JP3850387B2 - 偏光子の製造方法及び偏光子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスプレイなどの表示装置に用いて好適な偏光子の製造方法及び偏光子に関し、より詳細には、マイクロ磁気ヘッドアレイによって記録・消去・読み出しが繰り返し可能で、磁気ペン等を用いて記録が可能である記録媒体、極細線構成を有し表示装置に用いて好適な偏光子、及び、該偏光子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来反射型ディスプレイの代表的なものとして液晶を用いたものがあり、偏光子は1枚あるいは2枚用いる。液晶ディスプレイでは、偏光子を通過した直線偏光は、液晶によって90°偏光面が回転し、次の偏光子を通れなくなって黒くなるか、回転しないで白くなるかによってコントラストを発現させる仕組みとなっている。
【0003】
しかしながら、液晶を用いて所望の文字や図形を表示しようとするためには、所定のセグメント毎に電極を設ける必要があり、構造が複雑かつ高価とならざるを得ないという問題点がある。さらに、これら反射型液晶ディスプレイは、液晶に印加する電圧を取り除くと一般的には表示は消失してしまう欠点があった。メモリー機能を有するものもいくつか提案されているが(例えば、特許文献1参照)、実用化されているものはない。また、液晶は2枚のガラス又は透明プラスチックス等で挟まれている構成を有しているために、大きく曲げたりすることが難しく、さらに、液晶へ電圧印加が必要なことから厚みが数mmと厚くなるのが一般的である。
偏光子としてはフィルム型偏光子(2色性物質にヨウ素用いる)が用いられているのが一般的で、この場合1枚の偏光子で40%程度の光透過率を有する。従って、画像は非常に暗いのが一般的である。
また、上記液晶表示以外のディスプレイ技術としては、特開平5−77543号公報(特許文献2)に開示された技術があるが、高いコントラストでデジタル記録・再生を可能にするための技術手段については十分に開示されていないものであった。
【0004】
次いで、従来の技術による偏光子の主な例と、各例毎に従来技術における問題点を以下に列挙する。
1,特開平1−93702号公報(特許文献3)に開示された偏光板及び偏光板の製造方法
強磁性体微粒子からなる多数の棒状素子を含む偏光層を基板表面に一定方向に配列して固着形成することにより、製造が容易でかつ光学的特性の優れた偏光板及びその製層方法を提供したもの。すなわち棒状の強磁性体を一定方向に並べたものである。
【0005】
(問題点)
偏光層の配列のバラツキが大きく、また、棒状素子材料自体の形状のバラツキも大きい。材料は光の吸収と屈折率が大きいことが必要であるが、この点で好ましいとは言えない。
【0006】
2,ワイヤグリッド偏光子
「現代人の物理1−光と磁気」東京農工大学 佐藤勝昭教授著,1988,P103(非特許文献1)に記載されたもの。この偏光子は、2.5μmより長波長の光に対して機能する偏光子であって、透明基板(臭化銀、ポリエチレン等)に微小な間隔で金やアルミニウムの線をひいたものである。この場合、線の間隔d、波長をλとすると、λ≫dの波長の光に対して、透過光は線に垂直な振動面を持つほぼ完全な直線偏光になる。中赤外用(λ2.5μm〜25μm)としては臭化銀基板にd=0.3μm間隔で金線をひいたものが、遠赤外用(λ16μm〜100μm)としてはポリエチレン板にd=0.7μmでアルミニウムをひいたものが用いられる。偏光度は97%程度といわれる。
【0007】
(問題点)
これは長波長の赤外線用の偏光子で、可視光では機能しない。また、このワイヤー法では線巾を500Å以下と細くすることはできない。
【0008】
3,コーニング社製「ポーラコア」
ポーラコア(商品名)は、長く延伸させた金属銀をガラス自身の中に一方向に配列させることにより、偏光特性をもたせたガラス材料で、従来の有機物偏光素子と異なり耐熱性、耐湿性、耐化学薬品性、及びレーザに対する耐性に非常に優れている。赤外線用が主であるが、特殊仕様として可視光用がある。
【0009】
(問題点)
可視光用は外観上では茶色であり、従来利用されている有機物偏光素子と同じように表示デバイスでは暗くなってコントラストが付かず利用出来ない。価格も高価であり、また、サイズが大きいものの製品化が困難である。光透過率も400から800nmで85%程度(2mm厚のとき)と不十分である。
【0010】
4,マイクロワイヤアレイ
東北大学のグループで赤外線用にアルミニウムの表面を陽極酸化させアルミナとし、微細な穴を開けてこの中にNiやCuなどの金属を入れ偏光子として用いることを報告したものである。
【0011】
(問題点)
可視光域の光透過データは十分にはとられていないが、主たる利用範囲の赤外線での透過率も85%以下と低い。このグループはガラス層間に島状金属粒子層を挿入して引き延ばし、偏光子を得ているが、可視光領域での偏光率は不十分でやはり長波長の赤外線用である。
【0012】
5,積層型偏光子
東北大学の電気通信研究所の川上彰二郎教授により発表されているもので、可視光用としては、RFスパッタリング法を用いて60〜80Åの厚みのGe(ゲルマニウム)と、1μm厚みのSiO2を交互に60μm厚みになるまで積層して作製している。0.6μmの波長で測定した性能指数αTE/αTM(TE波とTM波に対する消衰定数の比)は400近く、0.8μmの波長で測定した消光比は35dB、挿入損失は0.18dBであり、可視光に対して十分なものである。
【0013】
(問題点)
スパッタリング法で作製するので、せいぜい50ないし100μm程度の厚みでしか作製できない。この基板上の薄膜から3〜35μm厚みにスライスして切り出して用いる。用途は光センシングシステムや光導波路デバイス等への組込素子として利用され、850nm以上の波長ではラミポールの名称で同様の作製法を用いたものが住友大阪セメント(株)から販売されている。しかし、この製法では大面積のものは作製不可能である。
【0014】
この他に本発明者が先に出願した先行技術として、100Å以下の金属又は半導体粒子を有機溶剤中に分散させて、透明な支持板の上に直線状に塗布し、焼成することにより偏光子を形成するようにした技術がある。一方、本発明は、一般的なリソグラフィー技術で偏光子を作製する方法で、基本となる構造(一透明支持体上に細線を設ける)に関して提案したものであり、前記本発明者による先行出願の提案による作製法の改良に関するもので、より細く、アスペクト比(細線の高さと巾の比)が大きく、性能の向上した偏光子を作製する方法に関する。
【0015】
【特許文献1】
特開平7−92438号公報
【特許文献2】
特開平5−77543号公報
【特許文献3】
特開平1−93702号公報
【0016】
【非特許文献1】
「現代人の物理1−光と磁気」東京農工大学 佐藤勝昭教授著,1988,P103
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のごとき従来の問題点を解決するためのもので、その目的は、マイクロ磁気ヘッドアレイによって高いコントラストでデジタル磁気記録・読み出し・消去を繰り返し行うことができる記録媒体を提供することである。
本発明の他の目的は、棒磁石状のペンを用いて記録動作を行うことができるディスプレイを提供することである。
本発明の他の目的は、従来の偏光子の問題点を解決するものとして、50×50mm以上の大面積の可視光用偏光子を容易に作製する,可視光の光透過率が90%以上である,可視光域で機能する表示デバイスに用いることが可能なように着色されない,以上の3項目すべて満足する可視光用偏光子を提供することである。
本発明の他の目的は、上述のディスプレイ,および偏光子を改良して可視光による磁気光学効果を利用したコントラストの高い表示装置を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、偏光子の製造方法であって、可視光に対して透明な支持体の表面に、複数列の互いに平行な直線状の凹形の溝を形成する工程と、前記凹形の溝に半導体又は金属よりなる薄膜を形成する工程と、前記薄膜間の凹形の溝に可視光に対して透明な物質を充填する工程と備えたことを特徴とする偏光子の製造方法である。
【0019】
さらに、前記薄膜を形成する工程は、支持体に薄膜を形成する工程と、前記凹形の溝の側壁以外に形成された薄膜を除去する工程とからなることを特徴としたものである。
【0020】
さらに、前記形成する工程は、リソグラフィー法により支持体に形成することを特徴としたものである。
【0021】
さらに、支持体の片面もしくは両面に反射防止膜を形成する工程を備えたことを特徴としたものである。
【0022】
さらに、前記形成する工程は、薄膜の厚さが50〜500Å、高さ0.1〜3μmで形成することを特徴としたものである。
【0026】
また、本発明は、可視光に対して透明な支持体の表面に、複数列の互いに平行な直線状の凹形の溝が形成され、前記凹形の溝に半導体又は金属よりなる薄膜が形成されてなり、前記薄膜間の凹形の溝に可視光に対して透明な物質を充填されている偏光子を特徴としたものである。
【0027】
前記薄膜がGeまたはSiであることを特徴としたものである。
【0029】
前記薄膜の厚さが50〜500Å、高さが0.1〜3μmであることを特徴としたものである。
【0032】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による記録媒体を用いたディスプレイの基本構成を示す構成図である。
図1に示す様に、このディスプレイは、透明基板1上に、偏光子層3,透明磁性層5,および反射層7を順次積層して記録媒体9を形成し、その記録媒体9の反射層7側にマイクロ磁気ヘッドアレイ11を設けた構成となっている。そして、上記マイクロ磁気ヘッドアレイ11によって上記透明磁性層5を所望の画像に従って磁化し、上記透明基板1の側より上記画像を見ることができる様にしている。
すなわち、光源からの円偏光が透明基板1を通して偏光子層3に入射すると、偏光子層3の偏光面と一致した偏光成分のみ透過し、その後、透明磁性層5に入射する。磁性層5では該磁性層5に含まれる磁性微粒子が磁化されているところではスピンが上向き(又は下向き)に揃えられており、入射した直線偏光とスピンとが平行であるときに透過光の偏光面が回転する。一方、磁性微粒子が磁化されていない所ではスピンの向きがランダムであるため、入射直線偏光の偏波面は回転しない。従って、磁性層5の内、磁化されている部分に入射した直線偏光のみその偏波面が回転し、磁化されていない部分に入射した直線偏光は偏波面が回転せずに反射層7に入射する。
【0033】
該反射層7より反射した直線偏光は再び磁性層5に入射し、磁性層5の磁性微粒子が磁化されている部分を透過する光は更に回転し、偏光子層3に入射するが、磁性層5の磁性微粒子が磁化されていない部分を透過する光は、その偏波面が回転せずに偏光子層3に入射する。従って、磁性微粒子が磁化された部分を透過した直線偏光の偏波面と偏光子層3の偏波面とは一致せず、光は光源側に戻らない。
一方、磁性微粒子が磁化されていない部分を透過した直線偏光は、その偏波面が回転していないため、偏光子層3の偏波面と直線偏光の光軸とが一致し、偏光子層3を透過して光源側に戻り、光源側から見ると明るく見ることができる。
すなわち、上述したような動作により、磁性層の磁化の状態に応じて明暗をつくることができ、且つ、この明暗は磁気記録によるものであるため、繰り返し記録し、また保存することもでき、例えば、表示デバイスとして利用することが可能である。
【0034】
次に、上記マイクロ磁気ヘッドアレイ11について詳しく説明する。
まず、ここでは、磁気ヘッドとして従来ほとんど用いられていないマイクロ磁気ヘッドをアレイ化して用いている。マイクロ磁気ヘッドは最近研究・開発が活発になってきているマイクロ磁気デバイスの1つで、スパッタ法,メッキ法等の薄膜技術やLIGAプロセスといわれる微細加工技術、各種リソグラフィー技術を駆使して作製するものである。400dpiの画素をもつヘッドを得るには63.5μmピッチの加工が必要となる。マイクロ磁気ヘッドは、従来のオーディオやビデオ,ハードディスク用等に用いられるヘッドより大幅に小さくマイクロで、かつ従来は1媒体1ヘッドの構成であったが、本発明では、マイクロ磁気ヘッドをアレイ化して必要な表示範囲全体にヘッドをしきつめ、同時又は少しずらして駆動させディスプレイ可能とするところに特徴がある。
更にもう1つの改善点は記録媒体とヘッドが従来の磁気記録装置では相互に移動した(テープかへッドかどちらかに対して移動)が本発明では上述した様にヘッドをアレイ状にすることによりこれがない。そのため磁気抵抗効果ヘッド(MRヘッド、以下に詳しく説明)を用いることができる。MRヘッドは感度が良く、最近の高密度磁気ヘッドに用いられ、磁気センサーとしても利用できる。これは磁界があれば電気抵抗が変化するため移動して磁束の変化を読まなくても良いからである。更に本発明のヘッドとしてGMR(巨大磁抵抗効果)も利用できることは当然である。
【0035】
上述した様に、本発明の大きな特徴の1つに磁気抵抗効果ヘッド(MRヘッド)を使用することが上げられる。そこでMRヘッドについて少し詳しく説明する。
従来は誘導コイル形ヘッドが用いられ、記録・再生のためにコイルを具備しており、1つのコイルで記録・再生の2役をさせていた。
これに比べてMRヘッドは記録・再生を各別々に最適設計してヘッドを構成するので特に再生時に効力を発揮する。MRヘッドの構成は、記録用として従来のコイルを有する薄膜ヘッド(ただし、コイルの巻数は最大でも12ターン程度)と、再生用としてパーマロイ磁性薄膜(膜圧300Å程度)の磁気抵抗効果を利用したヘッドを複合化したものである。従来のコイル付薄膜ヘッドにおける再生感度を磁束の時間変化量として検出する方式に対し、上記MRヘッドは磁束の強さを検出することから(1)磁束感応形のため、媒体との相対速度に無関係に出力が得られる(2)コイルを有しないため(再生の場合)、再生ノイズが全く出ずS/Nを高くとれるという効果がある。
MRヘッドは薄膜が薄いことから、半導体プロセスを用いて作製する。すなわち、スパッタリングとフォトリソグラフィーが主で、場合によってメッキ法を用いる。
なお、本発明ではマイクロ磁気ヘッドとそれ以外の部分は画像形成後切り離すことができる様になっている。接触させて利用も可能であるが、切り離しにより、携帯性が向上し、軽く、薄く曲げても損傷しないという特徴を有する。
【0036】
次に、上記透明磁性層5について詳しく説明する。
従来の透明磁性体を用いる表示デバイスには薄膜法(PVD法orCVD法)を用いるものもあった。この方法では例えば希土類鉄ガーネット(最も代表的透明磁性体−可視光で)の場合500℃以上が基板温度として必要で、それ以下では磁性体が結晶化せず、磁性体にならなかった。本発明のように透明基板1に(ガラスでも良いが)プラスチックスを用いるためには使用不可である。例えば、どんな磁性体(高温で焼成して作るもの)でも、微粒子で作製後結合剤と共に塗布すれば、結合剤硬化のための100℃程度で良くなる。
本発明では透明磁性体を0.5μm以下の径の微粒子で作製して用いる。これは光の散乱を減少させて光透過率を向上させるため、より表面の凹凸の少ない平滑な磁性層を得るためである。さらに、表示デバイスとして必須のコントラストを上げるために従来の黄・茶磁性材料以外に白い地肌が得られるフッ化鉄を微粒子で用いたことも特徴である。また、微粒子層は大面積化が容易であることも特徴である。また、粒径は可視光波長に対して同等又はそれ以下の波長でより透明性が向上する。
【0037】
次に、上記偏光子層3について詳しく説明する。
従来最も良く使われている偏光子はフィルム状のLCD(液晶ディスプレイ)に用いられているものである。これらは有機物の吸収が多く40%程度の透過率しかなく、本発明のような反射型ディスプレイ(バックライトなし)では画像が暗くて品質が劣る。本発明では50%以上の透過率が得られるグリッド偏光子を用いる。これらの偏光子における従来技術例とその欠点は従来の技術で説明したごとくである。
このような従来例に対し、本発明では90%以上の透過率が得られるようフォトリソグラフィーを用いて従来は光ファイバー用に1mmφ位でしかできなかった積層型偏光子(東北大通研川上先生)を大面積で設けて用いるものである。これにより光の吸収要素を極力減少せしめてかつ偏光度を高めている。
【0038】
次に、上記透明基板1について詳しく説明する。
透明基板としては石英ガラス等無機材料がワイヤグリッド偏光子を表面に加工しやすい(リソグラフィー法)。以下に述べる透明プラスチックスを用いると、軽い、薄い、曲げやすい等の利点があるので利用しやすい。プラスチックスの場合はSiO2を数μm表面にスパッタ等で積層し、この上にリソグラフィー法を用いて上記無機の石英ガラス等と同様にワイヤグリッド偏光子を加工して用いることができる。
透明基板用プラスチックスとしては、MMA,PMMA,ポリカーボネート,ポリプロピレン,アクリル系樹脂,スチレン系樹脂,ABS樹脂,ポリアリレート,ポリサルフォン,ポリエーテルサルフォン,エポキシ樹脂,ポリ−4−メチルペンテン−1,フッ素化ポリイミド,フッ素樹脂,フェノキシ樹脂,ポリオレフィン系樹脂,ナイロン樹脂等が使用できる。
なお、上記反射層7のヘッド側にはキズがつきやすいので保護層を設けることが望ましい。保護層の材料としては、石英ガラス,サファイア,結晶化透明ガラス、パイレックス(R)ガラス、Al2O3,MgO,BeO,ZrO2,Y2O3,ThO2,CaO等が考えられるが好ましくはアクリル、ポリカーボネート等の透明樹脂が用いられる。
また、上記透明基板1の空気層側には反射防止膜を設けて光の透過率を向上させることが望ましい。これにより化学的腐食や光による化学的変化からの防止等の改善もなされる。上記反射防止膜としては、図2に示す様な材料を挙げることができる。
【0039】
また、本発明の他の大きな特徴としては、図3に示すようなペン状の支持部13の先端に支持された棒磁石15から成るペン状磁石によって上記透明基板1側から記録を行うことができることが挙げられる。この場合、上記透明基板1はできる限り薄い方が良く、10〜100μm厚が好ましい。
なお、磁気記録に於いてマイクロ磁気ヘッドアレイ11と記録媒体9の間隔は大きくあけることはできない。それは磁界が距離の2乗で弱くなり広がってぼけた像の記録しかできないからである。従って、MRヘッドを用いたマイクロ磁気ヘッドアレイ11による再生にはヘッドと媒体間隔が1μm以下であることが好ましい。
【0040】
(実施例1−1)
次に、図4を参照して本発明に係るディスプレイの具体例について説明する。
図4に示す様に、この具体例は、75μmのポリカーボネートフィルムによる透明基板1の片側に反射防止膜17としてMgF2(n=1.38)を真空蒸着法によって1000Åの厚みで設け、ついで偏光子層3として50μm厚のポリカーボネート膜上にフォトリソグラフィー法を用いて巾120Å高さ2μmのゲルマニウム(Ge)の極細線を設けた。ここで、線間隔は0.75μmとし、線間はSiO2をスパッタ法を用いてうめた。S偏光透過率(Ti)は80%,P偏光透過率(T2)は5%で偏光度(T1−T2/T1+T2)は88%であった。
上記偏光子層3をポリカーボネートフィルムによる透明基板1の反射防止膜17のない側へ張りつけた。ついで、透明磁性層5として平均粒子径0.3μmのFeF3をボールミルを用いて5時間分散し、結合剤としてアクリル樹脂をFeF3/アクリル樹脂=1/2(重量)となるように混合した。この塗料を上記偏光子層3上に3μmとなるように塗布した。
ついで上記FeF3の透明磁性層5上に真空蒸着法によってアルミニウム(Al)を0.2μm厚となるようにして設け反射層7とした。さらに反対層7上には保護膜19としてアクリル樹脂を0.2μm厚となるように塗布固化した。このとき、波長0.63μmの光のファラデー回転角は0.4degであった。
ついでSiウエハ上にフォトリソグラフィー法を用いて図5に示す様なマイクロ磁気ヘッドアレイ11を作製した。
【0041】
すなわち、図5に示す様に、このマイクロ磁気ヘッドアレイ11は、FeNiの磁石21を挟む形でSi部材23が設けられ、そのSi部材23上にポリイミド樹脂25におおわれた状態でAuのコイル27が上記磁石21を中心にして設けられた構成となっている。
なお、ここで、上記アレイの全体寸法5×5mm
アレイのピッチ 63.5μmピッチ(400dpi)
Auのコイルのターン数 10ターン
FeNiの組成 Fe:Ni=1:1
FeNiの磁性 保磁石 10e以下
Auの電気抵抗 1.4μΩ、cm
Auの電流 0.5A
となっている。
また、他のMR用材料としてはFeNi以外にNiCoやCoZrTa,CoHfTaPd,CoNiFeが用いられる。
マイクロ磁気ヘッドアレイ11を用い一時に各ドットへの磁気記録をアルミの反射層7側から行う。
この場合、ドットは円形で各ドットの寸法は40μmφである。記録はヘッド端を反射層7上の保護層19に密着せしめて行った。この時の磁気記録部と非磁気記録部のコントラストは平均で2.2:1であった。再生はMRヘッド(MR膜のFeNiは300Å厚)アレイを用いた。再生出力比は平均で2.5:1であった。
【0042】
次に、以下に述べる比較例1−1〜1−5によって上記本発明の実施例の長所を明確にする。
(比較例1−1)
上記実施例1−1のうち透明基板厚みを200μmとし、それ以外は実施例1−1と全く同様にしてディスプレイを作製した。透明基板側から実施例1−1と同じ棒状磁気ペン(希土類磁石使用)で記入した。実施例1−1では磁化部と非磁化部のコントラストは2.2:1であったが、この比較例1−1の200μm厚み構成ではそのコントラストが1.5:1でほとんど判読できなかった。
(比較例1−2)
反射層と保護層の膜厚合計を1.8μmした以外は実施例1−1と全く同様にしてディスプレイを作製した。実施例1−1では2.2:1であったコントラストが比較例1−2の1.8μmの厚み(反射層0.3μm+保護層1.5μm)構成では記録できなかった(マイクロ磁気ヘッド記録)。
(比較例1−3)
ワイヤグリッド偏光子の代りに従来のヨウ素を含浸させてなるフィルム型偏光を用いた以外は全く同様にしてディスプレイを作製した。フィルム偏光子を用いた場合のマイクロ磁気ヘッド記録のコントラストは、フィルム偏光子の透過率が悪いために1.4:1であり、又フィルム偏光子の厚みが厚いため(約1mm厚)、棒状磁石では記録できなかった。
(比較例1−4)
透明基板の空気側に反射防止膜を設けた実施例1−1の場合、光透過率は可視光に対して91%以上であったが、反射防止膜のない場合は86.5%と低下した。
(比較例1−5)
磁性層に用いたFeF3の平均粒子径を1.3μmとした以外はすべて実施例1−1と全く同様にして磁性層を透明基板上に作製した。実施例1−1の0.3μm径の場合は透明基板+偏光子層+磁性層の光透過率は可視光に対して42%以上であったが比較例1−5の平均粒子径1.3μmでは18%以上と低下した。
【0043】
以下に、偏光子または偏光子の製造方法について説明する。
本発明は、基本的構成として、透明な支持体上に半導体又は金属の厚さ50〜300Å×高さ0.1μm〜3μmの細線を0.5μm〜1.5μmの間隔で設けることを提案するものである。実験によれば、光の吸収率は細線の厚さ×高さの面積(同一材料、同一間隔の場合)に依存する。しかし、同一面積でもより線の厚さが薄く、かつ高さが高い方が、すなわちアスペクト比(高さ/厚さ)が大きい方が偏光度が向上する。本発明は、この事実に基づいてなされたもので、極細線のアスペクト比を大巾に向上させた偏光子を提供するものである。従来の本発明者の提案ではアスペクト比は10〜50位であったが、本発明によって100〜1000へと向上する。このために偏光度は95%以上100%に近い値を得られるようになった。
【0044】
更に、用いる線材は屈折率がより高く光吸収がより大きい程偏光度が向上することがわかった。可視光の屈折率が大きいものとしてGe,Si(アモルファス、結晶)があり、可視光吸収の大きいものとしてRh,Al,Ir,Pt等があるが、これらの中ではGe,Siが高偏光度を得るのに適することがわかった。
【0045】
本発明の偏光子は、半導体製造において一般にサイドウォールと言われている壁を用いる。透明支持体としては、MMA樹脂,PMMA樹脂,ポリカーボネート樹脂,ポリプロピレン樹脂,アクリル系樹脂,スチレン系樹脂,ABS樹脂,ポリスチレン,ポリアリレート,ポリサルフォン,ポソエーテルサルフォン,エポキシ樹脂,ポリ−4−メチルペンテン−1,フッ素化ポリイミド樹脂,フッ素樹脂,フェノキシ樹脂,ポリオレフィン系樹脂,ジエチレングリコールビスアリルカーボネート,ナイロン樹脂,フルオレン系ポリマー等の透明プラスチックに代表される有機物や、ガラス,石英,アルミナ等の無機透明材料が用いられる。
【0046】
この透明支持体にリソグラフィー法で表面に凹凸をつくるが、このときの凹部の側面の壁をサイドウォールと称する。この壁は比較的容易に加工面に対して垂直に深く(10μm位まで)つくることができる。上記透明プラスチックを基板として用いる場合、この基板上にSiO2薄膜をPVD法もしくはCVD法といわれる薄膜作製法で作製し、SiO2層表面に凹凸をつくっても良い。又、リソグラフィー法を使用すれば、直線性のきれいな細線を容易に得ることができる。この壁が作製された凹凸面にGe又はSiによる50〜100Åの薄膜をつくる。この方法は、PVD,CVD法や、メッキ法が好適に採用されるが、特に製法が制限されるものではない。いずれにしても従来法より細い(薄い)膜を形成することができる。次いで、凸部及び凹部の薄膜のうち支持体表面に平行な部分をエッチング(湿式又は乾式かを問わない)で除去すれば、残存した垂直な薄膜部によりアスペクト比の大きなGeやSiの細線をつくることができる。このような方法によって作製が容易であり、かつ偏光度の大きな偏光子が得られる。また、細線間を可視光に透明な物質で埋めると、細線が安定して固定される。また、得られた偏光子の片面もしくは両面に反射防止膜を設けることにより、偏光子の透過光量を増すことができる。この反射防止膜の材料は公知のものを適宜選択して使用できる。
【0047】
以下に、本発明による偏光子の製造方法の実施例を図6を参照して具体的に説明する。
(実施例2−1)
図6は、本発明による偏光子の製造方法の一実施例を説明するための偏光子の構成を概念的に示した要部側断面図を製造工程順に図6(A)〜図6(H)に示すものである。図中、31はSiO2基板、32はレジスト、33はGe薄膜、34はArイオン、35はSiO2スパッタ層で、SiO2基板31のサイズは50×50×1mmtである。
【0048】
偏光子の作製の手順としては、SiO2基板31にレジスト32を積層し(図6(A))、1μmの巾及び間隔になるようにパターン化し(図6(B))、エッチングする(図6(C))。このレジストエッチングによりSiO2基板31に設けられる凹部の深さを2μmとした。次いでレジスト32を剥離し(図6(D))、ゲルマニウム(Ge)薄膜33の成膜をスパッタ法で行なった(図6(E))。このときGe薄膜33の厚みを80Åとした。次いでArイオン34による全面エッチバック(基板側に逆バイアス電圧(−)を印加した逆バイアス法を用いると、図6(F)の矢印のようにイオンが基板に垂直に照射され、水平面のみを除去しやすい)により水平面のGe薄膜33を除去し(図6(F),(G))、SiO2基板31にGeを格子状に形成した後、凹部にスパッタ法によってSiO2を成膜し(図6(H))、ケンマによって平坦化してSiO2スパッタ層35とした。ついで、上記SiO2基板の両面に反射防止膜としてMgF2(n=1.38)の層を真空蒸着法によって1000Å厚さになるようにして設けた(図示せず)。この反射防止膜によって可視光域の反射率は3%低下した。
【0049】
設けられた直線状格子に対して電気ベクトルの方向が垂直な場合をS偏光、平行な場合をP偏光とすると、以上のようにして作成した偏光子のS偏光透過率(T1)は可視光域において、94%以上であり、P偏光透過率(T2)は可視光域において、3%以下であった。又偏光度(T1−T2/T1+T2)は可視光域において、93%以上であった。これは、一般的に多用される(LCDに用いられる)ヨウ素系偏光フィルムの透過率43%に対して大巾な向上が見られた。又、上記偏光子のGeの格子のアスペクト比(高さ(深さ)/厚さ)は20000Å/80Å、すなわち250であり、本発明者が前に提案した技術によるものに比べても大巾に向上させることができ偏光度の向上をはかることができた。
【0050】
又、コーニング株式会社の偏光子(長く延伸させた金属銀をガラス自身の中に一方向に配列させたもの)であるポーラコア(商品名)はうす茶色をしており、80%の透過率を有するも、コントラストが重視されるディスプレイには向かないのに対し、本発明品は自身の着色もなく透明であった。又積層型偏光子として住友大阪セメント(株)から販売されているラミポール(商品名)は1mmφ以下の面積であるが、本発明品は50×50mmの大面積で偏光子を得ることができた。
【0051】
(実施例2−2)
上記実施例2−1と全く同様な工程により、かつGeのかわりにSiを用いて、SiO2基板上にSiの格子を設けた。T1は92%以上であり、T2は3%以下であり、偏光度は92%以上であった。
【0052】
(比較例2−1)
上記実施例2−1と全く同様の工程によりSiO2基板上にAlとPtの格子を設けた。T1はそれぞれ81%と79%、T2は5%と6%で、偏光度は82%以上、85%以上であった。
【0053】
本発明は、本発明者により発明されたものを改良した表示装置を提案するものである。改良するものとして、例えば、前述のごとき偏光子層と磁性層とを別々に設けた構成を有するディスプレイがあり、また、この他に本発明者が本発明に至る過程で提案した技術として偏光子層と磁性層とを一体化して透明性を向上させたものがある。これらの特徴は、市販されている液晶ディスプレイ(LCD)と異なり、その光の透過率が約2倍に向上した偏光子層を用いていることであり、このために表示装置として明るく高いコントラストが得られるものである。更に、前述のものはLCDと異なりメモリ機能を有した磁性体を用いているので、電源を切っても表示が保たれる特徴を有する。これらの表示装置において画像が発現する原理はLCDと同じで、偏光面の回転の制御によってコントラストを得るものである。表示装置としては、LCDと同じように透過型(裏側にバックライトを備える)と反射型(反射膜を備える)を構成することができるが、特に光の輝度が得にくい反射型に適する。特に偏光子層と磁性層を一体化して構成したものは、光のロスが少ない。
【0054】
上述した偏光子層と磁性層を一体化したものにおいては、偏光子層と磁性層の機能を兼用させて1つのグレーティング形成層に発現させるようにしているので、その分透明性が上がり、表示装置として得られるコントラストが向上する。しかしながら、偏光度を向上させるのに必要なグレーティングのピッチ,深さ、及び壁面に形成する薄膜の厚みと、磁気光学効果を発現させるのに最適なピッチ,深さ,厚みとが異なり、この点で改良の余地がある。すなわち、偏光度向上には薄膜の厚みは400Å以下と薄い方が適しているのに対し、磁気光学効果を得るには400Å以上と厚い方が好ましい。従って偏光子層と磁性層とを別々の層とする方が最適化がはかれる。
【0055】
一方、前述のディスプレイは、偏光子層を介して透明な磁性体を基板上に均一に設け、入射光の偏光面が回転する部分と回転しない部分をつくることにより、反射光が再び偏光子層を通過して入射側に戻れるか、あるいは戻れないかの違いを生じさせてコントラストを発現させるものである。ここで用いる透明な磁性体にはMuBi,フェライト(BaFe12O19,CoFe2O4等),希土類鉄ガーネット等がある。このなかでMuBi系を用いると大きい回転角が得られるが化学的安定性に欠けるという問題があり利用されない。一方、希土類鉄ガーネットの希土類をBiに置換すると6度/μm(λ≒520nm)という大きなファラデー効果を有する。しかしながら、上述したグレーティング形成タイプのものでは約15度/μmというさらに大きい値が得られる。従って透明磁性層を上述したグレーティング形成タイプにすることは大巾なコントラスト向上になる。なお、前述のディスプレイでは偏光機能のすぐれた半導体、例えばGeと強磁性薄膜とを重ねて設ける方法も提案しているが、Geと強磁性上膜との混合(マイグレーション)や重ねることによりピッチのズレが生じることがあるので、直接積層せず別々の層にした方が好ましい。
【0056】
偏光子層の直線状格子の溝に設けられる金属又は半導体の薄膜の厚さは50Åより薄いと効果がなく又500Åより厚くても吸収が大きくなって偏光機能が不十分となり、また磁性層の直線状格子の溝に設けられる磁性体の薄膜の厚さは100Åより薄いと効果がなく、又1000Åより厚くても吸収が大きくなり、又ピッチのズレも大きくなって磁気光学効果が不十分となる。
本発明の構成では、偏光子層と磁性層の格子間隔は同じでなくても良く、それぞれ最適な格子間隔を設定できる。
【0057】
(実施例3−1)
図7は、本発明による表示装置の実施例を説明するための磁性層の概略構成図で、図中、41は磁性層用石英基板、42は磁性膜(鉄蒸着膜)、A,B,Cは石英基板上の面であり、aは面Aの寸法、bは面Bの寸法、lは面Cの寸法、Mは磁性層である。
図8は、図7に示す磁性層を用いて構成した表示装置の一実施例を説明するための概略構成図で、透過型表示装置の構成例を図8(A)、反射型表示装置の構成例を図8(B)に示すものである。図中、43は偏光子層用石英基板、44はゲルマニウム膜(Ge蒸着膜)、45はポリエステルフィルム、46は反射膜、Rは反射膜形成層、Pは偏光子層で、その他、図7と同様の作用をする部分には、図7と同じ符号が付してある。
【0058】
図7を参照して、磁性層Mの作製工程例を説明する。
まず、0.5mm厚の磁性層用石英基板41の片面に図示しないCr2O3とCrの2層を順に設け、合計で1200Åの厚みとなるようにした。この上に図示しないポジ型レジストを設け、このレジスト上に図示しないフォトマスクを配置し、UV光を用いて露光した。このときに溝の面の寸法a,bが、a=b=1.0μmとなるように設定した。次いでウェットエッチング手法を用いて上記レジスト層をエッチングし、更にフッ素系ガスを用いて磁性層用石英基板41をエッチングしてl=0.4μmとなるように加工することによりくし型の形状を作製した後、レジストを剥離した。この加工面上にガス中蒸着法(ガスはArと空気の混合ガスを用い、Arの流量を50ccm,空気の流量を50ccmとして流し、全圧を1.3Paとした)を用いて基板加熱なしで鉄を蒸着した。得られた鉄蒸着膜42は平均70Åの鉄微粒子を含有し、平均膜厚は700Åであった。鉄蒸着膜42の平坦部で測定した保磁力は500Oeで面内磁気異方性をもった膜であった。ここで鉄蒸着膜42は、面A,B,及びCに形成されているため、イオンエッチング装置を用いて磁性層用石英基板41に−150Vを印加し、Arガスを導入して逆スパッタ法を施すことにより面Aと面Bに設けられていた鉄蒸着膜42を除去して、面Cにのみ鉄蒸着膜42が残るようにし、図示するごとくの形態を得た。以上のようにして磁性層Mを作製した。
【0059】
次に、図8の構成例に示される偏光子層Pの作製例について説明する。まず、レジストを剥離するまでは上記磁性層Mの工程と全く同様にしてくし型の形状を偏光子層用石英基板43に作製した。このくし型形状の加工面上にガス中蒸着法(ガスはArを用いて50ccmの流量で流し、全圧で1.3Paとした)を用いて基板加熱なしでゲルマニウム(Ge)を蒸着した。得られたGe蒸着膜44の平均膜厚は100Åであった。次いで、イオンエッチング装置を用いて上述した磁性層Mの作製工程と同様にエッチング加工を行って、Ge蒸着膜44を図8に示すごとくの形態とし、さらにスパッタ法を用いてくしの溝が埋まるまでSiO2膜を形成し、ケンマによってその表面を平坦化して、偏光子層Pを得た。
一方、20μm厚のポリエステルフィルム45上に、真空蒸着法を用いて1500Å厚さのアルミニウム膜を反射膜46として形成し、反射膜形成層Rを得た。
【0060】
磁性層Mにおける磁気光学効果を波長520nmの光を用いて測定(最大印加磁界15KG)したところ、磁界0における偏光面の回転角は11度であった。又偏光子層Pにおける分光透過率は波長520nmで65%、磁性層Mの透過率は58%であった。偏光子層Pの波長520nmにおける偏光度(T1−T2/T1+T2)(T1→S偏光透過率,T2→P偏光透過率)は83%であった。
以上のようにして作製した磁性層Mと偏光子層PをP−M−Pとなるように重ねて透明接着剤を用いて貼り合わせて、図8(A)に示すごとくの透過型の表示装置を得た。又、反射膜形成層Rをさらに用いて、R−M−Pとなるように重ねて貼り合わせて、図8(B)に示すごとくの反射型表示装置を得た。
得られた各表示装置の磁性層Mの鉄蒸着膜42に近い側から、1mmφの円筒状棒磁石(表面磁束3KG)を用いて文字を描いたところ、円筒状棒磁石により磁化された磁化部では、ファラデー回転した直線偏光が偏光子層Pを通過できない為に黒くみえ、又非磁化部では偏光面の回転が生じない為に明るく見える。図8(A)に示す透過タイプにおいてはコントラスト3.0を、図8(B)示す反射タイプにおいてはコントラスト2.2を得た。
【0061】
(比較例3−1)
平板の石英基板上にスパッタ法を用いて厚み1μmの磁性膜を形成した。このスパッタ法においては、ターゲットをBi2Gd・Fe4Al・O12の組成とし、基板温度を300℃として上述の磁性膜をアモルファス磁性膜として設けた。次いで、この磁性膜を650℃で3時間空気中加熱して結晶化させて希土類鉄ガーネット磁性膜を得た。得られた磁性膜の保磁力は600Oeであり、磁気光学効果は520nmの波長で、6.2度の回転角を生ずるものであった。また、角型比は1であった。
次いで、石英基板の磁性膜が設けられていない側に実施例3−1と同様にアルミニウムの反射層(2000Å)を設けた。磁性層の上には実施例3−1で作製した偏光子層Pを重ね、円筒状棒磁石で文字を描いた。この結果、得られたコントラストは0.9であった。
【0062】
(比較例3−2)
実施例3−1で作製した反射タイプ表示装置(図8(B))から偏光子層Pを除いた構成の表示装置を作製した。円筒状棒磁石で描いた文字のコントラストは0.9であった。
【0063】
前述したごとくに、本発明者は、薄膜をタテに並べた偏光子を提案してきた。以下に、さらにこれらの改良した例を説明する。
前述してきたごとくに、薄膜をタテに並べると偏光機能や磁気光学機能(ファラデー回転)が高度に得られるだけでなく、高い光の透過率が維持されることからコントラストの高い表示装置を得ることができる。
前述のディスプレイでは、偏光子層と磁性層を別々に設けた構成を有し、また本発明者により発明された技術として、偏光子層と磁性層とを一体化して(兼用して)透明性を向上させたものがある。このような構成を有する表示装置は、いずれも磁性体と相互作用した光の偏光面の回転角度が、磁化部と非磁化部で異なることを利用してコントラストを得るものである。これらの表示装置は、磁気ヘッドを用いて印字した後は持ち運びが容易であり、又、紙やプラスチック基板上に容易に作製できることから、見やすく、紙と同様に取扱いができる等の特徴を有する。
【0064】
添付された図面を参照して説明する。
図9は、本発明による表示装置の他の実施例を説明するための概略構成図で、図中、51は石英基板、52は磁性膜(鉄蒸着膜)、54はゲルマニウム膜(Ge蒸着膜)、55はポリエステルフィルム、56は反射膜、57は外部磁界付与用磁性層、60は磁気ペン、61は柄、62は永久磁石、Vは空隙部、Fは非空隙部、pは偏光子層、mは磁性層、R′は反射膜形成層である。なお、偏光子層pと磁性層mは便宜的に“層”として規定して説明する。
【0065】
本発明者が提案してきた表示方法の基本要素は、薄膜を縦に並べた偏光子層と、磁性体薄膜を縦に並べた磁性層で、この磁性層は、磁気光学効果が大きく、かつ透明性(光透過性)が良好である。これまでは、磁性体薄膜の磁気光学効果(ファラデー効果)のみを用いた表示装置の提案であった。これは、薄膜を縦に並べた形態の磁性体薄膜を磁気ヘッドによって磁化し、スピン(磁気モーメント)と光の相互作用を利用するものである。この場合に用いる磁気ヘッドは表示装置外であり、磁気記録がなされた後は磁気ヘッドと表示装置は分離されるものであった。
本発明では、図9に示した表示装置における外部磁界付与用磁性層57を磁気ヘッド等を用いて磁化し、この外部磁界付与用磁性層57により薄い反射膜56を通して磁性膜52を有する磁性層mへ外部磁界を与えることになる。ところで、図9の磁性層mには、何も充填されていない空隙部Vと石英基板51の凸部分である非空隙部Fとが存在しているが、この空隙部Vと非空隙部Fとの屈折率が異なるために偏光作用が発現する。これまでのものは、このような偏光作用の発現を避けるために空隙部Vを石英基板51と同じ屈折率の材料で充填し、磁気光学効果のみにより表示を行う表示装置としたものであった。
【0066】
本発明では、意図的に空隙部Vを形成し、偏光作用が発現するようにする。この偏光作用が現われる波長は、形成した格子の間隔,深さや磁性膜52の幅(膜厚)等によって異なるが、格子の間隔が可視光波長程度であれば、可視光領域に現われることになる。また、磁性層mを通過した光には回折も生じるので、石英基板51の凸部に対して間隔をあけないように反射膜56を配する。このような構成とすることにより、磁性層mにおける回折を防ぐことができる。
外部磁界付与用磁性層57は、薄い反射膜56を通して磁性層mに外部磁界を与える。このときに磁性膜52だけでなく石英基板51の非空隙部Fに対しても外部磁界が加わるが、この部位を常磁性体としておくと、この部位のスピンも上又は下に向き、このスピンが引き金になって入射光の偏光面が右回転したり左回転したりするようになる。これは、外部磁界付与用磁性層57の磁化の向きによる。従って、ゲルマニウム膜54により形成された偏光子層pを通過して直線偏光となった光は、磁性層mで右又は左へ回転し、反射膜56で反射した後更に右回りの光は右へ、左回りの光は左へ回転して偏光子層pを再び通過できなくなる。一方、磁性層mにおける磁化されていない部分は反射した光が偏光子層pを通過して戻るために明るく見える。
上述した構成とすることにより、これまでの磁気光学効果のみを用いたものより、偏光面を回転させる波長範囲を広くすることができるために、表示装置として得られるコントラストが向上する。
【0067】
これまでは、図9に示す磁性層mの格子状の磁性膜52を通過して大きな磁気光学効果を与える波長範囲は、半値巾(波長に対する偏光面の回転角のピーク値に対して半分の値のときの偏光回転を生じさせる波長範囲)で示すと50nmくらいしかなかった。これは格子の周期を入射光が通過する際に、波長が選択されるためと考えられる。この半値巾の概念を図10に模式的に示す。本発明では、偏光面が回転する波長範囲が広く100nmくらいの判値巾を有する。但し、このような偏光面の回転を生じさせるには磁性層mに外部磁界が与えられることが必要であることがわかった。表示装置としては、このような偏光面の回転を生じせしめる波長範囲が広いほど明暗がはっきりする。即ち、表示装置としてのコントラストが向上する。
【0068】
図9に戻って説明する。磁気ヘッドや磁気ペン60を用いて磁化する表示装置の面積は、60μmφ程度の面積とすると解像度の良い画像が得られる。磁気ペン60を離したあとでも磁性層mには磁化が残って画像を保つことができ、また、一様に水平に磁化すると画像が消えるので表示装置として利用できる。
外部磁界付与用磁性層57には、磁性膜52を石英基板51に対してに垂直方向に磁化する必要があるので、いわゆる垂直磁気異方性の大きい垂直磁化膜が用いられる。また、磁性膜52のスピンは石英基板51に対し垂直となるために、面内磁化膜である必要がある。また、反射膜56は厚くなりすぎると有効な磁界が弱くなるのでその膜厚は5000Å以下とすることが好ましい。
【0069】
外部磁界付与用磁性層57の材料としては、希土類鉄ガーネット,MnBi,CoBnCuBi,及びSrFe12O19,BaFe12O19,CoFe2O4等のフェライトがあるが、これら多結晶体よりも次のアモルファス材料の方が、良好な表面性,及び反射膜を設けた場合の高い反射率を有することから、好適である。すなわちアモルファス材料として、GdCo,GdFe,TbFe,TbDyTe,GdTbFe等を用いることが好ましく、膜厚は100〜1000μmとすることが好ましい。また反射膜56は、TiO2,MgO等の白色微粒子を一般的な蒸着やスパッタ等のPVD法を用いて設けるようにしても良い。反射膜56に用いる他の材料としては、アルミニウム,シリカ,銀,酸化アルミニウム等の一般によく知られているものを用いることができる。
【0070】
また、磁性膜52として形成される強磁性体超微粒子の粒径は200Å以下、できれば20〜100Åとすることが好ましい。粒径が小さければ小さいほど光の散乱が減少して透過率が向上するが、しかし小さすぎると磁気的特性が不充分となる。
【0071】
(実施例4−1)
本発明の表示装置を具体化した実施例を図11及び図9を参照して説明する。
図11は、図9の表示装置における磁性層mの形成部を示す概略構成図である。図中、51は石英基板、52は磁性膜(鉄蒸着膜)で、A,B,Cは石英基板51の面であり、a,b,lはそれぞれ面A,面B,面Cの寸法である。
まず、図11を参照して説明する。0.5μm厚の石英基板51の片面に合計で120nm厚となるように図示しないCr2O3、Crの2層を順に設け、更にこの上に図示しないポジ型レジストを設けた。このレジスト上に図示しないフォトマスクを配置し、UV光を用いて露光した。このときに、溝の各面の寸法a,bがa=b=1.0μmとなるように設定した。次いでウェットエッチング手法を用いて、上記レジスト層をエッチングし、更にフッ素系ガスを用いて石英基板51をエッチングして、l=0.4μmとなるように加工してくし形状を形成した後、レジスト層を剥離した。次いで上記石英基板51の反対側表面にも全く同様な工程でくし形状形成加工を行った。
【0072】
次いでガス中蒸着法を用いて、基板加熱なしで石英基板51の片面に鉄を蒸着した。使用したガスはArと空気の混合ガスで、Arを50ccm,空気を5ccmの流量で流し、全圧力を1.3Paとした。蒸着により得られた鉄蒸着膜52は平均粒子径7nmの鉄微粒子を含有し、平均膜厚は70nmであった。鉄蒸着膜52の平坦部で測定した保磁力は500Oeで、面内磁気異方性を持った膜であった。次いでイオンエッチング装置を用いて、石英基板51に−150Vを印加し、Arガスを導入して逆スパッタ法により、面Aと面B(基板における水平面)の鉄蒸着膜52を除去し、鉄蒸着膜52が面Cにのみ残るようにして、図11に示すごとくの形態を得た。
以上のようにして作製した磁性層mの磁気光学効果を波長520nmの光を用いて、最大印加磁界15Kガウスとして測定したところ、印加磁界0ガウスでの偏光面回転角は11度であった。
【0073】
次いで、図9を用いて説明する。上記と同様にして、石英基板51における磁性層mの反対側のくし形状加工面に、ガス中蒸着法を用いて基板加熱なしでゲルマニウムを蒸着した。このときガスとしてはArを用い、50ccmの流量で、全圧力を1.3paとした。得られたゲルマニウム膜の平均膜厚は10nmであった。次いでイオンエッチング装置を用いて、上記と同様にくし形状をなす基板上の水平面のゲルマニウム膜を除去し、図示するごとくのゲルマニウム膜54を形成した。そして、スパッタ法を用いてくし形状の溝が埋まるまでSiO2膜を製膜し、研磨によってその表面を平坦化して、偏光子層pを得た。
ゲルマニウム膜54を有する偏光子層pの分光透過率は波長520nmで65%であり、磁性層mの透過率は58%であった。また、偏光子層pの波長520nmでの偏光度は、S偏光透過率をT1,P偏光透過率をT2とすると、83%{(T1−T2)/(T1+T2)}であった。
【0074】
次いで50μmのポリエステルフィルム55に、スパッタ法を用いて1μm厚さのTbFe膜を作製し外部磁界付与用磁性層57とした。更に、この外部磁界付与用磁性層57上に200nm厚さのアルミニウムによる反射膜56を真空蒸着法を用いて作製した。これらポリエステルフィルム55,外部磁界付与用磁性層57,及び反射膜56よりなる積層体を反射膜形成層R′とする。
次いで上記反射膜形成層R′の反射膜56上に、前述した磁性層mと偏光子層pを有する石英基板51を、磁性層mの基板部分と反射膜56が接触するように重ね合わせて図9に示すごとくの表示装置を完成させた。
得られた表示装置に外部磁界付与用磁性層57の裏側から1mmφの円筒状の永久磁石62を有する磁気ペン60(表面磁束3Kガウス)を用いて文字を描いた。偏光子層pを通過した直線偏光が、棒磁石62で磁化された磁性層mの磁化部で大きく回転し、反射膜56で反射した後、偏光子層pを再び通過して戻れないために黒く観察され、一方、非磁化部位を通過した光は反射した後再び偏光子層pを通過できるため明るく観察された。この結果、磁化部と非磁化部の2つの部位間にコントラストが表われ、このコントラストの大きさは3.2であった。
【0075】
(実施例4−2)
実施例4−1(図9)の構成において、外部磁界付与用磁性層57を設けなかった以外は、全く実施例4−1と同様にして表示装置を作製した。実施例4−1で機能した外部磁界付与用磁性層57による外部磁界の代わりに、磁気ヘッドをアレイ状に並べたマイクロ磁気ヘッドを反射膜形成層R′に接して配置した。
図12は、図9に示す表示装置の磁性層mに外部磁界を付与する手段の一例として用いられるマイクロ磁気ヘッド・ユニットの例を示す概略構成図で、図中、70はマイクロ磁気ヘッド・ユニット、71はパーマロイ層、72はSi(シリコン)基板、73はコイル、74は絶縁層である。
図12は、1個のマイクロ磁気ヘッド・ユニット70の構造を示すもので、この磁気ヘッド・ユニット70は、シリコン基板72を用いて形成されるコアに、ギャップ材として透磁率の高いパーマロイ層71が埋め込まれ、このパーマロイ層71を取り巻くように、Auからなる10ターンの渦巻状のコイル73がリソグラフィー技術を用いて形成され、さらに、ポリイミド樹脂からなる絶縁層74で封止されたものである。上記パーマロイ層71の組成は50Ni−50Fe,保磁力は1Oe以下である。又コイル73の電気抵抗は1.4μΩ・cm,コイル電流は0.5アンペアである。
上記のような、マイクロ磁気ヘッド・アレイを本実施例の表示装置の反射膜形成層R′に密着させながら画像形成を行なったところ、形成された黒色のドット直径は60μmであり、ドット画像と背景とのコントラストは平均で3.5であった。
【0076】
(比較例4−1)
実施例4−1の外部磁界付与用磁性層57を設けずに、磁性層mへ外部磁界を加えないで、1mmφの円筒状磁石(表面磁束3Kガウス)を用いて、実施例4−1と同様にして文字を描いた。形成された画像部と背景との2つの部位のコントラストは1.2であった。
【0077】
(比較例4−2)
実施例4−1の偏光子層pを作製する代わりに、表示装置の入射光側に一般に市販されているフィルム型偏光子(2色性物質にヨウ素を用いたもの)を貼り合わせ、表示装置を作製した。フィルム型偏光子の波長520nmにおける透過率は約40%ほどであった。
外部磁界付与用磁性層57の裏側から1mmφの円筒状磁石(表面磁束3Kガウス)を用いて、実施例4−1と同様にして文字を描いた。画像は全体的に薄暗く、形成された画像部と背景との2つの部位のコントラストは1.8であった。
【0078】
【発明の効果】
本発明の記録媒体は、透明基板上に偏光子層,透明磁性層,反射層と順次積層して形成されているので、非常に薄くてかつ瞬間に像を形成することができる。
【0079】
前記透明基板の厚さを100μm以下としたので、基板側からも画像形成できる。
【0080】
前記反射層の前記透明磁性層の反対側に、保護層が設けられているので、物の接触、光、水等などによる変化を受けにくくなり、長期間安定して利用できる。
【0081】
前記偏光層にワイヤグリッド偏光子が用いられているので、非常に明るい像が得られ、コントラストが大幅に向上する。
【0082】
前記反射層と保護層の2つの膜厚合計が1μm以下であるので、マイクロ磁気ヘッドからの磁束のうち垂直成分がより多く有効に利用でき、より高速度でコントラストの高い高分解能の像が得られる。
【0083】
前記透明基板の空気側に、さらに反射防止膜が設けられているので、反射タイプディスプレイでありながら基板で反射する光を少なくし、作像に有効に光を用いることができ、明るい像が得られる。
【0084】
前記透明基板がプラスチックよりなるので、軽く、薄く、曲げ可能な使いやすいディスプレイとなる。
【0085】
前記透明磁性層は0.5μm以下の径の磁性微粒子からなるので、可視光の散乱が少なく透明性が向上して明と暗の像コントラストが向上したディスプレイを得ることが可能となる。
【0086】
本発明による偏光子は、可視光に対して透明な支持体の表面に互いに平行な直線状の凹形の溝が複数列形成され、前記凹形の溝の側壁の表面にのみ半導体又は金属よりなる薄膜が形成されてなり、前記薄膜により細線が形成されているので、アスペクト比が向上し、従って光の透過率が向上し、偏光度が高く、かつ無色透明であってディスプレイ用に好ましい偏光子を得ることができる。
【0087】
前記細線の材料がGeまたはSiであるので、より高い偏光度を得ることができる。
【0088】
前記細線が厚さ50〜100Å、高さ3〜100μm及び間隔0.5〜1.5μmの範囲で、形成されるので、アスペクト比の高い格子状の薄膜(細線)を有し、従って、光の透過率及び偏光度が高く、かつ無色透明なディスプレイ用に好ましい偏光子が得られる。
【0089】
前記細線が形成された面の縦横の巾が各々50mm以上である方形の有効部分を切り出すことができる大きさを有するので、50×50m以上の大面積の偏光子を得ることができる。
【0090】
更に、本発明は、可視光に対して透明な支持体の表面に互いに平行な直線状の凹形の溝が複数列形成され、前記凹形の溝の側壁の表面にのみ半導体又は金属よりなる薄膜が形成されてなり、前記薄膜により細線が形成されている偏光子の製造方法において、前記細線間を可視光に対して透明な物質で充填するようにしたので、偏光子の本来的な性能を阻害することなく、細線を安定して固定できるとともに、透過光が凹凸によって回折や散乱することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による記録媒体を用いたディスプレイの一実施例における基本構成を示す構成図である。
【図2】 図4に示す反射防止膜に用いられる薄膜物質を示す表である。
【図3】 図1に示す透明基板側から記録を行うためのペン状磁石の構成を示す図である。
【図4】 本発明に係る記録媒体を用いたディスプレイの具体例の構成図である。
【図5】 図4に示す具体例におけるマイクロ磁気ヘッドの構成図である。
【図6】 本発明による偏光子の製造方法の一実施例を説明するための偏光子の構成を概念的に示した要部側断面図を製造工程順に図6(A)〜図6(H)に示すものである。
【図7】 本発明による記録媒体の実施例を説明するための磁性層の概略構成図である。
【図8】 図7に示す磁性層を用いて構成した表示装置の一実施例を説明するための概略構成図で、透過型表示装置の構成例を図8(A)、反射型表示装置の構成例を図8(B)に示すものである。
【図9】 本発明による記録媒体の他の実施例を説明するための概略構成図である。
【図10】 表示装置におけるコントラストを決定する因子の一例としての判値巾の概念を説明するための模式的なグラフである。
【図11】 図9の記録媒体における磁性層の形成部を示す概略構成図である。
【図12】 図9に示す記録媒体の外部磁界を付与する手段の一例として用いられるマイクロ磁気ヘッド・ユニットの例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1…透明基板、3…偏光子層、5…透明磁性層、7…反射層、9…記録媒体、11…マイクロ磁気ヘッドアレイ、13…ペン状の支持部材、15…棒磁石、17…反射防止膜、19…保護膜、21…磁石、23…Si部材、25…ポリミイド樹脂、27…コイル、31…SiO2基板、32…レジスト、33…Ge薄膜、34…Arイオン、35…SiO2スパッタ層、41…磁性層用石英基板、42…磁性膜(鉄蒸着膜)、43…偏光子層用石英基板、44…ゲルマニウム膜(Ge蒸着膜)、45…ポリエステルフィルム、46…反射膜、51…石英基板、52…磁性膜(鉄蒸着膜)、54…ゲルマニウム膜(Ge蒸着膜)、55…ポリエステルフィルム、56…反射膜、57…外部磁界付与用磁性層、60…磁気ペン、61…柄、62…永久磁石、70…マイクロ磁気ヘッド・ユニット、71…パーマロイ層、72…シリコン基板、73…コイル、74…絶縁層、A,B,C…石英基板上の面、a…面Aの寸法、b…面Bの寸法、l…面Cの寸法、F…非空隙部、M…磁性層、m…磁性層、P…偏光子層、p…偏光子層、R,R′…反射膜形成層、V…空隙部。
Claims (8)
- 偏光子の製造方法であって、可視光に対して透明な支持体の表面に、複数列の互いに平行な直線状の凹形の溝を形成する工程と、前記凹形の溝に半導体又は金属よりなる薄膜を形成する工程と、前記薄膜間の凹形の溝に可視光に対して透明な物質を充填する工程と備えたことを特徴とする偏光子の製造方法。
- 前記薄膜を形成する工程は、支持体に薄膜を形成する工程と、前記凹形の溝の側壁以外に形成された薄膜を除去する工程とからなることを特徴とする請求項1に記載の偏光子の製造方法。
- 前記形成する工程は、リソグラフィー法により支持体に形成することを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項に記載の偏光子の製造方法。
- さらに、支持体の片面もしくは両面に反射防止膜を形成する工程を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の偏光子の製造方法。
- 前記形成する工程は、薄膜の厚さが50〜500Å、高さ0.1〜3μmで形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の偏光子の製造方法。
- 可視光に対して透明な支持体の表面に、複数列の互いに平行な直線状の凹形の溝が形成され、前記凹形の溝に半導体又は金属よりなる薄膜が形成されてなり、前記薄膜間の凹形の溝に可視光に対して透明な物質を充填されていることを特徴とする偏光子。
- 前記薄膜の厚さが50〜500Å、高さが0.1〜3μmであることを特徴とする請求項6に記載の偏光子。
- 前記薄膜がGeまたはSiであることを特徴とする請求項6または7に記載の偏光子。
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