JPH0762526A - 有機電界発光素子の製造方法 - Google Patents

有機電界発光素子の製造方法

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JPH0762526A
JPH0762526A JP5205375A JP20537593A JPH0762526A JP H0762526 A JPH0762526 A JP H0762526A JP 5205375 A JP5205375 A JP 5205375A JP 20537593 A JP20537593 A JP 20537593A JP H0762526 A JPH0762526 A JP H0762526A
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JP
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layer
light emitting
organic
substrate
emitting layer
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JP5205375A
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English (en)
Inventor
Yoshiharu Sato
佳晴 佐藤
Hiroyuki Kanai
浩之 金井
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 基板1上に、少なくとも陽極及び陰極により
挟持された有機発光層4を有する有機電界発光素子の製
造方法において、有機発光層4を基板温度60℃から1
50℃で製膜することを特徴とする有機電界発光素子の
製造方法。 【効果】 耐熱性が良好で、長期に渡り安定した発光特
性を示す有機電界発光素子を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機電界発光素子の製
造方法に関するものであり、詳しくは、有機化合物から
成る発光層に電界をかけて光を放出する薄膜型デバイス
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、薄膜型の電界発光(EL)素子と
しては、無機材料のII−VI族化合物半導体であるZn
S、CaS、SrS等に、発光中心であるMnや希土類
元素(Eu、Ce、Tb、Sm等)をドープしたものが
一般的であるが、上記の無機材料から作製したEL素子
は、 1)交流駆動が必要(50〜1000Hz)、 2)駆動電圧が高い(〜200V)、 3)フルカラー化が困難(特に青色が問題)、 4)周辺駆動回路のコストが高い、 という問題点を有している。
【0003】しかし、近年、上記問題点の改良のため、
有機薄膜を用いたEL素子の開発が行われるようになっ
た。特に、発光効率を高めるために電極からのキャリア
ー注入の効率向上を目的とした電極種類の最適化を行
い、芳香族ジアミンから成る有機正孔輸送層と8−ヒド
ロキシキノリンのアルミニウム錯体から成る有機発光層
を設けた有機電界発光素子の開発(Appl.Phy
s.Lett.,51巻,913頁,1987年)によ
り、従来のアントラセン等の単結晶を用いた電界発光素
子と比較して発光効率の大幅な改善がなされ、実用特性
に近づいている。
【0004】上記の材料の他にも、有機発光層の材料と
して、ポリ(p−フェニレンビニレン)(Natur
e,347巻,539頁,1990年;Appl.Ph
ys.Lett.,61巻,2793頁,1992
年)、ポリ[2−メトキシ,5−(2’−エチルヘキソ
キシ)−1,4−フェニレンビニレン](Appl.P
hys.Lett.,58巻,1982頁,1991
年;Thin Solid Films,216巻,9
6頁,1992年;Nature,357巻,477
頁,1992年)、ポリ(3−アルキルチオフェン)
(Jpn.J.Appl.Phys,30巻,L193
8頁,1991年;J.Appl.Phys.,72
巻,564頁,1992年)等の高分子材料の開発や、
ポリビニルカルバゾール等の高分子に発光材料と電子移
動材料を混合した素子(応用物理,61巻,1044
頁,1992年)の開発も行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】有機電界発光素子の最
大の問題点は、駆動時の寿命である。素子の寿命を短く
している要因はいくつか存在するが、支配的なのは有機
発光層の薄膜形状の劣化である。この薄膜形状の劣化
は、素子駆動時の発熱による有機非晶質膜の結晶化(又
は凝集)等によると考えられている。低分子量(分子量
が400から600程度)の分子から形成される有機薄
膜は、薄膜形成時又は形成後にファン・デア・ワールス
力を介して結晶化を起こし、結果として島状の凝集構造
を示すものが多い。
【0006】この結晶化を防ぐためにいくつかの試みが
行われている。通常、有機電界発光素子の作製は真空蒸
着法により行われるが、真空蒸着時に安定な結晶性薄膜
を得ること(特開平3−173095号公報)、基板を
冷却して一様な薄膜を得ること(Jpn.J.App
l.Phys.,30巻,L864頁,1991年)、
正孔輸送層としてフタロシアニンを蒸着する時に基板を
加熱すること(85℃、100℃)(特開平2−127
95号公報)が行われているが、有機発光層の薄膜状態
の改善は不十分であった。
【0007】また、低分子材料の代わりに高分子材料を
有機電界発光素子の発光層として用いる試みも前述の様
に行われているが、塗布という湿式法で薄膜形成がなさ
れるために、不純物の制御が困難で、現状では発光効率
が不十分である。上記の理由から、有機電界発光素子の
実用化においては、素子の駆動寿命に大きな問題を抱え
ているのが実状である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記実状に
鑑み、長期間に渡って安定な発光特性を示す有機電界発
光素子を提供することを目的として鋭意検討した結果、
有機発光層を製膜するときの基板温度を60℃から15
0℃の範囲とすることが好適であることを見い出し、本
発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明の要旨は、基板上に、少なく
とも陽極及び陰極により挟持された有機発光層を有する
有機電界発光素子の製造方法において、有機機発光層を
基板温度60℃から150℃で製膜することを特徴とす
る有機電界発光素子の製造方法に存する。以下、本発明
の有機電界発光素子の製造方法について添付図面に従い
説明する。
【0010】図1は、本発明における有機電界発光素子
の構造例を模式的に示す断面図であり、1は基板、2
a、2bは導電層、3は正孔輸送層、4は有機発光層を
各々表わす。基板1は、本発明の有機電界発光素子の支
持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金
属箔、プラスチックフィルムやシートなどが用いられる
が、ガラス板や、ポリエステル、ポリメタアクリレー
ト、ポリカーボネート、ポリサルホンなどの透明な合成
樹脂基板が好ましい。
【0011】基板1上には導電層2aが設けられるが、
この導電層2aとしては、通常、アルミニウム、金、
銀、ニッケル、パラジウム、テルル等の金属、インジウ
ム及び/又はスズの酸化物などの金属酸化物やヨウ化
銅、カーボンブラック、あるいは、ポリ(3−メチルチ
オフェン)等の導電性高分子などにより構成される。導
電層の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法など
により行われることが多いが、銀などの金属微粒子ある
いはヨウ化銅、カーボンブラック、導電性の金属酸化物
微粒子、導電性高分子微粉末などの場合には、適当なバ
インダー樹脂溶液に分散し、基板上に塗布することによ
り形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合
は電解重合により直接基板上に薄膜を形成したり、基板
上に塗布して形成することもできる(Appl.Phy
s.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
上記の導電層は異なる物質を積層することも可能であ
る。導電層2aの厚みは、必要とする透明性により異な
るが、透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率が
60%以上、好ましくは80%以上透過することが望ま
しく、この場合、厚みは、通常、5〜1000nm、好
ましくは10〜500nm程度である。
【0012】不透明でよい場合は導電層2aは基板1と
同一でもよい。また、さらには上記の導電層を異なる物
質で積層することも可能である。図1の例では、導電層
2aは陽極(アノード)として正孔注入の役割を果たす
ものである。一方、導電層2bは、陰極(カソード)と
して、有機発光層4に電子を注入する役割を果たす。導
電層2bとして用いられる材料は、前記導電層2a用の
材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を
行なうには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マ
グネシウム、インジウム、アルミニウム、銀等の適当な
金属又はそれらの合金が用いられる。導電層2bの膜厚
は通常、導電層2aと同様である。また、図1には示し
てはいないが、導電層2bの上にさらに基板1と同様の
基板を設けることもできる。但し、導電層2aと2bの
少なくとも一方は透明性の良いことがEL素子としては
必要である。このことから、導電層2aと2bの一方
は、10〜500nmの膜厚であることが好ましく、透
明性の良いことが望まれる。
【0013】導電層2aの上には正孔輸送層3が設けら
れるが、、正孔輸送材料としては、導電層2aからの正
孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸
送することができる材料であることが必要である。その
ためには、イオン化ポテンシャルが小さく、しかも正孔
移動度が大きく、さらに安定性にすぐれ、トラップとな
る不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが要求さ
れる。
【0014】このような正孔輸送化合物としては、例え
ば、特開昭59−194393号公報、米国特許第4,
175,960号、米国特許第4,923,774号及
び米国特許第5,047,687号に解説される、N,
N’−ジフェニル−N,N’−(3−メチルフェニル)
−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン:1,
1’−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シク
ロヘキサン:4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)クワ
ドロフェニルなどの芳香族アミン系化合物、特開平2−
311591号公報に示されるヒドラゾン化合物、米国
特許第4,950,950号公報に示されるシラザン化
合物、キナクリドン化合物等が挙げられる。これらの化
合物は、単独で用いるか、必要に応じて、各々、混合し
て用いてもよい。上記の化合物以外に、ポリビニルカル
バゾールやポリシラン(Appl.Phys.Let
t.,59巻,2760頁,1991年)等の高分子材
料が挙げられる。
【0015】上記の有機正孔輸送材料を塗布法あるいは
真空蒸着法により前記導電層2a上に積層することによ
り正孔輸送層3を形成する。塗布の場合は、有機正孔輸
送化合物を1種又は2種以上と必要により正孔のトラッ
プにならないバインダー樹脂や、レベリング剤等の塗布
性改良剤などの添加剤を添加し溶解した塗布溶液を調整
し、スピンコート法などの方法により導電層2a上に塗
布し、乾燥して有機正孔輸送層3を形成する。バインダ
ー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、
ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は添加量
が多いと正孔移動度を低下させるので、少ない方が望ま
しく、50重量%以下が好ましい。
【0016】真空蒸着法の場合には、有機正孔輸送材料
を真空容器内に設置されたルツボに入れ、真空容器内を
適当な真空ポンプで10-6Torrにまで排気した後、
ルツボを加熱して、正孔輸送材料を蒸発させ、ルツボと
向き合って置かれた基板上に層を形成する。正孔輸送層
3の膜厚は、通常、10〜300nm、好ましくは30
〜100nmである。この様に薄い膜を一様に形成する
ためには、真空蒸着法がよく用いられる。
【0017】正孔輸送層3の材料としては有機化合物の
代わりに無機材料を使用することも可能である。無機材
料に要求される条件は、有機正孔輸送化合物と同じであ
る。正孔輸送層3に用いられる無機材料としては、p型
水素化非晶質シリコン、p型水素化非晶質炭化シリコ
ン、p型水素化微結晶性炭化シリコン、あるいは、p型
硫化亜鉛、p型セレン化亜鉛等が挙げられる。これらの
無機正孔輸送層はCVD法、プラズマCVD法、真空蒸
着法、スパッタ法等により形成される。
【0018】無機正孔輸送層の膜厚も有機正孔輸送層と
同様に、通常、10〜300nm、好ましくは30〜1
00nmである。正孔輸送層3の上には有機発光層4が
設けられるが、有機発光層4は、電界を与えられた電極
間において陰極からの電子を効率よく正孔輸送層の方向
に輸送することができる化合物より形成される。
【0019】有機発光層4に用いられる化合物として
は、導電層2bからの電子注入効率が高く、かつ、注入
された電子を効率よく輸送することができる化合物であ
ることが必要である。そのためには、電子親和力が大き
く、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性にすぐれ
トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくい
化合物であることが要求される。また、正孔と電子の再
結合の際に発光をもたらす役割も求られる。さらに、均
一な薄膜形状を与えることも素子の安定性の点で重要で
ある。
【0020】有機発光層も有機正孔輸送層と同様の方法
で形成することができるが、真空蒸着法を用いることが
望ましい。前述した様に素子駆動時には発熱が起き、実
用輝度の200[cd/m2] の発光でも、50℃程度
に素子の温度が上昇することが報告されている(第52
回応用物理学会、10p−S−8)。また、素子を作製
するプロセスにおいても、配線工程や封止工程で素子の
温度が上昇することが考えられる。この様な発熱や温度
上昇に対して安定な薄膜を形成するためには、真空蒸着
時の基板温度を発熱温度以上にして、有機薄膜の耐熱性
を向上させることが有効であることを本発明者は見い出
した。さらに、この場合有機発光層を形成する時の基板
温度が特に重要であることを本発明者は見い出した。特
に、蒸着時の基板温度を60℃から150℃の範囲にす
ることで、気相から基板上に到達した有機分子の基板上
でのマイグレーションが起きやすくなり、その結果、よ
り緻密で欠陥の少ない非晶質性の薄膜が形成できると考
えられる。有機発光層を形成する時の基板温度は、60
℃から150℃の範囲が好ましく、60℃以下では有機
発光層の耐熱性向上の効果は十分ではなく、150℃を
越えると基板上での有機分子の再蒸発が起きる可能性が
ある。
【0021】有機発光層の材料としては、150℃以上
の融点を有する有機化合物であればよく、テトラフェニ
ルブタジエンなどの芳香族化合物(特開昭57−517
81号公報)、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム
錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公
報、米国特許第5,151,629号、米国特許第5,
141,671号)、シクロペンタジエン誘導体(特開
平2−289675号公報)、ペリノン誘導体(特開平
2−289676号公報)、オキサジアゾール誘導体
(特開平2−216791号公報)、ビススチリルベン
ゼン誘導体(特開平1−245087号公報、同2−2
22484号公報)、ペリレン誘導体(特開平2−18
9890号公報、同3−791号公報)、クマリン化合
物(特開平2−191694号公報、同3−792号公
報)、希土類錯体(特開平1−256584)、ジスチ
リルピラジン誘導体(特開平2−252793号公
報)、p−フェニレン化合物(特開平3−33183号
公報)、チアジアゾロピリジン誘導体(特開平3−37
292号公報)、ピロロピリジン誘導体(特開平3−3
7293号公報)、ナフチリジン誘導体(特開平3−2
03982号公報)などが挙げられるが、特に、8−ヒ
ドロキシキノリン及びその誘導体から形成される金属錯
体が好ましい。前記金属錯体の中心金属としては、A
l、Ga、In、Sc、Y、Zn、Be、Mg、Caが
好ましい。これらの金属錯体は、単独で用いるか、必要
に応じて、各々、混合して使用してもよい。
【0022】本発明においては、有機電界発光素子の有
機発光層を形成する温度を60℃から150℃の範囲と
することにより、耐熱性のある、長期の駆動に対しても
安定した発光特性を示す素子が製造できる。有機発光層
4の膜厚は、通常、10〜200nm、好ましくは30
〜100nmである。
【0023】素子の発光効率を向上させるとともに発光
色を変える目的で、例えば、8−ヒドロキシキノリンの
アルミニウム錯体をホスト材料として、クマリン等のレ
ーザ用蛍光色素をドープすること(J.Appl.Ph
ys.,65巻,3610頁,1989年)も行われて
いる。本発明においても、上記の有機発光層にレーザ色
素等の有機蛍光体を10-3〜10モル%ドープすること
により、素子の発光特性をさらに向上させることができ
る。蛍光色素を有機発光層にドーピングする場合も、基
板温度を60℃から150℃の範囲にすることで、素子
の安定性はさらに向上する。
【0024】本発明における有機電界発光素子の構造と
しては、以下に示すような層構成のものが挙げられる。
【0025】
【表1】陽極/有機正孔輸送層/有機発光層/陰極 陽極/高分子正孔輸送層/有機発光層/陰極 陽極/無機正孔輸送層/有機発光層/陰極 陽極/有機発光層/電子輸送層/陰極 陽極/有機正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極 陽極/有機正孔輸送層/有機発光層/界面層/陰極 陽極/有機正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/界面
層/陰極 上記の層構成において、電子輸送層は素子の効率をさら
に向上するためのものであり、有機発光層の上に積層さ
れる。この電子輸送層に用いられる化合物には、陰極か
らの電子注入が容易で、電子の輸送能力がさらに大きい
ことが要求される。この様な電子輸送材料としては、
【0026】
【化1】
【0027】
【化2】
【0028】などのオキサジアゾール誘導体(App
l.Phys.Lett.,55巻,1489頁,19
89年;Jpn.J.Appl.Phys.,31巻,
1812頁,1992年)やそれらをポリメチルチタク
リレート等の樹脂に分散した系(Appl.Phys.
Lett.,61巻,2793頁,1992年)、又
は、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n
型セレン化亜鉛等が挙げられる。電子輸送層の膜厚は、
通常、5〜200nm、好ましくは10〜100nmで
ある。
【0029】また、上記の層構成において、界面層は陰
極と有機層とのコンタクトを向上させるためのもので、
芳香族ジアミン化合物(特願平5−48075号)、キ
ナクリドン化合物(特願平5−116204号)、ナフ
タセン誘導体(特願平5−116205号)、有機シリ
コン化合物(特願平5−116206号)、有機リン化
合物(特願平5−116207号)等が挙げられる。前
記界面層の膜厚は、通常、2〜100nm、好ましくは
5〜30nmである。界面層を設ける代わりに、有機発
光層及び電子輸送層の陰極界面近傍に上記界面層材料を
50モル%以上含む領域を設けてもよい。
【0030】上記の層構成において、真空蒸着により連
続して形成される層については、有機発光層以外の層に
対しても有機発光層と同じ基板温度を採用することが、
プロセス上は好ましい。例えば、陽極/有機正孔輸送層
/有機発光層/陰極、という層構成においては、有機正
孔輸送層と有機発光層は連続して同一基板温度で形成す
る。陽極/高分子正孔輸送/有機発光層/陰極や陽極/
無機正孔輸送層/有機発光層/陰極といった層構成で
は、有機発光層のみ基板を加熱して真空蒸着で形成す
る。
【0031】尚、図1とは逆の構造、即ち、基板上に導
電層2b、有機発光層4、正孔輸送層3、導電層2aの
順に積層することも可能であり、前述した様に少なくと
も一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明の有機電
界発光素子を設けることも可能である。同様に、前記各
層構成とは逆の構造に積層することも可能である。
【0032】
【実施例】次に、本発明を実施例によって更に具体的に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の
実施例の記載に限定されるものではない。 実施例1 図2に示す構造を有する真空蒸着装置を用いて、有機薄
膜を以下の方法で作製した。
【0033】ガラス基板上にインジウム・スズ酸化物
(ITO)透明導電膜を120nm堆積したものをアセ
トンで超音波洗浄、純水で水洗、イソプロピルアルコー
ルで超音波洗浄、乾燥窒素で乾燥、UV/オゾン洗浄を
行った後、前記真空蒸着装置内10に設置して、装置内
の真空度が2×10-6Torr以下になるまで液体窒素
トラップ21を備えた油拡散ポンプ22を用いて排気し
た。その後、基板ホルダ15に内蔵されたヒータ16に
より加熱を行い、上記ITOガラス基板の温度を73℃
に制御した。以下の、蒸着工程では、すべてこの基板温
度で行われた。
【0034】有機正孔輸送層材料として、下記構造式
(H1)で示されるN,N’−ジフェニル−N,N’−
(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,
4’−ジアミン
【0035】
【化3】
【0036】をセラミックるつぼに入れ、るつぼの周囲
のタンタル線ヒーターで加熱して蒸着を行った。この時
のるつぼの温度は、160〜170℃の範囲で制御し
た。蒸着時の真空度は2×10-6Torrで、蒸着時間
3分10秒で膜厚60nmの有機正孔輸送層3を得た。
次に、有機発光層の材料として、下記構造式(E1)で
示されるアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体A
l(C96NO)3
【0037】
【化4】
【0038】を上記有機正孔輸送層の上に同様にして蒸
着を行なった。この時のるつぼの温度は230〜270
℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度は2×10-6To
rr、蒸着時間は3分30秒、膜厚は75nmであっ
た。この様にして、(H1)と(E1)の積層膜から成
る試料Aを得た。試料Aを蒸着後、真空蒸着装置から取
り出して、SEM観察(2万倍)を行ったところ、一様
な欠陥のない膜であった。薄膜X線回折の測定では、こ
の積層膜はブロードな回折ピークしか示さない非晶質膜
であった。上記積層膜を真空電気炉内に入れて、10-4
Torrの真空度で、83℃で1時間加熱後、再びSE
M観察を行ったが、一様で欠陥のない膜構造に変化はな
かった。
【0039】次に、有機発光層として、下記構造式(E
2)で示される亜鉛の8−ヒドロキシキノリン錯体、Z
n(C96NO)2
【0040】
【化5】
【0041】を用いたこと以外は試料Aの作製方法と同
様にしてガラスITO基板上に積層膜試料Bを形成し
て、同様に、真空電気炉加熱試験を行ったところ、試料
Bの一様な薄膜形状には変化はみられなかった。さら
に、有機正孔輸送層を室温(20℃)で蒸着、有機発光
層は73℃で蒸着したこと以外は試料Aの作製方法と同
様にして、ITOガラス基板上に積層膜試料Cを形成
し、同様に、真空電気炉を用いた加熱試験(83℃−1
時間)を行ったところ、一様で欠陥のない膜構造に変化
はみられなかった。
【0042】前述の試料Aと同じ条件で作製した積層膜
上に、以下に示す方法で陰極をさらに形成して、図1に
示す構造を有する有機電界発光素子を作製した。陰極と
しては、マグネシウムと銀の合金電極を2元同時蒸着法
によって膜厚150nmで蒸着した。蒸着はモリブデン
ボートを用いて、真空度は4×10-6Torr、蒸着時
間は4分20秒で光沢のある膜が得られた。マグネシウ
ムと銀の原子比は10:1.5であった。
【0043】この様にして作製した有機電界発光素子の
ITO電極(陽極)にプラス、マグネシウム・銀合金電
極(陰極)にマイナスの直流電圧を印加してすると、こ
の素子は一様な緑色の発光を示し、発光のピーク波長は
530nmであった。上記の素子を窒素雰囲気中で15
mA/cm2 の電流密度で24時間エージングした後、
定電流連続駆動した時の発光輝度と駆動電圧の変化を表
−1に示す。輝度が初期輝度の50%に低下する時間は
700時間であり、1000時間駆動後の電圧上昇は3
V程度であった。
【0044】
【表2】
【0045】比較例1 真空蒸着時の基板温度を室温(20℃)としたこと以外
は、実施例1と同様にしてITOガラス基板上に積層膜
を形成した。この積層膜のSEM観察(2万倍)を行っ
たところ、100nm程度の大きさを有するボイド状の
欠陥が84μm 2 当りに15個の数密度で観測された。
この積層膜も薄膜X線回折では非晶質膜であった。上記
積層膜を実施例1と同様にして真空電気炉内で加熱試験
(83℃−1時間)を行ったところ、目視でもはっきり
と判明する程度にまで膜が白濁して凝集が激しく起きて
いた。
【0046】比較例2 有機正孔輸送層は73℃で蒸着、有機発光層を室温(2
0℃)で蒸着した他は実施例1と同様にして、ITOガ
ラス基板上に積層膜を形成した。実施例1と同様にして
真空電気炉内で加熱試験(83℃−1時間)を行ったと
ころ、目視でもはっきりと判明する程度にまで膜が白濁
して凝集が激しく起きていた。
【0047】比較例3 比較例1で作製した積層膜に、実施例1と同様の方法で
陰極を形成して、図1に示す構造を有する有機電界発光
素子を作製した。上記の素子を窒素雰囲気中で15mA
/cm2 の電流密度で24時間エージングした後、定電
流連続駆動した時の発光輝度と駆動電圧の変化を表−2
に示す。輝度が初期輝度の50%に低下する時間は40
0時間であり、1000時間駆動後の電圧上昇は12V
を越えた。
【0048】
【表3】
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、耐熱性が良好で、長期
に渡り安定した発光特性を示す有機電界発光素子を得る
ことができる。従って、本発明による有機電界発光素子
は、フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピ
ュータ用や壁掛けテレビ)や面発光体としての特徴を生
かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイ
や計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯への応
用が考えられ、その技術的価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における有機電界発光素子の一例を示し
た模式断面図。
【図2】有機電界発光素子を製造する真空蒸着装置の例
を示した模式断面図。
【符号の説明】
1 基板 2a、2b 導電層 3 正孔輸送層 4 有機発光層 10 真空容器 11 セラミックるつぼ 12 タンタル線ヒータ 13 蒸着源仕切り板 14 基板 15 基板ホルダ 16 基板ヒータ 17 基板回転用モータ 18 シャッタ 19 膜厚モニタ 20 ゲートバルブ 21 液体窒素バルブ 22 油拡散ポンプ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、少なくとも陽極及び陰極によ
    り挟持された有機発光層を有する有機電界発光素子の製
    造方法において、有機発光層を基板温度60℃から15
    0℃で製膜することを特徴とする有機電界発光素子の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 有機発光層が8−ヒドロキシキノリンの
    金属錯体を含有するものである請求項1記載の有機電界
    発光素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 8−ヒドロキシキノリンの金属錯体の中
    心金属がアルミニウム、ガリウム、インジウム、スカン
    ジウム、イットリウム、亜鉛、ベリリウム、マグネシウ
    ム又はカルシウムのいずれかである請求項2記載の有機
    電界発光素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 有機発光層の成膜方法が真空蒸着法であ
    る請求項1記載の有機電界発光素子の製造方法。
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