JPH11174396A - 磁気光学素子及び磁気光学デバイス - Google Patents
磁気光学素子及び磁気光学デバイスInfo
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- JPH11174396A JPH11174396A JP34662097A JP34662097A JPH11174396A JP H11174396 A JPH11174396 A JP H11174396A JP 34662097 A JP34662097 A JP 34662097A JP 34662097 A JP34662097 A JP 34662097A JP H11174396 A JPH11174396 A JP H11174396A
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Abstract
き、各種方面に応用する上で有利な磁気光学素子を提供
する。 【解決手段】 磁気光学素子1が光を回折させるグレー
ティング構造3と、このグレーティング構造3上に形成
された透明磁性膜4とを備えることで、光を入射させた
場合に透明磁性膜4はグレーティング構造3に基づく回
折によって偏光面回転の増大を生じさせる。これによ
り、極めて大きな磁気光学効果を得ることができ、各種
分野への応用に有利となる。
Description
果を生じさせることができ、各種分野に有用に応用し得
る磁気光学素子及び磁気光学デバイスに関する。
偏光を入射させると、その直線偏光は磁性体を通過する
ことにより光の偏光面が回転されることはファラデー効
果として知られている。このようなファラデー効果を有
する材料を用いて磁気記録媒体(磁気光学素子)などが
作られている。
よればイットリウム及び希土類鉄ガーネットとその誘電
体を用いた磁気記録媒体、特開昭61−89605号公
報によれば六方晶フェライトを用いた磁気記録媒体、特
開昭62−119758号公報によればイットリウム鉄
ガーネット粒子を用いた塗布型磁気記録媒体、特開平4
−132029号公報によれば希土類鉄ガーネット微粒
子を用いた塗布型磁気記録媒体等が開示されている。こ
れらの磁気記録媒体は、磁性体或は磁性体微粒子を基体
上に薄膜状に記録層として形成した構造を有している。
このような磁気記録媒体によれば、記録・消去・読出し
を良好に行うことができる。
報類に開示された従来の磁気記録媒体による場合、記録
・消去・読出しなるメモリ的な使用に限られてしまい、
ディスプレイ等の他の用途への応用・転用には不向きな
ものである。また、メモリ的な使用に関しても、必ずし
も十分大きな磁気光学効果が得られるわけではなく、読
出し等のS/Nがよいとは限らない。
効果を得ることができ、各種分野への応用に有用な磁気
光学素子を提供することを目的とする。また、本発明
は、透過型・反射型を問わずディスプレイ等に応用し得
る他、位相板、ビームスプリッタ、光シャッタ等に応用
し得る磁気光学素子及び磁気光学デバイスを提供するこ
とを目的とする。また、本発明は、コントラストの向上
や多色表示でき、薄型化を図れるディスプレイ化が可能
な磁気光学素子及び磁気光学デバイスを提供することを
目的とする。
気光学素子は、光を回折させるグレーティング構造と、
このグレーティング構造上に形成された透明磁性膜とを
備える。従って、グレーティング構造上に透明磁性膜を
設けることにより、光を入射させた場合に回折によって
偏光面回転の増大が生ずることで、極めて大きな磁気光
学効果が得られる。
気光学素子の透明磁性膜が、平均粒子径が200Å以下
のFe,Co,Ni又はこれらの合金の微粒子を含む。
従って、元々磁気光学効果の大きい材料を微粒子にして
用いるので、透明磁性膜を薄くすることができ、光透過
率が向上してコントラストの増大に寄与し得る上に、磁
気光学効果の増大にも寄与し、ディスプレイ等への適用
により適するものとなる。
載の磁気光学素子のグレーティング構造が、そのピッチ
及び溝深さの異なる複数種類を有する。従って、磁気光
学効果を増大させ得る適用波長域が広がることになり、
多色表示のディスプレイ等への適用に適したものとな
る。
3記載の磁気光学素子が、さらに透明磁性膜の外周に配
設されてこの透明磁性膜に磁界を印加する空芯構造のコ
イルを備える。従って、透明磁性膜に効率よく磁界を印
加し得る上に、コイルが同一平面上に配設されているの
で、磁界印加手段を含めて素子の薄型化を図ることがで
きる。この場合、空芯構造であり、磁芯を作製する必要
がないので、作製が容易な上に、透明磁性膜に対する記
録と消去とをコイルに流す電流の向きを変えるだけで簡
単に行える。
面に垂直な方向に磁気異方性を示す透明磁性膜と、透明
磁性膜の外周に配設されてこの透明磁性膜に磁界を印加
する空芯構造のコイルを備える。従って、膜面に垂直な
方向に磁気異方性を示す透明磁性膜に対してその周囲に
配設された空芯構造のコイルにより磁界を印加するよう
にしたので、光を入射させた場合に透明磁性膜の電子ス
ピンと光とが平行のときに最大の磁気光学効果を得るこ
とができ、コントラストが高く薄型のディスプレイ等に
応用し得る。
載の磁気光学素子のコイルが、透明導電膜と透明絶縁膜
との積層構造よりなる。従って、コイル部分を含めて素
子全体の光透過率が高くなり、ディスプレイ等へ適用す
るに当り、一層の高コントラスト化を図れる。
は、請求項1,2,3,4,5又は6記載の磁気光学素
子と、この磁気光学素子の両面を挾む一対の偏光子とを
備える。従って、コントラストの高い透過型の磁気光学
デバイスとなり、透過型のディスプレイ、光シャッタ等
に応用し得る。
は、請求項1,2,3,4,5又は6記載の磁気光学素
子と、この磁気光学素子の一面側に配設される偏光子
と、前記磁気光学素子の他面側に配設される反射膜とを
備える。従って、コントラストの高い反射型の磁気光学
デバイスとなり、反射型のディスプレイ等に応用し得
る。特に、反射膜により光路が往復されることで磁気光
学素子における磁気光学効果が倍増され、極めてコント
ラストの高いデバイスとなる。
載の磁気光学デバイスの磁気光学素子が、同一の透明基
板上に複数個が配設されている。従って、磁気光学デバ
イスにおいて個々の磁気光学素子を個別に点滅させるこ
とでデジタル表示のディスプレイ等に応用し得る。
磁気光学デバイスにおけるグレーティング構造を有する
複数個の磁気光学素子が、その0次回折光の透過軸方向
が磁気光学素子毎に少しずつ異なる。従って、グレーテ
ィング構造によっては入射角依存性を有し、ディスプレ
イ等に応用した場合、視野角が特定の方位に制約される
が、透過軸方向が磁気光学素子毎に少しずつ異なってい
るので、視野角が広くなる。
図5に基づいて説明する。図1は、本実施の形態の磁気
光学素子1の基本的構成例を模式的に示すもので、透明
な基板2の表面を凹凸形状とした直線状のグレーティン
グ構造3と、このグレーティング構造3の表面上に薄膜
形成された透明磁性膜4とを備えた構成とされている。
グレーティング構造3は例えば図1(a)に示すように
矩形状凹凸の繰返し構造であってもよいが、このような
構造に限らず、適宜形状のもの、例えば、図1(b)に
示すような山形状凹凸の繰返し構造であってもよい。こ
の他、三角波形状、正弦波形状等であってもよい。
ング構造3上に透明磁性膜4を設けることで、透過光に
対して極めて大きな磁気光学効果を発揮させることを基
本的な特長とする。本発明者によれば、例えば、膜厚1
000Åの単なる透明磁性膜の磁気光学効果(直線偏光
を通過させたとき、偏光面の回転が生ずる効果)は0.
1°程度で極めて小さいが、本実施の形態の如く、膜厚
1000Åの透明磁性膜4をグレーティング構造3上に
設けると磁気光学効果が30°程度回転することにな
り、約300倍も増大することが見い出されたものであ
る。この場合、透明磁性膜4に+の磁界を印加して0に
戻したとき、+30°回転すると、−の磁界を印加して
0に戻した場合には−30°回転することになり、その
差は60°となる。このような磁気光学素子1だけであ
っても例えば2枚の偏光子でサンドイッチ構造にすれ
ば、十分なコントラストが得られるが、さらに、磁気光
学素子1に対して反射膜を組合せれば、光路が往復する
ことで2倍となるので、上記の条件例で120°回転す
ることとなり、十分なるクロスニコルの直交配置の条件
が得られる。即ち、+磁化部と−磁化部とで大きなコン
トラストが得られる。これが、本実施の形態における基
本的な画像発現原理である。本実施の形態のような磁気
光学素子1の構造により、何故、偏光面回転角が増大す
るかは明らかではないが、グレーティング構造3により
回折が生じることが必須条件である。また、極めて大き
な磁気光学効果は回折を生ずる波長の光で得られる(つ
まり、波長依存性を有する)。
は、ディスプレイへの応用を考慮した場合、主に可視光
が適用対象の光となるが、レーザ光のような単色光を用
いるものとすれば、戻り光をなくすアイソレータ等への
適用も可能となる。もっとも、本実施の形態の磁気光学
素子1は、原理的には、波長の長短は無関係な現象であ
り、グレーティング構造3が回折を生ずるように波長と
同等又はそれ以下に微細であればよく、グレーティング
構造3を形成するための微細加工技術が進めば可視光以
外の短波長であっても適用可能といえる。また、後述す
るような偏光子との組合せは、ディスプレイへの適用に
際しては必要といえるが、磁気光学素子1単独で単色光
を用いる場合であれば位相板やビームスプリッタ等への
適用も可能といえる。
グレーティング構造3は必ずしも目的とする素子の全面
に渡って形成する必要はなく、例えば、図2に示すよう
に、その一部にだけ形成するようにしてもよい。ディス
プレイに応用する場合であっても、素子全面ではなく、
ドットにコントラストがあれば十分である。グレーティ
ング構造3を部分的に形成する場合のサイズとしては特
に制約はないが、直径6〜600μm程度が好ましく、
本実施の形態では、例えば直径100μm程度のサイズ
に分割されている。形状的にも任意であり、円形状、四
角形状等であってよく、特に、後述するように磁気ヘッ
ドとして渦巻状のコイルを周囲に配設する上では図3に
示すように円形状が好ましい。図2及び図3に示す例で
は、直径100μm位の円形状部分にピッチ2μm位、
溝深さ0.4μm位のグレーティング構造3が形成さ
れ、このグレーティング構造3上に膜厚1000Å程度
に透明磁性膜4が形成されている。
は、図2及び図3に示すように、グレーティング構造3
及び透明磁性膜4の外周に位置させて基板2上に磁気ヘ
ッドとして機能するコイル5が形成されている。このコ
イル5はグレーティング構造3部分を磁芯とする如く渦
巻状にパターン形成された空芯構造のものである。具体
的には、透明性の高いITO膜等の透明導電膜6と絶縁
性プラスチックのような透明絶縁膜7との積層構造とし
て形成されている。コイル5の巻数は、透明磁性膜4の
磁気特性や、グレーティング構造3部分の面積(コイル
径)等にもよるが、5〜10ターン程度が好ましい。即
ち、一般にこの種の磁気光学素子では磁性膜に磁気的な
記録・消去を行うための磁気ヘッドを、磁気光学素子に
対して、別途切離し自在に設けている。これは、画像を
記録した後は磁気ヘッドを切離すことで磁気光学素子の
携帯性を向上させたり、磁気光学素子自体の作製を容易
にするためであるが、反面、切離し自在な磁気ヘッドに
よると位置合わせが難しく磁気光学素子の同じ箇所に再
記録したり前の画像を消去することが困難であり、素子
自体も磁気ヘッドの厚み分を加えた厚みとなるため、厚
めになりやすい欠点がある。さらには、大きな磁束密度
を外部に取り出すため、パーマロイ等の高透磁率材料を
磁芯としAuコイルを巻回してなる構造の磁気ヘッドを
用いる場合が多い。この点、本実施の形態では、空芯構
造のコイル5を用いて磁界を発生させているが、コイル
5の中心に対象となる透明磁性膜4を位置させているの
で磁束を有効に利用できる。よって、磁芯を作製しない
分、コイル5の作製が容易な上に、グレーティング構造
3の周囲にコイル5も一体化させているので、磁気光学
素子1として薄型化構造を容易に実現できる。加えて、
コイル5に流す電流の方向を変えるだけで、記録と消去
とを切換えることができる。よって、空間変調素子とし
て応用することも可能となる。
コイル5を備えた磁気光学素子1の表裏両面に一対の偏
光子9,10を配設することにより透過型の磁気光学デ
バイス11として構成されている。これにより、透過型
のディスプレイや光シャッタへの適用が可能とされてい
る。
1を複数個とし、これらの磁気光学素子1を、同一の透
明基板上に2次元的に配設させた磁気光学デバイス構成
とすれば、個々の磁気光学素子1を点滅(磁化の有無を
切換える)させれば、デジタル表示可能なディスプレイ
として利用できる。また、0次光の回折効率や回折減衰
などはグレーティング構造3のピッチ、溝深さ等により
変更し得ることは知られているので、グレーティング構
造3に関して、そのピッチ及び溝深さを異ならせた複数
種類のグレーティング構造を形成しておけば、磁気光学
効果を増大させ得る波長域を広げることができる。例え
ば、500nmの波長光と600nmの波長光とで回折
するように2種類のグレーティング構造を作り込んでお
けば、2色の光に対してスイッチングすることができ
る。さらに、R,G,Bの3色の光の波長に対応させて
3種類のグレーティング構造を作り込んでおけば、カラ
ーフィルタ不要の明るいカラーディスプレイ化を図れ
る。
は、前述したようにその凹凸形状を問わないが、例え
ば、正弦波形状に形成した場合、光の入射角によって磁
気光学効果の増大率が異なるという入射角依存性を有す
る。この点を考慮した場合には、例えば、図4に示すよ
うに、グレーティング構造3を有する複数個の磁気光学
素子1に関して、その0次回折光の透過軸方向を磁気光
学素子1毎に少しずつ異ならせておけば、このような磁
気光学素子1が2次元的に配設された磁気光学デバイス
構成によるディスプレイとした場合の視野角を広げるこ
とができ、見やすくなる。これは、例えばグレーティン
グ構造3を形成する微細加工時に、直径100μmとす
る場合であれば、10μm毎に方位を変化させることに
より実現できる。
その溝部分とグレーティング材料(基板材料)との屈折
率が異なることが回折を生じさせるために原理上必要で
あり、図2に示す例では屈折率が約1.46の石英基板
に対して溝部分を空気(屈折率1)なる空間12として
いる。もっとも、基板材料と屈折率が異なる材料を用い
るのであれば、溝部分を充填させてもよい。
では、磁気光学デバイス11のような透過型に限らず、
例えば、図5に例示するように反射型の磁気光学デバイ
ス13として構成してもよい。即ち、偏光子は入射側だ
けの1枚の偏光子9のみとし、他面には反射膜14を備
えた構造である。15は基板である。この際、磁気光学
素子1のグレーティング構造3、透明磁性膜4側は何れ
側に配設させてよいが、図示例の如く、反射膜14側と
なるように配設したほうが回折光の散乱が生じにくい点
で好ましい。このような反射型構造によれば、前述した
ように光路が往復することで磁気光学効果が2倍となる
ので、例えば120°回転させることができ、十分なる
クロスニコルの直交配置の条件が得られる。
ず、透明な基板2としては、例えば、以下のようなもの
を用い得る。即ち、MMA樹脂、PMMA樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル系樹
脂、スチレン系樹脂、ABS樹脂、ポリアリレート、ポ
リスチレン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォ
ン、エポキシ樹脂、ポリ‐4‐メチルベンテン‐1、フ
ッ素化ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、フエノキシ樹脂、
ポリオレフィン系樹脂、ジエチレングリコールビスアリ
ルカーボネート、ナイロン樹脂、フルオレン系ポリマー
等の透明プラスチックに代表される有機物や、ガラス、
石英、アルミナ等の無機透明材料を用い得る。ちなみ
に、反射型の磁気光学デバイス13の場合における基板
15は透明である必要はなく、一般的なセラミックス、
無機材料、フィルム材料等を用い得る。
する磁気光学特性が重要となってくるが、例えば、F
e,Co,Ni或はこれらの合金の微粒子(1000Å
以下)を用いた透明磁性膜4とすれば、透明性が40%
程度と高い上に、長短波長での自身の磁気光学効果が大
きい点でも好ましい。即ち、これらの材料によれば、最
も大きなファラデー回転角を有し、かつ、金属であるた
め、良好なる導電体であるので、そのまま直接透明磁性
膜4として用いるのが望ましい。また、これらの材料に
関して1000Å以下に微粒子化させたものを用いれ
ば、透明磁性膜4の膜面内に磁気異方性を持たせて保磁
力を高めることもできる。このことは、これらの材料の
粒径をコントロールすることによって保磁力を任意に変
化させ得ることを意味する。これらの材料を用いて透明
磁性膜4を作製するには、希ガス中蒸着の際に、僅かに
(数100mTorr)空気を導入することが望ましい。も
っとも、透明磁性膜4は一般的な磁性材料を用いて形成
してもよい。例えば、γ‐Fe2O3,Fe3O4,FeN
x ,Baフェライト、Coフェライト等のフェライト、
希土類鉄ガーネット、PtCo,FeTb,GdCo,
GdFe,MnBi,MnCuBi等の比較的透明な強
磁性体を用い得る。
対して直線偏光を出射し得る機能を有すればよく、市販
されている一般のフィルム偏光子(2色性素子として、
ヨウ素或は染料を吸着させ、ポリビニルアルコール(P
VA)フィルムを1軸延伸した偏光子の両側に保護層で
支持されている)や、偏光プリズム、偏光ビームスプリ
ッタ、ワイヤグリッドポラライザ等を適宜用い得る。
うな磁気光学素子1ないしは磁気光学デバイス11又は
13と同等の機能を持たせる上では、透明基板上に膜面
に垂直な磁気異方性を有する単なる透明磁性膜を形成
し、この透明磁性膜の外周に位置させて同一の透明基板
上にコイル5と同様にこの透明磁性膜に磁界を印加する
空芯構造のコイルを形成した磁気光学素子としてもよ
い。透明磁性膜が膜面に垂直な磁気異方性を持つことに
より、入射光がこの透明磁性膜の電子スピンと平行なと
きに最大の磁気光学効果を示すことになり、このような
透明磁性膜に対してコイルによる印加磁界が効率よく印
加されるため、コントラストの高いディスプレイとして
応用し得る。
な構成例を実施例1〜7として、比較例1とともに説明
する。
厚の石英基板(基板2)の片面に、Cr2O3,Crなる
2層を合計膜厚が120nmとなるように形成し、さら
にその表面にポジ型レジスト膜を形成した。このレジス
ト膜上にフォトマスクを配置し、紫外線を用いて、グレ
ーティング構造3が図6に示すピッチL=1.0μmと
なるように露光し、ウェットエッチング法を用いてレジ
スト膜をエッチングし、さらに、フッ素系ガスを用いて
石英基板表面をエッチングすることにより溝深さH=
0.6μmとなるように加工することでグレーティング
構造3を形成した。次に、レジスト膜を剥離した。この
ような石英基板の加工表面(グレーティング構造3表
面)に、ガス中蒸着法を用いて、基板加熱なしで、鉄微
粒子膜(透明磁性膜4)を蒸着した。使用したArガス
は50CCM の流量で流し、全圧力で1.0Paとした。
平均膜厚は90nmであった。透過型電子顕微鏡で測定
したこの鉄微粒子膜の平均粒子径は6nmであった。膜
の組成は、66%が鉄で、残りが酸素、炭素及び窒素で
あった。平坦部で測定した鉄微粒子膜の保磁力は350
Oe、面内方向の角型比は0.82で、面内磁気異方性
を有する膜であった。
に関して、日本分光株式会社製磁気光学効果測定装置K
250型で、波長依存性(縦軸は回転角deg)を測定
する(入射光の偏光面とグレーティング溝方向とは直角
に配置)と、波長670nmにピークが現れたものであ
る。波長を670nm、最大印加磁界15kガウスとし
て、ヒステリシスを測定したところ、印加磁界を15k
ガウス、0ガウスとした場合の偏光面回転角は各々21
°,19°であった。ちなみに、上述したガス中蒸着法
で同時に、石英基板平坦部に単に成膜された90nm厚
の鉄微粒子膜を、同様に、波長670nmの光で測定す
ると、0ガウスにした場合の偏光面回転角は0.1°で
あった。よって、本実施例構造の磁気光学素子1によれ
ば、190倍の磁気光学効果の増大効果が得られたもの
である。
様にして、石英基板の片面に断面形状が矩形で(図1
(a)参照)、ピッチL=1.0μm、溝深さH=0.
4μmのグレーティング構造3を作製し、その上に、鉄
微粒子膜を形成して、磁気光学素子1を作製した。この
ような磁気光学素子1では、波長依存性測定におけるピ
ーク波長は540nmであったが、偏光面回転角は21
°であり、210倍の増大効果が得られたものである。
いたフォトマスクに関して、直径50μmの凸部とその
凸部表面に断面形状が矩形で(図2及び図3参照)、ピ
ッチL=1.0μm、溝深さH=0.4μmのグレーテ
ィング構造3が複数並列して配設可能なように製作し、
それ以外の点は、実施例1の場合と同様にして石英基板
の片面を加工した。このような石英基板の加工面表面
に、インジウム‐錫酸化物(ITO)膜(透明導電膜
6)をスパッタ法を用いて基板表面より高くなるように
厚く成膜した(図2参照)。次に、フォトリソグラフィ
法を用いて、凸部の回りに10ターン分のコイル5をパ
ターン形成した。コイル5間には絶縁性透明樹脂(透明
絶縁膜7)を充填した後、実施例1のようにして表面に
鉄微粒子膜を形成し、絶縁性透明樹脂表面を研磨して平
坦化した。このような磁気光学素子1両面に対して市販
の2色性物質にヨウ素を用いたフィルム偏光子(偏光子
9,10)を配設してサンドイッチ構造として、表示素
子なる磁気光学デバイス11を作製した。このような表
示素子は高い透明性を有していた。そこで、コイル5に
250mAの直流電流を瞬間的に流し、続いて、電極を
切換えて逆方向の電流を流した。このような電流方向の
切換えにより、グレーティング構造3部位は明と暗(点
滅)を繰り返すことが確認された。即ち、電流方向の切
換えだけで鉄微粒子膜に対する記録・消去を行える。こ
のようにコイル5なる磁気ヘッド部分を素子ないしはデ
バイス中に同一平面的に一体的に含めることで、素子外
部より磁気ヘッドや磁石により磁界を印加する方法に比
して、素子全体の厚みを薄く、かつ、軽くすることがで
きる。
いて、1つの凸部のグレーティング構造3に関する溝深
さHを0.6μmと0.4μmとの2種類として半分ず
つ加工してグレーティング構造3を形成した。後は、実
施例3の場合と全く同様にして、表示素子なる磁気光学
デバイス11を作製した。このようなデバイスにおい
て、グレーティング構造3中で溝深さHが0.6μmの
部位では実施例3の場合と同様に波長670nmにピー
クが現れたが、溝深さHが0.4μmの部位では波長5
50nmにピークが現れたものである。このため、大き
な磁気光学効果を示す波長範囲が広くなり、実施例3の
場合よりもコントラストが明瞭になったものである。ま
た、同様の構成で、グレーティング構造3に関するピッ
チLを0.6〜1.6μmの範囲で連続的に変化させた
場合には、さらにコントラストが明瞭になったものであ
る。
の平行度を1°以内として20×20×1mmのサイズ
の石英基板を用意した。そして、実施例3で作製した石
英基板の凸部表面が基板裏面に対して3〜10°傾くよ
うに、凸部をマスクしながら、エッチング及びグレーテ
ィング構造の加工を行った。後は、実施例3の場合と全
く同様にして、表示素子なる磁気光学デバイス11を作
製した。このようなデバイスによれば、実施例3のデバ
イスでは基板裏面方向に直角な方位でしか確認できなか
ったコントラストを、傾斜した方位からでも確認できた
ものである。
うな構成の磁気光学デバイス11に関して、偏光子9に
代えてアルミニウムによる反射膜を設けた構成として実
施例3の如く反射型の磁気光学素子を構成したところ、
光は反射して2度透明磁性膜4を通過するため、コント
ラストは2倍となったものである。
製した直径50μmの凸部は、実施例3の場合よりも半
分に低くし、表面にはグレーティング構造3を加工しな
かった。そして、直径50μmの凸部にはスパッタリン
グ法を用いてBi置換希土類鉄ガーネット膜(透明磁性
膜)を膜厚900nmで成膜した。ターゲット組成は、
Bi2Gd1Fe3.8Al1.2O12であった。基板温度を4
00℃として作製した後、680℃で3時間空気中加熱
した。単なる平坦部に同時に作製した膜の保磁力は40
0Oeで、ヒステリシスからは強い垂直磁気異方性を有
していることが判った。実施例1と同様にして、磁気光
学効果を測定すると、波長520nm付近に回転のピー
クを有しており、波長520nmで測定したヒステリシ
スでは角型比は1であった。また、回転角は6°/μm
であった。次に、実施例3の場合と同様にしてITO膜
によるコイル5を作製した。2枚の偏光子で挾んだ構造
として実施例3の場合と同様にコイル5に電流を流す
と、電流方向の異なる素子群の間には、明確なコントラ
ストが確認できたものである。
e3.8Al1.2O12とした他は、実施例7の場合と全く同
様にして磁気光学素子を作製した。膜の保磁力は200
Oeで、ヒステリスから角型比は0.47であり、垂直
磁気異方性が低いことが判った。次に、実施例3の場合
と同様にして、ITO膜によるコイルを作製し、さら
に、表裏両面を2枚の偏光子で挾んだサンドイッチ構造
として、実施例3の場合と同様に電流を流したところ、
電流方向の異なる素子群間のコントラストは確認できな
かったものである。
れば、光を回折させるグレーティング構造と、このグレ
ーティング構造上に形成された透明磁性膜とを備えるの
で、光を入射させた場合に回折によって偏光面回転の増
大を生じさせて、極めて大きな磁気光学効果を得ること
ができ、各種分野への応用に有利となる。
載の磁気光学素子の透明磁性膜が、平均粒子径が200
Å以下のFe,Co,Ni又はこれらの合金の微粒子を
含むことで、元々磁気光学効果の大きい材料を微粒子に
して用いるので、透明磁性膜を薄くすることができ、光
透過率が向上してコントラストの増大に寄与し得る上
に、磁気光学効果の増大にも寄与し、ディスプレイ等へ
の適用により適するものとなる。
は2記載の磁気光学素子のグレーティング構造が、その
ピッチ及び溝深さの異なる複数種類を有するので、磁気
光学効果を増大させ得る適用波長域が広がることにな
り、多色表示のディスプレイ等への適用に適したものと
なる。
2又は3記載の磁気光学素子が、さらに透明磁性膜の外
周に配設されてこの透明磁性膜に磁界を印加する空芯構
造のコイルを備えるので、透明磁性膜に効率よく磁界を
印加し得る上に、コイルが同一平面上に配設されている
ので、磁界印加手段を含めて素子の薄型化を図ることが
でき、この場合、空芯構造であり、磁芯を作製する必要
がないので、作製が容易な上に、透明磁性膜に対する記
録と消去とをコイルに流す電流の向きを変えるだけで簡
単に行える。
ば、膜面に垂直な方向に磁気異方性を示す透明磁性膜
と、透明磁性膜の外周に配設されてこの透明磁性膜に磁
界を印加する空芯構造のコイルを備え、膜面に垂直な方
向に磁気異方性を示す透明磁性膜に対してその周囲に配
設された空芯構造のコイルにより磁界を印加するように
したので、光を入射させた場合に透明磁性膜の電子スピ
ンと光とが平行のときに最大の磁気光学効果を得ること
ができ、コントラストが高く薄型のディスプレイ等に応
用することができる。
は5記載の磁気光学素子のコイルが、透明導電膜と透明
絶縁膜との積層構造よりなるので、コイル部分を含めて
素子全体の光透過率が高くなり、ディスプレイ等へ適用
するに当り、一層の高コントラスト化を図ることができ
る。
よれば、請求項1,2,3,4,5又は6記載の磁気光
学素子と、この磁気光学素子の両面を挾む一対の偏光子
とを備えるので、コントラストの高い透過型の磁気光学
デバイスとなり、透過型のディスプレイ、光シャッタ等
に応用することができる。
よれば、請求項1,2,3,4,5又は6記載の磁気光
学素子と、この磁気光学素子の一面側に配設される偏光
子と、前記磁気光学素子の他面側に配設される反射膜と
を備えるので、コントラストの高い反射型の磁気光学デ
バイスとなり、反射型のディスプレイ等に応用すること
ができ、特に、反射膜により光路が往復されることで磁
気光学素子における磁気光学効果が倍増されることで、
極めてコントラストの高いデバイスとすることができ
る。
は8記載の磁気光学デバイスの磁気光学素子が、同一の
透明基板上に複数個が配設されているので、磁気光学デ
バイスにおいて個々の磁気光学素子を個別に点滅させる
ことでデジタル表示のディスプレイ等に応用することが
できる。
記載の磁気光学デバイスにおけるグレーティング構造を
有する複数個の磁気光学素子が、その0次回折光の透過
軸方向が磁気光学素子毎に少しずつ異なるので、グレー
ティング構造によっては入射角依存性を有し、ディスプ
レイ等に応用した場合、視野角が特定の方位に制約され
るものの、透過軸方向が磁気光学素子毎に少しずつ異な
っているので、視野角を広くすることができ、見やすい
ディスプレイ等に応用できる。
示す模式的断面図である。
である。
図である。
る。
的断面図である。
る。
Claims (10)
- 【請求項1】 光を回折させるグレーティング構造と、
このグレーティング構造上に形成された透明磁性膜とを
備える磁気光学素子。 - 【請求項2】 透明磁性膜は、平均粒子径が200Å以
下のFe,Co,Ni又はこれらの合金の微粒子を含む
請求項1記載の磁気光学素子。 - 【請求項3】 グレーティング構造は、そのピッチ及び
溝深さの異なる複数種類を有する請求項1又は2記載の
磁気光学素子。 - 【請求項4】 透明磁性膜の外周に配設されてこの透明
磁性膜に磁界を印加する空芯構造のコイルを備える請求
項1,2又は3記載の磁気光学素子。 - 【請求項5】 膜面に垂直な方向に磁気異方性を示す透
明磁性膜と、透明磁性膜の外周に配設されてこの透明磁
性膜に磁界を印加する空芯構造のコイルを備える磁気光
学素子。 - 【請求項6】 コイルは、透明導電膜と透明絶縁膜との
積層構造よりなる請求項4又は5記載の磁気光学素子。 - 【請求項7】 請求項1,2,3,4,5又は6記載の
磁気光学素子と、 この磁気光学素子の両面を挾む一対の偏光子と、を備え
る磁気光学デバイス。 - 【請求項8】 請求項1,2,3,4,5又は6記載の
磁気光学素子と、 この磁気光学素子の一面側に配設される偏光子と、 前記磁気光学素子の他面側に配設される反射膜と、を備
える磁気光学デバイス。 - 【請求項9】 磁気光学素子は、同一の透明基板上に複
数個が配設されている請求項7又は8記載の磁気光学デ
バイス。 - 【請求項10】 グレーティング構造を有する複数個の
磁気光学素子は、その0次回折光の透過軸方向が磁気光
学素子毎に少しずつ異なる請求項9記載の磁気光学デバ
イス。
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- 1997-12-16 JP JP34662097A patent/JP3753853B2/ja not_active Expired - Fee Related
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