JPH11189438A - 耐放射線光ファイバの製造方法 - Google Patents

耐放射線光ファイバの製造方法

Info

Publication number
JPH11189438A
JPH11189438A JP9366683A JP36668397A JPH11189438A JP H11189438 A JPH11189438 A JP H11189438A JP 9366683 A JP9366683 A JP 9366683A JP 36668397 A JP36668397 A JP 36668397A JP H11189438 A JPH11189438 A JP H11189438A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical fiber
glass fiber
hydrogen molecules
resistant
fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9366683A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinichi Arai
慎一 荒井
Takeshi Yagi
健 八木
Yoshihisa Suzuki
好久 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Furukawa Electric Co Ltd filed Critical Furukawa Electric Co Ltd
Priority to JP9366683A priority Critical patent/JPH11189438A/ja
Publication of JPH11189438A publication Critical patent/JPH11189438A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B37/00Manufacture or treatment of flakes, fibres, or filaments from softened glass, minerals, or slags
    • C03B37/01Manufacture of glass fibres or filaments
    • C03B37/02Manufacture of glass fibres or filaments by drawing or extruding, e.g. direct drawing of molten glass from nozzles; Cooling fins therefor
    • C03B37/025Manufacture of glass fibres or filaments by drawing or extruding, e.g. direct drawing of molten glass from nozzles; Cooling fins therefor from reheated softened tubes, rods, fibres or filaments, e.g. drawing fibres from preforms
    • C03B37/027Fibres composed of different sorts of glass, e.g. glass optical fibres
    • C03B37/02718Thermal treatment of the fibre during the drawing process, e.g. cooling

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Geochemistry & Mineralogy (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass Fibres Or Filaments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光ファイバを延伸後再加熱する必要なく、従
って光ファイバの破断や外径の変動を抑制し、且つ耐放
射線性を長期にわたって維持することができる耐放射線
光ファイバを製造する。 【解決手段】 光ファイバ用プリフォーム1を線引き炉
12で溶融延伸して所定外径で形成されたガラスファイ
バ2が冷却される前にガス拡散チャンバー14内でガラ
スファイバ2中に水素分子を拡散して溶存させ、その後
直ちに熱CVD炉16で耐水素ハーメチック性の高いカ
ーボン層を被覆し、更にこのカーボン層の上に耐熱性金
属層を被覆する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子力発電所等の
ように放射線雰囲気と高温雰囲気との下で使用される光
ファイバの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】石英ガラス型の光ファイバは、放射線雰
囲気の下に晒されると、屈折率を制御する目的で添加さ
れているGe等のドーパントや光ファイバの製造工程中
で除去しきれないで残存するCl等の不純物によって紫
外線域及び可視光線域で光学吸収が生ずることが知られ
ている。このような問題を解決するために、光ファイバ
中のGe等のドーパントを減らしたり、製造工程中に残
存するCl等の不純物を低減して光ファイバのコア部を
純粋石英化することが行われている。しかし、これらの
方法でも石英ガラスが放射線雰囲気の下で生じる光学吸
収欠陥による伝送損失の増加を抑制するのに限界があっ
た。
【0003】このような欠点を改善するために、光ファ
イバ中に水素分子を添加し、この水素分子が光ファイバ
から飛散しないようにカーボンの如きハーメチック性の
高い被覆を施して形成された耐放射線光ファイバ(特開
平1−241505号公報参照)や水素ガス雰囲気中で
光ファイバの上に金属被覆層を施することによって光フ
ァイバ中に水素分子を添加し、その後光ファイバ中の水
素分子を熱処理して形成された耐放射線光ファイバ(特
願平4−342446号公報参照)が提案されている。
【0004】光ファイバ中に添加された水素分子は、放
射線の照射によって光ファイバのガラス中に発生する光
学吸収欠陥と反応してこの欠陥を水酸基化させて紫外線
域及び可視光線域での伝送損失の増加を抑制する機能を
有する。しかし、これらの従来技術では、光ファイバ用
プリフォームを溶融延伸し所定外径の光ファイバを形成
した後、この光ファイバを加熱炉で再加熱しつつ水素分
子を吸入するか(特開平1−241505号公報)、こ
の光ファイバを水素雰囲気下でアルミニウム又はニッケ
ル等の金属被覆層を施し、その後加熱して水素処理する
ので、水素分子を光ファバに添加するための特別の加熱
処理が必要となる。従って、設備が大掛かりとなって不
経済である上に、光ファイバは所定外径で形成された後
再加熱されるので、光ファイバの強度劣化により光ファ
イバが破断したり外径が変動する虞があった。
【0005】また、水素分子が添加された光ファイバの
上に水素分子の飛散を防止するためにカーボン等の耐水
素ハーメチック層が被覆されても、通常はハーメチック
層上にウレタンアクリレート系樹脂等の生産性の高い材
料を被覆するので、光ファイバが高温雰囲気と放射線雰
囲気の下で用いられると、ハーメチック層上に設けられ
ているウレタンアクリレート系樹脂等の被覆層が劣化
し、それに伴いハーメチック層が部分的に劣化するた
め、水素分子飛散防止機能を喪失することになる。これ
を防止するために、このハーメチック層の上にシリコー
ン樹脂被覆を施しているが(特願平1−241505号
公報)、このシリコーン樹脂被覆もウレタンアクリレー
ト系の被覆に比べて耐熱性、耐放射線性に優れているも
のの、上記の雰囲気の下では徐々に劣化が進行するの
で、ハーメチック層を充分に保護することができなかっ
た。
【0006】更に、光ファイバ上に水素雰囲気下でアル
ミニウム又はニッケル等の金属被覆層が施されると(特
願平4−342446号公報)、金属被覆層の高い耐熱
性と機械的強度とによって光ファイバの耐熱性と機械的
強度を向上することができるが、金属被覆層は、水素分
子の飛散防止機能が低いため、耐放射線性が時間の経過
と共に低下する欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、所定の外径に形成された光ファイバを再加
熱する必要なく、従って設備が大掛かりとなることがな
く、光ファイバの破断や外径の変動を抑制し、且つ耐放
射線性を長期にわたって維持することができ、高い耐熱
性と機械的強度とを有する光ファイバを製造する方法を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の課題解決
手段は、水素分子が添加されたガラスファイバとこのガ
ラスファイバから水素分子が飛散するの防止するために
ガラスファイバに被覆された耐水素ハーメチック性の高
いカーボン層とから成る耐放射線光ファイバを製造する
方法であって、光ファイバ用プリフォームを溶融延伸し
て所定外径で形成されたガラスファイバが冷却される前
にガラスファイバ中に水素分子を拡散して溶存させ、そ
の後直ちに耐水素ハーメチック性の高いカーボン層を被
覆し、更にカーボン層の上に耐熱性金属層を被覆したこ
とを特徴とする耐放射線光ファイバの製造方法を提供す
ることにある。
【0009】本発明の第2の課題解決手段は、水素分子
が添加されたガラスファイバとこのガラスファイバから
水素分子が飛散するの防止するためにガラスファイバに
被覆された耐水素ハーメチック性の高いカーボン層とか
ら成る耐放射線光ファイバを製造する方法であって、光
ファイバ用プリフォームを溶融延伸する前又は溶融延伸
している間にこのプリフォームに水素分子を拡散溶存さ
せ、このプリフォームを溶融延伸して所定外径のガラス
ファイバを形成した後直ちに耐水素ハーメチック性の高
いカーボン層を被覆し、更にこのカーボン層の上に耐熱
性金属層を被覆したことを特徴とする耐放射線光ファイ
バの製造方法を提供することにある。
【0010】本発明の第3の課題解決手段は、水素分子
が添加されたガラスファイバとこのガラスファイバから
水素分子が飛散するの防止するためにガラスファイバに
施された耐水素ハーメチック性の高いカーボン被覆とか
ら成る耐放射線光ファイバを製造する方法であって、光
ファイバ用プリフォームを溶融延伸する前又は溶融延伸
している間にこのプリフォームに水素分子を拡散させ、
このプリフォームを溶融延伸して所定外径のガラスファ
イバを形成した後であってガラスファイバが冷却される
前に更に水素分子を拡散して溶存させ、その後直ちに耐
水素ハーメチック性の高いカーボン層を被覆し、更にこ
のカーボン層の上に耐熱性金属層を被覆したことを特徴
とする耐放射線光ファイバの製造方法を提供することに
ある。
【0011】このように、光ファイバ中に水素分子を拡
散して溶存させるために光ファイバ用プリフォームに予
め水素分子を拡散溶存させるかこのプリフォームを溶融
延伸(紡糸)して光ファイバを形成した後であってその
冷却前の熱を利用して光ファイバに水素分子を拡散溶存
させるので、光ファイバの延伸後に特別の加熱処理が必
要なく、従って、設備が大型化することがなく経済的で
ある上に、光ファイバは再加熱しないのでその破断や外
径変動を生ずる虞がない。
【0012】また、カーボン層の上に高い耐熱性と高い
機械的強度を有する金属被覆層を有するので、被覆層の
劣化に伴ったカーボン層の劣化が生ずることがなく、光
ファイバの耐放射線性を長期に渡って維持することがで
きる上に、光ファイバに高い耐熱性と高い機械的強度と
を付与することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を参照
して詳細に述べると、図1は本発明の1つの実施の形態
によって耐放射線光ファイバを製造する方法を実施する
のに適した装置を系統的に示し、図1に示すように、フ
ァイバ用プリフォーム(光ファイバ母材)1を線引き炉
12に入れてこのプリフォーム1を溶融延伸(紡糸)し
て所定外径のガラスファイバ2を形成し、この線引き炉
12のすぐ下流側にガス拡散チャンバー14にガラスフ
ァイバ2を通過させる。
【0014】このガス拡散チャンバー14内でガラスフ
ァイバ2が冷却される前にこのガラスファイバ2中に水
素分子(水素ガス)を拡散させる。ガラスファイバ2中
に拡散された水素分子は、まだ冷却されていないガラス
ファイバ2中に溶存される。ガス拡散チャンバー14に
は水素ガスと共に窒素ガス等のシール用不活性ガスを導
入してガラスファイバ2を外気から保護する。ガス拡散
チャンバー14は、図2に示すように、下方に水素ガス
導入口16を有し、また上下に不活性ガス投入口18
A、18Bを有し、上方の不活性ガス投入口18A付近
に余剰ガス排出口20を有する。尚、このガス拡散チャ
ンバー14の長さLは、ガラスファイバー2が通過する
間にこのガラスファイバー2に水素分子が浸透して拡散
するのに充分な程度にすることが要求され、この長さ
は、クラッド外径が125μmで、線引き速度が3〜4
m/sec.の時には、通常は500mmに設定され
る。
【0015】このようにして水素分子が拡散されて溶存
されたガラスファイバ2は、ガス拡散チャンバー14の
すぐ下流側に配置された熱CVD反応炉22に導入され
てガラスファイバ2の上に耐水素ハーメチック性の高い
カーボン層3を被覆する(図4(A)参照)。この熱C
VD反応炉22は、C28 等の炭化水素原料の熱分解
反応によりガラスファイバ2の上にカーボンを堆積して
カーボン層3を被覆する。
【0016】その後、カーボン層3が被覆されたガラス
ファイバ2は、ファイバ外径測定器24及び冷却筒26
を通過した後、紫外線硬化樹脂のコーティングダイス2
8Aと紫外線ランプ30Aとの第1の組合せ、同じく紫
外線硬化樹脂のコーティングダイス28Bと紫外線ラン
プ30Bとの第2の組合せ等の1乃至数段の紫外線硬化
樹脂被覆装置32に供給してカーボン層3の上に紫外線
硬化樹脂層4を被覆する(図4(A)参照)。図示の形
態では、紫外線硬化樹脂被覆装置32の第2段の紫外線
ランプ30Bの下流側には更に他の紫外線ランプ30C
が設置されている。このようにしてカーボン層3及び紫
外線硬化樹脂層4が被覆されたガラスファイバ2は、キ
ャプスタン34を経て巻取りボビン36に一旦巻取られ
る。
【0017】次いで、このようにしてカーボン層3及び
紫外線硬化樹脂層4が被覆されて巻取りボビン36に巻
取られたガラスファイバ2は、図3に示す金属層被覆装
置38に搬送される。この金属層被覆装置38は、紫外
線硬化樹脂層4を膨潤する膨潤槽40と、この膨潤槽4
0から導出されるガラスファイバ2から膨潤された紫外
線硬化樹脂層4を剥離する剥離ローラ42と、この剥離
ローラ42によって紫外線硬化樹脂層4が剥離されてカ
ーボン層3が露出したガラスファイバ2を洗浄する超音
波洗浄槽44と、洗浄されたガラスファイバ2上のカー
ボン層3の上に金属メッキを施すメッキ槽46とから成
っている。メッキ槽46は、電極ローラ48を含み、こ
のメッキ槽46で金属メッキが施されて耐熱性金属層5
がカーボン層3の上に被覆されて耐放射線光ファイバ6
を完成する(図4(B)参照)。尚、図3中符号52は
超音波洗浄槽44内の超音波振動子、符号54はポン
プ、符号4Aは剥離ローラ42によって剥離された紫外
線硬化樹脂層4の剥離物をそれぞれ示す。
【0018】このようにして製造された耐放射線光ファ
イバ6は、電極ローラ48を経て巻取りボビン50に巻
取られる。耐熱性金属層5は、光ファイバ6に耐熱性と
機械的強度とを付与すると共に、カーボン層3の水素分
子飛散防止機能を阻害しないように保護する機能を有す
る。
【0019】このように、光ファイバ6中に水素分子を
拡散して溶存させるために光ファイバの延伸後で冷却前
の熱を利用すると、延伸後に特別の加熱処理が必要な
く、また光ファイバは再加熱しないので水素分子の拡散
溶存時に光ファイバが破断したり外径が変動したりする
ことがない。
【0020】また、カーボン層3の上に高い耐熱性と高
い機械的強度を有する耐熱性金属層5がカーボン層3を
保護してその水素分子飛散防止機能を保持するので、光
ファイバ6の耐放射線性を長期に渡って維持することが
できる。
【0021】上記実施の形態では、ガラスファイバ2が
冷却される前の熱を利用してガラスファイバに水素分子
を拡散溶存しているので、延伸後に光ファイバを再加熱
する必要がないが、予め光ファイバ用プリフォーム1を
加熱しながら水素分子を加圧して拡散溶存させた後に、
このプリフォーム1をて図1の線引き炉12に投入し、
所定外径のガラスファイバ2を形成してもよいし、また
線引き炉12内に水素ガスを送給してプリフォーム1を
溶融延伸している間にプリフォーム1又は所定外径に延
伸された光ファイバ2に水素分子を拡散溶存させてもよ
い。この場合も延伸後の所定外径のガラスファイバ2を
再加熱する必要がない。また、予め光ファイバ用プリフ
ォームを加熱しながら水素分子を加圧して拡散溶存させ
た後に、このプリフォームを図1の線引き炉12に投入
し、所定外径のガラスファイバ2を形成するか、線引き
炉12内に水素ガスを送給してプリフォーム1を溶融延
伸している間にプリフォーム1に水素分子を拡散溶存さ
せ、このプリフォームを延伸して所定外径のガラスファ
イバ2を形成した後であってその冷却前に図1のガス拡
散チャンバー14で更に水素分子を拡散溶存してもよ
い。尚、予め光ファイバ用プリフォーム1に水素分子を
拡散溶存させた後、これを延伸して所定外径のガラスフ
ァイバ2を形成し、その後は水素分子を拡散溶存させる
ことなく、耐水素ハーメチック性のカーボン層3を被覆
する場合には、ガス拡散チャンバー14には不活性ガス
のみを流し込んでガラスファイバ2を外気から保護す
る。
【0022】
【実施例】次に、本発明の幾つかの実施例を比較例と共
に図1、図3及び表1乃至6を参照して以下に詳細に述
べる。表1は、実施例1と比較例1乃至4の製造条件を
示しており、表2は、実施例2乃至4の製造条件を示し
ており、表3は、実施例5乃至7の製造条件を示してい
る。また、表4は、実施例1と比較例1乃至4の特性試
験の結果を示しており、表5は、実施例2乃至4の特性
試験の結果を示しており、表6は、実施例5乃至7の特
性試験の結果を示している。この特性試験は、光ファイ
バを300℃の高温雰囲気で4Gy/hrの線量率で2
50hr継続して合計1000Gyのγ線を照射して行
った。γ線照射後の伝送損失増加量は、照射終了時の波
長λ=400nm、600nm及び850nmにおいて
測定した。また平均引っ張り破断強度は、標点間距離5
m、引っ張り速度5%/min.、気温25℃、湿度6
0%の雰囲気で測定された。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
【表5】
【0028】
【表6】
【0029】(実施例1)純粋石英のコア部と屈折率を
低減させるためにフッ素がドープされた石英のクラッド
部とから成る光ファイバ用プリフォーム(母材)1を図
1の装置の線引き炉12に入れた。線引き炉12は、約
1900℃の温度に維持され、この線引き炉12は、こ
の温度の下でプリフォーム1を溶融延伸してファイバ外
径が125μmのガラスファイバ2を4m/sec.の
紡糸速度で形成した。ガス拡散チャンバー14内には
1.0気圧の水素ガス100%が導入されており、線引
き炉12から導出されたガラスファイバ2は、このガス
拡散チャンバー14を通過し、その際にガラスファイバ
2に水素分子が拡散され溶存される。この水素分子の拡
散溶存は、ガラスファイバ2が線引き炉12から導出し
て未だ冷却される前の熱を利用して行われる。このよう
にして水素分子が拡散され溶存されたガラスファイバ2
は、このガス拡散チャンバー14の直下に配置された熱
CVD炉22内に供給される。熱CVD炉22にはカー
ボン層3の原料である炭化水素ガスを高温雰囲気中に
0.2リットル/min.の流速で供給してガラスファ
イバ2の表面にカーボン層3を堆積する。このカーボン
層3は、約60nmの厚みで形成された。次に、カーボ
ン層3を有するガラスファイバ2は、ファイバ外径測定
器24を経て冷却筒26に供給され、この冷却筒26を
通過する間に室温に冷却される。その後、ガラスファイ
バ2は、2段の紫外線硬化樹脂被覆装置32を通過して
外径が170μmとなるように紫外線硬化樹脂層4を被
覆し、巻取りドラム36に巻取り、この巻取りドラム3
6を図3に示す金属層被覆装置38に搬送した。金属層
被覆装置38は、繰り出しドラム(巻取りドラム36)
から繰り出されるガラスファイバ2の表面の紫外線硬化
樹脂層4を膨潤槽40で膨潤し、剥離ローラ42で紫外
線硬化樹脂層4を剥離してカーボン層3を露出する。カ
ーボン層3が露出されたガラスファイバ2を超音波洗浄
槽44で超音波洗浄した後、メッキ槽46に供給する。
メッキ槽46ではカーボン層3の上に約5μmの厚みで
電解Niメッキを施し、耐熱金属層5を形成して耐放射
線光ファイバ6を製造した(図4(B)参照)。
【0030】この実施例1によって耐放射線光ファイバ
を製造する際の製造条件は、表1にまとめて示され、ま
たこの方法によって製造された耐放射線光ファイバの特
性試験の結果は表4に示されている。表4から解るよう
に、実施例1によって製造された光ファイバのγ線照射
後の伝送損失増加量は僅かであり、またこの光ファイバ
の平均引っ張り強度は、γ線照射前後で殆ど差がない。
【0031】(比較例1)比較例1の製造条件が表1に
示されており、この表1から解るように、ガス拡散チャ
ンバー14内でガラスファイバ2に水素分子を拡散しな
かったことを除いて実施例1と同じ条件で光ファイバを
製造した。表4から解るように、γ線照射前後の平均引
っ張り破断強度には殆ど差がなかったが、γ線照射後の
伝送損失増加量は著しく大きかった。これはガラスファ
イバに水素分子が添加されなかったためである。尚、平
均引っ張り破断強度に差がないのはカーボン層の上に電
解Niメッキの耐熱性金属層を有するからである。
【0032】(比較例2)表1から解るように、カーボ
ン層の上に耐熱金属層ではなく、ポリイミド層を被覆し
たことを除いて実施例1と同じ条件で光ファイバを製造
した。表4から解るように、γ線照射後の伝送損失増加
量は少なかったが、γ線照射前後の平均引っ張り破断強
度はγ線照射前後で大きな差があった。尚、ポリイミド
層を有する光ファイバの外径は145μmであった。γ
線照射前後の平均引っ張り破断強度の低下は、耐熱性金
属層を使用しなかったことによる。
【0033】(比較例3)表1から解るように、水素分
子が添加されたガラスファイバの上にカーボン層を被覆
していないことを除いて実施例1と同じ条件で光ファイ
バを製造した。表4から解るように、γ線照射前後の平
均引っ張り破断強度には殆ど差がなかったが、γ線照射
後の伝送損失増加量は著しく大きかった。これはガラス
ファイバに水素分子が添加されたが、ガラスファイバの
上にカーボン層を被覆しなかったので水素分子がガラス
ファイバの外へ拡散したためである。
【0034】(比較例4)表1から解るように、水素分
子が添加されたガラスファイバの上にカーボン層を被覆
していないことと電解Niメッキの耐熱金属層に代えて
半田メッキの金属層を被覆したことを除いて実施例1と
同じ条件で光ファイバを製造した。表4から解るよう
に、γ線照射後の伝送損失増加量が増加した。また、γ
線照射前後の平均引っ張り破断強度に大きな差があっ
た。これは半田メッキの金属層は耐熱性が低いためであ
る。
【0035】(実施例2)表2から解るように、予め水
素分子が拡散された光ファイバ用プリフォームを用いる
が、ガス拡散チャンバーでは水素分子を拡散しないこと
を除いて実施例1と同じ条件で光ファイバを製造した。
尚、プリフォームへの水素分子の拡散は、外径15mm
の母材を50℃の温度の下で水素ガスを10気圧に維持
した加圧炉にプリフォームを500時間保持して行われ
た。この実施例2では、プリフォーム自体に水素分子が
添加されているので、このプリフォームを線引きして形
成されたガラスファイバには水素分子を添加しなかっ
た。表5から解るように、γ線照射後の伝送損失増加量
が少ないし、γ線照射前後の平均引っ張り破断強度にも
殆ど差がなかった。
【0036】(実施例3)表2から解るように、実施例
2と同様に予め水素分子が拡散された光ファイバ用プリ
フォームを用いるが、更にガス拡散チャンバーでガラス
ファイバにも水素分子を拡散したことを除いて実施例1
と同じ条件で光ファイバを製造した。表5から解るよう
に、この実施例による光ファイバでは、γ線照射後の伝
送損失増加量が少ないし、γ線照射前後の平均引っ張り
破断強度にも殆ど差がなかった。
【0037】(実施例4)表2から解るように、実施例
3の電解Niメッキの耐熱性金属層に代えて無電解Au
メッキ層を被覆したことを除いて実施例3と同じ条件で
光ファイバを製造した。表5から解るように、この実施
例4による光ファイバでは、γ線照射後の伝送損失増加
量が少ないし、γ線照射前後の平均引っ張り破断強度に
も殆ど差がなかった。
【0038】(実施例5)表3から解るように、実施例
3の電解Niメッキの耐熱性金属層に代えて電解Crメ
ッキの耐熱性金属層を被覆したことを除いて実施例3と
同じ条件で光ファイバを製造した。表6から解るよう
に、この実施例5による光ファイバでは、γ線照射後の
伝送損失増加量が少ないし、γ線照射前後の平均引っ張
り破断強度にも殆ど差がなかった。
【0039】(実施例6)表3から解るように、実施例
3の約5μmの厚みの電解Niメッキの耐熱性金属層に
代えて約3μmの厚みの電解Niメッキの上に約2μm
の厚みの電解Crメッキを施して耐熱性金属層を被覆し
たことを除いて実施例3と同じ条件で光ファイバを製造
した。表6から解るように、この実施例5による光ファ
イバでは、γ線照射後の伝送損失増加量が少ないし、γ
線照射前後の平均引っ張り破断強度にも殆ど差がなかっ
た。
【0040】(実施例7)表3から解るように、実施例
3の電解Niメッキの耐熱性金属層に代えて溶融Alを
約15μmの厚みでディップ法によって塗布し硬化して
耐熱性金属層を被覆したことを除いて実施例3と同じ条
件で光ファイバを製造した。表6から解るように、この
実施例5による光ファイバでは、γ線照射後の伝送損失
増加量が少ないし、γ線照射前後の平均引っ張り破断強
度にも殆ど差がなかった。
【0041】上記の実施例1乃至7と比較例1乃至4と
を比較して解るように、ガラスファイバに水素分子を拡
散(添加)し、このガラスファイバにカーボン層を被覆
すると、光ファイバに放射線を照射しても、伝送損失の
増加を抑制することができる。特に、カーボン層の上に
金属メッキ又は溶融金属の塗布によって耐熱性金属層を
被覆すると、高温雰囲気の下でも耐放射線性を維持する
ことができる。
【0042】注目すべきことであるが、ガラスファイバ
に水素分子を拡散するために、光ファイバ用プリフォー
ムを溶融延伸してガラスファイバを形成した直後の冷却
前にその熱を利用してガラスファイバに水素分子を拡散
溶存させるか、溶融延伸前の光ファイバ用プリフォーム
に予め水素分子を拡散するか、その両方を併用している
ので、ガラスファイバを所定の外径に線引きした後に、
再加熱する必要がなく、従って再加熱用の設備が不要と
なる上に所定の外径に形成されたガラスファイバが再加
熱によって破断又は外径変動を生ずることがない。
【0043】尚、上記実施例では、耐熱性金属層は、メ
ッキ又はディップ法によって形成したが、それ以外に蒸
着、有機金属化合反応その他適宜の手段によって形成し
てもよい。ただし、使用すべき金属は、光ファイバが布
設される環境温度よりも高い融点を有するものであるこ
とが要求され、またこの環境温度によってピンホール等
の欠陥が生ずることがないものであることが要求され
る。従って、上記実施例で掲げられた約5μmの厚みの
Ni、Cr、Auや合計で約5μmのNiとCrとの複
数層構造のものが好適である。
【0044】更に上記実施の形態及び実施例では、溶融
延伸前の光ファイバ用プリフォームに予め水素分子を拡
散させる場合について述べたが、線引き炉に水素ガスを
送給してプリフォームを溶融延伸している間にプリフォ
ームに水素分子を拡散溶存させてもよい。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、上記のように、光ファ
イバ中に水素分子を拡散して溶存させるために光ファイ
バ用プリフォームに溶融延伸前又は溶融延伸中に水素分
子を拡散溶存させるか、このプリフォームを延伸して光
ファイバを形成した後であってその冷却前の熱を利用し
て光ファイバに水素分子を拡散溶存させるので、光ファ
イバの延伸後に特別の加熱処理が必要なく、従って、設
備が大型化することがなく経済的である上に、光ファイ
バは再加熱しないので光ファイバが破断したり外径が変
動する虞がない。
【0046】また、カーボン層の上に高い耐熱性と高い
機械的強度を有する金属被覆層を有するので、カーボン
層が破壊されることがなく、光ファイバの耐放射線性を
長期に渡って維持することができる上に、光ファイバに
高い耐熱性と高い機械的強度とを付与することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る耐放射線光ファイバの製造方法に
用いられる装置の概略系統図である。
【図2】図1の装置に用いられるガス拡散チャンバーの
詳細図である。
【図3】図1の装置で得られた紫外線硬化樹脂層を有す
るガラスファイバの紫外線硬化樹脂層を剥離し、カーボ
ン層の上に耐熱金属層を被覆する装置の概略系統図であ
る。
【図4】本発明の方法によって光ファイバの処理過程を
示し、同図(A)は紫外線硬化樹脂層を有するガラスフ
ァイバの横断面図、同図(B)は本発明の方法によって
完成された耐放射線光ファイバの横断面図である。
【符号の説明】
1 光ファイバ用プリフォーム(光ファイバ母材) 2 ガラスファイバ 3 耐水素ハーメチック性の高いカーボン層 4 紫外線硬化樹脂層 5 耐熱性金属層 6 耐放射線光ファイバ 12 線引き炉 14 ガス拡散チャンバー 16 水素ガス導入口 18A 不活性ガス投入口 18B 不活性ガス投入口 20 余剰ガス排出口 22 熱CVD反応炉 24 ファイバ外径測定器 26 冷却筒26 28A 紫外線硬化樹脂のコーティングダイス 28B 紫外線硬化樹脂のコーティングダイス 30A 紫外線ランプ 30B 紫外線ランプ 30C 紫外線ランプ 32 紫外線硬化樹脂被覆装置 34 キャプスタン 36 巻取りボビン 38 金属層被覆装置 40 膨潤槽 42 剥離ローラ 44 超音波洗浄槽 46 メッキ槽 48 電極ローラ 50 巻取りボビン 52 超音波振動子 54 ポンプ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素分子が添加されたガラスファイバと
    前記ガラスファイバから前記水素分子が飛散するの防止
    するために前記ガラスファイバに被覆された耐水素ハー
    メチック性の高いカーボン層とから成る耐放射線光ファ
    イバを製造する方法であって、光ファイバ用プリフォー
    ムを溶融延伸して所定外径で形成されたガラスファイバ
    が冷却される前に前記ガラスファイバ中に水素分子を拡
    散して溶存させ、その後直ちに前記耐水素ハーメチック
    性の高いカーボン層を被覆し、更に前記カーボン層の上
    に耐熱性金属層を被覆したことを特徴とする耐放射線光
    ファイバの製造方法。
  2. 【請求項2】 水素分子が添加されたガラスファイバと
    前記ガラスファイバから前記水素分子が飛散するの防止
    するために前記ガラスファイバに被覆された耐水素ハー
    メチック性の高いカーボン層とから成る耐放射線光ファ
    イバを製造する方法であって、光ファイバ用プリフォー
    ムを溶融延伸する前又は溶融延伸中に前記プリフォーム
    に水素分子を拡散させ、前記プリフォームを溶融延伸し
    て所定外径のガラスファイバを形成し、その後直ちに前
    記耐水素ハーメチック性の高いカーボン層を被覆し、更
    に前記カーボン層の上に耐熱性金属層を被覆したことを
    特徴とする耐放射線光ファイバの製造方法。
  3. 【請求項3】 水素分子が添加されたガラスファイバと
    前記ガラスファイバから前記水素分子が飛散するの防止
    するために前記ガラスファイバに施された耐水素ハーメ
    チック性の高いカーボン被覆とから成る耐放射線光ファ
    イバを製造する方法であって、光ファイバ用プリフォー
    ムを溶融延伸する前又は溶融延伸中に前記プリフォーム
    に水素分子を拡散させ、前記プリフォームを延伸して所
    定外径のガラスファイバを形成した後であって前記ガラ
    スファイバが冷却される前に更に水素分子を拡散して溶
    存させ、その後直ちに前記耐水素ハーメチック性の高い
    カーボン層を被覆し、更に前記カーボン層の上に耐熱性
    金属層を被覆したことを特徴とする耐放射線光ファイバ
    の製造方法。
JP9366683A 1997-12-26 1997-12-26 耐放射線光ファイバの製造方法 Pending JPH11189438A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9366683A JPH11189438A (ja) 1997-12-26 1997-12-26 耐放射線光ファイバの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9366683A JPH11189438A (ja) 1997-12-26 1997-12-26 耐放射線光ファイバの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11189438A true JPH11189438A (ja) 1999-07-13

Family

ID=18487394

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9366683A Pending JPH11189438A (ja) 1997-12-26 1997-12-26 耐放射線光ファイバの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11189438A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111377619A (zh) * 2018-12-28 2020-07-07 中天科技光纤有限公司 光纤涂覆装置
JP2021039360A (ja) * 2014-12-18 2021-03-11 エヌケイティー フォトニクス アクティーゼルスカブNkt Photonics A/S フォトニック結晶ファイバ、その作製方法、及びスーパーコンティニューム光源

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021039360A (ja) * 2014-12-18 2021-03-11 エヌケイティー フォトニクス アクティーゼルスカブNkt Photonics A/S フォトニック結晶ファイバ、その作製方法、及びスーパーコンティニューム光源
US11719881B2 (en) 2014-12-18 2023-08-08 Nkt Photonics A/S Photonic crystal fiber, a method of production thereof and a supercontinuum light source
CN111377619A (zh) * 2018-12-28 2020-07-07 中天科技光纤有限公司 光纤涂覆装置
CN111377619B (zh) * 2018-12-28 2024-04-30 中天科技光纤有限公司 光纤涂覆装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2975642B2 (ja) ハーメチックコートファイバとその製造方法
JP2635475B2 (ja) 光ファイバの被覆形成方法
US5037464A (en) Method of cleaning and carbon coating optical fiber
JPH11189438A (ja) 耐放射線光ファイバの製造方法
CN114415287B (zh) 一种阻氢涂碳光纤光栅串及其制备方法和制备装置
JPH0471019B2 (ja)
JP4360592B2 (ja) 光ファイバの製造方法
JP2928723B2 (ja) 光ファイバの製法
JPH04224144A (ja) ハーメチックコートファイバの製造方法およびその装置
JPH10167770A (ja) カーボンコート光ファイバ心線の製造法
JP2798790B2 (ja) 光ファイバの製造方法
JPS63129035A (ja) 光フアイバの製造方法
JP2727702B2 (ja) カーボンコート光ファイバの製造方法
JP3039949B2 (ja) 光ファイバの製造方法
JP2734586B2 (ja) 光ファイバ素線
JPS6051631A (ja) 光フアイバの製造方法
JP2683070B2 (ja) 光ファイバの製造方法
JP3282919B2 (ja) カーボン被覆光ファイバ製造法
JPH02289450A (ja) 光ファイバ
JP3039961B2 (ja) 光ファイバの製造方法
JP2710402B2 (ja) 光ファイバ
JPH02160644A (ja) 光ファイバの製造方法
JP2595364B2 (ja) 光ファイバの製造方法
WO2004002912A1 (ja) ガラス線材の製造方法及び装置
JP3039948B2 (ja) 光ファイバの製造方法