JPH1114814A - 光学素子 - Google Patents

光学素子

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JPH1114814A
JPH1114814A JP18082097A JP18082097A JPH1114814A JP H1114814 A JPH1114814 A JP H1114814A JP 18082097 A JP18082097 A JP 18082097A JP 18082097 A JP18082097 A JP 18082097A JP H1114814 A JPH1114814 A JP H1114814A
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thin film
film
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groove
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、大面積の可視光用偏光子を容易に
作製することが可能であること、可視光の光透過率が高
いこと、可視光域で機能する表示デバイスに用いること
が可能なように着色されていないことを全て満足する光
学素子を提供することを目的とする。 【解決手段】 可視光に対して透明な石英基板10表面
に、直線状に延びる溝が複数列形成され、各溝内の両側
面は石英基板10裏面に対して垂直面をなしている。こ
のように凹凸形状をなす石英基板10表面上には同じ屈
折率のSiO2 膜20が嵌合して設けられている。これ
ら石英基板10とSiO2 膜20との勘合面全体にわた
ってGe薄膜18が直線格子状に設けられている。即
ち、この直線格子状のGe薄膜18は、両側面が垂直な
凹部と凸部とが交互に繰り返される凹凸形状の断面をな
すと共に、図面の奥行き方向に直線状に延びている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学素子に係り、特に可
視光に対して透明性に優れ、円偏光を直線偏光にする偏
光子や直線偏光の偏光面を回転させる磁気光学素子とし
て用いられる光学素子に関するものである。従って、例
えば可視光用ディスプレイ等に広く応用される。
【0002】
【従来の技術】従来の偏光子の主な例とその問題点を以
下に列挙する。 (1) 特開平1−93702号公報に開示された偏光
板 この偏光板は、強磁性体微粒子からなる多数の捧状素子
を含む偏光層を基板表面に一定方向に配列して固着形成
したもの、即ち棒状の強磁性体を一定方向に並べたもの
である。従って、その製造が容易で、且つ光学的特性に
優れた偏光板及びその製造方法を提供することができ
る。
【0003】しかし、この偏光板は、偏光層の配列のバ
ラツキが大きく、また捧状素子材料自体の形状のバラツ
キも大きいという欠点を有している。また、材料は光の
吸収と屈折率が大きいことが必要であるが、この点で好
ましいとはいえない。
【0004】(2) ワイヤグリッド偏光子 この偏光子は、1μmより長波長の光に対して機能する
偏光子であって、臭化銀、ポリエチレン等の透明基板に
微小な間隔で金やAl(アルミニウム)の線を引いたも
のである。この場合、線の間隔をd、波長をλとする
と、λ>dの波長の光に対して、透過光は線に垂直な振
動面をもつほぼ完全な直線偏光になる。中赤外用(λ=
2.5μm〜25μm)としては臭化銀基板にd=0.
3μm間隔で金線を引いたものが用いられ、遠赤外用
(λ=16μm〜100μm)としてはポリエチレン板
にd=0.7μmでAlを引いたものが用いられる。ま
た、偏光度は80%程度といわれる。
【0005】しかし、このワイヤグリッド偏光子は長波
長の赤外線用の偏光子であり、可視光に対しては機能し
ない。また、このワイヤ法においては、線幅を50nm
以下に細くすることはできないという欠点もある。
【0006】(3) コーニング社製「ポーラコア」 このポーラコア(商品名)は、長く延伸させた金属銀を
ガラス自身の中に一方向に配列させることにより偏光特
性をもたせたガラス材料であり、従来の有機物偏光素子
と異なり、耐熱性、耐温性、耐化学薬品性、及びレーザ
に対する耐性に非常に優れている。赤外線用が主である
が、特殊仕様として可視光用もある。
【0007】しかし、可視光用のポーラコアは外観上茶
色であり、従来利用されている有機物偏光素子と同様
に、表示デバイスでは暗くなってコントラスト(明暗の
差)が付かず利用することができないという問題があ
る。しかも、価格も高価であリ、またサイズが大きいも
のの製品化が因難であるという欠点もある。更に、光透
過率も、400〜800nmで85%程度(2mm厚の
とき)と不十分である。
【0008】(4) マイクロワイヤアレイ このマイクロワイヤアレイは、東北大学のグループから
報告されたものであり、赤外線用にAlの表面を陽極酸
化させてアルミナとし、微細な穴を開けてこの中にNi
(ニッケル)やCu(銅)などの金属を入れ偏光子とし
て用いるものである。このマイクロワイヤアレイについ
ては、可視光域の光透過データが十分には明らかにされ
ていないが、主たる利用範囲である赤外線での透過率も
86%以下と低い。また、このグループはガラス層間に
島状金属粒子層を挿入して引き延ばし、偏光子を得てい
るが、可視光領域での偏光度は不十分であり、やはリ長
波長の赤外線用である。
【0009】(5) 積層型偏光子 この積層型偏光子は、東北大学の電気通信研究所の川上
彰二郎教授により発表されているもので、可視光用とし
ては、RF(高周波)スパッタリング法を用いて、6〜
8nmの厚みのGe(ゲルマニウム)層と1μmの厚み
のSiO2 層を交互に60μmの厚みになるまで積層し
て作製したものである。そして、0.6μmの波長で測
定した性能指数αTE/αTM(TE波とTM波に対する消
衰定数の比)は400近く、0.8μmの波長で測定し
た消光比は35dB、挿入損失は0.18dBであリ、
可視光に対して十分なものである。
【0010】しかし、この積層型偏光子は、スパッタリ
ング法で作製されるため、せいぜい50〜100μm程
度の厚みでしか作製することができない。従って、この
基板上の薄膜から3〜35μm厚みのスライス状に切り
出して用いる。用途は光センシングシステムや光導波路
デバイス等への組込素子として利用され、850nm以
上の波長ではラミボールの名称で同様の製法を用いたも
のが住友大阪セメント(株)から販売されているが、こ
の製法を用いる限り大面積のものは作製不可能であると
いう欠点がある。
【0011】この他にも、本発明者が提案した先行技術
として、10nm以下の金属又は半導体粒子を有機溶剤
中に分散させて、透明な支持板の上に直線状に塗布し、
焼成することによリ偏光子を形成するようにした技術が
ある。しかし、可視光用ディスプレイ等に広く応用する
ためには、まだ改良の余地があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来か
ら種々の偏光子が提案されているが、可視光用ディスプ
レイ等に広く応用するためには、それぞれに種々の問題
点を有している。そこで本発明は、上記問題点を鑑みて
なされたものであり、大面積の可視光用偏光子を容易に
作製することが可能であること、可視光の光透過率が高
いこと、可視光域で機能する表示デバイスに用いること
が可能なように着色されていないことを全て満足する光
学素子を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するための手段として、一般的なリソグラフィ技術
を用いて透明支持体上に細線を設ける方法により作製さ
れる偏光子を既に提案している(特願平8−32919
8号公報参照)。即ち、本提案に係る偏光子は、可視光
に対して透明な支持体の表面に、凹形の溝をフォトリソ
グラフィ技術を用いて直線状に且つ互いに平行になるよ
うに複数列形成する工程と、この溝を形成した支持体に
半導体又は金属よりなる薄膜を形成する工程と、この薄
膜のうち、凹形の溝内の側壁表面に形成された部分のみ
が支持体上に残存するようにエッチング処理を行うこと
により、この残存した薄膜によって細線を形成するよう
にした工程とを含む方法より製造されることを特徴とす
る。こうして、細線における高さと幅の比、即ちアスペ
クト比を大きくし、光の透過率を向上させると共に、偏
光度を高くし、且つディスプレイ用に好ましい無色透明
である偏光子を得ることができた。
【0014】本発明者は、更に研究を進め、偏光子に斜
めから光が入射する場合であっても、視斜角が小さいこ
とによる影響を減少させて、偏光子機能を十分に発揮さ
せることが可能なように改良を加えることとした。ま
た、偏光子機能のみならず、偏光面が回転する、いわゆ
るファラデー回転効果が現れる磁性機能を発揮させ、一
般的な光磁気記録媒体としても使用することが可能なよ
うに改良を加えることとした。このようにして、以下の
本発明に係る光学素子を見い出した
【0015】即ち、請求項1に係る光学素子は、可視光
に対して透明な支持体の表面に、所定の深さの溝を等間
隔をおいて直線状に複数列形成する第1の工程と、これ
らの溝内の底面及び両側面並びに溝間の支持体の表面
に、所定の厚さの薄膜を形成する第2の工程と、基体全
面に、支持体と同じ屈折率の支持層を形成した後、支持
層の表面を平坦化して、支持体の裏面に対して平行にす
る第3の工程とを有する方法により製造される光学素子
である。
【0016】このように請求項1に係る光学素子におい
ては、可視光に対して透明な支持体と支持層との間に薄
膜が形成され、支持体の表面に形成された溝の形状に沿
って凹凸形状の断面をなすと共に奥行き方向に直線状に
延びていることにより、このように断面が凹凸形状をな
し奥行き方向に直線状に延びている薄膜(以下、「直線
格子状の薄膜」という)が支持体と支持層との勘合面全
体にわたって設けられているため、この直線格子状の薄
膜が導電性と光を吸収しない透明性を有する場合、入射
した可視光と相互作用して、円偏光を直線偏光にする偏
光子機能を発揮して、偏光度が高くなると共に、光透過
率も高くなる。また、この直線格子状の薄膜が適当な保
磁力を有し、ファラデー回転角が大きく、磁気異方性が
等方的である場合、入射した可視光と相互作用して、偏
光面が回転するファラデー回転効果を奏する磁性機能が
発揮される。
【0017】また、請求項2に係る光学素子は、上記請
求項1に係る光学素子において、溝内の底面及び溝間の
支持体の表面が、支持体の裏面に対して平行面をなし、
溝内の両側面が、支持体の裏面に対して垂直面をなして
いることを特徴とする。
【0018】このように請求項2に係る光学素子におい
ては、可視光に対して透明な支持体と支持層との間に全
体にわたって形成された直線格子状の薄膜が、両側面が
垂直な凹部と凸部とが交互に繰り返される凹凸形状の断
面をなすことにより、この直線格子状の薄膜が導電性と
透明性を有して偏光子機能を発揮する際、溝内の両側面
に形成され、支持体の裏面に対して垂直面をなしている
薄膜はそのアスペクト比が十分に大きいため、垂直に入
射する可視光との相互作用が強くなり、偏光度が向上す
る。また、溝内の底面及び溝間の支持体表面にも薄膜が
形成され、支持体裏面に対して平行面をなしているた
め、斜めに入射する可視光の視斜角が小さい場合であっ
ても、この斜め入射光との相互作用が補強され、十分な
偏光子機能が発揮される。また、この直線格子状の薄膜
が適当な保磁力を有し、ファラデー回転角が大きく、磁
気異方性が等方的であってファラデー回転効果を奏する
磁性機能を発揮する際、溝内の両側面に形成され、支持
体の裏面に対して垂直面をなしている薄膜はそのアスペ
クト比が十分に大きいため、垂直に入射した可視光との
相互作用が強くなり、ファラデー回転効果が向上する。
また、溝内の底面及び溝間の支持体表面にも薄膜が形成
され、支持体裏面に対して平行面をなしていることによ
り、斜めに入射する可視光の視斜角が小さい場合であっ
ても、この斜め入射光との相互作用が補強され、十分な
ファラデー回転効果を奏する。
【0019】また、請求項3に係る光学素子は、上記請
求項1に係る光学素子において、溝内の底面及び溝間の
前記支持体の表面が支持体の裏面に対して平行面をな
し、溝内の両側面が支持体の裏面に対して傾斜面をなし
ていることを特徴とする。
【0020】このように請求項3に係る光学素子におい
ては、可視光に対して透明な支持体と支持層との間に全
体にわたって形成された直線格子状の薄膜が、両側面が
傾斜している凹部と凸部とが交互に繰り返される凹凸形
状の断面をなすことにより、この直線格子状の薄膜が導
電性と透明性を有して偏光子機能を発揮する際、斜めに
入射する可視光の視斜角が小さい場合であっても、上記
請求項2に係る光学素子の場合よりも更に十分な偏光子
機能が発揮される。また、この直線格子状の薄膜が適当
な保磁力を有し、ファラデー回転角が大きく、磁気異方
性が等方的であってファラデー回転効果を奏する磁性機
能を発揮する際、斜めに入射する可視光の視斜角が小さ
い場合であっても、上記請求項2に係る光学素子の場合
よりも更に十分なファラデー回転効果を奏する。
【0021】また、請求項4に係る光学素子は、上記請
求項1に係る光学素子において、溝内の底面及び溝間の
前記支持体の表面が前記支持体の裏面に対して平行面を
なし、溝内の両側面が弓形に湾曲する曲面をなしている
ことを特徴とする。
【0022】このように請求項4に係る光学素子におい
ては、可視光に対して透明な支持体と支持層との間に全
体にわたって形成された直線格子状の薄膜が、両側面が
弓形に湾曲している凹部と凸部とが交互に繰り返される
凹凸形状の断面をなすことにより、この直線格子状の薄
膜が導電性と透明性を有して偏光子機能を発揮する際、
斜めに入射する可視光の視斜角が小さい場合であって
も、上記請求項3に係る光学素子の場合と同様に十分な
偏光子機能が発揮される。また、この直線格子状の薄膜
が適当な保磁力を有し、ファラデー回転角が大きく、磁
気異方性が等方的であってファラデー回転効果を奏する
磁性機能を発揮する際、斜めに入射する可視光の視斜角
が小さい場合であっても、上記請求項3に係る光学素子
の場合と同様に十分なファラデー回転効果を奏する。
【0023】また、請求項5に係る光学素子は、上記請
求項1〜4に係る光学素子において、支持体の表面に直
線状に等間隔をおいて複数列形成された溝が複数のパタ
ーンに配置され、複数列の溝のピッチがこれら複数のパ
ターンの各パターン間で互いに異なっていることを特徴
とする。
【0024】このように請求項5に係る光学素子におい
ては、可視光に対して透明な支持体と支持層との間に全
体にわたって形成された直線格子状の薄膜が、互いにピ
ッチの異なる複数種類のパターンを有していることによ
り、複数種類の波長の入射可視光との相互作用が可能と
なり、この直線格子状の薄膜と相互作用する可視光の波
長範囲が拡大するため、この直線格子状の薄膜が導電性
と透明性を有して偏光子機能を発揮する場合であって
も、適当な保磁力を有し、ファラデー回転角が大きく、
磁気異方性が等方的であってファラデー回転効果を奏す
る磁性機能を発揮する場合であっても、その波長依存性
が低減される。
【0025】また、請求項6に係る光学素子は、上記請
求項1〜5に係る光学素子において、支持体の表面に形
成された溝の直線形状が、微視的には薄膜の最大厚さの
範囲内で凹凸形状をなしている直線形状であることを特
徴とする。
【0026】このように請求項6に係る光学素子におい
ては、支持体の表面に形成された溝の直線形状が微視的
には凹凸形状をなしていることにより、溝内の両側面に
形成された薄膜の実効的な長さが長くなるため、この直
線格子状の薄膜が適当な保磁力を有し、ファラデー回転
角が大きく、磁気異方性が等方的であってファラデー回
転効果を奏する磁性機能を発揮する際には、磁性体とし
ての体積が増加して、磁気光学効果が増大する。
【0027】また、請求項7に係る光学素子は、上記請
求項3又は4に係る光学素子において、前記第2の工程
と前記第3の工程との間に、溝内の底面上の薄膜及び溝
間の支持体の表面上の薄膜を選択的に除去し、溝内の両
側面上の薄膜のみを残存させる工程を有する方法により
製造される光学素子である。
【0028】このように請求項7に係る光学素子におい
ては、支持体の裏面に対して垂直面をなしている溝内の
両側面上に薄膜が形成されている一方で、支持体裏面に
対して平行面をなしている溝内の底面及び溝間の支持体
表面には薄膜が形成されていないことにより、上記請求
項3又は4に係る光学素子の場合と同様の作用を奏する
と共に、その際の入射可視光の透過率が更に向上する。
【0029】また、請求項8に係る光学素子は、上記請
求項1〜7に係る光学素子において、溝のピッチが0.
2μm乃至2μmであり、溝の深さが0.1μm〜5.
0μmであり、薄膜の厚さが5nm〜50nmであるこ
とを特徴とする。
【0030】このように請求項8に係る光学素子におい
ては、溝のピッチが0.2μm乃至2μmであることに
より、こうした溝の形状に沿って形成された直線格子状
の薄膜は入射する可視光と相互作用が生じ、上記請求項
1〜7に係る光学素子の作用を奏することが可能にな
る。また、溝の深さが0.1μm〜5.0μmであり、
薄膜の厚さが5nm〜100nmであることにより、薄
膜のアスペクト比が十分に大きくなり、入射する可視光
との相互作用が強くなるため、この直線格子状の薄膜が
導電性と透明性を有する場合には十分な偏光子機能を発
揮して、薄膜が適当な保磁力を有し、ファラデー回転角
が大きく、磁気異方性が等方的である場合には十分なフ
ァラデー回転効果を奏する磁性機能が発揮される。
【0031】また、請求項9に係る光学素子は、上記請
求項8に係る光学素子において、薄膜が半導体膜又は金
属膜であることを特徴とする。
【0032】このように請求項9に係る光学素子におい
ては、支持体と支持層との勘合面に設けられている直線
格子状の薄膜が厚さ5nm〜100nmの半導体膜又は
金属膜からなることにより、この直線格子状の薄膜が導
電性を有すると共に、入射する可視光に対する透明性を
有するため、円偏光を直線偏光にする偏光子機能を発揮
する。
【0033】また、請求項10に係る光学素子は、上記
請求項9に係る光学素子において、薄膜が強磁性微粒子
を含有していることを特徴とする。
【0034】このように請求項10に係る光学素子にお
いては、支持体と支持層との勘合面に設けられている直
線格子状の薄膜が強磁性微粒子を含有していることによ
り、この直線格子状の薄膜が適当な保磁力を有し、ファ
ラデー回転角が大きく、磁気異方性が等方的であるた
め、偏光面が回転するファラデー回転効果を奏する磁性
機能が発揮される。なお、上記請求項10に係る光学素
子において、強磁性微粒子としては、平均粒子径2〜5
0nmのFe(鉄)、Co(コバルト)、Ni、又はこ
れらの合金の微粒子であることが好適である。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら本
発明の実施の形態を説明する。 (第1の実施形態)本発明の第1の実施形態に係る光学
素子を、図1を用いて説明する。ここで、図1は本実施
形態に係る光学素子を示す断面図である。なお、本実施
形態は、請求項1、2、8、9に対応するものである。
図1に示されるように、可視光に対して透明な支持体と
して用いる厚さ1mmの石英基板10表面に、幅0.7
5μm、深さ0.75μmの溝が間隔0.75μmをお
いて図面の奥行き方向に直線状に複数列形成されてい
る。そして、この石英基板10表面の各溝内の底面及び
これらの溝間の石英基板10表面は、石英基板10裏面
に対して平行面をなしており、各溝内の両側面は、石英
基板10裏面に対して垂直面をなしている。
【0036】また、このような溝によって凹凸形状をな
している石英基板10表面上には、石英基板10と同じ
屈折率をもつSiO2 膜(シリコン酸化膜)20が嵌合
して設けられている。即ち、SiO2 膜20裏面も、石
英基板10表面と同様に、図面の奥行き方向に直線状に
延びる複数列の溝が形成され、その断面が凹凸形状をな
すと共に、石英基板10表面及びSiO2 膜20裏面の
それぞれの凹部と凸部とが互いにかみ合った状態をなし
ている。また、このSiO2 膜20表面は平坦化され
て、石英基板10裏面に対して平行面をなしている。
【0037】そして、これら互いに嵌合している石英基
板10表面とSiO2 膜20裏面との間に、その勘合面
全体にわたって厚さ11nmのGe薄膜18が直線格子
状に設けられている点に本実施形態の特徴がある。即
ち、この直線格子状のGe薄膜18は、両側面が垂直な
凹部と凸部とが交互に繰り返される凹凸形状の断面をな
すと共に、図面の奥行き方向に直線状に延びている。
【0038】また、SiO2 膜20表面上に、例えば屈
折率n=1.33のMgF2 (フッ化マグネシウム)か
らなる厚さ0.1μmの反射防止膜22が設けられてお
り、この反射防止膜22によって可視光域の反射率が3
%程度低下するようになっている。また、石英基板10
裏面上に、例えばAlからなる厚さ0.2μmの反射膜
24が設けられている。
【0039】次に、図1に示す光学素子の製造方法を、
図2〜図5を用いて説明する。ここで、図2〜図5はそ
れぞれ図1に示す光学素子の製造方法を説明するための
工程図である。先ず、可視光に対して透明な支持体とし
て表面及び裏面が平行な厚さ1mmの石英基板10を用
い、この石英基板10表面上に、Cr2 3 (酸化クロ
ム)膜及びCr(クロム)膜を順に積層して合計の厚さ
が120nmとなるCr2 3/Cr複合膜12を形成
する。そして、基体全面に、例えばポジ型レジスト14
を塗布する。
【0040】続いて、フォトリソグラフィ技術を用い
て、このポジ型レジスト14のパターニングを行う。即
ち、ポジ型レジスト14上に所定のパターン像を描画し
たフォトマスクを配置し、UV(Ultra Violet;紫外)
光を用いた露光を行った後、現像を行う。こうして、ポ
ジ型レジスト14を幅0.75μm、間隔0.75μm
のL/S(ライン・アンド・スペース)状にパターニン
グする(図2参照)。
【0041】次いで、このL/S状にパターニングされ
たポジ型レジスト14をマスクとし、エッチングガスと
してフッ素ガスを用いて、Cr2 3 /Cr複合膜12
及び石英基板10を選択的にエッチング除去する。この
エッチングの後、ポジ型レジスト14及びCr2 3
Cr複合膜12を除去する。こうして、石英基板10表
面に、幅0.75μm、深さ0.75μmの溝16が間
隔0.75μmをおいて直線状に複数列形成されるよう
に加工する。ここで、電子顕微鏡を用いて石英基板10
表面に形成された溝16を観察し、各溝16内の底面及
びこれらの溝16間の石英基板10表面が石英基板10
裏面に対して平行面をなしており、各溝16内の両側面
が石英基板10裏面に対して垂直面をなしていることが
確認する(図3参照)。
【0042】次いで、例えばECR(Electron Cyclotr
on Resonance;電子サイクロトロン共鳴)スパッタリン
グ法により、キャリアガスとしてAr(アルゴン)ガス
を用い、ガス圧10-1Pa、基板温度700℃の条件に
おいて、基体全面に、即ち各溝16内の底面及びこれら
の溝16間の石英基板10表面並びに各溝16内の両側
面に、厚さ11nmのGe薄膜18を直線格子状に形成
する。なお、この厚さ11nmの直線格子状のGe薄膜
18は、円偏光を直線偏光にする偏光子機能に必要な導
電性と光を吸収しない透明性を具備する薄膜である(図
4参照)。
【0043】次いで、例えばCVD(Chemical Vapor D
eposition ;化学的気相成長)法により、直線格子状の
Ge薄膜18上に、各溝16が十分に埋まるような厚さ
に、石英基板10と同じ屈折率をもつSiO2 膜20を
堆積する。続いて、研磨法により、SiO2 膜20表面
を平坦化して、このSiO2 膜20表面が石英基板10
裏面に対して平行面をなすようにする。なお、このSi
2 膜20表面を研磨する際に、直線格子状のGe薄膜
18が露出しないように注意する。
【0044】続いて、例えば真空蒸着法により、平坦化
されたSiO2 膜20表面上に、屈折率n=1.33の
MgF2 からなる厚さ0.1μmの反射防止膜22を形
成する。また、例えば真空蒸着法により、石英基板10
裏面上に、Alからなる厚さ0.2μmの反射膜24を
形成する。このようにして、図1に示す光学素子を作製
する(図5参照)。
【0045】以上のように、本実施形態に係る光学素子
によれば、可視光に対して透明な石英基板10表面とS
iO2 膜20裏面との間に直線格子状のGe薄膜18が
設けられ、両側面が垂直な凹部と凸部とが交互に繰り返
される凹凸形状の断面をなすと共に、図1の奥行き方向
に直線状に延びていることにより、この直線格子状のG
e薄膜18が入射した可視光と相互作用して、円偏光を
直線偏光にする偏光子機能を発揮することができる。特
に、溝16内の両側面に形成され、石英基板10裏面に
対して垂直面をなしているGe薄膜18は、そのアスペ
クト比が70程度と大きいため、垂直に入射した可視光
との相互作用が強くなり、偏光度を向上することができ
る。また、溝16内の底面及びこれらの溝16間の石英
基板10表面にもGe薄膜18が形成され、石英基板1
0裏面に対して平行面をなしているため、斜めに入射す
る可視光の視斜角が小さい場合であっても、この斜め入
射可視光との相互作用が補強されて、十分な偏光子機能
を発揮することができる。
【0046】本発明者が本実施形態に基づいて作製した
光学素子においては、石英基板10とSiO2 膜20と
の間に設けられた直線格子状のGe薄膜18に対して電
気ベクトルが垂直な場合をS偏光とし、平行な場合をP
偏光とすると、波長550mmの光に対してS偏光透過
率T1 は80%以上であり、P偏光透過率T2 は7%以
下であった。また、偏光度(T1 −T2 )/(T1 +T
2 )は波長550mmの光に対して80%以上であっ
た。更に、波長550mmの光に対する光透過率は72
%以上であった。従って、従来のLCD(液晶表示デバ
イス)に用いられるヨウ素タイプの偏光子の透過率が5
0%以下であることと比較すると、大幅に明るい偏光子
を得ることができたといえる。
【0047】なお、上記第1の実施形態においては、石
英基板10表面とSiO2 膜20裏面との間に直線格子
状のGe薄膜18が設けられているが、このGe薄膜1
8の代わりに、例えばSi薄膜等の他の半導体薄膜を用
いてもよいし、金属薄膜を用いてもよい。
【0048】(第2の実施形態)本発明の第2の実施形
態に係る光学素子を、図6を用いて説明する。ここで、
図6は本実施形態に係る光学素子を示す断面図である。
なお、上記図1に示す光学素子と同一の構成要素には同
一の符合を付して説明を省略する。また、本実施形態
は、請求項1、2、8、9、10、11に対応するもの
である。図6に示されるように、本実施形態に係る光学
素子は、上記図1に示す第1の実施形態に係る光学素子
とほぼ同様の構造を有し、直線格子状のGe薄膜18の
代わりに、強磁性微粒子としてのCo粒子並びにCo酸
化膜及び/又はCo炭化膜を含有する薄膜(以下、適宜
「Co粒子含有薄膜」という)26が設けられているも
のである。
【0049】即ち、可視光に対して透明な支持体として
用いる厚さ1mmの石英基板10表面に、幅0.75μ
m、深さ0.75μmの溝が間隔0.75μmをおいて
図面の奥行き方向に直線状に複数列形成されており、こ
の石英基板10表面の各溝内の底面及びこれらの溝間の
石英基板10表面は、石英基板10裏面に対して平行面
をなしており、各溝内の両側面は、石英基板10裏面に
対して垂直面をなしている。また、このよう溝によって
断面が凹凸形状をなしている石英基板10表面上には、
石英基板10と同じ屈折率をもつSiO2 膜20が嵌合
して設けられている。そして、このSiO2 膜20表面
は平坦化されて、石英基板10裏面に対して平行面をな
している。
【0050】そして、これら互いに嵌合している石英基
板10表面とSiO2 膜20裏面との間に、その勘合面
全体にわたって平均粒子径8nmのCo粒子並びにCo
酸化膜及び/又はCo炭化膜を含有する平均膜厚20n
mのCo粒子含有薄膜26が直線格子状に設けられてい
る点に本実施形態の特徴がある。即ち、この直線格子状
のCo粒子含有薄膜26は、両側面が垂直な凹部と凸部
とが交互に繰り返される凹凸形状の断面をなすと共に、
図面の奥行き方向に直線状に延びている。
【0051】また、SiO2 膜20表面上に、例えばM
gF2 からなる厚さ0.1μmの反射防止膜22が設け
られ、可視光域の反射率が3%程度低下するようになっ
ている。また、石英基板10裏面上に、例えばAlから
なる厚さ0.2μmの反射膜24が設けられている。
【0052】次に、図6に示す光学素子の製造方法を説
明する。なお、この場合の工程図は上記図2〜図5に示
す場合とほぼ同様であるため、その図示を省略する。先
ず、上記第1の実施形態の場合と同様にして、表面及び
裏面が平行な厚さ1mmの石英基板10表面上に、Cr
2 3 膜及びCr膜を順に積層して、厚さ120nmの
Cr2 3 /Cr複合膜を形成する。そして、基体全面
に例えばポジ型レジストを塗布した後、フォトリソグラ
フィ技術を用いて、このポジ型レジストを幅0.75μ
m、間隔0.75μmのL/S状にパターニングする。
【0053】次いで、このようにパターニングされたポ
ジ型レジストをマスクとし、エッチングガスとしてフッ
素ガスを用いて、Cr2 3 /Cr複合膜及び石英基板
10を選択的にエッチング除去する。こうして、石英基
板10表面に幅0.75μm、深さ0.75μmの溝が
間隔0.75μmをおいて直線状に複数列形成されるよ
うに加工する。ここで、電子顕微鏡を用いて石英基板1
0表面に形成された溝を観察し、各溝内の底面及びこれ
らの溝間の石英基板10表面が石英基板10裏面に対し
て平行面をなしており、各溝内の両側面が石英基板10
裏面に対して垂直面をなしていることが確認する。
【0054】次いで、例えばガス中蒸着法により、Ar
ガスと空気との混合ガスを用い、ガス流量が空気/Ar
=5ccm/50ccm、全ガス圧が1.3Paの条件
において、石英基板10を加熱することなく、基体全面
に純度99.9%のCo粉末を蒸着する。こうして、各
溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10表面並びに
各溝内の両側面に、平均粒子径8nmのCo粒子並びに
Co酸化膜及び/又はCo炭化膜を含有する平均膜厚2
0nmのCo粒子含有薄膜26を直線格子状に形成す
る。
【0055】なお、偏光面が回転するファラデー回転効
果を奏する磁性機能を発揮するには、記録及び消去に適
当な300Oe〜2000Oeの保磁力を有すること、
コントラストを大きくするためにファラデー回転角が大
きいこと、面内磁気異方性が等方的であることを必要条
件とするが、この平均膜厚20nmの直線格子状のCo
粒子含有薄膜26はこれらの条件を満足する薄膜であ
る。因みに、この直線格子状のCo粒子含有薄膜26の
平坦部において測定した保磁力は400Oeであった。
【0056】次いで、上記第1の実施形態の場合と同様
にして、CVD法により、直線格子状のCo粒子含有薄
膜26上に、各溝が十分に埋まるような厚さに、石英基
板10と同じ屈折率をもつSiO2 膜20を堆積した
後、研磨法により、SiO2 膜20表面を平坦化して、
このSiO2 膜20表面が石英基板10裏面に対して平
行面をなすようにする。続いて、真空蒸着法により、平
坦化されたSiO2 膜20表面上に、MgF2 からなる
厚さ0.1μmの反射防止膜22を形成する。また、真
空蒸着法により、石英基板10裏面上に、Alからなる
厚さ0.2μmの反射膜24を形成する。このようにし
て、図6に示す光学素子を作製する。
【0057】以上のように、本実施形態に係る光学素子
によれば、可視光に対して透明な石英基板10表面とS
iO2 膜20裏面との間にCo粒子並びにCo酸化膜及
び/又はCo炭化膜を含有する直線格子状のCo粒子含
有薄膜26が設けられ、両側面が垂直な凹部と凸部とが
交互に繰り返される凹凸形状の断面をなすと共に、図6
の奥行き方向に直線状に延びていることにより、この直
線格子状のCo粒子含有薄膜26が入射可視光と相互作
用して、偏光面が回転するファラデー回転効果を奏する
磁性機能を発揮することができる。特に、石英基板10
表面の溝の側面に形成され、石英基板10裏面に対して
垂直面をなしているCo粒子含有薄膜26が垂直に入射
した可視光と強く相互作用すると共に、溝内の底面及び
これらの溝間の石英基板10表面にもCo粒子含有薄膜
26が形成され、石英基板10裏面に対して平行面をな
しているため、本実施形態に係る光学素子に斜めに入射
する可視光の視斜角が小さい場合であっても、この斜め
入射可視光との相互作用が補強され、この斜め入射可視
光に対しても十分なファラデー回転効果を奏する磁性機
能を発揮することができる。
【0058】本発明者が本実施形態に基づいて作製した
光学素子においては、石英基板10とSiO2 膜20と
の間に設けれた直線格子状のCo粒子含有薄膜26に対
して電気ベクトルが垂直な場合をS偏光とし、平行な場
合をP偏光とすると、波長550mmの光に対してS偏
光透過率T1 は80%以上であり、P偏光透過率T2
7%以下であった。また、偏光度(T1 −T2 )/(T
1 +T2 )は波長550mmの光に対して80%以上で
あった。
【0059】更に、1mmφの円筒状棒磁石(表面磁束
1.5Kガウス)を用いて文字を書くと、磁化部と非磁
化部とではファラデー回転角が大きく異なり、且つ直線
格子状のCo粒子含有薄膜26が大きな偏光機能を有す
るため、磁化部と非磁化部との透過光強度の差によるコ
ントラストが表れ、文字を識別することができた。
【0060】また、直線格子状のCo粒子含有薄膜が設
けられていない石英基板10片面上に、例えば真空蒸着
法により、厚さ200nmのAl膜を形成した後、上記
の場合と同様に、円筒状棒磁石を用いて文字を記録する
と、反射光強度の差によるコントラストにより、文字を
読むことができた。
【0061】なお、上記第2の実施形態においては、石
英基板10表面とSiO2 膜20裏面との間に直線格子
状のCo粒子含有薄膜26が設けられているが、このC
o粒子含有薄膜26の代わりに、例えばFe、Ni、又
はこれらの合金の微粒子を含有する薄膜を用いてもよ
い。これらの薄膜も、偏光面が回転するファラデー回転
効果を奏する磁性機能を発揮するための必要条件、即ち
記録及び消去に適当な300Oe〜2000Oeの保磁
力を有すること、コントラストを大きくするためにファ
ラデー回転角が大きいこと、磁気異方性が等方的である
ことという条件を満足するものである。
【0062】(第3の実施形態)本発明の第3の実施形
態に係る光学素子を、図7を用いて説明する。ここで、
図7は本実施形態に係る光学素子を示す断面図である。
なお、上記図6に示す光学素子と同一の構成要素には同
一の符合を付して説明を省略する。また、本実施形態
は、請求項1、2、5、8、9、10、11に対応する
ものである。図7に示されるように、本実施形態に係る
光学素子は、上記図6に示す第1の実施形態に係る光学
素子とほぼ同様の構造を有しているが、1種類のパター
ンの各溝内側を含む石英基板10全表面に直線格子状の
Co粒子含有薄膜26が形成されているの代わりに、石
英基板10表面に複数種類のパターンの溝が形成され、
これら複数種類のパターンの各溝内側を含む石英基板1
0全表面に直線格子状のCo粒子含有薄膜28が設けら
れているものである。
【0063】即ち、可視光に対して透明な支持体として
用いる厚さ1mmの石英基板10表面に、幅0.75μ
m、深さ0.75μmの溝が間隔0.75μmをおいて
図面の奥行き方向に延びる直線状に複数列形成されてい
ると共に、これらの溝に隣接して、幅0.50μm、深
さ0.75μmの溝が間隔0.50μmをおいて図面の
奥行き方向に延びる直線状に複数列形成されている。そ
して、これら2種類のパターンの各溝内の底面及びこれ
らの溝間の石英基板10表面は、石英基板10裏面に対
して平行面をなしている一方で、各溝内の両側面は、石
英基板10裏面に対して垂直面をなしている。
【0064】また、このような溝によって凹凸形状をな
している石英基板10表面上に、石英基板10と同じ屈
折率をもつSiO2 膜20が嵌合して設けられている。
そして、このSiO2 膜20表面は平坦化されて、石英
基板10裏面に対して平行面をなしている。
【0065】そして、これら互いに嵌合している石英基
板10表面とSiO2 膜20裏面との間に、その勘合面
全体にわたって、平均粒子径8nmのCo粒子並びにC
o酸化膜及び/又はCo炭化膜を含有する平均膜厚20
nmのCo粒子含有薄膜28が直線格子状に設けられて
いる点に本実施形態の特徴がある。即ち、この直線格子
状のCo粒子含有薄膜28は、両側面が垂直な凹部と凸
部とが交互に繰り返される凹凸形状の断面をなすと共
に、図面の奥行き方向に直線状に延びているが、断面の
凹凸形状が互いにピッチの異なる2種類のパターンを有
している。また、SiO2 膜20表面上に、MgF2
らなる厚さ0.1μmの反射防止膜22が設けられ、可
視光域の反射率が3%程度低下するようになっている。
また、石英基板10裏面上に、Alからなる厚さ0.2
μmの反射膜24が設けられている。
【0066】次に、図7に示す光学素子の製造方法を説
明する。なお、工程図は、上記第2の実施形態の場合と
同様に、その図示を省略する。先ず、上記第2の実施形
態の場合と同様にして、表面及び裏面が平行な厚さ1m
mの石英基板10表面上に、Cr2 3 膜及びCr膜を
順に積層し、厚さ120nmのCr2 3 /Cr複合膜
を形成する。そして、基体全面にポジ型レジストを塗布
した後、フォトリソグラフィ技術を用いて、このポジ型
レジストをパターニングして、幅0.75μm、間隔
0.75μmのL/S状のパターンと幅0.50μm、
間隔0.50μmのL/S状のパターンとを隣接して形
成する。
【0067】次いで、このようにパターニングされたポ
ジ型レジストをマスクとし、エッチングガスとしてフッ
素ガスを用いて、Cr2 3 /Cr複合膜及び石英基板
10を選択的にエッチング除去する。こうして、石英基
板10表面に幅0.75μm、深さ0.75μmの溝が
間隔0.75μmをおいて直線状に複数列形成されると
同時に、これらの溝に隣接して、幅0.50μm、深さ
0.75μmの溝が間隔0.50μmをおいて直線状に
複数列形成されるように加工する。このとき、これら2
種類のパターンの各溝内の底面及びこれらの溝間の石英
基板10表面は、石英基板10裏面に対して平行面をな
す一方で、各溝内の両側面は、石英基板10裏面に対し
て垂直面をなすようにする。
【0068】次いで、上記第2の実施形態の場合と同様
にして、ガス中蒸着法により、基体全面に純度99.9
%のCo粉末を蒸着する。こうして、各溝内の底面及び
これらの溝間の石英基板10表面並びに各溝内の両側面
に、平均粒子径8nmのCo粒子並びにCo酸化膜及び
/又はCo炭化膜を含有する平均膜厚20nmのCo粒
子含有薄膜28を直線格子状に形成する。
【0069】次いで、上記第2の実施形態の場合と同様
にして、CVD法により、直線格子状のCo粒子含有薄
膜28上に、各溝が十分に埋まるような厚さに、石英基
板10と同じ屈折率のSiO2 膜20を堆積した後、研
磨法により、SiO2 膜20表面を平坦化して、このS
iO2 膜20表面が石英基板10裏面に対して平行面を
なすようにする。続いて、真空蒸着法により、平坦化さ
れたSiO2 膜20表面上に、MgF2 からなる厚さ
0.1μmの反射防止膜22を形成する。また、真空蒸
着法により、石英基板10裏面上に、Alからなる厚さ
0.2μmの反射膜24を形成する。このようにして、
図7に示す光学素子を作製する。
【0070】以上のように、本実施形態に係る光学素子
によれば、可視光に対して透明な石英基板10表面とS
iO2 膜20裏面との間にCo粒子並びにCo酸化膜及
び/又はCo炭化膜を含有する直線格子状のCo粒子含
有薄膜28が設けられ、両側面が垂直な凹部と凸部とが
交互に繰り返される凹凸形状の断面をなすと共に、この
断面の凹凸形状が互いにピッチの異なる2種類のパター
ンを有していることにより、本実施形態に係る光学素子
に入射した可視光とこの直線格子状のCo粒子含有薄膜
28とが相互作用する際に、2種類の波長の可視光との
相互作用が可能となるため、直線格子状のCo粒子含有
薄膜28と相互作用する可視光の波長範囲が拡大し、偏
光面が回転するファラデー回転効果を奏する磁性機能を
発揮することができると共に、その際のファラデー回転
効果の波長依存性を低減することができる。
【0071】本発明者が本実施形態に基づいて作製した
光学素子において、円筒状棒磁石を用いて文字を記録さ
せたところ、上記第2の実施形態に基づいて作製した光
学素子の場合よりも、コントラストを1.5倍程度向上
することができた。
【0072】なお、上記第3の実施形態においては、直
線格子状のCo粒子含有薄膜28の断面の凹凸形状が互
いにピッチの異なる2種類のパターンを有しているが、
この2種類のパターンの代わりに、互いにピッチの異な
る3種類以上のパターンの直線格子状のCo粒子含有薄
膜を設けてもよい。この場合、直線格子状のCo粒子含
有薄膜と相互作用する可視光の波長範囲を更に拡大し
て、ファラデー回転効果の波長依存性を更に低減するこ
とができる。但し、ピッチの異なるパターンの数は光学
素子の面積によって制限される。
【0073】(第4の実施形態)本発明の第4の実施形
態に係る光学素子を、図8及び図9を用いて説明する。
ここで、図8は本実施形態に係る光学素子を示す断面図
であり、図9はそのA−A線断面図である。なお、上記
図6に示す光学素子と同一の構成要素には同一の符合を
付して説明を省略する。また、本実施形態は、請求項
1、2、6、8、9、10、11に対応するものであ
る。図8及び図9に示されるように、本実施形態に係る
光学素子は、上記図6に示す第1の実施形態に係る光学
素子とほぼ同様の構造を有しているが、石英基板10表
面に複数の溝が直線状に形成され、こうした各溝内側を
含む石英基板10全表面に直線格子状のCo粒子含有薄
膜26が形成されている代わりに、直線状に形成された
溝の直線性が微視的には鋸刃状の凹凸形状を有してお
り、こうした微視的に鋸刃状の凹凸形状をなしつつ巨視
的には直線状に延びている各溝内側を含む石英基板10
全表面に直線格子状のCo粒子含有薄膜30が設けられ
ているものである。
【0074】即ち、可視光に対して透明な支持体として
用いる厚さ1mmの石英基板10表面に、幅0.75μ
m、深さ0.75μmの溝が間隔0.75μmをおいて
直線状に複数列形成されているが、これらの溝の直線形
状は微視的には振幅20nmの鋸刃状の凹凸形状をなし
ている。そして、これらの各溝内の底面及びこれらの溝
間の石英基板10表面は、石英基板10裏面に対して平
行面をなしている一方で、各溝内の両側面は、石英基板
10裏面に対して垂直面をなしている。
【0075】また、このような溝によって凹凸形状をな
している石英基板10表面上に、石英基板10と同じ屈
折率をもつSiO2 膜20が嵌合して設けられている。
そして、このSiO2 膜20表面は平坦化されて、石英
基板10裏面に対して平行面をなしている。
【0076】そして、これら互いに嵌合している石英基
板10表面とSiO2 膜20裏面との間に、その勘合面
全体にわたって、平均粒子径8nmのCo粒子並びにC
o酸化膜及び/又はCo炭化膜を含有する平均膜厚20
nmのCo粒子含有薄膜30が直線格子状に設けられて
いる点に本実施形態の特徴がある。即ち、この直線格子
状のCo粒子含有薄膜30は、両側面が垂直な凹部と凸
部とが交互に繰り返される凹凸形状の断面をなすと共
に、直線状に延びているが、この溝の直線形状が微視的
には振幅20nmの鋸刃状の凹凸形状をなしている点に
特徴がある。
【0077】また、SiO2 膜20表面上に、MgF2
からなる厚さ0.1μmの反射防止膜22が設けられ、
可視光域の反射率が3%程度低下するようになってい
る。また、石英基板10裏面上に、Alからなる厚さ
0.2μmの反射膜24が設けられている。
【0078】次に、図8及び図9に示す光学素子の製造
方法を、図10〜図12を用いて説明する。ここで、図
10は図8及び図9に示す光学素子の製造方法を説明す
るための工程断面図(その1)、図11は図8及び図9
に示す光学素子の製造方法を説明するための工程断面図
(その2)、図12(a)は図8及び図9に示す光学素
子の製造方法を説明するための工程断面図(その3)、
図12(b)は図12(a)のA−A線断面図である。
【0079】先ず、上記第2の実施形態の場合と同様に
して、表面及び裏面が平行な厚さ1mmの石英基板10
表面上に、Cr2 3 膜及びCr膜を順に積層し、厚さ
120nmのCr2 3 /Cr複合膜を形成する。そし
て、基体全面にポジ型レジストを塗布した後、フォトリ
ソグラフィ技術を用いて、このポジ型レジストをパター
ニングして、幅0.75μm、間隔0.75μmのL/
S状のパターンを形成するが、このL/S状のパターン
の直線形状は微視的には振幅20nmの鋸刃状の凹凸形
状をなしている。
【0080】次いで、このようにパターニングされたポ
ジ型レジストをマスクとし、エッチングガスとしてフッ
素ガスを用いて、Cr2 3 /Cr複合膜及び石英基板
10を選択的にエッチング除去する。こうして、石英基
板10表面に、幅0.75μm、深さ0.75μmを有
し、微視的には振幅20nmの鋸刃状の凹凸形状をなし
つつ直線状に延びる複数列の溝32が間隔0.75μm
をおいて形成されるように加工する。このとき、各溝3
2内の底面及びこれらの溝32間の石英基板10表面
は、石英基板10裏面に対して平行面をなす一方で、各
溝32内の両側面は、石英基板10裏面に対して垂直面
をなすようにする(図10参照)。
【0081】次いで、上記第2の実施形態の場合と同様
にして、ガス中蒸着法により、基体全面に純度99.9
%のCo粉末を蒸着する。こうして、各溝内の底面及び
これらの溝間の石英基板10表面並びに各溝内の両側面
に、平均粒子径8nmのCo粒子並びにCo酸化膜及び
/又はCo炭化膜を含有するCo粒子含有薄膜30を直
線格子状に形成する。このとき、このCo粒子含有薄膜
30の平均膜厚は20nmとなり、その最大膜厚は50
nmとなる(図11参照)。
【0082】次いで、上記第2の実施形態の場合と同様
にして、CVD法により、直線格子状のCo粒子含有薄
膜30上に、各溝32が十分に埋まるような厚さに、石
英基板10と同じ屈折率のSiO2 膜20を堆積した
後、研磨法により、SiO2 膜20表面を平坦化して、
このSiO2 膜20表面が石英基板10裏面に対して平
行面をなすようにする。続いて、真空蒸着法により、平
坦化されたSiO2 膜20表面上に、MgF2 からなる
厚さ0.1μmの反射防止膜22を形成する。また、真
空蒸着法により、石英基板10裏面上に、Alからなる
厚さ0.2μmの反射膜24を形成する。このようにし
て、図8及び図9に示す光学素子を作製する(図12
(a)、(b)参照)。
【0083】以上のように、本実施形態に係る光学素子
によれば、可視光に対して透明な石英基板10表面とS
iO2 膜20裏面との間にCo粒子並びにCo酸化膜及
び/又はCo炭化膜を含有する直線格子状のCo粒子含
有薄膜30が設けられ、両側面が垂直な凹部と凸部とが
交互に繰り返される凹凸形状の断面をなすと共に、微視
的には鋸刃状の凹凸形状をなしつつ直線状に延びている
ことにより、溝32内の両側面に形成され、石英基板1
0裏面に対して垂直面をなしているCo粒子含有薄膜3
0の実効的な長さが長くなり、磁性体としての体積が増
大するため、上記第2の実施形態に係る光学素子の場合
よりも、偏光面が回転するファラデー回転効果を大きく
することができる。
【0084】本発明者が本実施形態に基づいて作製した
光学素子において、円筒状棒磁石を用いて文字を記録さ
せたところ、上記第2の実施形態に基づいて作製した光
学素子の場合よりも、コントラストを向上することがで
きた。但し、偏光子機能は低下した。
【0085】なお、上記第4の実施形態においては、直
線格子状のCo粒子含有薄膜30が微視的には鋸刃状の
凹凸形状をなしつつ直線状に延びているが、この鋸刃状
の凹凸形状の代わりに、例えば微視的には矩形状やサイ
ンカーブ状の凹凸形状をなしつつ直線状に延びていても
よい。また、鋸刃状の凹凸形状の振幅を20nmとして
いるが、この振幅はCo粒子含有薄膜30の膜厚の最大
値である100nm以内であればよい。
【0086】(第5の実施形態)本発明の第5の実施形
態に係る光学素子を、図13を用いて説明する。ここ
で、図13は本実施形態に係る光学素子を示す断面図で
ある。なお、上記図6に示す光学素子と同一の構成要素
には同一の符合を付して説明を省略する。また、本実施
形態は、請求項1、3、8、9、10、11に対応する
ものである。図13に示されるように、本実施形態に係
る光学素子は、上記図6に示す第1の実施形態に係る光
学素子とほぼ同様の構造を有しているが、直線格子状の
Co粒子含有薄膜26の代わりに、石英基板10表面に
逆台形状の溝が図面の奥行き方向に直線状に複数列形成
され、各溝内の両側面が石英基板10裏面に対して傾斜
面をなし、こうした溝内側を含む石英基板10全表面に
Co粒子含有薄膜34が直線格子状に設けられているも
のである。
【0087】即ち、可視光に対して透明な支持体として
用いる石英基板10表面に、逆台形状の溝が図面の奥行
き方向に直線状に複数列形成されており、この石英基板
10表面の各溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板1
0表面は、石英基板10裏面に対して平行面をなしてい
る一方で、各溝内の両側面は、石英基板10裏面に対し
て傾斜面をなしている。また、このような溝によって凹
凸形状をなしている石英基板10表面上に、石英基板1
0と同じ屈折率のSiO2 膜20が嵌合して設けられて
いる。そして、このSiO2 膜20表面は平坦化され
て、石英基板10裏面に対して平行面をなしている。
【0088】そして、これら互いに嵌合している石英基
板10表面とSiO2 膜20裏面との間に、その勘合面
全体にわたって、Co粒子並びにCo酸化膜及び/又は
Co炭化膜を含有するCo粒子含有薄膜34が直線格子
状に設けられている点に本実施形態の特徴がある。即
ち、この直線格子状のCo粒子含有薄膜34は、逆台形
状の凹部と台形状の凸部とが交互に繰り返される凹凸形
状の断面をなすと共に、図面の奥行き方向に直線状に延
びている。
【0089】また、SiO2 膜20表面上に、例えばM
gF2 からなる反射防止膜22が設けられ、可視光域の
反射率が3%程度低下するようになっている。また、石
英基板10裏面上に、例えばAlからなる反射膜24が
設けられている。
【0090】次に、図13に示す光学素子の製造方法を
説明する。なお、工程図は、上記第2の実施形態の場合
と同様に、その図示を省略する。先ず、上記第2の実施
形態の場合と同様にして、表面と裏面とが互いに平行な
石英基板10表面上に、Cr2 3 膜及びCr膜を順に
積層して、Cr2 3 /Cr複合膜を形成する。そし
て、基体全面にポジ型レジストを塗布した後、フォトリ
ソグラフィ技術を用いて、このポジ型レジストをL/S
状にパターニングする。
【0091】次いで、このようにパターニングされたポ
ジ型レジストをマスクとし、エッチングガスとしてフッ
素ガスを用いて、Cr2 3 /Cr複合膜及び石英基板
10を選択的にエッチング除去する。このエッチングプ
ロセスにおいて、フッ素ガスの圧力を変化させるなど、
上記第2の実施形態の場合とエッチング条件を変えるこ
とにより、石英基板10表面に、逆台形状の溝が等間隔
をおいて直線状に複数列形成されるように加工する。こ
うして、各溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10
表面が石英基板10裏面に対して平行面をなす一方で、
各溝内の両側面が石英基板10裏面に対して傾斜面をな
すようにする。
【0092】次いで、上記第2の実施形態の場合と同様
にして、ガス中蒸着法により、基体全面に純度99.9
%のCo粉末を蒸着する。こうして、各溝内の底面及び
これらの溝間の石英基板10表面並びに各溝内の傾斜す
る両側面に、Co粒子並びにCo酸化膜及び/又はCo
炭化膜を含有するCo粒子含有薄膜34を直線格子状に
形成する。
【0093】次いで、上記第2の実施形態の場合と同様
にして、CVD法により、直線格子状のCo粒子含有薄
膜34上に、各溝が十分に埋まるような厚さに、石英基
板10と同じ屈折率のSiO2 膜20を堆積した後、研
磨法により、SiO2 膜20表面を平坦化して、このS
iO2 膜20表面が石英基板10裏面に対して平行面を
なすようにする。続いて、真空蒸着法により、平坦化さ
れたSiO2 膜20表面上に、MgF2 からなる反射防
止膜22を形成する。また、真空蒸着法により、石英基
板10裏面上に、Alからなる反射膜24を形成する。
このようにして、図13に示す光学素子を作製する。
【0094】以上のように、本実施形態に係る光学素子
によれば、可視光に対して透明な石英基板10表面とS
iO2 膜20裏面との間にCo粒子並びにCo酸化膜及
び/又はCo炭化膜を含有する直線格子状のCo粒子含
有薄膜34が設けられ、逆台形状の凹部と台形状の凸部
とが交互に繰り返される凹凸形状の断面をなすと共に、
図13の奥行き方向に直線状に延びていることにより、
基本的に上記第2の実施形態に係る光学素子と同様の効
果を奏するが、この第2の実施形態に係る光学素子の場
合よりも更に視斜角が小さい場合であっても、ファラデ
ー回転効果が顕著に現れ、十分な磁性機能を発揮するこ
とができる。
【0095】本発明者が本実施形態に基づいて作製した
光学素子において、円筒状棒磁石を用いて文字を記録さ
せると、上記第2の実施形態に基づいて作製した光学素
子の場合よりも、見る位置が正面から更にずれても、コ
ントラストの低下を抑制することができた。但し、偏光
子機能は少し低下した。
【0096】なお、上記第5の実施形態においては、そ
の断面が逆台形状の凹部と台形状の凸部とが交互に繰り
返される凹凸形状をなしている直線格子状のCo粒子含
有薄膜34が設けられているが、この直線格子状のCo
粒子含有薄膜34の代わりに、例えば図8に示されるよ
うに、台形状の凹部と逆台形状の凸部とが交互に繰り返
される凹凸形状の断面をなしている直線格子状のCo粒
子含有薄膜36を設けてもよい。この場合、上記第5の
実施形態に係る光学素子と実質的には同じ構造となり、
従って同様の効果を奏することができる。
【0097】(第6の実施形態)本発明の第6の実施形
態に係る光学素子を、図15を用いて説明する。ここ
で、図15は本実施形態に係る光学素子を示す断面図で
ある。なお、上記図6に示す光学素子と同一の構成要素
には同一の符合を付して説明を省略する。また、本実施
形態は、請求項1、4、8、9、10、11に対応する
ものである。図15に示されるように、本実施形態に係
る光学素子は、上記図6に示す第1の実施形態に係る光
学素子とほぼ同様の構造を有しているが、直線格子状の
Co粒子含有薄膜26の代わりに、石英基板10表面
に、図面の奥行き方向に直線状に延びる溝が複数列形成
され、各溝内の両側面が溝内部に弓形に張り出している
曲面をなし、こうした溝内側を含む石英基板10全表面
にCo粒子含有薄膜38が直線格子状に設けられている
ものである。
【0098】即ち、可視光に対して透明な支持体として
用いる石英基板10表面に、図面の奥行き方向に直線状
に延びる溝が複数列形成されており、この石英基板10
表面の各溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板10表
面は、石英基板10裏面に対して平行面をなしている一
方で、各溝内の両側面は、溝内部に弓形に張り出してい
る曲面をなしている。また、このような溝によって凹凸
形状をなしている石英基板10表面上に、石英基板10
と同じ屈折率のSiO2 膜20が嵌合して設けられてい
る。そして、このSiO2 膜20表面は平坦化されて、
石英基板10裏面に対して平行面をなしている。
【0099】そして、これら互いに嵌合している石英基
板10表面とSiO2 膜20裏面との間に、その勘合面
全体にわたって、Co粒子並びにCo酸化膜及び/又は
Co炭化膜を含有するCo粒子含有薄膜38が直線格子
状に設けられている点に本実施形態の特徴がある。即
ち、この直線格子状のCo粒子含有薄膜38は、両側面
が溝内部に弓形に張り出している曲面の凹部と弓形にへ
こんでいる曲面の凸部とが交互に繰り返される凹凸形状
の断面をなすと共に、図面の奥行き方向に直線状に延び
ている。
【0100】また、SiO2 膜20表面上に、例えばM
gF2 からなる反射防止膜22が設けられ、可視光域の
反射率が3%程度低下するようになっている。また、石
英基板10裏面上に、例えばAlからなる反射膜24が
設けられている。
【0101】次に、図15に示す光学素子の製造方法を
説明する。なお、工程図は、上記第2の実施形態の場合
と同様に、その図示を省略する。先ず、上記第2の実施
形態の場合と同様にして、表面と裏面とが互いに平行な
石英基板10表面上に、Cr2 3 膜及びCr膜を順に
積層して、Cr2 3 /Cr複合膜を形成する。そし
て、基体全面にポジ型レジストを塗布した後、フォトリ
ソグラフィ技術を用いて、このポジ型レジストをL/S
状にパターニングする。
【0102】次いで、このようにしてパターニングされ
たポジ型レジストをマスクとし、エッチングガスとして
フッ素ガスを用いて、Cr2 3 /Cr複合膜及び石英
基板10を選択的にエッチング除去して、図面の奥行き
方向に直線状に延びる溝が複数列形成されるように加工
する。そして、このエッチングプロセスにおいて、フッ
素ガスの圧力を経時的に変化させつつエッチングするこ
とにより、各溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板1
0表面が石英基板10裏面に対して平行面をなす一方
で、各溝内の両側面が溝内部に弓形に張り出している曲
面をなすようにする。
【0103】次いで、上記第2の実施形態の場合と同様
にして、ガス中蒸着法により、基体全面に純度99.9
%のCo粉末を蒸着する。こうして、各溝内の底面及び
これらの溝間の石英基板10表面並びに各溝内の傾斜す
る両側面に、Co粒子並びにCo酸化膜及び/又はCo
炭化膜を含有するCo粒子含有薄膜38を直線格子状に
形成する。
【0104】次いで、上記第2の実施形態の場合と同様
にして、CVD法により、直線格子状のCo粒子含有薄
膜38上に、各溝が十分に埋まるような厚さに、石英基
板10と同じ屈折率のSiO2 膜20を堆積した後、研
磨法により、SiO2 膜20表面を平坦化して、このS
iO2 膜20表面が石英基板10裏面に対して平行面を
なすようにする。続いて、真空蒸着法により、平坦化さ
れたSiO2 膜20表面上に、MgF2 からなる反射防
止膜22を形成する。また、真空蒸着法により、石英基
板10裏面上に、Alからなる反射膜24を形成する。
このようにして、図15に示す光学素子を作製する。
【0105】以上のように、本実施形態に係る光学素子
によれば、可視光に対して透明な石英基板10表面とS
iO2 膜20裏面との間にCo粒子並びにCo酸化膜及
び/又はCo炭化膜を含有する直線格子状のCo粒子含
有薄膜38が設けられ、両側面が溝内部に弓形に張り出
している曲面の凹部と弓形にへこんでいる曲面の凸部と
が交互に繰り返される凹凸形状の断面をなすと共に、図
15の奥行き方向に直線状に延びていることにより、上
記第5の実施形態に係る光学素子とほぼ同様の効果を奏
することができる。
【0106】本発明者が本実施形態に基づいて作製した
光学素子において、円筒状棒磁石を用いて文字を記録さ
せると、上記第2の実施形態に基づいて作製した光学素
子の場合よりも、見る位置が正面から更にずれても、コ
ントラストの低下を抑制することができた。但し、偏光
子機能は少し低下した。
【0107】なお、上記第6の実施形態においては、両
側面が溝内部に弓形に張り出している曲面の凹部と弓形
にへこんでいる曲面の凸部とが交互に繰り返される凹凸
形状の断面をなす直線格子状のCo粒子含有薄膜38が
設けられているが、この直線格子状のCo粒子含有薄膜
38の代わりに、例えば図16に示されるように、両側
面が溝内部に弓形に張り出している曲面の凸部と弓形に
へこんでいる曲面の凹部とが交互に繰り返される凹凸形
状の断面をなす直線格子状のCo粒子含有薄膜40を設
けてもよい。この場合、上記第6の実施形態に係る光学
素子と実質的には同じ構造となり、従って同様の効果を
奏することができる。
【0108】(第7の実施形態)本発明の第7の実施形
態に係る光学素子を、図17を用いて説明する。ここ
で、図17は本実施形態に係る光学素子を示す断面図で
ある。なお、上記図13に示す光学素子と同一の構成要
素には同一の符合を付して説明を省略する。また、本実
施形態は、請求項1、3、7、8、9、10、11に対
応するものである。図17に示されるように、本実施形
態に係る光学素子は、上記図13に示す第5の実施形態
に係る光学素子とほぼ同様の構造を有しているが、直線
状に複数列形成された逆台形状の溝内側を含む石英基板
10全表面に設けられている直線格子状のCo粒子含有
薄膜34の代わりに、直線状に複数列形成された逆台形
状の各溝内の傾斜面をなしている両側面のみにCo粒子
含有薄膜42が直線格子状に設けられているものであ
る。
【0109】即ち、可視光に対して透明な支持体として
用いる石英基板10表面に、逆台形状の溝が図面の奥行
き方向に直線状に複数列形成されており、この石英基板
10表面の各溝内の底面及びこれらの溝間の石英基板1
0表面は、石英基板10裏面に対して平行面をなしてい
る一方で、各溝内の両側面は、石英基板10裏面に対し
て傾斜面をなしている。また、このような溝によって凹
凸形状をなしている石英基板10表面上に、石英基板1
0と同じ屈折率のSiO2 膜20が嵌合して設けられて
いる。そして、このSiO2 膜20表面は平坦化され
て、石英基板10裏面に対して平行面をなしている。
【0110】そして、これら互いに嵌合している石英基
板10表面とSiO2 膜20裏面との間に、その勘合面
のうち、石英基板10裏面に対して傾斜面をなしている
部分のみに、Co粒子並びにCo酸化膜及び/又はCo
炭化膜を含有するCo粒子含有薄膜42が直線格子状に
設けられている点に本実施形態の特徴がある。即ち、こ
の直線格子状のCo粒子含有薄膜42は、その断面が逆
台形状の凹部の両側面に沿った傾斜面をなすと共に、図
面の奥行き方向に直線状に延びている。
【0111】また、SiO2 膜20表面上に、例えばM
gF2 からなる反射防止膜22が設けられ、可視光域の
反射率が3%程度低下するようになっている。また、石
英基板10裏面上に、例えばAlからなる反射膜24が
設けられている。
【0112】このように、本実施形態に係る光学素子
は、上記図13に示す第5の実施形態に係る光学素子に
おいて、石英基板10裏面に対して平行面をなす溝内の
底面及びこれらの溝間の石英基板10表面に形成された
Co粒子含有薄膜34を選択的に除去し、各溝内の傾斜
している両側面のみにCo粒子含有薄膜34を残存させ
たものに他ならない。
【0113】次に、図17に示す光学素子の製造方法を
説明する。なお、工程図は、上記第2の実施形態の場合
と同様に、その図示を省略する。先ず、上記第5の実施
形態の場合と同様にして、表面と裏面とが互いに平行な
石英基板10表面上に、Cr2 3 膜及びCr膜を順に
積層しCr2 3 /Cr複合膜を形成する。そして、基
体全面にポジ型レジストを塗布した後、フォトリソグラ
フィ技術を用いて、このポジ型レジストをL/S状にパ
ターニングする。
【0114】続いて、このようにパターニングされたポ
ジ型レジストをマスクとし、エッチングガスとしてフッ
素ガスを用いて、Cr2 3 /Cr複合膜及び石英基板
10を選択的にエッチング除去して、石英基板10表面
に逆台形状の溝が等間隔をおいて直線状に複数列形成さ
れるように加工する。こうして、各溝内の底面及びこれ
らの溝間の石英基板10表面が石英基板10裏面に対し
て平行面をなす一方で、各溝内の両側面が石英基板10
裏面に対して傾斜面をなすようにする。
【0115】次いで、上記第5の実施形態の場合と同様
にして、ガス中蒸着法により、基体全面に純度99.9
%のCo粉末を蒸着し、各溝内の底面及びこれらの溝間
の石英基板10表面並びに各溝内の傾斜する両側面に、
Co粒子含有薄膜34を直線格子状に形成する。
【0116】次いで、例えばスパッタリング装置を用い
て、石英基板10側に−300Vの電圧を印加し、Ar
ガスを導入し、逆スパッタリング法により、石英基板1
0裏面に対して平行面をなす溝内の底面及びこれらの溝
間の石英基板10表面に形成されたCo粒子含有薄膜4
2を選択的に除去し、各溝内の傾斜している両側面のみ
にCo粒子含有薄膜42を残存させる。
【0117】次いで、上記第5の実施形態の場合と同様
にして、CVD法により、直線格子状のCo粒子含有薄
膜34上に、各溝が十分に埋まるような厚さに、石英基
板10と同じ屈折率のSiO2 膜20を堆積した後、研
磨法により、SiO2 膜20表面を平坦化して、このS
iO2 膜20表面が石英基板10裏面に対して平行面を
なすようにする。続いて、真空蒸着法により、平坦化さ
れたSiO2 膜20表面上に、MgF2 からなる反射防
止膜22を形成する。また、真空蒸着法により、石英基
板10裏面上に、Alからなる反射膜24を形成する。
このようにして、図17に示す光学素子を作製する。
【0118】以上のように、本実施形態に係る光学素子
によれば、可視光に対して透明な石英基板10表面とS
iO2 膜20裏面との間にCo粒子並びにCo酸化膜及
び/又はCo炭化膜を含有する直線格子状のCo粒子含
有薄膜42が設けられ、その断面が石英基板10裏面に
対して傾斜面をなすと共に、図17の奥行き方向に直線
状に延びていることにより、基本的に上記第5の実施形
態に係る光学素子と同様の効果を奏するが、この第5の
実施形態に係る光学素子の場合のように石英基板10裏
面に対して平行面をなしている直線格子状のCo粒子含
有薄膜がない分だけ光の透過率を向上することができ
る。
【0119】本発明者が本実施形態に基づいて作製した
光学素子において、円筒状棒磁石を用いて文字を記録さ
せると、上記第2の実施形態に基づいて作製した光学素
子の場合よりも、光の透過率が向上したため、その分だ
け像のコントラストを向上することができた。
【0120】なお、上記第7の実施形態においては、石
英基板10表面に逆台形状の溝を等間隔をおいて直線状
に複数列形成し、これらの逆台形状の各溝内の傾斜面を
なしている両側面のみにCo粒子含有薄膜42を直線格
子状に設けているが、この代わりに、例えば図18に示
されるように、両側面が弓形に湾曲している曲面をなす
ような溝を等間隔をおいて直線状に複数列形成し、これ
らの各溝内の弓形に湾曲している両側面のみにCo粒子
含有薄膜を直線格子状に設けてもよい。これは、上記図
15に示す第6の実施形態に係る光学素子において、石
英基板10裏面に対して平行面をなす溝内の底面及びこ
れらの溝間の石英基板10表面に形成されたCo粒子含
有薄膜38を選択的に除去し、各溝内の弓形に湾曲して
いる両側面のみにCo粒子含有薄膜38を残存させたも
のに他ならない。そしてこの場合も、上記第7の実施形
態の場合と同様の効果を奏することができる。
【0121】
【発明の効果】以上、詳細に説明した通り、本発明に係
る光学素子によれば、次のような効果を奏することがで
きる。即ち、請求項1に係る光学素子によれば、可視光
に対して透明な支持体と支持層との間に薄膜が形成さ
れ、支持体の表面に形成された溝の形状に沿って凹凸形
状の断面をなすと共に奥行き方向に直線状に延びている
ことにより、この直線格子状の薄膜が支持体と支持層と
の勘合面全体にわたって設けられているため、この直線
格子状の薄膜が導電性と光を吸収しない透明性を有する
場合、偏光子機能を発揮して、偏光度を高くすることが
できると共に、光透過率も高くすることができ、従って
偏光度が高くて明るい無色透明の可視光用ディスプレイ
に適した高性能の光学素子を得ることができる。また、
この直線格子状の薄膜が適当な保磁力を有し、ファラデ
ー回転角が大きく、磁気異方性が等方的である場合、フ
ァラデー回転効果を奏する磁性機能を発揮することがで
き、従って磁界によって画像を記録したり、消去したり
することが可能な高性能の光学素子を得ることができ
る。
【0122】また、請求項2に係る光学素子によれば、
可視光に対して透明な支持体と支持層との間に全体にわ
たって形成された直線格子状の薄膜が、両側面が垂直な
凹部と凸部とが交互に繰り返される凹凸形状の断面をな
すことにより、この直線格子状の薄膜が偏光子機能を発
揮する際、支持体の裏面に対して垂直な溝内の両側面に
形成された薄膜はそのアスペクト比が十分に大きいた
め、垂直に入射する可視光との強い相互作用が生じて、
偏光度を向上することができる。また、支持体裏面に対
して平行な溝内の底面及び溝間の支持体表面にも薄膜が
形成されているため、斜めに入射する視斜角の小さい可
視光との相互作用を生じ、この斜め入射可視光に対して
も十分な偏光子機能を発揮することができる。また、こ
の直線格子状の薄膜がファラデー回転効果を奏する磁性
機能を発揮する際、支持体の裏面に対して垂直面をなし
ている薄膜はそのアスペクト比が十分に大きいため、垂
直に入射した可視光との相互作用が強くなり、ファラデ
ー回転効果を向上することができる。また、支持体裏面
に対して平行面をなしている薄膜は、斜めに入射する視
斜角の小さい可視光との相互作用を生じるため、この斜
め入射可視光に対しても十分なファラデー回転効果を奏
することができる。
【0123】また、請求項3に係る光学素子によれば、
可視光に対して透明な支持体と支持層との間に全体にわ
たって形成された直線格子状の薄膜が、両側面が傾斜し
ている凹部と凸部とが交互に繰り返される凹凸形状の断
面をなすことにより、斜めに入射する視斜角の小さい可
視光との相互作用も十分に生じるため、この直線格子状
の薄膜が偏光子機能を発揮する際、斜め入射可視光に対
しても、上記請求項2に係る光学素子の場合よりも更に
十分な偏光子機能を発揮することができる。また、この
直線格子状の薄膜がファラデー回転効果を奏する磁性機
能を発揮する際、斜め入射可視光に対しても、上記請求
項2に係る光学素子の場合よりも更に十分なファラデー
回転効果を奏することができる。
【0124】また、請求項4に係る光学素子によれば、
可視光に対して透明な支持体と支持層との間に全体にわ
たって形成された直線格子状の薄膜が、両側面が弓形に
湾曲している凹部と凸部とが交互に繰り返される凹凸形
状の断面をなすことにより、斜めに入射する視斜角の小
さい可視光との相互作用も十分に生じるため、この直線
格子状の薄膜が偏光子機能を発揮する際、斜め入射可視
光に対しても上記請求項3に係る光学素子の場合と同様
に十分な偏光子機能を発揮することができる。また、こ
の直線格子状の薄膜がファラデー回転効果を奏する磁性
機能を発揮する際、斜め入射可視光に対しても上記請求
項3に係る光学素子の場合と同様に十分なファラデー回
転効果を奏し、コントラストの低下を抑制することがで
きる。
【0125】また、請求項5に係る光学素子によれば、
可視光に対して透明な支持体と支持層との間に全体にわ
たって形成された直線格子状の薄膜が、互いにピッチの
異なる複数種類のパターンを有していることにより、複
数種類の波長の入射可視光との相互作用が可能となり、
直線格子状の薄膜と相互作用する可視光の波長範囲が拡
大するため、この直線格子状の薄膜が偏光子機能を発揮
する際、その波長依存性を低減することができる。ま
た、ファラデー回転効果を奏する磁性機能を発揮する際
も、その波長依存性を低減されて、コントラストの高い
像を得ることができる。
【0126】また、請求項6に係る光学素子によれば、
支持体の表面に形成された溝の直線形状が微視的には凹
凸形状をなしていることにより、溝内の両側面に形成さ
れた薄膜の実効的な長さが長くなるため、この直線格子
状の薄膜がファラデー回転効果を奏する磁性機能を発揮
する際には、磁性体としての体積が増加して、磁気光学
効果を増大させ、コントラストの高い像を得ることがで
きる。
【0127】また、請求項7に係る光学素子によれば、
支持体の裏面に対して垂直面をなしている溝内の両側面
上に薄膜が形成されている一方で、支持体裏面に対して
平行面をなしている溝内の底面及び溝間の支持体表面に
は薄膜が形成されていないことにより、上記請求項3又
は4に係る光学素子の場合と同様の作用を奏することが
できると共に、その際の入射可視光の透過率を更に向上
することができる。
【0128】また、請求項8に係る光学素子によれば、
溝のピッチが0.2μm〜2μmであることにより、こ
うした溝の形状に沿って形成された直線格子状の薄膜は
入射可視光と相互作用を生じ、上記請求項1〜7に係る
光学素子の作用を奏することになる。また、溝の深さが
0.1μm〜5.0μmであり、薄膜の厚さが5nm〜
100nmであることにより、薄膜のアスペクト比が十
分に大きくなり、入射可視光との相互作用が強くなるた
め、この直線格子状の薄膜が導電性と透明性を有する場
合には十分な偏光子機能を発揮することができ、この直
線格子状の薄膜が適当な保磁力を有し、ファラデー回転
角が大きく、磁気異方性が等方的である場合には十分な
ファラデー回転効果を奏する磁性機能を発揮することが
できる。
【0129】また、請求項9に係る光学素子によれば、
支持体と支持層との勘合面に設けられている直線格子状
の薄膜が厚さ5nm〜100nmの半導体膜又は金属膜
からなることにより、この直線格子状の薄膜が導電性を
有すると共に、入射する可視光に対する透明性を有する
ため、円偏光を直線偏光にする偏光子機能を発揮するこ
とができる。
【0130】また、請求項10に係る光学素子によれ
ば、支持体と支持層との勘合面全体にわたって設けられ
ている直線格子状の薄膜が強磁性微粒子を含有している
ことにより、この直線格子状の薄膜が適当な保磁力を有
し、ファラデー回転角が大きく、面内磁気異方性が等方
的であるため、偏光面が回転するファラデー回転効果を
奏する磁性機能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光学素子を示す
断面図である。
【図2】図1に示す光学素子の製造方法を説明するため
の工程図(その1)である。
【図3】図1に示す光学素子の製造方法を説明するため
の工程図(その2)である。
【図4】図1に示す光学素子の製造方法を説明するため
の工程図(その3)である。
【図5】図1に示す光学素子の製造方法を説明するため
の工程図(その4)である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る光学素子を示す
断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る光学素子を示す
断面図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る光学素子を示す
断面図である。
【図9】図9に示す光学素子のA−A線断面図である。
【図10】図8及び図9に示す光学素子の製造方法を説
明するための工程図(その1)である。
【図11】図8及び図9に示す光学素子の製造方法を説
明するための工程図(その2)である。
【図12】図8及び図9に示す光学素子の製造方法を説
明するための工程図(その3)である。
【図13】本発明の第5の実施形態に係る光学素子を示
す断面図である。
【図14】本発明の第5の実施形態の変形例に係る光学
素子を示す断面図である。
【図15】本発明の第6の実施形態に係る光学素子を示
す断面図である。
【図16】本発明の第6の実施形態の変形例に係る光学
素子を示す断面図である。
【図17】本発明の第7の実施形態に係る光学素子を示
す断面図である。
【図18】本発明の第7の実施形態の変形例に係る光学
素子を示す断面図である。
【符号の説明】
10 石英基板 12 Cr2 3 /Cr複合膜 14 ポジ型レジスト 16 溝 18 Ge薄膜 20 SiO2 膜 22 反射防止膜 24 反射膜 26 Co粒子含有薄膜 28 Co粒子含有薄膜 30 Co粒子含有薄膜 32 溝 34 Co粒子含有薄膜 36 Co粒子含有薄膜 38 Co粒子含有薄膜 40 Co粒子含有薄膜 42 Co粒子含有薄膜 44 Co粒子含有薄膜

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可視光に対して透明な支持体の表面に、
    所定の深さの溝を等間隔をおいて直線状に複数列形成す
    る第1の工程と、前記溝内の底面及び両側面並びに前記
    溝間の前記支持体の表面に、所定の厚さの薄膜を形成す
    る第2の工程と、基体全面に、前記支持体と同じ屈折率
    の支持層を形成した後、前記支持層の表面を平坦化し
    て、前記支持体の裏面に対して平行にする第3の工程と
    を有する方法により製造される光学素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の光学素子において、 前記溝内の底面及び前記溝間の前記支持体の表面が、前
    記支持体の裏面に対して平行面をなし、前記溝内の両側
    面が、前記支持体の裏面に対して垂直面をなしているこ
    とを特徴とする光学素子。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の光学素子において、 前記溝内の底面及び前記溝間の前記支持体の表面が、前
    記支持体の裏面に対して平行面をなし、前記溝内の両側
    面が、前記支持体の裏面に対して傾斜面をなしているこ
    とを特徴とする光学素子。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の光学素子において、 前記溝内の底面及び前記溝間の前記支持体の表面が、前
    記支持体の裏面に対して平行面をなし、前記溝内の両側
    面が、弓形に湾曲する曲面をなしていることを特徴とす
    る光学素子。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の光学
    素子において、 前記支持体の表面に直線状に等間隔をおいて複数列形成
    された前記溝が複数のパターンに配置され、前記複数列
    の溝のピッチが前記複数のパターンの各パターン間で互
    いに異なっていることを特徴とする光学素子。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載の光学
    素子において、 前記支持体の表面に形成された前記溝の直線形状が、微
    視的には前記薄膜の最大厚さの範囲内で凹凸形状をなし
    ている直線形状であることを特徴とする光学素子。
  7. 【請求項7】 請求項3又は4に記載の光学素子におい
    て、 前記第2の工程と前記第3の工程との間に、前記溝内の
    底面上の前記薄膜及び前記溝間の前記支持体の表面上の
    前記薄膜を選択的に除去し、前記溝内の両側面上の前記
    薄膜のみを残存させる工程を有する方法により製造され
    る光学素子。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれかに記載の光学
    素子において、 前記溝のピッチが0.2μm乃至2μmであり、前記溝
    の深さが0.1μm乃至5.0μmであり、前記薄膜の
    厚さが5nm乃至100nmであることを特徴とする光
    学素子。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の光学素子において、 前記薄膜が、半導体膜又は金属膜であることを特徴とす
    る光学素子。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の光学素子において、 前記薄膜が、強磁性微粒子を含有していることを特徴と
    する光学素子。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の光学素子において、 前記強磁性微粒子が、平均粒子径2nm乃至50nmの
    Fe、Co、Ni、又はこれらの合金の微粒子であるこ
    とを特徴とする光学素子。
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