JPH1118721A - 植物胚芽抽出物とクエン酸を含有する食品 - Google Patents

植物胚芽抽出物とクエン酸を含有する食品

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JPH1118721A
JPH1118721A JP9177271A JP17727197A JPH1118721A JP H1118721 A JPH1118721 A JP H1118721A JP 9177271 A JP9177271 A JP 9177271A JP 17727197 A JP17727197 A JP 17727197A JP H1118721 A JPH1118721 A JP H1118721A
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zinc
germ
extract
citric acid
plant
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Yoshio Suzuki
良雄 鈴木
Hirobumi Motoi
博文 本井
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Nisshin Seifun Group Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 植物胚芽抽出物中の亜鉛成分が可溶性化され
た食品の提供。 【解決手段】 植物胚芽抽出液から分画した亜鉛を高含
量で含む画分を含有し、存在する亜鉛に対してクエン酸
を10倍モル以上加えることにより亜鉛を中性〜アルカ
リ性において水溶性とした食品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物胚芽抽出液か
ら分画した亜鉛を高含量で含む画分を含有しており中性
〜アルカリ性においてこの亜鉛を水溶性とした食品およ
び食品素材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の栄養生理学に関する研究の進展の
結果、食品中の微量元素であるミネラル成分が生体に果
たす役割が順次解明されようとしており、例えば、味覚
障害は舌や腎臓などの病気や薬物の副作用でも起こり得
るが、亜鉛の欠乏によって舌の上に存在する味蕾と呼ば
れる感覚器官の一部が破壊され味覚に変調を来すことが
一番多い原因をなすことが知られるに至っている。
【0003】亜鉛はまた骨、皮膚、髪の毛、生殖器など
新陳代謝の活発な場所に多く存在しており、動物の成長
に不可欠の成分であることが分かっている。さらにまた
亜鉛の不足は免疫機能低下の原因となることが知られ、
そして、乳幼児の食事において亜鉛の不足は、乳幼児の
発育障害、味覚障害、さらに皮膚炎などを起こすことが
知られている。
【0004】このように食物中の亜鉛その他のミネラル
成分は極めて生理的に重要な働きを有するが、日本人の
摂取する食品中には必ずしもこれらが十分に存在しない
実情がある。
【0005】本発明者らは先に、植物由来の微量元素含
有成分について研究の結果、植物胚芽を70℃以下の温
度、及びpH5.0以下の酸性条件下の水を用いて抽出
し、得られた抽出液のpHを6.0以上に調節するか、
または得られた抽出液を70〜100℃の範囲の温度に
調節して、抽出液中のミネラル高含量成分を不溶物とし
て沈殿回収することにより、植物胚芽成分から亜鉛高含
有成分を分離する方法の発明を完成して平成9年2月1
4日に特願平9−30078号として特許出願をした。
そしてこの発明により植物由来の微量元素含有成分の取
得に成功したのである。
【0006】さらに本発明者らは、この植物胚芽成分か
ら得られる亜鉛高含有成分をミネラル補強成分として含
有する食品の発明を完成して平成9年5月23日に特願
平9−133797号として特許出願をした。かくして
日本人の摂取する食品中に不足しがちな亜鉛その他のミ
ネラル成分を安全上問題の無い植物胚芽から取り出しこ
れを食品とすることに成功したのである。
【0007】ところで一般に成人に対して望ましいとさ
れるミネラルの1日あたりの量としては、1995年米
国FDAより発表されたRDI(Reference Daily Inta
ke)が最新の指標となっている。これによれば亜鉛は1
5mg、マンガンは2mgが1日摂取量の指標とされてい
る。このうち亜鉛の値は成人の必要最少量2.5mgに平
均的な吸収率を20%とし、また集団のバラツキによる
安全率を20%見込んで2.5mg÷20(%)×120
(%)=15mgと計算されている。
【0008】しかし、食物中のこれら微量元素の吸収率
は一緒に食べる食事中の成分の影響を受け大きく変化す
るため、必ずしも摂取量が吸収量に反映するとはいえな
いのが実情である。 食物は胃内では胃酸によりpH2〜
3の酸性条件で消化されるが、腸管内ではpH8.2〜
9.3程度の粘性に富んだ腸液と混和され、中性〜弱ア
ルカリ性で消化吸収されることが知られている。この際
に、可溶性であることが微量元素の吸収に関しては重要
であることが判っている。
【0009】そのため、食品中の微量元素とpHの関係
が研究されている。亜鉛に関しては例えば、カゼイン、
大豆蛋白、酵母蛋白の3種の蛋白質中の亜鉛に関して調
べた結果では、亜鉛はカルシウム−クエン酸−マレイン
酸混合物、フィチン酸、炭酸カルシウムのいずれが共存
する場合でも、pH5.5ではpH2.0の場合に比べて
溶解度が大きく減少することが知られていた(Gifford,
S.R & Clydesdale,F.M.,J.Food Sci.,55,1720-1724(199
0))。
【0010】また上記した本発明者らが発明した平成9
年5月23日に出願した特願平9−133797号の植
物胚芽エキスを含有する食品の発明では、この食品に含
有させる胚芽抽出物において、胚芽抽出物はpH5.0
以下であれば澄明に溶解するがpH5.5以上では濁り
を生じてしまうことが認められていた。
【0011】ところで、食品のpHをなるべ中性付近に
維持することが望ましい場合がある。例えばカゼインを
蛋白源とする液状経腸栄養剤の製造においてはpH6.
5以下の酸性の領域ではカゼインが固まるので、カゼイ
ンが固まらないpHの領域では胚芽抽出物は完全に溶解
せずこれをカゼイン中に均一に分散させることができな
かった。
【0012】
【解決しようとする課題】従って、食品用として好まし
い、植物胚芽抽出液から分画した亜鉛などのミネラル成
分を高含量で含む画分を含む食品または食品素材を、中
性ないしアルカリ性において、その中に含まれる亜鉛を
可溶性化する技術の開発が求められる所である。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる課題
の解決のために鋭意研究の結果、植物胚芽抽出液から分
画した亜鉛を高含量で含む画分に、クエン酸を共存させ
ることにより、その中に含まれる亜鉛を可溶性化しうる
ことを見出して本発明を完成させたのである。
【0014】すなわち本発明は、植物胚芽抽出液から分
画した亜鉛を高含量で含む画分を含有し、存在する亜鉛
に対してクエン酸を10倍モル以上加えることにより亜
鉛を中性〜アルカリ性において水溶性とした食品に関す
る。。さらにまた本発明は、植物胚芽抽出液から分画し
た亜鉛を高含量で含む画分を含有し、存在する亜鉛に対
してクエン酸を10倍モル以上加えることにより亜鉛を
中性〜アルカリ性において水溶性とした食品素材にも関
する。
【0015】本発明で用いる、植物胚芽抽出液から分画
した亜鉛を高含量で含む画分は、それ自体の物性として
pH5.0以下の酸性条件においては水に澄明に溶解す
るが、pH6.0以上においては不溶物となるところ、
これに存在する亜鉛に対して、亜鉛の濃度にもよるが1
0倍モル、好ましくは57倍モル、もっとも好ましく3
40倍モル以上のクエン酸を共存させることにより、驚
くべきことに食品として利用可能なpHの領域のすべて
に亘り亜鉛を水溶性とすることが出来たのである。
【0016】ここで植物胚芽抽出液から分画した亜鉛を
高含量で含む画分に共存させるクエン酸はpH調整の目
的で用いるものを含むが、pH調整はクエン酸以外の酸
またはpH調整が塩基性領域での調整である場合には適
当な塩基例えば炭酸ナトリウムや重炭酸ナトリウムなど
によって行われ、ここでは用いられるクエン酸は塩基性
領域に於ける亜鉛の可溶化剤として作用するものであ
る。
【0017】本発明におけるクエン酸の亜鉛に対する可
溶化剤としての作用は、クエン酸の亜鉛に対するキレー
ト化作用に基づくものと一応考えられるところである
が、クエン酸と同様にヒドロキシル基を有しておりキレ
ート化剤として作用する乳酸をクエン酸の代わりに用い
た場合には、下記するようにpH8において亜鉛は不溶
物のままで止まっていた。すなわち本発明におけるクエ
ン酸の亜鉛に対する可溶化剤としての作用がキレート化
によって説明することが出来るものではないことを示唆
するものである。もっとも本発明にあっては亜鉛の可溶
化が達成されることが重要であるから、亜鉛の可溶化が
如何なるメカニズムに由来するものであるのかは問うと
ころではないことを述べておく。
【0018】本発明でいう亜鉛を中性〜アルカリ性にお
いて水溶性とした食品とは、中性〜アルカリ性のpHに
おいて、食品自体が水に溶解した状態の食品、亜鉛以外
の成分の幾つかが不溶物として存在したスラリー状また
は粥状の食品、亜鉛以外の成分の一つまたは幾つかがゲ
ル状で存在する食品、および粉末又は固形状であって水
を加えたときに亜鉛が溶解するような食品を指すものと
する。
【0019】また本発明でいう亜鉛を中性〜アルカリ性
において水溶性とした食品素材とは、水に溶解した状態
の食品、亜鉛以外の成分の幾つかが不溶物として存在し
たスラリー状または粥状の食品、および亜鉛以外の成分
の一つまたは幾つかがゲル状で存在する食品を形成する
ために用いられる原料素材、およびそれ自体を食する場
合に人体内において、水に溶解した状態となるか、亜鉛
以外の成分の幾つかが不溶物として存在したスラリー状
または粥状となるか、または亜鉛以外の成分の一つまた
は幾つかがゲル状で存在する状態となる食品素材を指す
ものとする。
【0020】本発明の食品に加えられるミネラル補強成
分は、本発明者が先に出願した特願平9−30078号
に記載の方法によって製造することが出来たものであっ
て、植物胚芽を70℃以下の温度でpH5.0以下の酸
性条件下に水を用いて抽出する第一段階の植物胚芽の抽
出工程と、得られた抽出液に溶解した亜鉛高含有成分を
抽出液のpHを6.0以上に調節するか、または得られ
た抽出液に溶解した亜鉛高含有成分を抽出液を70〜1
00℃の範囲の温度に加熱することにより不溶物として
沈殿回収する第二段階の工程を経て得られるものであ
る。
【0021】この第一段階の抽出工程は、植物胚芽中の
亜鉛高含有成分の溶解度がpH5.0以下に於いて大き
いことを利用するもので、pH調節のために用いられる
酸性物質としては、塩酸、硫酸、リン酸、などの鉱酸、
酢酸、プロピオン酸、酪酸、蓚酸、マロン酸、コハク
酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、
クエン酸などの有機酸、および水を電解質の存在下で電
気分解したときに陽極側に現れる酸性水などが挙げられ
るが、食用酸例えば乳酸、クエン酸などが好ましく用い
られる。
【0022】この第二段階の沈殿回収工程は、第一段階
で得られた抽出液中に於ける亜鉛高含有成分の溶解度の
pHおよび温度に対する挙動を利用するもので、pH調
節は塩基性物質、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウムなどを用いて行われる。このpH調節と温度調節は
単独に行うことも出来るが、両者を組み合わせて行うこ
とも出来る。
【0023】本発明で用いる植物胚芽には、米胚芽、小
麦胚芽、大麦胚芽、大豆胚芽、トウモロコシ胚芽、マイ
ロ胚芽、ヒマワリ胚芽またはゴマ胚芽が挙げられるが、
原料の入手容易性、存在する亜鉛含有成分の量、香味、
味などの食品用原材料としての嗜好性を考慮すると小麦
胚芽、米胚芽、トウモロコシ胚芽が好ましく用いられ、
殊に小麦胚芽が好ましい。
【0024】本発明の植物胚芽抽出液から分画した亜鉛
を高含量で含み、存在する亜鉛にたいしてクエン酸を1
0倍モル以上加えることで亜鉛を中性〜アルカリ性にお
いて水溶性としたものを配合添加された食品としては、
基本的にはすべての食品が含まれ、粉末状のものでは、
粉末経腸栄養剤、粉末調味スープなどがあり、流動食状
のものでは、液状経腸栄養剤、コーンスープ、パンプキ
ンスープ、清涼飲料水などがあり、固形状のものでは、
カプセル剤、錠剤などがあり、それらにはドロップ等の
菓子や所謂健康食品が含まれる。
【0025】
【実施例】次に本発明を実施例によってさらに詳細に説
明する。製造例1および製造例2に小麦胚芽からのミネ
ラル補強成分の調製方法を述べ、実施例3以下にこれら
ミネラル補強成分を配合し、クエン酸で亜鉛を可溶化し
た食品の具体例を述べ、そして参考例1および参考例2
に乳酸をクエン酸の代わりに用いた例を述べる。
【0026】〔製造例1〕脱脂小麦胚芽(日清製粉(株)
製)250kgに水2000kg、クエン酸20kgを加え、
pHを4.0に調整し、撹拌して脱脂小麦胚芽を分散さ
せた後、澱粉分解酵素(液化酵素T:阪急バイオインダ
ストリー(株)製)を1250g添加し、加温した。85
℃の温度で10分間保持した後、50℃まで冷却した。
その後澱粉分解酵素(液化酵素T)1250g、蛋白分
解酵素(プロテアーゼM:天野製薬(株)製)630gを
添加し、50℃で14時間反応させた。混合物を90℃
で10分間処理して酵素を失活せしめた後、60℃まで
冷却した。この冷却工程によって、混合物を60℃とす
ることで亜鉛含有成分は可溶化された。ついで混合物を
遠心分離機による処理に付して不溶物を除去した。上澄
液に活性炭を添加して撹拌後、ケイソウ土を濾過助剤と
して用いて濾過し、濾液に苛性ソーダを加えてpH8.
0に調整し、沈殿を形成させた。得られた沈殿物を遠心
分離機で回収し冷凍真空乾燥した。このようにして3
8.5kgの乾燥固体生成物を得た。この生成物は白色
で、ほとんど無味であり無臭であった。そして亜鉛含量
は分析の結果4500ppmであることが判った。
【0027】〔製造例2〕脱脂小麦胚芽(日清製粉(株)
製)250kgに水2000kg、クエン酸20kgを加え、
pHを4.0に調整し、撹拌して脱脂小麦胚芽を分散さ
せた後、澱粉分解酵素(液化酵素T:阪急バイオインダ
ストリー(株)製)を1250g添加し、加温した。85
℃の温度で10分間保持した後、50℃まで冷却した。
その後澱粉分解酵素(液化酵素T)1250g、蛋白分
解酵素(プロテアーゼM:天野製薬(株)製)630gを
添加し、50℃で14時間反応させた。混合物を90℃
で10分間処理して酵素を失活せしめた後、60℃まで
冷却した。この冷却工程によって、混合物を60℃とす
ることで亜鉛含有成分は可溶化された。ついで混合物を
遠心分離機による処理に付して不溶物を除去した。上澄
液に活性炭を添加して撹拌後、ケイソウ土を濾過助剤と
して用いて濾過し、濾液に苛性ソーダを加えてpH8.
0に調整し、沈殿を形成させた。得られた沈殿物を遠心
分離機で回収し、これに無水クエン酸40kg、水50kg
を加え沈殿を再溶解した後、噴霧乾燥器にて乾燥粉末8
0kgを得た。この生成物は白色粉末であり、分析の結
果、亜鉛含量は3000ppm、クエン酸の含量は50
%(クエン酸/亜鉛のモル比で56.7)であることが
判った。
【0028】〔実施例1〕亜鉛を含む水溶性食品素材と
して製造例1に記載の小麦胚芽抽出物を使用した。亜鉛
含量4,500ppmの胚芽抽出物0.33gを5〜10
5mMのクエン酸水溶液に溶解し100mlとした。この
溶液の亜鉛濃度は15ppm(0.23mM)であっ
た。この溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液を加え、p
Hを8とした。この溶液10mlを遠心管にとり2,00
0Gで10分間遠心した後、上清を除き沈殿を希塩酸に
溶解し200mlとした。この溶液の亜鉛濃度を原子吸光
を用いて測定した。 得られた亜鉛濃度から、沈殿として
回収された亜鉛の割合を計算した。結果を図1に示す。
図1より亜鉛濃度15ppmの時には、クエン酸52m
M(モル比でクエン酸/亜鉛=227)までは溶液をp
H8とすると亜鉛は不溶化し沈殿となるが、クエン酸7
8mM(クエン酸/亜鉛=340.5)以上では、溶液
をpH8としても亜鉛は沈殿せず可溶性であることが判
った。
【0029】〔実施例2〕実施例1の亜鉛15ppm、
クエン酸52mM(クエン酸/亜鉛=227.0)の溶
液について、溶液のpHと亜鉛の溶解性の関係を調べ
た。この溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液を加え、p
Hを7〜8.5とした。pH調整後溶液の10mlを遠心
管にとり、2,000Gで10分間遠心した後、上清を
除き沈殿を希塩酸に溶解して200mlとし、溶液の亜鉛
濃度を原子吸光を用いて測定した。得られた亜鉛濃度か
ら、沈殿として回収された亜鉛の割合を計算した。結果
を図2に示す。図2よりクエン酸/亜鉛=227.0、
亜鉛濃度15ppmのときには亜鉛はpH7〜8の範囲
でpHに比例して不溶化することが判った。
【0030】〔参考例1〕亜鉛を含む水溶性食品素材と
して製造例1記載の小麦胚芽抽出物を使用した。亜鉛含
量4,500ppmの胚芽エキス0.33gを13〜22
0mMの乳酸水溶液に溶解し100mlとした。この溶液
の亜鉛濃度は15ppm(0.23mM))であった。
この溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを
8とすると液は白濁した。この溶液を遠心管にとり2,
000Gで10分間遠心した後、上清を除き沈殿を希塩
酸に溶解して200mlとした。この液の亜鉛の濃度を原
子吸光を用いて測定した。沈殿として回収される亜鉛を
図3に示す。図3より亜鉛濃度15ppmの時には乳酸
共存下(乳酸/亜鉛のモル比で約1,000倍まで)で
も溶液をpH8とすると亜鉛は不溶化していることが判
った。
【0031】〔参考例2〕亜鉛を含む水溶性食品素材と
して製造例1に記載の小麦胚芽抽出物を使用し、0〜5
0mM乳酸水溶液に溶解し亜鉛濃度を6ppm(0.0
9mM)とした。この溶液に1N水酸化ナトリウム水溶
液を加え、pH9とした。pH調整後溶液の10mlを遠
心管にとり、2,000Gで10分間遠心した後、上清
を除き沈殿を希塩酸に溶解して10mlとし、溶液の亜鉛
濃度を原子吸光を用いて測定した。得られた亜鉛濃度か
ら、沈殿として回収された亜鉛の割合を計算した。結果
を図4に示す。図4より乳酸が50mM(乳酸/亜鉛=
544.8)までの乳酸共存下でも、アルカリ性(pH
9)にすると亜鉛は不溶化してしまうことが判った。
【0032】〔実施例3〕亜鉛を含む水溶性食品素材と
して製造例1に記載の小麦胚芽抽出物を使用し、0〜1
0mMクエン酸水溶液に溶解し亜鉛濃度を6ppm
(0.09mM)とした。この溶液に1N水酸化ナトリ
ウム水溶液を加え、pHを9とした。pH調整後にこの
溶液10mlを遠心管にとり2,000Gで10分間遠心
した後、上清を除き沈殿を希塩酸に溶解し10mlとし
た。この溶液の亜鉛濃度を原子吸光を用いて測定した。
得られた亜鉛濃度から、沈殿として回収された亜鉛の割
合を計算した。結果を図5に示す。 図5より亜鉛濃度6
ppmの時には、クエン酸1mM(クエン酸/亜鉛=1
0.9)以上であればアルカリ性(pH9)においても
亜鉛は不溶化せず溶解していることが判った。
【0033】〔実施例4〕亜鉛を含む水溶性食品素材と
して製造例2に記載の小麦胚芽抽出物を使用し、亜鉛濃
度を6ppm(0.092mM)とした。このときクエ
ン酸の濃度は5.2mMであった。この溶液に1N水酸
化ナトリウム水溶液を加え、pHを3〜11.5とし
た。pH調整後にこの溶液10mlを遠心管にとり2,0
00Gで10分間遠心した後、上清を除き沈殿を希塩酸
に溶解し10mlとした。この溶液の亜鉛濃度を原子吸光
を用いて測定した。 得られた亜鉛濃度から、沈殿として
回収された亜鉛の割合を計算した。結果を図6に示す。
図6より製造例2に記載された小麦胚芽抽出物は亜鉛濃
度6ppmの水溶液とした場合に、アルカリ性において
も亜鉛を不溶化させないことが判った。
【図面の簡単な説明】
【図1】亜鉛濃度15ppm、溶液のpH8において、
クエン酸量を増大させたときの亜鉛の溶解挙動を示す。
【図2】亜鉛濃度15ppm、クエン酸52mMの溶液
についてpHを7.00から8.40に変化させた場合の
亜鉛の溶解挙動を示す。
【図3】亜鉛濃度15ppm、溶液のpH8において、
乳酸量を増大させたときの亜鉛の溶解挙動を示す。
【図4】亜鉛濃度6ppm、乳酸量を0〜50mMに増
大させ、pHを9としたときの亜鉛の溶解挙動を示す。
【図5】亜鉛濃度6ppm、クエン酸量を0〜50mM
に増大させ、pHを9としたときの亜鉛の溶解挙動を示
す。
【図6】亜鉛濃度6ppm、クエン酸濃度5.2mMに
おいて、pHを3〜11.5としたときの亜鉛の溶解挙
動を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 35/78 A61K 35/78 J U

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物胚芽抽出液から分画した亜鉛を高含
    量で含む画分を含有し、存在する亜鉛に対してクエン酸
    を10倍モル以上加えることにより亜鉛を中性〜アルカ
    リ性において水溶性とした食品。
  2. 【請求項2】 植物胚芽抽出液から分画した亜鉛、マン
    ガンその他のミネラル成分を高含量で含む画分が、植物
    胚芽を70℃以下の温度、及びpH5.0以下の酸性条
    件下の水を用いて抽出し、得られた抽出液のpHを6.
    0以上に調節するか、または得られた抽出液を70〜1
    00℃の範囲の温度に調節することにより、抽出液中の
    ミネラル高含量成分を不溶物として沈殿回収して得たも
    のである、請求項1記載の食品。
  3. 【請求項3】 植物胚芽が、米胚芽、小麦胚芽、大麦胚
    芽、大豆胚芽、トウモロコシ胚芽、マイロ胚芽、ヒマワ
    リ胚芽またはゴマ胚芽である請求項1記載の食品。
  4. 【請求項4】 植物胚芽抽出液から分画した亜鉛を高含
    量で含む画分を含有し、存在する亜鉛に対してクエン酸
    を10倍モル以上加えることにより亜鉛を中性〜アルカ
    リ性において水溶性とした食品素材。
  5. 【請求項5】 植物胚芽抽出液から分画した亜鉛、マン
    ガンその他のミネラル成分を高含量で含む画分が、植物
    胚芽を70℃以下の温度、及びpH5.0以下の酸性条
    件下の水を用いて抽出し、得られた抽出液のpHを6.
    0以上に調節するか、または得られた抽出液を70〜1
    00℃の範囲の温度に調節することにより、抽出液中の
    ミネラル高含量成分を不溶物として沈殿回収して得たも
    のである、請求項4記載の食品素材。
  6. 【請求項6】 植物胚芽が、米胚芽、小麦胚芽、大麦胚
    芽、大豆胚芽、トウモロコシ胚芽、マイロ胚芽、ヒマワ
    リ胚芽またはゴマ胚芽である請求項4記載の食品素材。
JP9177271A 1997-05-23 1997-07-02 植物胚芽抽出物とクエン酸を含有する食品 Pending JPH1118721A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002167334A (ja) * 2000-11-30 2002-06-11 Dainippon Meiji Seito Kk キヌア胚芽を含有する組成物
JP2006089453A (ja) * 2004-08-27 2006-04-06 Nippon Seibutsu Kagaku Kenkyusho:Kk ミネラル製剤およびその原料ならびにそれらの製造方法
JP2007254338A (ja) * 2006-03-22 2007-10-04 Ehime Univ 生理活性物、それを用いた免疫調整活性剤、アレルギー抑制活性剤、抗ガン活性剤、活性酸素消去活性剤、食品、飲料、サプリメントおよび医薬品

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