JP4698069B2 - 現像装置、磁石ローラ、画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ - Google Patents
現像装置、磁石ローラ、画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタ、ファックス、複写機等の画像形成装置における現像装置、磁石ローラ、画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジに関し、詳しくは、磁性粒子を含む現像剤を担持する現像剤担持体上に、該現像剤を磁力により穂立ちさせて磁気ブラシを形成し、該磁気ブラシにより静電潜像を担持して移動する潜像担持体の表面を摺擦して、該潜像担持体上の静電潜像を可視像化する現像装置、該現像装置の現像剤担持体上に上記磁気ブラシを形成するための磁石ローラ、該現像装置を用いた画像形成方法、該画像形成方法を実施するための画像形成装置、該現像装置を搭載したプロセスカートリッジに関するするものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの電子写真方式の画像形成装置においては、潜像担持体としての感光体ドラムや感光体ベルト上に形成した画像情報に対応する静電潜像を、現像装置の現像剤担持体上から供給される現像剤で可視像化(現像)することによって、該潜像担持体上にトナー像を形成している。この種の画像形成装置における現像装置の現像方式としては、トナーのみからなる1成分現像剤を用いる1成分現像方式と、トナーと磁性粒子(磁性キャリア)を含む2成分現像剤を用いる2成分現像方式とがある。2成分現像方式は、転写性や温度・湿度に対する現像特性の安定性が良好な優れた現像方式として知られている。この2成分現像方式では、上記現像剤担持体と潜像担持体とが対向する現像領域(現像ニップ領域)において、該現像剤担持体上にブラシチェーン状に穂立ちされて保持された磁気ブラシ状の現像剤から潜像担持体上の静電潜像部分にトナーが供給される。
【0003】
上記2成分現像方式においては、上記現像ニップ領域における潜像担持体と現像剤担持体との間の距離(以下、この距離を「現像ギャップ」という)を近接させるほど、高濃度の画像を得やすく、またエッジ効果も少ないことが知られている。従って、この種の画像形成装置においては、その潜像担持体と現像剤担持体との距離を近接させて上記現像ギャップを小さくすることが望ましい。しかし、該現像ギャップをあまり小さくすると、黒ベタ画像やハーフトーンのベタ画像の後端部が白く抜ける、いわゆる「後端白抜け」と呼ばれる画質劣化が発生しやすくなる(図11参照)。このため、この種の画像形成装置における現像ギャップは、一般的に、0.55mm〜0.9mmに設定されていた。
【0004】
上記「後端白抜け」の現象は、次のようなメカニズムで起こると考えられている。
図12に、上記2成分現像方式でネガポジ現像を行う現像装置における現像ニップ領域の一例を示す。図12において、小さな丸はトナー3a、大きな丸は磁性キャリア(磁性粒子)3bを示している。なお、図示の都合上、現像ニップ領域内の1本の磁気ブラシMBだけを実線で示し、他の磁気ブラシは破線で示すと共にトナーを省略してある。また、感光体ドラム1上の現像前潜像部分A及び現像後潜像部分Bに含まれる非画像部(潜像が形成されていない部分)は、負極性に帯電しているものとする。
【0005】
図12において、上記現像剤担持体としての現像ローラの現像スリーブ43上に担持された現像剤は、筒状に形成された現像スリーブ43が矢印D方向に移動することにより、該現像スリーブ43と感光体ドラム1とが対向する現像ニップ領域付近へと運ばれる。そして、この現像剤は、該現像ニップ領域付近で、現像スリーブ43の内部に配置された現像磁極P1の磁力により、磁性キャリア3bが穂立ちすることによって、ブラシチェーン状の磁気ブラシMBとなる。
【0006】
一方、感光体ドラム1は、図12において、その表面に形成された静電潜像を保持しつつ、矢印C方向に回転している。これにより、上記現像ニップ領域で、感光体ドラム1と現像スリーブ43との線速差(感光体線速<現像スリーブ線速)により、上記磁気ブラシMBが感光体ドラム1上の静電潜像を摺擦する。そして、該現像ニップ領域に印加された現像電界の作用によって、感光体ドラム1上の画像部(静電潜像が形成されている部分)にトナー3aが付着する。その結果、該現像ニップ領域の現像スリーブ43の移動方向下流側の感光体ドラム1上の現像後潜像部分Bに、該画像部にトナー3aが付着したトナー像が形成される。なお、上記現像スリーブ43の線速は、所定の画像濃度のトナー像を形成するために、感光体1の線速よりも大きくするのが一般的である。
【0007】
このような2成分現像方式の現像装置においては、上記「後端白抜け」の現象が、図13に示すようなメカニズムで生じると考えられている。なお、図13(a)〜(c)は、いずれも、図12に示した感光体ドラム1の現像スリーブ43との対向部付近を拡大した概略図であり、感光体ドラム1の表面に対して次第に近づいてくる磁気ブラシMBの先端の動きを、図13(a)、(b)、(c)の時系列で表示している。図13において、感光体ドラム1と現像スリーブ43の対向部は、ちょうど非画像部と黒ベタ画像の画像部との境界を現像している状態、すなわち上記「後端白抜け」が発生する状態にあり、感光体ドラム1の回転方向下流側には現像されたばかりのトナー像が形成されている。この状態の感光体ドラム1に向かって現像スリーブ43上の1つの磁気ブラシMBが近づいてくる。ここで、感光体ドラム1は、実際には図中時計回りに回転しているが、上述したように現像スリーブ43が感光体ドラム1よりも早く移動しているため、磁気ブラシMBは感光体ドラム1の表面を摺擦していく。そこで、図13(a)〜(c)においては、上記感光体ドラム1が静止しているものとして図示を簡略化している。
【0008】
図13(a)において、感光体ドラム1に近づいてくる磁気ブラシMBは、該感光体ドラム1の画像部の現像すべき後端位置Eに至るまでの間に、該感光体ドラム1の非画像部に対向して移動する。このように、磁気ブラシMBが感光体ドラム1の非画像部に対向して移動する際に、感光体ドラム1の表面のマイナス電荷と、帯電トナーのマイナス電荷との反発力Gにより、トナー3aが感光体ドラム1から次第に離れて現像スリーブ43の表面側に移動していく(以下、このトナー移動を「トナードリフト」という)。
【0009】
このようなトナードリフトにより、図13(b)に示すように、磁気ブラシMBが上記画像部後端位置Eに到達する頃には、感光体ドラム1近くの磁気ブラシMBは、正極性に帯電した磁性キャリア3bが剥き出しの状態になっている。このように、感光体ドラム1上に形成された静電潜像の画像部後端位置Eに対向する磁性キャリア表面にはトナーが存在せず、この画像部後端位置Eでは磁気ブラシMBから感光体ドラム1へのトナー移動が起らなくなる。また、図13(c)に示すように、磁気ブラシMBが上記画像部後端位置Eから上記画像部の内側に若干入った画像部後端部Fに到達すると、トナー3aと感光体ドラム1との付着力が弱い場合には、感光体ドラム1に一旦付着したトナー3aが静電気力により磁性キャリア3bに再付着することもある。この結果、感光体ドラム1の非画像部に近接した上記画像部の後端位置Eでは現像が行なわれないことがあり、これが上記「後端白抜け」の原因となると考えられている。
【0010】
また、ここでは、上述の「後端白抜け」の発生メカニズムについて、上記現像スリーブ43の回転中心軸に対して直交する断面の磁気ブラシMBを示して説明したが、現像スリーブ43の長手方向(回転中心軸方向)に沿って磁気ブラシMBを観察すると、該磁気ブラシMBは、その長手方向の各位置での長さが均一でなくばらついている。図14(a)は、この現像スリーブ43の長手方向に広がる磁気ブラシMBの状態を示している。なお、図14(b)は、図14(a)に示す磁気ブラシMBを長手方向に対して垂直な平面H−H'で切ったときの断面図であり、該磁気ブラシMBと感光体ドラム1との位置関係を分かるようにするため、感光体ドラム1を破線で示している。
【0011】
図14(a)に示すように、上記磁気ブラシMBの長さは、その長手方向の各位置でのばらつきが大きい。このため、磁気ブラシMBの感光体ドラム1への接触位置は長手方向に沿って不揃いにばらつく。この結果、上記トナードリフトの度合も長手方向にばらつき、「後端白抜け」の起こる度合は長手方向に一定ではない。したがって、図11(b)に示すように長手方向にギザギザした形の「後端白抜け」が発生することになる。
【0012】
なお、同様なメカニズムにより、現像スリーブ43の回転中心軸方向に延在する横細線がそれに直交する縦細線に比べて細る「横線細り」現象や、孤立ドットの形成が不安定になる現象も発生し、2成分現像方式により高画質の画像を形成する際の妨げとなっている。
【0013】
そこで、本出願人は、上記「後端白抜け」等の発生を防止するため、上記現像スリーブ43上の法線方向における磁束密度分布を規定することで、現像スリーブ43の回転方向における現像ニップ領域の幅(現像ニップ幅)を狭くしたり、現像ニップ領域における磁気ブラシMBの現像剤密度を高めたりして現像を行う現像方法及び現像装置を提案した(例えば、特開2000−305360号公報)。この現像方法及び現像装置によれば、上記「後端白抜け」を低減する効果が確認されている。この現像方法及び現像装置において「後端白抜け」が低減される原理は、以下に示すものであると考えられている。
【0014】
本出願人は、先に、上記現像ニップ幅を狭くすることで、上記「後端白抜け」を改善できることを発見している。これは、現像ニップ領域での現像ニップ幅を狭くすることにより、上記磁気ブラシMBが感光体ドラム表面の非画像部を摺擦する時間が短くなって、上記トナードリフトが低減されることによるものと考えられる。この原理を図15(a)〜(c)に示す。図15(a)〜(c)は、図13(a)〜(c)において現像ニップ幅を狭めたときの現像工程を示す図である。
【0015】
すなわち、上記現像ニップ幅を狭くした現像工程においては、図13(a)〜(c)に示すような現像ニップ幅が広い場合の現像工程とは異なり、図15(a)〜(c)に示すように、磁気ブラシMBによって感光体ドラム1の表面が摺擦される時間が短くなる。これにより、図15(a)に示すように、磁気ブラシMBが感光体ドラム1の非画像部に対向して移動する際には、感光体ドラム1の表面のマイナス電荷と、帯電トナーのマイナス電荷との間に、図13(a)に示したような反発力Gが発生することがなく、上記トナードリフトが低減される。
【0016】
この結果、図13(b)に示したように、磁気ブラシMBが上記画像部後端位置Eに到達する頃に、感光体ドラム1近くの磁気ブラシMBの正極性に帯電した磁性キャリア3bが剥き出しの状態になることがなくなり、図15(b)に示すように、画像部後端位置Eに正常にトナー3aが供給されるようになる。また、図15(c)に示すように、磁気ブラシMBが上記画像部後端位置Eから離れた状態でも、上述のようにキャリア3bが剥き出しになっていないので、図13(c)に示した場合のように感光体ドラム1上のトナーがキャリア3bに再付着することもない。このようにして、上記現像ニップ幅を狭くした現像工程においては、上記「後端白抜け」が低減されると考えられている。
【0017】
ここで、上記現像ニップ幅を狭めるには、現像磁極P1の半値幅を小さくするのが効果的である。この「半値幅」とは、上記現像磁極P1の法線方向における磁力分布曲線の最高法線磁力(頂点)の半分の値を指すときの角度幅のことであり、例えば、N極によって作成されている磁石の最高法線磁力が120mTであれば、60mTの値を指すときの角度幅が「半値幅」となる。
【0018】
しかし、上記現像磁極P1の半値幅を小さくするだけでは、上記「後端白抜け」の発生を完全に抑えることはできないことが判明した。これは、上記現像スリーブ43の長手方向に広がる全ての位置において、上記現像ニップ幅を狭めることが困難なためと考えられる。つまり、図14(a)に示したように、上記磁気ブラシMBの長さは、通常、現像スリーブ43の長手方向にばらつくことになる。これにより、その長手方向において、穂が長い磁気ブラシMBが発生する部分があると、その部分では現像ニップ幅が狭くならず、結果としてトナードリフトが発生してしまうためと考えられる。
【0019】
そこで、本出願人は、上記「後端白抜け」を更に低減させる現像装置及び現像装置を提案している。この現像方法及び現像装置では、上記磁気ブラシMBが感光体ドラム1に摺擦する現像ニップ領域において、その磁気ブラシMBの穂立ちの状態を密に形成し、磁気ブラシMBの高さが現像スリーブの長手方向にばらつくことを防止している。
【0020】
図16(a)に、穂立ちの状態を密に形成した磁気ブラシMBを示す。図17(a)は、従来の磁気ブラシMBを示すものである。穂立ちの状態を密に形成した磁気ブラシMBは、図16(a)に示すように、磁気ブラシMBの長手方向における高さのばらつきが低減されている。このような密な形状の磁気ブラシMBを用いた現像工程では、磁気ブラシMBの長手方向における高さのばらつきによるトナードリフトが発生しないので、図16(b)のような「後端白抜け」のない画像を得ることができるようになる。一方、図17(a)に示すように、長手方向における高さにばらつきがある従来の磁気ブラシMBを用いた現像工程では、図17(b)に示すように、該高さのばらつきによるトナードリフトによって「後端白抜け」が発生する。
【0021】
このように、上記磁気ブラシMBが現像ニップ領域に到達するときに充分密に形成されていれば、磁気ブラシMBの長さの長手方向におけるばらつきが充分に低減される。このような密な形状の磁気ブラシMBは、その高さが長手方向に充分均一となった状態で、現像ニップ領域に突入することができるので、その長手方向の各位置において上記トナードリフトを充分低減することができ、その長手方向の各位置における「端白抜け」を充分に低減できる。
【0022】
ここで、磁気ブラシMBを密に形成することは、磁気ブラシMBを形成する現像磁極の法線方向における磁束密度の減衰率を高めることで実現できる。ここでいう「減衰率」とは、現像磁極P1によって現像スリーブ43表面上に発生する法線方向磁束密度のピーク値をXとし、現像スリーブ43表面から径方向に1mm離れた位置での法線方向磁束密度のピーク値をYとしたとき、下記の数式(1)で求められる値を意味する。
減衰率[%]={(X−Y)/X}×100・・・(1)
【0023】
例えば、上記現像スリーブ43の表面の法線方向磁束密度が100[mT]、現像スリーブ43の表面から1mm離れた部分での法線方向磁束密度が80[mT]のとき、その減衰率は20%となる。なお、法線方向磁束密度を測定する装置としては、ADS社製ガウスメータ(HGM−8300)や、ADS社製A1型アキシャルプローブなどがある。また、本出願人による検討の結果、現像磁極P1の法線方向磁束密度の減衰率が、40%以上、好ましくは50%以上であれば、磁気ブラシMBの長手方向のばらつきを充分低減できるほど密な磁気ブラシMBを形成できることが判明している。
【0024】
上記減衰率を高めることで磁気ブラシMBを密に形成できる理由は、次のとおりである。すなわち、該減衰率が高い場合には、上記現像スリーブ43の表面から離れるに従って磁気ブラシMBの磁力が急速に小さくなる。これにより、磁気ブラシMBの先端位置における磁力は、磁気ブラシMBを維持できないほど弱まり、その結果、磁気ブラシMBの先端を形成するキャリア3bが、磁力の強い現像スリーブ43の表面に引き付けられるためと考えられる。ここで、減衰率を高めるためには、現像磁極P1を形成する磁石の材料を適切に選択したり、現像磁極P1から出る磁力力線の回り込みを強めたりすることが考えられる。このうち、現像磁極P1から出る磁力力線の回り込みを強める場合には、例えば、現像スリーブ43の回転方向に沿って磁気ブラシMBを穂立ちさせる主磁極の上流側及び下流側に、この主磁極とは逆の極性を有する補助磁極を配置した現像磁極P1を用いることが挙げられる。また、例えば、現像スリーブ43に搬送磁極等、現像磁極P1以外の磁極が存在する場合には、現像磁極P1の半値幅を狭めることで現像磁極P1から出る磁力線の大部分を搬送磁極へ回り込ませる構成としても、現像磁極P1から出る磁力力線の回り込みを強めることができる。
【0025】
以上のように、現像ニップ幅を狭く形成した現像装置によれば、上記「後端白抜け」を低減できる。また、上記現像ニップ領域において磁気ブラシMBを密に形成した現像装置によれば、該「後端白抜け」を更に低減できることが確認されている。これらの現像装置では、現像スリーブ43の表面と感光体ドラム1の表面との現像ギャップを、従来の0.55〜0.9mmから、0.3〜0.5mmにすることができ、画像濃度を高め、またエッジ効果も少なくでき、高画質化を達成することができる。
【0026】
この他、上述とは異なった方法により画質改善を図る現像装置も種々提案されている。
例えば、特開平8−30103号公報には、磁性キャリアの単位体積当りの磁化の強さが100mTにおいて150emu/cm2以下の2成分現像剤を使用する現像装置が提案されている。この現像装置は、磁石ローラが第1の磁石材料からなる磁石aと第2の磁石材料からなる磁石bとから構成され、第1の磁石aによる現像スリーブ上の最大磁束密度が、第2の磁石bによるスリーブ上の最大磁束密度よりも大きく、第1の磁石aが現像領域に位置する。これにより、キャリア付着及びトナー飛散を抑制できると共に、濃度が十分に高く且つガサツキがなく、鮮明で高画質な画像を安定して得ることができるとしている。
【0027】
また、特開平8−44213号公報には、回転可能な非磁性スリーブ内に磁石部材が固定設置される現像剤担持体を有するタイプにおいて、現像剤担持体の潜像担持体表面との対向領域には少なくとも3極以上の交互に極性の異なる現像主極(a,b,c)を対向配置し、隣接する現像主極(a,b,c)間の略中央に形成される現像剤担持体の周方向に沿う水平磁界成分の作用領域には、現像剤担持体の現像剤が局部的に退けられ且つ当該現像剤退け領域にて現像剤担持体の周方向に沿って急速摺動するという挙動促進磁界成分生成用の現像補助極を配置した構成の現像装置が提案されている。この現像装置では、二成分現像剤を用いたタイプを前提とし、特に高速化(現像能力の向上)という要請を満足しながら、小型化且つ低廉化を実現することを目的としている。
【0028】
更に、特開2000−105488号公報には、フロー式粒子分析装置によって測定される円相当径による粒度分布において、円相当径が0.60μm以上1.00μm身満の範囲の粒子の割合が、個数基準で全体の5.0%未満であるトナーと、無機微粉体とを有する負帯電現像剤(1成分系又は2成分系現像剤)を用い、且つ、少なくとも、被覆用結着樹脂、該被覆用結着樹脂中に分散された導電性微粒子、及び含窒素複素環化合物を有する導電性樹脂被覆層を有する現像装置が提案されている。この現像装置は、繰返し複写や耐久による現像剤担持体表面の導電性被覆層の劣化が生じ難く、異なる環境条件下において高耐久性を有し、更に、小粒径の低音定着材料を有する球状トナーを使用した場合にも、画像欠陥のない高濃度の高品位画像が安定して得られるとしている。また、どう公報には、現像剤層厚規制部材(ドクタ)として現像ローラ中の磁極に対向する位置で磁性材料を用いてトナーのチャージアップを効率良く行う手段が記載されている。
【0029】
また、特開平7−084439号公報には、低電位システムを構築するために、現像ポテンシャルを|VB−VL|≦400Vに規定する技術が示されている。しかし、現像ギャップを小さくして、現像電界を強めていくと、地汚れ余裕度低下や感光体の帯電ムラの影響を受けやすくなる。
【0030】
また、特開平6−289707号公報には、感光体の長寿命化に対してアモルファスシリコンを材料として使用する感光体を想定し、帯電時に発生するオゾン生成物の感光体への付着を無くすことを目的とする手段が提案されている。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の従来の現像装置においては、前述したように、その現像剤担持体としての円筒状に形成された現像スリーブの内部に、該現像スリーブの表面に現像剤の穂立ちを生じさせるように磁界を形成する磁界形成手段としての永久磁石体(磁石ローラ)を配置した構成の現像ローラが用いられている。現像ローラの現像スリーブ上に担持された現像剤は、該現像スリーブの回転により現像ニップ領域に向けて運ばれ、該現像ニップ領域付近で、その磁性キャリアが、該磁性キャリアに付着した帯電トナーとともに、上記磁石ローラから生じる磁力線に沿うように現像スリーブ上に穂立ちする。
【0032】
上記磁石ローラは、通常、永久磁石からなる複数の磁極を備え、それぞれの磁極を形成する磁石が棒状などに形成されている。特に、該磁石ローラの上記現像領ニップ領域に対向する部分には、上記現像スリーブ上に担持されて搬送される現像剤を穂立ちさせるための現像磁極が配置されている。この現像磁極は、該現像スリーブ上に穂立ちされる磁気ブラシの形状を決定する上で極めて重要な役割を有している。
【0033】
すなわち、前記「後端白抜け」を防止するためには、前述したように、上記現像スリーブ上の法線方向における磁束密度分布を規定して、現像スリーブの回転方向における現像ニップ幅を狭くしたり、上記磁気ブラシの形状を密にしたりすることが有効である。そして、上記現像磁極の現像スリーブの回転方向における幅をできるだけ小さく形成することで、上記現像ニップ幅を狭くし、且つ磁気ブラシの形状を密にすることが可能になる。
【0034】
ところが、従来の現像装置においては、その磁極として何れも粉末磁性粒子を用いた永久磁石が用いられている。このような永久磁石は、磁性体を粉末化したときに透磁率が抑制される(通常は1/10に低下する)ため、この透磁率の低下が磁束密度を高める場合の足かせとなる。また、上述のような粉末磁性粒子を固めて形成された磁石は、脆性に対する機械的強度が低く、衝撃に脆いという欠点がある。従って、このような粉末磁性粒子を固めた永久磁石からなる現像磁極は、その形成に際して、磁性体を粉末化したときの透磁率の低下や、脆性に対する機械的強度などを考慮する必要があり、その現像スリーブの回転方向における幅、及び現像スリーブの回転中心軸方向における長さが自ずと制約されたものになる。
【0035】
このため、粉末磁性粒子を固めた永久磁石で上記現像磁極を構成した場合には、上記「後端白抜け」の発生を防止できるような現像ニップ幅や磁気ブラシ形状を得るために、該現像磁極の現像スリーブの回転方向における幅を、狙いとする小さな幅に設定することが難しかった。ちなみに、生め込みタイプの永久磁石の形成可能な最小幅は、2mm〜2.5mmが限界とされている。
ここで、該現像磁極の脆性に対する強度を高める方法として、上記粉末磁性粒子に弾性材料を混練して固めることが考えられる。しかし、このような方法では、該現像磁極に柔軟性を持たせることはできるが、上記弾性材料が混練されることによって磁性粉末粒子の含有率が低下することになり、その磁束密度が低下する。このため、このような弾性材料を混練した現像磁極を2成分現像方式の現像装置に用いた場合には、感光体表面に対して磁性キャリアが付着し易くなるという問題が発生する。特に、小粒径のキャリアや樹脂キャリア(磁性体粒子を樹脂で固めたキャリア)を用いた現像装置では、キャリア個々の磁化が小さいので、感光体表面へのキャリア付着を防止することが難しくなる。
【0036】
このように、従来の現像装置においては、その現像剤担持体の磁極の幅を小さくすることが難しいため、該現像剤担持体上の限定した局部に、狙いとする幅の密な形状の磁気ブラシを形成することが難しかった。また、磁極として幅の狭い永久磁石を用いた現像装置においては、該磁極のエネルギー積が小さくなるため、該磁極の法線方向磁束密度の減衰率を狙いとする値にすることも難しかった。
【0037】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、磁性粒子を含む現像剤を担持する現像剤担持体上の局部に強い磁力作用を有する磁界を形成することができる現像装置を提供することである。また、本発明の他の目的は、該現像装置の現像剤担持体上に磁気ブラシを形成するための磁石ローラ、該現像装置を用いた画像形成方法、該画像形成方法を実施するための画像形成装置、該現像装置を搭載したプロセスカートリッジを提供することである。
【0040】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、磁性粒子を含む現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、該現像剤担持体に対向配置された現像剤規制部材とが対向するトナー摩擦帯電領域で、該トナー摩擦帯電領域に対向するように配置した現像剤規制磁極により、該現像剤担持体上の現像剤を穂立ちさせて、該現像剤担持体により担持搬送される現像剤中のトナーを摩擦帯電する構成の現像装置において、上記現像剤規制磁極は、所定の間隙を隔てて配置した同極性の一対の補助磁極と、該補助磁極の隙間に配設した該補助磁極よりも高透磁率の軟磁性体からなる磁界形成部材とで構成されていることを特徴とするものである。
【0041】
この現像装置においては、上記現像剤規制磁極としての上記一対の補助磁極からでる磁力線が、該補助磁極の隙間に配設した該補助磁極よりも高透磁率の軟磁性体からなる磁界形成部材に収束される。これにより、上記現像剤担持体の表面の限定された局部、つまり該現像剤担持体上の上記トナー摩擦帯電領域と対向する部位に、強い磁力作用を有する磁界が形成され、該現像剤担持体上に上記現像剤中のトナーを効率よく摩擦帯電することができる幅の狭い密な磁気ブラシが形成されるようになる。
【0044】
請求項2の発明は、磁性粒子を含む現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、該現像剤担持体に対向配置されたトナー担持体とが対向するトナー受渡領域で、該トナー受渡領域に対向するように配置したトナー受渡磁極により、該現像剤担持体上の現像剤を穂立ちさせて、該現像剤担持体により担持搬送される現像剤中のトナーを該トナー担持体上に受け渡した後、このトナー担持体上に受け渡されたトナーにより、該トナー担持体に対向するように配置された潜像担持体上の静電潜像を可視像化する構成の現像装置において、上記トナー受渡磁極は、所定の間隙を隔てて配置した同極性の一対の補助磁極と、該補助磁極の隙間に配設した該補助磁極よりも高透磁率の軟磁性体からなる磁界形成部材とで構成されていることを特徴とするものである。
【0045】
この現像装置においては、上記トナー受渡磁極としての上記一対の補助磁極からでる磁力線が、該補助磁極の隙間に配設した該補助磁極よりも高透磁率の軟磁性体からなる磁界形成部材に収束される。これにより、上記現像剤担持体の表面の限定された局部、つまり該現像剤担持体上の上記トナー受渡領域と対向する部位に、強い磁力作用を有する磁界が形成され、該現像剤担持体上に、該現像剤担持体により担持搬送される現像剤中のトナーを上記トナー担持体上に効率よく受け渡すことができる幅の狭い密な磁気ブラシが形成されるようになる。
【0046】
請求項3の発明は、請求項1又は2の現像装置において、上記磁界形成部材の上記現像剤担持体に最も近接した部位と該現像剤担持体との離間距離が、上記一対の補助磁極の該現像剤担持体に最も近接した部位と該現像剤担持体との離間距離よりも小さいことを特徴とするものである。
【0047】
この現像装置においては、上記磁界形成部材の上記現像剤担持体と対向する部位が、上記一対の補助磁極の該現像剤担持体と対向する部位よりも突出した構成となる。これにより、該一対の補助磁極からでる磁力線の、該磁界形成部材の現像剤担持体と対向する部位に回り込む量が増加されて、該磁界形成部材からでる磁力が大きくなる。
【0048】
請求項4の発明は、請求項1、2又は3の現像装置において、上記磁界形成部材の上記現像剤担持体に最も近接した部位の、上記現像剤の搬送方向の幅が、2mm未満であることを特徴とするものである。
【0049】
この現像装置においては、上記磁界形成部材の上記現像剤担持体と対向する部位の幅が、2mm未満の幅に形成されている。これにより、上記現像剤担持体の表面の限定された局部に強い磁力作用を有する磁界が形成されて、該現像剤担持体上に幅の狭い密な磁気ブラシが形成されるようになる。
【0050】
請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4の現像装置において、上記磁界形成部材と上記一対の補助磁極との間の、少なくとも上記現像剤担持体に最も近接した部位に、隙間が形成されていることを特徴とするものである。
【0051】
この現像装置においては、上記磁界形成部材と上記一対の補助磁極との間に隙間が形成されている。これにより、該磁界形成部材と該一対の補助磁極との短絡による磁界強度の低下が解消され、該現像剤担持体上に幅の狭い密な磁気ブラシが形成されるようになる。
【0052】
請求項6の発明は、請求項1、2、3、4又は5の現像装置において、上記一対の補助磁極のうち、少なくとも一方の補助磁極が、希土類磁性材料を含む永久磁石で構成されていることを特徴とするものである。
【0053】
この現像装置においては、上記一対の補助磁極のうち、少なくとも一方の補助磁極が、希土類磁性材料を含む永久磁石で構成されているので、該補助磁極の小サイズ化が可能になり、現像装置を小型・軽量化することができるようになる。すなわち、希土類金属合金磁石のうち代表的な鉄ネオジウムボロン合金磁石の最大エネルギー積は358kJ/m3であり、鉄ネオジウムボロン合金ボンド磁石の最大エネルギー積は80kJ/m3前後であり、このような希土類磁性材料を含む永久磁石は、相当に小サイズ化しても必要な磁力を確保できる。ちなみに、従来の通常フェライト磁石やフェライトボンド磁石では最大エネルギー積がそれぞれ36kJ/m3前後、20kJ/m3前後である。なお、上記補助磁極としては、サマリウム合金系磁石、特にサマリウムコバルト合金系磁石などを用いることも可能である。
【0054】
請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、5又は6の現像装置において、上記現像剤は、磁性キャリアとトナーとを含む2成分現像剤からなり、該磁性キャリアは、体積平均粒径が該トナーの平均体積粒径よりも大きく、1kOe磁場中における磁化の強さが5乃至25emu/cm3であることを特徴とするものである。
【0055】
この現像装置においては、体積平均粒径が上記トナーの平均体積粒径よりも大きく、1kOe磁場中における磁化の強さが5乃至25emu/cm3である磁性キャリアを含んだ2成分現像剤が用いられている。これにより、該現像剤の磁性キャリアに強い磁力を作用させることができるようになり、現像時における磁性キャリアの飛散や潜像担持体への付着を防止できるようになる。
【0056】
請求項8の発明は、請求項3の現像装置において、上記一対の補助磁極からでる法線方向の磁力線のピーク部と、上記磁界形成部材の上記現像剤担持体に最も近接した部位との距離が、該磁界形成部材の現像剤担持体に最も近接した部位と、該現像剤担持体の表面との距離よりも大きいことを特徴とするものである。
【0057】
この現像装置においては、上記一対の補助磁極からでる磁力線のうちの磁束密度が最も高いピーク部の磁力線が、上記磁界形成部材に収束されるようになる。これにより、上記現像剤担持体の表面の限定された局部に、最も強い磁力作用を有する磁界が形成され、該現像剤担持体上に、より幅の狭い密な磁気ブラシが形成されるようになる。
【0062】
請求項9の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7又は8の現像装置において、上記現像剤担持体を複数個有していることを特徴とするものである。
【0063】
この現像装置においては、上記潜像担持体上に形成された静電潜像が、上記複数個の現像剤担持体から供給される現像剤中のトナーによりトナー像化される。これにより、現像時における現像効率がより向上されるようになる。
【0064】
請求項10の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9の現像装置における現像剤担持体としての円筒状に形成された現像スリーブ内に配設される磁石ローラであって、所定の間隙を隔てて配置した同極性の一対の補助磁極と、該補助磁極の隙間に配設した該補助磁極よりも高透磁率の軟磁性体からなる磁界形成部材とからなる少なくとも1つの磁極を有していることを特徴とするものである。
【0065】
この磁石ローラにおいては、上記一対の補助磁極からでる磁力線が、該補助磁極の隙間に配設した該補助磁極よりも高透磁率の軟磁性体からなる磁界形成部材に収束される。これにより、上記現像スリーブの表面の限定された局部に、強い磁力作用を有する磁界を形成して、該現像スリーブ上に幅の狭い密な磁気ブラシを形成できる磁石ローラを提供できるようになる。
【0066】
請求項11の発明は、請求項10の磁石ローラにおいて、上記磁極の法線方向磁束密度の変化率が40%以上であることを特徴とするものである。
【0067】
この磁石ローラにおいては、その磁極の法線方向磁束密度の変化率が40%以上であるので、上記一対の補助磁極からでる磁力線が、高い磁気勾配部を形成しながら、上記磁界形成部材に収束されるようになる。これにより、上記現像スリーブの表面の限定された局部に、強い磁力作用を有する磁界を形成して、該現像スリーブ上に、より幅の狭い密な磁気ブラシを形成できる磁石ローラを提供できるようになる。
【0068】
請求項12の発明は、像担持体の表面に潜像を形成し、該像担持体上に形成した潜像を現像手段によりトナー像化した後、該像担持体上のトナー像を転写材上に転写して画像を形成する画像形成方法において、上記現像手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、又は9の現像装置を用いることを特徴とするものである。
【0069】
この画像形成方法においては、該像担持体上に形成した潜像が、請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9の現像装置を用いてトナー像化された後、該像担持体上のトナー像が転写材上に転写される。これにより、該転写材上に上記「後端白抜け」のない画質の良好な画像が形成されるようになる。
【0070】
請求項13の発明は、像担持体と、該像担持体の表面に潜像を書き込む潜像書込み手段と、該潜像書込み手段により像担持体上に書き込まれた潜像をトナー像化する現像手段と、該現像手段により像担持体上に形成されたトナー像を転写材上に転写する転写手段とを有する画像形成装置において、上記現像手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9の現像装置を用いることを特徴とするものである。
【0071】
この画像形成装置においては、上記現像手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9の現像装置が用いられるので、上記「後端白抜け」のない画質の良好な画像を形成することができる画像形成装置を提供することができるようになる。
【0072】
請求項14の発明は、像担持体を均一に帯電し、光学系により露光することで該像担持体の表面に静電潜像を形成し、現像剤を担持搬送する現像手段の現像剤担持体と該像担持体とが対向する現像領域に現像バイアスを印加して、該像担持体上の静電潜像をトナー像化した後、該像担持体上のトナー像を転写材上に転写して画像を形成する画像形成方法において、上記現像手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9の現像装置を使用し、上記像担持体の表面の暗部電位をVD、該像担持体の露光後の表面電位をVL、上記現像バイアスをVBとしたとき、0<|VD|−|VB|<|VD−VL|<400Vの関係を満たすことを特徴とするものである。
【0073】
この画像形成方法においては、上記関係が満たされることにより、上記潜像担持体上の初期帯電電位を低くし、上記光学系による該潜像担持体の表面への露光光量も低減させて、該潜像担持体上に低電位コントラストの高精細な潜像を形成できるようになる。また、これにより、該潜像担持体の表面の、帯電・露光によって通電電荷量がアップすることによる該潜像担持体の表面劣化(いわゆる静電ハザード)が低減されて、該潜像担持体の長寿命化を図ることが可能になる。
【0074】
請求項15の発明は、像担持体と、該像担持体の表面を均一に帯電する帯電手段と、該帯電手段により均一に帯電された像担持体の表面を露光して該像担持体の表面に静電潜像を形成する光学系と、現像剤を担持搬送する現像剤担持体を備えた現像手段と、現像剤担持体と該像担持体とが対向する現像領域に現像バイアスを印加する現像バイアス印加手段と、該現像手段により像担持体上に形成されたトナー像を転写材上に転写する転写手段とを有する画像形成装置において、上記現像手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9の現像装置を使用し、上記像担持体の表面の暗部電位をVD、該像担持体の露光後の表面電位をVL、上記現像バイアスをVBとしたとき、0<|VD|−|VB|<|VD−VL|<400Vの関係を満たすことを特徴とするものである。
【0075】
この画像形成装置においては、上記関係が満たされることにより、上記潜像担持体上に低電位コントラストの高精細な潜像を形成して、画質の良好な画像を形成することができ、該潜像担持体の表面の静電ハザードを低減できる画像形成装置を提供することができるようになる。
【0076】
請求項16の発明は、像担持体と、該像担持体の表面を帯電する帯電手段と、該帯電手段により帯電された像担持体の表面に潜像を書き込む潜像書込み手段と、該潜像書込み手段により像担持体上に書き込まれた潜像をトナー像化する現像手段と、該現像手段により像担持体上に形成されたトナー像を転写材上に転写する転写手段と、該トナー像を転写材上に転写した後の像担持体上の残留トナーを除去するクリーニング手段とを有する画像形成装置で用いられるプロセスカ−トリッジであって、画像形成装置本体に対して着脱自在に構成され、且つ上記像担持体と、上記現像手段と、上記帯電手段、転写手段、クリーニング手段のうちの少なくとも1つの手段とを一体化して支持するプロセスカ−トリッジにおいて、上記現像手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9の現像装置を用いることを特徴とするものである。
【0077】
このプロセスカ−トリッジにおいては、その現像手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9の現像装置が用いられる。これにより、画質の良好な画像を形成することができ、上記潜像担持体の表面の静電ハザードを低減できるプロセスカ−トリッジを提供することができるようになる。
【0078】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、画像形成装置であるプリンタに適用した一実施形態について説明する。なお、本実施形態は、プリンタ以外に、複写機やファクシミリなどにも適用することができる。
まず、本実施形態の説明に先立って、本発明が適用されるプリンタについて説明する。このプリンタは、本出願人が提案した特開2000−305360号公報に示すもので、その主要部の概略構成を図6に示す。
【0079】
図6において、潜像担持体である感光体ドラム1の周囲には、感光体ドラム1の表面を一様帯電する帯電手段としての帯電ローラ等の帯電装置2、この帯電装置2で一様帯電処理された感光体ドラム1の表面にレーザ光線Lにより潜像を形成する図示しない露光装置、この露光装置により感光体ドラム1上に形成された潜像に対して帯電トナーを付着させることでトナー像を形成する現像手段としての現像装置4、感光体ドラム1上に形成されたトナー像を転写材としての記録紙に転写する転写手段としての転写装置5、転写後に感光体ドラム1上に残った転写残トナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニング装置7、クリーニング後の感光体ドラム1上の残留電位を除去する除電手段としての除電ランプ8が配置されている。上記転写装置5としては、転写ベルト、転写ローラ、転写チャージャ等を利用することができるが、本実施形態では、上記記録紙を搬送する搬送ベルトを兼ねた転写ベルトを採用している。
【0080】
感光体ドラム1は、図6の矢印方向に回転駆動されて表面が移動する。この感光体ドラム1の表面には、帯電装置2の帯電ローラによって該表面が一様に帯電された後、レーザ光線Lによって静電潜像が形成される。この静電潜像は、感光体ドラム1の回転により、現像装置4に設けられる現像剤担持体としての現像ローラ41との対向位置である現像領域において、該現像装置4から供給される現像剤中の帯電トナーによりトナー像化される。
【0081】
このようにして感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、感光体ドラム1の回転により、上記転写装置5との対向位置まで移動し、図示しない給紙トレイから搬送された記録紙上に転写される。このトナー像が転写された記録紙は、上記転写ベルト5により定着装置6に向けて搬送され、該定着装置6によって転写されたトナー像が定着される。一方、該記録紙に転写されずに感光体ドラム1上に残った転写残トナーは、上記クリーニング装置7によって回収される。これにより、表面がクリーニングされた感光体ドラム1は、上記除電ランプ8により、該表面上の残留電荷が除去されて初期化されて、次の画像形成プロセスに供されることになる。
【0082】
次に、上記感光体ドラム1上に形成された潜像の現像工程について説明する。
図7に、上記現像装置4の概略構成を示す。図7において、現像ローラ41は、感光体ドラム1に近接するようにして配置されており、両者の対向部分に現像領域が形成されるようになっている。上記現像ローラ41は、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂などの非磁性体からなる円筒状に形成された現像スリーブ43と、この現像スリーブ43の表面上に現像剤を穂立ちさせるように磁界を形成する磁界発生手段としての磁石ローラ44とで構成されている。なお、上記現像領域とは、現像スリーブ43上の磁気ブラシが感光体ドラム1と接触している範囲をいう。
【0083】
上記現像スリーブ43は、図示しない回転駆動機構によって矢印方向(時計回り方向)に回転自在となるように支持されており、上記磁石ローラ44は、該現像スリーブ43内に固定状態で配設されている。これにより、現像装置4の現像ケーシング46内の現像剤中の磁性キャリアが、磁石ローラ44からでる磁力線に沿うようにして、現像スリーブ43上にチェーン状に穂立ちする。そして、このチェーン状に穂立ちした磁性キャリアに現像剤中の帯電トナーが付着して、現像スリーブ43の表面上に磁気ブラシMBが形成される。
【0084】
この現像スリーブ43の表面上に形成された磁気ブラシMBは、現像スリーブ43の回転に伴って、現像スリーブ43と同方向すなわち時計回り方向に搬送される。この現像剤の搬送方向における現像領域の上流側部分には、現像剤チェーンの穂の高さ、すなわち現像剤の量を規制する現像剤規制部材としてのドクターブレード45が設置されている。さらに、感光体ドラム1に対向する現像ローラ41の後方領域には、現像ケーシング46内の現像剤を撹拌させながら現像ローラ41側に汲み上げるスクリュー47が設置されている。
【0085】
次に、上記磁石ローラ44からでる磁界について説明する。図8及び図9に示すように、上記磁石ローラ44は、複数の磁極を備えている。具体的には、上記現像領域部分に現像剤を穂立ちさせる現像主磁極P1bと、現像主磁極P1bの磁力と極性の異なる補助磁極P1a,P1cと、現像スリーブ43上に現像剤を汲み上げるための磁極P4と、現像スリーブ43上に現像剤を汲み上げられた現像剤を現像領域まで搬送させる磁極P5,P6と、現像後の領域で現像剤を搬送させる磁極P2,P3とを備えている。これらの磁極P1a,P1b,P1c,P2,P3,P4,P5,P6は、現像スリーブ43の半径方向に向けて配置されている。なお、図示の磁石ローラ41は、8極の磁極を備えているが、該磁石ローラ41による現像剤の汲み上げ性、黒ベタ画像の現像時の追従性を向上させるために、P3極からドクターブレード45までの間に、2個乃至4個の磁極を更に増設した10極や12極の磁極を備えた構成としてもよい。
【0086】
上記現像磁極P1群は、図8に示すように、各磁極P1a,P1b,P1cとも、横断面の小さい磁石により構成されている。横断面が小さくなると、一般に磁力は弱くなり、現像ローラ41の表面の磁力が小さくなりすぎると、キャリアを保持する力が充分ではなくなるため、感光体ドラム1へのキャリア付着を生じるおそれがある。そこで、これらの磁極P1a,P1b,P1cを構成する磁石は、磁力の強い希土類金属合金磁石により作製するのが好ましい。希土類金属合金磁石のうち、代表的な鉄ネオジウムボロン合金磁石によれば、358kJ/m3の最大エネルギー積を得ることができ、また、鉄ネオジウムボロン合金ボンド磁石によれば、80kJ/m3前後の最大エネルギー積を得ることができる。このような希土類金属合金磁石を用いれば、従来、一般には、最大エネルギー積が36kJ/m3前後、20kJ/m3前後のフェライト磁石、フェライトボンド磁石等が用いられていたが、これらに比べて、強い磁力を確保することができる。よって、横断面の小さい磁石を用いても、現像ローラ41の表面の磁力を十分に確保することができる。なお、十分な磁力を確保するためには、この他に、サマリュウムコバルト金属合金磁石等を用いることもできる。
【0087】
上述のような構成により、主磁極P1bの半値幅は小さくなり、その結果、現像領域における現像ニップ幅を短くすることができる。そして、感光体ドラム1の表面を摺擦する磁気ブラシによる現像ニップ幅が小さくなることによって、該磁気ブラシ先端部でトナードリフトが起こりにくくなり、前述したような画像の「後端部白抜け」を低減させることができるようになる。
【0088】
また、上記補助磁極P1a,P1cの存在により、主磁極P1bの磁力線の回り込みが強くなり、その結果、現像領域における法線方向の磁力密度の減衰率が高くなり、現像領域内での磁気ブラシMBを密に形成することができる。具体的には、感光体ドラム1のドラム径を60mm、現像スリーブ43のスリーブ径を20mmとしている。また、図9に示すように、主磁極P1bの両側にある補助磁極P1a,P1cを30°以下の角度、具体的には25゜とすれば、主磁極P1bの半値幅を22゜以下、具体的には16°とすることができる。さらに、補助磁極P1a,P1cと、その補助磁極の外側にある磁極P2,P6との変極点(0mT:磁力がN極からS極、S極からN極に変わる点)間角度は、120°以下で形成している。この状態で、感光体ドラム1を240mm/秒、現像スリーブ4を600mm/秒で回転駆動して現像を行うと、現像ニップ幅は2mm以下となる。
【0089】
このプリンタにおける主磁極P1bの現像スリーブ43の表面での磁束密度を、ADS社製ガウスメータ(HGM−8300)並びにADS社製A1型アキシャルプローブを用いて測定したところ、117mTであった。また、同様に、現像スリーブ43の表面から1mm離れた位置での磁束密度を測定したところ、54.4mTであった。従って、このプリンタにおける現像ローラ41の法線方向への磁束密度の減衰率は、53.5%となる。
【0090】
このように、現像ローラ41の法線方向への磁束密度の減衰率を高めることで、上記現像領域内での磁気ブラシMBを密に形成することができる。これにより、磁気ブラシMBは、現像領域において、現像ローラ41の長手方向にばらつくことなく充分均一に形成されることになる。従って、このプリンタにおいては、現像ローラ41上における長手方向全領域において、上記「後端白抜け」を低減することができるようになる。
なお、ここでは補助磁極を用いた例を説明したが、補助磁極を用いず主磁極P1bのみを用いた場合でも、搬送磁極等P2,P3,P4,P5,P6への磁力線の回り込みが強く、上記現像領域において、法線方向における磁束密度の減衰率が40%以上になるものであれば、磁気ブラシMBは密に形成され、上記「後端白抜け」を充分に低減することができる。
【0091】
このような構成の現像ローラ41を用いることにより、該上記現像ローラ41と感光体ドラム1との間の現像ギャップを更に狭くすることができる。具体的には、多くの従来機では現像ギャップが0.55〜0.9mmであるのに対し、このプリンタでは、現像ギャップを0.3〜0.5mmに設定することができる。従って、このプリンタによれば、従来よりもドット再現性が良い高品質な画像を得ることができる。
【0092】
図10は、上記現像ローラ41の回転駆動機構を示す概略構成図である。この回転駆動機構は、現像スリーブ43を回転させるための回転軸41aと、この回転軸41aを現像ローラ41の軸方向両端外部で軸受けする軸受部材としての軸受41bとを備えている。この軸受41bには、回転軸41aと接触する部分に、調節手段としてのシート部材50が貼り付けられている。このシート部材50を軸受け41bに貼り付けることで、貼付前よりも、回転軸41aを感光体ドラム1側に変位させることができる。よって、現像ギャップは、貼付前よりも、狭くすることができる。これにより、現像ギャップが規制ギャップよりも広い場合に、そのシート部材50を用いることで、現像ギャップを規制ギャップとほぼ同じ広さに調節することができる。
【0093】
ここで、本発明者は、上記シート部材として適切な材料を研究するため、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、テフロン樹脂など、他種の材料を試したところ、アクリル系樹脂の場合には潰れなどの変形が少なく、現像ギャップを一定の広さに維持できることを確認した。更に、アクリル系樹脂の場合には、剥がれなどの異常も発生しなかった。この結果、シート状部材の材料としてアクリル系樹脂を選択することにより、良好な条件を維持することができることが判明した。
【0094】
ところで、この種のプリンタにおいて、高画質な画像形成と装置の長寿命化との両立を図る場合には、現像剤の長寿命化、及び上記感光体ドラム1の表面に潜像及びトナー像を高精細に形成することが大きな課題となる。つまり、この種のプリンタにおいては、その現像剤中のトナーが、磁性粒子である磁性キャリアもしくは上記ドクターブレード45との接触により帯電する際に、機械的なハザードを受けることによって、トナーの外側に付着している外添剤がトナーに埋没して流動性が低下したり、その帯電能が低下したりするため、画像品質を維持するのが非常に難しい。
【0095】
従って、このようなプリンタにおいて、高画質な画像形成を達成するには、現像剤中のトナーの帯電時における機械的ハザードを低減することが考えられるが、このトナーの受ける機械的ハザードを低減すると、トナーの摩擦帯電量があまり高まらなくなってしまう。また、高精細の画像形成には、感光体ドラム1の表面の帯電電位と露光後の表面電位との電位差をできるだけ小さくし、光学系から照射する光もできるだけ低いエネルギーにして、感光体ドラム1の表面に潜像を書き込むことが考えられる。しかし、このようにすると、該潜像の電位コントラストが低くなるため、上記現像装置4の現像能力を高める必要性が生じる。そこで、このような潜像の現像に際しては、比較的低帯電のトナーを使用して、現像時における該潜像へのトナーの付着量を増加させることが有効である。また、このように、感光体ドラム1の表面の潜像及び地肌ポテンシャルが比較的小さい場合には、トナー像を記録紙に転写するときのトナーの散りが発生しにくい。
【0096】
一方、上記プリンタの長寿命化を達成するには、感光体ドラム1の劣化防止が有効である。つまり、感光体ドラム1の表面は、露光による光疲労もさることながら、上記帯電装置2による初期帯電時に強いハザードを受ける。例えば、スコロトロンチャージャに代表される放電を利用した帯電システムでは、感光体ドラム1の表面に電荷が直接降りかかるために、電離作用が表面劣化を促進させる要因となる。このような感光体ドラム1の表面劣化は、その初期帯電電位を、通常設定される−800Vの1/2の、−400Vに設定することで遅らせることが可能となり、感光体ドラム1の長寿命化が可能になる。
【0097】
ところが、上述のように、感光体ドラム1の初期帯電電位を−400Vのような低電位に設定すること、つまり、ネガポジ現像方式において帯電電位を絶対的に下げることは、現像バイアス設定条件を含めた現像ポテンシャルを低減させることに他ならないため、現像装置4の現像能力を上げて飽和現像ポテンシャルを低減させることが必要となる。
【0098】
一方、上記感光体ドラム1の表面に形成されるトナー像の画像濃度を高くする方法としては、
(1)上記感光体ドラム1と現像スリーブ43との間隔である現像ギャップを狭くする。
(2)上記現像領域の現像ニップ幅を広くする。
(3)上記感光体ドラム1に接触するトナーの密度を高める。(2成分現像方式では、トナー濃度や磁気ブラシ先端の剤密度を高める)
(4)上記現像ローラ41の回転数を高める。
などの方法がある。
【0099】
つまり、上記(4)の方法では、現像スリーブ43上に形成された磁気ブラシが感光体ドラム1の表面を摺擦する現像ニップ領域において、感光体ドラム1と現像スリーブ43とに線速差(以下、これを「対感光体線速比」という)を設ける。例えば、対感光体線速比を2.5倍として、現像スリーブ43を、感光体ドラム1よりも2.5倍速く回転させる。また、上記(2)の方法では、現像スリーブ43の現像主磁極半値幅が48°の磁石を用いる時の現像ニップの幅を約4mm(実験値)とする。さらに、上記(1)の方法における現像ギャップとしては、0.4mmの場合をあげることができる。
しかしながら、上記(1)、(2)及び(4)に示す方法では、ベタラインのクロス部や、黒ベタ、ハーフトーンベタ画像の後端部に、前述したような「後端白抜け」のある異常画像が発生しやすい。
【0100】
このような異常画像の発生をなくす1つの方法として、現像バイアスVbと地肌部の電位差を零にする方法が考えられる。しかし、このような方法は、トナーが電荷量分布を持ち、地汚れを発生させ得る低い電荷量のトナーに合わせて、地汚れを生じない電位差に設定される必要があるため、現実的な方策にはなり得ない。
ここで、トナーに磁性体を混合させた磁性トナーを使用することでトナー濃度を高めることができる。しかし、磁性トナーを用いると、トナーが現像スリーブ43側の磁界の影響を受けて、現像電界によるトナーの移動が緩慢となるため、高トナー濃度のわりには感光体ドラム1上の画像部へのトナー付着が少なく、画像濃度が高くならない。また、磁性トナーを用いた場合には、トナーが磁性体を含んでいるため、カラートナーへの展開が難しい。従って、このような磁性トナーを使用する方法も有効な改良の方策とすることが困難である。
【0101】
なお、上記磁性キャリアの特性やキャリア表面の構成を改良することで「後端白抜け」の発生を防止する方法も考えられるが、磁性キャリアの耐久性等を考慮すると、「後端白抜け」を防止するためだけの目的で、磁性キャリアを変更するのは実用的でなく、現実的な改良の方策にはなり得ない。
このように、良質な画像を得るためには、画像の細線の再現性、特に縦横比、ドットの再現性、トナー付着の均一性等のファクターをも考慮しながら、画像の「後端白抜け」や「ギザギザ発生」を解消することが重要となる。
このようなことから、従来のプリンタにおいては、その現像装置の現像磁極に、幅の狭い永久磁石を使用していたが、このような現像磁極はエネルギー積が小さく、磁束密度を高める上での制約や空間方向の磁束密度の減衰が多く、また、生め込みタイプの現像磁極の幅は、最小で2mmが限界とされていた。
【0102】
以上の観点より、この種のプリンタにおいて高画質化と長寿命化との両立を図るためには、感光体表面の帯電電位を従来より低減させ、且つ、現像剤へのハザードを低減させた状態で、現像剤の帯電量を従来より低減させて、現像能力を高めることが望ましい。また、感光体表面を低エネルギー光量で露光し、精細な潜像を形成して、高品位画像を形成するシステムとすることが好ましい。更に、特に低コントラスト画像の「後端白抜け」や「ギザギザ発生」を改善して良好な画像濃度と画質を確保すること、現像時における感光体表面への磁性キャリアの付着を防止すること、小径の現像ローラで強い磁力を得ることなどが課題となる。
【0103】
上記課題は、本発明にしたがって、現像剤を現像スリーブに汲み上げて、現像スリーブ上に磁気ブラシを形成し、潜像担持体としての感光体表面に現像剤を摺擦させて潜像を可視像化する現像方法において、該磁気ブラシが現像スリーブ長手方向に対し均一に穂立ちを起こして、感光体表面に接触するように構成することによって解決される。また、該磁気ブラシが現像スリーブ長手方向に対し均一に感光体表面から離間して、穂倒れを起こすように構成すれば、上記課題を一層確実に解決できる。ここで、穂立ち・穂倒れにおける「均一」とは、例えば、磁性キャリアの径が50μmの場合に、スリーブ長手方向における磁気ブラシの穂の振幅が2mm程度、好ましくは1mm程度以下に収まる状態を意味する。
【0104】
ところで、磁性粒子に働く磁気力は、磁性粒子が略球状又は不定形の軟磁性体微粉で磁化が小さく、且つ現像剤担持体としての現像ローラの非磁性体からなる現像スリーブ内に固定配置されている永久磁石の形成する磁界に及ぼす影響が小さく無視できる程度の場合、次式で示すことができる。
f(Mag)=(M/V)H0、但し、M=VJmとする。
ここで、f(Mag):磁気力、M:磁性粒子の磁気モーメント、H0:磁界、V:磁性粒子の体積、Jm:磁性粒子の磁化即ち磁気力は磁性粒子の大きさ、磁化率、磁界の強さ及び磁気勾配に比例する力として近似できる。
【0105】
そこで、上記磁気勾配を大きくする観点から、上記現像領域で穂立ちを起こす現像主磁極の法線方向磁束密度の減衰率を40%以上、好ましくは50%以上とすることで、上記課題が解決される。つまり、磁極の減衰率が大きくなるということは、磁気ブラシの立ち上がり・倒れの間の穂立ち幅が小さくなることであり、その結果、磁気ブラシは短く且つ密に立ち上がることとなる。このような短く且つ密な立ち上がりをする磁気ブラシは、スリーブ長手方向において考察すると、立ち上がり・倒れの均一化をもたらすものである。
【0106】
(実施例1)
図1に、本発明の実施形態に係るプリンタの現像装置における現像ローラの現像磁極の極磁界形成部材としてヨークを利用した例を示す。
この現像装置における現像ローラ41は、図1に示すように、回転自在の現像スリーブ43と、該現像スリーブ43に内蔵された磁石ローラ44とで構成されている。そして、その磁石ローラ44の現像磁極は、所定の間隙を隔てて配置した同極性(ここでは、N極)の一対の補助磁極44a、44bと、該補助磁極44aと、44bとの隙間Gに配設した極磁界形成部材としてのヨーク60とで構成されている。該ヨーク60は、補助磁極44a、44bよりも高透磁率の軟磁性体で形成されている。
【0107】
ここで、現像磁極の減衰率を大きくするには、その磁界を形成する上記ヨーク60の形状の選択によって実現可能である。すなわち、後述するように、実験的には、ヨーク60の幅を狭くすることで、その減衰率が大きくなることが判明している。また、前述したように、現像磁極は、その半値幅が、22°以下、望ましくは18°以下となるように構成することが好ましい。半値幅とは、法線方向の磁束密度分布曲線の最高法線磁束密度(頂点)の半分の値を指す部分の角度幅のことである。例えば、N極によって作製されている磁石の最高法線磁束密度が120mT(ミリテスラ)であった場合には、その半値である50%の60mTをいう。なお、半値80%という表現もあり、この場合には96mTとなる。
【0108】
すなわち、上記ヨーク60の幅が狭くなれば、磁気ブラシの穂立ち位置が、この幅の狭いヨーク60に近づき、現像ニップ幅自体も狭くなり、良好な画像濃度と画質を確保することができるようになる。
上記現像磁極としては、現像領域において必要最低限の磁束密度である60mT程度を確保できることが条件とされる。
【0109】
(実施例2)
上記現像磁極としては、上記ヨーク60に隣接する一対の永久磁石からなる各補助磁極44a、44bのうち、少なくとも一方が希土類金属合金によって構成されることが好ましい。すなわち、各補助磁極44a、44bのうちの一方を希土類磁性材料を含む永久磁石で構成することにより、現像磁極の小サイズ化が可能になり、現像装置を小型・軽量化することができるようになる。これは、希土類金属合金磁石のうち代表的な鉄ネオジウムボロン合金磁石の最大エネルギー積は358kJ/m3であり、鉄ネオジウムボロン合金ボンド磁石の最大エネルギー積は80kJ/m3前後であり、このような希土類磁性材料を含む永久磁石は、相当に小サイズ化しても必要な磁力を確保できることによる。ちなみに、従来の通常フェライト磁石やフェライトボンド磁石では最大エネルギー積がそれぞれ36kJ/m3前後、20kJ/m3前後である。なお、上記補助磁極としては、サマリウム合金系磁石、特にサマリウムコバルト合金系磁石などを用いることも可能である。
【0110】
(実施例3)
図2に、本発明の実施形態に係るプリンタの現像装置における現像ローラのドクターブレード45に対向する現像剤規制磁極の極磁界形成部材として上記ヨーク60を利用した例を示す。この現像剤規制磁極は、図1に示した現像磁極と同様に構成されているので、その構成の説明は省略する。
この現像装置においては、上記現像剤規制磁極としての上記一対の補助磁極44a、44bからでる磁力線が、該補助磁極44a、44bの隙間Gに配設した磁界形成部材としてのヨーク60に収束されるようになる。これにより、上記現像スリーブ43の表面と上記ドクターブレード45との間のトナー摩擦帯電領域に、強い磁力作用を有する磁界が形成され、該現像スリーブ43上に現像剤中のトナーを効率よく摩擦帯電することができる幅の狭い密な磁気ブラシが形成されるようになる。
【0111】
図3に、上記ヨーク60が、隣接する一対の補助磁極44a、44bによって、強く磁化した磁性粒子としての磁性キャリアに大きな磁気力を及ぼす強い磁場、つまり高磁気勾配磁場が形成される様子を示す。
【0112】
(実施例4)
上記ヨーク60は、図1に示すように、その幅が一対の補助磁極44a、44bの隙間Gの溝幅より狭く形成し、その先端の高さは、該補助磁極44a、44bの先端の高さと同じか、あるいは、該補助磁極44a、44bの先端の高さよりも、いくらか高くする。つまり、該補助磁極44a、44bの対向する面は同極であるので、該補助磁極44a、44bがヨーク60と接してしまうと、磁力線がヨーク60内で導通してしまう。そこで、該補助磁極44a、44bとヨーク60の先端とが接しない構成とする。
上記ヨーク60の材料としては、鉄、純鉄、珪素鉄(4Si),78パーマロイ(78.5Ni),スーパーマロイ(5Mo,79Ni),45.25パーミンバー(25Co,45Ni)等の高透磁率材料が好適である。
【0113】
上記補助磁極44a、44bを構成する磁石としては、以下のようなものを用いることができる。
1、磁気エネルギーの発生形態による分類。
(1)永久磁石(Magnet)。
(2)一次磁石。
(a)磁化された電磁軟鉄(磁石を取り去ると磁力を失う)。
(b)電磁石(電流を切ると磁力を失う)。
(c)超電導磁石。
【0114】
2、磁石の素材による分類(セラミックス磁石、実用磁石、順時エネルギー積大)。
(1)アルニコ2,3,5,6,7,8、(Fe−Al−Ni−Co)、MK鋼。
(2)Baフェライト、Srフェライト、PBフェライト、OP磁石(コバルトフェライト)。
(3)バリウムフェライトBaO/6Fe2O3、ストロンチウムフェライトSrO/6Fe2O3、鉛フェライト。
(4)希土類磁石、SmCo2(サマリウムコバルト)Sm2Co17。
(5)希土類磁石、Nd−Fe−B(ネオジウム鉄ボロン)、ボロン=ホウ素。
【0115】
3、磁石の状態による分類。
(1)固体磁石。
(2)液体磁石。
(3)可とう性磁石(プラスチック磁石、ゴム磁石)。
【0116】
4、磁石の製造方法による分類
1.鋳造磁石→クロム鋼、高コバルト鋼(焼入硬化法)
(合金磁石)
2.鋳造磁石→アルニコ、MK鋼→(析出硬化法)
3.燒結磁石→燒結アルニコ、希土類磁石、フェライト磁石(酸化物磁石)
(セラミク磁石)
4.プラスチック成形→希土類粉末プラスチック磁石
5.ゴム成形→希土類粉末ゴム磁石
6.圧延、線引き、打抜(この後熱処理を行う)→KMC−5
【0117】
5、磁場配向による分類。
(1)等方性(磁場配向処理をしない)。
(2)異方性。
【0118】
上記ヨーク60の素材として使用される強磁性体の初透磁率を以下に示す。
鉄(0.2%不純物) μa=150,μmax=5000。
純鉄(0.05%不純物)μa=10 000,μmax=200 000。
珪素鉄(4Si) μa=500,μmax=7 000。
78パーマロイ(78.5Ni) μa=8 000,μmax=100 000。
スーパーマロイ(5Mo,79Ni)μa=100 000,μmax=1 000 000。
45.25パーミンバー(25Co,45Ni) μa=400,μmax=2 000。
【0119】
上記磁性キャリアの例を以下に示す。
(項目:Commposition,Shape,Size,True Density,Electric Resistance,Saturated Magnetization,Hazardous Ingredients)。
MRC: Magnetic Materials Phenol Resin, Spherical, 10〜100μm,3.5〜4, 102〜1015Ω/cm, 0〜85emu/g, NOT LISTED。
Binder type: Magnetic Materials Resin, Flake, 10〜100μm, 2〜3, 1013Ω/cm以下, 20〜50emu/g, NOT LISTED。
Ferrite: Cu,Zn,Ni−Ferrite etc., Spherical, 50〜300μm, 4.5〜5.5, 106〜1015Ω/cm, 40〜70emu/g, Cu,Zn,Ni are limited。
Iron Powder: Iron, Flake, 50〜200μm, 7〜8, 106Ω/cm以下, 70〜150emu/g, NOT LISTED。
【0120】
上記トナーとしては、磁性体を含有させた磁性トナーを使用することもできる。
トナーの具体的な磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれら金属とアルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属との合金及びその混合物等が挙げられる。
これらの磁性体は、平均粒径が0.1〜2μm程度のものが望ましく、このときの磁性体の含有量は、結着樹脂100重量部に対して20〜200重量部、特に好ましくは結着樹脂100重量部に対して40〜150重量部である。
【0121】
現像剤に用いられる添加剤としては、従来公知のものが使用できるが、具体的には、Si,Ti,Al,Mg,Ca,Sr,Ba,In,Ga,Ni,Mn,W,Fe,Co,Zn,Cr,Mo,Cu,Ag,V,Zr等の酸化物や複合酸化物等が挙げられ、特にSi,Ti,Alの酸化物であるシリカ、チタニア、アルミナが好適に用いられる。
【0122】
また、このときの添加剤の添加量は、母体粒子100重量部に対して0.5〜1.8重量部であることが好ましく、特に好ましくは、0.7〜1.5重量部である。
上記添加剤の添加量が、0.5重量部未満であると、トナーの流動性が低下するため、十分な帯電性が得られず、また、転写性や耐熱保存性も不十分となり、また、地汚れやトナー飛散の原因にもなりやすい。
また、上記添加剤の添加量が、1.8重量部より多いと、流動性は向上するものの、ビビリ、ブレードめくれ等の感光体クリーニング不良や、トナーから遊離した添加剤による感光体等へのフィルミングが生じやすくなり、クリーニングブレードや感光体等の耐久性が低下し、定着性も悪化する。さらに、細線部におけるトナーのチリが発生しやすくなり、特に、フルカラー画像における細線の出力の場合には、少なくとも2色以上のトナーを重ねる必要があり、付着量が増えるため、特にその傾向が顕著である。
さらに、カラートナーとして用いる場合には、上記添加剤が多く含有されていると、透明シートに形成されたトナー画像をオーバーヘッドプロジェクターで投影した場合に投影像にかげりが生じ、鮮明な投影像が得られにくくなる。
【0123】
ここで、上記添加剤の含有量の測定には種々の方法があるが、蛍光X線分析法で求めるのが一般的である。すなわち、添加剤の含有量既知のトナーについて、蛍光X線分析法で検量線を作成し、この検量線を用いて、添加剤の含有量を求めることができる。
さらに、上記添加剤は、必要に応じ、疎水化、流動性向上、帯電性制御等の目的で、表面処理を施されていることが好ましい。
【0124】
ここで、表面処理に用いる処理剤としては、有機系シラン化合物等が好ましく、例えば、メチルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等のアルキルクロロシラン類、ジメチルジメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のアルキルメトキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、シリコーンオイル等が挙げられる。
また、処理方法としては、有機シラン化合物を含有する溶液中に添加剤を漬積し乾燥させる方法、添加剤に有機シラン化合物を含有する溶液を噴霧し乾燥させる方法等があるが、本発明においては、いずれの方法も好適に用いることができる。
【0125】
トナーの体積平均粒径の範囲は、3〜12μmが好適であるが、本実施例では、5μmであり、1200dpi以上の高解像度の画像にも十分対応することが可能である。
一方、磁性キャリア(磁性粒子)は、金属もしくは樹脂をコアとしてフェライトもしくはマグネタイト等の磁性材料を含有し、表層はシリコン樹脂等で被覆されたものである。粒径は20〜50μmの範囲が良好である。また抵抗はダイナミック抵抗で104〜106Ωの範囲が最適である。但し、測定方法は磁石を内包したローラ(φ20;600RPM)に坦持して、幅65mm、長さ1mmの面積の電極をギャップ0.9mmで当接させ、耐圧上限レベル(高抵抗シリコンコートキャリアでは400Vから鉄粉キャリアでは数V)の印加電圧を印加した時の測定値である。
【0126】
次に、本発明の実施形態に係るプリンタで使用される現像装置の構成について説明する。図1に示すように、この現像装置4内には、現像剤担持体としての現像ローラ41が感光体ドラム1に近接するように配置されていて、双方の対向部分には、感光体ドラム1と現像ローラ41上に穂立ちした磁気ブラシとが接触する現像領域が形成されている。現像ローラ41は、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂などの非磁性体を円筒形に形成してなる現像スリーブ43が、図示しない回動機構によって時計回り方向に回転されるようになっている。
【0127】
上記現像スリーブ43の表面は、サンドブラストもしくは1〜数mmの深さを有する複数の溝を形成する処理が施されることによって、10〜20μmRZの範囲に入るような表面粗さを有している。感光体ドラム1はアルミ等の素管に感光性を有する有機感光体を塗布し、感光層を形成したドラムタイプのものが用いられている。
【0128】
本実施形態に係るプリンタにおいては、感光体ドラム1のドラム径が60mmで、ドラム線速が240mm/秒に設定され、現像スリーブ43のスリーブ径が20mmで、スリーブ線速が600mm/秒に設定されている。したがって、ドラム線速に対するスリーブ線速の比は2.5である。また感光体ドラム1と現像スリーブ43との間隔である現像ギャップは0.4mmに設定されている。現像ギャップは、従来ではキャリア粒径が50μmであれば0.65mmから0.8mm程度、言い換えれば、現像剤粒径の10倍以上に設定されていたが、本実施例では10倍以下(0.55mm)に設定するのが良い。これより広くすると望ましいとされる画像濃度が得られ難くなる。
【0129】
現像剤の搬送方向(図1において反時計回り方向)における上記現像領域の上流側部分には、現像剤チェーン穂の穂高さ、即ち、現像スリーブ43上の現像剤量を規制するドクタブレード45が設置されている。このドクタブレード45と現像スリーブ43との間隔であるドクタギャップは、0.4mmに設定されている。更に、現像ローラ41の感光体ドラム1と反対側の領域には、現像ケーシング46内の現像剤を攪拌しながら現像ローラ41へ汲み上げるための攪拌・搬送手段としてのスクリュー47が設置されている。
【0130】
次に、上記現像装置4の現像条件例について説明する。本実施形態に係るプリンタにおいては、感光体ドラム1の表面の帯電(露光前)電位V0を−350V、露光後電位VLを−50Vとして現像バイアス電圧VBを−250V、すなわち現像ポテンシャルを(VL−VB=200V)として、ネガポジのプロセスで現像工程が行われる。このとき、|VD-VL|>|VL-VB|は400V>300Vの関係を満たすようにする。ここで、|VD−VL|<400Vは、感光体ドラム1の表面の露光部分とそうで無い部分の放電を避けるためにパッシェンの放電則より設定したものである。
【0131】
上記現像スリーブ43内には、該現像スリーブ43の表面に現像剤の穂立ちを生じるように磁界を形成する磁石ローラ44が固定状態で備えられている。この磁石ローラ44から発せられる法線方向磁力線に沿うように、現像剤のキャリアが現像スリーブ43上にチェーン状に穂立ちを起こし、このチェーン状に穂立ちを生じた磁性キャリアに帯電トナーが付着して、上記磁気ブラシが構成される。該磁気ブラシは、現像スリーブ43の回転によって現像スリーブ43と同方向(図1において時計回り方向)に移送されることとなる。磁石ローラ44は、複数の磁極(磁石)を備えている。具体的には、上記現像領域及び上記現像剤規制領域に現像剤の穂立ちを生じさせるための上記ヨーク60、該ヨーク60の磁力形成を補助する同極性の一対の永久磁石からなる補助磁極44a,44b、現像スリーブ43上に現像剤を汲み上げるための磁石、汲み上げられた現像剤を現像領域まで搬送するための磁石、現像後の領域で現像剤を搬送する磁極などを備えている。これら各磁極は、現像スリーブ43の法線方向に磁力線を発するように配置されている。なお、現像剤の汲み上げ性や、黒ベタ画像追従性を向上させるために、上記磁石(磁極)の数を更に増やして構成してもよい。
【0132】
本実施形態に係るプリンタにおいては、上記現像剤による現像駆動トルクの範囲を0.15N・m以内に設定して、トナー帯電を十分に立ち上げ、さらに十分な現像能力を確保するように構成されている。
現像装置4の駆動トルクのうち、現像剤の攪拌に使用される割合は比較的大きい。これは、現像剤の攪拌が、トナーの均一な帯電に必要であるからである。それを決める条件は、現像剤量、攪拌に使用する部材(特に、最近はスクリュウ形状のものが多く提案されている)が現像剤に当接する面積、接触頻度(回転数)、現像スリーブ43内に配置された磁石ローラ44の磁極の磁力、現像剤中のキャリアの飽和磁化、現像剤の規制部材であるドクターブレード45と現像スリーブ43との間隙に作用する磁力等に依存することが判っている。従来、これらの条件を組み合わせて、トナーの効率的な帯電を促していたが、このような条件の組合せだけでは、現像剤が受ける機械的なハザードがトナー寿命を短くする要因になっており、これを低減することが重要と考えられている。そこで、本実施形態に係るプリンタにおいては、トナーにストレスを与える要因である現像トルクに着目し、余分な磁力を現像剤に及ぼさないようにしている。これにより、経時における現像剤の劣化促進が低減され、比較例のトナー寿命が150K枚通紙であるのに対して、このプリンタでは最大230K枚に飛躍的に向上した。
【0133】
一方、上記磁気ブラシの硬さは、各磁極の磁力と磁性キャリアの飽和磁化によって決まる。本実施形態に係るプリンタにおいては、現像磁極の磁力MDが70(T),磁性キャリアの飽和磁化MCが100(emu/g)である。この範囲では、磁気ブラシの硬さが適度であり、経時でも現像剤がストレスを受けることなく使用し続けることができる。ここで、MD<60(T)もしくはMC<60(emu/g)では、十分強固な磁気ブラシが形成できず、均一な現像が行えない。また、MD>80(T)もしくはMC>130(emu/g)では、磁気ブラシが現像スリーブ43上で強固に形成されるので、トナーと磁性キャリアの摩擦力が高まり、両者の表面が前者では添加剤の埋まり、後者ではトナーの一部が磁性キャリアに付着する、所謂スペント化現象が発生し、トナーの流動性低減、トナー帯電量の低減により現像特性が著しく劣化して、画像品質も劣化する。なお、ここで用いた磁性キャリアの真比重は、5グラム/cm3程度である。
【0134】
上記現像スリーブ43上のトナーは、感光体ドラム1上に形成された潜像に対して、現像スリーブ43に印加された現像バイアスにより現像され、感光体ドラム1上にトナー像となって顕像化される。ちなみに、本実施形態に係るプリンタにおいては、感光体ドラム1の線速を200mm/s,現像スリーブ43の線速を300mm/sとしている。また、感光体ドラム1の直径を50mm、現像スリーブ43の直径を18mm、磁石ローラ44の直径を16mm、として、現像行程が行われる。ここで、現像スリーブ43上のトナー帯電量は、−10〜−30μC/gの範囲である。さらに、感光体ドラムの感光層の厚みを28μmとし、光学系のビームスポット径を50×60μm、光量を0.23mWとしている。
また、感光体ドラム1の表面の帯電(露光前)電位V0を−300V、露光後電位VLを−100Vとして、現像バイアス電圧を−250V、すなわち現像ポテンシャルを(VL−VB=150V)として現像工程が行われる。
感光体ドラム1上に形成されたトナーの顕像は、前述したように、転写、定着工程を経て画像として完成される。
転写部には、転写紙もしくは中間転写体などの裏側に当接させたバイアス印加ローラもしくはチャージャー等が配設される。
【0135】
ところで、従来、低光量露光光量を高密度としてビーム径を絞って露光する、いわゆる2値プロセスと称する手法が提案されている。ところが、露光光量をアップすると次のような課題が生じる。つまり、高密度の光量のビーム径を絞ることによって光学設計の余裕度が低減し、部品精度の向上が不可欠でコストが上昇してしまう。また、光量が大きいために感光体に対する帯電・露光における、通電電荷量アップによるいわゆる静電ハザードを受けて、感光体寿命が短くなる。
そこで、本実施形態に係るプリンタにおいては、感光体ドラム1の表面の初期帯電電位を低くし、露光量も同時に低減することで、汎用光学部品を使用して高精細な潜像を形成できるようにするととともに、感光体ドラム1の表面への静電ハザードを低減して長寿命化を図るようにしている。
【0136】
本実施形態に係るプリンタにおいては、その現像特性におけるγ曲線(現像電位差に対する現像量)をみると、その傾きが大きく、比較的低電位でも現像し易くすぐに飽和できる。これは、現像ローラ41上のトナー坦持量を一定にして、ベタ画像を現像ローラ41上の多くの割合のトナーで効率良く現像するのが比較的容易ではあることを示す。また、このプリンタでは、小径ドットを形成する場合も、感光体ドラム1の表面の帯電電位を低く抑えることができ、従来の約半分の光量で、ドット線像を下げられ、均一なドット画像が形成できる。
【0137】
上記現像装置4は、プロセスカートリッジの現像装置として使用することができる。図4に、低電位プロセスによる上記現像装置4を搭載したプロセスカ−トリッジ100の概略構成を示す。
このプロセスカートリッジ100は、図4に示すように、上述の感光体ドラム1、帯電装置2、現像装置4、及びクリ−ニング装置7等の各作像機器が、カートリッジケース101内に一体化されて配設されている。このプロセスカートリッジ100は、複写機やプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱自在に装着される。
【0138】
上記プロセスカートリッジ100を有する画像形成装置は、その感光体ドラム1が所定の周速度で回転駆動される。感光体ドラム1は、その回転過程において、上記帯電装置2によりその表面に、正または負の所定電位の均一帯電を受ける。次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の像露光手段からの画像露光光Lにより、感光体ドラム1の表面に静電潜像が形成される。感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像は、上記現像装置4の現像ローラ41から供給される現像剤中のトナーにより現像される。このようにして、感光体ドラム1の表面に形成されたトナー像は、給紙部から感光体ドラム1と転写装置5の転写ローラとの間に、感光体ドラム1の回転と同期して給送された転写紙に転写される。像転写を受けた転写紙は、感光体ドラム1の表面から分離され、図示しない定着装置へ導入されて像定着された後、複写物(コピ−)として装置外へプリントアウトされる。上記像転写後の感光体ドラム1の表面は、上記クリ−ニング装置7によって転写残トナ−の除去を受けて清浄面化され、更に除電装置8により除電された後、繰り返し画像形成に使用される。
【0139】
このようなプロセスカートリッジ100は、画像形成装置本体から独立して取り外しが可能である。上記感光体ドラム1、及び現像装置4は、上述したように、上記現像装置4を使用することにより、ともに寿命を延ばすことが可能である。しかし、必ずしも両者の寿命が一致するとは限らない。このプロセスカートリッジ100は、このような場合に、感光体ドラム1と現像装置4とを、それぞれ別々に容易に交換することが可能となる。また、感光体ドラム1と現像装置4とを独立して配設できるので、簡単な機構を追加することで、非現像時に現像ローラ41を感光体ドラム1から退避させることが可能となり、現像ローラ41のトナーフィルミングの促進が低減され、現像装置4の寿命を更に延ばすことができる。
【0140】
ところで、本実施形態に係るプリンタにおいては、上記現像装置4の現像スリーブ43に、現像バイアスとして、直流電圧に交流電圧を重畳した振動バイアス電圧を印加するようにしてもよい。上記感光体ドラム1の表面の背景部電位と画像部電位とは、上記振動バイアス電圧の最大値と最小値の間に位置している。これによって、上記現像領域に、向きが交互に変化する交互電界が形成される。これにより、該互電界中で現像剤のトナーと磁性キャリアが激しく振動し、トナーが上記現像スリーブ43及び磁性キャリアへの静電的拘束力を振り切って、感光体ドラム1に飛翔し、感光体ドラム1上の潜像に対応して付着する。
【0141】
ここで、上記振動バイアス電圧の最大値と最小値との差(ピーク間電圧)は、0.5〜5KVが好ましく、周波数は1〜10KHzが好ましい。また、振動バイアス電圧の波形は、矩形波、サイン波、三角波等が使用できる。該振動バイアスの直流電圧成分は、上述したように、感光体ドラム1の表面の背景部電位と画像部電位の間の値であるが、画像部電位よりも背景部電位に近い値である方が、背景部電位領域へのかぶりトナーの付着を防止する上で好ましい。
【0142】
また、上記振動バイアス電圧の波形が矩形波の場合には、デューティ比を50%以下とすることが望ましい。ここでデューティ比とは、振動バイアスの1周期中でトナーが感光体に向かおうとする時間の割合である。このようにすることにより、トナーが感光体ドラム1に向かおうとするピーク値とバイアスの時間平均値との差を大きくすることができるので、トナーの運動がさらに活発化し、トナーが潜像面の電位分布に忠実に付着して、トナー像のざらつき感や解像力を向上させることができる。またトナーとは逆極性の電荷を有する磁性キャリアが感光体ドラム1に向かおうとするピーク値と、現像バイアスの時間平均値との差を小さくすることができるので、磁性キャリアの運動を沈静化し、潜像の背景部に磁性キャリアが付着する確率を大幅に低減することができる。
【0143】
図5に、現像ローラにトナーを供給するトナー供給手段として磁気ブラシローラを用いた一成分現像装置400を示す。この一成分現像装置400は、そのトナー供給手段としての磁気ブラシローラとして、図1乃至図3に示した現像装置4の現像ローラ41を使用するように構成したものである。
【0144】
図5において、一成分現像装置400のケーシング401の内部には、感光体ドラム1側から、現像剤担持体(トナー担持体)としての現像ローラ402、トナー供給部材としての磁気ブラシローラ403、攪拌・搬送部材404、405が配設されている。ケーシング401内のトナー410と磁性粒子411とを含む二成分現像剤(以下「現像剤」という。)412は、攪拌・搬送部材404、405で攪拌され、その一部が、磁気ブラシローラ403上に担持される。磁気ブラシローラ403上の現像剤412は、現像剤規制部材としての規制ブレード406で層厚が規制された後、トナー供給領域A2で現像ローラ402に接触する。このトナー供給領域A2で磁気ブラシローラ403上の現像剤412よりトナー410のみ分離されて現像ローラ402に供給される。
【0145】
この一成分現像装置400では、アルミ素管をベースとした剛体の感光体ドラム1を用いているので、現像ローラ402はゴム材料が良好で、硬度は10〜70°(JIS−A)の範囲が良好である。また、現像ローラ402の直径は10〜30mmが好適で、本実施形態では直径16mmのものを用いた。また、現像ローラ402の表面は適宜あらして粗さRz(十点平均粗さ)を1〜4μmとした。この表面粗さRzの範囲は、トナー410の体積平均粒径に対して13〜80%となり、現像ローラ402の表面に埋没することなくトナー410が搬送される範囲である。ここで、現像ローラ402のゴム材料として使用できるものとしてシリコン、ブタジエン、NBR、ヒドリン、EPDM等を挙げることができる。また、いわゆるベルト感光体を使用した場合には現像ローラ402の硬度は低くする必要がないので、金属ローラ等も使用可能である。また、上記現像ローラ402の表面には、経時品質を安定化させるために適宜コ−ト材料を被覆することが有好である。また、本実施形態における現像ローラ402の機能はトナーを担持するためだけのものであり、従来の一成分現像装置のようにトナー410と現像ローラ402との摩擦帯電によるトナー410への帯電電荷付与の必要がないために、現像ローラ402は電気抵抗、表面性、硬度と寸法精度を満たせば良く、材料の選択幅は格段に増えることとなる。
【0146】
上記現像ローラ402の表層コート材料は、帯電がトナー410と逆極性でも良いし、トナーを所望の極性に摩擦帯電する機能を持たせない場合は同極性でも良い。前者の表層コート材料としては、シリコン、アクリル、ポリウレタン等の樹脂、ゴムを含有する材料を挙げることができる。また後者の表層コート材料としては、フッ素を含有する材料を挙げることができる。フッ素を含んだいわゆるテフロン系材料は表面エネルギーが低く、離型性が優れるため、経時におけるトナーフィルミングが極めて発生しにくい。また、上記表層コート材料に用いることができる一般的な樹脂材料として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニールエーテル(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)等を挙げることができる。これに導電性を得るために適宜カ−ボンブラック等の導電性材料を含有させることが多い。更に均一に現像ローラ402にコートできるように、他の樹脂を混ぜ合わせることもある。電気抵抗に関してはコート層を含めてバルクの体積抵抗率を設定するもので、103〜108Ω・cmに設定できるようにベース層の抵抗と調整を行う。本実施形態で使用するベース層の体積抵抗率は103〜105Ω・cmなので、表層の体積抵抗率は少し高めに設定することがある。
【0147】
また、上記現像ローラ402のコ−ト層の厚みは5〜50μmの範囲が良好で、50μmを越えるコート層の硬度とベース層の硬度差が大きい場合で応力が発生した時にひび割れ等の不具合が生じやすくなる。また5μmを下回ると表面磨耗が進むとベース層の露出が発生してトナーが付着しやすくなる。
【0148】
上記現像剤412を構成するトナー410は、ポリエステル、ポリオ−ル、スチレンアクリル等の樹脂に帯電制御剤(CCA)及び色剤を混合したものであり、その周りにシリカ、酸化チタン等の外添剤を添加することで流動性を高めている。添加剤の粒径は通常0.1〜1.5μmの範囲である。色剤としてはカーボンブラック、フタロシアニンブルー、キナクリドン、カーミン等を挙げることができる。トナー10は更に場合によってはワックス等を分散混合させた母体トナーに上記種類の添加剤を外添しているものも使用することができる。
トナー410の体積平均粒径は3〜12μmの範囲が好適である。本実施形態で用いたトナー410の体積平均粒径は7μmであり、1200dpi以上の高解像度の画像にも十分対応することが可能である。
また、本実施形態では、帯電極性が負極性のトナー410を使用しているが、感光体ドラム1の帯電極性などに応じて帯電極性が正極性のトナーを使用してもよい。
【0149】
上記磁性粒子411は金属もしくは樹脂をコアとしてフェライト等の磁性材料を含有し、表層はシリコン樹脂等で被覆されたものである。磁性粒子411の粒径は20〜50μmの範囲が好適である。また、磁性粒子411の抵抗は、ダイナミック抵抗DRで104〜108Ωの範囲が好適である。
【0150】
上記磁気ブラシローラ403は、複数の磁極を有する磁石部材407を内蔵した非磁性の回転可能なスリーブ408で構成されている。磁石部材407は固定配置され、現像剤12がスリーブ408上の所定箇所を通過するときに磁力が作用するようになっている。本実施形態で用いたスリーブ408は、直径がφ18mmであり、表面粗さRz(十点平均粗さ)が10〜20μmの範囲に入るようにサンドブラスト処理されている。
この磁気ブラシローラ403に内蔵された磁石部材407としては、図1乃至図3に示した磁石ローラ44が用いられる。
【0151】
上記磁石部材407の磁力により、スリーブ408上にトナー410及び磁性粒子11からなる現像剤413がブラシ状に担持される。そして、磁気ブラシローラ403上の磁気ブラシ中のトナー410は、磁性粒子11と混合されることで規定の帯電量を得る。この磁気ブラシローラ403上のトナーの帯電量としては、−10〜−40[μC/g]の範囲が好適である。
【0152】
上記現像ローラ402は、磁気ブラシローラ403内の磁極N2に隣接するトナー供給領域A2で磁気ブラシローラ403上の磁気ブラシと接触するようにして対向するとともに、現像領域A1で感光体ドラム1に対向するように配設されている。
また、本実施形態では規制ブレード406と磁気ブラシローラ403の間の最近接部における間隔が500μmに設定され、また規制ブレード406に対向した磁石部材407の磁極N1を、規制ブレード406との対向位置よりも磁気ブラシローラ403の回転方向上流側に数度傾斜して位置している。これにより、ケーシング401内における現像剤412の循環流を容易に形成することができる。
【0153】
上記規制ブレード406は、磁気ブラシローラ403との対向部で磁気ブラシローラ403上に形成された現像剤412の量を規制するように磁気ブラシと接触し、所定量の現像剤がトナー供給領域に搬送されるようにするとともに、現像剤412中のトナー410と磁性粒子411との摩擦帯電を促進させている。
【0154】
また、現像ローラ402及び磁気ブラシローラ403はそれぞれ、図示しない回転駆動装置により回転駆動され、トナー供給領域A2では両ローラの表面が互いに逆方向に移動するようになっている。本実施形態では、感光体ドラム1の線速200mm/sに対し、現像ローラ402を線速300mm/sで回転駆動している。
また、トナー供給領域A2における現像ローラ402と磁気ブラシローラ403のスリーブとのギャップは0.6mmに設定した。
【0155】
また、現像ローラ402の軸部には、現像領域A1に現像電界を形成するための現像バイアスVbを印加する電源409が接続されている。また、磁気ブラシローラ403のスリーブ408には、トナー供給領域A2にトナー供給用電界を形成するためのトナー供給バイアスVsupを印加する電源410が接続されている。
【0156】
上記構成の一成分現像装置400において、ケーシング401内に収容された現像剤412は、トナー410と磁性粒子411が混合されたものであり、攪拌・搬送部材404,405や磁気ブラシローラ403のスリーブ408の回転力、磁石部材407の磁力によって攪拌され、そのときに、トナー410に磁性粒子411との摩擦帯電により電荷が付与される。
一方、磁気ブラシローラ403上に担持された現像剤412は規制ブレード406によって規制され、現像剤412の一定量がトナー供給バイアスで形成された電界等により、現像ローラ402に転移し、残りはケーシング401内に戻される。
上記トナー供給領域A2では、磁気ブラシ中のトナーが分離されて現像ローラ402に転移し、薄層状のトナー410が担持される。そして、現像ローラ402上に担持された薄層状のトナー410は、該ローラ402の回転により現像領域A1に搬送される。そして、上記現像バイアスで形成された現像電界により、感光体ドラム1上の静電潜像に選択的に付着し、該静電潜像が現像される。
【0157】
なお、本実施形態に係るプリンタにおける現像装置4や、上記一成分現像装置400は、カラー画像形成装置の現像装置として用いることができる。
【0159】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、上記現像剤規制磁極としての一対の補助磁極からでる磁力線が、該補助磁極の隙間に配設した該補助磁極よりも高透磁率の軟磁性体からなる磁界形成部材に収束され、該現像剤担持体上の上記トナー摩擦帯電領域と対向する部位に、強い磁力作用を有する磁界が形成される。これにより、該現像剤担持体上に上記現像剤中のトナーを効率よく摩擦帯電することができる幅の狭い密な磁気ブラシが形成されるようになるので、良好な画質の提供、キャリア付着防止、現像特性安定化等の信頼性の向上、及びコスト抑制を図ることが可能になるという優れた効果がある。
【0161】
請求項2の発明によれば、トナー受渡磁極としての一対の補助磁極からでる磁力線が、該補助磁極の隙間に配設した該補助磁極よりも高透磁率の軟磁性体からなる磁界形成部材に収束され、該現像剤担持体上の上記トナー受渡領域と対向する部位に、強い磁力作用を有する磁界が形成される。これにより、該現像剤担持体上に、該現像剤担持体により担持搬送される現像剤中のトナーを上記トナー担持体上に効率よく受け渡すことができる幅の狭い密な磁気ブラシが形成されるようになるので、良好な画質の提供、キャリア付着防止、現像特性安定化等の信頼性の向上、及びコスト抑制を図ることが可能になるという優れた効果がある。という優れた効果がある。
【0162】
特に、請求項3の発明によれば、一対の補助磁極からでる磁力線の、該磁界形成部材の現像剤担持体と対向する部位に回り込む量が増加されて、該磁界形成部材からでる磁力が大きくなるという優れた効果がある。
【0163】
また、請求項4の発明によれば、磁界形成部材の上記現像剤担持体と対向する部位の幅が、2mm未満の幅に形成されているので、現像剤担持体の表面の限定された局部に強い磁力作用を有する磁界が形成されて、該現像剤担持体上に幅の狭い密な磁気ブラシが形成されるようになるという優れた効果がある。
【0164】
また、請求項5の発明によれば、磁界形成部材と一対の補助磁極との間に隙間が形成されているので、該磁界形成部材と該一対の補助磁極との短絡による磁界強度の低下が解消され、該現像剤担持体上に幅の狭い密な磁気ブラシが形成されるようになるという優れた効果がある。
【0165】
また、請求項6の発明によれば、一対の補助磁極のうち、少なくとも一方の補助磁極が、希土類磁性材料を含む永久磁石で構成されているので、該補助磁極の小サイズ化が可能になり、現像装置を小型・軽量化することができるようになるという優れた効果がある。
【0166】
また、請求項7の発明によれば、体積平均粒径が上記トナーの平均体積粒径よりも大きく、1kOe磁場中における磁化の強さが5乃至25emu/cm3である磁性キャリアを含んだ2成分現像剤が用いられているので、該現像剤の磁性キャリアに強い磁力を作用させることができるようになり、現像時における磁性キャリアの飛散や潜像担持体への付着を防止できるようになるという優れた効果がある。
【0167】
また、請求項8の発明によれば、一対の補助磁極からでる磁力線のうちの磁束密度が最も高いピーク部の磁力線が、磁界形成部材に収束されるようになるので、現像剤担持体の表面の限定された局部に、最も強い磁力作用を有する磁界が形成され、該現像剤担持体上に、より幅の狭い密な磁気ブラシが形成されるようになるという優れた効果がある。
【0170】
また、請求項9の発明によれば、潜像担持体上に形成された静電潜像が、複数個の現像剤担持体から供給される現像剤中のトナーによりトナー像化されるので、現像時における現像効率がより向上されるようになるという優れた効果がある。
【0171】
請求項10及び11の発明によれば、一対の補助磁極からでる磁力線が、該補助磁極の隙間に配設した該補助磁極よりも高透磁率の軟磁性体からなる磁界形成部材に収束されるので、現像スリーブの表面の限定された局部に、強い磁力作用を有する磁界を形成して、該現像スリーブ上に幅の狭い密な磁気ブラシを形成できる磁石ローラを提供できるようになるという優れた効果がある。
【0172】
特に、請求項11の発明によれば、請求項10の磁極の法線方向磁束密度の変化率が40%以上であるので、一対の補助磁極からでる磁力線が、高い磁気勾配部を形成しながら、上記磁界形成部材に収束されるようになるので、上記現像スリーブの表面の限定された局部に、強い磁力作用を有する磁界を形成して、該現像スリーブ上に、より幅の狭い密な磁気ブラシを形成できる磁石ローラを提供できるようになるという優れた効果がある。
【0173】
請求項12の発明によれば、像担持体上に形成した潜像が、請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9の現像装置を用いてトナー像化された後、該像担持体上のトナー像が転写材上に転写されるので、該転写材上に「後端白抜け」のない画質の良好な画像が形成されるようになるという優れた効果がある。
【0174】
請求項13の発明によれば、現像手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9の現像装置が用いられるので、「後端白抜け」のない画質の良好な画像を形成することができる画像形成装置を提供することができるようになるという優れた効果がある。
【0175】
請求項14の発明によれば、潜像担持体上の初期帯電電位を低くし、上記光学系による該潜像担持体の表面への露光光量も低減させて、該潜像担持体上に低電位コントラストの高精細な潜像を形成できるようになる。また、該潜像担持体の表面の、帯電・露光によって通電電荷量がアップすることによる該潜像担持体の表面劣化(いわゆる静電ハザード)が低減されて、該潜像担持体の長寿命化を図ることが可能になるという優れた効果がある。
【0176】
請求項15の発明によれば、潜像担持体上に低電位コントラストの高精細な潜像を形成して、画質の良好な画像を形成することができ、該潜像担持体の表面の静電ハザードを低減できる画像形成装置を提供することができるようになるという優れた効果がある。
【0177】
請求項16の発明によれば、現像手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、又は9の現像装置が用いられるので、画質の良好な画像を形成することができ、潜像担持体の表面の静電ハザードを低減できるプロセスカ−トリッジを提供することができるようになるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るプリンタの現像装置を含む感光体ユニットの概略構成図。
【図2】上記現像装置の詳細構成図。
【図3】上記現像装置の現像ローラの磁力分布とその大きさ程度を示す概略図。
【図4】上記現像装置を搭載したプロセスカ−トリッジの概略構成図。
【図5】本発明の実施形態に係る現像装置の他の構成例を示す概略構成図。
【図6】本発明が適用されるプリンタの概略構成図。
【図7】本発明が適用されるプリンタの現像装置を示す概略構成図。
【図8】本発明が適用されるプリンタの現像装置の磁石ローラにより発生する磁場を示す説明図。
【図9】本発明が適用されるプリンタの現像装置の磁石ローラを構成する磁石の配置を示す説明図。
【図10】本発明が適用されるプリンタにおける現像装置の現像ローラの回転駆動機構を示す概略構成図。
【図11】(a)は、正常な画像を示し、(b)は、「後端白抜け」が発生した画像を示す説明図。
【図12】従来の2成分現像方式でネガポジ現像を行う現像装置における現像部の一例を示す概略構成図。
【図13】(a)〜(c)は、上記「後端白抜け」の発生メカニズムの説明図。
【図14】(a)は、従来例に係る現像装置の現像領域における現像スリーブ軸方向の磁気ブラシ分布の説明図。
(b)は、同現像領域における現像スリーブ表面移動方向の磁気ブラシ分布の説明図。
【図15】(a)〜(c)は、上記「後端白抜け」が発生する従来例の現像装置よりも現像ニップ幅を狭めた他の従来例における「後端白抜け」の防止メカニズムの説明図。
【図16】(a)は、現像スリーブ上に密に形成された状態の磁気ブラシを示す説明図。
(b)は、同状態において形成された画像を示す説明図。
【図17】(a)は、現像スリーブ上にばらつきがある状態の磁気ブラシを示す説明図。
(b)は、同状態において形成された画像を示す説明図。
【符号の説明】
1 感光体ドラム
2 帯電装置
3 現像剤
3a トナー
3b キャリア
4 現像装置
5 転写装置
7 クリーニング装置
8 除電ランプ
41 現像ローラ
41a 回転軸
41b 軸受
43 現像スリーブ
44 磁石ローラ
45 ドクターブレード
50 シート部材
50 帯電ローラ
100 プロセスカートリッジ
400 一成分現像装置
P1 現像磁極
E 画像部後端位置
Claims (16)
- 磁性粒子を含む現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、該現像剤担持体に対向配置された現像剤規制部材とが対向するトナー摩擦帯電領域で、該トナー摩擦帯電領域に対向するように配置した現像剤規制磁極により、該現像剤担持体上の現像剤を穂立ちさせて、該現像剤担持体により担持搬送される現像剤中のトナーを摩擦帯電する構成の現像装置において、
上記現像剤規制磁極は、所定の間隙を隔てて配置した同極性の一対の補助磁極と、該補助磁極の隙間に配設した該補助磁極よりも高透磁率の軟磁性体からなる磁界形成部材とで構成されていることを特徴とする現像装置。 - 磁性粒子を含む現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、該現像剤担持体に対向配置されたトナー担持体とが対向するトナー受渡領域で、該トナー受渡領域に対向するように配置したトナー受渡磁極により、該現像剤担持体上の現像剤を穂立ちさせて、該現像剤担持体により担持搬送される現像剤中のトナーを該トナー担持体上に受け渡した後、このトナー担持体上に受け渡されたトナーにより、該トナー担持体に対向するように配置された潜像担持体上の静電潜像を可視像化する構成の現像装置において、
上記トナー受渡磁極は、所定の間隙を隔てて配置した同極性の一対の補助磁極と、該補助磁極の隙間に配設した該補助磁極よりも高透磁率の軟磁性体からなる磁界形成部材とで構成されていることを特徴とする現像装置。 - 請求項1又は2の現像装置において、
上記磁界形成部材の上記現像剤担持体に最も近接した部位と該現像剤担持体との離間距離が、上記一対の補助磁極の該現像剤担持体に最も近接した部位と該現像剤担持体との離間距離よりも小さいことを特徴とする現像装置。 - 請求項1、2又は3の現像装置において、
上記磁界形成部材の上記現像剤担持体に最も近接した部位の、上記現像剤の搬送方向の幅が、2mm未満であることを特徴とする現像装置。 - 請求項1、2、3又は4の現像装置において、
上記磁界形成部材と上記一対の補助磁極との間の、少なくとも上記現像剤担持体に最も近接した部位に、隙間が形成されていることを特徴とする現像装置。 - 請求項1、2、3、4又は5の現像装置において、
上記一対の補助磁極のうち、少なくとも一方の補助磁極が、希土類磁性材料を含む永久磁石で構成されていることを特徴とする現像装置。 - 請求項1、2、3、4、5又は6の現像装置において、
上記現像剤は、磁性キャリアとトナーとを含む2成分現像剤からなり、該磁性キャリアは、体積平均粒径が該トナーの平均体積粒径よりも大きく、1kOe磁場中における磁化の強さが5乃至25emu/cm3であることを特徴とする現像装置。 - 請求項3の現像装置において、
上記一対の補助磁極からでる法線方向の磁力線のピーク部と、上記磁界形成部材の上記現像剤担持体に最も近接した部位との距離が、該磁界形成部材の現像剤担持体に最も近接した部位と、該現像剤担持体の表面との距離よりも大きいことを特徴とする現像装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6、7又は8の現像装置において、
上記現像剤担持体を複数個有していることを特徴とする現像装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9の現像装置における現像剤担持体としての円筒状に形成された現像スリーブ内に配設される磁石ローラであって、
所定の間隙を隔てて配置した同極性の一対の補助磁極と、該補助磁極の隙間に配設した該補助磁極よりも高透磁率の軟磁性体からなる磁界形成部材とからなる少なくとも1つの磁極を有していることを特徴とする磁石ローラ。 - 請求項10の磁石ローラにおいて、
上記磁極の法線方向磁束密度の変化率が40%以上であることを特徴とする磁石ローラ。 - 像担持体の表面に潜像を形成し、該像担持体上に形成した潜像を現像手段によりトナー像化した後、該像担持体上のトナー像を転写材上に転写して画像を形成する画像形成方法において、
上記現像手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9の現像装置を用いることを特徴とする画像形成方法。 - 像担持体と、該像担持体の表面に潜像を書き込む潜像書込み手段と、該潜像書込み手段により像担持体上に書き込まれた潜像をトナー像化する現像手段と、該現像手段により像担持体上に形成されたトナー像を転写材上に転写する転写手段とを有する画像形成装置において、
上記現像手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9の現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。 - 像担持体を均一に帯電し、光学系により露光することで該像担持体の表面に静電潜像を形成し、現像剤を担持搬送する現像手段の現像剤担持体と該像担持体とが対向する現像領域に現像バイアスを印加して、該像担持体上の静電潜像をトナー像化した後、該像担持体上のトナー像を転写材上に転写して画像を形成する画像形成方法において、
上記現像手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9の現像装置を使用し、
上記像担持体の表面の暗部電位をVD、該像担持体の露光後の表面電位をVL、上記現像バイアスをVBとしたとき、
0<|VD|−|VB|<|VD−VL|<400V
の関係を満たすことを特徴とする画像形成方法。 - 像担持体と、該像担持体の表面を均一に帯電する帯電手段と、該帯電手段により均一に帯電された像担持体の表面を露光して該像担持体の表面に静電潜像を形成する光学系と、現像剤を担持搬送する現像剤担持体を備えた現像手段と、現像剤担持体と該像担持体とが対向する現像領域に現像バイアスを印加する現像バイアス印加手段と、該現像手段により像担持体上に形成されたトナー像を転写材上に転写する転写手段とを有する画像形成装置において、
上記現像手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9の現像装置を使用し、
上記像担持体の表面の暗部電位をVD、該像担持体の露光後の表面電位をVL、上記現像バイアスをVBとしたとき、
0<|VD|−|VB|<|VD−VL|<400V
の関係を満たすことを特徴とする画像形成装置。 - 像担持体と、該像担持体の表面を帯電する帯電手段と、該帯電手段により帯電された像担持体の表面に潜像を書き込む潜像書込み手段と、該潜像書込み手段により像担持体上に書き込まれた潜像をトナー像化する現像手段と、該現像手段により像担持体上に形成されたトナー像を転写材上に転写する転写手段と、該トナー像を転写材上に転写した後の像担持体上の残留トナーを除去するクリーニング手段とを有する画像形成装置で用いられるプロセスカ−トリッジであって、画像形成装置本体に対して着脱自在に構成され、且つ上記像担持体と、上記現像手段と、上記帯電手段、転写手段、クリーニング手段のうちの少なくとも1つの手段とを一体化して支持するプロセスカ−トリッジにおいて、
上記現像手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9の現像装置を用いることを特徴とするプロセスカ−トリッジ。
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