JP2000173019A - 磁気光学素子及び磁気ヘッドアレイ - Google Patents

磁気光学素子及び磁気ヘッドアレイ

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JP2000173019A
JP2000173019A JP10341403A JP34140398A JP2000173019A JP 2000173019 A JP2000173019 A JP 2000173019A JP 10341403 A JP10341403 A JP 10341403A JP 34140398 A JP34140398 A JP 34140398A JP 2000173019 A JP2000173019 A JP 2000173019A
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magneto
film
layer
dielectric
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Tadao Katsuragawa
忠雄 桂川
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Ricoh Co Ltd
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  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来より高いコントラストのカラー画像が得
られる磁気光学素子及び該素子にカラー画像を形成する
磁気ヘッドを提供する。 【解決手段】 高屈折率誘電体及び低屈折率誘電体の順
にかつ交互に積層して構成する第1の誘電体多層膜(1
1)と、膜面に対して垂直な方向に磁気異方性を有する
透明磁性層(12)と、低屈折率誘電体及び高屈折率誘
電体の順にかつ交互に積層して構成する第2の誘電体多
層膜(13)とを順に積層した構造体と、カラーフィル
タ(14)とを順に積層した構成を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気光学素子及び該
磁気光学素子に画像を形成する磁気ヘッドアレイに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁性体の磁気光学効果につい
ての研究が進められており、例えば電子情報通信学会
信学技報 MR94−88,P.15−P.22 19
95年2月及び日本応用磁気学会誌 Vol 21,N
o.4−1,P.187−P.192(1997年)並
びに電気学会マグネティックス研究会資料Vol.MA
G−95,No.131−141 P.9−18 19
95年には、積層構造を持つ多層薄膜における磁気光学
ファラデー効果の理論が開示されている。詳細には、積
層構造を持つ多層薄膜のユニークな光学特性に着目し、
透光性磁性媒体であるビスマス置換鉄ガーネット薄膜と
誘電体膜であるSiO2 を不規則に多層積層した多層薄
膜の磁気光学ファラデー効果が大変有効であることを見
い出したというものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例における画像は白黒であり、カラーについては考慮
されていなかった。つまり、従来例では、磁気光学効果
に大きな波長依存性があるために白黒であって、液晶デ
ィスプレイで用いられるカラーフィルタを単に設けても
3原色(RGB)がバランス良く得られなかったという
問題点があった。また、従来例では、1つの画像をRG
Bに分割するため高分解能(白黒画像の3倍)の磁気記
録が必要であったが、微細な磁気ヘッドの作製が困難で
あるために高精細なカラー画像を得ることができなかっ
たという問題点があった。
【0004】本発明はこれらの問題点を解決するための
ものであり、従来より高いコントラストのカラー画像が
得られる磁気光学素子及び該素子にカラー画像を形成す
る磁気ヘッドアレイを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は前記問題点を解
決するために、高屈折率誘電体及び低屈折率誘電体の順
にかつ交互に積層して構成する第1の誘電体多層膜と、
膜面に対して垂直な方向に磁気異方性を有する透明磁性
層と、低屈折率誘電体及び高屈折率誘電体の順にかつ交
互に積層して構成する第2の誘電体多層膜とを順に積層
した構造体と、カラーフィルタとを順に積層した構成を
有することに特徴がある。また、構造体を複数積層す
る。よって、ファラデー効果が増大してより一層高いコ
ントラストのカラー画像を表示できる。
【0006】また、構造体を挟んで一対の偏光子層を設
けたことにより、磁気記録像の可視化が可能となり、更
にコントラストの大きなカラー画像が得られる。
【0007】更に、構造体の第1及び第2の誘電体多層
膜における材料、積層数、膜厚を同一にし、かつ構造体
の第1と第2の誘電体多層膜とを透明磁性層に対して対
称とすることにより、磁気光学効果が大幅に増大してカ
ラー画像のコントラストを向上できる。
【0008】また、透明磁性層の平均膜厚を100nm
〜1μmとすることにより、磁気特性や光透過率の良好
なカラー画像が得られる。
【0009】更に、構造体及びカラーフィルタを挟んで
一方の端面に偏光子層、他方の端面に反射層を設けたこ
とにより、反射層側から容易に磁気記録ができ、コント
ラストの高い反射カラー画像が得られる。
【0010】次に、別の発明としては、磁気光学素子に
画像を形成する磁気ヘッドアレイについて、複数の磁気
コイルを複数列にかつ千鳥状に配列して構成することに
特徴がある。よって、微細コイル作製が容易になり、高
分解能なカラー画像が得られる。
【0011】また、複数の磁気コイルへの電流値を、カ
ラーフィルタの色毎に所定の割合で変えて通電すること
により、色再現性の良いカラー画像が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】高屈折率誘電体及び低屈折率誘電
体の順にかつ交互に積層して構成する第1の誘電体多層
膜と、膜面に対して垂直な方向に磁気異方性を有する透
明磁性層と、低屈折率誘電体及び高屈折率誘電体の順に
かつ交互に積層して構成する第2の誘電体多層膜とを順
に積層した構造体と、カラーフィルタとを順に積層した
構成を有する。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。はじめに、本発明における磁気光学素子の基本的
な構成について同素子の基本的な構成を示す図1に従っ
て説明する。同図において、本発明における磁気光学素
子1は、低屈折率及び高屈折率の誘電体を交互に積層し
た、一対の誘電体多層膜11,13と、この一対の誘電
体多層膜で挟んだ透明磁性層12とからなる構造体と、
カラーフィルタ14とが順に積層されて設けられた構成
を有している。
【0014】また、透明磁性膜の厚みはファラデー回転
角を増大させたい波長λの1/2n(nは透明磁性層の
屈折率)にする。これで波長λに関して大きな回転角が
得られる。可視光の広い波長範囲で均一に大きな回転角
を得る場合は図1の誘電体多層膜11/透明磁性層12
/誘電体多層膜13の構成を繰り返して積層したり、低
屈折率及び高屈折率の誘電体の厚みや各々の層数を変化
させたりする。
【0015】更に、ファラデー回転角が絶対的な大きさ
において不十分な場合が生ずる。この場合上述したよう
な対策をとることによって解決することができる。ま
た、図1の透明磁性層12の厚みを整数倍にすることも
ファラデー回転角を増大することに有効である。
【0016】このような構成によれば、ファラデー回転
角が増大するので、有効な磁気記録メモリとして利用す
ることができる。例えば、レーザ光の吸収熱と、弱いバ
イアス磁界を用いて磁気記録した後、偏光面の回転角度
を検出して読み出すような記録再生方式が考えられる。
【0017】また、本発明における基本的な構成に更に
図2のようにカラーフィルタ14直上に偏光子層15を
設けたのは、図1の誘電体多層膜11/透明磁性層12
/誘電体多層膜13の構成において透明磁性体の磁化さ
れた部位で得られた大きなファラデー回転角を、画像と
して可視化するためである。即ち、透明磁性体の磁化さ
れた部位に対応して、大きなファラデー回転角が得ら
れ、磁化していない部位に対しては光の偏光面は回転し
ない。更に、2枚の偏光子の偏光軸(吸収又は透過軸)
を、上記偏光面回転部位と非回転部位でコントラストが
最も大きくなるように回転させておくと、偏光面回転部
位では透過光のため白く、非回転部位では両偏光子を通
過できないために黒く見えることになる。当然ながら磁
化の方向を逆(+と−)にして、同様な原理で明暗を出
せばコントラストは2倍となり効果が増大する。
【0018】以上の説明は、光が図1の誘電体多層膜1
1/透明磁性層12/誘電体多層膜13を通過する場合
であるが、図1の誘電体多層膜11/透明磁性層12/
誘電体多層膜13の構成の一方の端部に反射膜16を設
けて他方の端部に偏光子層15を設ければ(図2参
照)、偏光面の回転した光は元に戻れず暗くなり、回転
しない光は入射したもとの1枚の偏光子を通過して明る
くなり、コントラストが得られる。なお、図示していな
いが偏光子層/誘電体多層膜/透明磁性層/誘電体多層
膜/偏光子層/反射層/基板のように偏光子層を従来通
り2枚使用することも可能である。
【0019】以上説明したように、本発明では透明磁性
層を誘電体多層膜で挟む構造を有するので共振器構造と
なり、光の局在化が生じて、大きなファラデー回転角が
得られる。従って、大きな画像コントラストが得られ
る。
【0020】また、本発明は図1に示すようにカラーフ
ィルタ(液晶ディスプレイに用いられるもの)を積層し
てカラー画像を実現している点に特徴がある。付加する
積層位置は図1の誘電体多層膜11/透明磁性層12/
誘電体多層膜13(又はこの構造の繰り返し)のどちら
かの誘電体多層膜の外側でも良い。透明磁性層のファラ
デー回転角の波長依存性は一般的に大きく、可視光域で
フラットな波長依存性の場合は少ない。従って、透明磁
性層にカラーフィルタを付加用するのみでは、忠実な色
再現(平坦な波長依存性による)は困難である。本発明
の第1の実施例は誘電体多層膜で挟むことにより、上記
したように可視光域でのファラデー回転角と光透過率の
双方の波長依存性をほとんどカラー画像として問題無い
程度に平坦化することができる。なお、カラー画像は2
00dpi以上、できれば400dpiの解像度が要求
される。カラー写真などに利用する場合は特に解像度は
重要である。400dpiの白黒画像の場合、1画素の
ピッチは約63.5μmとなる。しかし、400dpi
のカラー画像を得るためには、1画素のピッチは約20
μmと小さくなる。通常この磁性層の面積を高速度に磁
化するには、上記した熱磁気方式では膨大な熱エネルギ
ーが必要となって実用的ではない。また、電磁コイルで
も高速度に磁化するには、従来のような1個の磁気ヘッ
ドを移動させる方式では時間がかかりすぎて実用的では
ない。最も適しているのは、20μmのピッチの電磁コ
イルアレイを用いることである。しかし、電磁コイルア
レイを直線状に並べて製作するには、要求されるピッチ
(面積)が小さすぎて、適するサイズのコイル製作は困
難であった。
【0021】また、図1の透明磁性膜12には、垂直磁
化膜と言われる、膜面に垂直な方向に磁気異方性を有す
る膜が用いられる。光は膜面に垂直なスピンと相互作用
してファラデー回転角を得るからである。従って、磁気
ヘッドには垂直方向に大きな強度分布を有する、いわゆ
る垂直磁気ヘッドが用いられる。そこで、上記約20μ
mピッチで、カラー(RGB)に対応する部位の磁化を
可能とするために、図3に示すような電磁コイルアレイ
とその配列を提案する。本発明の磁気光学素子はこの電
磁コイルアレイと接しながら、一定方向に移動するので
画像を再現するためには各電磁コイルへの通電は特別に
設計されたタイミング、つまり図3の第1列と第2列へ
の通電タイミングが必要となる。図3の電磁コイルアレ
イは千鳥状に配列されているので、1列に全コイルを配
列した場合よりもコイルの径を大きくすることができ
る。しかも磁束を効率良く集中させてシャープな画像を
得るために中心部にコアを形成する高透磁率軟磁性体の
面積は小さくできるので高い画像分解能が得られる。コ
イルやコアの形状は、図3のような円形に限らず、任意
の形状が選択できることはもちろんである。
【0022】更に、本発明によれば、上記透明磁性層の
ファラデー回転角の波長依存性を均一になるように補正
するために、上記磁気ヘッドのコイルへの電流値をカラ
ーフィルタの色(R,G,B)毎に、一定の割合で変え
て通電する。例えば緑色(G)のファラデー回転角が他
の色(R,B)に比較して少なければ、緑色フィルタに
対応する記録部位の電磁コイルの通電電流値をR,Bに
比較して一定の割合で大きくしてファラデー回転角即ち
色調を補正する。なお、各RGBの色調は、各RGBの
フィルタを通過する光量を電磁コイルの電流値を変化さ
せ、結果としてファラデー回転角を変化させて制御す
る。
【0023】次に、図1の誘電体多層膜11,13に
は、図2に示す材料が用いられる。これらの材料の中か
ら適宜選択しても良いし、またこれ以外の例えば有機物
であっても構わない。多層膜の各膜厚は50nmから2
00nm程度が好ましい。特定波長(λ)の磁気光学効
果増大を目的とする場合、誘電体の膜厚はλ/4n(n
はλにおける誘電体の屈折率である)とする。また、低
屈折率及び高屈折率の誘電体を積層したものを1ペアと
すると、ペア数に制限はないが、3〜20の層が性能上
又はコスト上好ましい。透明磁性体と接する2つの誘電
体多層膜はまったく同一の構成を有することが好ましい
が必ずしもこれに限定するものではない。ただし、透明
磁性体に直接に接する膜の種類は同じ誘電体を用いるの
で、積層順序は逆になる。
【0024】また、図1の支持体17には、石英ガラ
ス、サファイア、結晶化透明ガラス、パイレックスガラ
ス、Al23 、MgO、BeO、ZrO2 、Y2
3 、ThO2 ・CaO、GGG(ガドリニウム・ガリウ
ム・ガーネット)などの無機材料や、MMA、PMM
A、ポリカーボネート、ポリプロピレン、アクリル系樹
脂、スチレン系樹脂、ABS樹脂、ポリアリレート、ポ
リサルフォン、ポリエーテルサルフォン、エポキシ樹
脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、フッ素化ポリイミ
ド、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、ポリオレフェイン系
樹脂、ナイロン樹脂等の透明プラスチックフィルムが用
いられる。プラスチックフィルムを用いると、軽くて曲
げやすい等の利点があるので利用しやすい。
【0025】更に、図1の偏光子層15には、各種の市
販の偏光フィルムや、ビームスプリッターを用いた高透
過率偏光子などが用いられる。偏光フィルムには大別し
て多ハロゲン偏光フィルム、染料偏光フィルム、金属偏
光フィルムなどがある。多ハロゲン偏光フィルムは2色
性物質にヨウ素を用いているために、可視領域全般につ
いてフラットな特性を有するが、湿度、高温等に弱いと
いう欠点を有する。また、染料偏光フィルムは偏光性能
においてヨウ素より劣るものの、熱、光、そして湿度に
対して耐性が大きいという特徴を有している。偏光子層
の露出面には傷が付きやすいので保護膜を設けることが
好ましい。次のような各種の偏光子も利用できるがこれ
らに制限されるものではない。
【0026】(1)強磁性体微粒子からなる多数の棒状
素子を含む偏光層を基板表面に一定方向に配列して固着
形成することにより光学的特性の優れた偏光板がある
(特開平1−93702号公報)。
【0027】(2)2.5μmより長い波長の光に対す
る偏光子は、透明基板(臭化銀、ポリエチレン等)に微
小な間隔で金やアルミニウムの線を引いたものがある
(東京農工大学 佐藤勝昭教授著「現代人の物理1−光
と磁気」1988年出版第103頁に記載)。この偏光
子はワイヤグリッド偏光子とよばれ、線の間隔をd、波
長をλとすると、λ≫dの波長の光に対して、透過光は
当該線に垂直な振動面を持つほぼ完全な直線偏光になる
ことを利用しているものである。中赤外用(2.5μm
から25μm)としては臭化銀基板にd=0.3μm間
隔で金線を引いたものが、遠赤外用(16μmから10
0μm)としてはポリエリレン板にd=0.7μmでア
ルミニウムを引いたものが用いられる。偏光度は97%
程度といわれている。
【0028】(3)長く延伸させた金属銀をガラス自身
の中に一方向に配列させることにより、偏光特性をもた
せたガラスで、従来の有機物偏光素子と異なり、耐熱
性、耐湿性、耐化学薬品性、レーザに対する耐性におい
て非常に優れている。赤外線用が主であるが、特殊仕様
として可視光用がある。
【0029】(4)東北大学のグループによって報告さ
れているもので、赤外線用にアルミニウムの表面を陽極
酸化させてアルミナとし、微細な穴を開けてこの中にN
iやCuなどの金属を入れた偏光子があり、マイクロワ
イヤアレイと呼ばれている。
【0030】(5)東北大学電気通信研究所の川上彰二
郎教授が1991頃に発表されたもので、可視光用にR
Fスパッタリング法で60〜80Åの厚みのGe(ゲル
マニウム)と、1μmの厚みのSiO2 を交互に60μ
mの厚みになるまで積層して作製したものがある。これ
は積層型偏光子と呼ばれている。0.6μmの波長で測
定した性能指数αTE/αTM(この比はTE波とTM波に
対する減衰定数の比である)は400近くであり、0.
8μmの波長で測定した消光比は35dB、挿入損出は
0.18dBであり、可視光に対して十分なものであ
る。
【0031】(6)薄膜を何層も重ねて作製した反射タ
イプ(SとPの偏光のうち一方を反射して、他方を通過
させる)の偏光子があり、反射型偏光子と呼ばれている
ものがある。
【0032】また、図1の透明磁性層12には、従来一
般に用いられている磁気光学効果を示す透明磁性材料で
良いが、ファラデー効果が大きくて、透明性の大きい所
謂性能指数の多きい磁性材料が好ましい。例えば50n
m以上の粒子径を有する、鉄、コバルト、Ni等の強磁
性金属は、大きな磁気光学効果を示すが、光の吸収も大
きいためにそのままの薄膜では用いられなかったが、超
微粒子膜とすると大きな性能指数を有するようになる。
また、粒子径の制御によって、適当な保磁力を得ること
ができる。他に希土類鉄ガーネットやコバルトフェライ
ト、Baフェライト等の酸化物、FeBO3 、FeF
3 、YFeO3 、NdFeO3 などの複屈折が大きな材
料、MnBi、MnCuBi、PtCoなどがある。磁
気光学効果は、光の進行方向とスピンの方向とが平行の
場合に最も大きな効果が得られるので、これらの材料は
膜面に対して垂直に磁気異方性を有する膜が好ましい。
これらの透明磁性材料には、一般的なスパッタ、真空蒸
着、MBE、などのPVD法やCVD法、メッキ法等が
用いられる。これらの磁性材料のファラデー効果には、
材料固有の波長依存性がある。本発明でこれらの磁性材
料を用いる場合は、この波長依存性に基づいて膜厚を決
定しなければならない。例えば希土類鉄ガーネットの
内、Ce置換YIG(Ce12 Fe512)の場合は
図4に示す波長依存性を示す。
【0033】更に、上述したカラー画像を実現するため
のカラーフィルタ14には、液晶ディスプレイに一般的
に利用されるものが適用できる。このカラーフィルタ
は、有機、無機顔料及び染料である着色剤を、印刷法、
染色法、電着法、蒸着法などを用いて、厚さ10μm以
下で作製され、R(赤)、G(緑)、B(青)の画素を
並べて作製される。
【0034】また、図1の反射層16には、金属又は金
属酸化物、金属窒化物、金属炭化物などと金属との混合
物、例えばAl、Cu、Ag、Au、Pt、Rh、Z
r、Cr、Ta、Mo、Si、Pd、Hf等の金属やこ
れらの合金、これらとZr酸化物、Si酸化物、Si窒
化物、Al、Hf、Pdの合金などは膜の形成が容易で
あり、好ましい。膜厚は10〜300nmの範囲で、好
ましくは50〜150nmの範囲とするのが良い。膜は
各種のPVD、CVD法を用いて作製される。
【0035】次に、本発明の実施例について詳細に説明
する。先ず、30μm厚のジルコニア(Y23 を3モ
ル%混合)板上に、真空蒸着法を用いて200nm厚の
Al膜を設けた。次いで、このAl膜の上に、イオンプ
レーティング法を用いて、SiO2 (低屈折率層、屈折
率n=1.47)を88.4nm、Ta25 (高屈折
率層、n=2.15)を60.5nmとして交互に2層
積層した。基板温度は300℃、酸素ガス圧力はSiO
2 の場合1.0×10-4Torr、Ta25の場合は
1.1×10-4Torrであった。製膜レイトはSiO
2 の場合、2nm/秒、Ta25 の場合0.5nm/
秒であった。各誘電体膜の膜厚分布は、最も厚いところ
と薄いところの差異が全膜厚の3%であった。そして、
上記誘電体多層膜の上に、イオンビームスパッタ法を用
いてCe置換希土類鉄ガーネット膜(膜組成:Ce1
2 Fe512 )を、平均膜厚が280nmとなるよう
に作製した。基板温度は400℃とした。VSMで磁界
を膜面に対して垂直に印加して測定した保磁力は540
エルステットであった。次いで、このCe置換希土類鉄
ガーネット膜上にイオンプレーティング法を用いて、上
記と全く同様に、SiO2 とTa25 の2層を作製し
た。Ce置換希土類鉄ガーネット膜に接している膜はT
23 であり、最表面側はSiO2 である。そして、
このSiO2の膜上に、同様にしてスパッタ法を用いて
Ce置換希土類鉄ガーネット膜を作製した。このガーネ
ット膜の上に上記と全く同様に、SiO2 とTa25
の2層を作製し、その上にCe置換希土類鉄ガーネット
膜を作製した。最後に、同様にSiO2 とTa25
2層を作製した。最終的に最表面はSiO2膜である。
即ち、STCTSCSTCTS/基板(ここでS:Si
2 ,T:Ta25 ,C:Ce12 Fe512)の
構成を有する11層膜を石英基板上に作製したことにな
る。次いでこの基板上の膜を空気中、650℃で3時間
加熱した。
【0036】このようにして作製した11層膜(石英基
板上に同時に製膜)のファラデー回転角の波長依存性は
可視光域でほぼフラットであった。なお、磁気光学効果
測定装置には日本分光株式会社製K250を用い、ビー
ム径2mm角で測定した。
【0037】図2からわかるように、以上の多層膜構成
物上に、市販のカラーフィルタと市販のヨウ素タイプフ
ィルム偏光子を貼り付け磁気光学素子とした。カラーフ
ィルタのRGBの幅は各約50μmであった。
【0038】次に、以下のような磁気ヘッドアレイを作
製した。ピッチ150μmで銅線の円形コイルを全長約
50nmとなるように、図3に示すように2ラインを第
1列と第2列に分けて無電界メッキ法を用いて作製し
た。電磁コイル用銅線の幅は約5μm、深さ約10μm
で3層とし、コイルの巻数は合計で12ターンとした。
コイルの間の絶縁層にはポリイミドを用いた。コイルの
中心にはパーマロイ(Ni80%)を、円柱状に磁束を
集中させるようにして電気メッキ法で作製した。
【0039】作製した磁気ヘッドアレイ上に、偏光子/
(誘電体多層膜/透明磁性層/誘電体多層膜)×3/A
l反射層/ジルコニア支持体/ポリカーボネート製磁気
カードの磁気光学素子を各カラーフィルタと電磁コイル
の位置が合うように調整して配置した。第1列(図3の
Aの列)の電磁コイル列に1つずつ順に、約100mA
の電流を10m秒づつ流した。次いで、第2列(図3の
A’,A’’の列)の電磁コイル列に第1列の印字列が
合致するように移動した後、同様に電流を流して印字し
た。A,A’,A’’の3つで1画素(A→R,A’→
G,A’’→B)を構成するようにしてカラー画像を得
た。特にファラデー回転角の小さいG(緑)などには、
電流値を増大させて流して色調を制御した。コイル中心
の表面磁界強度は1660ガウスであった。画像のコン
トラストは5.6であった。画像は永久磁石を移動する
ことによって容易に消去でき、また再記録することがで
きる。
【0040】ここで、従来の方法である下記の各比較例
と下記の各実施例との比較について説明する。第1の比
較例は、誘電体多層膜を作製しなかった以外は全く第1
の実施例と同様にして、磁気光学素子と磁気ヘッドアレ
イを作製した。画像濃度は薄くてほとんど確認できなか
った。
【0041】また、第2の比較例は、Ce置換希土類鉄
ガーネット膜を1膜として、STCTSの膜構成とした
以外は全く第1の実施例と同様にして磁気光学素子と磁
気ヘッドアレイを作製した。画像のコントラストは1.
6と第1の実施例に比して大幅に低下した。
【0042】更に、第3の比較例は、Ce置換希土類鉄
ガーネット膜を2膜として、STCTSの膜構成とした
以外は全く第1の実施例と同様にして磁気光学素子と磁
気ヘッドアレイを作製した。画像のコントラストは2.
7と第1の実施例に比して大幅に低下した。
【0043】次に、第2の実施例として、1mm厚の石
英基板上に(Al膜を設けないで)直接SiO2 とTa
25 膜を設けた以外は全く第1の実施例と同様にして
磁気光学素子と磁気ヘッドアレイを作製した。第1の実
施例の30μm厚のジルコニア基板に比較して基板が1
mmと厚いため画像は観察できなかった。そこで、表面
磁束密度が2Kガウスの永久磁石が付いた磁気ペンで偏
光子層側から文字を書いた。単色文字部分のコントラス
トは5.3であった。
【0044】ここで、磁気ヘッドアレイの比較例につい
て説明すると、第4の比較例としては、RGBが1ライ
ンに並ぶように電磁コイルのピッチを75μmとなるよ
うにした以外は全く第1の実施例と同様にして磁気コイ
ルアレイを作製した。しかし、この場合はパーマロイの
コアを作製するスペースが小さくなり、電磁コイルの内
に設けることができなくなった。よって、磁束を集中さ
せることができなくなり、画像は第1の実施例よりボケ
たものとなった。また、画像のコントラストも2.3と
低下した。
【0045】また、第5の比較例としては、ファラデー
回転角の小さいG(緑)に、電流値を調整することなく
流した。この結果、カラー画像において緑味が少なく、
第1の実施例より少しすくんだ色調であった。
【0046】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、特許請求の範囲内に記載であれば多種の変
形や置換可能であることは言うまでもない。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高屈折率誘電体及び低屈折率誘電体の順にかつ交互に積
層して構成する第1の誘電体多層膜と、膜面に対して垂
直な方向に磁気異方性を有する透明磁性層と、低屈折率
誘電体及び高屈折率誘電体の順にかつ交互に積層して構
成する第2の誘電体多層膜とを順に積層した構造体と、
カラーフィルタとを順に積層した構成を有することに特
徴がある。また、構造体を複数積層する。よって、ファ
ラデー効果が増大してより一層高いコントラストのカラ
ー画像を表示できる。
【0048】また、構造体を挟んで一対の偏光子層を設
けたことにより、磁気記録像の可視化が可能となり、更
にコントラストの大きなカラー画像が得られる。
【0049】更に、構造体の第1及び第2の誘電体多層
膜における材料、積層数、膜厚を同一にし、かつ構造体
の第1と第2の誘電体多層膜とを透明磁性層に対して対
称とすることにより、磁気光学効果が大幅に増大してカ
ラー画像のコントラストを向上できる。
【0050】また、透明磁性層の平均膜厚を100nm
〜1μmとすることにより、磁気特性や光透過率の良好
なカラー画像が得られる。
【0051】更に、構造体及びカラーフィルタを挟んで
一方の端面に偏光子層、他方の端面に反射層を設けたこ
とにより、反射層側から容易に磁気記録ができ、コント
ラストの高い反射カラー画像が得られる。
【0052】次に、別の発明としては、磁気光学素子に
画像を形成する磁気ヘッドアレイについて、複数の磁気
コイルを複数列にかつ千鳥状に配列して構成することに
特徴がある。よって、微細コイル作製が容易になり、高
分解能なカラー画像が得られる。
【0053】また、複数の磁気コイルへの電流値を、カ
ラーフィルタの色毎に所定の割合で変えて通電すること
により、色再現性の良いカラー画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における磁気光学素子の基本構成の積層
構造を示す概略断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例における磁気光学素子の
積層構造を示す概略断面図である。
【図3】本発明における磁気ヘッドアレイの配列を示す
概略平面図である。
【図4】本発明におけるファラデー回転角の波長依存性
特性を示す図である。
【図5】本発明における誘電体多層層の誘電体磁気材料
を示す図である。
【符号の説明】
1 磁気光学素子 11,13 誘電体多層膜 12 透明磁性層 14 カラーフィルタ 15 偏光子層 16 反射層 17 支持体

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高屈折率誘電体及び低屈折率誘電体の順
    にかつ交互に積層して構成する第1の誘電体多層膜と、
    膜面に対して垂直な方向に磁気異方性を有する透明磁性
    層と、低屈折率誘電体及び高屈折率誘電体の順にかつ交
    互に積層して構成する第2の誘電体多層膜とを順に積層
    した構造体と、カラーフィルタとを順に積層した構成を
    有することを特徴とす磁気光学素子。
  2. 【請求項2】 前記構造体を複数積層する請求項1記載
    の磁気光学素子。
  3. 【請求項3】 前記構造体を挟んで一対の偏光子層を設
    けた請求項1又は2記載の磁気光学素子。
  4. 【請求項4】 前記構造体の前記第1及び第2の誘電体
    多層膜における材料、積層数、膜厚を同一にし、かつ前
    記構造体の前記第1と第2の誘電体多層膜とを前記透明
    磁性層に対して対称とする請求項1〜3のいずれか1項
    に記載の磁気光学素子。
  5. 【請求項5】 前記透明磁性層の平均膜厚を100nm
    〜1μmとする請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁
    気光学素子。
  6. 【請求項6】 前記構造体及び前記カラーフィルタを挟
    んで一方の端面に偏光子層、他方の端面に反射層を設け
    た請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気光学素子。
  7. 【請求項7】 磁気光学素子に画像を形成する磁気ヘッ
    ドアレイについて、複数の磁気コイルを複数列にかつ千
    鳥状に配列して構成することを特徴とする磁気ヘッドア
    レイ。
  8. 【請求項8】 複数の前記磁気コイルへの電流値を、前
    記カラーフィルタの色毎に所定の割合で変えて通電する
    請求項7記載の磁気ヘッドアレイ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002296554A (ja) * 2001-03-30 2002-10-09 Minebea Co Ltd ファラデー回転子
JP2002311402A (ja) * 2001-04-11 2002-10-23 Minebea Co Ltd ファラデー回転子
JP2005121715A (ja) * 2003-10-14 2005-05-12 Ricoh Co Ltd 光スイッチ

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