JP3979543B2 - 抗アレルギー剤及びその製造法 - Google Patents

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    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • A61P37/08Antiallergic agents

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ペプチド型グルタミンを有効成分とする乳児用栄養組成物に関する。特に乳児用栄養組成物の形態で用いられ、乳児等のアレルギーの発症の予防あるいは治療に有用である。
【0002】
【従来技術】
乳児に対する栄養組成物は、蛋白質の成分組成が母乳と異なり、アミノ酸バランスが劣るため、蛋白質摂取量を多くしないと母乳栄養児と同等の発育が得られないと考えられている。しかし、蛋白質摂取量が多いと、必要量以上に無駄にアミノ酸を摂取することになり、そのアミノ酸の代謝が必要となって乳児に多大な負担を課すことになる。その結果、発熱、昏睡、下痢、浮腫、代謝性アシドーシスなどの障害がみられるようになるだけでなく、血液中の尿素値が上昇したり、尿中へのフェノール誘導体の排泄が多くなり、乳児の生理代謝に異常をきたすという問題がある。このため例えば乳児用調製粉乳の蛋白質含量は、できるだけ母乳のレベルに下げる試みがなされるようになったが、その結果、乳児の体重増加が母乳栄養児を下回ったという報告もあり、現在市販されている乳児用調製粉乳の蛋白質含量は限界に達していることが示唆されている。
【0003】
このように、母乳は、乳児用栄養組成物に比べて蛋白質含量が低いにもかかわらず、母乳栄養児は良好な発育を示すことが判っている。これは、ただ単に蛋白質の質が良いこと、すなわち、アミノ酸組成がヒトの成長に適しているためだけではないことが予想される。これは、乳児が必要とする窒素量やエネルギーを、蛋白質の消化吸収率をふまえて考えると、乳児用栄養組成物の蛋白質含量を、母乳の蛋白質含量と単に同程度とするだけでは計算上明らかに限界であることが示唆されている。蛋白質は、生体が必要とする窒素源を供給する栄養素であるが、母乳中の窒素源には蛋白質のほかに非蛋白態窒素が存在する。非蛋白態窒素成分の一つとしてグルタミンが存在し、通常300 〜8,300 μg/100ml の濃度で含まれていることが明らかになっている(日本小児栄養消化器病学会雑誌、第5巻、209 、1991)。しかし、単にこのグルタミンを母乳含量に近似させるために乳児用栄養組成物に配合しても、グルタミンは熱に非常に不安定なアミノ酸であるため、製造工程において殺菌のために加熱処理すると環化して栄養生理学的に不活性な成分となってしまうという問題がある。従って、グルタミンを乳児用栄養組成物に活性を維持した状態で添加することによって、非蛋白態窒素成分として栄養学的に窒素源を供給するだけでなく、グルタミン独自の生理効果を付加することによって、人工栄養における栄養生理学上の問題を解決することができる。
【0004】
また、近年アレルギー性疾患の罹患率が高くなり、患者の増加とともに社会問題にまで発展している。特に、乳児から小児期に多い食物アレルギーは、アトピー性皮膚炎や小児喘息などの疾患と相まって、多くの関心がよせられている。食物アレルギー発症のメカニズムは様々だが、主に乳児の未発達な消化管粘膜から、抗原性をもったアレルゲン(抗原)が体内に侵入するためにおこると考えられている。こうした食物アレルギーを予防、あるいは治療するためには、アレルゲン物質を摂取しないようにする食事制限が、最も一般的に行なわれている。しかしながら、こうしたアレルゲン性のある食事成分には、卵や牛乳などの良質な蛋白質が多く、成長期にこうした食事制限をした場合、栄養失調により正常な発育が妨げられることが明らかとなった。最近では、こうしたアレルゲン性のある蛋白質であっても、摂取量を少なくしてうまく摂取すれば、アレルギー反応が起こらないことも示唆されている。
【0005】
また、最近ではアレルギー予防や消化吸収性改善の観点から、あらかじめ蛋白質を予備消化した乳児用調製乳が市販されるようになったが、グルタミンについて全く考慮していないため、製造工程で生じた蛋白質由来の遊離型グルタミンは、加熱処理工程で活性を失ってしまうという問題がある。通常のアミノ酸分析では、グルタミンとグルタミン酸はともにグルタミン酸として測定されるため、今まで製品中のグルタミン含量が製造工程でどの程度低下しているかを把握することができなかった。例えば、最近の市販品の粉乳についてグルタミン酸(グルタミンを含む)の含量を測定したところ次のとおりであった。
Figure 0003979543
しかしながら、本発明者らは、市販されている乳児用栄養組成物、特に乳蛋白質を酵素で加水分解し、それを配合した乳児用蛋白質分解乳中のグルタミンとグルタミン酸を区別して分析すると、驚くべきことにグルタミン含量は、かなり少ないことが明らかになった。
【0006】
更に、牛乳蛋白質を酵素分解して非蛋白態窒素成分を増量した乳児用調製乳で哺育された乳児の血漿遊離アミノ酸濃度を測定すると、通常の蛋白質未分解の調製乳で哺育された乳児に比べて血漿グルタミン濃度が低いことが報告されている(日本小児栄養消化器病学会雑誌、第7巻、53、1993)。グルタミンは栄養成分として腸管上皮細胞で消費され、血中にはあまり移行しないと考えられているが、このように血漿グルタミン濃度の差が明らかになったことから、やはり蛋白質をあらかじめ酵素分解した乳児用栄養組成物の場合は、製造工程における加熱処理によりグルタミンが失活あるいは変性してしまうことが考えられる。
【0007】
グルタミンに関しては、手術後の傷の直りを早くするということで、経静脈栄養の重要な成分であると考えられており、これを配合した栄養組成物あるいは輸液について開示されている(特開平2- 119762 号公報、特開平3 -264525 号公報)。また消化管粘膜の退化を抑制する生理作用を目的に、消化管手術後に摂取する経腸栄養剤の有効成分として、遊離型グルタミンやペプチド型グルタミンを利用する技術も開発されている(特開平5 -236909 号公報)。更には、育児用調製乳に、非蛋白態窒素成分を配合することも開示されている(特開平3 -240437 号公報) が、開示されている非蛋白態窒素成分には遊離型グルタミンはもとよりペプチド型グルタミンも含有していない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように乳児用栄養組成物に遊離型グルタミン、あるいはグルテン又はゼイン由来のペプチド型グルタミンを配合した例はない。これは、グルタミンが非必須アミノ酸ということの他に、乳児に対する機能あるいは有効性について全く研究されておらず、知られていないことに基づくものであると考えられる。このような観点から、本発明者らはグルタミンの生理的機能あるいは有効性、特に乳児に対する作用を明らかにすることは、栄養学的のみならず免疫学的にも非常に重要であることと考え、鋭意研究した結果、グルテン又はゼイン由来のペプチド型グルタミンが抗アレルギー作用を有することを見出し、グルテン又はゼイン由来のペプチド型グルタミンを有効成分とする抗アレルギー乳児用栄養組成物を提供することが可能となったのである。
すなわち、本発明の課題は、新規な抗アレルギー乳児用栄養組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、グルテン又はゼイン由来のペプチド型グルタミンが乳児の蛋白質利用効率を高め、抗アレルギー効果があることを見出して本発明を完成させるに至ったものである。
すなわち、本発明はグルテン又はゼイン由来のペプチド型グルタミンが配合強化された抗アレルギー乳児用栄養組成物に関する。また、本発明の栄養組成物の形態としては、特に乳児用栄養組成物の形態が望ましい。この組成物の組成成分はグルタミンの他に蛋白質、脂質、糖質、ビタミンおよびミネラル等を主成分とするものがある。
本発明におけるグルタミンには、前記したように遊離型グルタミンばかりではなくグルタミンが主たるアミノ酸を構成するペプチド型グルタミンあるいはグルテン等のグルタミンを多量に含有する蛋白質を酵素で加水分解して得られるグルテン又はゼイン由来のペプチド型グルタミン等も包含される。
本発明における経口製剤は、製剤として通常用いられる製剤成分、例えば増量剤、賦形剤、結合剤、滑沢剤等と混合し適当な形態に成型したりあるいは液剤として用いることができる。
また、乳児用栄養組成物には、乳児用調製乳、乳児用蛋白分解乳、フォローアップミルク、乳児用特殊栄養調節乳およびこれらが乾燥粉末化された粉乳類が含まれる。
【0010】
本発明の抗アレルギー乳児用栄養組成物は、蛋白質、脂質、糖質、ビタミンおよびミネラルを主成分とし、これに、グルテン又はゼイン由来のペプチド型グルタミンを配合したものである。配合するグルタミンとしては、ペプチド型グルタミンあるいはこれらが混在しているグルタミンであってもよい。これらのグルタミンは、前記したように、小麦グルテンを酵素で分解し、ペプチド型グルタミンとして市販されているもの(例えば天野製薬社製 EP〔アマノ〕W−2)、あるいは例えば特開平5-236909号公報に開示されている小麦蛋白質のグルテンやトウモロコシ蛋白質のゼインを用いて蛋白質分解酵素により分解し、ついで遊離アミノ酸を除去し、ペプチド画分を分取する方法によって調製されたペプチド型グルタミンを用いることができる。
【0011】
上記のグルタミンにおいて、ペプチド型グルタミンは比較的加熱処理に対する耐性があるが、遊離型グルタミンは、加熱による耐性がないため製造工程で加熱処理すると失活する。このため遊離型グルタミンを配合する場合には、それぞれの配合原料を加熱処理した後の最終製品の段階で配合する。特に、製品を乾燥粉末化する場合には、粉々混合することが好ましい。
グルタミンの含量は、栄養組成物の固形換算で30mg重量%以上含有するように配合する。このようにして得られた栄養組成物は、乳児の蛋白質利用効率が高められ、アレルギーの予防を図ることができる。その作用は、後述する試験例3からも明らかなようにグルタミンが消化管粘膜を分化・成熟化させることによって、アレルゲン物質の透過性が低下し、アレルギー反応が起こりにくくなるためと考えられる。尚、グルタミンの含量が、栄養組成物の固形換算で30mg重量%以下では、本発明の目的を達成することが困難である。また、一日当りグルタミンの摂取量は、成人では 200〜2,000mg 、乳児では20〜2,000mg が望ましい。
【0012】
本発明の乳児用栄養組成物を構成する蛋白質としては、通常栄養組成物に用いられる蛋白質であればどのような蛋白質であっても良く、例えば乳蛋白質あるいはこれを酵素処理した蛋白質分解乳、卵蛋白質、大豆蛋白質等がある。また糖質としては、デンプン、可溶性多糖類、デキストリン、蔗糖、乳糖、麦芽糖、ぶどう糖または人工甘味料等が挙げられる。脂質としては、バター、ラード、魚油、パーム油、大豆油、サフラワー油、ナタネ油、ヤシ油等の動植物由来の油脂が例として挙げられるが、食用に供することができる油脂であれば、いずれの油脂であってもよい。またビタミンとしては、いずれのビタミン類であってもよく、例えばビタミンA、B類、C、D、E、K類等の中から目的に応じて1種またはそれ以上が適宜選択される。ミネラルとしては、カルシウム、マグネシウム、カリウムまたはナトリウム等が例として挙げられる。
【0013】
本発明の乳児用栄養組成物は、例えば上記のグルタミンと共に蛋白質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラル及びその他の成分を常法に従って、混合または配合し、加熱殺菌処理することにより製造することができる。しかし、グルタミンが遊離型の場合は、加熱殺菌処理後に混合または配合することが望ましい。
尚、これらの栄養組成物は、液状または粉末状の形態にすることができる。このようにして得られた栄養組成物は、乳児が摂取したとき、高い蛋白質の利用効率を示し、抗アレルギー効果を有するものである。
【0014】
以下に本発明のグルタミン含有栄養組成物の効果を確認するための試験例を示す。
蛋白質の利用効率評価方法は、その構成アミノ酸組成から求めるアミノ酸スコアおよびケミカルスコア、動物の成長(体重増加量)から求めるPER(体重増加量方法)、そして窒素出納から求める生物価およびNPUにより行われる。このうち、アミノ酸スコアおよびケミカルスコアは、全卵や人乳蛋白質のアミノ酸組成を理想的なアミノ酸組成として、対象蛋白質のアミノ酸組成と比較する方法で、その構成アミノ酸組成を測定することで評価でき非常に簡便である。しかしながら、この方法による評価は、理想アミノ酸組成が極めて暫定的な性質であり、対象となる蛋白質の生物的利用率の差異に対しては考慮されていないなどの問題がある。そこで、本発明者らはラットを用い、PERにより、本発明の栄養組成物の評価を行った。
【0015】
試験例1
蛋白質利用効率(PER)試験
(ペプチド型グルタミンの調製)
小麦グルテン(ナカライテスク社製)200gをエタノールに溶解し、攪拌しながら1%酢酸中に懸濁した。グルテン懸濁液に37℃で24時間モルシン(プロテアーゼタイプXIII、シグマ社製)を反応させ、さらにアクチナーゼ(科研製薬製)を37℃で24時間反応させた。この反応でグルタミンとグルタミン酸の90重量%以上が分子量1,000 以下のペプチド態としてのこり、その他のバリン、フェニルアラニン、イソロイシンなどは遊離型アミノ酸となった。こうした遊離のアミノ酸を分画分子量500 の限外ろ過膜で処理することによって除去し、グルタミン含量40重量%のテトラおよびペンタペプチド素材(グルテンペプチド)138gを得た。
【0016】
(飼料の調製)
試験用飼料の組成は、▲1▼ミルクカゼイン20重量%含有標準食( 以下、「標準食」と略す) 、▲2▼ミルクカゼイン10重量%含有低蛋白食( 以下、「低蛋白食」と略す) 、▲3▼ミルクカゼイン10重量%と上記調製のペプチド型グルタミン(以下同じ)0.008 重量%含有食( 以下、「0.008 添加食」と略す) 、▲4▼ミルクカゼイン10重量%とグルタミン0.08重量%含有食( 以下、「0.08添加食」と略す) 、▲5▼ミルクカゼイン10重量%とグルタミン 0.8重量%含有食( 以下、「0.8 添加食」と略す) を調製した。そしてこれらに脂肪源として精製大豆油、糖質源としてαコーンスターチ、食物繊維源としてセルロース、AIN−76組成によるミネラル混合物、ビタミン混合物を混合し、飼料を調製した。
【0017】
(PER試験)
実験動物として、Wistar系ラット(雄、4 週令;チャールスリバー社より購入)を用い、各群5 匹づつ平均体重が等しくなるように5日間の予備飼育後、▲1▼標準食(以下、標準食群と略す)、▲2▼低蛋白食(以下、低蛋白食群と略す)、▲3▼0.008 添加食(以下、0.008 添加食群と略す)、▲4▼0.08添加食(以下、0.08添加食群と略す)、▲5▼0.8 添加食(以下、0.8 添加食群と略す)の5 群に分けて28日間、上記組成を有する粉末飼料により本飼育を行った。本飼育期間中、原則として毎日、飼料摂取量及び体重を測定した。
尚、ラットは、12時間毎の明暗、室温23±2 ℃、湿度55±10%に空気調節された部屋で、1 匹づつ仕切られたステンレス製ケージ中で飼育し、飼料、水は自由摂取とした。
実験開始時の体重と28日後の体重を比較したところ、0.08添加食群と0.8 添加食群の体重増加が良好であることが確認された。試験結果を表1に示す。
尚、PERの測定原理式は、下記の通りである。
PERの測定原理式
PER=体重増加量(g)/蛋白質摂取量(g)
PERは、摂取蛋白質(g)あたりの体重増加量(g)で、摂取蛋白質による体構成成分の生産効率を意味する。体組成に著しい変化がない限り、内容的には体蛋白質の増加に対する効率としても評価できる。そして、PERは長期的な体重変化をみることができる特徴もある。
【0018】
【表1】
Figure 0003979543
【0019】
試験例2
腸管粘膜ペプチダーゼ活性の上昇確認試験
上記PER試験に用いたラットの小腸を摘出し、KawakamiとLonnerdal の方法(Am. J. Physiol.,261, G841, 1991 )に従って小腸刷子縁膜画分を調製した。アミノ酸のカルボキシル基にアミド結合で7アミノ4メチルクマリン(AMC)を結合させたペプチド基質(メチルクマリンアミド:MCA )であるLys-Ala-MCA((株)ペプチド研究所社製)を用いて、先に調製した小腸刷子縁膜画分のジペプチジルアミノペプチダーゼ活性を測定した。酵素反応により遊離したAMC を蛍光光度計を用いて測定した(励起波長:380 nm;蛍光波長:440 nm)。その結果、0.08添加食群と0.8 添加食群の酵素活性が、有意に高いことが明らかになった。その結果を表2に示す。尚、測定値は、低蛋白食群ラットの小腸刷子縁膜の活性を1とした場合の相対値で表した。
【0020】
【表2】
Figure 0003979543
【0021】
試験例3
アレルゲン侵入阻止効果試験
乳児期のWistar系雄ラット(14日令、10匹、チャールスリバー社より購入)を対照群5 匹とペプチド型グルタミン投与群5 匹に分けた。対照群は通常どおり母親ラットの乳だけで飼育した。ペプチド型グルタミン投与群は、1 週間の間(生後14日〜20日目)毎日前記(ペプチド型グルタミンの調製)で調製したペプチド型グルタミン溶液(1 mg/ml)をマイクロピペットを使って50μl 経口投与した。21日目に抗原としてβ−ラクトグロブリン(β−Lg)溶液(10 mg/ml)を100 μl 経口投与し、1時間後と2週間後に血液を採取した。一方、β−Lg溶液とFreund完全アジュバンドを混合して乳化させ、3ケ月令のウサギ(白色和種、雄、北山ラベス社より購入)の皮下3ケ所(両背側部および臀部)に注射して抗β−Lg血清を得た。この抗血清を一次抗体とし、西洋ワサビパーオキシダーゼ(PO)を標識した二次抗体とのサンドイッチELISA 法〔日本小児アレルギー学会誌,1,36(1987)〕で、1日後の血液を使って血中β−Lg量を測定した。また、2 週間後の血液中の抗β−LgIgE は、β−LgとPO標識した抗ラットIgE 抗体(ノルディック社製)を使ってELISA 法で測定した。その結果、ペプチド型グルタミンを投与した群は、対照群に比較してβ−Lgの抗原性の低下が認められ、明らかにグルタミンに抗アレルギー作用があることが判った。測定結果を表3に示す。
【0022】
【表3】
Figure 0003979543
【0023】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。
実施例1
(ペプチド型グルタミンの調製)
小麦グルテン(ナカライテスク社製)200gをエタノールに溶解し、攪拌しながら1%酢酸中に懸濁した。グルテン懸濁液に37℃で24時間モルシン(プロテアーゼタイプXIII、シグマ社製)を反応させ、さらにアクチナーゼ(科研製薬製)を37℃で24時間反応させた。この反応でグルタミンとグルタミン酸の90重量%以上が分子量1,000 以下のペプチド態としてのこり、その他のバリン、フェニルアラニン、イソロイシンなどは遊離型アミノ酸となった。こうした遊離のアミノ酸を分画分子量500 の限外ろ過膜で処理することによって除去し、グルタミン含量40重量%のテトラおよびペンタペプチド素材(グルテンペプチド)138gを得た。
(粉乳の調製)
上記で得たペプチド型グルタミン100g(グルタミン含量40g )を、酵素分解ホエー粉 78 kg、ビタミンおよびミネラル成分 1 kg とともに水700 kgに溶解した。さらに、植物油 23.9 kgを混合して均質化した後、殺菌・濃縮・乾燥工程をへて、粉乳100 kgを得た。得られた粉乳100 g中の蛋白質含量は13.0gで、グルタミン含量は36mgであった。
尚、グルタミン含量は、HillとSchmidt の方法(Journal of Biological Chemistry, 237, 389, 1962 )に従ってペプチドや蛋白質を酵素で加水分解した後、遊離型グルタミン含量をアミノ酸分析装置(日立、Model 835 )で測定した。
【0024】
実施例2
酵素分解ホエー粉 78 kgをビタミンおよびミネラル成分 1 kg とともに水700 kgに溶解した。さらに、植物油 23.9 kgを混合して均質化した後、殺菌・濃縮・乾燥工程をへて、粉乳100 kgを得た。この粉乳と遊離型グルタミン(関東化学社製 L−グルタミン)40gを粉末状態で混合した。得られた粉乳中のグルタミン含量は40mg/100g であった。
【0025】
実施例3
市販品のペプチド型グルタミン(天野製薬社製 EP〔アマノ〕W−2)100gを、酵素分解ホエー粉 78 kg、ビタミンおよびミネラル成分 1 kg とともに水 700 kg に溶解した。さらに、植物油 23.9 kgを混合して均質化した後、殺菌・濃縮・乾燥工程をへて、粉乳100 kgを得た。得られた粉乳100 g中の蛋白質含有量は13.0 gで、グルタミン含量は33 mg であった。
【0026】
実施例4
実施例1で調製したペプチド型グルタミンを乾燥粉末化し、ゼラチンよりなるソフトカプセルに一錠あたりグルタミン含有量が500 mgになるように充填して、抗アレルギー剤とした。
【0027】
【発明の効果】
従来の栄養組成物には、アレルギー予防の観点からグルタミンを配合するという技術思想はない。
これに対し、本発明では、乳児に対するグルタミンの機能と効果を明らかにし、栄養組成物に、ペプチド型グルタミンを配合し、含有させたので、高い蛋白質利用効率を有し、かつアレルギー予防ができる。
このため本発明の抗アレルギー乳児用栄養組成物を乳児が摂取した場合、次の効果を挙げることができる。
(1)蛋白質含量が低くても良好な発育(体重増加)が得られる。
(2)蛋白質含量を母乳と同じ程度にでき、乳児のアミノ酸代謝の負荷を軽減できる。
(3)体内へのアレルゲンの侵入を防ぐことができるので、アレルギーを予防できる。

Claims (1)

  1. グルテン又はゼイン由来のペプチド型グルタミンを固形換算で30mg重量%以上含有する、抗アレルギー性を有する乳児用経口栄養組成物。
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