JPH11176149A - 磁性メモリー - Google Patents

磁性メモリー

Info

Publication number
JPH11176149A
JPH11176149A JP9337406A JP33740697A JPH11176149A JP H11176149 A JPH11176149 A JP H11176149A JP 9337406 A JP9337406 A JP 9337406A JP 33740697 A JP33740697 A JP 33740697A JP H11176149 A JPH11176149 A JP H11176149A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
magnetic layer
memory cell
layer
memory
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9337406A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiro Abe
俊郎 安部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Victor Company of Japan Ltd
Original Assignee
Victor Company of Japan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Victor Company of Japan Ltd filed Critical Victor Company of Japan Ltd
Priority to JP9337406A priority Critical patent/JPH11176149A/ja
Publication of JPH11176149A publication Critical patent/JPH11176149A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11CSTATIC STORES
    • G11C11/00Digital stores characterised by the use of particular electric or magnetic storage elements; Storage elements therefor
    • G11C11/56Digital stores characterised by the use of particular electric or magnetic storage elements; Storage elements therefor using storage elements with more than two stable states represented by steps, e.g. of voltage, current, phase, frequency
    • G11C11/5607Digital stores characterised by the use of particular electric or magnetic storage elements; Storage elements therefor using storage elements with more than two stable states represented by steps, e.g. of voltage, current, phase, frequency using magnetic storage elements

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Mram Or Spin Memory Techniques (AREA)
  • Thin Magnetic Films (AREA)
  • Semiconductor Memories (AREA)
  • Hall/Mr Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 一つのメモリーセルに3値以上の多値の情報
を記憶できる磁性メモリーを提供する。 【解決手段】 第1磁性層3、第1非磁性スペーサー層
4、第2磁性層5、第2非磁性スペーサー層6、および
第3磁性層7とを少なくとも具備したメモリーセルをマ
トリクス状に配列している。ワード線を流れる電流の方
向と強度を調節して、第1、第2および第3磁性層の磁
化の状態を独立に制御することにより、各メモリーセル
に多値の情報を記憶しランダムアクセスする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性層の磁化の向
きによって情報を記憶するメモリーセルを用いた磁性メ
モリーに関し、特に一つのメモリーセルに多値の情報を
記録することが可能な磁性メモリーに関する。
【0002】
【従来の技術】磁性層と非磁性層との積層膜が、磁性層
の磁化の状態により、電気抵抗に大きな変化を生じる現
象は巨大磁気抵抗効果(GMR効果)と呼ばれている。
この現象を利用した磁性メモリーとして特開平7−66
033号公報に記載された技術が提案されている(第1
の従来技術)。特開平7−66033号公報に記載の磁
性薄膜メモリーに使用されるMR素子(メモリーセル)
は、図30に示すようにガラス基板、シリコン基板、タ
ンタルオキサイド等の酸化物基板などからなる基板88
上に第1磁性層81および第2磁性層82が非磁性層8
4を介して積層されている。第1磁性層81と第2磁性
層82とは反転磁界に差があればよく、従って第1磁性
層81と第2磁性層82との組合わせは、たとえば一方
の第1磁性層81がソフトであれば、他方の第2磁性層
82は相対的にハードであればよい。
【0003】図30に示すMR素子は、第1磁性層81
および第2磁性層82の磁化の方向が、印加磁界がゼロ
である場合には、互いに平行または反平行になるように
している。
【0004】図31は図30に示すMR素子を用いたラ
ンダムアクセスメモリの平面説明図である。この磁性薄
膜メモリーは、マトリックス状に並べられた各MR素子
11,12,…と、各MR素子11,12,…に磁界を
印加する手段として、たとえば縦方向に並ぶ各MR素子
11,21,31,…に近接して設けられたワード線W
1,W2,…および横方向に並ぶ各MR素子11,1
2,…を連結するセンス線S1,S2,…と、MR素子
11,12,…を流れる電流を生じさせる手段として、
たとえば前述のセンス線S1,S2,…に接続される電
源(図示せず)と、MR素子11,12,…の抵抗率の
変化を検出する手段、たとえば電流の変化または電圧の
変化を測定する器具(図示せず)とからなっている。図
30および図31において、第1磁性層81の磁化の方
向が左を向いた状態を“0”とし、右を向いた状態を
“1”とし、“0”および“1”の2値の状態を記録す
る。第2磁性層82の磁化の方向はどちらの状態でも左
を向いている。すなわち、第1磁性層81の磁化の方向
で記録状態は決定される。
【0005】たとえば、図31においてMR素子11に
ランダムアクセス(記録)を行いたいときには、ワード
線W1とセンス線S1に電流を流してやる。磁化の方向
が左向きか右向きかは、記録ワード電流を図中上向きに
流すか、下向きに流すかによって決定される。他方、セ
ンス線S1に流れる記録センス電流は、記録ワード電流
と異なり流れる方向は一方向でよく、たとえば、その方
向を記録センス磁界が上向きになるようにとる。さて、
MR素子11には記録センス磁界と記録ワード磁界が印
加される。磁界印加前の第1磁性層の磁化は左向きであ
っても右向きであっても、あとの記録過程には無関係で
ある。記録ワード磁界が左向きのときには、記録センス
磁界と記録ワード磁界の合成磁界は左上方向である。こ
のとき、第1磁性層の磁化も左上を向く。そして印加磁
界を取り去ると(電流を止めると)、第1磁性層の磁化
は磁化容易軸方向である左方向で安定な向きになり、
“0”の記録が完了する。他方、記録ワード磁界が右向
きのときには、記録センス磁界と記録ワード磁界の合成
磁界は右上方向である。このときには、印加磁界を取り
去ると、第1磁性層の磁化は右向きで安定になり、
“1”の記録が完了する。以上のように、記録ワード電
流の向きを記録したい2ビット情報に応じて変えること
で、左向きあるいは右向きかという2値信号の記録が可
能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように従来の磁性
メモリーでは磁性層が2層なため一つのMR素子に
“0”か“1”の2値信号しか記録できない。大記録容
量が必要とされている昨今では、一つのMR素子に2値
の信号しか記録できないのでは十分な記録容量が得られ
ない。また、図30および図31に示した従来の磁性薄
膜メモリーではセンス電流は磁性層の膜面に平行に流れ
るため十分なS/N比が得られないという問題点があっ
た。具体的にはGMR効果による抵抗の変化は5%程度
の小さなものであった。
【0007】MR素子において、センス電流は膜面に平
行に流れるより、膜面に対して垂直に流れた場合の方が
大きな抵抗変化が得られると理論的に推測されており、
それを裏付ける実験結果が得られ始めている(日本応用
磁気学会第88回研究会資料、第1頁乃至第6頁(第2
の従来技術))。この第2の従来技術において、ランダ
ムアクセス可能な記憶装置とするためには、各MR素子
は直列に配置されるが、素子数が増せば同一センスライ
ンの全抵抗が増す。この場合、同一センスライン上のひ
とつのMR素子の抵抗が変化したとしても、全抵抗に対
するひとつのMR素子の抵抗変化率が非常に小さいため
に、その検出感度は素子数が増せば増すほど低くなると
いう新たな問題点が生じていた。
【0008】この新たな問題点を解消する目的でスピン
トンネル結合を利用したメモリーが提案された(日本応
用磁気学会誌Vol.20,No.2,P369−37
2,1996(第3の従来技術))。この提案ではセン
ス電流は膜面に対して垂直に流れ、各素子は並列に配置
されている。スピントンネル結合ではスペーサーとなる
非磁性層は絶縁体によって形成される。よって、膜面に
対して垂直方向の抵抗がある程度大きいためセンス電流
を膜面に対して垂直に流すことが可能なわけである。各
素子を並列に配置することにより同一センスライン上に
多数の素子があってもセンスラインの抵抗値は増加しな
い。その結果、一つの素子の抵抗変化率が大きくなり検
出感度が高くなる。この第3の従来技術においては2種
類の磁性層が独立に振舞えるので、各々の一軸異方性膜
の磁化方向が互いに異なる場合で二通り、同一方向で二
通りの、併せて四つの安定状態が存在する。言い換える
と、これらの四つの状態のうちのどちらかをとること
で、4値の信号の記憶が可能である。第3の従来技術の
四進数メモリーは二進数メモリーに比べ記憶容量を倍に
できる。しかし、四進数メモリーでは非破壊読み出しの
ため、読み出しの励振磁界の振幅を微小範囲に制限しな
ければならないという問題点がある。このため、四進数
メモリーの読み出し信号のレベルは二進数メモリーより
かなり低下する。また、四進数メモリーでは正の極性で
2種の信号レベル、負の極性で2種の信号レベルを検出
することになるが、同一極性における2種の信号レベル
は極めて近似しているので、信号レベル間の分離が困難
であるという欠点を有している。さらに、四進数メモリ
ーでは軟磁性膜も蓄積線として利用するため、二進数メ
モリーと異なり、外部浮遊磁界に対する耐性が低くなる
という問題点もある。
【0009】上記問題点を鑑み本発明は一つのメモリー
セルに3値以上の多値信号を記録できる大容量磁性メモ
リーを提供することである。
【0010】本発明の他の目的は、各メモリーセルの抵
抗の変化として20%以上の変化を得て、信号の読み出
し時に十分なS/N比を得ることができる大規模磁性メ
モリーを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明による磁性メモリーは第1磁性層と、第1
磁性層の上部の第1非磁性スペーサー層と、第1非磁性
スペーサー層の上部の第2磁性層と、第2磁性層の上部
の第2非磁性スペーサー層と、第2非磁性スペーサー層
の上部の第3磁性層とを少なくとも有するメモリーセル
を複数個具備し、第1乃至第3磁性層のそれぞれの磁化
の状態により、この複数のメモリーセルのそれぞれに多
値の情報を記憶することを特徴とする。ここで、第1磁
性層、第2磁性層、第3磁性層の磁化容易軸は膜面に平
行方向になるように構成され、第1磁性層の保磁力より
も、第2磁性層の保磁力の方が弱く、第3磁性層の保磁
力は第2磁性層の保磁力よりもさらに弱くしておくこと
が好ましい。即ち、第3磁性層の保磁力は最も弱く構成
することが好ましい。
【0012】そして、上記の複数のメモリーセルはマト
リクス状に配置すれば良い。即ち、各メモリーセルをワ
ード線とセンス線(ビット線)との交点に配置し、X−
Yマトリックスを構成するようにすればよい。ワード線
に流す電流の方向と電流の大きさを調整することにより
第1乃至第3の磁性層の磁化の方向をそれぞれ独立して
変えることができる。
【0013】各メモリーセルに記憶された状態は具体的
には抵抗の変化として表れるので、各磁性層の膜面に垂
直方向又は水平方向の抵抗の変化を読めば記憶された情
報を読み出すことができる。
【0014】本発明のメモリーセルはさらに、保磁力の
異なる第4磁性層、第5磁性層、…をその間に非磁性ス
ペーサー層を介して積層して有するようにしてもよいこ
とはもちろんである。磁性層の数を増すことにより、よ
り多値の信号が一つのメモリーセルに記憶でき、超大容
量の記憶装置が実現できる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して、本発明の実
施の形態を説明する。図面の記載において同一又は類似
の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、
図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、
各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意
すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下
の説明を参酌して判断すべきものである。また図面相互
間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含
まれていることはもちろんである。
【0016】(第1の実施の形態)図1は、本発明の第
1の実施の形態に係る磁性メモリーのセルアレイを示す
回路図である。図1の可変抵抗で示した部分がメモリー
セルに相当する。図2は、図1中の各メモリーセルの概
略縦断図である。本発明の第1の実施の形態に係る磁性
メモリーのメモリーセルは、非磁性基板1上に下部電極
2、第1磁性層3、第1非磁性スペーサー層4、第2磁
性層5、第2非磁性スペーサー層6、第3磁性層7、上
部電極8が積層されて構成されている。第1磁性層3の
保磁力はたとえば300Oe程度で、第2磁性層5の保磁
力はそれよりも弱い100Oe程度である。さらに、第3
磁性層7の保磁力は最も弱く50Oe程度である。下部電
極2は第2センス線を兼ねている。上部電極8はワード
線および第1センス線を兼ねている。情報の記録は上部
電極8、下部電極2のどちらかの電極に電流を流すこと
でおこない、記録後の読出しは両電極間の抵抗値を検出
することでおこなう。第1磁性層3、第2磁性層5、第
3磁性層7の磁化容易軸は膜面に平行方向になるように
形成されている。
【0017】図3は、上部電極8に紙面の裏側に向けて
第1磁性層3における磁場の強さが300Oe以上となる
ような十分大きな電流I1を流した状態である。上部電
極8から発生する磁界は紙面上で時計回りであり、第1
磁性層3、第2磁性層5、第3磁性層7の磁化の向きは
全て同じで左向きになる。第1磁性層3、第2磁性層
5、第3磁性層7の磁化の向きが全て平行であるためこ
の状態におけるセンス線の抵抗は最も低い。
【0018】図4は、上部電極8に紙面の表側に向け
て、図3の場合よりも小さな所定の電流I2を流した状
態である(I1>I2)。電流I2は第3磁性層7におけ
る磁場の強さが50Oe程度になるような値である。上部
電極8から発生する磁界は紙面上で反時計回りになり、
かつ、電流I2を調節することにより保磁力の小さい第
3磁性層7の磁化のみを反転している。即ち、第3磁性
層7の磁化の向きが第1磁性層3と第2磁性層5の磁化
の向きと反平行になっている。磁化の向きが反平行にな
っていることからGMR効果が生じ、両電極間の抵抗は
図3の状態よりも高くなる。
【0019】図5は、上部電極8に紙面の表側に向け
て、図4の場合の電流I2 より高く電流I1より小さな
所定の電流I3を流した状態である(I1>I3>I2)。
電流I3は第2磁性層5の磁場の強さが100Oe程度と
なるような値である。ワード線となる上部電極8から発
生する磁界は紙面上で反時計回りになり、かつ、電流を
調節することにより第3磁性層7の磁化、および第3磁
性層7より保磁力が大きく第1磁性層3より保磁力が小
さい第2磁性層5の磁化を共に反転している。この結
果、第1磁性層3の磁化の向きが第2磁性層5と第3磁
性層7の磁化の向きと反平行になっている。磁化の向き
が反平行になっていることからGMR効果により、両電
極間の抵抗は図4の状態とは異なる値を示す。
【0020】以上のように、多層の磁性層の磁化の向き
を個々にコントロールすることにより、磁化の方向の組
み合わせに相当した異なる抵抗値がそれぞれ得られる。
よって、一つのメモリーセルに多値情報を記録すること
が可能である。
【0021】図1に示すメモリーセルアレイの回路図を
用いて動作を説明する。図1においてメモリーセル11
にランダムアクセスを行いたいときには、ワード線W1
とセンス線S1に電流を流してやる。磁化の向きが左向
きか右向きかは、第1デコーダ回路DECY1により記
録ワード電流を図中手前から奥向きに流すか、第2デコ
ーダ回路DECY2により奥から手前向きに流すかによ
って決定される。他方、デコーダ回路DECXからセン
ス線S1に流れる記録センス電流は、記録ワード電流と
異なり流れる方向は一方向でよく、たとえば、その方向
を記録センス磁界が上向きになるようにとる。メモリー
セル11には記録センス磁界と記録ワード磁界が印加さ
れる。ワード線W1とセンス線S1とによる合成磁場ベ
クトルの大きさが50Oe、100Oe、300Oeのいずれ
かになるようにワード線W1とセンス線S1に流れる電
流を調節する。この電流の調節によって合成磁場ベクト
ルの大きさが50Oeのときには図4に示す磁化の向きが
得られ、100Oeのときには図5に示す磁化の向きが得
られ、300Oeのときには図3に示す磁化の向きが得ら
れる。以上のように、記録ワード電流の向きと合成磁場
ベクトルの大きさとを記録したい情報に応じて変えるこ
とで、メモリーセル11には図3乃至図5に示す3値信
号の記録が可能である。メモリーセル11に記録された
情報は抵抗の変化としてセンス線S1を通してセンスア
ンプ回路SAにより読み出される。
【0022】次に、磁性メモリーの製造方法を説明す
る。図6乃至図13は、磁性メモリーを各製造工程毎に
示す概略縦断図である。
【0023】(1)図6に示すように、非磁性基板1の
表面上において、各メモリーセルが形成される予定の領
域に下部電極2を形成する。非磁性基板1にはたとえば
ソーダライムガラスが使用される。下部電極2はDCマ
グネトロンスパッタリングによりCr薄膜を堆積し、こ
のCr薄膜をフォトリソグラフィ技術によりパターンニ
ングし選択的に形成する。Cr薄膜は、約20nmの膜
厚において堆積され、0.2−3.0μmのパターン幅
(センス線Sの線幅)でパターンングされる。スパッタ
リングにはCrターゲットが使用され、スパッタリング
のときのDCパワーは1KWに設定される。下部電極2
としては非酸化性金属が好ましく、Cr薄膜に代えて下
部電極2にはたとえばCu薄膜などが使用できる。ま
た、下部電極2のパターンニングはリフトオフ技術でお
こなってもよい。
【0024】(2)図7に示すように、下部電極2の上
部、および下部電極2で覆われていない非磁性基板1の
全表面に、第1磁性層3、第1非磁性スペーサー層4の
それぞれを順次形成する。第1磁性層3はDCマグネト
ロンスパッタリングによりCo薄膜を堆積する。このC
o薄膜は10−100nm、好ましくは30nmの膜厚
において堆積すればよい。スパッタリングにはCoター
ゲットが使用され、スパッタリングのときのDCパワー
は1KW、ガス雰囲気として不活性ガスであるArのガ
ス圧力は2Pa、基板温度は室温にそれぞれ設定され
る。この条件のスパッタリングにより、第1磁性層3の
保磁力は300Oe程度に設定される。
【0025】第1非磁性スペーサー層4は、DCマグネ
トロンスパッタリングによりAlを堆積し、この後にA
lを酸化したAlxy薄膜で形成される。このため、同
一のスパッタリング・チャンバー中で、Co薄膜に引き
続きAl薄膜をスパッタリングし、その後一旦基板をこ
のスパッタリング・チャンバーから取り出して酸化処理
する。このAlxy薄膜は膜中にトンネル電流が流れる
程度の膜厚たとえば3nmの膜厚において堆積される。
Al薄膜のスパッタリングにはAlターゲットが使用さ
れ、スパッタリングのときのDCパワーは0.3KW、
Arのガス圧力は0.5Pa、基板温度は室温にそれぞ
れ設定される。Al薄膜の酸化処理は約2日間の室内自
然放置でおこなわれる。Alは、完全に酸化される必要
はなく、表面層部分が少なくとも酸化されていればよ
い。また、Alの酸化処理は、酸素雰囲気中においてA
lのスパッタリングをおこなうことにより、Alのスパ
ッタリング工程と同一工程でおこなえる。また、Alx
y薄膜はCVD法により形成してもよい。なお、第1
非磁性スペーサー層4は、基本的にトンネル電流が流れ
る非磁性絶縁膜であればよく、必ずしもAlxy薄膜に
限定されない。
【0026】(3)図8に示すように、第1非磁性スペ
ーサー層4の全表面上に、第2磁性層5、第2非磁性ス
ペーサー層6のそれぞれを順次形成する。第2磁性層5
は、第1磁性層3と同様に、DCマグネトロンスパッタ
リングにより堆積したCo薄膜で形成され、このCo薄
膜は10−100nm、好ましくは30nmの膜厚にお
いて堆積される。スパッタリングにはCoターゲットが
使用され、スパッタリングのときのDCパワーは1K
W、Arのガス圧力は0.5Pa、基板温度は室温にそ
れぞれ設定される。スパッタリングのときのガス雰囲気
であるArのガス圧力を第1磁性層の場合より小さく調
整することにより、第2磁性層5の保磁力は100Oe程
度に設定される。第2非磁性スペーサー層6は、第1非
磁性スペーサー層4と同様に形成される。即ち、第2磁
性層5となるCo薄膜に引き続き、同一スパッタリング
・チャンバー中でAl薄膜をスパッタリングし、その後
一旦基板をこのスパッタリング・チャンバーから取り出
し、約2日間の室内自然放置をすることによりAl薄膜
の酸化処理を行い、第2非磁性スペーサー層6を形成す
る。
【0027】(4)図9に示すように、第2非磁性スペ
ーサー層6の全表面上に、第3磁性層7を形成する。第
3磁性層7は、DCマグネトロンスパッタリングにより
堆積したNi80Fe20薄膜で形成され、このNi80Fe
20薄膜は10−100nm、好ましくは30nmの膜厚
において堆積される。スパッタリングにはNi80Fe20
ターゲットが使用され、スパッタリングのときのDCパ
ワーは1KW、Arのガス圧力は0.5Pa、基板温度
は室温にそれぞれ設定される。この条件でのスパッタリ
ングにより、第3磁性層7の保磁力は50Oe程度に設定
される。
【0028】(5)図10に示すように、第3磁性層
7、第2非磁性スペーサー層6、第2磁性層5、第1非
磁性スペーサー層4、第1磁性層3の積層構造に対しパ
ターンニングをおこない、下部電極2上に第1磁性層
3、第1非磁性スペーサー層4、第2磁性層5、第2非
磁性スペーサー層6、第3磁性層7の各層が順次積層さ
れたメモリーセルを形成する。各層のパターンニング
は、たとえばフォトリソグラフィ技術で形成した所定の
エッチングマスクを使用し、Arイオンミリング技術等
を用いておこなう。メモリーセルの平面形状は矩形で形
成され、メモリーセルのサイズはたとえば1辺が0.1
5−5μmで形成される。なお、メモリーセルの平面形
状は多角形でも、また円形であってもよい。
【0029】(6)図11に示すように、メモリーセル
間に絶縁体9を埋設する。絶縁体9は、たとえばCVD
法により、メモリーセル間を埋め込むような膜厚の酸化
珪素(SiO2)膜を形成し、その後メモリーセル上の
不要な酸化珪素膜をCMP法等により取り除き、表面を
平坦化することにより形成する。
【0030】(7)図12に示すように、第3磁性層7
上および絶縁体9上の一部に上部電極8を形成する。こ
の上部電極8はワード線を兼ねている。上部電極8は、
たとえばスパッタリングでCr、Cu、Al、Au等の
金属薄膜を第3磁性層7上および絶縁体9上に堆積し、
この金属薄膜をフォトリソグラフィー技術によりパター
ンニングすればよい。
【0031】(8)図13に示すように、上部電極8上
を覆うパッシベーション膜10を全面に形成する。パッ
シベーション膜10は、たとえば酸化珪素膜、PSG
膜、ポリイミド系樹脂膜等で形成される。以上の各製造
工程が完了すると、本実施の形態に係る磁性メモリーが
完成する。
【0032】本発明に係る磁性メモリーにおいては、メ
モリーセルに記録できる情報量をさらに増加するため
に、4層以上の多層構造の磁性層を有するメモリーセル
を構成してもよい。追加する磁性層として、たとえばC
o−Cr系磁性層、Co−Cr−Ta系磁性層、Co−
Cr−Ta−Pt系磁性層がある。これらの磁性層を必
要に応じて所定の位置に積層すればよい。Co−Cr系
磁性層は500Oe程度、Co−Cr−Ta系磁性層は1
000Oe程度、Co−Cr−Ta−Pt系磁性層は30
00Oe程度の保磁力を得られる。
【0033】(第2の実施の形態)図14は、本発明の
第2の実施の形態に係る磁性メモリーのメモリーセルア
レイを示す回路図である。図14の可変抵抗で示した部
分がメモリーセルに相当するが、メモリーセルが各行で
直列接続された構成である。図15は、図14に示した
メモリーセルアレイを構成するメモリーセルの概略縦断
面図である。非磁性基板1上に第1磁性層3、第1非磁
性スペーサー層4、第2磁性層5、第2非磁性スペーサ
ー層6、第3磁性層7が積層されている。第1磁性層
3、第2磁性層5、第3磁性層7のそれぞれの磁化容易
軸は膜面に平行方向になるように形成されている。第1
磁性層3の保磁力はたとえば300Oe程度で、第2磁性
層5の保磁力はそれよりも弱い100Oe程度である。さ
らに、第3磁性層7の保磁力は最も弱く50Oe程度であ
る。情報記録用ワード線8は積層膜の上部(または下
部)に磁性層の磁化容易軸と直交するように配置されて
いる。第1電極18および第2電極19は、磁性層の磁
化容易軸と一致する方向において、積層膜(メモリーセ
ル)を挟み込むように形成されている。第1電極18お
よび第2電極19は1本のセンス線Sに直列的に接続さ
れており、第1電極18と第2電極19との間にメモリ
ーセル(可変抵抗)が付加される。
【0034】図16は、ワード線8に紙面の裏側に向け
て十分大きな電流I1を流した状態である。ワード線8
から発生する磁界は紙面上で時計回りであり、第1磁性
層3、第2磁性層5、第3磁性層7の磁化の向きは全て
同じで左向きになる。第1磁性層3、第2磁性層5、第
3磁性層7の磁化の向きが全て平行であるためこの状態
における第1電極18および第2電極19との間の抵抗
は最も低い。
【0035】図17は、ワード線8に紙面の表側に向け
て図16の状態よりも小さな所定の電流I2を流した状
態である(I1>I2)。ワード線8から発生する磁界は
紙面上で反時計回りになり、かつ、電流を調節すること
により保磁力の小さい第3磁性層7の磁化のみを反転し
ている。この時、第3磁性層7の磁化の向きが第1磁性
層3と第2磁性層5の磁化の向きと反平行になってい
る。磁化の向きが反平行になっていることからGMR効
果が生じ、第1電極18と第2電極19間の抵抗は図1
6の状態よりも高くなる。
【0036】図18は、ワード線8に紙面の表側に向け
て図17の場合より高くかつ図16よりも低い所定の電
流I3を流した状態である。図17と同様にワード線8
から発生する磁界は紙面上で反時計回りになり、かつ、
電流を調節することにより第3磁性層7の磁化、および
保磁力が第3磁性層7より大きく第1磁性層3より小さ
い第2磁性層4の磁化を反転している。この結果、第1
磁性層3の磁化の向きが第2磁性層5と第3磁性層7の
磁化の向きと反平行になっている。磁化の向きが反平行
になっていることからGMR効果が生じ、第1電極18
および第2電極19との間の抵抗は図17の状態とは異
なる値を示す。
【0037】以上のように、多層の磁性層の磁化の向き
を個々にコントロールすることにより最小抵抗値の場合
に比べて20%以上大きな相当の抵抗値が得られる。よ
って、一つのメモリーセルに多値情報を記録することが
可能である。
【0038】図14に示すメモリーセルアレイを用いて
本発明の第2の実施の形態に係る磁性メモリーの動作を
説明する。図14に示すように、可変抵抗で示したメモ
リーセルが各行(センス線)S1,S2,・・・、Sm
で直列接続され、かつこの各行に直交するようにワード
線W1,W2,・・・、Wnが形成されている。図14
においてメモリーセル11にランダムアクセス記録を行
いたいときには、ワード線W1とセンス線S1に電流を
流してやる。磁化の向きが左向きか右向きかは、第1デ
コーダ回路DECY1により記録ワード電流を図中下か
ら上向きに流すか、第2デコーダ回路DECY2により
上から下向きに流すかによって決定される。他方、デコ
ーダ回路DECXからセンス線S1に流れる記録センス
電流は、記録ワード電流と異なり流れる方向は一方向で
よく、たとえば、その方向を記録センス磁界が上向きに
なるようにとる。メモリーセル11には記録センス磁界
と記録ワード磁界が印加される。ワード線W1とセンス
線S1とによる合成磁場ベクトルの大きさが50Oe、1
00Oe、300Oeのいずれかになるようにワード線W1
とセンス線S1に流れる電流を調節する。この電流の調
節によって合成磁場ベクトルの大きさが50Oeのときに
は図17に示す磁化の向きが得られ、100Oeのときに
は図18に示す磁化の向きが得られ、300Oeのときに
は図16に示す磁化の向きが得られる。以上のように、
記録ワード電流の向きと合成磁場ベクトルの大きさとを
記録したい情報に応じて変えることで、メモリーセル1
1には図16乃至図18に示す3値信号の記録が可能で
ある。メモリーセル11に記録された情報は抵抗の変化
として第1電極18および第2電極19で読み出され、
この読み出された情報はセンス線S1を通してセンスア
ンプ回路SAにより読み出される。
【0039】次に、磁性メモリーの製造方法を説明す
る。図19乃至図25は、磁性メモリーを各製造工程毎
に示す概略縦断図である。
【0040】(1)図19に示すように、非磁性基板1
の表面上の全面に、第1磁性層3、第1非磁性スペーサ
ー層4のそれぞれを順次形成する。非磁性基板1にはた
とえばソーダライムガラスが使用される。第1磁性層3
はCo薄膜で形成され、第1非磁性スペーサー層4はC
u薄膜で形成される。第1磁性層3は、第1の実施の形
態の製造方法で説明した条件と同一条件で形成される。
即ち、同一のスパッタリング・チャンバー中で、第1磁
性層3となるCo薄膜に引き続きCu薄膜をスパッタリ
ングする。第1非磁性スペーサー層4となるCu薄膜の
スパッタリングは、DCマグネトロンスパッタリングを
用い、1−10nmの厚さ、好ましくは3nmの膜厚と
なるように堆積すればよい。このDCマグネトロンスパ
ッタリングは、Cuターゲットを使用して、DCパワー
0.3kW、Arのガス圧力0.5Paで、行えばよ
い。
【0041】(2)更に、引き続き、同一のスパッタリ
ング・チャンバー中で、図20に示すように、第1非磁
性スペーサー層4の全表面上に、第2磁性層5、第2非
磁性スペーサー層6のそれぞれを連続的に形成する。第
2磁性層5はCo薄膜で形成され、第2非磁性スペーサ
ー層6はCu薄膜で形成される。第2磁性層5は、第1
の実施の形態の製造方法で説明した条件と同一条件で形
成される。即ち、スパッタリングのときのArのガス圧
力を第1磁性層の場合より小さく調整することにより、
第2磁性層5の保磁力は第1磁性層3より小さく設定さ
れる。第2非磁性スペーサー層6のCu薄膜のスパッタ
リングは、第1非磁性スペーサー層4となるCu薄膜の
スパッタリングと同一の条件でよい。つまり、DCマグ
ネトロンスパッタリングを用い、1−10nmの厚さ、
好ましくは3nmの膜厚となるように堆積すればよい。
【0042】(3)更に、引き続き、同一のスパッタリ
ング・チャンバー中で、図21に示すように、第2非磁
性スペーサー層6の全表面上に、第3磁性層7を形成す
る。第3磁性層7は、Ni80Fe20薄膜で形成され、第
1の実施の形態の製造方法で説明した条件と同一条件で
形成される。第3磁性層7の保磁力は第2磁性層5より
小さく設定される。
【0043】(4)図22に示すように、第3磁性層
7、第2非磁性スペーサー層6、第2磁性層5、第1非
磁性スペーサー層4、第1磁性層3からなる積層構造に
U溝を形成し、メモリーセルのパターンニングをおこな
う。この結果、第1磁性層3、第1非磁性スペーサー層
4、第2磁性層5、第2非磁性スペーサー層6、第3磁
性層7の各層が順次積層された領域が島状に残り、メモ
リーセルが形成される。各層のエッチングは、たとえば
フォトリソグラフィ技術で形成したフォトレジスト膜な
どの所定のエッチングマスクを使用し、Arイオンミリ
ング技術でおこなう。
【0044】(5)図23に示すように、メモリーセル
間の溝内部に埋設される第1電極18および第2電極1
9を形成する。第1電極18および第2電極19は、メ
モリーセル相互間の溝の内部に、この溝を埋め込むよう
な膜厚で、W膜等の高導電性の材料を、たとえば選択C
VD法により形成し、その後メモリーセル上の不要な高
導電性の材料の膜をCMP法等により取り除き表面を平
坦化することにより形成する。
【0045】(6)図24に示すように、第3磁性層7
上、第1電極18および第2電極19上を覆う全面に絶
縁膜9Aを形成する。絶縁膜9AはたとえばCVD法で
堆積された酸化珪素膜で形成され、この酸化珪素膜は3
00−400nmの膜厚で形成される。
【0046】(7)図25に示すように、絶縁膜9A上
にワード線(および上部電極)8を形成する。このワー
ド線8は、たとえばスパッタリングでCr、Cu、A
l、Au等の金属薄膜を堆積し、その後金属薄膜をパタ
ーンニングして形成する。
【0047】(8)図示しないが、第1の実施の形態の
製造方法と同様に、ワード線8上を覆うパッシベーショ
ン膜を全面に形成する。以上の各製造工程が完了する
と、第2の実施の形態に係る磁性メモリーが完成する。
【0048】(第3の実施の形態)図26は、本発明の
第3の実施の形態に係る磁性メモリーのメモリーセルア
レイを示す回路図である。図26の可変抵抗で示した部
分がメモリーセルに相当する。図27は、本発明の第3
の実施の形態に係る磁性メモリーの一部断面斜視図であ
る。さらに、図28は、この磁性メモリーのメモリーセ
ルの概略縦断面図である。図28に示すように、本発明
の第3の実施の形態に係る磁性メモリーのメモリーセル
は、非磁性基板1上に第1磁性層3、第1非磁性スペー
サー層4、第2磁性層5、第2非磁性スペーサー層6、
第3磁性層7が積層されている。第1磁性層3、第2磁
性層5、第3磁性層7のそれぞれの磁化容易軸は膜面に
平行方向になるように形成されている。第1磁性層3の
保磁力はたとえば300Oe程度で、第2磁性層5の保磁
力はそれよりも弱い100Oe程度である。さらに、第3
磁性層7の保磁力は最も弱く50Oe程度である。情報記
録用ワード線8は積層膜の上部(または下部)に磁性層
の磁化容易軸と直交するように配置されている。第1電
極18および第2電極19は、磁性層の磁化容易軸と一
致する方向において、積層膜(メモリーセル)を挟み込
むように形成されている。ここまでのメモリーセルの構
造は、基本的には前述の図15に示す第2の実施の形態
に係るメモリーセルの構造と同一である。
【0049】本実施の形態に係る磁性メモリーにおいて
は、図27に示すように、メモリーセルを挟んで磁性層
の磁化容易軸と平行に延在する一対のセンス線Sを備え
ており、一対のセンス線Sの一方には第1電極18が電
気的に接続され、他方には第2電極19が電気的に接続
されている。一方のセンス線Sおよび第1電極18が作
り出す平面形状は櫛形で、同様に他方のセンス線Sおよ
び第2電極19が作り出す平面形状も櫛形になり、それ
ぞれが噛み合うような平面形状で構成されている。一対
のセンス線Sは、第1電極18と第2電極19との間に
配置されたメモリーセルの可変抵抗値を検出するように
なっている。メモリーセルを介在せずに直接隣接する第
1電極18と第2電極19との間には双方の間を電気的
に分離する絶縁体9が形成されている。絶縁体9にはた
とえば電極間に埋設された酸化珪素膜が使用される。
【0050】図26に示す磁性メモリーのメモリーセル
アレイの回路図を用いて、本発明の第3の実施の形態に
係る磁性メモリーを説明する。本発明の第3の実施の形
態に係る磁性メモリーは、一対のセンス線からなるセン
ス線ペアS1,S2,・・・、Smが複数本配列され、
このセンス線ペアS1,S2,・・・、Smに直交する
ようにワード線W1,W2,・・・、Wnが形成されて
いる。まず最初に、すべてのメモリセルが最も抵抗の高
い状態となるように電流を調整して、リフレッシュす
る。図26においてメモリーセル11にランダムアクセ
ス記録を行いたいときには、ワード線W1とセンス線ペ
アS1の一方に電流を流してやる。磁化の向きが左向き
か右向きかは、第1デコーダ回路DECY1により記録
ワード電流を図中下から上向きに流すか、第2デコーダ
回路DECY2により上から下向きに流すかによって決
定される。他方、デコーダ回路DECXからセンス線ペ
アS1の一方に流れる記録センス電流は、記録ワード電
流と異なり流れる方向は一方向でよく、たとえば、その
方向を記録センス磁界が上向きになるようにとる。メモ
リーセル11には記録センス磁界と記録ワード磁界が印
加される。ワード線W1とセンス線S1とによる合成磁
場ベクトルの大きさが50Oe、100Oe、300Oeのい
ずれかになるようにワード線W1とセンス線S1に流れ
る電流を調節する。この電流の調節によって合成磁場ベ
クトルの大きさが50Oeのとき、100Oeのとき、30
0Oeのときのそれぞれで得られる磁化の向きが相違す
る。以上のように、記録ワード電流の向きと合成磁場ベ
クトルの大きさとを記録したい情報に応じて変えること
で、メモリーセル11には3値信号の記録が可能であ
る。メモリーセル11に記録された情報は抵抗の変化と
してセンス線ペアS1で読み出され、この読み出された
情報はセンス線ペアS1を通してセンスアンプ回路SA
により読み出される。
【0051】以上のように、センス線ペアS1,S2,
・・・、Smに電気的に並列にメモリーセルを接続する
ことにより、センス線ペアS1,S2,・・・、Smに
接続されるメモリーセル数が増加してもセンス線ペアS
1,S2,・・・、Smの全抵抗の増加が防止できる。
よって、センス線ペアS1,S2,・・・、Smに接続
されるメモリーセル数を増加できるので、磁性メモリー
の高集積化、大容量化が可能になる。さらに、全抵抗に
対するひとつのメモリーセルの抵抗変化率が充分に確保
できるので、メモリーセルに記録された情報の検出感度
を高めることが可能になる。
【0052】(第4の実施の形態)図29は、本発明の
第4の実施の形態に係る磁性メモリーのメモリーセルの
概略縦断面図である。非磁性基板1上に第1磁性層3、
第1非磁性スペーサー層4、第2磁性層5、第2非磁性
スペーサー層6、第3磁性層7が積層されている。第1
磁性層3、第2磁性層5、第3磁性層7のそれぞれの磁
化容易軸は膜面に平行方向になるように形成されてい
る。第1磁性層3の保磁力はたとえば300Oe程度で、
第2磁性層5の保磁力はそれよりも弱い100Oe程度で
ある。さらに、第3磁性層7の保磁力は最も弱く50Oe
程度である。
【0053】ここで、第1非磁性スペーサー層4、第2
非磁性スペーサー層6はそれぞれ導体で形成される。本
実施の形態に係る磁性メモリーにおいて、第1非磁性ス
ペーサー層4、第2非磁性スペーサー層6のそれぞれは
DCマグネトロンスパッタリングにより堆積したCu薄
膜で形成され、このCu薄膜は10−30nm、好まし
くは10nmの膜厚において堆積される。スパッタリン
グにはCuターゲットが使用され、スパッタリングのと
きのDCパワーは0.3KW、ガス雰囲気として不活性
ガスであるArのガス圧力は0.5Pa、基板温度は室
温にそれぞれ設定される。
【0054】本実施の形態に係る磁性メモリーのメモリ
ーセルアレイの回路構造は前述の図14に示す第2の実
施の形態に係る磁性メモリーのメモリーセルアレイの回
路構造と同一であり、情報記録用ワード線8は積層膜の
上部、具体的には第3磁性層7の表面上に磁性層の磁化
容易軸と直交するように配置されている。第1電極18
および第2電極19は、磁性層の磁化容易軸と一致する
方向において、積層膜(メモリーセル)を挟み込むよう
に形成されている。第1電極18および第2電極19は
1本のセンス線Sに直列的に接続されており(図14参
照)、第1電極18と第2電極19との間にメモリーセ
ルの可変抵抗が付加される。図29に示すように、メモ
リーセルにおいては、第1電極18と第2電極19との
間において、第3磁性層7、第2非磁性スペーサー層
6、第2磁性層5、第1非磁性スペーサ層4、第1磁性
層3のそれぞれを通過し、再び第1磁性層3、第1非磁
性スペーサ層4、第2磁性層5、第2非磁性スペーサー
層6、第3磁性層7に至る電流パスの抵抗変化が、記録
された情報として読み出される。ワード線8と第1電極
18、第2電極19および図示しないセンス線Sとの間
はたとえば酸化珪素膜からなる絶縁膜9Aによって電気
的に分離されている。
【0055】以上のように、メモリーセルの抵抗変化を
第1磁性層3、第2磁性層5、第3磁性層7の各磁性層
の膜面に対して垂直方向に流れ帰還する電流パスの抵抗
変化とすることにより、第1磁性層3から第3磁性層7
までのすべての積層膜はメモリーセル毎にパターンニン
グする必要がなくなる。よって、磁性メモリーの構造が
シンプルになり、その製造が容易になる。
【0056】さらに、本実施の形態に係る磁性メモリー
セルは、前述の図26乃至図28に示す第3の実施の形
態に係る磁性メモリーセルにも適用できる。すなわち、
一対のセンス線Sを具備し、図29に示す第1電極18
は一対のセンス線Sの一方に一体に形成され、第2電極
19は一対のセンス線Sの他方に一体に形成される。
【0057】さらに、本実施の形態に係る磁性メモリー
セルは、ワード線8を第1磁性層3の下に形成すること
もできる。この場合には、第1磁性層3、第3磁性層7
のそれぞれの保磁力を入れ換える必要がある。
【0058】さらに、本実施の形態に係る磁性メモリー
セルは、第1電極18および第2電極19(およびセン
ス線S)を第1磁性層3の下に形成することもできる。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、一つのメモリーセルに
多値の情報を記憶できるので、極めて大容量な記憶装置
が実現できる。
【0060】さらに本発明によれば、従来技術に対して
S/N比を4倍程度改善できる記憶装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係る磁性メモ
リのメモリーセルアレイの回路図である。
【図2】 本発明の第1の実施の形態に係る磁性メモ
リのメモリーセルの概略縦断面図である。
【図3】 本発明の第1の実施の形態に係る磁性メモ
リのメモリーセルの低抵抗状態の概略縦断面図である。
【図4】 本発明の第1の実施の形態に係る磁性メモ
リのメモリーセルの高抵抗状態の概略縦断面図である。
【図5】 本発明の第1の実施の形態に係る磁性メモ
リのメモリーセルの他の高抵抗状態の概略縦断面図であ
る。
【図6】 本発明の第1の実施の形態に係る磁性メモ
リの製造方法を説明する第1製造工程におけるメモリー
セルの概略縦断面図である。
【図7】 本発明の第1の実施の形態に係る磁性メモ
リの第2製造工程におけるメモリーセルの概略縦断面図
である。
【図8】 本発明の第1の実施の形態に係る磁性メモ
リの第3製造工程におけるメモリーセルの概略縦断面図
である。
【図9】 本発明の第1の実施の形態に係る磁性メモ
リの第4製造工程におけるメモリーセルの概略縦断面図
である。
【図10】 本発明の第1の実施の形態に係る磁性メ
モリの第5製造工程におけるメモリーセルの概略縦断面
図である。
【図11】 本発明の第1の実施の形態に係る磁性メ
モリの第6製造工程におけるメモリーセルの概略縦断面
図である。
【図12】 本発明の第1の実施の形態に係る磁性メ
モリの第7製造工程におけるメモリーセルの概略縦断面
図である。
【図13】 本発明の第1の実施の形態に係る磁性メ
モリの第8製造工程におけるメモリーセルの概略縦断面
図である。
【図14】 本発明の第2の実施の形態に係る磁性メ
モリのメモリーセルアレイの回路図である。
【図15】 本発明の第2の実施の形態に係る磁性メ
モリのメモリーセルの概略縦断面図である。
【図16】 本発明の第2の実施の形態に係る磁性メ
モリのメモリーセルの低抵抗状態の概略縦断面図であ
る。
【図17】 本発明の第2の実施の形態に係る磁性メ
モリのメモリーセルの高抵抗状態の概略縦断面図であ
る。
【図18】 本発明の第2の実施の形態に係る磁性メ
モリのメモリーセルの他の高抵抗状態の概略縦断面図で
ある。
【図19】 本発明の第2の実施の形態に係る磁性メ
モリの製造方法を説明する第1製造工程におけるメモリ
ーセルの概略縦断面図である。
【図20】 本発明の第2の実施の形態に係る磁性メ
モリの第2製造工程におけるメモリーセルの概略縦断面
図である。
【図21】 本発明の第2の実施の形態に係る磁性メ
モリの第3製造工程におけるメモリーセルの概略縦断面
図である。
【図22】 本発明の第2の実施の形態に係る磁性メ
モリの第4製造工程におけるメモリーセルの概略縦断面
図である。
【図23】 本発明の第2の実施の形態に係る磁性メ
モリの第5製造工程におけるメモリーセルの概略縦断面
図である。
【図24】 本発明の第2の実施の形態に係る磁性メ
モリの第6製造工程におけるメモリーセルの概略縦断面
図である。
【図25】 本発明の第2の実施の形態に係る磁性メ
モリの第7製造工程におけるメモリーセルの概略縦断面
図である。
【図26】 本発明の第3の実施の形態に係る磁性メ
モリのメモリーセルアレイの回路図である。
【図27】 本発明の第3の実施の形態に係る磁性メ
モリのメモリーセルの一部断面斜視図である。
【図28】 本発明の第3の実施の形態に係る磁性メ
モリのメモリーセルの概略縦断面図である。
【図29】 本発明の第4の実施の形態に係る磁性メ
モリのメモリーセルの概略縦断面図である。
【図30】 従来の磁性メモリーのメモリーセルの構
造を示す断面図である。
【図31】 従来の磁性メモリーの平面図である。
【符号の説明】
1 非磁性基板 2 下部電極 3 第1磁性層 4 第1非磁性スペーサー層 5 第2磁性層 6 第2非磁性スペーサー層 7 第3磁性層 8 上部電極、ワード線 18、19 電極 W1,W2,・・・、Wn ワード線 S1,S2,・・・、Sm センス線

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1磁性層と、 該第1磁性層の上部の第1非磁性スペーサー層と、 該第1非磁性スペーサー層の上部の第2磁性層と、 該第2磁性層の上部の第2非磁性スペーサー層と、 該第2非磁性スペーサー層の上部の第3磁性層とを少な
    くとも有するメモリーセルを複数個具備し、 前記第1乃至第3磁性層のそれぞれの磁化の状態によ
    り、前記メモリーセルのそれぞれに多値の情報を記憶す
    る磁性メモリー。
  2. 【請求項2】 前記各メモリーセルの前記第1乃至第3
    磁性層の膜面に対して垂直方向の抵抗値の変化により多
    値の情報を記憶する請求項1記載の磁性メモリー。
  3. 【請求項3】 前記各メモリーセルの前記第1乃至第3
    磁性層の膜面に対して平行方向の抵抗値の変化により多
    値の情報を記憶する請求項1記載の磁性メモリー。
JP9337406A 1997-12-08 1997-12-08 磁性メモリー Pending JPH11176149A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9337406A JPH11176149A (ja) 1997-12-08 1997-12-08 磁性メモリー

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9337406A JPH11176149A (ja) 1997-12-08 1997-12-08 磁性メモリー

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11176149A true JPH11176149A (ja) 1999-07-02

Family

ID=18308342

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9337406A Pending JPH11176149A (ja) 1997-12-08 1997-12-08 磁性メモリー

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11176149A (ja)

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6404673B1 (en) 2000-07-27 2002-06-11 Fujitsu Limited Magnetic memory device and method of reading data in magnetic memory device
JP2002314049A (ja) * 2001-04-18 2002-10-25 Nec Corp 磁性メモリ及びその製造方法
EP1345231A1 (en) * 2002-03-15 2003-09-17 Hewlett-Packard Company Double magnetic tunnelling junction cell with reference layers dynamically set
WO2004008536A1 (ja) * 2002-07-11 2004-01-22 Sony Corporation 磁気不揮発性メモリ素子
JP2004055754A (ja) * 2002-07-18 2004-02-19 Sony Corp 磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ装置
US6812537B2 (en) 2001-05-09 2004-11-02 Nec Electronics Corporation Magnetic memory and method of operation thereof
KR100513370B1 (ko) * 2001-12-07 2005-09-07 주식회사 하이닉스반도체 자기 저항 램
KR100521825B1 (ko) * 2001-12-13 2005-10-17 가부시끼가이샤 도시바 자기 기억 장치 및 그 제조 방법
KR100900109B1 (ko) 2006-09-28 2009-06-01 가부시끼가이샤 도시바 자기저항 효과 소자 및 자기저항 랜덤 액세스 메모리
JP2009135489A (ja) * 2007-11-29 2009-06-18 Samsung Electronics Co Ltd 不揮発性メモリ素子及びその製造方法、並びにその動作方法
JP2009146563A (ja) * 2001-12-07 2009-07-02 Hynix Semiconductor Inc 磁気抵抗ラム
KR100910571B1 (ko) * 2001-09-25 2009-08-03 삼성전자주식회사 자기 메모리 장치
JP2010527516A (ja) * 2007-05-17 2010-08-12 インテグレイテッド・マグネトエレクトロニクス スケーラブル不揮発性記憶装置
JP2014112691A (ja) * 2013-12-26 2014-06-19 Renesas Electronics Corp 半導体装置の製造方法

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6404673B1 (en) 2000-07-27 2002-06-11 Fujitsu Limited Magnetic memory device and method of reading data in magnetic memory device
JP2002314049A (ja) * 2001-04-18 2002-10-25 Nec Corp 磁性メモリ及びその製造方法
US6812537B2 (en) 2001-05-09 2004-11-02 Nec Electronics Corporation Magnetic memory and method of operation thereof
KR100910571B1 (ko) * 2001-09-25 2009-08-03 삼성전자주식회사 자기 메모리 장치
JP2009146563A (ja) * 2001-12-07 2009-07-02 Hynix Semiconductor Inc 磁気抵抗ラム
KR100513370B1 (ko) * 2001-12-07 2005-09-07 주식회사 하이닉스반도체 자기 저항 램
KR100521825B1 (ko) * 2001-12-13 2005-10-17 가부시끼가이샤 도시바 자기 기억 장치 및 그 제조 방법
CN100466093C (zh) * 2002-03-15 2009-03-04 三星电子株式会社 具有双隧道结的磁电阻存储器件
EP1345231A1 (en) * 2002-03-15 2003-09-17 Hewlett-Packard Company Double magnetic tunnelling junction cell with reference layers dynamically set
US7336556B2 (en) 2002-07-11 2008-02-26 Sony Corporation Magnetic non-volatile memory device
WO2004008536A1 (ja) * 2002-07-11 2004-01-22 Sony Corporation 磁気不揮発性メモリ素子
JP2004055754A (ja) * 2002-07-18 2004-02-19 Sony Corp 磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ装置
KR100900109B1 (ko) 2006-09-28 2009-06-01 가부시끼가이샤 도시바 자기저항 효과 소자 및 자기저항 랜덤 액세스 메모리
JP2010527516A (ja) * 2007-05-17 2010-08-12 インテグレイテッド・マグネトエレクトロニクス スケーラブル不揮発性記憶装置
JP2009135489A (ja) * 2007-11-29 2009-06-18 Samsung Electronics Co Ltd 不揮発性メモリ素子及びその製造方法、並びにその動作方法
JP2014112691A (ja) * 2013-12-26 2014-06-19 Renesas Electronics Corp 半導体装置の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN100449814C (zh) 磁致电阻效应元件、磁存储器以及磁头
US6114719A (en) Magnetic tunnel junction memory cell with in-stack biasing of the free ferromagnetic layer and memory array using the cell
US6845038B1 (en) Magnetic tunnel junction memory device
US9171601B2 (en) Scalable magnetic memory cell with reduced write current
CN100533589C (zh) 磁单元和磁存储器
US6947263B2 (en) CPP mode magnetic sensing element including a multilayer free layer biased by an antiferromagnetic layer
JP4658102B2 (ja) 磁気的に軟らかい基準層を有する磁気抵抗素子のための読出し方法
JP5191717B2 (ja) 磁気記録素子とその製造方法及び磁気メモリ
KR100954507B1 (ko) 자기저항 효과 소자 및 자기 메모리 장치
US7538987B2 (en) CPP spin-valve element
US20120155153A1 (en) Scalable Magnetic Memory Cell With Reduced Write Current
JP2002314164A (ja) 磁気トンネル素子及びその製造方法、薄膜磁気ヘッド、磁気メモリ、並びに磁気センサ
JP2005294376A (ja) 磁気記録素子及び磁気メモリ
JP2000090658A (ja) 磁気メモリ素子
KR20030078766A (ko) 고체 자기 소자 및 고체 자기 소자 어레이
JPH11176149A (ja) 磁性メモリー
JP2003258208A (ja) 磁気メモリ
JP2005229099A (ja) 積層可能な構造を有する高密度磁気ランダムアクセスメモリ(mram)のための方法および装置
US20090176129A1 (en) Galvanomagnetic device and magnetic sensor
JP3868699B2 (ja) 磁気メモリ装置
WO2011081051A1 (ja) 磁気メモリセル及び磁気メモリ
JP2001156358A (ja) 磁気抵抗効果素子および磁気メモリ素子
US6906368B2 (en) Magnetic recording medium and magnetic memory apparatus
JP2002289942A (ja) 巨大磁気抵抗効果素子、磁気抵抗効果型ヘッド、薄膜磁気メモリ、並びに薄膜磁気センサ
JP2005166896A (ja) 磁気メモリ