JPH11183041A - アンカー構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性が高く高強度を有するアンカーを得る
ことを課題とする。 【解決手段】 鉄皮１に固定のナット部材２に螺合締結
され軸部３ａより大径の頭部７を有する直状のボルト部
材３と、このボルト部材３の頭部７を挟んでおかれ鈍角
に屈曲されて基部４ａに大径部８を有する少なくとも一
対の枝杆部材４と、この枝杆部材４の基部４ａの大径部
８を前記ボルト部材３の頭部７に係合した状態で該枝杆
部材の基部に嵌着して枝杆部材をボルト部材に固定する
ための結束環５とで構成され、少なくとも前記枝杆部材
および結束環がセラミックで形成されていることを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、主として炉内雰囲
気温度が１５００℃を越えるような高温炉の内張り用不
定形耐火物を支持するめたのアンカー構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】シュレッダダスト溶融炉や灰溶融炉等に
おいては、炉内雰囲気温度が１５００℃を越える。この
ような高温炉においても最近では炉の内張り材としてキ
ャスタブル耐火物を用いてライニングする構造が採られ
ており、このキャスタブル耐火物を炉の鉄皮に固定支持
するために鉄皮にメタルアンカーあるいはメタルアンカ
ーの先端にセラミックキャップを被冠したアンカー部材
を固着し、このアンカー部材を内蔵させるようにしてキ
ャスタブル耐火物を施工するようにしてキャスタブル耐
火物の剥離脱落を防ぐようにしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかるに前述のシュレ
ッダダスト溶融炉や灰溶融炉のように１５００℃を越え
る炉内雰囲気温度に達する高温炉における内張り材にキ
ャスタブル耐火物を施工するためのアンカー部材として
メタルアンカーを使用した場合、上記の炉内雰囲気温度
に対しメタルアンカーが耐えられず、キャスタブル耐火
物の支持力を失って剥離脱落を起こすという問題があ
る。

【０００４】またメタルアンカーの先端にセラミックキ
ャップを被冠して耐熱性を高めるようにしても、実質的
にメタルアンカーが熱により強度劣化を起こすのでメタ
ルアンカーによるものと大同小異であり、やはり十分な
効果を期待することができなかった。

【０００５】さりとてアンカー全体をセラミック製とす
ると、耐熱製はあるものの焼成時の熱による歪により二
股に分岐する分岐部分が変形したり亀裂が発生したりす
ることがあり、またそれ故に十分なサイズのアンカーを
製造することが難しいという問題がある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、セラミックを
主体として耐熱性を高めながら強度劣化を生じることの
ないアンカー構造を提供することを課題としてなされた
ものである。

【０００７】上記課題を解決する手段として本発明は、
鉄皮の内面に不定形耐火物を支持するためのアンカーに
おいて、前記鉄皮に固定のナット部材に螺合締結され軸
部より大径の頭部を有する直状のボルト部材と、このボ
ルト部材の頭部を挟んでおかれ鈍角に屈曲されて基部に
大径部を有する少なくとも一対の枝杆部材と、この枝杆
部材の基部の大径部を前記ボルト部材の頭部に係合した
状態で該枝杆部材の基部に嵌着して枝杆部材をボルト部
材に固定するための結束環とで構成したものであり、少
なくとも前記枝杆部材および結束環またはすべての部材
をセラミック材で形成したことにある。

【０００８】上記セラミック材として、高アルミナ質、
ジルコニア質、窒化硅素から選択することが好ましい。
また前記ボルト部材は、そのネジ部を除く軸部に前記頭
部側が大径となるテーパーを付しておくことが組立てや
すくするうえにおいて好ましい。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施の
形態を参照して説明する。

【００１０】図１は本発明によるアンカーを組立てて鉄
皮１に取付けた状態を示すもので、その構成部材は、鉄
皮１に固着されるナット部材２と、このナット部材２に
螺挿締結されるボルト部材３と、一対の枝杆部材４，４
と、これら枝杆部材４，４を前記ボルト部材３に固定す
るための結束環５とからなっており、これらはセラミッ
ク材、例えば高アルミナ質、ジルコニア質、窒化硅素等
で形成されている。

【００１１】前記ボルト部材３は、図２、図３に示すよ
うに一端にネジ部６を有し、他端に軸部３ａより大径の
頭部７を有するもので、この頭部７は図３にみられるよ
うにその周面が対称的に削落された形状の平坦部７ａ，
７ａとされている。そして前記軸部３ａは前記ネジ部６
を除き前記頭部７側が大径となるテーパーが付されてい
る。

【００１２】前記枝杆部材４は、図４、図５に示すよう
に基部４ａ寄りの位置で略１３０°〜１４０°の鈍角に
屈曲され、その基部４ａの端部には大径部８が形成され
ており、この大径部８の外周の一部は前記ボルト部材３
の周面に接するための平坦部８ａとされている。

【００１３】前記結束環５は、図６（Ａ）、（Ｂ）に示
すように長円形を有するリング状のもので、その内孔９
は前記ボルト部材３、２本の枝杆部材４，４が可及的密
に嵌合し得る大きさとされている。

【００１４】ちなみに内張り施工厚に対する各部の寸法
（図１におけるａ，ｂ，ｃ）を例示すると表１のように
なる。

【００１５】

【表１】 前記ボルト部材３と枝杆部材４，４との組付けには、結
束環５の内孔９に枝杆部材４，４の先端側から通し、そ
の基部４ａ，４ａを内孔９の各内端部に位置させるとと
もにその大径部８，８を結束環５の側面に当接させてお
き、次いで枝杆部材４，４の先端側から該枝杆部材４，
４の間を通すようにボルト部材３を内孔９に挿通させ
る。このときボルト部材３の頭部７の平坦部７ａ，７ａ
が枝杆部材４，４の基部４ａ，４ｂに接するようにして
圧入させれば、図１に示すように頭部７が枝杆部材４，
４の大径部８，８に当接して抜け止めされて３者が結合
され、枝杆部材４，４は「ハ」の字形に拡開した状態に
固定されてＹスタッドと同様な形態となる。

【００１６】こうしたのちボルト部材３のネジ部６を鉄
皮１のナット部材２に螺挿すれば、図１のように取付け
られる。鉄皮１の内面に断熱ボードを施工する場合は、
図７に示すように断熱ボード１０を通してボルト部材３
をナット部材６に取付け、キャスタブル耐火物１１を施
工することになる。キャスタブル耐火物の施工後は、Ｙ
スタッドと同様にキャスタブル耐火物を支持する機能を
持つ。

【００１７】なおボルト部材３の軸部３ａ、枝杆部材４
は断面円形に限られるものではなく、四角形、六角形等
の角形断面であってもよい。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ア
ンカーがセラミックにより構成されているので、１５０
０℃以上の雰囲気温度を生じる高温炉であってもキャス
タブル耐火物による内張り施工を実施することができ、
これにより煉瓦では対応が困難な複雑構造箇所へのキャ
スタブル耐火物による施工を可能とすることができる。
したがって高温炉へのキャスタブル耐火物の採用範囲が
広がり、コストダウンに大きく寄与することができる。

【００１９】また本発明によるアンカー構造は、ボルト
部材と枝杆部材とを別体構成とし、これらを結束環によ
り一体化してアンカーとするようにしたので、セラミッ
クによる各部の製造が容易であり、一体成形に較べ強度
が高くかつ安価に得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態を示す側面図。

【図２】図１におけるボルト部材の側面図。

【図３】図２のＡ−Ａ断面図。

【図４】図１における枝杆部材の側面図。

【図５】図４のＢ−Ｂ断面図。

【図６】（Ａ）、（Ｂ）は図１における結束環を示し、
（Ａ）は正面図、（Ｂ）は側面図。

【図７】キャスタブル耐火物の施工例を示す断面図。

【符号の説明】

１ 鉄皮 ２ ナット部材 ３ ボルト部材 ３ａ 軸部 ４ 枝杆部材 ５ 結束環 ６ ネジ部 ７ 頭部 ８ 大径部 ９ 内孔 １０ 断熱ボード １１ キャスタブル耐火物

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】鉄皮の内面に不定形耐火物を支持するため
   のアンカーにおいて、前記鉄皮に固定のナット部材に螺
   合締結され軸部より大径の頭部を有する直状のボルト部
   材と、このボルト部材の頭部を挟んでおかれ鈍角に屈曲
   されて基部に大径部を有する少なくとも一対の枝杆部材
   と、この枝杆部材の基部の大径部を前記ボルト部材の頭
   部に係合した状態で該枝杆部材の基部に嵌着して枝杆部
   材をボルト部材に固定するための結束環とで構成され、
   少なくとも前記枝杆部材および結束環がセラミック材で
   形成されていることを特徴とするアンカー構造。
2. 【請求項２】前記ボルト部材、ナット部材、枝杆部材、
   および結束環のすべてがセラミック材で形成されている
   請求項１記載のアンカー構造。
3. 【請求項３】前記セラミック材は、高アルミナ質、ジル
   コニア質、窒化硅素から選択されたセラミックである請
   求項１または２記載のアンカー構造。
4. 【請求項４】前記ボルト部材は、そのネジ部を除く軸部
   に前記頭部側が大径となるテーパーが付されている請求
   項１〜３のいずれか１項記載のアンカー構造。