と比較例1の有機EL素子
の輝度半減寿命と発光効率の形成温度依存性を示す図で
ある。
【図3】 本発明の実施例2と比較例2の有機EL素子
の輝度30%減寿命と発光効率の形成温度依存性を示す
図である。
【図4】 本発明の実施例3及び比較例3の有機層に用
いられるTPTEとAlq3の表面荒さの形成温度依存
性を示す図である。
【図5】 本発明の実施例3及び比較例3の有機層に用
いられるTPTEとAlq3の表面荒さRaの積の形成
温度依存性を示す図である。
【図6】 本発明の実施例4及び比較例のAlq3に含
まれるハイドロカーボン系不純物の形成温度依存性を示
す図である。
【符号の説明】
10 基板(ガラス基板)、12 第1電極(陽極、ホ
ール注入電極、ITO)、14 電子注入層(Li
F)、18 第2電極(陰極、電子注入電極、Al)、
20 有機層、22 正孔注入層(銅フタロシアニ
ン)、24 正孔輸送層(トリフェニルアミン4量
体)、26 発光層(キノリノールアルミ錯体)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 磯村 典武 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 鈴木 基史 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 小島 和重 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 Fターム(参考) 3K007 AB00 AB02 CA01 CB01 DA00 DB03 EB00 FA01

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に第1電極と、発光層を含む少な
    くとも1層の有機層と、第2電極とが順に積層されて構
    成される有機電界発光素子の製造方法において、 該素子は、常温以上ガラス転移温度以下の基板温度で形
    成した場合に、輝度半減寿命が極大となる素子であり、 前記素子を常温で形成した場合より長い輝度半減寿命を
    示す基板温度条件で該素子を製造することを特徴とする
    有機電界発光素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の有機電界発光素子の製
    造方法において、 前記第2電極は、基板温度を輝度半減寿命の極大を与え
    る温度より低い温度に設定して形成することを特徴とす
    る有機電界発光素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 基板上に第1電極と、発光層を含む少な
    くとも1層の有機層と、第2電極とが順に積層されて構
    成される有機電界発光素子の製造方法において、 前記有機層は、常温以上で該有機層のガラス転移温度以
    下の温度範囲で形成し、 前記第2電極は、基板温度を前記有機層形成温度より低
    く設定して形成することを特徴とする有機電界発光素子
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の
    有機電界発光素子の製造方法において、 前記有機層は、形成温度が前記常温以上ガラス転移温度
    以下の温度範囲で高くなるにつれてその表面荒さが減少
    する第1有機層と、形成温度が前記常温以上ガラス転移
    温度以下の温度範囲の所定温度以上でその表面荒さが増
    大する第2有機層と、を有することを特徴とする有機電
    界発光素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の有機電界発光素子の製
    造方法において、 前記常温以上ガラス転移温度以下の温度範囲において形
    成された前記第1及び第2有機層の表面荒さの積は、前
    記常温において前記第1及び第2有機層を形成したとき
    の積より小さいことを特徴とする有機電界発光素子の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 基板上に第1電極と、有機層と、第2電
    極とが順に積層されて構成される有機電界発光素子の製
    造方法において、 前記有機層は、正孔注入層及び正孔輸送層、又は正孔輸
    送層から構成される第1有機層と、キノリノールアルミ
    錯体を主成分とする第2有機層とが順に積層されて構成
    され、 前記第1及び第2有機層を60℃以上80℃以下の温度
    で形成することを特徴とする有機電界発光素子の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項4又は請求項6に記載の有機電界
    発光素子の製造方法において、 前記第1有機層は、3級アミンを主成分とすることを特
    徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の有機電界発光素子の製
    造方法において、 前記3級アミンは、トリフェニルアミン多量体であるこ
    とを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項6〜請求項8のいずれかに記載の
    有機電界発光素子の製造方法において、 前記第2電極は、基板温度を50℃以下に保持して前記
    有機層上に形成することを特徴とする有機電界発光素子
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項6〜請求項9のいずれかに記載
    の有機電界発光素子の製造方法において、 前記60℃以上80℃以下の温度範囲で形成した前記第
    1有機層の表面荒さは、常温で形成した場合の90%以
    下であり、前記第2有機層の表面荒さは、常温で形成し
    た場合の120%以下であることを特徴とする有機電界
    発光素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項6〜請求項10のいずれかに記
    載の有機電界発光素子の製造方法において、 前記第1及び第2有機層の表面荒さの積は、前記常温に
    おいて前記第1及び第2有機層を形成したときの積より
    小さいことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項6〜請求項11のいずれかに記
    載の有機電界発光素子において、 前記第2有機層中におけるCxy(但しx≦5、y≦1
    2)不純物の存在量は、前記有機層を常温で形成したと
    きの90%以下であることを特徴とする有機電界発光素
    子の製造方法。
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