JP2900070B2 - 食品用カリウム補給組成物及びその製造方法 - Google Patents

食品用カリウム補給組成物及びその製造方法

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JP2900070B2 JP2144140A JP14414090A JP2900070B2 JP 2900070 B2 JP2900070 B2 JP 2900070B2 JP 2144140 A JP2144140 A JP 2144140A JP 14414090 A JP14414090 A JP 14414090A JP 2900070 B2 JP2900070 B2 JP 2900070B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はジャガイモ起源の食品用カリウム補給組成物
及びその製造方法に関する。
従来技術とその課題 カリウム(K)は、細胞液の主要成分の一つであり、
生体は該Kを必要としている。該Kが不足するとK欠乏
症等の病理状態に陥る。このK欠乏症は、例えば上皮小
体(副甲状腺)機能減退症、ビタミン欠乏症、骨軟化
症、スプルー、ネフローゼ症候群、腎不全等の諸症状を
伴うことがあり、また生体内のKの低下によれば、ナト
リウム/カリウム(Na/K)比がインバランス状態に陥
り、血管壁の緊張等による高血圧症等が発症することも
近年指摘されている。
一方、急速に進む高齢化社会の中で、循環器系疾患の
予防が急務とされている。高血圧症疾患は、その引金と
なり、主要原因となる食塩(NaCl)の摂取量の低減が国
策としてさけばれているが、長い期間を通して形成され
た民族の食文化を急激に変えることは困難であり実効が
上らない。また、近年の疫学調査や基礎研究により、上
記Na/K比の改善(Naを少なくし、Kを増やす)が、高血
圧症予防及び治療に有効であることが確認されている
が、上記理由でNaの減量は困難であり、Kの増量が期待
されている。
一般に成人が1日に必要とするK量は2000〜4000mg程
度とされており、これは通常主として野菜や果物等から
摂取されている。しかしながら、現代社会においては食
生活の偏り等によるKの不足や、ストレス、飲酒等に伴
われる下痢によって体内のKの流出、欠乏が認められ、
このような状態が長期に亘ると、K欠乏症及びそれに伴
われる上記各種の疾患に罹患することとなる。
しかして、現在上記の如きK欠乏症やK不足に対し得
るKを含む食品添加物としては、例えば塩化カリウム
(KCl)、リン酸カリウム、DL−酒石酸水素カリウム、
L−酒石酸水素カリウム、ピロリン酸四カリウム、ソル
ビン酸カリウム、クエン酸三カリウム等があるが、いず
れも味覚や物性に難点があり、KClを除いては特殊用途
に僅少用いられているに過ぎない。上記KClは、その強
い収斂味という味覚上の難点にも係わらず、食塩の摂取
を制限されている人々の食塩代替品として一部用いられ
ているが、患者は食生活上苦痛を強いられている。よっ
て現在Kを効果的に補給し得る有用な組成物はいまだ開
発されていない。
また近年、生体内におけるClの過剰な存在が、活性酸
素の発生を促し、ラジカルを生じ、それが細胞の老化を
促進するといわれ、また上記Clの尿中排泄時にはCaイオ
ンも同時に排泄され、これによれば生体内Caイオンの低
下により高血圧症を増悪する結果となる弊害があるとさ
れ、該Clの摂取量の制限が要望されており、また上記KC
lに代わって、呈味性の優れた有機酸タイプのカリウム
がK補給源として要望されている。
以上のように、KClはKの補給には有効であるが同時
にClの過剰摂取につながり、高血圧症等に対して悪影響
を与える危険があり、かかるClをできるだけ含まず、呈
味性に優れ、日常手軽に摂取可能で、また安全性の点で
も優れた天然物由来の有機酸タイプのK補給剤の開発が
斯界で要望されている。
本発明者らは上記現状に鑑み、天然物を対象としてK
を豊富に含む多数の野菜類、果物類等につき之等を起源
として上記斯界の要望に合致するK補給剤を提供するこ
とを目的として研究を重ねた。その過程で大量に且つ安
価に入手できるジャガイモに着目し、更に鋭意研究を重
ねた結果、上記ジャガイモの抽出濃縮物が、目的に合致
するK補給剤として非常に有用であることを見出だし
た。
しかるに、現在上記ジャガイモについては、生食用及
び加工用として各種品種のものが大量に生産利用されて
いるが、之等に含有されるK分はジャガイモの加工過程
で澱粉のα化等のために行なわれる水煮等により大部分
溶出され、またジャガイモ澱粉製造過程でもデカンター
廃水、セパレーター廃水等として大部分廃棄されている
現状にあり、僅かに肥料として再利用されるのみであ
る。
因みに、上記デカンター廃水として廃棄されているも
ののひとつを例にとり、その成分等を調べた結果、これ
はpH5.3、有機物含量2.8%、灰分含量1.02%、総窒素0.
316%、P2O5含量0.097%、K2O含量0.56%(K換算含量
0.465%)、CaO含量0.017%及びMgO含量0.037%であっ
た。また他のデカンター廃水の一例の成分組成を示すと
次の通りである。
<デカンター廃水組成> 蛋白質 1% ペプチド、アミノ酸 1% K 0.5% リン酸 0.023% 糖 1%以下 スターチ 0.01〜0.02% サポニン 20〜30mg 脂 肪 痕 跡 本発明は、ジャガイモより新しいK補給剤を提供する
ことを目的とすると共に、上記廃棄物の有効利用をも目
的としている。
課題を解決するための手段 本発明によれば、絶乾重量基準で蛋白質及び蛋白質分
解物の合計が20〜50重量%、カリウム分10〜25重量%を
含む灰分20〜40重量%及び糖質25〜50重量%を含有する
ことを特徴とするジャガイモ起源の食品用K補給組成
物、並びにジャガイモを必要に応じて抽出用液を加えた
後、粉砕し、固液分離してジャガイモ抽出液を得るか或
はジャガイモ澱粉製造廃水を上記ジャガイモ抽出液とし
て、之等を濃縮又は濃縮乾燥することを特徴とする上記
食品用K補給組成物の製造方法が提供される。
本発明のK補給組成物は、食品用K補給剤として有用
である。即ちこれは天然物利用の点より食品及び医薬品
分野での実用上の安全性を満足しており、味の点でも食
用に好適であり、ジャガイモ煮汁やジャガイモ澱粉製造
の際に生じる廃水の有効利用をも可能とする。殊にその
K補給効果は非常に優れたものである。即ち、本発明K
補給組成物のK含量は約10%(乾燥物換算重量基準、以
下同じ)以上と非常に高い。また本発明K補給用組成物
は概ねNa含量がK含量の1/80(モル比)以下であり、Cl
含量がK含量の1/6(モル比)以下であり、更にクエン
酸、リンゴ酸、シュウ酸及び各種アミノ酸の総含量はK
に対してモル比で0.7以上と非常に高く、之等の面から
も食品用K補給剤として、特にNa及びCl含量の低い有機
酸タイプのK補給剤として非常に有効である。
本発明K補給組成物の原料として利用できるジャガイ
モとしては、従来より食用、加工用等として利用されて
いる各種品種のいずれでもよい。その具体例としては例
えば男爵、メークィーン、キタアカリ、北海70号、トヨ
シロ、トヨアカリ、紅丸、エニワ、農林一号、コナフブ
キ等を例示できる。之等のK含量は通常約300〜700mg/1
00gである。
本発明K補給組成物は、ジャガイモを原料とし、これ
を予め必要に応じて剥皮後、抽出用液を必要に応じて添
加し、粉砕し、粉砕物を固液分離してジャガイモ抽出液
を得、次いでこれを濃縮することにより製造され、本発
明はかかるK補給組成物の製造方法をも提供するもので
ある。
上記粉砕操作、固液分離操作及び濃縮操作は、いずれ
も通常の装置を用いた一般的方法に従い行なうことがで
きる。最も代表的な各操作を採用した本発明方法につき
更に詳述すれば、まずジャガイモを必要に応じて剥皮
し、これに必要に応じて抽出用液を加えて摩砕(粉砕処
理工程)し、遠心分離等により固液分離(固液分離工
程)し、得られる汁液を必要に応じて加熱処理又は膜処
理すると共に活性炭処理(精製工程)し、最終的に濃縮
(濃縮工程)又は濃縮乾燥(乾燥工程)する。
上記粉砕処理工程において用いられる抽出用液として
は、特に限定はないが、例えば水、エタノール及びアセ
トン並びに之等の混合物が好適である。該抽出用液の添
加量は、通常ジャガイモ原料(固形分重量)に対して0
〜5倍重量程度、好ましくは0〜2倍重量程度とするの
が適当である。この粉砕工程は、例えば有利には原料ジ
ャガイモを電動ピーラー等を用いて洗浄しつつ剥皮し、
電動摺りおろし機で摩砕することにより実施できる。
上記に引き続く固液分離工程は、通常の方法、例えば
遠心分離、圧搾、過、デカンテーション等及び之等の
組み合わせにより行なうことができる。遠心分離を行な
う場合、その条件としては代表的には1500×g、15分程
度を採用できる。過操作は好ましくは遠心過器(国
産遠心機(株)製)、ケージプレス((株)精研舎製)
等により実施することができる。また抽出効率を向上さ
せるために、上記固液分離後の沈渣(粕)に再度抽出用
液を加えて固液分離を繰り返すこともでき、更に単一回
の固液分離により得られる粗汁液につき再度固液分離を
行なって微細な滓等を除去して清澄汁液とすることもで
きる。上記固液分離操作はまた、適当な過助剤、例え
ばケイソウ土、セルロース、セライト系等を用いて行な
うこともできる。
本発明K補給組成物は、上記の如くして得られるジャ
ガイモの抽出液を、次いで必要に応じて精製工程に付
し、更に濃縮工程又は乾燥工程に付すことにより収得で
きる。
また本発明方法においては、上記粉砕処理工程及び固
液分離工程を経て得られるジャガイモ抽出液に代えて、
従来のジャガイモ澱粉製造において廃液として廃棄され
ているデカンター廃水、セパレーター廃水やジャガイモ
煮汁等の廃水をジャガイモ抽出液として利用することも
でき、この場合、本発明は上記廃水の有効利用をも兼ね
ており、産業上非常に有用である。
之等ジャガイモ抽出液中には、通常有毒物質であるソ
ラニンやカコニンが含まれており、強い苦みややけつく
ような味を付与し、そのまま食用とするには不都合な場
合がある。従って上記必要に応じて行なわれる精製工程
としての前記加熱処理と活性炭処理又は膜処理と活性炭
処理は、いずれもジャガイモ抽出液中に含まれ得る夾雑
蛋白や、上記ソラニン、コカイン等の除去、得られる製
品の脱色並びに得られる製品の呈味性の改善に非常に有
効である。本活性炭処理等によれば、ソラニンとカコニ
ンとの合計濃度を、全組成物絶乾重量の10mg%以下とす
ることができる。
上記加熱処理は約70℃以上、一般には75〜100℃程度
の温度条件下に1〜30分程度を要して実施できる。
上記膜処理は代表的には分画分子量が5000〜10000程
度のUF(限外過)膜を用いて通常の方法に従い実施す
ることができる。
上記活性炭処理はジャガイモ抽出液中の固形分含量に
対して約4〜40重量%の活性炭を用いて、一般的方法に
従い実施することができる。ここで用いられる活性炭は
特に限定されるものではないが、例えばカルボラW−5
0、白サギMW、白サギCW(いずれも武田薬品工業社製)
等が好ましい。この活性炭処理は、より詳しくは例えば
室温〜100℃程度の温度下に、約5〜60分程度の時間を
要して実施できる。
尚、上記精製工程としての加熱処理、膜処理及び活性
炭処理は、そのいずれかの処理を引き続く濃縮工程の後
に行なうこともでき、これによっても濃縮工程前に行な
う場合と同様に本発明所期の精製効果を奏することがで
きる。更に之等の各処理は之等を本発明の濃縮工程の前
後に繰り返し行なうことも可能である。但し、精製工程
における活性炭処理は、加熱処理及び膜処理の後に行な
われるのが好ましい。
本発明方法における濃縮工程は、通常の方法、例えば
加熱操作、減圧操作、逆浸透操作、限外過膜等を用い
た膜操作、冷凍濃縮操作等及び之等の組み合わせにより
行なうことができる。この濃縮工程の好ましい一実施態
様によれば、例えば上記加熱濃縮によって被濃縮液を約
4〜10倍程度の濃度に濃縮し、次いで冷凍濃縮によって
同約15〜20倍程度に濃縮し、更に減圧濃縮によって同約
20〜50倍程度に濃縮するのが適当である。
本発明では上記濃縮操作に代えて、濃縮乾燥操作を採
用することもできる。この濃縮乾燥操作は、例えば通常
のスプレードライ(噴霧乾燥)操作、凍結乾燥操作等に
従うことができる。
かくして、本発明の食品用カリウム補給組成物を収得
できる。
上記で得られる本発明のK補給組成物は、上記液状形
態乃至固体形態で、そのまま食用に供することもできる
が、通常適当な賦形剤、希釈剤等を用いて食品添加剤形
態や医薬品の形態に賦形することができる。かかる製剤
形態等としては、粉末剤、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸
濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤等が挙げられる。錠剤
の形態に成形するに際しては、担体として例えば乳糖、
白糖、ブドウ糖、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン、結
晶セルロース、ケイ酸等の賦形剤、水、エタノール、プ
ロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、澱粉液、ゼラチ
ン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラツク、メチ
ルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン
等の結合剤、乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、カンテ
ン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシ
ウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセ
リド、澱粉、乳糖等の崩壊剤、白糖、ステアリン、カカ
オバター、水素添加油等の崩壊抑制剤、第4級アンモニ
ウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グ
リセリン、澱粉等の保湿剤、澱粉、乳糖、カオリン、ベ
ントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製タル
ク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコー
ル等の滑沢剤等を使用できる。さらに錠剤は必要に応じ
通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包
錠、腸溶被錠、フイルムコーテイング錠あるいは二重
錠、多層錠とすることができる。丸剤の形態に成形する
に際しては、担体として例えばブドウ糖、乳糖、澱粉、
カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、
アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール
等の結合剤、ラミナラン、カンテン等の崩壊剤等を使用
できる。カプセル剤は常法に従い上記例示の各種の担体
を利用して硬質ゼラチンカプセル、軟質カプセル等に充
填して調整される。更に必要に応じて着色剤、保存剤、
香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を製剤中に含有せ
しめてもよい。ペースト、クリーム及びゲルの形態に成
形するに際しては、希釈剤として例えば白色ワセリン、
パラフイン、グリセリン、セルロース誘導体、ポリエチ
レングリコール、シリコン、ベントナイト等を使用でき
る。
上記製剤中に含有されるべきKの量としては、特に限
定されず広範囲に適宜選択されるが、通常製剤中に1〜
25重量%とするのがよい。
上記製剤は、これを医薬品として用いる場合、その投
与方法は特に制限がなく、各種製剤形態、患者の年齢、
性別その他の条件、疾患の程度等に応じて決定される。
例えば錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカ
プセル剤は経口投与される。
上記医薬製剤の投与量は、用法、患者の年齢、性別そ
の他の条件により適宜選択されるが、通常Kの量が1日
当り体重1kg当り約0.3〜70mg程度とするのがよく、該製
剤は1日に1〜4回に分けて投与することができる。
また上記各種形態の製剤は、これを食品添加物とし
て、各種の各種の生鮮食料品、加工食品等に添加配合す
ることができる。本発明K補給用組成物を添加配合でき
る上記食品には、限定はなく、液状、半固形(ゼリー、
プリン等)、固形形態の各種のもののいずれでもよく、
代表的には各種の液体飲料、菓子、調味料、粉末飲料、
クリームスープ、カレー、その他の水産、畜肉製品、漬
物類、シリアル、乳製品等を例示できる。
之等食品に対する本発明組成物の添加配合量は任意に
決定でき、特に限定されるものではないが、一般には食
品重量の1〜100重量%程度の範囲から選ばれるのが適
当である。特に本発明K補給組成物は安全であると共
に、食品への添加配合に不利となる何らの異味臭をも有
しておらず、むしろ好ましいフレーバーを有しており、
かなり多量でも食品中に添加配合できる利点がある。
発明の効果 本発明によれば、K補給用組成物が提供される。これ
は天然物からの抽出により得られる有機酸タイプのもの
であるため、非常に安全であり、現在K補給剤として上
市されているものに見られるような胃に対する刺激性そ
の他の副作用等は認められない。また本発明品はNaCl過
多の食品に添加配合することによって該食品をイオンバ
ランスのとれたものとすることができる。更に本発明品
は呈味性に優れ、あらゆる食品に添加でき、之等に調和
した天然の風味を付与でき、添加物にありがちな異味臭
を与える不利もない。しかも本発明品は安価で豊富な原
料を使用して容易に製造できるものであり、また廃棄物
の利用によっても製造でき、工業化に適しており、しか
もコストが低廉である利点もある。
実施例 以下、本発明を更に詳しく説明するため本発明K補給
組成物の製造例、該組成物を含む各種形態のK補給用剤
及び食品の調製例を実施例として挙げ、次いで得られた
製剤例を挙げる。
尚、各例において%及び部とあるは重量%及び重量部
を示す。
実施例 1 原料としてジャガイモ(男爵、北海道北見産、剥皮後
水分77.5%、K含量481mg/100g)50kgを電動ピーラー
(OMP−20、(株)大道産業製)を用いて、剥皮、洗浄
した(歩留96%)後、5の水をすこしづつ加えながら
電動摺りおろし機(RC型、飯塚工業(株)製)で摩砕
し、直ちに遠心分離機(国産遠心機(株)製、H120B
型、バスケット型、1mm目濾布使用)で脱粕して1回目
粗汁液29.5kgを得た。
尚、上記摺りおろし機による摩砕によれば、デンプン
粒が破壊されにくく、粕(パルプ)が大きく残り分離し
やすい利点がある。
次いで粕部に水30を加え、撹拌、水溶性成分を抽出
し、再び遠心分離機(同上)で脱粕して2回目粗汁液
(抽出液)34.7kgを得た。
之等の粗汁液合計64.2kgを、過用助剤(KCフロック
W−300、武田薬品工業(株)販売)100gをプレコート
した遠心分離機(同上)により微細粕(澱粉粒、皮、細
胞壁等)を除去し、清澄汁液とした。
これに活性炭(カルボラW−50、武田薬品工業(株)
販売)320gを加え、約20分間穏やかに撹拌し、次いで90
℃まで昇温して、含有される蛋白質を充分に熱変性凝集
沈殿させた。
約30分放置し、温時、大型ヌッチェ(30cm紙No.2使
用)に過用助剤(KCフロック、同上)50gをプレコー
トした吸引過器により沈殿物を除去して、60.5kgの清
澄液を得た。これを「清澄液A」とする。
次いで上記で得られた清澄液Aを、加熱濃縮(蒸気二
重釜にて80℃で約8時間送風下に煮詰める)により15.8
kgとした後、冷凍濃縮(一夜、−15℃に静置後、できた
氷晶を粗砕し自然に融出した濃厚液を回収して黒褐色の
濃縮液3.76kgを得た。これを「濃縮液B」とする。
この濃縮液Bの2kgに、活性炭(カルボラW−50、同
上)40gを加えて、30分撹拌後、珪藻土(スタンダード
スーパーセル:(株)東京興業貿易商会販売)15gをプ
レコートしたヌッチェで吸引過し淡褐色の濃縮液2.06
kgを得た。これを「濃縮液C」とする。
次に、この濃縮液Cの1kgを、ステンレス製トレー(4
2cm×30cm)に入れ、冷凍後、真空凍結乾燥機(日本真
空技術(株)製、DF−01C)により約26時間(真空度0.1
トール、コールドトラップ温度−40℃)で乾燥して、白
色粉末205gを得た。これを「粉末D」とする。
実施例 2 原料としてジャガイモ(北海道十勝産キタアカリ、剥
皮後水分79.1%、K含量383mg/100g)50kgを、実施例1
と同様にして剥皮、洗浄、摩砕、脱粕して1回目粗汁液
を得、これを過用助剤(KCフロック、実施例1に同
じ)100gをプレコートした遠心分離機(同上)にて遠心
分離して清澄汁液31.8kgを得た。これを「汁液E」とす
る。
上記汁液Eを90℃まで昇温して蛋白質を熱変性、凝集
沈殿させ、次に過助剤(KCフロック、実施例1に同
じ)50gをプレコートしたヌッチェで吸引過除去し
て、清澄液29.8kgを得た。これを「清澄液F」とする。
次いで上記清澄液Fを、RO(逆浸透過)テスト機
(RO−RUW−4、日東電工(株)製:膜モジュールNTR−
7410−S2B)にかけ[圧力15kg/cm2、流量15/分、液
温22〜40℃、平均透過流速11/(0.38m2)hr]、保持
液5.94kgを得た。これを「濃縮液G」とする。
この透過液Gを加熱濃縮(80℃、3時間)して2.0kg
とした後、実施例1と同様にして活性炭(カルボラW−
50)40gを用いて活性炭処理後、更に70℃で減圧濃縮し
て濃縮液1.055kgを得た。これを「濃縮液H」とする。
実施例 3 原料としてジャガイモのデカンター廃水(水分98.2
%、K含量209mg/100g、以下これを「デカンター廃水
I」とする)50kgを用い、これを温水浸漬型蛇管式熱交
換器(直径8mm×8m、容量約400mlを二本連結、熱水にて
一本目を50℃、二本目を96℃に加熱、流速2/分)を
通し出口温度80℃になるように加熱した。これを連続遠
心分離機(WESTFALIA SA−1型)を用いて清澄化した
(遠心分離条件:5000×g、流速2/分、沈殿排出時
間3秒/2分間)。
上記操作によって清澄液35.1kgを得た。
これを80℃にて加熱濃縮して、濃縮液2.4を得た。
該濃縮液に活性炭カルボラW−50を120g加え、30分間撹
拌後、吸引過して、濃縮液1.8を得た。このものを
「濃縮液J」とする。
上記各実施例で得られた清澄液A及びF、デカンター
廃水I、濃縮過程中の濃縮液B及びG並びに本発明の目
的とするK補給用組成物である濃縮液C、H及びJと同
目的物である粉末Dのそれぞれの内容及び評価を第1表
に示す。
また原料からの抽出液である汁液E及びデカンター廃
水Iの一般成分値を第2表に示す。
尚、各表中、ソラニン、カコニン含有量1)は、HPLC分
析[J.Agric.Food Chem.,34,279(1986)]により求め
た。
明度2)は、透過液体用色彩色差計(ミノルタ社製、CT
−210、1cmセル使用)による測定値(予め2000G、20分
遠心沈殿により清澄化して測定)である。
水分3)の測定は減圧加熱乾燥法による。
蛋白質4)の測定は、窒素・蛋白質換算係数を6.25とし
てケルダール法により求めた。
脂質5)の測定はソックスレー抽出法による。
繊維6)はベンネベルグストーマン改良法による。
灰分7)は直接灰化法による。
糖質8)は次式により求めた。
糖質(%)=100−(水分+蛋白質+脂質+繊維+灰
分) 性状9)は肉眼判定した。
尚、第1表中、ソラニン、カコニン含有量における
「検出せず」は0.1mg%以下を示す。
上記表より明らかな通り、本発明のK補給用組成物
(濃縮液C、H及びJ並びに粉末D)は、いずれも有害
物質であるソラニン及びカコニンを含有せず、K濃度が
高く、美しい琥珀色の液体乃至白色粉末状形態を有して
おり、しかもいずれも甘味、旨味を呈しており美味しい
ものであった。
上記本発明組成物のそれぞれについて、組成(蛋白
質、K分、灰分、糖質)(いずれも絶乾重量基準)を調
べた結果を第3表に示す。
また微量成分の分析結果、Na/K比、Cl/K比及び有機酸
総量のKに対するモル比を求めた結果を第4表に示す。
更に100ml中のアミノ酸含量(g)を求めた結果(110
℃、24時間加水分解した時の値、但しCysは蟻酸酸化法
による値であり、Trpはアルカリ加水分解後HPLCで定量
した値である)を第5表に示す。尚、第5表には比較の
ため上記汁液Eの同結果を併記する。
実施例 4 原料としてジャガイモ(北海道十勝産ホッカイコガ
ネ)50kgを洗浄後、水20kgを加えて電動摺りおろし機
(実施例1に同じ)で摩砕し、遠心分離機で脱粕して、
粗汁液35.5kgを得た。
この内15kgを90℃まで昇温し、実施例1と同様に過
して、清澄液13.8kgを得た。これを「清澄液(a)」と
する。
次に、これを直火で加熱濃縮して、濃縮液3.1kgを得
た。これを「濃縮液(b)」とする。
この濃縮液(b)の各1kgに、活性炭カルボラW−50
を20g及び50g添加し、30分間室温で放置後、実施例1と
同様にし吸引過して、それぞれ0.91g及び0.89kgの
液を得た。之等をそれぞれ「液(c)」及び「液
(d)」とする。
次に、各5kgの前記粗汁液に、活性炭カルボラW−50
をそれぞれ10g、25g及び50g添加し、同様に過して、
4.7kg、4.6kg及び4.3kgの液を得た。之等をそれぞれ
「清澄液(e)」、「清澄液(f)」及び「清澄液
(g)」とする。
之等各清澄液を上記と同様にして加熱濃縮して、0.92
kg、0.88kg及び0.86kgの濃縮液を得た。之等をそれぞれ
「濃縮液(h)」、「濃縮液(i)」及び「濃縮液
(j)」とする。
上記により得られた各試料の固形分、K含有量、ソラ
ニンとカコニンとの合計含有量及び明度を前記と同様に
して調べた結果を下記第6表に示す。
尚表中「検出せず」は0.1mg%以下であることを示
す。
上記第6表より、清澄液(a)に含まれるソラニン及
びカコニンは、その後の加熱処理によっても破壊される
ことなく濃縮液(b)に濃縮されたが、これを活性炭処
理して得られる液(c)及び液(d)では大部分が
除去されたことが明らかとなった。また該各液では色
調(明度(L))も改善されていることが判った。
更に、加熱濃縮前に活性炭処理して得られた清澄液
(e)、清澄液(f)及び清澄液(g)においてもソラ
ニン及びカコニンは除去されており、之等はその後の加
熱濃縮して得られた濃縮液(h)、濃縮液(i)及び濃
縮液(j)でも全く検出されず、また之等各濃縮液で
は、活性炭処理を行なわずに加熱濃縮して得られた濃縮
液(b)と対比して、色調も改善されていることが判っ
た。
このように、活性炭処理は、濃縮前、濃縮後のいずれ
においても、有毒物質であるソラニン及びカコニンの除
去に有効であり、また色調の改善にも有効であることが
判った。
実施例 5 上記実施例で得られた本発明のK補給組成物(濃縮液
H)を、下記第7表の配合で用いて生地を練り上げ、該
生地を2枚の鉄板で挟んで焼き“せんべい”風の菓子を
作成した。
上記で得られたせんべいは極めて美味しかった。この
もののK含量は2.1%であり、これは一食分約50gとして
1g(1000mg)のKが摂取できる。
実施例 6 実施例1で得られた本発明のK補給組成物(濃縮液
C)を、下記第8表の配合で用い、配合物を加熱調理し
て野菜コンソメタイプの濃縮スープを作成した。
このものは熱湯で約5倍にうすめることにより美味し
いスープとして飲食できる。
その1食分(スープとして150ml)で約1g(1000mg)
のKが摂取できる。
実施例 7 この例は高K含有錠剤を調製した例であり、以下の通
り実施された。
即ち、乾燥ジャガイモ粉末(Rixona社製、RAS POTATO
GRANULES,K 1.53%)10部、実施例1で得た粉末D2部及
び上白糖1.2部を混合し、次いでこの混合物を1.5gづつ
直径1.2mmの円形に圧力400kg/cm2にて打錠して、高K含
有錠剤を調製した。
得られた錠剤は良好なジャガイモの風味と共に適度な
甘味と旨味とを有していた。この錠剤のK含有量は3.7
%であり、一錠当り55.5mgのKを含有していた。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶乾重量基準で蛋白質及び蛋白質分解物の
    合計が20〜50重量%、カリウム分10〜25重量%を含む灰
    分20〜40重量%及び糖質25〜50重量%を含有することを
    特徴とするジャガイモ起源の食品用カリウム補給組成
    物。
  2. 【請求項2】ナトリウムとカリウムとのモル比(Na/K)
    が1/80以下であり、クロルとカリウムとのモル比(Cl/
    K)が1/6以下であり、且つクエン酸、リンゴ酸、シュウ
    酸及び各種アミノ酸の総量がカリウムに対するモル比で
    0.7以上であることを特徴とする請求項に記載の食品
    用カリウム補給組成物。
  3. 【請求項3】ソラニンとカコニンの合計濃度が全組成物
    絶乾重量の10mg%以下であることを特徴とする請求項
    又はに記載の食品用カリウム補給組成物。
  4. 【請求項4】ジャガイモを、必要に応じて抽出用液を加
    えた後、粉砕し、固液分離してジャガイモ抽出液を得、
    これを濃縮又は濃縮乾燥することを特徴とする請求項
    に記載の食品用カリウム補給組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】濃縮の前又は後に加熱処理及び活性炭処理
    を行なう請求項に記載の食品用カリウム補給組成物の
    製造方法。
  6. 【請求項6】濃縮の前又は後に膜処理及び活性炭処理を
    行なう請求項に記載の食品用カリウム補給組成物の製
    造方法。
  7. 【請求項7】ジャガイモ抽出液が、ジャガイモ澱粉製造
    廃水である請求項〜のいずれかに記載の食品用カリ
    ウム補給組成物の製造方法。
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