JPH11189654A - ゴム組成物及び補強用繊維の分散方法 - Google Patents

ゴム組成物及び補強用繊維の分散方法

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JPH11189654A
JPH11189654A JP33694497A JP33694497A JPH11189654A JP H11189654 A JPH11189654 A JP H11189654A JP 33694497 A JP33694497 A JP 33694497A JP 33694497 A JP33694497 A JP 33694497A JP H11189654 A JPH11189654 A JP H11189654A
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JP
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rubber
fiber
fibers
vinyl alcohol
based polymer
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JP33694497A
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English (en)
Inventor
Ichiro Hanamori
一郎 花森
Hisashi Nakahara
寿 中原
Masahiro Sato
政弘 佐藤
Eiichi Sasagawa
栄一 笹川
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 補強繊維の均一分散性及び機械的性能に優れ
たゴム組成物及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 ビニルアルコ−ル系ポリマ−を構成要件
の少なくとも一部とする補強繊維がマトリックスゴム中
に分散しているゴム組成物であって、該補強繊維の融着
率が5%以下であるゴム組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ゴム組成物及びその製
造方法と、補強用繊維の分散方法に関する。
【0002】
【従来の技術】強度、摩耗性等の物性を向上させるため
に補強繊維を配合したゴム(繊維補強ゴム)が各種ゴム
用途分野で使用されている。補強効果が十分発揮される
ためには、繊維/ゴム間の良好な接着力を確保しなが
ら、繊維がマトリックスゴム中に均一に分散されること
が重要である。補強繊維とマトリックスの接着性が低い
と補強効果が十分発揮されず、また繊維分散に不均一化
が生じると、製品各部位における性能に大きな差異が生
じて製品の品質が不十分となるのみでなく、繊維による
補強効果も十分得られない。ビニルアルコ−ル系ポリマ
−(PVA)を構成要件の少なくとも一部とする繊維は
高強度高弾性率を有していることから、補強材として用
いることが検討されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ビニル
アルコ−ル系ポリマ−を構成要件の一部とする繊維は機
械的性能に優れているものの、均一分散性が不十分であ
るため長時間混練することが必要であり、また長時間混
練しても分散性が不十分になりやすく、繊維同志も絡み
やすい問題があった。本発明の目的は、以上のことを鑑
み、補強繊維の均一分散性および機械的性能に優れたゴ
ム組成物及びその製造と、補強繊維の分散方法を提供す
ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1) ビニ
ルアルコ−ル系ポリマ−を構成要件の少なくとも一部と
する補強繊維がマトリックスゴム中に分散しているゴム
組成物であって、該補強繊維の融着率が5%以下である
ゴム組成物、(2) ビニルアルコ−ル系ポリマ−を構
成要件の少なくとも一部とする補強繊維がマトリックス
ゴム中に分散しているゴム組成物であって、該補強繊維
がゴム成型加工工程における混合または成型する際の機
械的剪断力により分割・細径化されたものであり、かつ
該補強繊維の融着率が5%以下であるゴム組成物、
(3) ビニルアルコ−ル系ポリマ−を含む補強繊維が
マトリックスゴム中に分散しているゴム組成物であっ
て、該補強繊維がビニルアルコ−ル系ポリマ−(A)及
び水不溶性ポリマ−(B)から構成され、かつその繊維
断面が海島状であり、AまたはBのいずれかが島成分、
他方が海成分を構成した海島繊維をゴム成型加工工程に
おける混合または成型する際の機械的剪断力により分割
・細径化したものであり、かつ該補強繊維の融着率が5
%以下であるゴム組成物。(4) ビニルアルコ−ル系
ポリマ−を構成要件の少なくとも一部とする繊維を、マ
トリックスゴムに配合し、温度100℃以下、剪断速度
1sec-1以上の条件下で混練するゴム組成物の製造方
法、(5) ビニルアルコ−ル系ポリマ−を構成要件の
少なくとも一部とし、かつゴム成型加工工程における混
合または成型する際の機械的剪断力により分割・細径化
する繊維をマトリックスゴムに配合し、温度100℃以
下、剪断速度1sec-1以上の条件下で混練するゴム組
成物の製造方法、(6) ビニルアルコール系ポリマー
(A)と水不溶性ポリマ−(B)からなり、かつその繊
維断面が海島状であり、AまたはBのいずれかが島成
分、他方が海成分で、A/Bの重量比が90/10〜2
0/80である繊維を、マトリックスゴムに配合し、温
度100℃以下、剪断速度1sec-1以上の条件下で混
練するゴム組成物の製造方法、(7) ビニルアルコ−
ル系ポリマ−を構成要件の少なくとも一部とする繊維
を、マトリックスゴムに配合し、温度100℃以下、剪
断速度1sec-1以上の条件下で混練するゴム補強用繊
維の分散方法、に関する。
【0005】本発明者等は、PVAを構成要件の少なく
とも一部とする繊維は、長時間放置すると吸湿して軟化
点が低くなり、ゴムとの混練段階における熱と圧力によ
り繊維間に容易に膠着が生じて均一分散性が不十分とな
ることを見出だすとともに、繊維融着を抑制することに
より補強繊維の均一分散性が顕著に改善でき、その結
果、機械的性能に優れたゴム組成物が得られることを見
出だした。繊維の融着率は5%以下、より好適には1%
以下とする必要がある。繊維の融着率が高い場合、複数
の繊維が塊状物となるため均一分散性が低下し、その結
果、ゴム組成物から得られる成形物の性能が部分により
不均一となり、さらに塊状物となった繊維は補強効果を
十分発揮できないためにゴム組成物の機械的性能の改善
も不十分となる。
【0006】本発明に用いられる繊維はPVAを構成要
件の少なくとも一部とするものであり、繊維性能等の点
からはPVAの含有割合が30重量%以上の繊維を用い
るのが好ましい。PVAを含む繊維は機械的性能、耐薬
品性、マトリックスゴムとの親和性等の諸性能に優れて
いるため顕著な効果が得られる。使用するPVAは特に
限定されず、たとえば完全ケン化PVA、部分ケン化P
VAあるいは他のモノマ−を共重合したポリマ−等を使
用でき、共重合成分としては、エチレン、イタコン酸、
ビニルアミン、アクリルアミド、ビバリン酸ビニル、無
水マレイン酸、スルフォン酸含有ビニル化合物などのモ
ノマ−が挙げられる。分散性及び適度な機械的強度を有
する点からは共重合割合を30モル%以下、特に10モ
ル%以下、さらに2モル%以下、さらに0.2モル%と
するのが好ましい。ケン化度は80モル%以上、特に9
9モル%以上とするのが機械的性能、耐熱性等の点で好
ましい。またホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等
により、分子内架橋構造及び/または分子間架橋構造が
導入されていてもよい。PVAの重合度は強度等の点か
らは500以上、さらに1500以上であるのが好まし
い。
【0007】ヤ−ン強度は5g/d以上、特に7g/d
以上が好ましく、ヤング率は100g/d以上、特に1
50g/d以上が好ましい。また繊維1本当たりの引張
り抵抗度は2kg以上とするのが好ましい。以上のよう
に強度及び繊維一本の引張り抵抗度が高いことで、繊維
の剛性が良くなりゴムなどと一緒に混練りすると分散性
が良好となる。
【0008】かかるポリマ−を出発原料として、たとえ
ば公知の湿式紡糸方法、乾式紡糸方法、乾湿式紡糸方法
により紡糸し、必要に応じて熱延伸・熱処理を施して得
られるPVA系繊維を補強材として用いればよいが、ゴ
ムマトリックスに配合する繊維としては、ゴム成型加工
工程の混合または成型する際(たとえばバンバリ−、ロ
−ル混練工程)に生じる機械的剪断力により繊維が分
割、細径化するものが好ましい。かかる繊維は、繊維添
加・分散時に分散性良好なアスペクト比、すなわち比較
的低いアスペクト比の繊維を用いても、その後の加工段
階で繊維が分割・細径化するので、繊維比表面積が著し
く増大し優れた対ゴム高接着を確保するので優れた補強
効果が得られる。細化分割後の平均径が混合前の2/3
以下となるものがより好ましい。このときの分割後の平
均繊維直径は9μm以下、特に5μm以下、さらに0.
03〜2μm程度であるのが好ましい。かかる繊維を用
いれば、良好な分散性が得られると同時に優れた補強効
果が得られる。
【0009】該補強用繊維は、糸全断面が分割・細径化
しても、あるいは幹を残してその周辺のみが分割・細径
化しても良く、マトリックス中で繊維の絡み合いが少な
い点でより後者が好ましい。剪断力が加わった際の分割
・細径化は、1×10-5sec-1以上の剪断速度で主に
生じることが繊維の均一分散の点でより好ましく、極め
て弱い剪断力で分割すると加工方法によっては、繊維切
断等のゴム製品生産前の準備工程でも繊維が分割し、そ
の結果、繊維が絡み合い分散に問題を生じる。ゴム成型
物を製造するいずれかの工程で剪断力を加えて繊維を分
割細径化するのが好ましく、具体的には、バンバリ−ミ
キサ−、ゴム素練ロール、カレンダーのロール間隙、回
転速度比を調整したり、また射出、押し出し成型工程に
おいてはゴム吐出量、押し出しスクリューの溝構造、回
転速度あるいは金型部へのゲート・隙間を調節する方法
等が挙げられる。
【0010】機械的剪断力により分割細分化する繊維の
好適な具体例として、特の点から少なくともPVAを含
む繊維を、なかでもビニルアルコール系ポリマー(A)
と水不溶性ポリマ−(B)を混合紡糸し、(A)と
(B)いずれか一方が海成分で他方が島成分の海島構造
である繊維を用いるのが好ましく、フィブリル性の点で
PVAが海成分を構成する海島構造繊維を用いるのが好
ましい。水不溶性ポリマ−としては、水に不溶性でかつ
大きく膨潤しないものが好適に挙げられるが、たとえば
ポリアクリロニトリル(PAN)、セルロ−ス系ポリマ
−(酢酸セルロ−ス、セルロ−ス等)、セルロースアセ
テート、コーンスターチ等があげられる。フィブリル性
等の点、さらには固化浴へのPVAおよびPVAに非相
溶なポリマーの溶出を抑制し繊維間膠着を生じにくくす
る点等から、PVAが海成分を構成するのが好ましく、
PVA/非水溶性ポリマ−の重量比率は70/30〜4
5/55が好ましく、60/40〜50/50が特に好
ましい。
【0011】なかでも強度特性、易フィブリル性等の点
から水不溶性ポリマ−としてアクリロニトリル系ポリマ
−を用いるのが好ましく、特にビニルアルコール系ポリ
マー(A)とアクリロニトリル系ポリマー(B)からな
り、かつその繊維断面が海島状であり、AまたはBのい
ずれかが島成分、他方が海成分で、A/Bの重量比が9
0/10〜20/80である繊維が好ましい。ビニルア
ルコール系ポリマーとアクリロニトリル系ポリマーの組
み合わせは繊維の分割・細径化や高強度の点で好まし
く、さらにポリビニルアルコール系繊維の製造方法とし
て湿式紡糸方法で代表される溶剤紡糸方法が好適に採用
されるが、その際の紡糸原液の溶媒としてジメチルスル
ホキシド(DMSO)が用いられる場合には、アクリロ
ニトリル系ポリマー等もDMSOに可溶性であるため、
製造の点からもポリビニルアルコール系ポリマーとアク
リロニトリル系ポリマーの組み合わせが好ましい。
【0012】アクリロニトリル系ポリマー(PAN)と
しては、アクリロニトリルを70モル%以上有している
ものが好ましく、例えばメチルアクリレート、エチルア
クリレート、メチルメタクリレートなどの(メタ)アク
リル酸エステル類、酢酸ビニルや酪酸ビニルなどのビニ
ルエステル類、塩化ビニルなどのビニル化合物類、アク
リル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カ
ルボン酸類、スルホン酸含有ビニル化合物などのモノマ
ーや、ブタジエン、イソプレン等のゴムと共加硫し得る
モノマー等で共重合されていてもよい。原液溶媒に対す
る溶解性を向上させるためには、PANホモポリマーよ
りも、他のモノマー(メチルメタクリレ−ト等)を0.
5〜30モル%、さらに好ましくは2〜8モル%共重合
させたアクリロニトリル系ポリマーが好ましい。
【0013】PVA(A)を1成分とする海島繊維の製
造方法は特に限定されず、たとえば(A)と(B)の両
ポリマ−に共通するジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシド(DMSO)などの極性溶媒やロダン塩、塩
化亜鉛などの膨潤性塩類含有水溶液、硝酸、硫酸、塩酸
などの鉱酸類などに溶解して得られる紡糸原液を用いて
湿式紡糸法、乾湿式紡糸法等により製造する方法が挙げ
られる。特に低温溶解性、ポリマー低分解性などの点よ
りDMSOを溶媒とするのがが好ましい。原液中のポリ
マー濃度としては、10〜30重量%の範囲が好まし
い。また、原液温度としては、50〜140℃の範囲が
好ましい。
【0014】得られた紡糸原液を紡糸ノズルを通じてメ
タノ−ル、エタノ−ル等のアルコ−ル類やアセトン、メ
チルエチルケトン等のケトン類トルエン、キシレン等の
芳香族炭化水素等よりなる固化浴中に湿式あるいは乾湿
式紡糸すればよい。固化浴を紡糸ノズルに直接接触させ
る湿式紡糸方法を採用した場合、ノズル孔ピッチを狭く
しても繊維同士が膠着せずに紡糸できるため、多孔ノズ
ルを用いた紡糸に適しており、一方固化浴と紡糸ノズル
の間にエアギャップを設ける乾湿式紡糸の場合は、エア
ギャップ部での伸びが大きいことより、高速紡糸に適し
ている。本発明においては、湿式か乾湿式かは目的や用
途に応じて適宜選択することができる。
【0015】次いで凝固浴から離液後2〜5倍の湿延伸
を行い、50〜130℃で乾燥後に200〜240℃で
3〜15倍の熱延伸を行い、さらに必要に応じてPVA
のケン化、アセタ−ル化等の耐水性向上処理する方法を
用いるのが好ましい。このとき、PVAと他のポリマ−
の延伸性の相違から、延伸倍率を高めることにより海島
界面に歪みが生じて亀裂が生じやすくなり、フィブリル
化が容易となる。従って、湿延伸倍率と熱延伸倍率との
積で表される総延伸倍率は8倍以上とするのが好まし
い。
【0016】補強用繊維のアスペクト比は繊維分散性、
補強効果の点で10〜1500、特に50〜500であ
るのが好ましい。アスペクト比を小さくすれば繊維の分
散性は向上するものの、繊維表面積が小さくなり十分な
接着力の確保ができず補強効果は発揮されにくくなる。
本発明においては繊維融着率を低くしているため、アス
ペクト比の大きい繊維を使用しても分散性が低下しにく
く優れた補強効果が得られる。繊維のカット方法は特に
限定されず、ECカッタ−、ギロチンカッタ−等の公知
の方法が採用できる。なお本発明でいうアスペクト比と
は、繊維長を繊維横断面と同一の面積を有する円の直径
で除した値である。
【0017】またマトリックスゴムに配合混練後の補強
用繊維の短繊維形状指数値は0.5〜100と、特に1
〜20とするのが好ましい。かかる範囲にすると単繊維
の被表積及び繊維長の関係から、マトリックスと繊維と
の優れた接着性及び均一分散性が奏される。なお、本発
明にいう短繊維形状指数値(FLD)は平均繊維長/(平
均径)2 により求められる値であり、未架硫ゴム段階で
ゴムを溶剤に溶解して単繊維を分離し、少なくとも単繊
維50本の直径及び繊維長を走査型電子顕微鏡により測
定し、各々の平均値から求められる。
【0018】一般に単繊維繊度が大きくなると均一分散
性は向上するものの、マトリックスとの接着性が低下し
て補強効果が不十分になる。以上のことから、マトリッ
クスゴムとの混練により細径化しない繊維の場合には3
デニ−ル程度以下、特に2デニ−ル以下の単繊維を用い
るのが好ましい。しかしながら、マトリックスゴムとの
混練すること等により細径化する繊維を用いた場合に
は、太い繊維を用いた場合であっても最終的に細径化し
て補強効果に優れたフィブリルとなるため好適に使用で
きる。具体的には、20デニ−ル以上、さらに30デニ
−ル以上200デニ−ル以下とするのが好ましい。
【0019】しかしながら、一般に繊度が大きくなると
細径化しくくなる問題が生じる。剪断速度を高めれば細
径化を進めることができるが、剪断速度が大きくなりす
ぎると温度が上昇する等により繊維間に膠着が生じやす
くなる。以上のことから、太径繊維を用いる場合にはフ
ィブリル性を一層改善することが望ましい。具体的に
は、叩解性15分以下の繊維を用いるのが好ましい。叩
解時間が長いと得られたフィブリルの分散性が悪くな
り、ファイバーボールを形成する傾向にある。なぜ叩解
時間が長いとフィブリルの分散性が悪化する理由は不明
であるが、フィブリルが細くなって絡み易くなったため
と推測される。
【0020】繊維径が大きく、かつ叩解性に優れた繊維
を得ることは困難であるが、たとえば下記の方法により
製造することができる。まずPVAとPVAに非相溶な
ポリマーを共通溶媒に溶解し、得られた紡糸原液を上記
両ポリマーに対して固化能を有する固化溶媒と原液溶媒
と同一の溶媒からなる固化浴に、湿式または乾湿式紡糸
し、延伸して高強力を有する易フィブリル化繊維を製造
するが、このとき以下の条件(1)〜(6)を採用する
ことにより得られる。 (1)原液が、10〜150μmの粒子径を有している
相分離構造であること。 (2)固化溶媒が有機溶媒で、かつ固化浴には15〜7
5重量%の原液溶媒が含まれていること。 (3)固化浴出の糸篠の単糸が200〜770μmであ
ること。 (4)2倍以上湿延伸後の抽出滞留時間が1分以上であ
ること。 (5)置換浴がアルコール類、ケトン類、水の3成分系
からなり、該アルコール類とケトン類の重量比が9/1
〜1/9かつ水が全体の重量比1〜30%からなるこ
と。 (6)全延伸倍率が8倍以上であること。
【0021】条件(1):本発明における紡糸原液の相
構造とは、紡糸原液をスライドガラス上にのせ、100
倍の微分干渉顕微鏡で観察した場合に識別される構造で
あり、PVAとPVAに非相溶なポリマーが相分離して
存在しており、一方の成分が分散成分(島成分)とな
り、他方の成分が分散媒成分(海成分)となっているも
のをいう。特に本発明において、PVAが分散媒成分、
PVAに非相溶なポリマーが分散成分となっているのが
強度や引張り抵抗度の点で、更にフィブリル化しやすい
点で好ましい。また本発明でいう粒子径とは、上記した
ような100倍の微分干渉顕微鏡で観察した場合に、判
別できる大多数がその範囲の径を有していることを意味
している。原液安定性、紡糸安定性、相構造安定性、叩
解性等の点で粒子径は10〜150μm、特に20〜1
00μmであるのが好ましい。原液での相構造が固化時
の核となり、フィブリル化し易い繊維を形成するための
重要なポイントとなる。
【0022】紡糸原液の相構造を決定する因子として
は、両ポリマーの相溶性、両ポリマーの組成比、原液中
のポリマー濃度、溶媒の種類、原液の温度などがあり、
両ポリマーの相溶性が悪くなるに従って粒子径が大きく
なり、両ポリマーの混合重量比が50/50に近づくに
従って粒子径が大きくなる傾向にある。また、ポリマー
濃度に関しては、濃度が高くなるに従って粒子経は小さ
くなる傾向にあり、原液溶媒に関しては、両ポリマーに
対して相溶性の高い溶媒ほど粒子径は小さくなる。更に
原液温度に関しては、前記したように通常50〜120
℃の範囲が好適に用いられるが、温度が高くなるほど粒
子径は大きくなる傾向にある。従って粒子径を所望の大
きさにするためには、まず適当な条件で紡糸原液を作製
して、その時の粒子径を測定し、その結果を元に、上記
の因子の少なくとも一つを変更することにより、粒子径
を所望の大きさに変更できる。粒子径を10〜150μ
mの範囲とするような紡糸原液の粘度としては、湿式紡
糸する場合には10〜400ポイズ、乾湿式紡糸する場
合には50〜2000ポイズの範囲が好ましく、これは
溶融紡糸の粘度よりかなり低い。
【0023】条件(2);固化溶媒として有機溶媒を用
いるのが好ましく、かつ固化浴中での固化溶媒/原液溶
媒の組成比は25/75〜85/15とするのが好まし
い。もちろんこれら以外の液体や固体が溶解されて存在
してもよく、固化溶媒と原液溶媒の組み合わせとしては
メタノールとDMSOの組み合わせが最も好ましい。水
はPVAに対して凝固能がなく両ポリマーに対する凝固
能が著しく異なっておりバランスを欠いているのに対し
て、有機溶媒系はいずれのポリマーに対しても凝固能を
有しており、しかも原液溶媒を混合することによりバラ
ンスよく固化させることができ、紡糸調子、工程通過
性、繊維性能、フィブリル性等を改善できる。
【0024】条件(3);太径を有し、かつフィブリル
性に優れた繊維を得るには、固化浴とさらに次の工程で
ある原液溶媒の抽出のバランスにより固化浴中から出て
きた時点での紡糸原糸の単糸径を200〜770μm、
特に220〜600μmに制御することが好ましく、以
上のことより繊維径及び固化、抽出性を調整できる。
【0025】条件(4):得られた糸篠を固化性有機溶
媒またはそれと原液溶媒の混合液からなる湿延伸浴中で
2倍以上湿延伸することが好ましい。従来の細径繊維で
は糸篠から原液溶媒の抽出が速く、固化が十分に進んで
いるので湿延伸する前に容易に原液溶媒が抽出される。
それに対して、太径繊維では固化が十分でなく、湿延伸
前の太い状態では原液溶媒が極めて抽出困難であること
から、2倍以上湿延伸をかけ細くしてから抽出させた方
が効率的に抽出しうることがわかった。細径繊維では、
湿延伸すると分子配向による緻密化のため抽出が著しく
阻害されるのに対し、太径繊維では固化が甘いことから
湿延伸による緻密化が起こらず、抽出阻害が抑制される
ためと推定される。湿延伸浴に用いられる溶液として
は、上記した固化浴溶媒と同様のものが挙げられる。
【0026】湿延伸後の糸篠を、固化性有機溶媒を主体
とする抽出浴に接触させて、糸篠から原液溶媒を抽出除
去する際に、純粋な固化性有機溶媒を糸篠の走行方向と
向流方向で連続的に流すことで抽出浴での滞留時間を短
縮することができるが、太径繊維においては2倍以上湿
延伸して径を細くしてから抽出浴に1分以上滞留させる
ことが好ましい。この抽出処理により、糸篠中に含まれ
ている紡糸原液溶媒の量を糸篠重量の1%以下、好まし
くは0.2%以下にすることができる。接触させる時間
としては好ましくは1.5分以上、特に2分以上が好ま
しい。抽出速度を高め抽出を向上させるためには、抽出
浴溶媒の温度を沸点近くまで昇温するのが好ましい。従
来一般に、PVA系繊維を製造する際には、湿延伸を行
った後、原液溶媒を抽出除去することなく直ちに乾燥す
る方法もあるが、繊維径が大きい場合には完全に原液溶
媒を抽出することができないので、湿延伸後の溶媒抽出
処理は重要な工程である。また、糸篠の膠着制御のため
毛羽の出ない範囲で乾燥工程までの全湿延伸倍率を大き
くすることも重要である。全湿延伸倍率が2倍未満では
膠着し易く、8倍を越えると毛羽が出易いので好ましく
ない。
【0027】条件(5);上記のように固化浴を通過し
た糸篠は、湿延伸、原液溶媒の抽出工程を経た後、置
換、油剤付与、乾燥へと経て行くが、この置換工程にお
いて、置換浴の組成がアルコール類とケトン類の重量比
が9/1〜1/9かつ水が全体の重量比1〜30%から
なることにより易フィブリル化が促進される。この置換
浴の3成分の働きは、アルコール類、ケトン類はPV
A、PAN等の両方に対して凝固能があり、水はPVA
に対しては膨潤作用がありPAN等には強い凝固能があ
る。これによりゲル糸中にPVA相とPAN相に内部歪
みが発生し、この状態が乾燥工程を経ても維持されたま
まであることが、フィブリル化を著しく促進向上させる
また一つの要因である。本発明でいう置換浴の組成がア
ルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、ブタノール等であり、ケトン類としてはメチル
エチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n
−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン等を用いるこ
とができる。
【0028】より好ましい置換浴の組成はアルコール類
/ケトン類=7/3〜3/7かつ水が全体の5〜20重
量%であり、最も好ましいのは、アルコール類/ケトン
類=7/3〜6/4かつ水が全体の5〜15重量%であ
りである。なお、置換浴は上記したようにアルコール
類、ケトン類、水との混合液が好適に用いられるが、こ
れ以外の液体や固体が溶解されて存在していても良い。
本発明において、アルコール類、ケトン類、水の最も好
ましい組み合わせは、メタノールとメチルイソブチルケ
トン、水の組み合わせである。
【0029】条件(6);置換浴、油剤付与、乾燥工程
を経たのち、乾熱延伸工程に送られるが、このとき全延
伸倍率が8倍以上となるように乾熱延伸を行うことが好
ましい。本発明でいう全延伸倍率とは、湿延伸倍率と乾
熱延伸倍率との積で表される倍率であり、繊維の機械的
強度及びフィブリル性の点で全延伸倍率を高めるのが好
ましい。全延伸倍率を8倍以上とするための因子として
は、PVA/PVAに非相溶なポリマーの組成比、固化
浴組成比や固化浴温度などの固化浴条件、及び湿延伸倍
率などの湿延伸倍率条件、置換浴組成比などの置換浴条
件、乾熱延伸温度や乾熱延伸雰囲気での滞留時間(延伸
速度)等の乾熱延伸条件が挙げられる。PVA/PVA
に非相溶なポリマーの組成比に関しては、PVAの重量
比を高めると全延伸倍率を高くすることができ、固化浴
中の原液溶媒の割合が増加するに従って全延伸倍率が低
くなり、固化浴の温度が高くなると全延伸倍率が高くな
る。なお、本発明において固化浴温度としては、0〜3
0℃の範囲が好ましい。また、全湿熱延伸倍率を高くす
ると全延伸倍率が高くなる傾向にあり、乾熱延伸温度を
高くすると全延伸倍率が高くなり、さらに滞留時間を長
くすると全延伸倍率が高くなる。以上の方法を採用する
ことにより、均一分散性及び易分割性に優れた繊維を製
造できる。
【0030】なお、本発明の方法において全湿延伸倍率
1.5〜4.5倍、乾熱延伸温度210〜250℃、乾
熱延伸工程滞留時間5〜90秒の範囲とするのが好まし
い。従って全延伸倍率を所望の値にするためには、まず
適当な条件で紡糸、延伸を行い、その時の全延伸倍率を
元に上記の因子の少なくとも一つを変更することによ
り、全延伸倍率を所望の値に容易に変更できる。全延伸
倍率は10倍以上であるとより好ましく、更に好ましく
は12倍以上である。
【0031】本発明の効果を損なわない範囲であれば、
PVAを含む繊維以外の繊維を併用して用いても良く、
補強効果の点からは、補強繊維全重量に対するPVAを
含む繊維の割合が50重量%以上、特に80重量%以上
であるのが好ましい。勿論100重量%がPVAを含む
繊維で構成されていてもかまわない。
【0032】かかる補強繊維をマトリックスゴムに配合
してゴム組成物を製造するが、このとき繊維の融着率が
大きくなると機械的性能等に優れたゴム成型物が得られ
ない。本発明者等は、鋭意研究の結果、PVAを含む繊
維は長時間放置すると吸湿して軟化点が低くなり、ゴム
との混練段階における熱と圧力により繊維間に容易に膠
着が生じて均一分散性が不十分となることを見出だすと
ともに、繊維の融着率が低く諸性能に優れたゴム組成物
の好適な製造方法として、温度100℃以下、剪断速度
1sec-1以上の条件下でゴムと混練することを見出だ
した。
【0033】混練温度は100℃以下にするのが好まし
く、より好ましくは90℃以下とする。温度が高過ぎる
とPVAが軟化して膠着が生じて均一分散性が低下す
る。30℃以上にするのが混練性の点で好ましい。また
繊維を均一にかつ効率的に分散させるために剪断速度を
1sec-1以上、特に3sec-1以上とするのが好まし
い。内部発熱や圧力によるPVAの膠着を抑制する点か
らは500sec-1以下、さらに100sec-1以下と
するのが好ましい。特に機械的剪断力により分割・細径
化する繊維を用いた場合には、このような剪断速度とす
ることにより、効率的に繊維を分散・細径化することが
できる。
【0034】本発明によれば繊維の均一分散性を顕著に
改善できるが、さらに他の成分(樹脂等)を付着乾燥す
るなどの余分な工程を通過させる必要がなく、またマト
リックスゴム以外の第3成分を混入することなく分散性
が改善できることから、第3成分混入による悪影響を受
けることなく優れた効果が得られる。勿論、必要に応じ
て、樹脂や液状ゴム等により繊維を集束したり、また繊
維の滑り性を向上させるため等に樹脂や液状ゴム等を付
与してもかまわないし、またゴム接着性を高めるために
レゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)処理を
施した繊維を用いても良い。また本発明の効果を損なわ
ない範囲であれば、繊維に処理剤を付与するのみでなく
ゴムに他の配合物を配合してもかまわないが、マトリッ
クスゴムの耐ヒステリシス損、耐摩耗性、耐亀裂性等の
性能の点からは、ゴム分子量分布値を6以下とするのが
好ましい。なお、本発明にいう分子量分布とは、Mw
(重量平均分子量)/MN(数平均分子量)を示す。
【0035】本発明に使用できるマトリックスゴムは特
に限定されないが、たとえば天然ゴムやスチレン・ブタ
ジエン・ゴム、クロロプレン・ゴム、ニトリル・ブタジ
エンゴム、EPDMゴム等が使用できる。また本発明の
補強用繊維とマトリックスゴムの混練方法及び補強用繊
維を添加する工程は特に限定されない。たとえばバンバ
リ−ミキサ−やロ−ル混練工程でマトリックスゴム配合
物(ゴム、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、カ−ボン
等)と共に投入して混練したり、繊維およびマトリック
スゴムを予備混練した段階でゴム配合物を投入する方法
が挙げられる。繊維分散性の点では後者が好ましい。マ
トリックスゴムと補強繊維の混練時間は1〜60分間、
特に3〜30分間程度とするのが好ましい。繊維とマト
リックスゴムの混練方法は特に限定されず、たとえば2
本オ−プンロ−ル型のゴム用混練ロ−ル、カレンダ−ロ
−ル、2軸押出機等を用いればよく、(株)ケイ・シ−
ケイ製のKCK複合化混練押出機等を用いても良い。
【0036】マトリックスゴムと補強用繊維等を混練
後、公知の押出成型法、カレンダ−成型法、射出成型法
等により成型し、次いで所望により加硫処理(熱プレス
加硫処理等)を行えば繊維補強ゴム成型物が得られる。
加硫処理は80〜250℃、特に120〜200℃で行
うのが好ましく、処理時間は5〜60分間,特に10〜
30分間とするのが好ましい。本発明により得られるゴ
ム成型体の形態は特に限定されず、シ−ト状、筒状等適
宜選択でき、しかも補強繊維が均一に分散しており機械
的性能に優れていることから、各種伝導ベルト、タイ
ヤ、ホ−ス、ガスケット、ダイヤグラム、ピストキャッ
プ及び自動車の外層部品等に好適に使用できる。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。 [アスペクト比]添加する繊維の繊維長を繊維直径で徐
した値をアスペクト比として求めた。なお、繊維径が丸
断面でない場合は、その横断面面積と同一の面積を有す
る円の直径を繊維径とする。 [叩解度 秒]20℃65%RH雰囲気で放置した繊維
サンプル4gを2mmにカットし、これに水400cc
を加えて、松下電器産業製ミキサー(ナショナルMX−
X40)に投入し、11000rpmで攪拌叩解する。
所定時間攪拌叩解後に水分散叩解液をサンプリングし、
次に述べる方法で濾水時間を測定し、濾水時間が60秒
以上となる攪拌叩解時間をいう。本発明でいう濾水時間
とは、径が63mmのプラスチック製メスシリンダーの
底をくり抜き、そこに350メッシュの金網を取り付
け、フィブリル0.5gを含む水分散叩解液750cc
を濾過するに要する時間をいう。 [ヤ−ン強度g/dr、伸度%、ヤング率g/dr]得
られた繊維を80t/mのS撚を加えた後にJIS L
1013に準じて測定した。
【0038】[剪断速度 sec-1](最大速度mm/
sec−最小速度mm/sec)を最大速度を呈する部
分と最小速度を呈する部分間の距離(mm)で除した値
を剪断速度とする。たとえば、2本のオ−プンロ−ルの
場合、第1ロ−ルが1000m/sec、第2ロ−ルが
1150mm/secの周速度で回転し、そのロ−ル間
の距離が2mmであるときは、(1150−1000)
/2により75sec-1と算出される。
【0039】[単繊維形状指数値(FLD)]補強繊維を
配合混練した未架硫ゴムを溶剤(天然ゴムの場合は熱キ
シレン)で処理してゴムを溶解除去し、補強用繊維(フ
ィブリルを含む)を分離し、得られた補強用繊維の少な
くとも50本の直径および繊維長を走査型電子顕微鏡に
より測定して平均繊維長及び平均径を求め、(平均繊維
長mm)/(平均繊維径μm)2 により算出した。 [ゴム分子量分布(Sr)]補強繊維を配合混練した未
架硫ゴムを溶剤(天然ゴムの場合はテトラヒドロフラ
ン:THF)に0.1重量%濃度となるように溶解し、
GPC装置(昭和電工製 GPC SYSTEM−11
G0503)及びカラム(昭和電工製KF−806L
shodex)を用い、流量1.0ml/min、温
度40℃、流入量100μl、濾過0.45μフィルタ
−使用の条件でリテンション・タイムを測定し、標品で
あるポリスチレンの検量線から重量平均分子量(Mw)
及び数平均分子量(Mn)を求め、Mw/Mnにより算
出した。なお、重量分子量2000以下の分子量物は除
外して平均重量分子量を求めた。
【0040】[融着率 %]未架硫ゴムまたは架橋ゴム
を混練ロ−ル円周方向に対して直角に裁断し、切断面を
走査型電子顕微鏡で観察し、融着していないと思われる
単繊維50本以上の繊維直径を測定し繊維平均直径を求
めた。次いで(平均直径の10倍以上の直径を有する繊
維の本数)/(カウントした繊維の総本数)×100に
より融着率を求めた。なお、平均直径の10倍未満の直
径を有する繊維であっても、複数の繊維が絡み合ってフ
ァイバ−ボ−ルを形成しており、かつファイバ−ボ−ル
の直径が単繊維平均直径の10倍以上である場合は、こ
れも平均直径の10倍をこえた繊維として1本にカウン
トする。
【0041】[ゴム成型物の引張強度 kgf/c
2 、伸度 %、10%伸長時応力kgf/cm2 ]繊
維配向方向(タテ方向とする)およびその直角方向(ヨ
コ方向とする)について、JIS K6251に準じて
ダンベル1号形でシ−トを打ち抜き、その引張強伸度お
よび10%伸長時の応力を測定し、その平均値で評価し
た。
【0042】[実施例1〜4,比較例1]重合度175
0、けん化度99.8モル%のPVA50重量部と、酢
酸ビニル5モル%共重合したアクリロニトリル系ポリマ
ー(PANと略す)50重量部をジメチルスルホキシド
(DMSO)に添加し、100℃10時間窒素気流下撹
拌混合溶解して総ポリマー濃度20重量%の混合紡糸原
液を得た。この原液は、肉眼で観察すると不透明であ
り、また前記した方法で相構造を観察すると50〜90
μmの粒子径を有する相構造を有しており、熱水処理に
よりPVA成分が分散媒成分(海成分)でPAN成分が
分散成分(島成分)となっていることを確認した。
【0043】この紡糸原液を8時間静置脱泡したが、2
層に分離する気配は全くなく極めて安定した相構造を有
していることを確認した。この100℃の紡糸原液を、
それぞれ孔数700ホ−ル×孔径0.15mmφ(実施
例1)、孔数100ホール×孔径0.25mmφ(実施
例2),孔数50ホ−ル×孔径0.4mmφ(実施例
3,4)の紡糸口金を通じて、DMSO/メタノールの
重量比が30/70、温度が5℃の固化浴中に湿式紡糸
した。固化浴出の糸篠の単糸の大きさはそれぞれ310
μm(実施例1)、700μm(実施例2)、870μ
m(実施例3)、1100μm(実施例4)であった。
その後固化浴出の糸篠を2倍の湿延伸を施し、その後抽
出浴を3分滞留させ糸中のDMSOを0.2%以下にメ
タノールで抽出し、最後の抽出洗浄を重量比がメタノー
ル/メチルイソブチルケトン(MIBK)/水=32/
48/20の置換浴を通過し、抽出、置換浴中でも湿延
伸処理を施し、全湿延伸倍率を3倍までかけた。置換浴
後さらに油剤付与、80℃の熱風で乾燥し紡糸原糸を得
た。その後、得られた紡糸原糸を230℃で全延伸倍率
14倍の乾熱延伸を行い(乾熱延伸機中での滞留時間3
0秒)、それぞれ3500d/700f(実施例1)、
2500d/100f(実施例2)、1900d/50
f(実施例3)及び3150d/50f(実施例4)の
PVA/PANブレンド繊維を得た。この繊維トウをギ
ロチンカッターを用いて長さ2mmにカットした。
【0044】次いで50℃に昇温した8inφ×2本ロ
−ル(1つのロ−ルの回転速度11.4m/min、他
方ロ−ルの回転速度12.9m/min、ロ−ル間間隙
1mm、剪断速度25sec-1)に天然ゴム(RSS#
3)100重量部を投入して約3分間混練してほぼ均一
な混練状態とした後、先に得られた未乾燥のカット繊維
(水分率3%)30重量部を投入混練し、均一繊維分散
を確保するに要する時間を目視評価した。さらに30分
間混練後の繊維分散ゴムを溶剤処理して性能を評価し
た。結果を表1に示す。
【0045】[比較例1]ロ−ル温度を110℃にした
以外は実施例3と同様に行った。繊維の約90%程度が
問題なく分散するものの、残りの10%程度の繊維は豆
粒状の塊となり、120分間混練しても均一分散させる
ことはできなかった。この塊状物を取り出して顕微鏡で
観察したところ、繊維間膠着が生じており一部分は完全
に樹脂化していた。結果を表1に示す。
【0046】[実施例5〜8、比較例2]実施例1〜4
及び比較例1で得られたゴム組成物80g、天然ゴム
(RSS#3)124g、SBR(日本合成ゴム会社製
「JSR1500]185gを再度8in×2本ロ−ル
に投入して3分間混練した後、素練促進剤(バイエル社
製「レナシット」)20g、カ−ボンブラックH(三菱
化社製)180g、亜鉛華#3(三井金属社製)、ステ
アリン酸10g,プロセスオイル(丸善石油社製「スワ
フレックス#200」)20gを添加した後、4分間切
り返し混練し、さらにイオウ9.6g、架硫促進剤(住
友化学社製「ソクシノ−ルCM」)2g、架硫促進剤
(住友化学社製「ソクシノ−ルDm」)2g、老化防止
剤(大内新興化学社会製「アンサゲンSC」)4gを添
加して3分間切り返し混練した後、切り出しを中止し4
分間混練し、厚さ1mmのシ−トとしたのちに150℃
で30分間プレス加硫してゴム成型シ−トを得た。この
ゴム成型シ−トはロ−ル円周方向に繊維が高度に配向し
ていた。性能を表2に示す。
【0047】[実施例9〜12、比較例3]ロ−ル間の
間隔を変更した以外は実施例4と同様に行った。なお細
径化到達時間とは、最大繊維直径が1.3μmに到達す
る混練時間(分)である。結果を表3に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 笹川 栄一 岡山市海岸通1丁目2番1号株式会社クラ レ内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニルアルコ−ル系ポリマ−を構成要件
    の少なくとも一部とする補強繊維がマトリックスゴム中
    に分散しているゴム組成物であって、該補強繊維の融着
    率が5%以下であるゴム組成物。
  2. 【請求項2】 ビニルアルコ−ル系ポリマ−を構成要件
    の少なくとも一部とする補強繊維がマトリックスゴム中
    に分散しているゴム組成物であって、該補強繊維がゴム
    成型加工工程における混合または成型する際の機械的剪
    断力により分割・細径化されたものであり、かつ該補強
    繊維の融着率が5%以下であるゴム組成物。
  3. 【請求項3】 ビニルアルコ−ル系ポリマ−を含む補強
    繊維がマトリックスゴム中に分散しているゴム組成物で
    あって、該補強繊維がビニルアルコ−ル系ポリマ−
    (A)及び水不溶性ポリマ−(B)から構成され、かつ
    その繊維断面が海島状であり、AまたはBのいずれかが
    島成分、他方が海成分を構成した海島繊維をゴム成型加
    工工程における混合または成型する際の機械的剪断力に
    より分割・細径化したものであり、かつ該補強繊維の融
    着率が5%以下であるゴム組成物。
  4. 【請求項4】 ビニルアルコ−ル系ポリマ−を構成要件
    の少なくとも一部とする繊維を、マトリックスゴムに配
    合し、温度100℃以下、剪断速度1sec-1以上の条
    件下で混練するゴム組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 ビニルアルコ−ル系ポリマ−を構成要件
    の少なくとも一部とし、かつゴム成型加工工程における
    混合または成型する際の機械的剪断力により分割・細径
    化する繊維をマトリックスゴムに配合し、温度100℃
    以下、剪断速度1sec-1以上の条件下で混練するゴム
    組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 ビニルアルコール系ポリマー(A)と水
    不溶性ポリマ−(B)からなり、かつその繊維断面が海
    島状であり、AまたはBのいずれかが島成分、他方が海
    成分で、A/Bの重量比が90/10〜20/80であ
    る繊維を、マトリックスゴムに配合し、温度100℃以
    下、剪断速度1sec-1以上の条件下で混練するゴム組
    成物の製造方法。
  7. 【請求項7】 ビニルアルコ−ル系ポリマ−を構成要件
    の少なくとも一部とする繊維を、マトリックスゴムに配
    合し、温度100℃以下、剪断速度1sec-1以上の条
    件下で混練するゴム補強用繊維の分散方法。
JP33694497A 1997-10-22 1997-12-08 ゴム組成物及び補強用繊維の分散方法 Pending JPH11189654A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112521664A (zh) * 2020-11-21 2021-03-19 安徽腾龙泵阀制造有限公司 一种耐磨改性橡胶密封材料

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CN112521664A (zh) * 2020-11-21 2021-03-19 安徽腾龙泵阀制造有限公司 一种耐磨改性橡胶密封材料

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