JP3654553B2 - 光学素子 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は光学素子に係り、特に可視光に対して透明性に優れ、円偏光を直線偏光にする偏光子や直線偏光の偏光面を回転させる磁気光学素子として用いられる光学素子に関するものである。従って、例えば可視光用ディスプレイ等に広く応用される。
【0002】
【従来の技術】
従来の偏光子の主な例とその問題点を以下に列挙する。
(1)特開平1−93702号公報に開示された偏光板この偏光板は、強磁性体微粒子からなる多数の捧状素子を含む偏光層を基板表面に一定方向に配列して固着形成したもの、即ち棒状の強磁性体を一定方向に並べたものである。従って、その製造が容易で、且つ光学的特性に優れた偏光板及びその製造方法を提供することができる。
【0003】
しかし、この偏光板は、偏光層の配列のバラツキが大きく、また捧状素子材料自体の形状のバラツキも大きいという欠点を有している。また、材料は光の吸収と屈折率が大きいことが必要であるが、この点で好ましいとはいえない。
【0004】
(2)ワイヤグリッド偏光子この偏光子は、1μmより長波長の光に対して機能する偏光子であって、臭化銀、ポリエチレン等の透明基板に微小な間隔で金やAl(アルミニウム)の線を引いたものである。この場合、線の間隔をd、波長をλとすると、λ>dの波長の光に対して、透過光は線に垂直な振動面をもつほぼ完全な直線偏光になる。中赤外用(λ=2.5μm〜25μm)としては臭化銀基板にd=0.3μm間隔で金線を引いたものが用いられ、遠赤外用(λ=16μm〜100μm)としてはポリエチレン板にd=0.7μmでAlを引いたものが用いられる。また、偏光度は80%程度といわれる。
【0005】
しかし、このワイヤグリッド偏光子は長波長の赤外線用の偏光子であり、可視光に対しては機能しない。また、このワイヤ法においては、線幅を50nm以下に細くすることはできないという欠点もある。
【0006】
(3)コーニング社製「ポーラコア」
このポーラコア(商品名)は、長く延伸させた金属銀をガラス自身の中に一方向に配列させることにより偏光特性をもたせたガラス材料であり、従来の有機物偏光素子と異なり、耐熱性、耐温性、耐化学薬品性、及びレーザに対する耐性に非常に優れている。赤外線用が主であるが、特殊仕様として可視光用もある。
【0007】
しかし、可視光用のポーラコアは外観上茶色であり、従来利用されている有機物偏光素子と同様に、表示デバイスでは暗くなってコントラスト(明暗の差)が付かず利用することができないという問題がある。しかも、価格も高価であリ、またサイズが大きいものの製品化が因難であるという欠点もある。更に、光透過率も、400〜800nmで85%程度(2mm厚のとき)と不十分である。
【0008】
(4)マイクロワイヤアレイこのマイクロワイヤアレイは、東北大学のグループから報告されたものであり、赤外線用にAlの表面を陽極酸化させてアルミナとし、微細な穴を開けてこの中にNi(ニッケル)やCu(銅)などの金属を入れ偏光子として用いるものである。このマイクロワイヤアレイについては、可視光域の光透過データが十分には明らかにされていないが、主たる利用範囲である赤外線での透過率も86%以下と低い。また、このグループはガラス層間に島状金属粒子層を挿入して引き延ばし、偏光子を得ているが、可視光領域での偏光度は不十分であり、やはり長波長の赤外線用である。
【0009】
(5)積層型偏光子この積層型偏光子は、東北大学の電気通信研究所の川上彰二郎教授により発表されているもので、可視光用としては、RF(高周波)スパッタリング法を用いて、6〜8nmの厚みのGe(ゲルマニウム)層と1μmの厚みのSiO2 層を交互に60μmの厚みになるまで積層して作製したものである。そして、0.6μmの波長で測定した性能指数αTE/αTM(TE波とTM波に対する消衰定数の比)は400近く、0.8μmの波長で測定した消光比は35dB、挿入損失は0.18dBであリ、可視光に対して十分なものである。
【0010】
しかし、この積層型偏光子は、スパッタリング法で作製されるため、せいぜい50〜100μm程度の厚みでしか作製することができない。従って、この基板上の薄膜から3〜35μm厚みのスライス状に切り出して用いる。用途は光センシングシステムや光導波路デバイス等への組込素子として利用され、850nm以上の波長ではラミボールの名称で同様の製法を用いたものが住友大阪セメント(株)から販売されているが、この製法を用いる限り大面積のものは作製不可能であるという欠点がある。
【0011】
この他にも、本発明者が提案した先行技術として、10nm以下の金属又は半導体粒子を有機溶剤中に分散させて、透明な支持板の上に直線状に塗布し、焼成することにより偏光子を形成するようにした技術がある。しかし、可視光用ディスプレイ等に広く応用するためには、まだ改良の余地があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来から種々の偏光子が提案されているが、可視光用ディスプレイ等に広く応用するためには、それぞれに種々の問題点を有している。
そこで本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、大面積の可視光用偏光子を容易に作製することが可能であること、可視光の光透過率が高いこと、可視光域で機能する表示デバイスに用いることが可能なように着色されていないことを全て満足する光学素子を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するための手段として、一般的なリソグラフィ技術を用いて透明支持体上に細線を設ける方法により作製される偏光子を既に提案している(特願平8−329198号公報参照)。即ち、本提案に係る偏光子は、可視光に対して透明な支持体の表面に、凹形の溝をフォトリソグラフィ技術を用いて直線状に且つ互いに平行になるように複数列形成する工程と、この溝を形成した支持体に半導体又は金属よりなる薄膜を形成する工程と、この薄膜のうち、凹形の溝内の側壁表面に形成された部分のみが支持体上に残存するようにエッチング処理を行うことにより、この残存した薄膜によって細線を形成するようにした工程とを含む方法より製造されることを特徴とする。こうして、細線における高さと幅の比、即ちアスペクト比を大きくし、光の透過率を向上させると共に、偏光度を高くし、且つディスプレイ用に好ましい無色透明である偏光子を得ることができた。
【0014】
本発明者は、更に研究を進め、偏光子に斜めから光が入射する場合であっても、視斜角が小さいことによる影響を減少させて、偏光子機能を十分に発揮させることが可能なように改良を加えることとした。また、偏光子機能のみならず、偏光面が回転する、いわゆるファラデー回転効果が現れる磁性機能を発揮させ、一般的な光磁気記録媒体としても使用することが可能なように改良を加えることとした。このようにして、以下の本発明に係る光学素子を見い出した。
【0015】
請求項1に係る光学素子は、可視光に対して透明で、裏面が平坦な支持体の表面に直線状の溝が数列形成され、これら直線状の溝内の底面及び両側面、並びに前記溝間の前記支持体表面に所定厚さの薄膜が形成され、該薄膜の全面に屈折率が前記支持体と同じ支持層が形成され、該支持層の表面が前記支持体の裏面に対して平行面をなし、
前記溝内の底面及び前記溝間の前記支持体の表面が、前記支持体の裏面に対して平行面をなし、前記溝内の両側面が、弓形に湾曲する曲面をなしていることを特徴とする。
【0016】
本発明の光学素子は以下の工程、即ち可視光に対して透明な支持体の表面に、所定の深さの溝を等間隔をおいて直線状に複数列形成する第1の工程と、これらの溝内の底面及び両側面並びに溝間の支持体の表面に、所定の厚さの薄膜を形成する第2の工程と、基体全面に、支持体と同じ屈折率の支持層を形成した後、支持層の表面を平坦化して、支持体の裏面に対して平行にする第3の工程とを有する方法により製造される。
【0017】
このように請求項1に係る光学素子においては、可視光に対して透明な支持体と支持層との間に薄膜が形成され、支持体の表面に形成された溝の形状に沿って凹凸形状の断面をなすと共に奥行き方向に直線状に延びていることにより、このように断面が凹凸形状をなし奥行き方向に直線状に延びている薄膜(以下、「直線格子状の薄膜」という)が支持体と支持層との嵌合面全体にわたって設けられているため、この直線格子状の薄膜が導電性と光を吸収しない透明性を有する場合、入射した可視光と相互作用して、円偏光を直線偏光にする偏光子機能を発揮して、偏光度が高くなると共に、光透過率も高くなる。また、この直線格子状の薄膜が適当な保磁力を有し、ファラデー回転角が大きく、磁気異方性が等方的である場合、入射した可視光と相互作用して、偏光面が回転するファラデー回転効果を奏する磁性機能が発揮される。
【0018】
また、請求項1に係る光学素子においては、可視光に対して透明な支持体と支持層との間に全体にわたって形成された直線格子状の薄膜が、両側面が弓形に湾曲している凹部と凸部とが交互に繰り返される凹凸形状の断面をなすことにより、この直線格子状の薄膜が導電性と透明性を有して偏光子機能を発揮する際、斜めに入射する可視光の視斜角が小さい場合であっても、十分な偏光子機能が発揮される。また、この直線格子状の薄膜が適当な保磁力を有し、ファラデー回転角が大きく、磁気異方性が等方的であってファラデー回転効果を奏する磁性機能を発揮する際、斜めに入射する可視光の視斜角が小さい場合であっても、十分なファラデー回転効果を奏する。
【0019】
また、請求項2に係る光学素子は、上記請求項1に係る光学素子において、支持体の表面に直線状に等間隔をおいて複数列形成された溝が複数のパターンに配置され、複数列の溝のピッチがこれら複数のパターンの各パターン間で互いに異なっていることを特徴とする。
【0020】
このように請求項2に係る光学素子においては、可視光に対して透明な支持体と支持層との間に全体にわたって形成された直線格子状の薄膜が、互いにピッチの異なる複数種類のパターンを有していることにより、複数種類の波長の入射可視光との相互作用が可能となり、この直線格子状の薄膜と相互作用する可視光の波長範囲が拡大するため、この直線格子状の薄膜が導電性と透明性を有して偏光子機能を発揮する場合であっても、適当な保磁力を有し、ファラデー回転角が大きく、磁気異方性が等方的であってファラデー回転効果を奏する磁性機能を発揮する場合であっても、その波長依存性が低減される。
【0021】
請求項3に係る光学素子は、可視光に対して透明で、裏面が平坦な支持体の表面に直線状の溝が数列形成され、これら直線状の溝内の底面及び両側面、並びに前記溝間の前記支持体表面に所定厚さの薄膜が形成され、該薄膜の全面に屈折率が前記支持体と同じ支持層 が形成され、該支持層の表面が前記支持体の裏面に対して平行面をなし、
前記溝内の底面及び前記溝間の前記支持体の表面が、前記支持体の裏面に対して平行面をなし、
前記溝内の両側面が前記支持体の裏面に対して垂直面をなし、
前記支持体の表面に直線状に等間隔をおいて複数列形成された前記溝が複数のパターンに配置され、前記複数列の溝のピッチが前記複数のパターンの各パターン間で互いに異なっていることを特徴とする。
【0022】
請求項4に係る光学素子は、可視光に対して透明で、裏面が平坦な支持体の表面に直線状の溝が数列形成され、これら直線状の溝内の底面及び両側面、並びに前記溝間の前記支持体表面に所定厚さの薄膜が形成され、該薄膜の全面に屈折率が前記支持体と同じ支持層が形成され、該支持層の表面が前記支持体の裏面に対して平行面をなし、
前記溝内の底面及び前記溝間の前記支持体の表面が、前記支持体の裏面に対して平行面をなし、
前記溝内の両側面が前記支持体の裏面に対して傾斜面をなし、
前記支持体の表面に直線状に等間隔をおいて複数列形成された前記溝が複数のパターンに配置され、前記複数列の溝のピッチが前記複数のパターンの各パターン間で互いに異なっていることを特徴とする。
【0023】
このように請求項3,4に係る光学素子においては、可視光に対して透明な支持体と支持層との間に全体にわたって形成された直線格子状の薄膜が、互いにピッチの異なる複数種類のパターンを有していることにより、請求項2に係る光学素子の場合と同様の効果が得られる。
【0024】
また、請求項5に係る光学素子は、上記請求項1〜4に係る光学素子において、支持体の表面に形成された溝の直線形状が、微視的には薄膜の最大厚さの範囲内で凹凸形状をなしている直線形状であることを特徴とする。
【0025】
このように請求項5に係る光学素子においては、支持体の表面に形成された溝の直線形状が微視的には凹凸形状をなしていることにより、溝内の両側面に形成された薄膜の実効的な長さが長くなるため、この直線格子状の薄膜が適当な保磁力を有し、ファラデー回転角が大きく、磁気異方性が等方的であってファラデー回転効果を奏する磁性機能を発揮する際には、磁性体としての体積が増加して、磁気光学効果が増大する。
【0026】
また、請求項6に係る光学素子は、可視光に対して透明で、裏面が平坦な支持体の表面に直線状の溝が数列形成され、これら直線状の溝内の両側面に所定厚さの薄膜が形成され、屈折率が前記支持体と同じ支持層が、前記薄膜の全面及び溝内の底面、並びに前記溝間の支持体の表面を覆う形態で形成され、前記溝内の底面及び前記溝間の支持体の表面が前記支持体の裏面に対して平行面をなし、前記溝内の両側面が弓形に湾曲する曲面をなしていることを特徴とする。
【0027】
請求項6に係る光学素子は、上記請求項1に係る光学素子を製造する方法において、前記第2の工程と前記第3の工程との間に、溝内の底面上の薄膜及び溝間の支持体の表面上の薄膜を選択的に除去し、溝内の両側面上の薄膜のみを残存させる工程を有する方法により製造することができる。
【0028】
このように請求項6に係る光学素子においては、弓形に湾曲している溝内の両側面上に薄膜が形成されている一方で、支持体裏面に対して平行面をなしている溝内の底面及び溝間の支持体表面には薄膜が形成されていないことにより、上記請求項1に係る光学素子の場合と同様の作用を奏すると共に、その際の入射可視光の透過率が更に向上する。
【0029】
また、請求項7に係る光学素子は、上記請求項1〜6に係る光学素子において、溝のピッチが0.2μm乃至2μmであり、溝の深さが0.1μm〜5.0μmであり、薄膜の厚さが5nm〜50nmであることを特徴とする。
【0030】
このように請求項7に係る光学素子においては、溝のピッチが0.2μm乃至2μmであることにより、こうした溝の形状に沿って形成された直線格子状の薄膜は入射する可視光と相互作用が生じ、上記請求項1〜6に係る光学素子の作用を奏することが可能になる。また、溝の深さが0.1μm〜5.0μmであり、薄膜の厚さが5nm〜100nmであることにより、薄膜のアスペクト比が十分に大きくなり、入射する可視光との相互作用が強くなるため、この直線格子状の薄膜が導電性と透明性を有する場合には十分な偏光子機能を発揮して、薄膜が適当な保磁力を有し、ファラデー回転角が大きく、磁気異方性が等方的である場合には十分なファラデー回転効果を奏する磁性機能が発揮される。
【0031】
また、請求項8に係る光学素子は、上記請求項7に係る光学素子において、薄膜が半導体膜又は金属膜であることを特徴とする。
【0032】
このように請求項8に係る光学素子においては、支持体と支持層との嵌合面に設けられている直線格子状の薄膜が厚さ5nm〜100nmの半導体膜又は金属膜からなることにより、この直線格子状の薄膜が導電性を有すると共に、入射する可視光に対する透明性を有するため、円偏光を直線偏光にする偏光子機能を発揮する。
【0033】
また、請求項9に係る光学素子は、上記請求項8に係る光学素子において、薄膜が強磁性微粒子を含有していることを特徴とする。
【0034】
このように請求項9に係る光学素子においては、支持体と支持層との嵌合面に設けられている直線格子状の薄膜が強磁性微粒子を含有していることにより、この直線格子状の薄膜が適当な保磁力を有し、ファラデー回転角が大きく、磁気異方性が等方的であるため、偏光面が回転するファラデー回転効果を奏する磁性機能が発揮される。なお、上記請求項9に係る光学素子において、強磁性微粒子としては、平均粒子径2〜50nmのFe(鉄)、Co(コバルト)、Ni、又はこれらの合金の微粒子であることが好適である。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら参考例1〜4および、本発明の実施例1〜3について説明する。
(参考例1)
参考例1に係る光学素子を、図1の断面図を用いて説明する。図1に示されるように、可視光に対して透明な支持体として用いる厚さ1mmの石英基板10表面に、幅0.75μm、深さ0.75μmの溝が間隔0.75μmをおいて図面の奥行き方向に直線状に複数列形成されている。そして、この石英基板10表面の各溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10表面は、石英基板10裏面に対して平行面をなしており、各溝内の両側面は、石英基板10裏面に対して垂直面をなしている。
【0036】
また、このような溝によって凹凸形状をなしている石英基板10表面上には、石英基板10と同じ屈折率をもつSiO2 膜(シリコン酸化膜)20が嵌合して設けられている。即ち、SiO2
膜20裏面も、石英基板10表面と同様に、図面の奥行き方向に直線状に延びる複数列の溝が形成され、その断面が凹凸形状をなすと共に、石英基板10表面及びSiO2 膜20裏面のそれぞれの凹部と凸部とが互いにかみ合った状態をなしている。また、このSiO2 膜20表面は平坦化されて、石英基板10裏面に対して平行面をなしている。
【0037】
そして、これら互いに嵌合している石英基板10表面とSiO2 膜20裏面との間に、その嵌合面全体にわたって厚さ11nmのGe薄膜18が直線格子状に設けられている点にこの参考例1の特徴がある。即ち、この直線格子状のGe薄膜18は、両側面が垂直な凹部と凸部とが交互に繰り返される凹凸形状の断面をなすと共に、図面の奥行き方向に直線状に延びている。
【0038】
また、SiO2 膜20表面上に、例えば屈折率n=1.33のMgF2 (フッ化マグネシウム)からなる厚さ0.1μmの反射防止膜22が設けられており、この反射防止膜22によって可視光域の反射率が3%程度低下するようになっている。また、石英基板10裏面上に、例えばAlからなる厚さ0.2μmの反射膜24が設けられている。
【0039】
次に、図1に示す光学素子の製造方法を、図2〜図5を用いて説明する。ここで、図2〜図5はそれぞれ図1に示す光学素子の製造方法を説明するための工程図である。先ず、可視光に対して透明な支持体として表面及び裏面が平行な厚さ1mmの石英基板10を用い、この石英基板10表面上に、Cr2 O3 (酸化クロム)膜及びCr(クロム)膜を順に積層して合計の厚さが120nmとなるCr2 O3 /Cr複合膜12を形成する。そして、基体全面に、例えばポジ型レジスト14を塗布する。
【0040】
続いて、フォトリソグラフィ技術を用いて、このポジ型レジスト14のパターニングを行う。即ち、ポジ型レジスト14上に所定のパターン像を描画したフォトマスクを配置し、UV(Ultra Violet;紫外)光を用いた露光を行った後、現像を行う。こうして、ポジ型レジスト14を幅0.75μm、間隔0.75μmのL/S(ライン・アンド・スペース)状にパターニングする(図2参照)。
【0041】
次いで、このL/S状にパターニングされたポジ型レジスト14をマスクとし、エッチングガスとしてフッ素ガスを用いて、Cr2 O3 /Cr複合膜12及び石英基板10を選択的にエッチング除去する。このエッチングの後、ポジ型レジスト14及びCr2 O3 /Cr複合膜12を除去する。こうして、石英基板10表面に、幅0.75μm、深さ0.75μmの溝16が間隔0.75μmをおいて直線状に複数列形成されるように加工する。ここで、電子顕微鏡を用いて石英基板10表面に形成された溝16を観察し、各溝16内の底面及びこれらの溝16間の石英基板10表面が石英基板10裏面に対して平行面をなしており、各溝16内の両側面が石英基板10裏面に対して垂直面をなしていることを確認する(図3参照)。
【0042】
次いで、例えばECR(Electron Cyclotron Resonance;電子サイクロトロン共鳴)スパッタリング法により、キャリアガスとしてAr(アルゴン)ガスを用い、ガス圧10-1Pa、基板温度700℃の条件において、基体全面に、即ち各溝16内の底面及びこれらの溝16間の石英基板10表面並びに各溝16内の両側面に、厚さ11nmのGe薄膜18を直線格子状に形成する。なお、この厚さ11nmの直線格子状のGe薄膜18は、円偏光を直線偏光にする偏光子機能に必要な導電性と光を吸収しない透明性を具備する薄膜である(図4参照)。
【0043】
次いで、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition ;化学的気相成長)法により、直線格子状のGe薄膜18上に、各溝16が十分に埋まるような厚さに、石英基板10と同じ屈折率をもつSiO2
膜20を堆積する。続いて、研磨法により、SiO2 膜20表面を平坦化して、このSiO2 膜20表面が石英基板10裏面に対して平行面をなすようにする。なお、このSiO2
膜20表面を研磨する際に、直線格子状のGe薄膜18が露出しないように注意する。
【0044】
続いて、例えば真空蒸着法により、平坦化されたSiO2 膜20表面上に、屈折率n=1.33のMgF2 からなる厚さ0.1μmの反射防止膜22を形成する。また、例えば真空蒸着法により、石英基板10裏面上に、Alからなる厚さ0.2μmの反射膜24を形成する。このようにして、図1に示す光学素子を作製する(図5参照)。
【0045】
以上のように、本参考例1に係る光学素子によれば、可視光に対して透明な石英基板10表面とSiO2 膜20裏面との間に直線格子状のGe薄膜18が設けられ、両側面が垂直な凹部と凸部とが交互に繰り返される凹凸形状の断面をなすと共に、図1の奥行き方向に直線状に延びていることにより、この直線格子状のGe薄膜18が入射した可視光と相互作用して、円偏光を直線偏光にする偏光子機能を発揮することができる。特に、溝16内の両側面に形成され、石英基板10裏面に対して垂直面をなしているGe薄膜18は、そのアスペクト比が70程度と大きいため、垂直に入射した可視光との相互作用が強くなり、偏光度を向上することができる。また、溝16内の底面及びこれらの溝16間の石英基板10表面にもGe薄膜18が形成され、石英基板10裏面に対して平行面をなしているため、斜めに入射する可視光の視斜角が小さい場合であっても、この斜め入射可視光との相互作用が補強されて、十分な偏光子機能を発揮することができる。
【0046】
本発明者が本参考例1に基づいて作製した光学素子においては、石英基板10とSiO2 膜20との間に設けられた直線格子状のGe薄膜18に対して電気ベクトルが垂直な場合をS偏光とし、平行な場合をP偏光とすると、波長550mmの光に対してS偏光透過率T1 は80%以上であり、P偏光透過率T2 は7%以下であった。また、偏光度(T1 −T2 )/(T1 +T2 )は波長550mmの光に対して80%以上であった。更に、波長550mmの光に対する光透過率は72%以上であった。従って、従来のLCD(液晶表示デバイス)に用いられるヨウ素タイプの偏光子の透過率が50%以下であることと比較すると、大幅に明るい偏光子を得ることができたといえる。
【0047】
なお、上記参考例1においては、石英基板10表面とSiO2 膜20裏面との間に直線格子状のGe薄膜18が設けられているが、このGe薄膜18の代わりに、例えばSi薄膜等の他の半導体薄膜を用いてもよいし、金属薄膜を用いてもよい。
【0048】
(参考例2)
図6は本参考例2に係る光学素子を示す断面図である。なお、上記図1に示す光学素子と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。図6に示されるように、本参考例2に係る光学素子は、上記図1に示す参考例1に係る光学素子とほぼ同様の構造を有し、直線格子状のGe薄膜18の代わりに、強磁性微粒子としてのCo粒子並びにCo酸化膜及び/又はCo炭化膜を含有する薄膜(以下、適宜「Co粒子含有薄膜」という)26が設けられているものである。
【0049】
即ち、可視光に対して透明な支持体として用いる厚さ1mmの石英基板10表面に、幅0.75μm、深さ0.75μmの溝が間隔0.75μmをおいて図面の奥行き方向に直線状に複数列形成されており、この石英基板10表面の各溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10表面は、石英基板10裏面に対して平行面をなしており、各溝内の両側面は、石英基板10裏面に対して垂直面をなしている。また、このよう溝によって断面が凹凸形状をなしている石英基板10表面上には、石英基板10と同じ屈折率をもつSiO2 膜20が嵌合して設けられている。そして、このSiO2 膜20表面は平坦化されて、石英基板10裏面に対して平行面をなしている。
【0050】
そして、これら互いに嵌合している石英基板10表面とSiO2 膜20裏面との間に、その嵌合面全体にわたって平均粒子径8nmのCo粒子並びにCo酸化膜及び/又はCo炭化膜を含有する平均膜厚20nmのCo粒子含有薄膜26が直線格子状に設けられている点に本参考例の特徴がある。即ち、この直線格子状のCo粒子含有薄膜26は、両側面が垂直な凹部と凸部とが交互に繰り返される凹凸形状の断面をなすと共に、図面の奥行き方向に直線状に延びている。
【0051】
また、SiO2 膜20表面上に、例えばMgF2 からなる厚さ0.1μmの反射防止膜22が設けられ、可視光域の反射率が3%程度低下するようになっている。また、石英基板10裏面上に、例えばAlからなる厚さ0.2μmの反射膜24が設けられている。
【0052】
次に、図6に示す光学素子の製造方法を説明する。なお、この場合の工程図は上記図2〜図5に示す場合とほぼ同様であるため、その図示を省略する。先ず、上記参考例1の場合と同様にして、表面及び裏面が平行な厚さ1mmの石英基板10表面上に、Cr2 O3 膜及びCr膜を順に積層して、厚さ120nmのCr2 O3 /Cr複合膜を形成する。そして、基体全面に例えばポジ型レジストを塗布した後、フォトリソグラフィ技術を用いて、このポジ型レジストを幅0.75μm、間隔0.75μmのL/S状にパターニングする。
【0053】
次いで、このようにパターニングされたポジ型レジストをマスクとし、エッチングガスとしてフッ素ガスを用いて、Cr2 O3 /Cr複合膜及び石英基板10を選択的にエッチング除去する。こうして、石英基板10表面に幅0.75μm、深さ0.75μmの溝が間隔0.75μmをおいて直線状に複数列形成されるように加工する。ここで、電子顕微鏡を用いて石英基板10表面に形成された溝を観察し、各溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10表面が石英基板10裏面に対して平行面をなしており、各溝内の両側面が石英基板10裏面に対して垂直面をなしていることが確認する。
【0054】
次いで、例えばガス中蒸着法により、Arガスと空気との混合ガスを用い、ガス流量が空気/Ar=5ccm/50ccm、全ガス圧が1.3Paの条件において、石英基板10を加熱することなく、基体全面に純度99.9%のCo粉末を蒸着する。こうして、各溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10表面並びに各溝内の両側面に、平均粒子径8nmのCo粒子並びにCo酸化膜及び/又はCo炭化膜を含有する平均膜厚20nmのCo粒子含有薄膜26を直線格子状に形成する。
【0055】
なお、偏光面が回転するファラデー回転効果を奏する磁性機能を発揮するには、記録及び消去に適当な300Oe〜2000Oeの保磁力を有すること、コントラストを大きくするためにファラデー回転角が大きいこと、面内磁気異方性が等方的であることを必要条件とするが、この平均膜厚20nmの直線格子状のCo粒子含有薄膜26はこれらの条件を満足する薄膜である。因みに、この直線格子状のCo粒子含有薄膜26の平坦部において測定した保磁力は400Oeであった。
【0056】
次いで、上記参考例1の場合と同様にして、CVD法により、直線格子状のCo粒子含有薄膜26上に、各溝が十分に埋まるような厚さに、石英基板10と同じ屈折率をもつSiO2 膜20を堆積した後、研磨法により、SiO2 膜20表面を平坦化して、このSiO2 膜20表面が石英基板10裏面に対して平行面をなすようにする。続いて、真空蒸着法により、平坦化されたSiO2 膜20表面上に、MgF2 からなる厚さ0.1μmの反射防止膜22を形成する。また、真空蒸着法により、石英基板10裏面上に、Alからなる厚さ0.2μmの反射膜24を形成する。このようにして、図6に示す光学素子を作製する。
【0057】
以上のように、本参考例2に係る光学素子によれば、可視光に対して透明な石英基板10表面とSiO2 膜20裏面との間にCo粒子並びにCo酸化膜及び/又はCo炭化膜を含有する直線格子状のCo粒子含有薄膜26が設けられ、両側面が垂直な凹部と凸部とが交互に繰り返される凹凸形状の断面をなすと共に、図6の奥行き方向に直線状に延びていることにより、この直線格子状のCo粒子含有薄膜26が入射可視光と相互作用して、偏光面が回転するファラデー回転効果を奏する磁性機能を発揮することができる。特に、石英基板10表面の溝の側面に形成され、石英基板10裏面に対して垂直面をなしているCo粒子含有薄膜26が垂直に入射した可視光と強く相互作用すると共に、溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10表面にもCo粒子含有薄膜26が形成され、石英基板10裏面に対して平行面をなしているため、本参考例2に係る光学素子に斜めに入射する可視光の視斜角が小さい場合であっても、この斜め入射可視光との相互作用が補強され、この斜め入射可視光に対しても十分なファラデー回転効果を奏する磁性機能を発揮することができる。
【0058】
本発明者が本参考例2に基づいて作製した光学素子においては、石英基板10とSiO2 膜20との間に設けられた直線格子状のCo粒子含有薄膜26に対して電気ベクトルが垂直な場合をS偏光とし、平行な場合をP偏光とすると、波長550mmの光に対してS偏光透過率T1 は80%以上であり、P偏光透過率T2 は7%以下であった。また、偏光度(T1 −T2 )/(T1 +T2 )は波長550mmの光に対して80%以上であった。
【0059】
更に、1mmφの円筒状棒磁石(表面磁束1.5Kガウス)を用いて文字を書くと、磁化部と非磁化部とではファラデー回転角が大きく異なり、且つ直線格子状のCo粒子含有薄膜26が大きな偏光機能を有するため、磁化部と非磁化部との透過光強度の差によるコントラストが表れ、文字を識別することができた。
【0060】
また、直線格子状のCo粒子含有薄膜が設けられていない石英基板10片面上に、例えば真空蒸着法により、厚さ200nmのAl膜を形成した後、上記の場合と同様に、円筒状棒磁石を用いて文字を記録すると、反射光強度の差によるコントラストにより、文字を読むことができた。
【0061】
なお、上記参考例2においては、石英基板10表面とSiO2 膜20裏面との間に直線格子状のCo粒子含有薄膜26が設けられているが、このCo粒子含有薄膜26の代わりに、例えばFe、Ni、又はこれらの合金の微粒子を含有する薄膜を用いてもよい。これらの薄膜も、偏光面が回転するファラデー回転効果を奏する磁性機能を発揮するための必要条件、即ち記録及び消去に適当な300Oe〜2000Oeの保磁力を有すること、コントラストを大きくするためにファラデー回転角が大きいこと、磁気異方性が等方的であることという条件を満足するものである。
【0062】
(実施例1)
本発明の実施例1に係る光学素子を、図7の断面図を用いて説明する。なお、上記図6に示す光学素子と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。また、本実施例は請求項4、7〜10に対応するものである。図7に示されるように、本実施例に係る光学素子は、上記図6に示す参考例1に係る光学素子とほぼ同様の構造を有しているが、1種類のパターンの各溝内側を含む石英基板10全表面に直線格子状のCo粒子含有薄膜26が形成されている代わりに、石英基板10表面に複数種類のパターンの溝が形成され、これら複数種類のパターンの各溝内側を含む石英基板10全表面に直線格子状のCo粒子含有薄膜28が設けられているものである。
【0063】
即ち、可視光に対して透明な支持体として用いる厚さ1mmの石英基板10表面に、幅0.75μm、深さ0.75μmの溝が間隔0.75μmをおいて図面の奥行き方向に延びる直線状に複数列形成されていると共に、これらの溝に隣接して、幅0.50μm、深さ0.75μmの溝が間隔0.50μmをおいて図面の奥行き方向に延びる直線状に複数列形成されている。そして、これら2種類のパターンの各溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10表面は、石英基板10裏面に対して平行面をなしている一方で、各溝内の両側面は、石英基板10裏面に対して垂直面をなしている。
【0064】
また、このような溝によって凹凸形状をなしている石英基板10表面上に、石英基板10と同じ屈折率をもつSiO2 膜20が嵌合して設けられている。そして、このSiO2 膜20表面は平坦化されて、石英基板10裏面に対して平行面をなしている。
【0065】
そして、これら互いに嵌合している石英基板10表面とSiO2 膜20裏面との間に、その嵌合面全体にわたって、平均粒子径8nmのCo粒子並びにCo酸化膜及び/又はCo炭化膜を含有する平均膜厚20nmのCo粒子含有薄膜28が直線格子状に設けられている点に本実施例の特徴がある。即ち、この直線格子状のCo粒子含有薄膜28は、両側面が垂直な凹部と凸部とが交互に繰り返される凹凸形状の断面をなすと共に、図面の奥行き方向に直線状に延びているが、断面の凹凸形状が互いにピッチの異なる2種類のパターンを有している。また、SiO2 膜20表面上に、MgF2 からなる厚さ0.1μmの反射防止膜22が設けられ、可視光域の反射率が3%程度低下するようになっている。また、石英基板10裏面上に、Alからなる厚さ0.2μmの反射膜24が設けられている。
【0066】
次に、図7に示す光学素子の製造方法を説明する。なお、工程図は、上記参考例2の場合と同様に、その図示を省略する。先ず、上記参考例2の場合と同様にして、表面及び裏面が平行な厚さ1mmの石英基板10表面上に、Cr2 O3 膜及びCr膜を順に積層し、厚さ120nmのCr2 O3 /Cr複合膜を形成する。そして、基体全面にポジ型レジストを塗布した後、フォトリソグラフィ技術を用いて、このポジ型レジストをパターニングして、幅0.75μm、間隔0.75μmのL/S状のパターンと幅0.50μm、間隔0.50μmのL/S状のパターンとを隣接して形成する。
【0067】
次いで、このようにパターニングされたポジ型レジストをマスクとし、エッチングガスとしてフッ素ガスを用いて、Cr2 O3 /Cr複合膜及び石英基板10を選択的にエッチング除去する。こうして、石英基板10表面に幅0.75μm、深さ0.75μmの溝が間隔0.75μmをおいて直線状に複数列形成されると同時に、これらの溝に隣接して、幅0.50μm、深さ0.75μmの溝が間隔0.50μmをおいて直線状に複数列形成されるように加工する。このとき、これら2種類のパターンの各溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10表面は、石英基板10裏面に対して平行面をなす一方で、各溝内の両側面は、石英基板10裏面に対して垂直面をなすようにする。
【0068】
次いで、上記参考例2の場合と同様にして、ガス中蒸着法により、基体全面に純度99.9%のCo粉末を蒸着する。こうして、各溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10表面並びに各溝内の両側面に、平均粒子径8nmのCo粒子並びにCo酸化膜及び/又はCo炭化膜を含有する平均膜厚20nmのCo粒子含有薄膜28を直線格子状に形成する。
【0069】
次いで、上記参考例2の場合と同様にして、CVD法により、直線格子状のCo粒子含有薄膜28上に、各溝が十分に埋まるような厚さに、石英基板10と同じ屈折率のSiO2 膜20を堆積した後、研磨法により、SiO2 膜20表面を平坦化して、このSiO2 膜20表面が石英基板10裏面に対して平行面をなすようにする。続いて、真空蒸着法により、平坦化されたSiO2 膜20表面上に、MgF2 からなる厚さ0.1μmの反射防止膜22を形成する。また、真空蒸着法により、石英基板10裏面上に、Alからなる厚さ0.2μmの反射膜24を形成する。このようにして、図7に示す光学素子を作製する。
【0070】
以上のように、本実施例に係る光学素子によれば、可視光に対して透明な石英基板10表面とSiO2 膜20裏面との間にCo粒子並びにCo酸化膜及び/又はCo炭化膜を含有する直線格子状のCo粒子含有薄膜28が設けられ、両側面が垂直な凹部と凸部とが交互に繰り返される凹凸形状の断面をなすと共に、この断面の凹凸形状が互いにピッチの異なる2種類のパターンを有していることにより、本実施例に係る光学素子に入射した可視光とこの直線格子状のCo粒子含有薄膜28とが相互作用する際に、2種類の波長の可視光との相互作用が可能となるため、直線格子状のCo粒子含有薄膜28と相互作用する可視光の波長範囲が拡大し、偏光面が回転するファラデー回転効果を奏する磁性機能を発揮することができると共に、その際のファラデー回転効果の波長依存性を低減することができる。
【0071】
本発明者が本実施例に基づいて作製した光学素子において、円筒状棒磁石を用いて文字を記録させたところ、上記参考例2に基づいて作製した光学素子の場合よりも、コントラストを1.5倍程度向上することができた。
【0072】
なお、上記実施例1においては、直線格子状のCo粒子含有薄膜28の断面の凹凸形状が互いにピッチの異なる2種類のパターンを有しているが、この2種類のパターンの代わりに、互いにピッチの異なる3種類以上のパターンの直線格子状のCo粒子含有薄膜を設けてもよい。この場合、直線格子状のCo粒子含有薄膜と相互作用する可視光の波長範囲を更に拡大して、ファラデー回転効果の波長依存性を更に低減することができる。但し、ピッチの異なるパターンの数は光学素子の面積によって制限される。
【0073】
(参考例3)
参考例3に係る光学素子を、図8及び図9を用いて説明する。ここで、図8は本参考例に係る光学素子を示す断面図であり、図9はそのA−A線断面図である。なお、上記図6に示す光学素子と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。図8及び図9に示されるように、本参考例に係る光学素子は、上記図6に示す参考例1に係る光学素子とほぼ同様の構造を有しているが、石英基板10表面に複数の溝が直線状に形成され、こうした各溝内側を含む石英基板10全表面に直線格子状のCo粒子含有薄膜26が形成されている代わりに、直線状に形成された溝の直線性が微視的には鋸刃状の凹凸形状を有しており、こうした微視的に鋸刃状の凹凸形状をなしつつ巨視的には直線状に延びている各溝内側を含む石英基板10全表面に直線格子状のCo粒子含有薄膜30が設けられているものである。
【0074】
即ち、可視光に対して透明な支持体として用いる厚さ1mmの石英基板10表面に、幅0.75μm、深さ0.75μmの溝が間隔0.75μmをおいて直線状に複数列形成されているが、これらの溝の直線形状は微視的には振幅20nmの鋸刃状の凹凸形状をなしている。そして、これらの各溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10表面は、石英基板10裏面に対して平行面をなしている一方で、各溝内の両側面は、石英基板10裏面に対して垂直面をなしている。
【0075】
また、このような溝によって凹凸形状をなしている石英基板10表面上に、石英基板10と同じ屈折率をもつSiO2 膜20が嵌合して設けられている。そして、このSiO2 膜20表面は平坦化されて、石英基板10裏面に対して平行面をなしている。
【0076】
そして、これら互いに嵌合している石英基板10表面とSiO2 膜20裏面との間に、その嵌合面全体にわたって、平均粒子径8nmのCo粒子並びにCo酸化膜及び/又はCo炭化膜を含有する平均膜厚20nmのCo粒子含有薄膜30が直線格子状に設けられている点に本参考例の特徴がある。即ち、この直線格子状のCo粒子含有薄膜30は、両側面が垂直な凹部と凸部とが交互に繰り返される凹凸形状の断面をなすと共に、直線状に延びているが、この溝の直線形状が微視的には振幅20nmの鋸刃状の凹凸形状をなしている点に特徴がある。
【0077】
また、SiO2 膜20表面上に、MgF2 からなる厚さ0.1μmの反射防止膜22が設けられ、可視光域の反射率が3%程度低下するようになっている。また、石英基板10裏面上に、Alからなる厚さ0.2μmの反射膜24が設けられている。
【0078】
次に、図8及び図9に示す光学素子の製造方法を、図10〜図12を用いて説明する。ここで、図10は図8及び図9に示す光学素子の製造方法を説明するための工程断面図(その1)、図11は図8及び図9に示す光学素子の製造方法を説明するための工程断面図(その2)、図12(a)は図8及び図9に示す光学素子の製造方法を説明するための工程断面図(その3)、図12(b)は図12(a)のA−A線断面図である。
【0079】
先ず、上記参考例2の場合と同様にして、表面及び裏面が平行な厚さ1mmの石英基板10表面上に、Cr2 O3 膜及びCr膜を順に積層し、厚さ120nmのCr2 O3 /Cr複合膜を形成する。そして、基体全面にポジ型レジストを塗布した後、フォトリソグラフィ技術を用いて、このポジ型レジストをパターニングして、幅0.75μm、間隔0.75μmのL/S状のパターンを形成するが、このL/S状のパターンの直線形状は微視的には振幅20nmの鋸刃状の凹凸形状をなしている。
【0080】
次いで、このようにパターニングされたポジ型レジストをマスクとし、エッチングガスとしてフッ素ガスを用いて、Cr2 O3 /Cr複合膜及び石英基板10を選択的にエッチング除去する。こうして、石英基板10表面に、幅0.75μm、深さ0.75μmを有し、微視的には振幅20nmの鋸刃状の凹凸形状をなしつつ直線状に延びる複数列の溝32が間隔0.75μmをおいて形成されるように加工する。このとき、各溝32内の底面及びこれらの溝32間の石英基板10表面は、石英基板10裏面に対して平行面をなす一方で、各溝32内の両側面は、石英基板10裏面に対して垂直面をなすようにする(図10参照)。
【0081】
次いで、上記参考例2の場合と同様にして、ガス中蒸着法により、基体全面に純度99.9%のCo粉末を蒸着する。こうして、各溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10表面並びに各溝内の両側面に、平均粒子径8nmのCo粒子並びにCo酸化膜及び/又はCo炭化膜を含有するCo粒子含有薄膜30を直線格子状に形成する。このとき、このCo粒子含有薄膜30の平均膜厚は20nmとなり、その最大膜厚は50nmとなる(図11参照)。
【0082】
次いで、上記参考例2の場合と同様にして、CVD法により、直線格子状のCo粒子含有薄膜30上に、各溝32が十分に埋まるような厚さに、石英基板10と同じ屈折率のSiO2 膜20を堆積した後、研磨法により、SiO2 膜20表面を平坦化して、このSiO2 膜20表面が石英基板10裏面に対して平行面をなすようにする。続いて、真空蒸着法により、平坦化されたSiO2 膜20表面上に、MgF2 からなる厚さ0.1μmの反射防止膜22を形成する。また、真空蒸着法により、石英基板10裏面上に、Alからなる厚さ0.2μmの反射膜24を形成する。このようにして、図8及び図9に示す光学素子を作製する(図12(a)、(b)参照)。
【0083】
以上のように、本参考例に係る光学素子によれば、可視光に対して透明な石英基板10表面とSiO2 膜20裏面との間にCo粒子並びにCo酸化膜及び/又はCo炭化膜を含有する直線格子状のCo粒子含有薄膜30が設けられ、両側面が垂直な凹部と凸部とが交互に繰り返される凹凸形状の断面をなすと共に、微視的には鋸刃状の凹凸形状をなしつつ直線状に延びていることにより、溝32内の両側面に形成され、石英基板10裏面に対して垂直面をなしているCo粒子含有薄膜30の実効的な長さが長くなり、磁性体としての体積が増大するため、上記参考例2に係る光学素子の場合よりも、偏光面が回転するファラデー回転効果を大きくすることができる。
【0084】
本発明者が本参考例に基づいて作製した光学素子において、円筒状棒磁石を用いて文字を記録させたところ、上記参考例2に基づいて作製した光学素子の場合よりも、コントラストを向上することができた。但し、偏光子機能は低下した。
【0085】
なお、上記参考例3においては、直線格子状のCo粒子含有薄膜30が微視的には鋸刃状の凹凸形状をなしつつ直線状に延びているが、この鋸刃状の凹凸形状の代わりに、例えば微視的には矩形状やサインカーブ状の凹凸形状をなしつつ直線状に延びていてもよい。また、鋸刃状の凹凸形状の振幅を20nmとしているが、この振幅はCo粒子含有薄膜30の膜厚の最大値である100nm以内であればよい。
【0086】
(参考例4)
参考例4に係る光学素子を、図13の断面図を用いて説明する。なお、上記図6に示す光学素子と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。図13に示されるように、本参考例に係る光学素子は、上記図6に示す参考例1に係る光学素子とほぼ同様の構造を有しているが、直線格子状のCo粒子含有薄膜26の代わりに、石英基板10表面に逆台形状の溝が図面の奥行き方向に直線状に複数列形成され、各溝内の両側面が石英基板10裏面に対して傾斜面をなし、こうした溝内側を含む石英基板10全表面にCo粒子含有薄膜34が直線格子状に設けられているものである。
【0087】
即ち、可視光に対して透明な支持体として用いる石英基板10表面に、逆台形状の溝が図面の奥行き方向に直線状に複数列形成されており、この石英基板10表面の各溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10表面は、石英基板10裏面に対して平行面をなしている一方で、各溝内の両側面は、石英基板10裏面に対して傾斜面をなしている。また、このような溝によって凹凸形状をなしている石英基板10表面上に、石英基板10と同じ屈折率のSiO2 膜20が嵌合して設けられている。そして、このSiO2 膜20表面は平坦化されて、石英基板10裏面に対して平行面をなしている。
【0088】
そして、これら互いに嵌合している石英基板10表面とSiO2 膜20裏面との間に、その嵌合面全体にわたって、Co粒子並びにCo酸化膜及び/又はCo炭化膜を含有するCo粒子含有薄膜34が直線格子状に設けられている点に本参考例の特徴がある。即ち、この直線格子状のCo粒子含有薄膜34は、逆台形状の凹部と台形状の凸部とが交互に繰り返される凹凸形状の断面をなすと共に、図面の奥行き方向に直線状に延びている。
【0089】
また、SiO2 膜20表面上に、例えばMgF2 からなる反射防止膜22が設けられ、可視光域の反射率が3%程度低下するようになっている。また、石英基板10裏面上に、例えばAlからなる反射膜24が設けられている。
【0090】
次に、図13に示す光学素子の製造方法を説明する。なお、工程図は、上記参考例2の場合と同様に、その図示を省略する。先ず、上記参考例2の場合と同様にして、表面と裏面とが互いに平行な石英基板10表面上に、Cr2 O3 膜及びCr膜を順に積層して、Cr2 O3 /Cr複合膜を形成する。そして、基体全面にポジ型レジストを塗布した後、フォトリソグラフィ技術を用いて、このポジ型レジストをL/S状にパターニングする。
【0091】
次いで、このようにパターニングされたポジ型レジストをマスクとし、エッチングガスとしてフッ素ガスを用いて、Cr2 O3 /Cr複合膜及び石英基板10を選択的にエッチング除去する。このエッチングプロセスにおいて、フッ素ガスの圧力を変化させるなど、上記参考例2の場合とエッチング条件を変えることにより、石英基板10表面に、逆台形状の溝が等間隔をおいて直線状に複数列形成されるように加工する。こうして、各溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10表面が石英基板10裏面に対して平行面をなす一方で、各溝内の両側面が石英基板10裏面に対して傾斜面をなすようにする。
【0092】
次いで、上記参考例2の場合と同様にして、ガス中蒸着法により、基体全面に純度99.9%のCo粉末を蒸着する。こうして、各溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10表面並びに各溝内の傾斜する両側面に、Co粒子並びにCo酸化膜及び/又はCo炭化膜を含有するCo粒子含有薄膜34を直線格子状に形成する。
【0093】
次いで、上記参考例2の場合と同様にして、CVD法により、直線格子状のCo粒子含有薄膜34上に、各溝が十分に埋まるような厚さに、石英基板10と同じ屈折率のSiO2 膜20を堆積した後、研磨法により、SiO2 膜20表面を平坦化して、このSiO2 膜20表面が石英基板10裏面に対して平行面をなすようにする。続いて、真空蒸着法により、平坦化されたSiO2 膜20表面上に、MgF2 からなる反射防止膜22を形成する。また、真空蒸着法により、石英基板10裏面上に、Alからなる反射膜24を形成する。このようにして、図13に示す光学素子を作製する。
【0094】
以上のように、本参考例に係る光学素子によれば、可視光に対して透明な石英基板10表面とSiO2 膜20裏面との間にCo粒子並びにCo酸化膜及び/又はCo炭化膜を含有する直線格子状のCo粒子含有薄膜34が設けられ、逆台形状の凹部と台形状の凸部とが交互に繰り返される凹凸形状の断面をなすと共に、図13の奥行き方向に直線状に延びていることにより、基本的に上記参考例2に係る光学素子と同様の効果を奏するが、この参考例2に係る光学素子の場合よりも更に視斜角が小さい場合であっても、ファラデー回転効果が顕著に現れ、十分な磁性機能を発揮することができる。
【0095】
本発明者が本参考例に基づいて作製した光学素子において、円筒状棒磁石を用いて文字を記録させると、上記参考例2に基づいて作製した光学素子の場合よりも、見る位置が正面から更にずれても、コントラストの低下を抑制することができた。但し、偏光子機能は少し低下した。
【0096】
なお、上記参考例4においては、その断面が逆台形状の凹部と台形状の凸部とが交互に繰り返される凹凸形状をなしている直線格子状のCo粒子含有薄膜34が設けられているが、この直線格子状のCo粒子含有薄膜34の代わりに、例えば図14に示されるように、台形状の凹部と逆台形状の凸部とが交互に繰り返される凹凸形状の断面をなしている直線格子状のCo粒子含有薄膜36を設けてもよい。この場合、上記参考例4に係る光学素子と実質的には同じ構造となり、従って同様の効果を奏することができる。
【0097】
(実施例2)
本発明の実施例2に係る光学素子を、図15の断面図を用いて説明する。なお、上記図6に示す光学素子と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。また、本実施例は請求項1、7〜10に対応するものである。図15に示されるように、本実施例に係る光学素子は、上記図6に示す参考例1に係る光学素子とほぼ同様の構造を有しているが、直線格子状のCo粒子含有薄膜26の代わりに、石英基板10表面に、図面の奥行き方向に直線状に延びる溝が複数列形成され、各溝内の両側面が溝内部に弓形に張り出している曲面をなし、こうした溝内側を含む石英基板10全表面にCo粒子含有薄膜38が直線格子状に設けられているものである。
【0098】
即ち、可視光に対して透明な支持体として用いる石英基板10表面に、図面の奥行き方向に直線状に延びる溝が複数列形成されており、この石英基板10表面の各溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10表面は、石英基板10裏面に対して平行面をなしている一方で、各溝内の両側面は、溝内部に弓形に張り出している曲面をなしている。また、このような溝によって凹凸形状をなしている石英基板10表面上に、石英基板10と同じ屈折率のSiO2 膜20が嵌合して設けられている。そして、このSiO2 膜20表面は平坦化されて、石英基板10裏面に対して平行面をなしている。
【0099】
そして、これら互いに嵌合している石英基板10表面とSiO2 膜20裏面との間に、その嵌合面全体にわたって、Co粒子並びにCo酸化膜及び/又はCo炭化膜を含有するCo粒子含有薄膜38が直線格子状に設けられている点に本実施例の特徴がある。即ち、この直線格子状のCo粒子含有薄膜38は、両側面が溝内部に弓形に張り出している曲面の凹部と弓形にへこんでいる曲面の凸部とが交互に繰り返される凹凸形状の断面をなすと共に、図面の奥行き方向に直線状に延びている。
【0100】
また、SiO2 膜20表面上に、例えばMgF2 からなる反射防止膜22が設けられ、可視光域の反射率が3%程度低下するようになっている。また、石英基板10裏面上に、例えばAlからなる反射膜24が設けられている。
【0101】
次に、図15に示す光学素子の製造方法を説明する。なお、工程図は、上記参考例2の場合と同様に、その図示を省略する。先ず、上記参考例2の場合と同様にして、表面と裏面とが互いに平行な石英基板10表面上に、Cr2 O3 膜及びCr膜を順に積層して、Cr2 O3 /Cr複合膜を形成する。そして、基体全面にポジ型レジストを塗布した後、フォトリソグラフィ技術を用いて、このポジ型レジストをL/S状にパターニングする。
【0102】
次いで、このようにしてパターニングされたポジ型レジストをマスクとし、エッチングガスとしてフッ素ガスを用いて、Cr2 O3 /Cr複合膜及び石英基板10を選択的にエッチング除去して、図面の奥行き方向に直線状に延びる溝が複数列形成されるように加工する。そして、このエッチングプロセスにおいて、フッ素ガスの圧力を経時的に変化させつつエッチングすることにより、各溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10表面が石英基板10裏面に対して平行面をなす一方で、各溝内の両側面が溝内部に弓形に張り出している曲面をなすようにする。
【0103】
次いで、上記参考例2の場合と同様にして、ガス中蒸着法により、基体全面に純度99.9%のCo粉末を蒸着する。こうして、各溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10表面並びに各溝内の傾斜する両側面に、Co粒子並びにCo酸化膜及び/又はCo炭化膜を含有するCo粒子含有薄膜38を直線格子状に形成する。
【0104】
次いで、上記参考例2の場合と同様にして、CVD法により、直線格子状のCo粒子含有薄膜38上に、各溝が十分に埋まるような厚さに、石英基板10と同じ屈折率のSiO2 膜20を堆積した後、研磨法により、SiO2 膜20表面を平坦化して、このSiO2 膜20表面が石英基板10裏面に対して平行面をなすようにする。続いて、真空蒸着法により、平坦化されたSiO2 膜20表面上に、MgF2 からなる反射防止膜22を形成する。また、真空蒸着法により、石英基板10裏面上に、Alからなる反射膜24を形成する。このようにして、図15に示す光学素子を作製する。
【0105】
以上のように、本実施例に係る光学素子によれば、可視光に対して透明な石英基板10表面とSiO2 膜20裏面との間にCo粒子並びにCo酸化膜及び/又はCo炭化膜を含有する直線格子状のCo粒子含有薄膜38が設けられ、両側面が溝内部に弓形に張り出している曲面の凹部と弓形にへこんでいる曲面の凸部とが交互に繰り返される凹凸形状の断面をなすと共に、図15の奥行き方向に直線状に延びていることにより、上記参考例4に係る光学素子とほぼ同様の効果を奏することができる。
【0106】
本発明者が本実施例に基づいて作製した光学素子において、円筒状棒磁石を用いて文字を記録させると、上記参考例2に基づいて作製した光学素子の場合よりも、見る位置が正面から更にずれても、コントラストの低下を抑制することができた。但し、偏光子機能は少し低下した。
【0107】
なお、上記実施例2においては、両側面が溝内部に弓形に張り出している曲面の凹部と弓形にへこんでいる曲面の凸部とが交互に繰り返される凹凸形状の断面をなす直線格子状のCo粒子含有薄膜38が設けられているが、この直線格子状のCo粒子含有薄膜38の代わりに、例えば図16に示されるように、両側面が溝内部に弓形に張り出している曲面の凸部と弓形にへこんでいる曲面の凹部とが交互に繰り返される凹凸形状の断面をなす直線格子状のCo粒子含有薄膜40を設けてもよい。この場合、上記実施例2に係る光学素子と実質的には同じ構造となり、従って同様の効果を奏することができる。
【0108】
(実施例3)
本発明の実施例3に係る光学素子を、図17の断面図を用いて説明する。なお、上記図13に示す光学素子と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。また、本実施例は請求項6〜10に対応するものである。図17に示されるように、本実施例に係る光学素子は、上記図13に示す参考例4に係る光学素子とほぼ同様の構造を有しているが、直線状に複数列形成された逆台形状の溝内側を含む石英基板10全表面に設けられている直線格子状のCo粒子含有薄膜34の代わりに、直線状に複数列形成された逆台形状の各溝内の傾斜面をなしている両側面のみにCo粒子含有薄膜42が直線格子状に設けられているものである。
【0109】
即ち、可視光に対して透明な支持体として用いる石英基板10表面に、逆台形状の溝が図面の奥行き方向に直線状に複数列形成されており、この石英基板10表面の各溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10表面は、石英基板10裏面に対して平行面をなしている一方で、各溝内の両側面は、石英基板10裏面に対して傾斜面をなしている。また、このような溝によって凹凸形状をなしている石英基板10表面上に、石英基板10と同じ屈折率のSiO2 膜20が嵌合して設けられている。そして、このSiO2 膜20表面は平坦化されて、石英基板10裏面に対して平行面をなしている。
【0110】
そして、これら互いに嵌合している石英基板10表面とSiO2 膜20裏面との間に、その嵌合面のうち、石英基板10裏面に対して傾斜面をなしている部分のみに、Co粒子並びにCo酸化膜及び/又はCo炭化膜を含有するCo粒子含有薄膜42が直線格子状に設けられている点に本実施例の特徴がある。即ち、この直線格子状のCo粒子含有薄膜42は、その断面が逆台形状の凹部の両側面に沿った傾斜面をなすと共に、図面の奥行き方向に直線状に延びている。
【0111】
また、SiO2 膜20表面上に、例えばMgF2 からなる反射防止膜22が設けられ、可視光域の反射率が3%程度低下するようになっている。また、石英基板10裏面上に、例えばAlからなる反射膜24が設けられている。
【0112】
このように、本実施例に係る光学素子は、上記図13に示す参考例4に係る光学素子において、石英基板10裏面に対して平行面をなす溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10表面に形成されたCo粒子含有薄膜34を選択的に除去し、各溝内の傾斜している両側面のみにCo粒子含有薄膜34を残存させたものに他ならない。
【0113】
次に、図17に示す光学素子の製造方法を説明する。なお、工程図は、上記参考例2の場合と同様に、その図示を省略する。先ず、上記参考例4の場合と同様にして、表面と裏面とが互いに平行な石英基板10表面上に、Cr2 O3 膜及びCr膜を順に積層しCr2 O3 /Cr複合膜を形成する。そして、基体全面にポジ型レジストを塗布した後、フォトリソグラフィ技術を用いて、このポジ型レジストをL/S状にパターニングする。
【0114】
続いて、このようにパターニングされたポジ型レジストをマスクとし、エッチングガスとしてフッ素ガスを用いて、Cr2 O3 /Cr複合膜及び石英基板10を選択的にエッチング除去して、石英基板10表面に逆台形状の溝が等間隔をおいて直線状に複数列形成されるように加工する。こうして、各溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10表面が石英基板10裏面に対して平行面をなす一方で、各溝内の両側面が石英基板10裏面に対して傾斜面をなすようにする。
【0115】
次いで、上記参考例4の場合と同様にして、ガス中蒸着法により、基体全面に純度99.9%のCo粉末を蒸着し、各溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10表面並びに各溝内の傾斜する両側面に、Co粒子含有薄膜34を直線格子状に形成する。
【0116】
次いで、例えばスパッタリング装置を用いて、石英基板10側に−300Vの電圧を印加し、Arガスを導入し、逆スパッタリング法により、石英基板10裏面に対して平行面をなす溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10表面に形成されたCo粒子含有薄膜42を選択的に除去し、各溝内の傾斜している両側面のみにCo粒子含有薄膜42を残存させる。
【0117】
次いで、上記参考例4の場合と同様にして、CVD法により、直線格子状のCo粒子含有薄膜34上に、各溝が十分に埋まるような厚さに、石英基板10と同じ屈折率のSiO2 膜20を堆積した後、研磨法により、SiO2 膜20表面を平坦化して、このSiO2 膜20表面が石英基板10裏面に対して平行面をなすようにする。続いて、真空蒸着法により、平坦化されたSiO2 膜20表面上に、MgF2 からなる反射防止膜22を形成する。また、真空蒸着法により、石英基板10裏面上に、Alからなる反射膜24を形成する。このようにして、図17に示す光学素子を作製する。
【0118】
以上のように、本実施例に係る光学素子によれば、可視光に対して透明な石英基板10表面とSiO2 膜20裏面との間にCo粒子並びにCo酸化膜及び/又はCo炭化膜を含有する直線格子状のCo粒子含有薄膜42が設けられ、その断面が石英基板10裏面に対して傾斜面をなすと共に、図17の奥行き方向に直線状に延びていることにより、基本的に上記参考例4に係る光学素子と同様の効果を奏するが、この参考例4に係る光学素子の場合のように石英基板10裏面に対して平行面をなしている直線格子状のCo粒子含有薄膜がない分だけ光の透過率を向上することができる。
【0119】
本発明者が本実施例に基づいて作製した光学素子において、円筒状棒磁石を用いて文字を記録させると、上記参考例2に基づいて作製した光学素子の場合よりも、光の透過率が向上したため、その分だけ像のコントラストを向上することができた。
【0120】
なお、上記実施例3においては、石英基板10表面に逆台形状の溝を等間隔をおいて直線状に複数列形成し、これらの逆台形状の各溝内の傾斜面をなしている両側面のみにCo粒子含有薄膜42を直線格子状に設けているが、この代わりに、例えば図18に示されるように、両側面が弓形に湾曲している曲面をなすような溝を等間隔をおいて直線状に複数列形成し、これらの各溝内の弓形に湾曲している両側面のみにCo粒子含有薄膜を直線格子状に設けてもよい。これは、上記図15に示す実施例2に係る光学素子において、石英基板10裏面に対して平行面をなす溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10表面に形成されたCo粒子含有薄膜38を選択的に除去し、各溝内の弓形に湾曲している両側面のみにCo粒子含有薄膜38を残存させたものに他ならない。そしてこの場合も、上記実施 例3の場合と同様の効果を奏することができる。
【0121】
【発明の効果】
以上、詳細に説明した通り、本発明に係る光学素子によれば、次のような効果を奏することができる。
即ち、請求項1に係る光学素子では、可視光に対して透明で、裏面が平坦な支持体の表面に直線状の溝が数列形成され、これら直線状の溝内の底面及び両側面、並びに前記溝間の前記支持体表面に所定厚さの薄膜が直線格子状に形成され、該薄膜の全面に屈折率が前記支持体と同じ支持層が形成され、該支持層の表面が前記支持体の裏面に対して平行面をなしていることにより、上記直線格子状の薄膜が支持体と支持層との嵌合面全体にわたって設けられているため、この直線格子状の薄膜が導電性と光を吸収しない透明性を有する場合、偏光子機能を発揮して、偏光度を高くすることができると共に、光透過率も高くすることができ、従って偏光度が高くて明るい無色透明の可視光用ディスプレイに適した高性能の光学素子を得ることができる。また、この直線格子状の薄膜が適当な保磁力を有し、ファラデー回転角が大きく、磁気異方性が等方的である場合、ファラデー回転効果を奏する磁性機能を発揮することができ、従って磁界によって画像を記録したり、消去したりすることが可能な高性能の光学素子を得ることができる。
【0122】
また、請求項1に係る光学素子によれば、可視光に対して透明な支持体と支持層との間に全体にわたって形成された直線格子状の薄膜が、両側面が弓形に湾曲している凹部と凸部とが交互に繰り返される凹凸形状の断面をなすことにより、斜めに入射する視斜角の小さい可視光との相互作用も十分に生じるため、この直線格子状の薄膜が偏光子機能を発揮する際、斜め入射可視光に対しても十分な偏光子機能を発揮することができる。また、この直線格子状の薄膜がファラデー回転効果を奏する磁性機能を発揮する際、斜め入射可視光に対しても十分なファラデー回転効果を奏し、コントラストの低下を抑制することができる。
【0123】
また、請求項2に係る光学素子によれば、可視光に対して透明な支持体と支持層との間に全体にわたって形成された直線格子状の薄膜が、互いにピッチの異なる複数種類のパターンを有していることにより、複数種類の波長の入射可視光との相互作用が可能となり、直線格子状の薄膜と相互作用する可視光の波長範囲が拡大するため、この直線格子状の薄膜が偏光子機能を発揮する際、その波長依存性を低減することができる。また、ファラデー回転効果を奏する磁性機能を発揮する際も、その波長依存性を低減されて、コントラストの高い像を得ることができる。
【0124】
また請求項3,4に係る光学素子によれば、可視光に対して透明な支持体と支持層との間に全体にわたって形成された直線格子状の薄膜が、互いにピッチの異なる複数種類のパターンを有していることにより、請求項2に係る光学素子の場合と同様の効果が得られる。
【0125】
また、請求項5に係る光学素子によれば、支持体の表面に形成された溝の直線形状が微視的には凹凸形状をなしていることにより、溝内の両側面に形成された薄膜の実効的な長さが長くなるため、この直線格子状の薄膜がファラデー回転効果を奏する磁性機能を発揮する際には、磁性体としての体積が増加して、磁気光学効果を増大させ、コントラストの高い像を得ることができる。
【0126】
また、請求項6に係る光学素子によれば、支持体の裏面に対して垂直面をなしている溝内の両側面上に薄膜が形成されている一方で、支持体裏面に対して平行面をなしている溝内の底面及び溝間の支持体表面には薄膜が形成されていないことにより、上記請求項1に係る光学素子の場合と同様の作用を奏することができると共に、その際の入射可視光の透過率を更に向上することができる。
【0127】
また、請求項7に係る光学素子によれば、溝のピッチが0.2μm〜2μmであることにより、こうした溝の形状に沿って形成された直線格子状の薄膜は入射可視光と相互作用を生じ、上記請求項1〜4に係る光学素子の作用を奏することになる。また、溝の深さが0.1μm〜5.0μmであり、薄膜の厚さが5nm〜100nmであることにより、薄膜のアスペクト比が十分に大きくなり、入射可視光との相互作用が強くなるため、この直線格子状の薄膜が導電性と透明性を有する場合には十分な偏光子機能を発揮することができ、この直線格子状の薄膜が適当な保磁力を有し、ファラデー回転角が大きく、磁気異方性が等方的である場合には十分なファラデー回転効果を奏する磁性機能を発揮することができる。
【0128】
また、請求項8に係る光学素子によれば、支持体と支持層との嵌合面に設けられている直線格子状の薄膜が厚さ5nm〜100nmの半導体膜又は金属膜からなることにより、この直線格子状の薄膜が導電性を有すると共に、入射する可視光に対する透明性を有するため、円偏光を直線偏光にする偏光子機能を発揮することができる。
【0129】
また、請求項9に係る光学素子によれば、支持体と支持層との嵌合面全体にわたって設けられている直線格子状の薄膜が強磁性微粒子を含有していることにより、この直線格子状の薄膜が適当な保磁力を有し、ファラデー回転角が大きく、面内磁気異方性が等方的であるため、偏光面が回転するファラデー回転効果を奏する磁性機能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例1に係る光学素子を示す断面図である。
【図2】 図1に示す光学素子の製造方法を説明するための工程図(その1)である。
【図3】 図1に示す光学素子の製造方法を説明するための工程図(その2)である。
【図4】 図1に示す光学素子の製造方法を説明するための工程図(その3)である。
【図5】 図1に示す光学素子の製造方法を説明するための工程図(その4)である。
【図6】 参考例2に係る光学素子を示す断面図である。
【図7】 本発明の実施例1に係る光学素子を示す断面図である。
【図8】 参考例3に係る光学素子を示す断面図である。
【図9】 図8に示す光学素子のA−A線断面図である。
【図10】 図8及び図9に示す光学素子の製造方法を説明するための工程図(その1)である。
【図11】 図8及び図9に示す光学素子の製造方法を説明するための工程図(その2)である。
【図12】 図8及び図9に示す光学素子の製造方法を説明するための工程図(その3)である。
【図13】 参考例4に係る光学素子を示す断面図である。
【図14】 参考例4の変形例に係る光学素子を示す断面図である。
【図15】 本発明の実施例2に係る光学素子を示す断面図である。
【図16】 本発明の実施例2の変形例に係る光学素子を示す断面図である。
【図17】 本発明の実施例3に係る光学素子を示す断面図である。
【図18】 本発明の実施例3の変形例に係る光学素子を示す断面図である。
【符号の説明】
10 石英基板
12 Cr2 O3 /Cr複合膜
14 ポジ型レジスト
16 溝
18 Ge薄膜
20 SiO2 膜
22 反射防止膜
24 反射膜
26 Co粒子含有薄膜
28 Co粒子含有薄膜
30 Co粒子含有薄膜
32 溝
34 Co粒子含有薄膜
36 Co粒子含有薄膜
38 Co粒子含有薄膜
40 Co粒子含有薄膜
42 Co粒子含有薄膜
44 Co粒子含有薄膜
Claims (10)
- 可視光に対して透明で、裏面が平坦な支持体の表面に直線状の溝が数列形成され、これら直線状の溝内の底面及び両側面、並びに前記溝間の前記支持体表面に所定厚さの薄膜が形成され、該薄膜の全面に屈折率が前記支持体と同じ支持層が形成され、該支持層の表面が前記支持体の裏面に対して平行面をなし、
前記溝内の底面及び前記溝間の前記支持体の表面が、前記支持体の裏面に対して平行面をなし、前記溝内の両側面が、弓形に湾曲する曲面をなしていることを特徴とする光学素子。 - 請求項1記載の光学素子において、
前記支持体の表面に直線状に等間隔をおいて複数列形成された前記溝が複数のパターンに配置され、前記複数列の溝のピッチが前記複数のパターンの各パターン間で互いに異なっていることを特徴とする光学素子。 - 可視光に対して透明で、裏面が平坦な支持体の表面に直線状の溝が数列形成され、これら直線状の溝内の底面及び両側面、並びに前記溝間の前記支持体表面に所定厚さの薄膜が形成され、該薄膜の全面に屈折率が前記支持体と同じ支持層が形成され、該支持層の表面が前記支持体の裏面に対して平行面をなし、
前記溝内の底面及び前記溝間の前記支持体の表面が、前記支持体の裏面に対して平行面をなし、
前記溝内の両側面が前記支持体の裏面に対して垂直面をなし、
前記支持体の表面に直線状に等間隔をおいて複数列形成された前記溝が複数のパターンに配置され、前記複数列の溝のピッチが前記複数のパターンの各パターン間で互いに異なっていることを特徴とする光学素子。 - 可視光に対して透明で、裏面が平坦な支持体の表面に直線状の溝が数列形成され、これら直線状の溝内の底面及び両側面、並びに前記溝間の前記支持体表面に所定厚さの薄膜が形成され、該薄膜の全面に屈折率が前記支持体と同じ支持層が形成され、該支持層の表面が前記支持体の裏面に対して平行面をなし、
前記溝内の底面及び前記溝間の前記支持体の表面が、前記支持体の裏面に対して平行面をなし、
前記溝内の両側面が前記支持体の裏面に対して傾斜面をなし、
前記支持体の表面に直線状に等間隔をおいて複数列形成された前記溝が複数のパターンに配置され、前記複数列の溝のピッチが前記複数のパターンの各パターン間で互いに異なっていることを特徴とする光学素子。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の光学素子において、
前記支持体の表面に形成された前記溝の直線形状が、微視的には前記薄膜の最大厚さの範囲内で凹凸形状をなしている直線形状であることを特徴とする光学素子。 - 可視光に対して透明で、裏面が平坦な支持体の表面に直線状の溝が数列形成され、これら直線状の溝内の両側面に所定厚さの薄膜が形成され、屈折率が前記支持体と同じ支持層が、前記薄膜の全面及び溝内の底面、並びに前記溝間の支持体の表面を覆う形態で形成され、前記溝内の底面及び前記溝間の支持体の表面が前記支持体の裏面に対して平行面をなし、前記溝内の両側面が弓形に湾曲する曲面をなしていることを特徴とする光学素子。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の光学素子において、
前記溝のピッチが0.2μm乃至2μmであり、前記溝の深さが0.1μm乃至5.0μmであり、前記薄膜の厚さが5nm乃至100nmであることを特徴とする光学素子。 - 請求項7記載の光学素子において、
前記薄膜が、半導体膜又は金属膜であることを特徴とする光学素子。 - 請求項8記載の光学素子において、
前記薄膜が、強磁性微粒子を含有していることを特徴とする光学素子。 - 請求項9記載の光学素子において、
前記強磁性微粒子が、平均粒子径2nm乃至50nmのFe、Co、Ni、又はこれらの合金の微粒子であることを特徴とする光学素子。
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