JP2000086709A - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造方法

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JP2000086709A
JP2000086709A JP10257034A JP25703498A JP2000086709A JP 2000086709 A JP2000086709 A JP 2000086709A JP 10257034 A JP10257034 A JP 10257034A JP 25703498 A JP25703498 A JP 25703498A JP 2000086709 A JP2000086709 A JP 2000086709A
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Noriyuki Ishikawa
典行 石川
Toshihiko Tanaka
利彦 田中
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TAIYO ENBI KK
Original Assignee
TAIYO ENBI KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大型重合器を用い、高生産性で還流凝縮器に
よる除熱を伴う製造法でも重合中の発泡による品質の低
下や操業上の問題がなく、多孔性で可塑剤吸収性に優
れ、成形した際のフィッシュアイが少ない塩化ビニル系
重合体を製造する方法の提供。 【解決手段】 水性媒体として40〜90℃の水を使用
し、かつ分散剤として重合度が300〜1000かつケ
ン化度が65〜75モル%であり、分子鎖の少なくとも
1つの末端にメルカプト基を有する部分ケン化ポリビニ
ルアルコール(A)と、特定の重合度及びケン化度の部
分ケン化ポリビニルアルコール(B)、(C)の3種
を、特定量使用し、かつ重合中の還流凝縮器による除熱
量が全重合発熱量の30%〜80%として重合を行う塩
化ビニル系重合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩化ビニル系重合
体の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、40
℃以上に加温された水を使用し、かつ特定の分散剤を特
定の割合で用いることにより、高生産性で還流凝縮器に
よる除熱を伴う製造法においても重合中の発泡による品
質の低下および操業上の問題を招くことなく、多孔性で
可塑剤吸収性に優れ、成形した際のフィッシュアイが少
ない塩化ビニル系重合体を安定かつ生産性よく製造する
方法であり、かつ、重合後の塩化ビニル系重合体スラリ
ーの発泡性が低く、生産性を低下させることなく未反応
塩化ビニル系単量体を除去することが可能な塩化ビニル
系重合体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系重合体は、その軟質分野に
おいては可塑剤の吸収が速くかつフィッシュアイが少な
いことが望まれている。これらの要求に応えるために種
々の方法が提案されており、特開昭53−136089
号公報等には、ケン化度60〜90モル%、重合度30
0〜3000のポリビニルアルコールである一次分散剤
に低ケン化度かつ低重合度の部分ケン化ポリビニルアル
コールを二次分散剤として併用する方法が提案されてい
る。しかし、該製造方法では、重合終了近くになると、
重合器内容物の見掛け粘度が上昇するため、該内容物の
流動性が低下する。そして、該内容物の重合反応熱の除
去が不十分となるため、該内容物の温度が上昇し、得ら
れる重合体の可塑剤吸収性が悪くなる。従って、このよ
うな重合体から得られる成型品には、多くのフィッシュ
アイが発生する等の問題を生じる。
【0003】また、最近は生産性向上のために、還流凝
縮器を使用して重合系の除熱効率を上げ、さらに重合開
始剤を多量に、しかも分解温度の異なる複数の開始剤を
使用して時間あたりの発熱量を平準化させて、6時間以
下の短時間で重合を終わらせる方法が一般的になりつつ
ある。しかし、上記特開昭53−136089号公報記
載の製造方法では、生産性を向上するため重合時間を短
縮したり、それに伴う重合発熱に対し還流凝縮器を使用
した場合、更にフィッシュアイが悪化するとともに、重
合中に著しい発泡現象が生じ、品質を一層悪化させるだ
けでなく、還流凝縮器への重合体の付着、還流凝縮器の
閉塞等により還流凝縮器の除熱能力が大幅に低下すると
いった操業上の問題があった。
【0004】このような問題に対し、特開平9−407
06号公報及び特開平8−109206号公報では、分
子鎖の少なくとも1つの末端にメルカプト基を有する部
分ケン化ポリビニルアルコールと他の分散剤からなる分
散安定剤及びそれを使用した塩化ビニル系重合体の製造
方法が提案されている。しかし、これらの製造方法は、
得られる重合体粒子を多孔性にし可塑剤吸収性、フィッ
シュアイ等を改良する効果が不十分であったり、重合時
の重合分散系が不安定であり、分散安定剤を多量に使用
しなければ得られる重合体が粗粒またはブロック状にな
るという問題があった。
【0005】更に、可塑剤吸収性、フィッシュアイ等の
改良または重合分散系の安定性を保持するために該分散
安定剤を多量に使用すると、発泡を防止する効果が不十
分となり重合中の発泡により品質が悪化したり操業上の
問題が生じるだけでなく、重合後の塩化ビニル系重合体
スラリーの発泡性も高くなり、未反応塩化ビニル系単量
体を除去する際、激しく発泡するため未反応塩化ビニル
系単量体の除去に極めて長い時間を要し、結果として生
産性を著しく低下させるという問題があった。
【0006】また、特開平4−154809号公報、特
開平4−277503号公報、特開平5−1104号公
報、特開平5−230115号公報等では、高生産性重
合においてもフィッシュアイ、可塑剤吸収性、粒径等の
品質の低下を招かない塩化ビニル系重合体の製造方法と
して、分散安定剤として重合度が500〜900かつケ
ン化度が65〜75モル%の部分ケン化ポリビニルアル
コールと重合度が1000以上かつケン化度が75〜8
5モル%の部分ケン化ポリビニルアルコール及び重合度
が100〜1200かつケン化度が15〜54モル%の
部分ケン化ポリビニルアルコールとを併用することを特
徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法が提案されてい
る。
【0007】しかし、これらの製造方法はある程度の高
生産性の重合に対しては有効であるが、より生産性を向
上するため、100m3以上の大型重合器を使用し、重
合時間を5時間以内にまで短縮して、かつ還流凝縮器に
よる除熱割合を全重合発熱量の30%以上、特に40%
以上まで上昇させた場合には、重合中の発泡抑制効果が
不十分となり、可塑剤吸収性及びフィッシュアイ等の品
質を悪化させるという問題があった。
【0008】また、未反応塩化ビニル系単量体回収時の
発泡に関しては、重合度が500〜900かつケン化度
が65〜75モル%の部分ケン化ポリビニルアルコール
は逆に発泡を促進するという問題があった。
【0009】一方、最近は還流凝縮器を使用して除熱を
効率的に行う方法が開発され、大型の重合器の使用が可
能となり、40m3以上の大型の重合器が一般的になり
つつあるが、大型になると還流凝縮器へのモノマーの還
流量が増大して重合器内のポリマーの分散状態が不良に
なることがあり、特に100m3以上の大型重合器では
その傾向が顕著であることから、この解決も望まれてい
る。
【0010】更に、塩化ビニル系重合体製造時の生産性
を向上させる手段として、重合時間の短縮のみならず、
仕込、昇温時間の短縮や重合終了後の未反応単量体の回
収時間の短縮が図られている。しかし、この中でも特に
未反応単量体の回収時間の短縮については、未反応単量
体回収時に重合体スラリー内に溶存している未反応単量
体が気化することから発泡が起こり、これにより塩化ビ
ニル系スラリーが配管を閉塞する等の問題があった。こ
れに対し特開平4−309506号公報及び特開平4−
331202号公報では未反応単量体の回収速度を制御
する方法が提案されている。しかし、これらの方法では
未反応単量体を回収する際の発泡による配管の閉塞はあ
る程度抑制されるものの、未反応単量体の回収速度を落
とす必要があり、未反応単量体の回収に時間を要し、結
果として生産性が著しく低下するという問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高生
産性で還流凝縮器による除熱を伴う製造法においても重
合中の発泡による品質の低下および操業上の問題を招く
ことなく、多孔性で可塑剤吸収性に優れ、成形した際の
フィッシュアイが少ない塩化ビニル系重合体を安定かつ
生産性よく製造する方法であり、大型の重合器の使用も
可能であり、かつ、重合後の塩化ビニル系重合体スラリ
ーの発泡性も低く、生産性を低下させることなく未反応
塩化ビニル系単量体を除去することが可能な塩化ビニル
系重合体の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
について鋭意検討した結果、水性媒体として40℃以上
に加温された水を使用し、かつ分散剤として重合度が3
00〜1000かつケン化度が65〜75モル%であ
り、分子鎖の少なくとも1つの末端にメルカプト基を有
する部分ケン化ポリビニルアルコールをある一定の範囲
の使用量で用い、かつ重合度が2000以上、ケン化度
が75モル%以上の部分ケン化ポリビニルアルコール及
び重合度が100〜700かつケン化度が20〜55モ
ル%の部分ケン化ポリビニルアルコールを併用した場合
にのみ上記の課題を解決できることを見出だし本発明を
完成するに至った。
【0013】即ち本発明は、還流凝縮器を付設した容積
100m3以上の大型重合器を用いて重合時間5時間以
内で、塩化ビニル系単量体を水性媒体中で油溶性ラジカ
ル開始剤を用い、懸濁重合させるに際し、水性媒体とし
て40〜90℃に加温された水を使用し、かつ分散剤と
して重合度が300〜1000かつケン化度が65〜7
5モル%であり、分子鎖の少なくとも1つの末端にメル
カプト基を有する部分ケン化ポリビニルアルコール
(A)と、重合度が2000以上かつケン化度が75モ
ル%以上の部分ケン化ポリビニルアルコール(B)、及
び重合度が100〜700かつケン化度が20〜55モ
ル%の部分ケン化ポリビニルアルコール(C)の3種
を、塩化ビニル系単量体100重量部に対する(A)の
使用量を0.005〜0.02重量部、(B)の使用量
を0.03〜0.1重量部、(A)と(B)の重量比
(A)/(B)を1/10〜1/4とし、かつ塩化ビニ
ル系単量体100重量部に対する(C)の使用量を0.
01〜0.1重量部として使用し、かつ重合中の還流凝
縮器による除熱量が全重合発熱量の30%〜80%とし
て重合を行うことを特徴とする塩化ビニル系重合体の製
造方法を提供するものである。
【0014】また、本発明は、還流凝縮器を付設した容
積100m3以上の大型重合器にて、塩化ビニル系単量
体を水性媒体中で油溶性ラジカル開始剤を用い、重合時
間5時間以内に懸濁重合させるに際し、水性媒体として
40℃以上に加温された水を使用し、かつ分散剤として
重合度が300〜1000かつケン化度が65〜75モ
ル%であり、分子鎖の少なくとも1つの末端にメルカプ
ト基を有する部分ケン化ポリビニルアルコール(A)
と、重合度が2000以上かつケン化度が75モル%以
上の部分ケン化ポリビニルアルコール(B)、及び重合
度が100〜700かつケン化度が20〜55モル%の
部分ケン化ポリビニルアルコール(C)の3種を、塩化
ビニル系単量体100重量部に対する(A)の使用量を
0.005〜0.02重量部、(B)の使用量を0.0
3〜0.1重量部、(A)と(B)の重量比(A)/
(B)を1/10〜1/4とし、かつ塩化ビニル系単量
体100重量部に対する(C)の使用量を0.01〜
0.1重量部として使用し、かつ重合中の還流凝縮器に
よる除熱量が全重合発熱量の30%〜80%、好ましく
は40〜60%として重合を行い、更に重合終了後に未
反応塩化ビニル系単量体を回収するに際しては、まず重
合器から未反応単量体回収容器に塩化ビニル系重合体ス
ラリーの移送を行い、該重合器の圧力と該未反応単量体
回収容器の圧力との差が0.1MPa以下となった時点
で該重合器と該未反応単量体回収容器の圧力を均圧と
し、その後、均圧下にて該重合器内の塩化ビニル系重合
体スラリーを該未反応単量体回収容器に移送しながら、
未反応単量体の回収を同時に行うことを特徴とする塩化
ビニル系重合体の製造方法を提供するものである。
【0015】本発明は、容積が100m3以上の重合器
を用い、重合時間5時間以内で、かつ還流凝縮器による
除熱量を全重合発熱量の30〜80%として重合を行
い、更に未反応単量体の回収においては、未反応単量体
回収容器への重合体スラリーの移送と未反応単量体の回
収を同時に行うことにより、高い生産性で塩化ビニル系
重合体を得ることができる。また、このような過酷な条
件においても、40〜90℃以上に加温した水性媒体を
用い、かつ特定の分散剤を特定の割合で使用することに
より、重合中及び未反応単量体回収時の発泡による品質
の低下及び操業上の問題を招くことなく多孔性で可塑剤
吸収性に優れ、かつ成形した際のフィッシュアイが少な
い塩化ビニル系重合体を製造することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について更に詳細
に説明する。本発明において、分散剤として用いられる
部分ケン化ポリビニルアルコール(A)は、重合度が3
00〜1000、かつケン化度が65〜75モル%であ
り、分子鎖の少なくとも1つの末端にメルカプト基を有
する部分ケン化ポリビニルアルコールである。また、そ
の使用量は塩化ビニル系単量体100重量部に対し0.
005〜0.02重量部である。ここで部分ケン化ポリ
ビニルアルコール(A)の分子鎖の末端にメルカプト基
を有しない場合、可塑剤吸収性、フィッシュアイ、粒径
等の品質が悪化するだけでなく、重合後の塩化ビニル系
重合体スラリーの発泡性が高くなり、未反応塩化ビニル
系単量体を除去する際、激しく発泡するため未反応塩化
ビニル系単量体の除去に極めて長い時間を要し、結果と
して生産性が著しく低下する。
【0017】部分ケン化ポリビニルアルコール(A)の
重合度は300〜1000、好ましくは300〜600
であり、ケン化度は65〜75モル%、好ましくは68
〜73モル%であり、重合度が300〜600かつケン
化度が68〜73モル%であることが得に好ましい。
【0018】ここで部分ケン化ポリビニルアルコール
(A)の重合度が1000より大きかったり、ケン化度
が75モル%より大きい場合、多孔性、及び、可塑剤吸
収性が低下し、成形した際のフィッシュアイを減少させ
る効果が不十分になる。また、部分ケン化ポリビニルア
ルコール(A)の重合度が300未満、又は、ケン化度
が65モル%未満の場合、重合時の重合分散系が不安定
となり、重合中にブロック化したり、得られる塩化ビニ
ル系重合体粒子が粗大化したりする。
【0019】また、部分ケン化ポリビニルアルコール
(A)の使用量は塩化ビニル系単量体100重量部に対
し0.005〜0.02重量部、好ましくは0.008
〜0.015である。(A)の使用量が0.005重量
部未満であると多孔性、及び、可塑剤吸収性が低下し、
成形した際のフィッシュアイを減少させる効果が不十分
になる。また、(A)の使用量が0.02重量部より大
きい場合、重合中発泡が生じ品質の悪化や操業上の問題
が生じるだけでなく、重合後の塩化ビニル系重合体スラ
リーの発泡性が高くなり、未反応塩化ビニル系単量体を
除去する際、激しく発泡するため未反応塩化ビニル系単
量体の除去に極めて長い時間を要し、結果として生産性
が著しく低下する。
【0020】本発明において、分散剤として用いられる
部分ケン化ポリビニルアルコール(A)は単独で使用し
た場合、または部分ケン化ポリビニルアルコール(C)
とのみ併用した場合、重合時の重合分散系が不安定とな
り、重合中にブロック化したり、得られる塩化ビニル系
重合体粒子が粗大化したりする。更に重合分散系を安定
化するため分散安定剤を多量に使用すると重合中及び未
反応塩化ビニル系単量体回収時の発泡が激しくなる。
【0021】部分ケン化ポリビニルアルコール(B)を
併用することにより重合分散系が安定化され、部分ケン
化ポリビニルアルコール(A)の使用量が少量であって
も安定的に可塑剤吸収性及びフィッシュアイ等の品質に
優れた塩化ビニル系重合体を得ることが出来る。従っ
て、部分ケン化ポリビニルアルコール(B)の併用は必
要不可欠である。部分ケン化ポリビニルアルコール
(B)は、重合度が2000以上、好ましくは2000
〜4000、かつ、ケン化度が75モル%以上、好まし
くは75〜95モル%のものであり、重合度が2000
〜4000かつケン化度が75〜95モル%であること
が特に好ましい。
【0022】ここで部分ケン化ポリビニルアルコール
(B)の重合度が2000未満、又は、ケン化度が75
モル%未満であると重合時の重合分散系が不安定とな
り、重合中にブロック化したり、得られる塩化ビニル系
重合体粒子が粗大化したりする。また、部分ケン化ポリ
ビニルアルコール(B)の使用量は塩化ビニル系単量体
100重量部に対し0.03〜0.1重量部であり、好
ましくは0.03〜0.06重量部である。(B)の使
用量が0.03重量部未満であると重合時の重合分散系
が不安定となり、重合中にブロック化したり、得られる
塩化ビニル系重合体粒子が粗大化したりする。また、
(B)の使用量が0.1重量部より大きい場合、重合中
発泡が生じ品質の悪化や操業上の問題が生じるだけでな
く、重合後の塩化ビニル系重合体スラリーの発泡性が高
くなり、未反応塩化ビニル系単量体を除去する際、激し
く発泡するため未反応塩化ビニル系単量体の除去に極め
て長い時間を要し、結果として生産性が著しく低下す
る。
【0023】更に部分ケン化ポリビニルアルコール
(A)と(B)は重量比で(A)/(B)=1/10〜
1/4で使用することが好ましく、特に好ましくは1/
7〜1/4.5である。部分ケン化ポリビニルアルコー
ル(A)と(B)の重量比(A)/(B)が1/10未
満であると多孔性、及び、可塑剤吸収性が低下し、成形
した際のフィッシュアイを減少させる効果が不十分にな
り、1/4より大きい場合、重合中発泡が生じ品質の悪
化や操業上の問題が生じるだけでなく、重合後の塩化ビ
ニル系重合体スラリーの発泡性が高くなり、未反応塩化
ビニル系単量体を除去する際、激しく発泡するため未反
応塩化ビニル系単量体の除去に極めて長い時間を要し、
結果として生産性が著しく低下する。
【0024】本発明において、分散剤として用いられる
部分ケン化ポリビニルアルコール(C)は、重合度が1
00〜700、好ましくは200〜600、かつ、ケン
化度が20〜55モル%、好ましくは25〜50モル%
のものであり、重合度が200〜600かつケン化度が
25〜50モル%であることが特に好ましい。ここで部
分ケン化ポリビニルアルコール(C)の重合度またはケ
ン化度が上記の範囲をはずれた場合、多孔性、及び、可
塑剤吸収性が低下し、成形した際のフィッシュアイを減
少させる効果が不十分になる。また、(C)の使用量は
塩化ビニル系単量体100重量部に対し0.01〜0.
1重量部、好ましくは0.02〜0.06重量部であ
る。
【0025】本発明において、部分ケン化ポリビニルア
ルコール(C)を使用しない場合、多孔性、及び、可塑
剤吸収性が低下し、成形した際のフィッシュアイが悪化
するため、部分ケン化ポリビニルアルコール(A)を多
量に使用しなければならない。部分ケン化ポリビニルア
ルコール(A)の使用量を少量にするためには、部分ケ
ン化ポリビニルアルコール(C)は塩化ビニル系単量体
100重量部に対し0.01〜0.1重量部使用するこ
とが好ましい。ここで部分ケン化ポリビニルアルコール
(C)の使用量が、塩化ビニル系単量体100重量部に
対し0.01重量部未満であると、多孔性、及び、可塑
剤吸収性が低下し、成形した際のフィッシュアイを減少
させる効果が不十分になり、0.1重量部より大きい場
合、重合中発泡が生じ品質の悪化や操業上の問題が生じ
るだけでなく、重合後の塩化ビニル系重合体スラリーの
発泡性が高くなり、未反応塩化ビニル系単量体を除去す
る際、激しく発泡するため未反応塩化ビニル系単量体の
除去に極めて長い時間を要し、結果として生産性が著し
く低下する。
【0026】本発明において用いられる水性媒体は、重
合器に仕込む際、あらかじめ40〜90℃、好ましくは
45〜75℃に加温されて使用される。40℃以上に加
温した水を使用することにより、部分ケン化ポリビニル
アルコール(A)が極めて少量であっても、重合中の発
泡による品質の低下および操業上の問題を招くことな
く、多孔性で可塑剤吸収性に優れ、成形した際のフィッ
シュアイが少ない塩化ビニル系重合体を安定かつ生産性
よく製造することが可能となる。水性媒体が40℃未満
であると、多孔性、及び、可塑剤吸収性が低下し、成形
した際のフィッシュアイを減少させる効果が不十分にな
る。
【0027】本発明において用いられる重合開始剤とし
ては、一般的に懸濁重合法に重合開始剤として用いられ
るものでよく、例えばジイソプロピルパーオキシジカー
ボネート、tert−ブチルパーオキシネオデカネー
ト、tert−ヘキシルパーオキシピバレート、ベンゾ
イルパーオキサイド等の過酸化物;2、2’−アゾビス
イソブチロニトリル、2、2’−アゾビス−2、4−ジ
メチルバレロニトリル等のアゾ化合物などが挙げられ、
これらは1種または2種以上の組合せで使用することが
できる。特に分解速度の異なる2種類以上の開始剤を併
用することで重合によって発生する重合熱を均一化する
ことが好ましい。また、該重合開始剤の使用量は、高速
重合が可能となることから塩化ビニル系単量体100重
量部に対し、0.05〜0.02重量部使用することが
望ましい。
【0028】本発明の方法では、上記のように開始剤を
多量に使用して少なくとも5時間以内で重合を終わらせ
ることが可能となった。なお、重合時間の下限は2.5
時間程度である。
【0029】本発明において重合時間は、重合原料を仕
込み、昇温して内温が所定の温度に達した時間から、こ
の際の圧力から単量体が重合体に転化し、単量体が減少
して内圧が初期の圧力より1.8kg/cm2低下した
時までの時間を重合時間とした。
【0030】本発明において使用される重合器は、通常
高速重合で使用される還流凝縮器付きの重合器で100
3以上のものが使用される。重合器の容量の上限は特
に限定されないが300m3程度まで本願の方法が適用
される。
【0031】本発明では還流凝縮器による除熱量は全重
合発熱量の30〜80%、好ましくは40〜60%であ
る。還流凝縮器は重合器内の塩化ビニル系単量体懸濁液
の温度が重合温度に達するまでは重合温度以上に保つの
が好ましい。また、還流凝縮器により除熱を行う際に
は、還流凝縮器による除熱量を一定としてジャケットに
よる除熱量を制御してもよく、逆にジャケット温度を一
定として還流凝縮器による除熱量を制御してもよい。
【0032】本発明において使用される重合器の攪拌機
に特に制限はなく、所望によりバッフルも使用される。
攪拌機については通常塩化ビニル系単量体の重合に使用
されるタービン翼、ファンタービン翼、ファウドラー翼
及びブルーマージン翼が、バッフルとしてはフィンガー
型、円筒型、D型及びループ型等が例示される。
【0033】本発明の方法で得られた重合スラリーは重
合器から未反応単量体回収容器に移送される。該移送と
は重合器内の圧力が所定の重合終了圧力まで低下し重合
が終了した後、未反応単量体回収容器より高い圧力、好
ましくは重合器内に重合終了時の圧力がかかった状態で
重合器より未反応単量体回収容器に塩化ビニル系重合体
スラリーを移送する工程である。
【0034】ここでいう未反応単量体回収容器とは、重
合器と同程度の耐圧を有する圧力容器であることが好ま
しく、その内容積は重合器以上であることが好ましい。
また、重合終了後の塩化ビニル系重合体スラリーを重合
器から未反応単量体回収容器へ移送を開始する際、重合
器と未反応単量体回収容器の圧力差が大きいほどより素
早く移送することが可能となることから、該未反応単量
体回収容器の圧力は重合器内の圧力より低いことが好ま
しく、大気圧以下とすることがより好ましい。
【0035】本発明は、塩化ビニル系重合体スラリーの
未反応単量体回収容器への移送を開始した後、重合器と
未反応単量体回収容器の圧力差が0.1MPa以下とな
る範囲内で重合器と未反応単量体回収容器の圧力を均圧
とするものであり、ここでは、塩化ビニル系重合体スラ
リーを重合器から未反応単量体回収容器に移送を開始し
た際、重合器の圧力が徐々に低下するとともに、未反応
単量体回収容器の圧力が上昇し始め、その圧力差が0.
1MPa以下の範囲となったところで重合器と未反応単
量体回収容器の圧力を等しくするものである。ここで、
重合器と未反応単量体回収容器の圧力差が0.1MPa
を越える範囲内で均圧化の作業を行った場合、塩化ビニ
ル系重合体スラリーが発泡し、配管が閉塞する恐れがあ
る。
【0036】本発明は、重合器と未反応単量体回収容器
の均圧化を行った後、塩化ビニル系重合体スラリーを未
反応単量体回収容器へ移送すると同時に未反応単量体を
回収するものであり、塩化ビニル系重合体スラリーの移
送と未反応単量体の回収を同時に行うことから、生産性
が著しく向上する。この際、未反応単量体の回収方法に
は特に制限はなく、未反応単量体回収容器の気相部から
気化した未反応塩化ビニル系単量体を回収すればよい。
また、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、重合器
でも未反応塩化ビニル系単量体を回収して良い。
【0037】本発明においては、本発明を実施する際に
は、塩化ビニル単量体と共重合可能なビニル系単量体又
は塩化ビニル単量体とグラフト重合可能なポリマーを必
要に応じて添加して重合してもよい。
【0038】本発明における塩化ビニル系単量体とは、
塩化ビニル単量体、又は塩化ビニル単量体と共重合可能
なビニル系単量体との混合物をいう。塩化ビニル単量体
と共重合可能なビニル系単量体としては、例えば酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、ラウリ
ン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のビニルエステル
類;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィ
ン類;イソブチルビニルエーテル、フェニルビニルエー
テル、オクチルビニルエーテル等のアルキル又はアリー
ルビニルエーテル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニル、
塩化アリル、臭化ビニル等のハロゲン化オレフィン類;
エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブ
チルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメ
タクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル
類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、アクリロ
ニトリル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のアクリ
ル系誘導体類等を挙げることができる。
【0039】又、塩化ビニル単量体とグラフト共重合可
能なポリマーとしては、例えばエチレン−酢酸ビニル共
重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合
体、塩素化ポリエチレン、ポリウレタン、ポリブタジエ
ン−スチレン−メチルメタクリレート共重合体(MB
S)、ポリブタジエン−アクリロニトリル−(α−メチ
ル)スチレン共重合体(ABS)、ポリブチルアクリレ
ート、ブチルゴム、ポリスチレン、スチレン−ブタジエ
ン共重合体、架橋アクリルゴム等を挙げることができ
る。
【0040】本発明の製造方法によると、高生産性で還
流凝縮器による除熱を伴う製造法においても重合中の発
泡による品質の低下を招くことなく、多孔性で可塑剤吸
収性に優れ、成形した際のフィッシュアイが少ない塩化
ビニル系樹脂を安定に、かつ、生産性良く得ることがで
きる。また、重合後の塩化ビニル系重合体スラリーの発
泡性が低いため、生産性を低下させることなく未反応塩
化ビニル系単量体を除去することが可能である。
【0041】
【実施例】以下の実施例によって、本発明を更に説明す
るが、これらによって本発明が限定されるものではな
い。実施例及び比較例により得られた重合体の物性は、
下記の方法により評価を行った。
【0042】〜平均粒径〜 得られた塩化ビニル系重合体の50%の重合体粒子が通
過するふるいの目の大きさ(μm)を平均粒径とした。
【0043】〜可塑剤吸収量〜 得られた重合体に過剰の可塑剤(ジオクチルフタレー
ト;DOP)を加え、室温で10分間放置した後、遠心
分離機(国産遠心器(株)製)を用いて3000rpm
で遠心し重合体に吸収されなかった可塑剤を除去した。
遠心後の重合体に保持されている可塑剤量を測定し、重
合体に対する重合体に保持された可塑剤の割合を百分率
で表したものを可塑剤吸収量とした。
【0044】〜フィッシュアイ〜得られた塩化ビニル系
重合体100重量部,Ca−Zn系粉末複合安定剤1.
5重量部、有機燐系安定化助剤0.5重量部、群青3重
量部及びDOP(ジオクチルフタレート)50重量部を
混合し、150℃のロールで厚さ0.35mmとして3
分混練し、0.35mmのシートを分取し、シート50
cm2中の透明粒子の数をもって示した。
【0045】実施例1 還流凝縮器を有する内容積120m3の重合器に45℃
に加温した純水140重量部、ケン化度70モル%、重
合度500であり分子鎖の一方の末端にメルカプト基を
有するの部分ケン化ポリビニルアルコール0.01重量
部、ケン化度80モル%、重合度2600の部分ケン化
ポリビニルアルコール0.05重量部、ケン化度40モ
ル%、重合度550の部分ケン化ポリビニルアルコール
0.04重量部、tert−ブチルパーオキシネオデカ
ネート0.08重量部を入れ減圧状態にした。次いで、
塩化ビニル単量体100重量部を仕込み、重合器内を攪
拌しながら57℃に昇温した後、還流凝縮器へ冷却水を
通水し還流凝縮器による除熱量が全重合発熱量の50%
となるように調節して重合を継続した。その後、重合器
の圧力が重合反応の定常状態における圧力から1.8k
g/cm2下がった時点で重合を終了した。重合時間は
3.0時間であった。還流凝縮器および還流凝縮器への
導管内への泡立ちの跡はなく、重合体の付着もみられな
かった。その後、得られた塩化ビニル重合体スラリーか
ら未反応単量体の回収を以下の装置及び方法によって行
った。
【0046】本発明の実施例及び比較例で用いた単量体
回収装置及び回収方法を一例として図1に示すが、本発
明の特許請求の範囲に記載した回収方法を実施できれば
これに限定されるものではない。
【0047】重合終了後、バルブ9を開くことにより、
重合器1から内容積130m3の未反応単量体回収容器
3への得られた塩化ビニルスラリーの移送を開始した。
移送開始前の重合器1の内温は57℃、内圧は0.7M
Paであり、未反応単量体回収容器3の内温は50℃、
内圧は0MPaとした。移送開始5分後に重合器1の内
圧1が0.5MPa、未反応単量体回収容器3の内圧が
0.4MPaとなったので、重合器1の気相部と未反応
単量体回収容器3の気相部をつなぐ配管5のバルブ6を
開き、重合器1と未反応単量体回収容器3の圧力を等し
くした。その後、未反応単量体回収容器3の内温を50
℃に保持したまま、ポンプ11により重合器1から未反
応単量体回収容器3へ塩化ビニル重合体スラリーを移送
するとともに、未反応単量体回収容器3から未反応塩化
ビニル単量体の回収を開始した。移送開始10分後、全
ての塩化ビニル単量体スラリーの移送を終了したため、
バルブ6及び9を閉じ、引き続き未反応単量体回収容器
3からの未反応塩化ビニル単量体の回収を継続した。移
送開始から40分後の未反応単量体回収容器3の内圧が
0MPaとなったので未反応単量体の回収を終了した。
塩化ビニル重合体スラリーの移送及び未反応塩化ビニル
単量体の回収における泡立ちはみられなかった。
【0048】未反応塩化ビニル単量体を回収した後、得
られた塩化ビニルスラリーを脱水乾燥したところ、約8
5%の重合転化率で塩化ビニル重合体を得た。得られた
塩化ビニル重合体の評価結果を表1に示す。得られた塩
化ビニル重合体は、可塑剤吸収性に優れ、成形した際の
フィッシュアイが少ないものであった。
【0049】実施例2 ケン化度70モル%、重合度500であり分子鎖の一方
の末端にメルカプト基を有する部分ケン化ポリビニルア
ルコールの代わりに、ケン化度73モル%、重合度80
0であり分子鎖の一方の末端にメルカプト基を有する部
分ケン化ポリビニルアルコールを使用し、ケン化度80
モル%、重合度2600の部分ケン化ポリビニルアルコ
ール0.05重量部の代わりに、ケン化度78モル%、
重合度2200の部分ケン化ポリビニルアルコール0.
07重量部を使用した以外は実施例1と同様に行い、約
85%の重合転化率で塩化ビニル重合体を得た。
【0050】塩化ビニル重合体スラリーの移送及び未反
応塩化ビニル単量体回収時の発泡状況、還流凝縮器への
重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重合体の
評価結果を表1に示す。
【0051】塩化ビニル重合体スラリーの移送及び未反
応塩化ビニル単量体の回収における泡立ちはみられず、
また、還流凝縮器および導管内への泡立ちの跡はなく、
重合体の付着もみられなかった。得られた塩化ビニル重
合体は、可塑剤吸収性に優れ、成形した際のフィッシュ
アイが少ないものであった。
【0052】実施例3 ケン化度70モル%、重合度500であり分子鎖の一方
の末端にメルカプト基を有するの部分ケン化ポリビニル
アルコールの使用量を0.015重量部とし、更にケン
化度80モル%、重合度2600の部分ケン化ポリビニ
ルアルコール0.05重量部の代わりに、ケン化度88
モル%、重合度3000の部分ケン化ポリビニルアルコ
ール0.065重量部を使用し、かつケン化度40モル
%、重合度550の部分ケン化ポリビニルアルコールの
代わりに、ケン化度35モル%、重合度300の部分ケ
ン化ポリビニルアルコールを使用した以外は実施例1と
同様に行い、約85%の重合転化率で塩化ビニル重合体
を得た。
【0053】塩化ビニル重合体スラリーの移送及び未反
応塩化ビニル単量体回収時の発泡状況、還流凝縮器への
重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重合体の
評価結果を表1に示す。塩化ビニル重合体スラリーの移
送及び未反応塩化ビニル単量体の回収における泡立ちは
みられず、また、還流凝縮器および導管内への泡立ちの
跡はなく、重合体の付着もみられなかった。得られた塩
化ビニル重合体は、可塑剤吸収性に優れ、成形した際の
フィッシュアイが少ないものであった。
【0054】実施例4 ケン化度70モル%、重合度500であり分子鎖の一方
の末端にメルカプト基を有する部分ケン化ポリビニルア
ルコールの代わりに、ケン化度73モル%、重合度80
0であり分子鎖の一方の末端にメルカプト基を有する部
分ケン化ポリビニルアルコールを使用し、かつケン化度
40モル%、重合度550の部分ケン化ポリビニルアル
コールの代わりに、ケン化度48モル%、重合度250
の部分ケン化ポリビニルアルコールを使用した以外は実
施例1と同様に行い、約85%の重合転化率で塩化ビニ
ル重合体を得た。
【0055】塩化ビニル重合体スラリーの移送及び未反
応塩化ビニル単量体回収時の発泡状況、還流凝縮器への
重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重合体の
評価結果を表1に示す。塩化ビニル重合体スラリーの移
送及び未反応塩化ビニル単量体の回収における泡立ちは
みられず、また、還流凝縮器および導管内への泡立ちの
跡はなく、重合体の付着もみられなかった。得られた塩
化ビニル重合体は、可塑剤吸収性に優れ、成形した際の
フィッシュアイが少ないものであった。
【0056】実施例5 ケン化度70モル%、重合度500であり分子鎖の一方
の末端にメルカプト基を有するの部分ケン化ポリビニル
アルコールの使用量を0.005重量部とし、更にケン
化度80モル%、重合度2600の部分ケン化ポリビニ
ルアルコールの代わりに、ケン化度78モル%、重合度
2200の部分ケン化ポリビニルアルコールを使用し、
かつケン化度40モル%、重合度550の部分ケン化ポ
リビニルアルコールの使用量を0.06重量部とした以
外は実施例1と同様に行い、約85%の重合転化率で塩
化ビニル重合体を得た。
【0057】塩化ビニル重合体スラリーの移送及び未反
応塩化ビニル単量体回収時の発泡状況、還流凝縮器への
重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重合体の
評価結果を表2に示す。塩化ビニル重合体スラリーの移
送及び未反応塩化ビニル単量体の回収における泡立ちは
みられず、また、還流凝縮器および導管内への泡立ちの
跡はなく、重合体の付着もみられなかった。得られた塩
化ビニル重合体は、可塑剤吸収性に優れ、成形した際の
フィッシュアイが少ないものであった。
【0058】比較例1 ケン化度70モル%、重合度500であり分子鎖の一方
の末端にメルカプト基を有する部分ケン化ポリビニルア
ルコールの代わりにケン化度70モル%、重合度500
であり分子鎖の末端にメルカプト基を有しない部分ケン
化ポリビニルアルコールを使用した以外は実施例1と同
様に行い、約85%の重合転化率で塩化ビニル重合体を
得た。
【0059】塩化ビニル重合体スラリーの移送及び未反
応塩化ビニル単量体回収時の発泡状況、還流凝縮器への
重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重合体の
評価結果を表3に示す。塩化ビニル重合体スラリーの移
送及び未反応塩化ビニル単量体回収の際、泡立ちがみら
れたため回収速度を低下させたところ、100分を要し
た。また、還流凝縮器および導管内への重合体の付着が
みられた。得られた塩化ビニル重合体は可塑剤吸収性は
高いが、粒径が大きく、かつ成形した際のフィッシュア
イが多いものであった。
【0060】比較例2 実施例1で用いたケン化度70モル%、重合度500で
あり分子鎖の一方の末端にメルカプト基を有する部分ケ
ン化ポリビニルアルコールを使用しなかった以外は実施
例1と同様に行い、約85%の重合転化率で塩化ビニル
重合体を得た。
【0061】塩化ビニル重合体スラリーの移送及び未反
応塩化ビニル単量体回収時の発泡状況、還流凝縮器への
重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重合体の
評価結果を表3に示す。
【0062】塩化ビニル重合体スラリーの移送及び未反
応塩化ビニル単量体回収の際の泡立ちはみられなかった
が、還流凝縮器および導管内への重合体の付着がみられ
た。また、得られた塩化ビニル重合体は可塑剤吸収性が
低く、かつ成形した際のフィッシュアイが多いものであ
った。
【0063】比較例3 ケン化度40モル%、重合度550の部分ケン化ポリビ
ニルアルコールを用いなかった以外は実施例1と同様に
行い、約85%の重合転化率で塩化ビニル重合体を得
た。
【0064】塩化ビニル重合体スラリーの移送及び未反
応塩化ビニル単量体回収時の発泡状況、還流凝縮器への
重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重合体の
評価結果を表3に示す。塩化ビニル重合体スラリーの移
送及び未反応塩化ビニル単量体回収の際の泡立ち、還流
凝縮器および導管内への重合体の付着はみられなかった
が、得られた塩化ビニル重合体は可塑剤吸収性が低く、
かつ成形した際のフィッシュアイが多いものであった。
【0065】比較例4 実施例1で用いたケン化度80モル%、重合度2600
の部分ケン化ポリビニルアルコールを用いず、ケン化度
70モル%、重合度500であり分子鎖の一方の末端に
メルカプト基を有する部分ケン化ポリビニルアルコール
の使用量を0.07重量部、ケン化度40モル%、重合
度550の部分ケン化ポリビニルアルコールの使用量を
0.02重量部とした以外は実施例1と同様に行い、約
85%の重合転化率で塩化ビニル重合体を得た。
【0066】塩化ビニル重合体スラリーの移送及び未反
応塩化ビニル単量体回収時の発泡状況、還流凝縮器への
重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重合体の
評価結果を表3に示す。得られた塩化ビニル重合体は可
塑剤吸収性が高く、かつ成形した際のフィッシュアイが
少ないものであったが、塩化ビニル重合体スラリーの移
送及び未反応塩化ビニル単量体回収の際に泡立ちがみら
れたため回収速度を低下させたところ、114分を要し
た。また、還流凝縮器および導管内への重合体の付着が
みられた。
【0067】比較例5 実施例1で用いたケン化度80モル%、重合度2600
の部分ケン化ポリビニルアルコール及びケン化度40モ
ル%、重合度550の部分ケン化ポリビニルアルコール
を用いず、ケン化度70モル%、重合度500であり分
子鎖の一方の末端にメルカプト基を有する部分ケン化ポ
リビニルアルコールの使用量を0.07重量部にした以
外は実施例1と同様に行い、約85%の重合転化率で塩
化ビニル重合体を得た。
【0068】塩化ビニル重合体スラリーの移送及び未反
応塩化ビニル単量体回収時の発泡状況、還流凝縮器への
重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重合体の
評価結果を表4に示す。塩化ビニル重合体スラリーの移
送及び未反応塩化ビニル単量体回収の際に泡立ちがみら
れたため回収速度を低下させたところ、86分を要し
た。また、還流凝縮器および導管内への重合体の付着が
みられた。得られた塩化ビニル重合体は可塑剤吸収性が
低く、かつ成形した際のフィッシュアイが多いものであ
った。
【0069】比較例6 ケン化度70モル%、重合度500であり分子鎖の一方
の末端にメルカプト基を有するの部分ケン化ポリビニル
アルコールの使用量を0.015重量部とし、更にケン
化度80モル%、重合度2600の部分ケン化ポリビニ
ルアルコールの使用量を0.035重量部とした以外は
実施例1と同様に行い、約85%の重合転化率で塩化ビ
ニル重合体を得た。
【0070】塩化ビニル重合体スラリーの移送及び未反
応塩化ビニル単量体回収時の発泡状況、還流凝縮器への
重合体の付着の有無および得られた塩化ビニル重合体の
評価結果を表4に示す。得られた塩化ビニル重合体は、
可塑剤吸収性に優れ、成形した際のフィッシュアイが少
ないものであったが、塩化ビニル重合体スラリーの移送
及び未反応塩化ビニル単量体の回収の際の泡立ちはみら
れたため回収速度を低下させたところ、90分を要し
た。
【0071】比較例7 実施例1の方法において40℃に加温した純水の温度を
30℃とした以外は実施例1と同様に重合を行い、約8
5%の重合転化率で塩化ビニル重合体を得た。実験結果
を表4に示す。
【0072】塩化ビニル重合体スラリーの移送及び未反
応塩化ビニル単量体回収の際の泡立ち、還流凝縮器及び
導管内への重合体の付着は見られなかったが、実施例1
と比べると、得られた塩化ビニル重合体は可塑剤吸収性
が低く、かつ成形した際のフィッシュアイが多かった。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】
【発明の効果】本発明の製造方法により、高生産性で還
流凝縮器による除熱を伴う製造法においても重合中の発
泡による品質の低下および操業上の問題を招くことな
く、多孔性で可塑剤吸収性に優れ、成形した際のフィッ
シュアイが少ない塩化ビニル系重合体を安定かつ生産性
よく製造することが可能であり、かつ、重合後の塩化ビ
ニル系重合体スラリーの発泡性が低く、生産性を低下さ
せることなく未反応塩化ビニル系単量体を除去すること
が可能である。従って、本発明は工業的価値が非常に高
いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で使用した未反応塩化ビニル回収装置
を示す図面である。
【符号の説明】
1 重合器 2 還流凝縮器 3 未反応単量体回収容器 4 ガスホルダー 5 均圧ライン 6 圧力調整バルブ 7〜10 バルブ 11 ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 AA01 AA05 JA07 JA10 JB01 JB02 JB03 JB26 4J100 AA02Q AA03Q AA06Q AC03P AC04Q AC23Q AC24Q AE02Q AE09Q AE13Q AG02Q AG04Q AG05Q AJ01Q AJ02Q AK31Q AK32Q AL03Q AL04Q AL05Q AM02Q BC43Q CA01 CA04 FA21 FA47 GB12

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 還流凝縮器を付設した容積100m3
    上の大型重合器を用いて重合時間5時間以内で、塩化ビ
    ニル系単量体を水性媒体中で油溶性ラジカル開始剤を用
    い、懸濁重合させるに際し、水性媒体として40〜90
    ℃に加温された水を使用し、かつ分散剤として重合度が
    300〜1000かつケン化度が65〜75モル%であ
    り、分子鎖の少なくとも1つの末端にメルカプト基を有
    する部分ケン化ポリビニルアルコール(A)と、重合度
    が2000以上かつケン化度が75モル%以上の部分ケ
    ン化ポリビニルアルコール(B)、及び重合度が100
    〜700かつケン化度が20〜55モル%の部分ケン化
    ポリビニルアルコール(C)の3種を、塩化ビニル系単
    量体100重量部に対する(A)の使用量を0.005
    〜0.02重量部、(B)の使用量を0.03〜0.1
    重量部、(A)と(B)の重量比(A)/(B)を1/
    10〜1/4とし、かつ塩化ビニル系単量体100重量
    部に対する(C)の使用量を0.01〜0.1重量部と
    して使用し、かつ重合中の還流凝縮器による除熱量が全
    重合発熱量の30%〜80%として重合を行うことを特
    徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 還流凝縮器を付設した容積100m3
    上の大型重合器を用いて重合時間5時間以内で、塩化ビ
    ニル系単量体を水性媒体中で油溶性ラジカル開始剤を用
    い、懸濁重合させるに際し、水性媒体として40〜90
    ℃に加温された水を使用し、かつ分散剤として重合度が
    300〜1000かつケン化度が65〜75モル%であ
    り、分子鎖の少なくとも1つの末端にメルカプト基を有
    する部分ケン化ポリビニルアルコール(A)と、重合度
    が2000以上かつケン化度が75モル%以上の部分ケ
    ン化ポリビニルアルコール(B)、及び重合度が100
    〜700かつケン化度が20〜55モル%の部分ケン化
    ポリビニルアルコール(C)の3種を、塩化ビニル系単
    量体100重量部に対する(A)の使用量を0.005
    〜0.02重量部、(B)の使用量を0.03〜0.1
    重量部、(A)と(B)の重量比(A)/(B)を1/
    10〜1/4とし、かつ塩化ビニル系単量体100重量
    部に対する(C)の使用量を0.01〜0.1重量部と
    して使用し、かつ重合中の還流凝縮器による除熱量が全
    重合発熱量の30%〜80%として重合を行い、更に重
    合終了後に未反応塩化ビニル系単量体を回収するに際し
    ては、まず重合器から未反応単量体回収容器に塩化ビニ
    ル系重合体スラリーの移送を行い、該重合器の圧力と該
    未反応単量体回収容器の圧力との差が0.1MPa以下
    となった時点で該重合器と該未反応単量体回収容器の圧
    力を均圧として、その後、均圧下にて該重合器内の塩化
    ビニル系重合体スラリーを該未反応単量体回収容器に移
    送しながら、未反応単量体の回収を同時に行うことを特
    徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。
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