JPH11181007A - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造方法

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JPH11181007A
JPH11181007A JP34934297A JP34934297A JPH11181007A JP H11181007 A JPH11181007 A JP H11181007A JP 34934297 A JP34934297 A JP 34934297A JP 34934297 A JP34934297 A JP 34934297A JP H11181007 A JPH11181007 A JP H11181007A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高生産性で還流凝縮器による除熱を伴う製造
法においても重合中の発泡による品質の低下および操業
上の問題を招くことなく、多孔性で可塑剤吸収性に優
れ、成形した際のフィッシュアイが少ない塩化ビニル系
重合体を安定かつ生産性よく製造する方法を提供するこ
と。 【解決手段】 分散剤として重合度が300〜100
0、ケン化度が65〜75モル%で、1つの末端にメル
カプト基を有する部分ケン化ポリビニルアルコール
(A)、重合度が2000以上、ケン化度が75モル%
以上の部分ケン化ポリビニルアルコール(B)、及び重
合度が100〜700、ケン化度が20〜55モル%の
部分ケン化ポリビニルアルコール(C)の3種を特定量
併用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩化ビニル系重合
体の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、特定
の分散剤を特定の割合で用いることにより、高生産性で
還流凝縮器による除熱を伴う製造法においても重合中の
発泡による品質の低下および操業上の問題を招くことな
く、多孔性で可塑剤吸収性に優れ、成形した際のフィッ
シュアイが少ない塩化ビニル系重合体を安定かつ生産性
よく製造する方法であり、かつ、重合後の塩化ビニル系
重合体スラリーの発泡性が低く、生産性を低下させるこ
となく未反応塩化ビニル系単量体を除去することが可能
な塩化ビニル系重合体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系重合体は、その軟質分野に
おいては可塑剤の吸収が速くかつフィッシュアイが少な
いことが望まれている。これらの要求に応えるために種
々の方法が提案されており、特開昭53−136089
号公報等には、ケン化度60〜90モル%、重合度30
0〜3000のポリビニルアルコールである一次分散剤
に低ケン化度かつ低重合度の部分ケン化ポリビニルアル
コールを二次分散剤として併用する方法が提案されてい
る。しかし、該製造方法では、重合終了近くになると、
重合器内容物の見掛け粘度が上昇するため、該内容物の
流動性が低下する。そして、該内容物の重合反応熱の除
去が不十分となるため、該内容物の温度が上昇し、得ら
れる重合体の可塑剤吸収性が悪くなる。従って、このよ
うな重合体から得られる成型品には、多くのフィッシュ
アイが発生する等の問題を生じる。特に、最近は生産性
向上のために、還流凝縮器を使用して重合系の除熱効率
を上げ、さらに重合開始剤を多量に、しかも分解温度の
異なる複数の開始剤を使用して時間当たりの発熱量を平
準化させて、6時間以下の短時間で重合を終わらせる方
法が一般的になりつつある。
【0003】上記特開昭53−136089号公報記載
の製造方法では、生産性を向上するため重合時間を短縮
したり、それに伴う重合発熱に対し還流凝縮器を使用し
た場合、更にフィッシュアイが悪化するとともに、重合
中に著しい発泡現象が生じ、品質を一層悪化させるだけ
でなく、還流凝縮器への重合体の付着、還流凝縮器の閉
塞等により還流凝縮器の除熱能力が大幅に低下するとい
った操業上の問題があった。
【0004】このような問題に対し、特開平9−407
06号公報及び特開平8−109206号公報では、分
子鎖の少なくとも1つの末端にメルカプト基を有する部
分ケン化ポリビニルアルコールと他の分散剤からなる分
散安定剤及びそれを使用した塩化ビニル系重合体の製造
方法が提案されている。しかし、これらの製造方法は、
得られる重合体粒子を多孔性にし可塑剤吸収性、フィッ
シュアイ等を改良する効果が不十分であったり、重合時
の重合分散系が不安定であり、分散安定剤を多量に使用
しなければ得られる重合体が粗粒またはブロック状にな
るという問題があった。更に、可塑剤吸収性、フィッシ
ュアイ等の改良または重合分散系の安定性を保持するた
めに該分散安定剤を多量に使用すると、発泡を防止する
効果が不十分となり重合中の発泡により品質が悪化した
り操業上の問題が生じるだけでなく、重合後の塩化ビニ
ル系重合体スラリーの発泡性も高くなり、未反応塩化ビ
ニル系単量体を除去する際、激しく発泡するため未反応
塩化ビニル系単量体の除去に極めて長い時間を要し、結
果として生産性を著しく低下させるという問題があっ
た。
【0005】一方、特開平4−154809号公報、特
開平4−277503号公報、特開平5−1104号公
報、特開平5−230115号公報等では、高生産性重
合においてもフィッシュアイ、可塑剤吸収性、粒径等の
品質の低下を招かない塩化ビニル系重合体の製造方法と
して、分散安定剤として重合度が500〜900かつケ
ン化度が65〜75モル%の部分ケン化ポリビニルアル
コールと重合度が1000以上かつケン化度が75〜8
5モル%の部分ケン化ポリビニルアルコール及び重合度
が100〜1200かつケン化度が15〜54モル%の
部分ケン化ポリビニルアルコールとを併用することを特
徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法が提案されてい
る。しかし、これらの製造方法はある程度の重合時間短
縮に対しては有効であるが、より生産性を向上するた
め、特に重合時間を4時間以内にまで短縮し、かつ還流
凝縮器による除熱割合を上昇させた場合には、重合中の
発泡抑制効果が不十分となり、可塑剤吸収性及びフィッ
シュアイ等の品質を悪化させるという問題があった。ま
た、未反応塩化ビニル系単量体回収時の発泡に関して
は、重合度が500〜900かつケン化度が65〜75
モル%の部分ケン化ポリビニルアルコールは逆に発泡を
促進するという問題があった。
【0006】また、最近は還流凝縮器を使用して除熱を
効率的に行う方法が開発され、大型の重合槽の使用が可
能になり、特に120m3以上の大型の重合槽が一般的
になりつつあるが、大型になると還流凝縮器へのモノマ
ーの還流量が増大して重合槽内のポリマーの分散分散状
態が不良になることがあり、この解決も望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高生
産性で還流凝縮器による除熱を伴う製造法においても重
合中の発泡による品質の低下および操業上の問題を招く
ことなく、多孔性で可塑剤吸収性に優れ、成形した際の
フィッシュアイが少ない塩化ビニル系重合体を安定かつ
生産性よく製造する方法であり、大型の重合槽の使用も
可能であり、かつ、重合後の塩化ビニル系重合体スラリ
ーの発泡性も低く、生産性を低下させることなく未反応
塩化ビニル系単量体を除去することが可能な塩化ビニル
系重合体の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
について鋭意検討結果、分散剤として重合度が300〜
1000かつケン化度が65〜75モル%であり、分子
鎖の少なくとも1つの末端にメルカプト基を有する部分
ケン化ポリビニルアルコールをある一定の範囲の使用量
で用い、かつ重合度が2000以上、ケン化度が75モ
ル%以上の部分ケン化ポリビニルアルコール及び重合度
が100〜700かつケン化度が20〜55モル%の部
分ケン化ポリビニルアルコールを併用した場合にのみ上
記の課題を解決できることを見出だし本発明を完成する
に至った。
【0009】即ち、本発明は以下の発明または実施態様
を包含する。
【0010】 還流凝縮器を付設した重合器にて、塩
化ビニル系単量体を水性媒体中で油溶性ラジカル開始剤
を用い、懸濁重合させるに際し、分散剤として重合度が
300〜1000かつケン化度が65〜75モル%であ
り、分子鎖の少なくとも1つの末端にメルカプト基を有
する部分ケン化ポリビニルアルコール(A)と、重合度
が2000以上かつケン化度が75モル%以上の部分ケ
ン化ポリビニルアルコール(B)、及び重合度が100
〜700かつケン化度が20〜55モル%の部分ケン化
ポリビニルアルコール(C)の3種を併用し、塩化ビニ
ル系単量体100重量部に対する(A)の使用量が0.
01〜0.03重量部、(B)の使用量が0.03〜
0.1重量部、(A)と(B)の重量比(A)/(B)
が2/8〜4/6であり、かつ塩化ビニル系単量体10
0重量部に対する(C)の使用量が0.01〜0.1重
量部であることを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造
方法。
【0011】 塩化ビニル系重合体を重合する際の重
合時間が2.5〜4時間である記載の塩化ビニル系重
合体の製造方法。
【0012】 塩化ビニル系重合体を重合する際に使
用する重合槽の容積が120〜300m3である記載
の塩化ビニル系重合体の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について更に詳細
に説明する。
【0014】本発明において、分散剤として用いられる
部分ケン化ポリビニルアルコール(A)は、重合度が3
00〜1000かつケン化度が65〜75モル%であ
り、分子鎖の少なくとも1つの末端にメルカプト基を有
する部分ケン化ポリビニルアルコールである。また、そ
の使用量は塩化ビニル系単量体100重量部に対し0.
01〜0.03重量部である。ここで部分ケン化ポリビ
ニルアルコール(A)の分子鎖の末端にメルカプト基を
有しない場合、重合時間が4時間以内では可塑剤吸収
性、フィッシュアイ、粒径等の品質が悪化する。
【0015】更に、その使用量が塩化ビニル系単量体1
00重量部に対し0.01〜0.03重量部の範囲外で
あっても重合後の塩化ビニル系重合体スラリーの発泡性
が高くなり、未反応塩化ビニル系単量体を回収する際、
激しく発泡するため未反応塩化ビニル系単量体の除去に
極めて長い時間を要し、結果として生産性が著しく低下
する。メルカプト基を有することにより、重合時間が4
時間以内においても極めて少量の使用で可塑剤吸収性及
びフィッシュアイ等の品質に優れた塩化ビニル系重合体
を得ることができ、また、重合中及び未反応塩化ビニル
系単量体回収時の発泡が抑制される。
【0016】部分ケン化ポリビニルアルコール(A)の
重合度は300〜1000、好ましくは300〜600
であり、ケン化度は65〜75モル%、好ましくは68
〜73モル%であり、重合度が300〜600かつケン
化度が68〜73モル%であることが得に好ましい。
【0017】ここで部分ケン化ポリビニルアルコール
(A)の重合度が1000より大きかったり、ケン化度
が75モル%より大きい場合、多孔性、及び、可塑剤吸
収性が低下し、成形した際のフィッシュアイを減少させ
る効果が不十分になる。
【0018】また、部分ケン化ポリビニルアルコール
(A)の重合度が300未満、又は、ケン化度が65モ
ル%未満の場合、重合時の重合分散系が不安定となり、
重合中にブロック化したり、得られる塩化ビニル系重合
体粒子が粗大化したりする。また、部分ケン化ポリビニ
ルアルコール(A)の使用量は塩化ビニル系単量体10
0重量部に対し0.01〜0.03重量部であることが
好ましく、さらに好ましくは0.015〜0.025で
ある。(A)の使用量が0.01重量部未満であると多
孔性、及び、可塑剤吸収性が低下し、成形した際のフィ
ッシュアイを減少させる効果が不十分になる。また、
(A)の使用量が0.03重量部より大きい場合、重合
中発泡が生じ品質の悪化や操業上の問題が生じるだけで
なく、重合後の塩化ビニル系重合体スラリーの発泡性が
高くなり、未反応塩化ビニル系単量体を除去する際、激
しく発泡するため未反応塩化ビニル系単量体の除去に極
めて長い時間を要し、結果として生産性が著しく低下す
る。
【0019】本発明において、分散剤として用いられる
部分ケン化ポリビニルアルコール(A)は単独で使用し
た場合、または部分ケン化ポリビニルアルコール(C)
とのみ併用した場合、重合時の重合分散系が不安定とな
り、重合中にブロック化したり、得られる塩化ビニル系
重合体粒子が粗大化したりする。更に重合分散系を安定
化するため分散安定剤を多量に使用すると重合中及び未
反応塩化ビニル系単量体回収時の発泡が激しくなる。
【0020】部分ケン化ポリビニルアルコール(B)を
併用することにより重合分散系が安定化され、部分ケン
化ポリビニルアルコール(A)の使用量が少量であって
も安定的に可塑剤吸収性及びフィッシュアイ等の品質に
優れた塩化ビニル系重合体を得ることが出来る。従っ
て、部分ケン化ポリビニルアルコール(B)の併用は必
要不可欠である。部分ケン化ポリビニルアルコール
(B)は、重合度が2000以上、好ましくは2000
〜4000、かつ、ケン化度が75モル%以上、好まし
くは75〜95モル%のものであり、重合度が2000
〜4000かつケン化度が75〜95モル%であること
が特に好ましい。
【0021】ここで部分ケン化ポリビニルアルコール
(B)の重合度が2000未満、又は、ケン化度が75
モル%未満であると重合時の重合分散系が不安定とな
り、重合中にブロック化したり、得られる塩化ビニル系
重合体粒子が粗大化したりする。また、部分ケン化ポリ
ビニルアルコール(B)の使用量は塩化ビニル系単量体
100重量部に対し0.03〜0.1重量部であり、好
ましくは0.03〜0.06重量部である。(B)の使
用量が0.03重量部未満であると重合時の重合分散系
が不安定となり、重合中にブロック化したり、得られる
塩化ビニル系重合体粒子が粗大化したりする。また、
(B)の使用量が0.1重量部より大きい場合、重合中
発泡が生じ品質の悪化や操業上の問題が生じるだけでな
く、重合後の塩化ビニル系重合体スラリーの発泡性が高
くなり、未反応塩化ビニル系単量体を除去する際、激し
く発泡するため未反応塩化ビニル系単量体の除去に極め
て長い時間を要し、結果として生産性が著しく低下す
る。
【0022】更に部分ケン化ポリビニルアルコール
(A)と(B)は重量比で(A)/(B)=2/8〜4
/6で使用することが好ましく、特に好ましくは2/8
〜3.5/6.5である。部分ケン化ポリビニルアルコ
ール(A)と(B)の重量比(A)/(B)が2/8未
満であると多孔性、及び、可塑剤吸収性が低下し、成形
した際のフィッシュアイを減少させる効果が不十分にな
り、4/6より大きい場合、重合中発泡が生じ品質の悪
化や操業上の問題が生じるだけでなく、重合後の塩化ビ
ニル系重合体スラリーの発泡性が高くなり、未反応塩化
ビニル系単量体を除去する際、激しく発泡するため未反
応塩化ビニル系単量体の除去に極めて長い時間を要し、
結果として生産性が著しく低下する。
【0023】本発明において、分散剤として用いられる
部分ケン化ポリビニルアルコール(C)は、重合度が1
00〜700、好ましくは200〜600、かつ、ケン
化度が20〜55モル%、好ましくは25〜50モル%
のものであり、重合度が200〜600かつケン化度が
25〜50モル%であることが特に好ましい。ここで部
分ケン化ポリビニルアルコール(C)の重合度またはケ
ン化度が上記の範囲をはずれた場合、多孔性、及び、可
塑剤吸収性が低下し、成形した際のフィッシュアイを減
少させる効果が不十分になる。また、(C)の使用量は
塩化ビニル系単量体100重量部に対し0.01〜0.
1重量部、好ましくは0.02〜0/0.07である。
【0024】本発明において、部分ケン化ポリビニルア
ルコール(C)を使用しない場合、多孔性、及び、可塑
剤吸収性が低下し、成形した際のフィッシュアイが悪化
するため、部分ケン化ポリビニルアルコール(A)を多
量に使用しなければならない。部分ケン化ポリビニルア
ルコール(A)の使用量を少量にするためには、部分ケ
ン化ポリビニルアルコール(C)は塩化ビニル系単量体
100重量部に対し0.01〜0.1重量部使用するこ
とが好ましい。ここで部分ケン化ポリビニルアルコール
(C)の使用量が、塩化ビニル系単量体100重量部に
対し0.01重量部未満であると、多孔性、及び、可塑
剤吸収性が低下し、成形した際のフィッシュアイを減少
させる効果が不十分になり、0.1重量部より大きい場
合、重合中発泡が生じ品質の悪化や操業上の問題が生じ
るだけでなく、重合後の塩化ビニル系重合体スラリーの
発泡性が高くなり、未反応塩化ビニル系単量体を除去す
る際、激しく発泡するため未反応塩化ビニル系単量体の
除去に極めて長い時間を要し、結果として生産性が著し
く低下する。
【0025】本発明において分散安定剤として部分ケン
化ポリビニルアルコール(A)、(B)及び(C)を上
記の使用量で用いた際の発泡防止機構は明白ではない
が、分散安定剤として分子鎖末端にメルカプト基を有す
る部分ケン化ポリビニルアルコールを使用することに起
因すると考える。すなわち、部分ケン化ポリビニルアル
コール(A)がメルカプト基を有しない場合、重合中及
び未反応単量体回収時に激しい発泡が生じる。この現象
は水相中に残存する分散安定剤によるものと考えられ
る。メルカプト基を有する部分ケン化ポリビニルアルコ
ールは重合体粒子表面でグラフトされやすく早期に消費
されるため、水相中に残存しにくく発泡が防止されると
推察する。
【0026】本発明において用いられる重合開始剤とし
ては、一般的に懸濁重合法に重合開始剤として用いられ
るものでよく、例えばジイソプロピルパーオキシジカー
ボネート、tert−ブチルパーオキシネオデカネー
ト、tert−ヘキシルパーオキシピバレート、ベンゾ
イルパーオキサイド等の過酸化物;2、2’−アゾビス
イソブチロニトリル、2、2’−アゾビス−2、4−ジ
メチルバレロニトリル等のアゾ化合物などが挙げられ、
これらは1種または2種以上の組合せで使用することが
できる。特に分解速度の異なる2種以上の開始剤を併用
することで重合によって発生する重合熱を均一化するこ
とが好ましい。また、該重合開始剤の使用量は、高速重
合が可能となることから塩化ビニル系単量体100重量
部に対し、0.05重量部〜0.2使用することが望ま
しい。
【0027】本発明の方法では、上記のように開始剤を
多量に使用して少なくとも6時間以内、好ましくは4時
間以内で重合を終わらせることが可能となった。なお、
重合時間の下限は2.5時間程度である。
【0028】本発明において重合時間は、重合原料を仕
込み、昇温して内温が所定の時間に達した時間から、こ
の際の圧力から単量体の重合体に転化し、単量体が減少
して内圧が初期の圧力より1.8kg/cm2低下した
時までの時間を重合時間とした。
【0029】本発明において使用される重合槽について
は特に制限はないが、通常高速重合で使用される還流凝
縮器付きの重合槽で40m3以上のものが使用され、本
発明の方法では120m3以上の大型重合槽の場合に効
果が顕著である。
【0030】重合槽の攪拌機に特に制限はなく、所望に
よりバッフルも使用される。攪拌機については通常塩化
ビニル系単量体の重合に使用されるタービン翼、ファン
タービン翼、ファウドラー翼及びブルーマージン翼が、
バッフルとしてはフィンガー型、円筒型、D型及びルー
プ型等が例示される。
【0031】本発明においては、本発明を実施する際に
は、塩化ビニル単量体と共重合可能なビニル系単量体又
は塩化ビニル単量体とグラフト重合可能なポリマーを必
要に応じて添加して重合してもよい。
【0032】重合反応後、得られてスラリーより未反応
の単量体が除去されるが、未反応単量体は重合槽から直
接除去しても、他のタンクへ移送後に除去してもよい。
未反応単量体の除去条件については特に制限はないが、
効率よく未反応単量体を除去し、かつ、得られた塩化ビ
ニル系重合体の品質の問題が生じにくい点から、通常未
反応単量体除去時のスラリー温度を40℃以上、重合温
度以下に保ち、攪拌しながら除去することが好ましい。
本発明の分散剤系を使用した場合は単量体除去の際に発
泡等によるトラブルもなく極めて容易に単量体が除去で
きる。
【0033】本発明における塩化ビニル系単量体とは、
塩化ビニル単量体、又は塩化ビニル単量体と共重合可能
なビニル系単量体との混合物をいう。
【0034】塩化ビニル単量体と共重合可能なビニル系
単量体としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、カプロン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン
酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレ
ン、イソブチレン等のオレフィン類;イソブチルビニル
エーテル、フェニルビニルエーテル、オクチルビニルエ
ーテル等のアルキル又はアリールビニルエーテル類;塩
化ビニリデン、フッ化ビニル、塩化アリル、臭化ビニル
等のハロゲン化オレフィン類;エチルアクリレート、n
−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、2
−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメ
タクリレート、ステアリルメタクリレート等のアクリル
酸又はメタクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリ
ル酸、クロトン酸、アクリロニトリル、無水マレイン
酸、無水イタコン酸等のアクリル系誘導体類等を挙げる
ことができる。
【0035】又、塩化ビニル単量体とグラフト共重合可
能なポリマーとしては、例えばエチレン−酢酸ビニル共
重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合
体、塩素化ポリエチレン、ポリウレタン、ポリブタジエ
ン−スチレン−メチルメタクリレート共重合体(MB
S)、ポリブタジエン−アクリロニトリル−(α−メチ
ル)スチレン共重合体(ABS)、ポリブチルアクリレ
ート、ブチルゴム、ポリスチレン、スチレン−ブタジエ
ン共重合体、架橋アクリルゴム等を挙げることができ
る。
【0036】本発明の製造方法によると、高生産性で還
流凝縮器による除熱を伴う製造法においても重合中の発
泡による品質の低下を招くことなく、多孔性で可塑剤吸
収性に優れ、成形した際のフィッシュアイが少ない塩化
ビニル系樹脂を安定に、かつ、生産性良く得ることがで
きる。また、重合後の塩化ビニル系重合体スラリーの発
泡性が低いため、生産性を低下させることなく未反応塩
化ビニル系単量体を除去することが可能である。
【0037】
【実施例】以下の実施例によって、本発明を更に説明す
るが、これらによって本発明が限定されるものではな
い。
【0038】実施例及び比較例により得られた重合体の
物性は、下記の方法により評価を行った。
【0039】〜平均粒径〜 得られた塩化ビニル系重合体の50%の重合体粒子が通
過するふるいの目の大きさ(μm)を平均粒径とした。
【0040】〜可塑剤吸収量〜 得られた重合体に過剰の可塑剤(ジオクチルフタレー
ト;DOP)を加え、室温で10分間放置した後、遠心
分離機(国産遠心器(株)製)を用いて3000rpm
で遠心し重合体に吸収されなかった可塑剤を除去した。
遠心後の重合体に保持されている可塑剤量を測定し、重
合体に対する重合体に保持された可塑剤の割合を百分率
で表したものを可塑剤吸収量とした。
【0041】〜フィッシュアイ〜 得られた塩化ビニル系重合体100重量部,Ca−Zn
系粉末複合安定剤1.5重量部、有機燐系安定化助剤
0.5重量部、群青3重量部及びDOP(ジオクチルフ
タレート)50重量部を混合し、150℃のロールで厚
さ0.35mmとして3分混練し、0.35mmのシー
トを分取し、シート50cm2中の透明粒子の数をもっ
て示した。
【0042】実施例1 還流凝縮器を有する内容積2m3の反応器に純水140
重量部、ケン化度70モル%、重合度500であり分子
鎖の一方の末端にメルカプト基を有するの部分ケン化ポ
リビニルアルコール0.015重量部、ケン化度80モ
ル%、重合度2600の部分ケン化ポリビニルアルコー
ル0.035重量部、ケン化度40モル%、重合度55
0の部分ケン化ポリビニルアルコール0.04重量部、
tert−ブチルパーオキシネオデカネート0.08重
量部を入れ減圧状態にした。次いで、塩化ビニル単量体
100重量部を仕込み、オートクレーブ内を攪拌しなが
ら57℃に昇温した後、還流凝縮器へ冷却水を通水し還
流凝縮器による除熱量が全重合発熱量の40〜50%と
なるように調節して重合を継続した。その後、反応器の
圧力が重合反応の定常状態における圧力から1.8kg
/cm2下がった時点で、未反応単量体を反応器上部の
未反応単量体回収ラインより攪拌しながら除去した。こ
の際スラリー温度を50℃に保持した。この際、未反応
単量体回収ライン内への泡立ちはみられず、30分で回
収を終了した。また、還流凝縮器および還流凝縮器への
導管内への泡立ちの跡はなく、重合体の付着もみられな
かった。
【0043】未反応塩化ビニル単量体を回収した後、ス
ラリーをオートクレーブから取り出し脱水乾燥を行った
ところ、約85%の重合転化率で塩化ビニル重合体を得
た。得られた塩化ビニル重合体の評価結果を表1に示
す。得られた塩化ビニル重合体は、可塑剤吸収性に優
れ、成形した際のフィッシュアイが少ないものであっ
た。
【0044】実施例2 ケン化度70モル%、重合度500であり分子鎖の一方
の末端にメルカプト基を有する部分ケン化ポリビニルア
ルコール0.015重量部の代わりに、ケン化度73モ
ル%、重合度800であり分子鎖の一方の末端にメルカ
プト基を有する部分ケン化ポリビニルアルコール0.0
2重量部を使用し、ケン化度80モル%、重合度260
0の部分ケン化ポリビニルアルコール0.035重量部
の代わりに、ケン化度78モル%、重合度2200の部
分ケン化ポリビニルアルコール0.05重量部を使用し
た以外は実施例1と同様に行い、約85%の重合転化率
で塩化ビニル重合体を得た。
【0045】未反応単量体回収時の発泡状況、還流凝縮
器への重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重
合体の評価結果を表1に示す。未反応単量体回収の際の
ライン内への泡立ちはみられず、また、還流凝縮器およ
び導管内への泡立ちの跡はなく、重合体の付着もみられ
なかった。得られた塩化ビニル重合体は、可塑剤吸収性
に優れ、成形した際のフィッシュアイが少ないものであ
った。
【0046】実施例3 ケン化度70モル%、重合度500であり分子鎖の一方
の末端にメルカプト基を有するの部分ケン化ポリビニル
アルコールの使用量を0.025重量部とし、更にケン
化度80モル%、重合度2600の部分ケン化ポリビニ
ルアルコール0.035重量部の代わりに、ケン化度8
8モル%、重合度3000の部分ケン化ポリビニルアル
コール0.04重量部を使用し、かつケン化度40モル
%、重合度550の部分ケン化ポリビニルアルコールの
代わりに、ケン化度35モル%、重合度300の部分ケ
ン化ポリビニルアルコールを使用した以外は実施例1と
同様に行い、約85%の重合転化率で塩化ビニル重合体
を得た。
【0047】未反応単量体回収時の発泡状況、還流凝縮
器への重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重
合体の評価結果を表1に示す。未反応単量体回収の際の
ライン内への泡立ちはみられず、また、還流凝縮器およ
び導管内への泡立ちの跡はなく、重合体の付着もみられ
なかった。得られた塩化ビニル重合体は、可塑剤吸収性
に優れ、成形した際のフィッシュアイが少ないものであ
った。
【0048】実施例4 ケン化度70モル%、重合度500であり分子鎖の一方
の末端にメルカプト基を有する部分ケン化ポリビニルア
ルコールの代わりに、ケン化度73モル%、重合度80
0であり分子鎖の一方の末端にメルカプト基を有する部
分ケン化ポリビニルアルコールを使用し、かつケン化度
40モル%、重合度550の部分ケン化ポリビニルアル
コールの代わりに、ケン化度48モル%、重合度250
の部分ケン化ポリビニルアルコールを使用した以外は実
施例1と同様に行い、約85%の重合転化率で塩化ビニ
ル重合体を得た。
【0049】未反応単量体回収時の発泡状況、還流凝縮
器への重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重
合体の評価結果を表1に示す。未反応単量体回収の際の
ライン内への泡立ちはみられず、また、還流凝縮器およ
び導管内への泡立ちの跡はなく、重合体の付着もみられ
なかった。得られた塩化ビニル重合体は、可塑剤吸収性
に優れ、成形した際のフィッシュアイが少ないものであ
った。
【0050】実施例5 ケン化度70モル%、重合度500であり分子鎖の一方
の末端にメルカプト基を有するの部分ケン化ポリビニル
アルコールの使用量を0.025重量部とし、更にケン
化度80モル%、重合度2600の部分ケン化ポリビニ
ルアルコール0.035重量部の代わりに、ケン化度7
8モル%、重合度2200の部分ケン化ポリビニルアル
コール0.08重量部を使用し、かつケン化度40モル
%、重合度550の部分ケン化ポリビニルアルコールの
使用量を0.06重量部とした以外は実施例1と同様に
行い、約85%の重合転化率で塩化ビニル重合体を得
た。未反応単量体回収時の発泡状況、還流凝縮器への重
合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重合体の評
価結果を表2に示す。未反応単量体回収の際のライン内
への泡立ちはみられず、また、還流凝縮器および導管内
への泡立ちの跡はなく、重合体の付着もみられなかっ
た。得られた塩化ビニル重合体は、可塑剤吸収性に優
れ、成形した際のフィッシュアイが少ないものであっ
た。
【0051】比較例1 ケン化度70モル%、重合度500であり分子鎖の一方
の末端にメルカプト基を有する部分ケン化ポリビニルア
ルコールの代わりにケン化度70モル%、重合度500
であり分子鎖の末端にメルカプト基を有しない部分ケン
化ポリビニルアルコールを使用した以外は実施例1と同
様に行い、約85%の重合転化率で塩化ビニル重合体を
得た。
【0052】未反応単量体回収時の発泡状況、還流凝縮
器への重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重
合体の評価結果を表3に示す。未反応単量体回収の際、
ライン内への泡立ちがみられたため回収速度を低下させ
たところ、未反応単量体の回収に60分を要した。ま
た、還流凝縮器および導管内への重合体の付着がみられ
た。得られた塩化ビニル重合体は可塑剤吸収性は高い
が、粒径が大きく、かつ成形した際のフィッシュアイが
多いものであった。
【0053】比較例2 ケン化度70モル%、重合度500であり分子鎖の一方
の末端にメルカプト基を有する部分ケン化ポリビニルア
ルコールの代わりにケン化度70モル%、重合度200
であり分子鎖の一方の末端にメルカプト基を有する部分
ケン化ポリビニルアルコールを使用した以外は実施例1
と同様に行い、約85%の重合転化率で塩化ビニル重合
体を得た。
【0054】未反応単量体回収時の発泡状況、還流凝縮
器への重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重
合体の評価結果を表3に示す。未反応単量体回収の際の
ライン内への泡立ち、還流凝縮器および導管内への重合
体の付着はみられなかったが、得られた塩化ビニル重合
体は粒径が大きく、かつ成形した際のフィッシュアイが
多いものであった。
【0055】比較例3 ケン化度70モル%、重合度500であり分子鎖の一方
の末端にメルカプト基を有する部分ケン化ポリビニルア
ルコールの代わりにケン化度70モル%、重合度150
0であり分子鎖の一方の末端にメルカプト基を有する有
部分ケン化ポリビニルアルコールを使用した以外は実施
例1と同様に行い、約85%の重合転化率で塩化ビニル
重合体を得た。
【0056】未反応単量体回収時の発泡状況、還流凝縮
器への重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重
合体の評価結果を表3に示す。未反応単量体回収の際の
ライン内への泡立ち、還流凝縮器および導管内への重合
体の付着はみられなかったが、得られた塩化ビニル重合
体は可塑剤吸収性が低く、かつ成形した際のフィッシュ
アイが多いものであった。
【0057】比較例4 ケン化度70モル%、重合度500であり分子鎖の一方
の末端にメルカプト基を有する部分ケン化ポリビニルア
ルコールの代わりにケン化度80モル%、重合度500
であり分子鎖の一方の末端にメルカプト基を有する有部
分ケン化ポリビニルアルコールを使用した以外は実施例
1と同様に行い、約85%の重合転化率で塩化ビニル重
合体を得た。
【0058】未反応単量体回収時の発泡状況、還流凝縮
器への重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重
合体の評価結果を表3に示す。未反応単量体回収の際の
ライン内への泡立ち、還流凝縮器および導管内への重合
体の付着はみられなかったが、得られた塩化ビニル重合
体は可塑剤吸収性が低く、かつ成形した際のフィッシュ
アイが多いものであった。
【0059】比較例5 ケン化度70モル%、重合度500であり分子鎖の一方
の末端にメルカプト基を有する部分ケン化ポリビニルア
ルコールの代わりにケン化度50モル%、重合度500
であり分子鎖の一方の末端にメルカプト基を有する部分
ケン化ポリビニルアルコールを使用した以外は実施例1
と同様に行い、約85%の重合転化率で塩化ビニル重合
体を得た。
【0060】未反応単量体回収時の発泡状況、還流凝縮
器への重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重
合体の評価結果を表4に示す。未反応単量体回収の際の
ライン内への泡立ち、還流凝縮器および導管内への重合
体の付着はみられなかったが、得られた塩化ビニル重合
体は粒径が大きく、かつ成形した際のフィッシュアイが
多いものであった。
【0061】比較例6 ケン化度80モル%、重合度2600の部分ケン化ポリ
ビニルアルコールの代わりにケン化度70モル%、重合
度2600の部分ケン化ポリビニルアルコールを使用し
た以外は実施例1と同様に行い、約85%の重合転化率
で塩化ビニル重合体を得た。
【0062】未反応単量体回収時の発泡状況、還流凝縮
器への重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重
合体の評価結果を表4に示す。未反応単量体回収の際の
ライン内への泡立ち、還流凝縮器および導管内への重合
体の付着はみられなかったが、得られた塩化ビニル重合
体は粒径が大きく、かつ成形した際のフィッシュアイが
多いものであった。
【0063】比較例7 ケン化度80モル%、重合度2600の部分ケン化ポリ
ビニルアルコールの代わりにケン化度80モル%、重合
度1500の部分ケン化ポリビニルアルコールを使用し
た以外は実施例1と同様に行い、約85%の重合転化率
で塩化ビニル重合体を得た。
【0064】未反応単量体回収時の発泡状況、還流凝縮
器への重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重
合体の評価結果を表4に示す。未反応単量体回収の際の
ライン内への泡立ち、還流凝縮器および導管内への重合
体の付着はみられなかったが、得られた塩化ビニル重合
体は粒径が大きく、かつ成形した際のフィッシュアイが
多いものであった。
【0065】比較例8 実施例1で用いたケン化度70モル%、重合度500で
あり分子鎖の一方の末端にメルカプト基を有する部分ケ
ン化ポリビニルアルコールの使用量を0.01重量部、
ケン化度80モル%、重合度2600の部分ケン化ポリ
ビニルアルコールの使用量を0.02重量部とした以外
は実施例1と同様に行ったが、得られた塩化ビニル系重
合体はブロック状となり、粒子は得られなかった。
【0066】比較例9 実施例1で用いたケン化度70モル%、重合度500で
あり分子鎖の一方の末端にメルカプト基を有する部分ケ
ン化ポリビニルアルコールの使用量を0.08重量部、
ケン化度80モル%、重合度2600の部分ケン化ポリ
ビニルアルコールの使用量を0.12重量部とした以外
は実施例1と同様に行い、約85%の重合転化率で塩化
ビニル重合体を得た。
【0067】未反応単量体回収時の発泡状況、還流凝縮
器への重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重
合体の評価結果を表5に示す。得られた塩化ビニル重合
体は可塑剤吸収性が高く、かつ成形した際のフィッシュ
アイが少ないものであったが、未反応単量体回収の際、
ライン内への泡立ちがみられたため回収速度を低下させ
たところ、未反応単量体の回収に98分を要した。ま
た、還流凝縮器および導管内への重合体の付着がみられ
た。
【0068】比較例10 実施例1で用いたケン化度70モル%、重合度500で
あり分子鎖の一方の末端にメルカプト基を有する部分ケ
ン化ポリビニルアルコールを用いず、ケン化度80モル
%、重合度2600の部分ケン化ポリビニルアルコール
の使用量を0.05重量部とした以外は実施例1と同様
に行い、約85%の重合転化率で塩化ビニル重合体を得
た。
【0069】未反応単量体回収時の発泡状況、還流凝縮
器への重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重
合体の評価結果を表5に示す。未反応単量体回収の際、
ライン内への泡立ちはみられなかったが、還流凝縮器お
よび導管内への重合体の付着がみられた。また、得られ
た塩化ビニル重合体は可塑剤吸収性が低く、かつ成形し
た際のフィッシュアイが多いものであった。
【0070】比較例11 実施例1で用いたケン化度70モル%、重合度500で
あり分子鎖の一方の末端にメルカプト基を有する部分ケ
ン化ポリビニルアルコールの使用量を0.055重量
部、ケン化度80モル%、重合度2600の部分ケン化
ポリビニルアルコールの使用量を0.015重量部とし
た以外は実施例1と同様に行い、約85%の重合転化率
で塩化ビニル重合体を得た。
【0071】未反応単量体回収時の発泡状況、還流凝縮
器への重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重
合体の評価結果を表5に示す。得られた塩化ビニル重合
体は可塑剤吸収性が高く、かつ成形した際のフィッシュ
アイが少ないものであったが、未反応単量体回収の際、
ライン内への泡立ちがみられたため回収速度を低下させ
たところ、未反応単量体の回収に68分を要した。ま
た、還流凝縮器および導管内への重合体の付着がみられ
た。
【0072】比較例12 ケン化度40モル%、重合度550の部分ケン化ポリビ
ニルアルコールを用いなかった以外は実施例1と同様に
行い、約85%の重合転化率で塩化ビニル重合体を得
た。
【0073】未反応単量体回収時の発泡状況、還流凝縮
器への重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重
合体の評価結果を表5に示す。未反応単量体回収の際、
ライン内への泡立ち、還流凝縮器および導管内への重合
体の付着はみられなかったが、得られた塩化ビニル重合
体は可塑剤吸収性が低く、かつ成形した際のフィッシュ
アイが多いものであった。
【0074】比較例13 実施例1で用いたケン化度40モル%、重合度550の
部分ケン化ポリビニルアルコールを用いず、ケン化度7
0モル%、重合度500であり分子鎖の一方の末端にメ
ルカプト基を有する部分ケン化ポリビニルアルコールの
使用量を0.055重量部、ケン化度80モル%、重合
度2600の部分ケン化ポリビニルアルコールの使用量
を0.015重量部にした以外は実施例1と同様に行
い、約85%の重合転化率で塩化ビニル重合体を得た。
【0075】未反応単量体回収時の発泡状況、還流凝縮
器への重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重
合体の評価結果を表6に示す。未反応単量体回収の際、
ライン内への泡立ちがみられたため回収速度を低下させ
たところ、未反応単量体の回収に53分を要した。ま
た、還流凝縮器および導管内への重合体の付着がみられ
た。得られた塩化ビニル重合体は可塑剤吸収性が低く、
かつ成形した際のフィッシュアイが多いものであった。
【0076】比較例14 ケン化度40モル%、重合度550の部分ケン化ポリビ
ニルアルコールの使用量を0.06重量部とした以外は
実施例1と同様に行い、約85%の重合転化率で塩化ビ
ニル重合体を得た。
【0077】未反応単量体回収時の発泡状況、還流凝縮
器への重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重
合体の評価結果を表6に示す。得られた塩化ビニル重合
体は可塑剤吸収性が高く、かつ成形した際のフィッシュ
アイが少ないものであったが、未反応単量体回収の際、
ライン内への泡立ちがみられたため回収速度を低下させ
たところ、未反応単量体の回収に70分を要した。ま
た、還流凝縮器および導管内への重合体の付着がみられ
た。
【0078】比較例15 実施例1で用いたケン化度80モル%、重合度2600
の部分ケン化ポリビニルアルコールを用いず、ケン化度
70モル%、重合度500であり分子鎖の一方の末端に
メルカプト基を有する部分ケン化ポリビニルアルコール
の使用量を0.05重量部、ケン化度40モル%、重合
度550の部分ケン化ポリビニルアルコールの使用量を
0.02重量部にした以外は実施例1と同様に行った
が、得られた塩化ビニル系重合体はブロック状となり、
粒子は得られなかった。
【0079】比較例16 ケン化度70モル%、重合度500であり分子鎖の一方
の末端にメルカプト基を有する部分ケン化ポリビニルア
ルコールの使用量を0.07重量部にした以外は比較例
15と同様に行い、約85%の重合転化率で塩化ビニル
重合体を得た。未反応単量体回収時の発泡状況、還流凝
縮器への重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル
重合体の評価結果を表6に示す。得られた塩化ビニル重
合体は可塑剤吸収性が高く、かつ成形した際のフィッシ
ュアイが少ないものであったが、未反応単量体回収の
際、ライン内への泡立ちがみられたため回収速度を低下
させたところ、未反応単量体の回収に79分を要した。
また、還流凝縮器および導管内への重合体の付着がみら
れた。
【0080】比較例17 実施例1で用いたケン化度80モル%、重合度2600
の部分ケン化ポリビニルアルコール、及び、ケン化度4
0モル%、重合度550の部分ケン化ポリビニルアルコ
ールを用いず、ケン化度70モル%、重合度500であ
り分子鎖の一方の末端にメルカプト基を有する部分ケン
化ポリビニルアルコールの使用量を0.05重量部にし
た以外は実施例1と同様に行ったが、得られた塩化ビニ
ル系重合体はブロック状となり、粒子は得られなかっ
た。
【0081】比較例18 ケン化度70モル%、重合度500であり分子鎖の一方
の末端にメルカプト基を有する部分ケン化ポリビニルア
ルコールの使用量を0.07重量部にした以外は比較例
17と同様に行い、約85%の重合転化率で塩化ビニル
重合体を得た。未反応単量体回収時の発泡状況、還流凝
縮器への重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル
重合体の評価結果を表7に示す。未反応単量体回収の
際、ライン内への泡立ちがみられたため回収速度を低下
させたところ、未反応単量体の回収に55分を要した。
また、還流凝縮器および導管内への重合体の付着がみら
れた。得られた塩化ビニル重合体は可塑剤吸収性が低
く、かつ成形した際のフィッシュアイが多いものであっ
た。
【0082】実施例6 重合槽として還流凝縮器を有する内容積125m3のも
のを用いて、重合に使用する原料を62.5倍にした以
外は同様な条件で重合を行い、約85%の重合転化率に
なった3.1時間の重合を行った。
【0083】未反応単量体回収時の発泡状態、還流凝縮
器への重合体の付着の有無、および得られた塩化ビニル
重合体の評価をした。未反応単量体回収工程での泡立ち
は認められず、また還流凝縮器及び導管内への泡立ちの
跡もなく、重合体の付着も認められなかった。得られた
塩化ビニル重合体は、可塑剤の吸収性に優れ、成形した
際のフィシュアイも少なく、実施例1と同様の結果が得
られた。本実験結果のように125m3の重合槽におい
ても優れた結果が得られることが確認された。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】
【表7】
【0091】
【発明の効果】本発明の製造方法により、高生産性で還
流凝縮器による除熱を伴う製造法においても重合中の発
泡による品質の低下および操業上の問題を招くことな
く、多孔性で可塑剤吸収性に優れ、成形した際のフィッ
シュアイが少ない塩化ビニル系重合体を安定かつ生産性
よく製造することが可能であり、かつ、重合後の塩化ビ
ニル系重合体スラリーの発泡性が低く、生産性を低下さ
せることなく未反応塩化ビニル系単量体を除去すること
が可能である。従って、本発明は工業的価値が非常に高
いものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 還流凝縮器を付設した重合器にて、塩化
    ビニル系単量体を水性媒体中で油溶性ラジカル開始剤を
    用い、懸濁重合させるに際し、分散剤として重合度が3
    00〜1000かつケン化度が65〜75モル%であ
    り、分子鎖の少なくとも1つの末端にメルカプト基を有
    する部分ケン化ポリビニルアルコール(A)と、重合度
    が2000以上かつケン化度が75モル%以上の部分ケ
    ン化ポリビニルアルコール(B)、及び重合度が100
    〜700かつケン化度が20〜55モル%の部分ケン化
    ポリビニルアルコール(C)の3種を併用し、塩化ビニ
    ル系単量体100重量部に対する(A)の使用量が0.
    01〜0.03重量部、(B)の使用量が0.03〜
    0.1重量部、(A)と(B)の重量比(A)/(B)
    が2/8〜4/6であり、かつ塩化ビニル系単量体10
    0重量部に対する(C)の使用量が0.01〜0.1重
    量部であることを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 塩化ビニル系重合体を重合する際の重合
    時間が2.5〜4時間である請求項1記載の塩化ビニル
    系重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 塩化ビニル系重合体を重合する際に使用
    する重合槽の容積が120〜300m3である請求項1
    記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
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JP2001106707A (ja) * 1999-10-07 2001-04-17 Taiyo Vinyl Corp 塩化ビニル系重合体の製造方法
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