JPH11190942A - 現像装置 - Google Patents

現像装置

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JPH11190942A
JPH11190942A JP36708797A JP36708797A JPH11190942A JP H11190942 A JPH11190942 A JP H11190942A JP 36708797 A JP36708797 A JP 36708797A JP 36708797 A JP36708797 A JP 36708797A JP H11190942 A JPH11190942 A JP H11190942A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気ブラシ現像法に使用する二成分現像剤の
磁性キャリアに低磁化量の磁性キャリアを用いても、S
−Bギャップの広いラチチュードを保ったまま、現像剤
担持体上に適正範囲の現像剤量を得ることを可能とした
現像装置を提供することである。 【解決手段】 現像装置1に使用する二成分現像剤の磁
性キャリアとして、1キロエールステッドの磁界中にお
ける磁化量M[emu/cm3 ]が30〜200emu
/cm3 の範囲内の低磁化量の磁性キャリアを用い、そ
のキャリアの磁化量Mと、現像スリーブ25マグネット
ローラ29のカット極N1の半値幅α[゜]と、規制ブ
レード28の磁性部材の、スリーブ周方向に沿う厚さY
[cm]とを、250≦α×M×Y≦10,000[d
eg・emu/cm2 ]の関係を満たすようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真方式、静
電記録方式等の複写機、プリンタ、記録画像表示装置、
ファクシミリ等の画像形成装置において、電子写真方
式、静電記録方式等よって像担持体上に形成した静電潜
像を現像して可視画像を形成するのに使用する現像装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真方式等の画像形成装置では、現
像装置の現像剤担持体の表面に乾式の現像剤を担持し
て、これを静電潜像を形成した像担持体の表面近傍に搬
送して供給し、像担持体と現像剤担持体との間に交互
(交番)電界を印加しながら静電潜像を現像して、トナ
ー像として可視化する方法が良く知られている。
【0003】一般に、上記の現像剤担持体は現像スリー
ブが用いられることが多く、像担持体は感光ドラムが用
いられることが多いので、以下の説明では、それぞれ現
像スリーブ、感光ドラムとして言及する。
【0004】上記の現像方法として、たとえばキャリア
粒子とトナー粒子とを混合した二成分現像剤を、内部に
磁石を固定配置した現像スリーブ表面に磁力により担持
させ、感光ドラムと現像スリーブとが微小間隙をあけて
対向した現像領域で現像剤に磁気ブラシを形成させて、
この磁気ブラシを感光ドラムに摺擦または近接させ、そ
して現像スリーブと感光ドラム間(S−D間)に連続的
に交互電界を印加して、現像剤中のトナーを現像スリー
ブと感光ドラムとの間で転移、逆転移を繰り返させなが
ら現像を行う、いわゆる磁気ブラシ現像法が知られてい
る(たとえば特開昭56−14268号、特開昭59−
165082号公報参照)。
【0005】また、簡易なカラー現像や多重現像を目的
とした二成分現像剤による非接触方式の交互電界現像法
も知られている(たとえば特開昭56−14268号、
特開昭58−68051号、特開昭56−144452
号、特開昭59−181362号、特開昭60−176
069号公報参照)。
【0006】以上のような磁気ブラシを用いた二成分現
像法においては、現像スリーブ上の単位面積あたりの現
像剤の量(M/S。以下、現像スリーブ上の現像剤量
は、断らない限りこの意味で使用する)を適正な範囲に
制御することが、画質や高耐久性の点から非常に重要で
ある。
【0007】現像スリーブ上の現像剤量が適正な範囲を
超えて多い場合は、現像スリーブがキャリアを磁気的に
保持する力が磁気ブラシの先端で弱くなるため、キャリ
アが感光ドラムに付着してしまう、いわゆるキャリア付
着や、現像によって感光ドラムに一度付着したトナーを
磁気ブラシが掻き取るため、画像濃度が目標値に達しな
かったり、画像濃度が不均一になってしまう問題があ
る。現像スリーブ上の現像剤量が適正な範囲よりも少な
い場合は、十分な画像濃度が得られない等の問題があ
る。
【0008】このように画質安定性に大きな影響を与え
る現像スリーブ上現像剤量を所望値になるように制御す
るために、従来は、一般に現像剤規制部材と称する規制
ブレードを現像スリーブに対し間隙をあけておおよそ垂
直に配置し、この現像スリーブと規制ブレードとの間の
間隙(S−Bギャップ)を、現像スリーブ上に担持して
搬送してきた現像剤を通過させて層厚を規制し、現像ス
リーブ上に現像剤の薄層を形成する。その際のS−Bギ
ャップを適当に調整することにより、現像スリーブ上に
所定の現像剤量を得るものである。
【0009】しかしながら、二成分現像方式では、通
常、S−Bギャップの大きさは200〜1000μm程
度とされており、部品の加工精度や組立精度により最適
なS−Bギャップから±50μm程度の誤差が生じるこ
とがある。その結果、現像スリーブ上の現像剤量が最適
範囲から大きく変わって、上記したような弊害が生じ
る。
【0010】そこで、S−Bギャップの変動に対して現
像スリーブ上の現像剤量の変化を小さくすること、すな
わち適正な範囲の現像剤量が得られるようなS−Bギャ
ップの範囲、つまりS−Bラチチュードを大きくするこ
とが、弊害を抑制することになり、そのための構成が必
要される。
【0011】上記の課題解決のため、従来から磁気カッ
トと呼ばれる手法が用いられている。これは、規制ブレ
ードの一部または全部に磁性部材を使用するもので、こ
の磁性部材が現像スリーブ内磁石の1つの磁極(カット
極)により磁化されて一種の磁石として働くことによ
り、現像剤規制部に搬送された現像剤が磁性部材に引き
つけられるようになる。
【0012】磁性部材を用いない非磁性の規制ブレード
(非磁性ブレード)の場合、純粋に機械的な間隙による
現像剤規制効果が現像スリーブ上現像剤量を決定してい
るために、図10に示すように、S−Bギャップを広げ
ていくと、現像スリーブ上現像剤量はおおよそ一次的に
増加していく。
【0013】これに対し、一部または全部に磁性部材を
用いる磁性の規制ブレード(磁性ブレード)の場合は、
機械的な間隙による現像剤規制効果の他に、上記のよう
に、磁性部材が現像剤を引きつけることによる磁気カッ
トの現像剤規制効果も加わるので、図10に示すよう
に、現像スリーブ上の現像剤量は少なくなり、同時にS
−Bギャップの変動による変化も抑えられる。
【0014】すなわち、磁束は透磁率の高いもの、すな
わち磁化されやすいものへ引きつけられるため、図11
(a)に示すように、現像スリーブ125内磁石のカッ
ト極から出た磁束は、磁性の規制ブレード128の場
合、非磁性の規制ブレード138に比べてより集中する
ので、規制ブレードの現像スリーブ近傍の磁束密度が大
きくなり、多くの現像剤を規制部に保持できるととも
に、図11(b)に示すように、S−Bギャップの変動
に対して磁束密度の変化が少ないために、S−Bギャッ
プの変動に対する現像スリーブ上現像剤量の変化が抑制
されると考えられる。
【0015】従って、磁性の規制ブレードを使用した場
合には、S−Bギャップの値に、個々の部品の組立精度
の公差からある程度のばらつきがあっても、現像スリー
ブ上の現像剤量を、高画質を満足できる所望範囲に制御
することができることになる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、二成
分現像剤を用いる二成分現像方式では、磁性の規制ブレ
ードによる磁気カット法を利用することにより、十分な
B−Sギャップのラチチュードを達成できることとなっ
た。
【0017】ところで、近年、一層の高画質化が要求さ
れつつあり、これに対しては、二成分現像剤に、従来の
フェライトキャリアよりも磁化量を下げた磁性キャリア
を用いると、その一層の高画質化が達成できるが、図1
2に示すように、適正範囲の現像スリーブ上現像剤量を
得ることができるS−Bギャップのラチチュードが、従
来の磁化量が高いフェライトキャリアを用いた場合に比
べて狭くなる弊害が生じた。
【0018】本発明者らの考えによれば、上記のS−B
ギャップのラチチュードの違いの原因は、現像スリーブ
と規制ブレードの間に存在する磁性キャリアの磁化量が
小さい場合は、図13(a)に示すように、S−Bギャ
ップが同じでも、磁性キャリアの磁化量が大きい場合に
比べて、磁性キャリアの規制部近傍に極大値を持つカッ
ト極からでた磁束が、磁性キャリアを通過して規制ブレ
ード128に入る量、つまり規制ブレード128の現像
スリーブ125近傍での磁束密度が小となり、また図1
3(b)に示すように、S−Bギャップを同量だけ広げ
たときの磁束密度の変化も大となることによるものであ
る。
【0019】従って、本発明の目的は、磁気ブラシ現像
法に使用する二成分現像剤の磁性キャリアに低磁化量の
磁性キャリアを用いても、S−Bギャップの広いラチチ
ュードを保ったまま、現像剤担持体上に適正範囲の現像
剤量を得ることを可能とした現像装置を提供することで
ある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的は本発明に係る
現像装置にて達成される。要約すれば、本発明は、トナ
ーと磁性キャリアを含む二成分現像剤を担持して、像担
持体対向した現像領域へ搬送する、内側に複数の磁極を
有する磁石を固定配置した現像剤担持体と、前記現像剤
担持体上に担持された現像剤の層厚を、前記磁石の複数
の磁極のうちのカット極と協同して磁気的に規制する、
前記カット極に近接配置された現像剤規制部材とを有す
る現像装置において、前記磁性キャリアの1キロエール
ステッドの磁界中における磁化量M[emu/cm3
が30〜200emu/cm3 の範囲内であり、前記カ
ット極の半値幅がα[゜]であり、前記現像剤規制部材
は、磁性部材単独もしくは磁性部材を含んでなり、その
磁性部材の現像剤担持体の周方向に沿う厚さがY[c
m]であり、これらM、α、Yが 250≦α×M×Y≦10,000[deg・emu/
cm2 ] の関係を満たすことを特徴とする現像装置である。
【0021】本発明によれば、好ましくは、前記磁性部
材の厚さYが0.1cm以上であり、磁性部材の比透磁
率が50以上である。前記磁性キャリアは、バインダー
樹脂、磁性金属酸化物および非磁性金属酸化物を出発原
料にして重合法により生成した樹脂磁性キャリアからな
る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る現像装置を図
面に則して更に詳しく説明する。
【0023】図1は、本発明の現像装置の一実施例を示
す断面図である。現像装置1は、非磁性トナーと磁性キ
ャリアを混合した二成分現像剤22を収容した現像容器
18を備え、現像容器18の感光ドラム3と対面した開
口部に、現像スリーブ25が回転自在に設置されてい
る。
【0024】現像容器18の内部は、隔壁19により現
像室R1と撹拌室R2に区画され、撹拌室R2の上方に
はトナー貯蔵室R3が設けられている。貯蔵室R3の中
には補給用トナー20が収容され、その下部にある補給
口21からは、現像で消費されたトナーに見合った量の
トナーが撹拌室R2内に落下補給される。
【0025】現像室R1内には現像剤撹拌スクリュー2
3が設置され、回転することにより現像室R1内の現像
剤を現像スリーブ25の長手方向に沿って搬送する。同
様に、撹拌室R2内にも現像剤撹拌スクリュー24が設
置され、回転することにより撹拌室24内の現像剤を上
記と逆方向に搬送する。
【0026】隔壁19には図の手前側と奥側に図示しな
い開口が設けられており、スクリュー23で搬送された
現像剤がこの開口の一つからスクリュー24に受け渡さ
れ、スクリュー24で搬送された現像剤がの開口からス
クリュー23に受け渡される。
【0027】現像スリーブ25は、アルミニウムや非磁
性ステンレス鋼等の非磁性材料の円筒からなり、その表
面には適度な凹凸が設けられている。現像スリーブ25
内には、ローラ状の磁石(マグネットローラ)29が非
回転に固定配置されている。
【0028】現像スリーブ25は、矢印a方向に周速度
Vaで回転する感光ドラムに対して、逆方向の矢印b方
向に所定の周速度Vb で回転し、マグネットローラ29
の磁力によりその表面に担持した現像剤を、感光ドラム
3と対向した現像領域26へ向けて搬送する。現像容器
18の開口部の下端には、磁性を有する現像剤規制ブレ
ード28が現像スリーブ25と間隙(S−Bギャップ)
をあけて設置されている。現像領域26に搬送される現
像剤は、その搬送途上、規制ブレード28とマグネット
ローラ29のカット極とにより、協同して磁気的に規制
され、現像スリーブ25上に所定層厚の現像剤層に形成
される。現像スリーブ25の回転方向は上の方向に限定
されず、感光ドラム3と同方向でも構わない。
【0029】現像領域26に搬送された現像剤は、マグ
ネットローラ29の磁力により磁気ブラシを形成して感
光ドラム3の表面に接触し、表面に形成されている静電
潜像を現像する。現像スリーブ25の周速度Vaの感光
ドラム3の周速度Vaに対する周速比は、130〜20
0%が好ましく、より好ましくは150〜180%であ
る。周速比が150%未満では十分な画像濃度が得られ
ず、200%以上では現像剤の飛散が生じる。
【0030】現像スリーブ25内のマグネットローラ2
9は、現像領域26に対向する位置に現像磁極S1を有
している。現像磁極S1が現像領域26に形成する現像
磁界により、現像スリーブ25上の現像剤を穂立ちさせ
て上記の磁気ブラシを形成させ、静電潜像を現像する。
静電潜像の現像は、磁気ブラシに付着しているトナーが
潜像の画像領域に転移して付着することにより行われ、
その際、現像スリーブ25の表面に付着しているトナー
も潜像の画像領域に転移して付着し、現像に寄与する。
現像時、現像を促進するために、バイアス電源27によ
り現像スリーブ25に感光ドラム3との間に、現像バイ
アスが印加される。
【0031】本実施例によれば、マグネットローラ29
は、現像磁極S1の他に磁極N1、N2、N3、S2を
有している。このような磁極を有するマグネットローラ
29を内蔵した現像スリーブ25が回転し、磁極N3お
よびS2の磁力により現像剤が現像スリーブ25の表面
に汲み上げられて担持され、規制ブレード28を通過し
て所定の層厚に規制された後、現像領域26に至って現
像磁極S1の作用により磁気ブラシを形成し、感光ドラ
ム3上の静電潜像を現像する。
【0032】潜像を現像した現像剤は、現像スリーブ2
5の回転により現像領域26から現像容器18内に戻さ
れ、その後、磁極N2、N1間の反発磁界により、現像
スリーブ25から撹拌室R1内に落下して回収される。
撹拌室R1内に回収された現像剤は、スクリュー23、
24により撹拌搬送される。
【0033】つぎに、本発明で使用するマグネットロー
ラ29の磁極パターンについて詳述する。マグネットロ
ーラ29は、上記したように、磁極N1、N2、N3、
S1、S2を備え、図2に示すような磁束密度分布の磁
極パターンを有している。これらの磁極の位置を横軸に
マグネットローラ周方向の適当な位置からの回転角表示
でとり、現像スリーブの表面における上記と同方向上の
磁束密度の分布を縦軸にプロットして展開すると、図3
のようになる。
【0034】従来技術のところで述べたように、本発明
者らの検討および考察から分かったことは、現像剤規制
部で磁性の規制ブレードに磁束を集中させ、規制ブレー
ドの現像スリーブとの対向部での磁束密度を大きくなる
ようにすれば、S−Bギャップのラチチュードが広くな
ることである。
【0035】そのためには、現像剤規制部に最近接して
いる磁極N1(カット極)の半値幅を広げると効果があ
る。ここで、磁極の半値幅とは、磁極の磁束密度分布に
おいて磁束密度の最大値の半分の大きさの磁束密度値に
なる位置の分布の幅を角度で表示したものである。
【0036】カット極N1の半値幅を広げると、S−B
ギャップのラチチュードが広がる理由は、つぎのように
考えられる。半値幅を大きくするということは、図4
(a)に示すように、カット極N1の磁束密度分布のピ
ーク近傍での磁束密度の減衰が少ない、すなわち磁束の
発散が抑えられることになり、対向配置された規制ブレ
ード28により多くの磁束が入ることになる。その結
果、規制ブレード28の現像スリーブ25に近接してい
る部分の磁束密度が大きくなり、より多くの現像剤が規
制ブレード28に保持されるとともに、図4(b)に示
すように、S−Bギャップの変動に対して磁束密度の変
化が抑制され、現像スリーブ上の単位面積あたりの現像
剤量(M/S)が適正範囲になるS−Bギャップのラチ
チュードが広くなる。
【0037】本発明で使用する規制ブレード28につい
て説明する。
【0038】上記したように、規制ブレード28は磁性
を有し、これに対しマグネットローラ29のカット極N
1の半値幅を広くすることにより、適正範囲の現像スリ
ーブ上現像剤量を得ることができるB−Sギャップのラ
チチュードを広げることが可能になった。さらに、本発
明者らが検討を重ねた結果、S−Bギャップのラチチュ
ードをさらに広くするためには、カット極N1からの磁
束がより規制ブレード28に集中するようにすればよ
く、規制ブレード28の形状、特に現像スリーブ25の
周方向に沿う厚さを増すと、S−Bギャップのさらなる
ラチチュードの拡大が可能となった。
【0039】つまり、図5(a)に示すように、規制ブ
レード28が薄い場合は、カット極N1から出た磁束が
発散してしまうのに対し、規制ブレード28が厚いと、
より広い範囲の磁束が規制ブレード28に入ることにな
り、そのため規制ブレード28の現像スリーブ25に近
接している部分の磁束密度が大きくなる。このため、よ
り多くの現像剤が規制ブレードに保持されると同時に、
図5(b)に示すように、S−Bギャップの変動に対し
て磁束密度の変化が抑えられて、適正な範囲の現像スリ
ーブ上現像剤量が得られるようなS−Bギャップのラチ
チュードが広くなるのである。
【0040】規制ブレード28の材料としては、現像ス
リーブ25内マグネットローラ29の磁極による規制ブ
レード28の磁化のされ易さの点から、比透磁率が50
以上の磁性部材であればよく、たとえばFe、Co、N
i等の強磁性体やそれらを含有した化合物を用いること
ができる。
【0041】規制ブレード28の形状も、現像スリーブ
25の周方向に沿う厚さが比較的あれば、図6(a)〜
(e)に示すように、三角形、多角形など各種の断面形
状をとることができる。規制ブレード28の現像スリー
ブ25に面している面は、二つあるいは複数の曲率を有
するカーブあるいはV字状の輪郭を有するものでもよ
い。
【0042】規制ブレード28の磁性部材現像スリーブ
周方向厚さ(規制ブレード断面の厚さ)は、特に強度の
点から0.1cm以上であれば効果が得られ、好ましく
は厚さ0.2cm以上である。この場合、規制ブレード
28が、図6(a)に示すように、現像スリーブ25の
中心を通る垂線に対し斜めに配設されているときは、規
制ブレード25の厚さは、上記垂線に直角の方向の厚さ
Yとする。
【0043】規制ブレード28の現像スリーブ長手方向
(軸方向)の幅は、強度的に耐えられるだけの幅が有れ
ばよく、その範囲で現像装置構成上、最適な幅として決
定すればよい。
【0044】さらに、規制ブレード28は一部が磁性を
有すればよく、全体が磁性部材からなっていなくてもよ
い。たとえば、図7(a)、(b)に示すように、非磁
性部材28aの側面または基端部に磁性部材28bを設
けた構成とすることができる。この場合は、磁性部材2
8bの断面の厚さ、すなわち現像スリーブ25の周方向
に沿う厚さを0.1cm以上、好ましくは0.2cm以
上とする。
【0045】以上のように、本実施例では、磁束を規制
ブレード28に集中させることにより、S−Bギャップ
のラチチュードを大きく向上でき、磁性キャリアの磁化
量を低くすることによるS−Bギャップのラチチュード
が狭くなる弊害に対しては、特に現像スリーブ25から
の磁束の出口であるカット極N1の半値幅を大きくし、
また磁束の受け側である規制ブレード28の現像スリー
ブ周方向の厚さを増すことにより解決できる。特に両手
段を組み入れることにより、低磁化量キャリアを使用し
ても十分なS−Bギャップラチチュードを確保できるよ
うになった。
【0046】磁性キャリアの磁化量M[emu/cm
3 ]、規制領域に近接しているカット極N1の半値幅α
「゜」、規制ブレード28の現像スリーブ周方向の厚さ
Y[cm]の間の定量化について述べる。
【0047】今、磁極から出て現像剤規制部を通って規
制ブレードに入る磁束を考えると、この磁束を決定する
主たる要因は、現像剤規制部に存在する磁性キャリアの
磁化量M、カット極N1の半値幅α、規制ブレード28
の現像スリーブ周方向の厚さYである。
【0048】まず、規制領域での磁束の量はカット極N
1の半値幅に比例する。つぎに、磁力線は、通過する物
質の磁化量によりその発散の度合い、従って磁束密度の
減少率が異なり、規制領域が磁化量の小さい磁性キャリ
アで満たされていると、それだけ、規制ブレード28に
到達する磁力線が少なくなり、規制ブレード28に入る
磁束密度が小さくなる。これらのことから、規制領域で
の磁束の量はα×Mに比例すると考えられる。
【0049】この磁束が受け側である規制ブレード28
に入る割合は、規制ブレードの厚Yさに比例すると考え
られるので、結局、規制領域での磁束の量は、 A=α×M×Y なるA[deg・emu/cm2 ]に比例することにな
る。従って、このAの値が大きいほど、規制領域におけ
る磁束の量、つまり磁束密度が大きいことになり、S−
Bギャップのラチチュードを広くすることが可能とな
る。
【0050】α=20゜〜60゜、M=30〜200e
mu/cm3 、Y=0.01〜1cmの範囲内で、種々
値を変更して検討を行った結果、Aの値が、 250≦A≦10,000[deg・emu/cm2 ] の範囲であれば、±50μm以上の十分なS−Bギャッ
プのラチチュードが確保できることが分かった。
【0051】Aの値が250未満になると、所望のS−
Bギャップのラチチュードが得られない。またAの値が
10,000を超えるようなα、M、Yの組み合わせ
は、規制ブレード28のスペース的制約や、マグネット
ローラ29のカット極N1の半値幅制御上の制約などか
ら実現困難である。
【0052】本発明で使用する磁性キャリアについて説
明する。本発明では、上述したように、低磁化量のキャ
リアを用いるが、これと球形の重合トナーとを組み合わ
せた二成分現像剤による二成分現像方式により、高画質
化が達成できる。
【0053】本発明者らの実験によると、現像スリーブ
と感光ドラムのS−Dギャップが300〜1000μ
m、現像スリーブ上現像剤量(M/S)が20〜50m
g/cm2 、現像剤のトナー濃度、つまりT/D比
(T:トナー量、D:現像剤量)が5〜12%の範囲内
では、キャリアの磁化量が200emu/cm3 以下、
好ましくは140emu/cm3 以下であれば、隣り合
う磁気ブラシの磁気的な相互作用が低磁化量のために小
さく、その結果、磁気ブラシの穂が緻密かつ短くなり、
かつ磁気ブラシが静電潜像の画像領域に付着したトナー
をソフトに掃くことにより、トナーが掻き取られる、い
わゆるスキャンベンジングを防ぎ、画像として解像度の
高いものを提供することができる。
【0054】磁性キャリアの磁化量の適正な範囲は、3
0〜200emu/cm3 、好ましくは80〜140e
mu/cm3 である。磁化量が30emu/cm3 以下
になると、感光ドラムへのキャリア付着が増大するだけ
でなく、磁気的に現像スリーブ上に現像剤を塗布して搬
送できなくなる。磁化量が200emu/cm3 以上で
あると、画像に磁気ブラシによる穂むらなどが現れやす
くなる。
【0055】磁性キャリアの磁化量と同時に粒径、比抵
抗の範囲を適正化することにより、キャリア付着、画像
劣化をさらに確実に防止することができる。つまり、磁
性キャリアの個数平均粒径を10〜60μmの範囲にす
れば、微粒径キャリアの感光ドラムへの付着を防止し、
大粒径キャリアによる画像の掃きむらを見えにくくする
ことができる。またキャリアの比抵抗を1010から10
14Ωcmの範囲内にすることにより、低磁化量のキャリ
アであっても、電荷注入によるキャリア付着を防止で
き、かつキャリアのチャージアップによる画像劣化を防
止できる。
【0056】本発明では、低磁化量キャリアとして、バ
インダー樹脂と磁性金属酸化物および非磁性金属酸化物
とを出発原料として、重合法により製造した樹脂磁性キ
ャリアを使用したが、この製造法だけに止まらず、フェ
ライトキャリア等で磁化量を制御したものでもよい。
【0057】磁性キャリアの磁化量、粒径および比抵抗
の測定法はつぎの通りである。
【0058】キャリアの磁化量[emu/cm3 ]は、
キャリアの磁気特性を理研電子(株)製の振動磁場型磁
気特性自動記録装置を用い、円筒状にパッキングしたキ
ャリアを1キロエルステッドの外部磁場中において、キ
ャリアの磁化の強さを測定し、それにキャリアの真比重
を乗ずることにより算出した。
【0059】キャリアの粒径は、走査型電子顕微鏡によ
りランダムに300個抽出したキャリア粒子像を撮影し
て、その撮影データをニコレ社(株)製の画像処理解析
装置Luzex3により解析し、水平方向フェレ径をも
ってキャリア粒径として算出した。
【0060】キャリアの比抵抗は図9に測定装置を用い
た。セルEにキャリア33を充填し、そのキャリアに接
するように下側、上側に電極30および31を配し、直
流電源32により電極30、31間に電圧を印加し、そ
のとき流れる電流を測定することにより、キャリアの比
抵抗を求めた。本実施例における測定条件の一例を示す
と、充填したキャリアと電極の接触面積を約2.3cm
2 、キャリアの充填厚さを約2mm、上部電極31上の
荷重を180g、測定電界強度を5×104 V/mとし
た。
【0061】本発明で用いるトナーは、バインダー樹脂
に着色剤や帯電制御剤などを添加した公知のトナーが使
用でき、その体積平均粒径は5〜15μmの範囲が好適
である。トナーの体積平均粒径は、たとえば下記の方法
で測定した。
【0062】測定装置としてコールカウンターTA−II
型(コールカウンター社製)を用い、これに個数分布、
体積分布を出力するインターフェース(日科機製)およ
びパーソナルコンピュータCX−i(キヤノン社製)を
接続した。電解液は、試薬1級の塩化ナトリウム(Na
Cl)を用い、1%塩化ナトリウム水溶液に調整して使
用した。
【0063】上記の電解液100〜150ml中に分散
剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスル
ホン酸塩を0.1〜5ml加え、さらに測定試料のトナ
ーを0.5〜50mg加えて懸濁する。そして試料を懸
濁した電解液を超音波分散器で1〜3分間分散処理して
から、上記のコールカウンターにより、100μmのア
パチャーを用いて、2〜40μmの粒子の粒度分布を測
定し、それからトナーの体積分布を求め、最後に、この
体積分布によりトナーの体積平均粒径を求める。
【0064】本発明の具体例について説明する。
【0065】実施例1 下記条件で、S−Bギャップの変動に対する現像スリー
ブ上現像剤量(M/S)の変化を測定し、適正な現像剤
量の変化幅を10mg/cm2 とした場合のB−Sギャ
ップのラチチュードを調べた。
【0066】実施例1に用いた規制ブレード28は、図
8(b)に示すように、非磁性部材28aの側面に磁性
部材28bを設けたタイプのものである。
【0067】キャリア :磁性樹脂キャリア。磁化
量=135emu/cm3 、T/D比=8% カット極半値幅:50゜ 現像スリーブ :周速=225mm/秒、 現像スリーブ回転方向:感光ドラムに対しカウンター方
向 規制ブレード :非磁性部材+磁性部材(図8
(b))。磁性部材の厚さY=0.075cm(非磁性
部材の厚さt=1.2mm) 結果を、カット極の半値幅等の一部の条件とともに表1
に示す。
【0068】
【表1】
【0069】表1に示されるように、実施例1によれ
ば、適正な現像スリーブ上現像剤量の変動幅を10mg
/cm2 とした場合、S−Bギャップのラチチュードは
±50μmが得られ、高かった。このときの、 A[d
eg・emu/cm2 ](=α×M×Y)の値は33
7.5であった。
【0070】比較例1 実施例1において、規制ブレード28の磁性部材28b
の厚さを0.05cmとし、カット極の半値幅を30゜
とした以外は、実施例1と同様にした。
【0071】この比較例1は、適正な現像スリーブ上現
像剤量の変動幅が10mg/cm2の場合、S−Bギャ
ップのラチチュードは±35μm程度と低かった。ま
た、A(=α×M×Y)の値は202.5であった。
【0072】実施例2 実施例1において、図8(c)に示すように、厚さY=
0.5cmの磁性部材のみからなる規制ブレード28を
使用し、またカット極N1の半値幅を比較例1と同様に
30゜とした以外は、実施例1と同じにした。結果等を
表1に示す。
【0073】この実施例2は、適正な現像スリーブ上現
像剤量の変動幅を10mg/cm2とした場合、S−B
ギャップのラチチュードは±60μmとなり、実施例1
よりもさらに大きな効果が確認された。A(=α×M×
Y)の値は2025であった。
【0074】実施例3 実施例2において、図8(d)に示すように、カット極
N1の半値幅を実施例11と同様に50゜とした以外
は、実施例2と同じにした。結果等を表1に示す。
【0075】実施例3によれば、適正な現像スリーブ上
現像剤量の変動幅を10mg/cm2 とした場合、S−
Bギャップのラチチュードは±80μmとなり、実施例
2よりもさらに大きな効果が確認された。A(=α×M
×Y)の値は3375であった。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
二成分磁気ブラシ現像装置に使用する二成分現像剤の磁
性キャリアとして、1キロエールステッドの磁界中にお
ける磁化量M[emu/cm3 ]が30〜200emu
/cm3 の範囲内の低磁化量の磁性キャリアを用い、そ
の磁性キャリアの磁化量Mと、現像剤担持体内磁石のカ
ット極の半値幅α[゜]と、磁性部材単独もしくは磁性
部材を含んで構成される現像剤規制部材におけるその磁
性部材の、現像剤担持体の周方向に沿う厚さY[cm]
とを、250≦α×M×Y≦10,000[deg・e
mu/cm2 ]の関係を満たすようにしたので、低磁化
量の磁性キャリアを用いても、S−Bギャップの広いラ
チチュードを保ったまま、現像剤担持体上に適正範囲の
現像剤量を得ることができ、良好な現像を行うことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の現像装置の一実施例を示す概略断面図
である。
【図2】図1の現像装置の現像スリーブ内マグネットロ
ーラの磁束密度分布を示す図である。
【図3】図2の磁束密度分布を磁極位置に対して展開し
て示す図である。
【図4】図2のマグネットローラのカット極の半値幅の
相違による規制ブレードへの磁束の入り方の違いを示す
概念図である。
【図5】図2の規制ブレードの厚さの相違による規制ブ
レードへの磁束の入り方の違いを示す概念図である。
【図6】本発明で使用可能な規制ブレードの諸例を示す
断面図である。
【図7】本発明で使用可能な規制ブレードの他の諸例を
示す断面図である。
【図8】本発明の実施例1〜3および比較例1で使用し
たマグネットローラのカット極の半値幅および規制ブレ
ードを示す概略図である。
【図9】本発明で磁性キャリアの比抵抗を測定するのに
使用した装置を示す概略図である。
【図10】規制ブレードの材質の相違によるS−Bギャ
ップのラチチュードの違いを示す説明図である。
【図11】非磁性の規制ブレードと磁性の規制ブレード
の相違による現像剤規制効果の違いを示す概念図であ
る。
【図12】磁性キャリアの磁化量の相違によるS−Bギ
ャップのラチチュードの違いを示す説明図である。
【図13】磁性キャリアの磁化量の相違による規制ブレ
ードへの磁束の入り方の違いを示す概念図である。
【符号の説明】
1 現像装置 3 感光ドラム 22 二成分現像剤 25 現像スリーブ 28 規制ブレード 28a 非磁性部材 28b 磁性部材 29 マグネットローラ N1 カット極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 志田 昌規 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トナーと磁性キャリアを含む二成分現像
    剤を担持して、像担持体対向した現像領域へ搬送する、
    内側に複数の磁極を有する磁石を固定配置した現像剤担
    持体と、前記現像剤担持体上に担持された現像剤の層厚
    を、前記磁石の複数の磁極のうちのカット極と協同して
    磁気的に規制する、前記カット極に近接配置された現像
    剤規制部材とを有する現像装置において、 前記磁性キャリアの1キロエールステッドの磁界中にお
    ける磁化量M[emu/cm3 ]が30〜200emu
    /cm3 の範囲内であり、前記カット極の半値幅がα
    [゜]であり、前記現像剤規制部材は、磁性部材単独も
    しくは磁性部材を含んでなり、その磁性部材の現像剤担
    持体の周方向に沿う厚さがY[cm]であり、これら
    M、α、Yが 250≦α×M×Y≦10,000[deg・emu/
    cm2 ] の関係を満たすことを特徴とする現像装置。
  2. 【請求項2】 前記磁性部材の厚さYが0.1cm以上
    である請求項1の現像装置。
  3. 【請求項3】 前記磁性部材の比透磁率が50以上であ
    る請求項1または2の現像装置。
  4. 【請求項4】 前記磁性キャリアは、バインダー樹脂、
    磁性金属酸化物および非磁性金属酸化物を出発原料にし
    て重合法により生成した樹脂磁性キャリアからなる請求
    項1〜3のいずれかの項に記載の現像装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006119304A (ja) * 2004-10-20 2006-05-11 Canon Inc 画像形成装置
JP2009116320A (ja) * 2007-10-19 2009-05-28 Ricoh Co Ltd トナー、並び現像剤、及び画像形成装置
JP2017021126A (ja) * 2015-07-09 2017-01-26 富士ゼロックス株式会社 現像装置及び画像形成装置
JP2017167386A (ja) * 2016-03-17 2017-09-21 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 現像装置、およびこれを備えた画像形成装置

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