JP4093567B2 - 空間光変調器 - Google Patents

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  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気光学効果を利用した空間光変調器に関し、さらに詳しくは、磁界を発生するX、Yドライブラインによって磁気光学効果を有する層に区画形成されたピクセルを磁化することによりピクセルスイッチングを行なうようにした空間光変調器に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明者らは磁界発生層と、磁気光学効果を有する層と偏光子層とから構成される光スイッチを多く提案してきた(特許文献1〜5参照)。
磁気光学効果を用いる光スイッチは、▲1▼開閉スピードが速い、▲2▼構造が簡単で小さくできる、▲3▼熱、湿度、光などに対する耐久性が大きい、という特徴を有するために、有用性の高いデバイスとなり得る。
【0003】
また、この磁気光学効果に基づく光スイッチ機能を利用した空間光変調器(Spatial Light Modulator:以下SLMともいう)の開発も行なわれている。
以下に公知文献を例示して、このような磁気光学効果を利用した空間光変調器における、磁界発生部の構造と、指定したピクセルの選択方法を述べる。なおこのようなデバイスにおいて、磁界発生部の磁界強度は大きいほど、磁性体の残留磁化を大きくして利用できるので効率的であり、またメモリー効果も利用できることになる。
【0004】
[非特許文献1]
ファラデー回転を利用した代表的素子としては、非特許文献1に記載されているような1990年代の米国カーネギーメロン大学とリットン社とで共同開発された空間光変調器がある。この素子ではLPE法で作製した3μmもの厚い単結晶希土類鉄ガーネット膜を用いており、また各ピクセルは分離されている。この単結晶希土類鉄ガーネットは、本発明において用いる多結晶磁性膜とは異なり、保磁力がほとんどゼロに近く、磁化のプロセスに関して次のような大きな違いが生ずる。すなわち、単結晶希土類鉄ガーネットは比較的小さい磁界で磁化できるが、磁化を保持しないので、磁界を切るか、磁界を反転させるまで磁界を掛け続けなければならない。
【0005】
また、この従来技術ではXとYのドライブラインを用いているが、交点での局部的磁界強度を用いて磁化反転をさせる方法であり、効率が悪く従って大きな電流を用いている。場合によっては、バイアス磁界を外部磁界として用いることもある。また、配線は磁界利用効率を高めるために、希土類鉄ガーネット膜中に埋め込む構造がとられている。
【0006】
この従来技術の特徴は次の点にある。
▲1▼上記したように、保磁力がほとんどゼロということから、X−Yの各配線への電流値設計において、保磁力を意識した電流値の設定は行われない。
▲2▼配線はXとYの二本だけである。
▲3▼XとYの配線合計電流が閾値電流以上の場合に生ずるスピン反転によって、ピクセルの指定を行っている。即ちある特定のピクセルの磁化を反転させる場合、XとYの合計電流を閾値以上にして反転させる。この技術においては、磁性体に磁化のニュークリエーションを発生させることがポイントであり、保磁力は特に意識されていない。
▲4▼X配線とY配線の配線幅は異なる必要が無く従って同一である。
▲5▼特に磁化したい磁性体の飽和磁化まで磁界をかけるわけではなく、スピン反転する最小の磁界強度があれば良く、従って磁界は反転する強度(閾値)以下で用いることはできない。
【0007】
[非特許文献2]
最近Jae-hyuk Parkらによって報告された空間光変調器に関する報告である。
本例も上記リットン社の例と同様に、反転磁区核形成を行い、単結晶磁性体のピクセル全体のスピンを反転しようとした。従って論文の図6から明らかなように、ピクセルの局部にXとYの配線交点に生ずる磁界を利用している。XとY配線の磁性体中への埋め込み構造となっていないために、製作が容易であるとしている。磁性ガーネットの膜厚は5μm程度と厚い。しかしながら、基本的に単結晶磁性体を用いているので、上述したと同様の理由で本発明とは異なる。
【0008】
この報告では、明確なスイッチングを観測することはできなかったとしている(p.736)。また、磁性ガーネット膜が多結晶状態にあり、結晶粒界における磁壁ピンニングによってピクセルのスイッチングが妨げられていると報告している。
なお、非特許文献3には、多結晶磁性体の膜を記録材料として用いた例として、宇部興産(株)が報告した、Dy置換YIGの微粒子をバインダー中に分散しガラス基板に被覆したものを磁性層とし、アルミニウム反射板を用いて、レーザー光によって加熱することにより画像を形成したことが記載されている。しかしながら、これは多結晶の磁性体粒子を薄膜状に形成して用いているものではあるが、X,Yドライブラインで形成される磁場を利用して磁性体を磁化するものではない。また、非特許文献4には、共沈法によりBi置換YIG微粒子を合成し、これをガラス基板に塗布して塗布膜を得て、次いで熱処理してガーネットの単相膜とし、永久磁石を市松状に並べた磁気アレイの上に鏡を置き、この上に前記の塗布膜を置いて、可視光により磁界パターンを読み出したことが記載されている。しかしながら、これもX,Yドライブラインで形成される磁場を利用して磁性体を磁化するものではない。
【0009】
なお、XとY配線による駆動方式を利用した空間光変調器としては液晶SLMがあるが、これは液晶を上下の電極で挟み、上下同時に電圧が加わることによって指定した特定のピクセルに電界が発生する方式であり、電圧駆動である点で磁気光学方式とは大きく異なる。
【0010】
【特許文献1】
特開平9−230298号公報
【特許文献2】
特開平10−213785号公報
【特許文献3】
特開平11−065480号公報
【特許文献4】
特開平11−8120号公報
【特許文献5】
特開平11−259855号公報
【非特許文献1】
J.Appl.Phys.,76,p1910(1994) J-k. Cho,ほか
【非特許文献2】
日本応用磁気学会誌 Vol.26、No.5(2002)、p.729
【非特許文献3】
Trans. Mat. Res. Soc. Jpn.,Volume 15B, p1129
【非特許文献4】
日本応用磁気学会誌 Vol.19、No.2(1995)、p.213
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
(従来技術の欠点)
上記した従来の磁気光学効果を用いた空間光変調器には次に記載するような欠点がある。
▲1▼複数配線において、複数ピクセルのうちの特定なピクセルを任意に選択するには、例えばTFTのような電気的スイッチを各ピクセルに取り付けるか、全ピクセルの駆動用回路を別々にして設けるなどの方法があるが、膨大な配線をするなどが必要となり、製作が複雑となり、装置が大きくなり、製作コストが膨大となる。
▲2▼ある特定の閾値を用いて特定のピクセルを、例えば特定の磁界強度で磁化してスイッチングする場合には、閾値を境として上か下かで制御すれば良く、従ってXとY配線の交点では強度がXまたはY単独の2倍になるので、この閾値制御法が可能であり、上記したような単結晶磁性体を用いる場合にはこのような方法が取られた。しかし磁界発生部の磁界強度に対して、連続して磁化の大きさが変化する場合にはこの方法は十分ではない。特に連続した磁化の大きさを利用して、ピクセルの明るさを変化させる(階調性を与える)場合には、利用できない。
▲3▼細い円筒状磁性体を、鉛筆の芯のようにして用いてデバイスに追加記録するような場合には、そのままでは従来の磁界発生部は用いることができない。
【0012】
上記の課題に鑑み、本発明は単純なX配線とY配線とを用いて次のことを達成することを目的とする。
(1)連続した磁性体の特定の一部分を選択して磁化する方法を提供すること。
(2)より強い磁界強度を発生して、いつも一定した、コントラストの大きな光スィッチを得ること。
(3)光の強度を連続的に変調させる空間光変調器を得ること。
(4)黒色の配線を用いて透過光をスイッチングして且つ画像を得る方法と装置を提供すること。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の構成を有することにより、上記課題を解決することが出きる。
(1) 少なくとも磁気光学効果を有する層と磁界発生層とを有する空間光変調器であって、磁気光学効果を有する層に複数の磁区を定義し、該磁界発生層は各磁区に対して磁界を与える縦方向配線を設けた配線層(縦配線層)と横方向配線を設けた配線層(横配線層)のそれぞれを少なくとも一層備えており、該配線のそれぞれに順方向あるいは逆方向に電流を供給したり停止したりする電流駆動手段を持っており、該磁界発生層は複数設けられ、磁気光学効果を有する層の両側に配置されていることを特徴とする空間光変調器。
(2) 前記縦配線層及び横配線層のそれぞれに磁界を与える配線を複数列配置してそれぞれに電流駆動手段を備えたことを特徴とする上記(1)記載の空間光変調器。
(3)磁界発生層が縦方向配線層/絶縁材/横方向配線層の層構造を有することを特徴とする上記(1)又は(2)記載の空間光変調器。
)縦方向配線層及び横方向配線層の数を3層以上としたことを特徴とする、上記(1)〜()のいずれかに記載の空間光変調器。
【0014】
)複数の配線層の内の一つの配線層にあらかじめバイアス電流を流しておくことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに空間光変調器。
)いずれかの配線に飽和磁界(h/2)以上で保磁力(h)未満の磁界の強さを磁気光学効果を有する層に生じるように電流を流す電流駆動手段を持つことを特徴とする上記(1)〜()のいずれかに記載の空間光変調器。
)配線によって形成された磁界発生部により発生する磁性体への磁界強度が磁性体の保磁力以上であることを特徴とする上記(1)〜()のいずれかに記載の空間光変調器。
)配線によって形成された磁界発生部により発生する磁性体への磁界強度が磁性体の飽和磁化以上であることを特徴とする上記(1)〜()いずれかに記載の空間光変調器。
)縦方向配線と横方向配線の磁性体への磁界強度が異なり、いずれかの配線によって形成される実効磁界強度が磁性体の保磁力と同等程度であることを特徴とする上記(1)〜()のいずれかに記載の空間光変調器。
【0015】
10)縦方向の配線によって区画される領域の幅と横配線によって区画される領域の幅とが異なることを特徴とする上記(1)〜()のいずれかに記載の空間光変調器。
11)配線に流す電流値を変化させることにより、光強度を変調させることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載の空間光変調器。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の空間光変調器の構成を図1に示す。図1(a)は自然光を変調する場合の一構成例を示し、図1(b)は偏光光を変調する場合の一構成例を示す。以下では、図1(a)に示すものに基づいて説明する。図1(a)に示すものは、磁界発生層と、磁気光学効果を有する層と偏光子層とから構成される。支持体はこの構成のどの位置が選ばれても良いし、特に用いなくて他の層で兼用しても良い。その層構成としては各種の変形例が適用できるが、磁界発生層を複数設けて、磁界発生層/磁気光学効果を有する層/磁界発生層という層構成とすれば、より効果的に発生磁界を利用することができる。また、偏光子層は磁気光学効果を有する層を挟んで、2枚用いることもできる。
【0020】
図1(a)の自然光を変調する場合の具体例には一般のPCの液晶ディスプレイのように後ろから光(蛍光灯:偏光光ではない)を当てるような構成がある。
図1(b)の偏光光を用いる場合の具体例には液晶プロジェクタのように照明装置側で照明光を偏光光にするような構成がある。透過型液晶の替わりに図1(b)の空間光変調器を用いることで透過型液晶プロジェクタと同じものができ、さらに本発明の空間光変調器の方が桁違いに応答速度が速いので動画を投影した場合鮮明な画像が得られるし、更にはフィールドシーケンシャル方式の採用も可能となる。
【0021】
反射型液晶プロジェクタの反射型液晶の替わりに本発明の空間光変調器を用いる場合、上から光(偏光光)を当てる構成としたら支持体の下の端面に反射ミラーを形成させるか、磁界発生層と支持体の間、あるいは、磁気光学効果を有する層と磁界発生層の間に反射ミラーを形成させることで対応できる。下から光(偏光光)を当てる構成としたら磁気光学効果を有する層の上の端面に反射ミラーを形成するようにすればよい。効果は透過型と同じであるが、この反射型にした場合、磁気光学効果を有する層の偏光面回転角を0〜45°の間で制御するようにすれば透過型と同等の機能を得ることができる。
すなわち本発明の空間光変調器に照射される偏光光は一回磁気光学効果を有する層で制御を受け、反射ミラーで反射された後の帰りにまた磁気光学効果を有する層で制御を受けるので本発明の空間光変調器を出た後の偏光光は偏光面回転角は0〜90°制御されていることになる。
【0022】
磁界発生層は図2、図3、図4、図8に示すように導電性配線(以下、単に「配線」ともいう)によって形成される。図3、図8は磁界発生層がX配線とY配線とからなる例を示すもので、コイルは逆方向電流によって磁界がキャンセルされないように絶縁層を介して、上下に配されている。図2、図8に示すものは1ターンコイルであり、図4に示すものは複数巻きコイルであるが、コイル形状は図示したものに限定されるものではない。
また、銅線コイルの中(内側)を光が通過するように形成しても良い。
【0023】
基本的に導電性配線により複数のコイル形状を図のように連続して形成した後、X方向(X配線)とY方向(Y配線)に配置する。複数のX配線とY配線は、磁気光学効果を有する層に近接して設ければ、発生した磁界の利用効率が向上して好ましい。導電性配線は磁気光学効果を有する層の上下に配しても良いし、一方の側に絶縁層で挟んで、積層して設けても良い。積層数は3層以上でも構わない。
【0024】
X配線とY配線との交点は磁界が足し合わされて強くなる。この足し合わされた磁界強度が磁気光学効果を有する層の保磁力以上でなければ、磁化の向きを反転することができない。本発明では透過と遮断の場合の光強度比(以下コントラスト)が大きくなるように、磁化の向きを逆転させて、例えば磁化の向きが上向きの場合には透過に、下向きの場合には遮断に対応させる(本明細書で「各配線への電流値が正又は負のいずれかであり」と言うのは、これに対応する)。
【0025】
保磁力以下の磁界強度でも磁性体を小さく磁化することは可能であるが、このようにすることによって、大きな残留磁化の差異(+磁化と−磁化)を得ることができ、磁気光学効果を有する層での偏光面の回転角を反転(+磁化と−磁化)によって2倍に利用することができて有効である。
【0026】
次に、X−Y配線によって磁区のマトリックス中から特定の磁区を選んで駆動できることを図5に基づいて説明する。
図5では簡単の為にコイルの形をコの字として表示したが、図3について説明したように3層構造にする必要があるので、他の磁界発生方法を取っても良い。ここではX及びY配線をそれぞれ4本づつとし、X配線を上から▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼と命名する。Y配線は左からA、B、C、Dとする。
【0027】
いま▲2▼−Cと▲3▼−Bの斜線部分を選んで磁化の強度を変更する場合について説明する。X配線▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼には周期的に▲1▼→▲2▼→▲3▼→▲4▼の順で選択されて、同一時間(T)電流が流される(図左側の▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼)。Y配線A、B、C、Dにも同様にして順次、X配線と同じ周期で同一時間(T)電流が流される(図左側のA1→A2→A3→A4。B1→B2→B3→B4。C1→C2→C3→C4、D1→D2→D3→D4)。X配線▲2▼とY配線C2が時間的に一致した場合に交点(▲2▼−C)の磁界強度が保磁力以上に上がって、▲2▼−Cの磁化が書き換えられる。この瞬間にはこの交点(▲2▼−C)のみが磁化される。電流は順次サイクリックに流されるので、全体としては終了するのに時間がかかるようであるが、時間Tはナノ秒程度であるので、実際は高速書き換えが可能である。交点(▲3▼−B)についても同様で、X配線▲3▼とY配線B3が時間的に一致した場合に交点(▲3▼−B)の磁界強度が保磁力以上に上がって▲3▼−Bの磁化が書き換えられる。
【0028】
X配線とY配線との交点において磁界が足し合わされて保磁力以上とする方法としては種々の方法が選択できるが、例えば、X配線又はY配線の磁界の強さを保磁力と同等程度の一定の値としておき、他の配線の一つを任意の大きさの磁界強度とすることにより、両配線による磁界が足しあわされてX配線とY配線との交点を保磁力以上とすることができる。
【0029】
上記したように磁性体は保磁力以上の磁界を印加しなければ、磁化の向きを反転することができない。一度磁界を印加された磁性体は、磁界をゼロにすると残留磁化を保持している。ついで同じ個所に、前回とは逆方向に磁化したい場合には、保磁力以上の磁界を印加しなければならない。1つの配線によってこの磁化反転用磁界を発生させて用いると、他の配線によって(X配線の場合はX配線、Y配線の場合はY配線)与えたい磁界強度をそのまま印加すれば良い。即ち一方は反転と消去、もう一方は必要な磁化の大きさを与えれば良い。この場合のXとY配線による磁界方向が同一であることは言うまでも無い。このように磁化の大きさを変化させるのは、光強度を連続的に変化させることにあたり、例えば画像濃度を変えて階調性を与えたりする場合に用いる。
【0030】
磁化を逆転させなければこの方法は不要であるが、逆転させることにより、偏光面の回転角を大きくとることができて、スイッチとしてのS/Nを大きく取れることは前記した通りである。
【0031】
XとY配線によって形成されるコイルの外形寸法を異なるように形成することは、同一形状とする場合よりも、発生磁界を集中させるためには好ましい。また目的により配線幅を変えて、一方は保磁力と同等磁界発生用とし、一方は飽和磁界発生用とするなどの利用形態がある。またX配線によるコイル1つに対して、Y配線によるコイル3つを対応させると、1つの画素を3つ(赤、青、緑に対応)で制御してカラー化や3D(立体画像)画像用として用いることもできる。
【0032】
XとY配線層の数は3層以上とすると、有効に利用できる。各配線層は絶縁層によって分離されることは言うまでも無いが、磁気光学効果を有する層の上下に直接配置することが望ましい。上下への分配は目的により適宜実施される。3層以上の場合には、1層をバイアス電流用とすることができる。
【0033】
図6〜8に磁界発生層の配線配置の更に詳細な態様を示す。
図6はマトリクス部のX軸、Y軸の各配線とそれらを駆動するアンプの関係を示した図であり、AxとAyは1巻きのコイルに電流を流したり切ったりするラインドライバ(A1,A2,…,Am,A1,A2,…,An,以後、単にドライバと称す)である。図では、ラインドライバへの入力端子は省略して表現してある。磁界発生層は、図示したように縦と横の1巻きのコイルを格子状に配置して構成されている。なお、当然、縦と横のコイルの間は電気的に絶縁されている。
図7は、磁界発生層の1巻コイルを駆動して中間調表示する方法を説明する図である。
図8は、コイルの形状の具体例を示す図である。
以下に、図6に基づいてその交点に存在する磁気光学効果を有する層の磁区を制御する方法を示す。
ここでは入力の信号線と制御線は省略しているが詳細は図9で説明する。
【0034】
Ayは縦に並べてあり(Ay1,Ay2,…,Aym)、横のラインを制御する。Axは横に並べてあり(Ax1,Ax2,…,Axn)、縦のラインを制御する。すなわち、磁区を図のようにN11,N12,…,Nmnとすると、Ay1とAx1でN11を、Ay1とAx2でN12を、Ay2とAx1でN22を、AxnとAymでNmnを制御するように対応付けて配置している。
【0035】
図9は図6のドライバの詳細図でa)にシンボルの全体を示し、b)に具体的な回路を示す。その入出力の関係を図10に真理値表として示しているのでそれを交えてドライバの動作状態を説明する。
【0036】
入力端子STがH(ハイレベル)の時は入力端子A、Bのどちらもどんな状態であろうと出力端子+、−のどちらもフリーとなる。すなわち接地状態でも給電状態でもない。入力端子STがL(ローレベル)の時に入力端子A、Bの状態が出力に反映される。すなわち、入力端子A、Bの状態が、出力端子+へは正論理のANDの機能、負論理ではORの機能、出力端子−へは正論理のNAND、負論理ではNORとして働く。(図9中、基本能動素子をバイポーラトランジスタ、すなわちTTLで示してあるが、電界効果型トランジスタを用いてもよい。Pチャネル、Nチャネルでもよいが、CMOSが一般的である。)
【0037】
これに図6に示す1巻きのコイルを繋ぐと入力端子STがHの時は出力端子+、−ともフリーなのでコイルには何も電流が流れない。入力端子STがLの時は入力端子A、Bのいずれか一方あるいは両方がLなら、出力端子+が接地状態、出力端子−がVDDを給電する状態となるので左回り(時計と反対周り)で電流が流れる。入力端子A、B共にHなら、出力端子+がVDDを給電する状態、出力端子−が接地状態となるので右回り(時計回り)で電流が流れる。
【0038】
図11(a)〜(c)は磁気光学効果の有する層の各磁区での磁場の強さHmと偏光面回転角θの関係のグラフであるが、(a)は オンかオフかのオルタネイトに動作させる場合の説明図で、ある一定の磁場を与えたときの状態を説明する図である。
【0039】
横軸は磁場の強さ(Hm)、縦軸は偏光面回転角(θ)である。一回以上磁場がかけられてこのループを描いた後、磁界はない状態(Hm=0)でA点にいるとすると、そのときの偏光面回転角は45°となり、B点にいるとすると、そのときの偏光面回転角が−45°となるように設定してある(A点で90°B点で0°と設定するとしてもよいが、説明を簡単にするために対称の表現で説明する)。
【0040】
初期状態をB点とし、磁界を+方向にかけていくと偏光面回転角は増していき、磁界をhまでかけるとC点で、45°(スタートから90°)回転し飽和するのでそれ以上磁界をかけてもそれ以上回転しない。その後、磁界を減じて磁界をなしにするとA点に留まる。更にマイナスの磁界をかけていくと先に説明したB点からの状態とグラグの縦軸と横軸の交点0に点対称に動作する。その結果、初期状態のB点に戻る。
【0041】
このように動作する磁気光学効果を有する面を図6のような磁界発生層と近接して配置した時の動作をこの図11上で説明する。
まず、前述の図6のドライバのどれか一つは能動状態にする(入力端子STがL)とその負荷となっている1巻のコイルの一磁区内にはh/2<h<hとなる磁界hを発生させる電流が発生するようにコイルのインピーダンス、ドライバの出力インピーダンスと電源VDDを設定してある。
【0042】
初期状態がB点にあり、XとYのドライバ両方の入力端子STがHのときをスタートすると、ドライバYが、入力端子A、Bの両者がH状態で入力端子STがLに転じるとドライバの+出力がH、−出力がLとなり、コイルにhを発生させる電流が流れ対象Y軸上にある磁区は全てE点に移る。もし、ここで入力端子STがHとなり、磁界が0となるとB点に戻ってしまうが、入力端子STがLのままで、ドライバXの入力端子A、Bの両者がH状態のまま、入力端子STがLに転じるとそのY軸との交点の磁区の磁場はhを越えるのでC’点に移る。この状態でX、Yのドライバ両者の入力端子STをHにするとその交点の磁区の磁場は再度0となるが、当該磁区の状態はA点に移っている。すなわち、偏光面回転角は45°となっている。
【0043】
ここで、リセットの方法を説明する。ドライバXとYの両者の入力端子AかBが同時にLに転じると前述と逆の電流がコイルに流れ、その交点の磁区には逆の磁場がかかるのでそこの磁気光学効果膜の状態はD’点に移る。更にX、Yのドライバの入力端子STが両者ともHとなるとB点に移りリセットは完了する。
【0044】
図12は図6の各磁区N11、N12、…、Nmnを制御する方法を説明するためのタイムチャートである。
図12中ではドライバY1、Y2の横のラインとドライバX1、X2、X3、X4の縦のラインとの交点にある磁区(N11、N12、N13、N14、N21、N22、N23、N24)の動作状態を示しており、図6と図10、図11を併用して説明する。ここで、入力端子STはそのラインを選択するために用い、そのラインを能動状態にするときは信号をL(ローレベル)にする。入力端子Aは磁区の偏光面回転角θを初期状態(B点)にするために用い、後述の表示信号の先頭でLにする。入力端子Bには表示信号を時系列で入力する。入力端子AとBは全ドライバ共通の信号が入力される。
【0045】
このようにした状態でt11のタイミングではY1とX1のドライバの入力端子STがL(ローレベル)となり他のドライバのSTはH(ハイレベル)のままである。このとき全ドライバの入力端子AはLとなるので磁区N11はD’の位置に行く。全ドライバの入力端子Bに信号が入っているのでこのタイミングでHとなり、入力端子AがHに転じると磁区N11はD、B、E、Cを通過し、一気にC’へ達する。次にt12に差しかかるとCを通過してA点まで行きそこに留まる。同じt11の時間帯、Y2のドライバのSTはHのままなので入力端子AとBがどのように変化してもドライバY2の出力は何の変化もない。
【0046】
この間、X1のドライバは前述の動作なので磁区N21はその前までB点にいたとするならば入力端子AがLになったときは一旦、D’まで戻るが、入力端子AがHとなると入力端子BがHとなっているのでD、Bを通過してE点まで移動する。しかし、t12に移った瞬間に逆戻りし、B点に戻り留まる。t12のタイミングではY1のSTはLのままで、ドライバX2のSTがLとなるので入力端子AがLとなるとD’まで一旦行くが、入力端子Bには表示信号が来ていないので入力端子AがHとなるとDを通過し、B点で留まったままとなる。t13のタイミングでのN13の振る舞いもt12のN12の振る舞いと同じである。
t14のタイミングでのN14の振る舞いはN11と同様の振る舞いをする。
【0047】
次にt21のタイミングではドライバY1のSTはHに転じて代わりにドライバY2のSTがLとなる。入力端子BにはH信号が着ているので、N21ここでの振る舞いは前述のN12と同じとなる。一方N11はドライバY1が能動状態ではないのでX1の入力端子STがLとなって入力端子AもLとなった瞬間、A点に留まっていたのが偏光面回転角θは小さくなりF点まで移動する。
【0048】
しかし、入力端子AがHに転ずるとマイナスの磁界がなくなるのでA点に戻ってしまい、そこに留まりつづける。t22のタイミングでは入力端子Bの表示信号がHなので最初のN11ないしN14と同じ振る舞いをする。このとき、N12はドライバX2の入力端子AがLになった瞬間B点にあった状態からDを通過し、D’点へ行く。入力端子AがHに転じると入力端子Bに信号が来ていてそれがHなのでD’からD、Bを通過し、E点まで行く。しかし、t23へ移った瞬間、B点まで戻り、そこに留まる。このようにこのタイミングを通過しても前の状態を保持することができる。
【0049】
t23のタイミングでは入力端子Bに信号がなくLなので前述のN12と同様の振る舞いをする。t24では入力端子Bに表示信号が来ていてHなので前述のN11と同様の振る舞いとなる。また、このとき、N14はt21のタイミングでのN11の振る舞いと同様となり、t24のタイミングの後もA点に留まったままとなる。
【0050】
このようにt11、t12、…、tmnと一通りのタイミングでN11、N12、…、Nmnを走査し終えた後で、N11、N14、N22、N24はA点に、N12、N13、N21、N23はB点に留まっているので偏光面は互いに90°違う状態になっている。それゆえ、偏光板をクロスか平行に置いて自然光を透過させて覗くとA点となった磁区は明、B点となった磁区は暗、あるいはその逆になって見ることができる。
【0051】
また、このヒステリシス曲線における、初期磁化曲線の最初の部分即ちゼロから始まる電流値が小さい所では、電流値と磁化の大きさは比例しない。従って所定の電流値Pをバイアス電流として流しておくと、電流値と磁化の大きさに線形性を持たせることができて好ましい。バイアス電流の向きは磁化の方向と一致することが必要であるので、記録電流と同方向にスィチングするような電気回路としておくことが好ましい。
【0052】
コイルによって発生する磁界は、より少ない電流値でより大きな磁界強度であることが、装置の耐久性や省エネルギーの点から望ましい。このために本発明では、コイル層の上下面またはいずれかの面に透明高透磁率材料層を設ける。このことにより同一電流におけるコイルによる磁界発生効率は大幅に向上する。従来は透明で且つ高透磁率な層は得がたかったが、近年は分子磁性体や酸化亜鉛磁性体などによって適用できるようになった。
【0053】
磁界発生部(例えばコイル)は一般的に透明導電膜が好ましい。しかし目的によっては(低い電気抵抗で配線する必要がある場合など)銅や銀、金線などの金属を用いることができる。またX配線は透明導電膜で、Y配線は金属配線を組み合わせて用いることができる。当然ながら金属配線と現在の透明導電膜配線では、抵抗率が2桁ほど異なり、金属配線が磁界発生効率上は有利である。
【0054】
しかし透明性が重要な場合、例えば本発明スイッチを調光ガラスに用いる場合には、透明導電膜が好ましい。しかし本光スイッチを用いて画像を得たい場合や、数十本のレーザー光に対して用いる場合には金属配線がより好ましい場合がある。この金属配線を用いた場合には、金属による反射光の影響を低減するための反射防止対策を取ることが好ましい。
本発明においては、各層の形成順序は基本的に制限されないが、磁界発生層と磁気光学効果を有する層とは近接させることが磁界利用効率の点から好ましい。
【0055】
図13は図7中のアナログ増幅器Ampの具体的な回路構成を示す図である。
DD、−VDDはプラスとマイナスの電源で絶対値はほぼ同じに設定してある。INPUT端子に表示したい画像信号を入力するとOUTPUT端子にその信号と比例した信号が電力増幅されて出力される。当然のことながら、INPUT端子が0Vの時はOUTPUT端子は0Vである。
【0056】
また、図14は図7中のアナログスイッチSy1、Sy2〜Symの具体的な回路構成を示す図である。また、ディジタル制御部の入力端子(DigitalINPUT)A、Bは図9中のINPUT STに対応していて、ラインアクセス制御のタイミングも同じである。さらに、Analog INPUTは前述のAmpのOUTPUT端子と接続してあり、Analog OUTPUTは各Y配線に接続してある。こうすることによりDigital INPUT AとBで選択されたY配線にはAmpに入力された信号に比例した電流を流すことができる。
【0057】
次に、磁界発生層/磁気光学効果を有する層/偏光子層の順に形成した場合の光の偏光状態を説明する。
磁気光学効果を有する層を通過する場合に、磁気光学効果を有する層が近接配置された磁界発生層の磁界で+に磁化されていると、偏光面は右へ回転する(例えば45度)。磁気光学効果を有する層の偏光軸とは、偏光軸を45度回転して設けられた偏光子はこの光を通すことができる。しかし磁界発生層の磁界で−方向に磁化されていると、偏光面は左へ回転する。このために偏光軸を45度回転して設けられた偏光子はこの光を通すことができない。このようにして光を磁界の向きによってスイッチングすることができる。
【0058】
磁気光学効果を有する層の表面形状は図15に示すようにかまぼこ型でもよいし、矩形型などでもよく特に制限はない。また図16に示すように、透明磁性体の表面を削り取って周期構造を形成しても磁気光学効果を増大させる効果は同様である。
【0059】
1つの変形としては、磁界発生層/磁気光学効果を有する層/偏光子層のような場合に、磁界発生層の上にもう一つの偏光子層を設けることも可能である。これにより、磁気光学効果を有する層により楕円率の高い偏光を入れることができてコントラストを向上させることができる。
【0060】
透明磁性層の表面に形成した磁性体と非磁性体との周期構造の内、非磁性体としては空気層を選択することも可能で、これによっても同様の効果すなわち磁気光学効果を増大させることができる。この場合にはこの周期構造の上に、非磁性体部をなんら埋めることなく、他の層即ち偏光子層かまたは磁界発生層を重ねて形成する。光は磁性体と空気屈折率差を感じてワイヤグリッド偏光子のように旋光し、また磁性体による磁気光学効果との相乗効果によって巨大な磁気光学効果を生ずる。なお非磁性体としてプラスチックなどの有機物を埋め込み、強度を得られるようにしても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0061】
周期(格子)構造を形成した場合には、周期が通過させる光の波長よりも大きければ、光は回折現象を生ずることは良く知られている。本発明のように光スイッチとして用いる場合には、周期は通過させる光の波長よりも短くする必要がある。
【0062】
光がレーザーの場合には、この波長を考慮して周期を設計すれば良い。従って本発明の周期構造の周期には限定がなく、対象とする光の波長によって選択される。また可視光を対象とする場合には、約400nm以下として周期が選ばれる。特殊な例として、回折光としてスイッチングしたい場合には、この限りではない。
【0063】
前記の周期構造の形状は矩形に限らず、矩形の角が丸くなっていても良いし、所謂波型でも良い。この周期構造は以上のように必ずしも磁性体で形成されなくても、光が周期を感じてくれれば良い。たとえば基板上に周期凹凸構造を設けた後、磁性体の連続膜をその上に形成する方法がある。この場合には光にとって磁性体の濃淡(密度差)が周期的になっていることが重要である。例えばこれらの例は図15に示した。この場合には各種の支持体を用いることになる。
以下空間光変調器を構成する各部位について説明する。
【0064】
本発明における磁界発生層は、磁気ヘッドが1個であっても良いし、複数をアレイ状に配列しても良い。レーザー光の場合には1個でも良いし、光スイッチを並べて画像を形成する場合には、マイクロ磁気ヘッドアレイを形成することが望ましい。磁気ヘッドアレイは通常複数個の磁気ヘッドを示すが、本願明細書では磁気ヘッドアレイという用語は磁気ヘッドが1個の場合をも含めた用語として用いる。
【0065】
本発明における磁界発生層は、外形が200μm程度の電磁誘導コイルと、該コイルの中心に高透磁率磁芯を配して作製することができる(図4参照)。高透磁率磁芯の代わりに、高透磁率膜を重ねて用いても同様の効果がある。2次元に配列して用いると、画像表示部位と記録用磁気ヘッドアレイを相互に移動することなく、アレイへの励磁電流を逐次スイッチングして画像を形成することができる。
【0066】
電磁誘導コイルの中心に高透磁率を有するコアを形成しても良い。コイルは必ずしも複数回の巻き数でなくても、図3のような簡易コイルを用いることもできる。
電磁誘導コイルの高透磁率コア外径が、該コイル上端面の上部ではコイル内部寸法より縮小して、磁束密度を高めることが好ましい。これは磁束を集中させることにより、できる限り磁束の発散を抑えて、強い磁界強度を透明磁性層に印加したいためである。従って断面形状は角形、円柱などは問わない。
【0067】
また本発明における磁気ヘッドアレイでは、各ライン上の磁気ヘッドは、中心位置が直線上からずれていて、いわゆる千鳥状に2次元的に配設されてもよい。これはより高密度に磁気ヘッドを配列して、高解像度の画像を形成するためである。なおコイルに用いられる材料は一般的な銅が電気抵抗値の点から好ましいが、Au、Ag、Al、Pt、Cr、Niなどの金属や、ITO、ZnO、ZnO:Si、ZnO:Al、CdInO、InO、SnOなどの透明導電性材料も用いられる。
【0068】
マイクロ磁気ヘッドアレイの製造方法は大別して、フォトリソグラフィー法、電気メッキ法、塗布法+エッチングが用いられる。配線のパターン形成にはマスクと、各種レーザー光や軟X線、紫外線などを用いる。
【0069】
配線の加工においては、導線の断面積(線幅、線高さ)がより大きいことが、電気抵抗を低下させる点から重要であるが、前述したように、解像度の点からコイル間ピッチには制限があるので、導線間の絶縁層体積がより少ない方法が選ばれる。コイル形成用導線の高さは1μm以上とすることにより、電気抵抗を下げて発熱や断線を防止する。
【0070】
マイクロ磁気ヘッドはあまり大きい面積で作製すると磁界発生効率が落ちる。従ってコイル径を小さく作製せねばならないが、これも作製技術的な理由と共に、低電気抵抗が必要な点から限界がある。コイルを複数段階に積み重ねて、この課題を解決こともできる。コイルから発生する磁界強度は、[コイルの巻き数×電流値]の大きさに依存するので、コイルを複数層にして設けることで比較的低電流で、大きな磁界強度を得ることが可能となる。
【0071】
高透磁率コアに用いる軟磁性材料としては、従来より多用されている、純鉄、珪素鋼、鉄やニッケルおよびコバルトとの各種合金(Fe−Si−B系、Co−Fe−Si−B系)などが用いられる。特に本発明の目的には、これら鉄とニッケルで構成されるパーマロイが好適に用いられる。透磁率は1000以上もしくは10000以上が良い。
【0072】
本マイクロ磁気ヘッドアレイを用いて上書きしても良いし、永久磁石を用いるか、交流磁界消去法を用いて広い範囲を一括して消去しても良い。
本マイクロ磁気ヘッドアレイの電気的な駆動法は、駆動回路を用いてスイッチングして、単独又は複数個の磁気ヘッドに励磁電流を順次供給してなされる方法が任意に用いられる。なお更に高速度に画像形成したい場合は、数個づつに同時に電流を流す方法も、電源が大きくなるが可能である。
【0073】
本発明に用いられる支持体としては、ガラスやセラミックスおよび金属などの他に、MMA、PMMA、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、エポキシ樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、フッ素化ポリイミド、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ナイロン樹脂などが用いられる。ポリイミドフィルムのように耐熱性が高いプラスチックフィルムも利用できる。厚みは10〜100μmであると取り扱い上柔軟性があって好ましい。
【0074】
磁気光学効果を有する層を形成する磁性材料は制限されないが、適しているのは磁気光学効果の特に大きな透明磁性体が好ましい。複数の誘電体膜と透明磁性体とで構成される、磁気光学効果の大きな透明磁性層や、またいわゆる一般的な透明磁気記録媒体を用いても良い。誘電体と磁性体の多層膜によって、ファラデー効果が従来より大幅に増大されることを利用した例を以下に2つ示す。
【0075】
1つは、誘電体をG、磁性体をM、正の整数をm、nとすると、次のような層構成を有する多層膜である。
{(GM)(MG)/支持体
誘電体Gと磁性体Mは、GMの次はMGのように積層順が逆になる。即ち磁性体Mに関して対称となることが必要である。光学膜厚(n‘d)は1/4波長である。
もう1つは、上記Gの層を高屈折率層と低屈折率層の2層で構成する方法である。
【0076】
一般的な透明磁性体としては、コバルトフェライト、Baフェライトなどの酸化物、FeBO、FeF、YFeO、NdFeOなどの複屈折が大きな材料、MnBi、MnCuBi、PtCoなどがある。近年Fe、Ni、Co、Mnなどの遷移金属を含有して且つ、強磁性を有する酸化亜鉛(例えばFeZn1−XOやCoZn1−XO)が見出されており、これらも好ましく利用できる。n型Zn1−xOや、CoをドープしたTiOなども利用できる。できる限り可視光全体にわたって均一な、かつ大きな性能指数を有する透明磁性層としては、下記一般式で表される希土類鉄ガーネットが好ましい。
3−××Fe5−y12
上記一般式において、0.2<×<3、0≦y<5、Rは希土類金属で、Y、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuのうちの少なくとも一種以上であり、AはBi、Ce、Pb、Ca、Ptなどであり、BはAl、Ga、Cr、Mn、Sc、In、Ru、Rh、Co、Fe、Cu、Ni、Zn、Li、Si、Ge、Zr、Tiの少なくとも一種以上である。
【0077】
磁性材料の保磁力は50〜5000 Oeが好ましい。厚みは50nm〜2mmの範囲で選択されるがこれに限定されるものではない。
磁気光学効果は、光の進行方向とスピンの方向とが平行の場合に最も大きな効果が得られるので、これらの材料は膜面に垂直に磁気異方性を有する膜が好ましい。これらの無機透明磁性材料は一般的なスパッタ、真空蒸着、MBEなどのPVD法やCVD法、メッキ法、塗布法等によって形成される。
【0078】
さらに透明磁性材料として好ましく利用できる材料として分子磁性体がある。例えばバナジウムクロムヘキサシアノ錯体であるKI 0.63II[CrIII(CN)0.88・7.5HO・0.4EtOHやKI[(VII 0.6III 0.4CrII 1−x][(CrIII(CN))]などがある。後者は金属イオンの組成比X=VII IIICrIIにより、青色(X=1)、水色(X=0.3)、緑(X=0.22)、無色透明(X=0)と変化する。膜作製は電気化学的な合成方法を用いる。磁性材料の保磁力は100〜2000 Oeが好ましい。厚みは50nm〜20μmの範囲で選択されるがこれに限定されるものではない。
【0079】
多層膜用誘電体に用いられる材料は、透明でかつ熱的に安定な物質が適し、例えば金属や半金属の酸化物、窒化物、カルコゲン化物、フッ化物、炭化物、およびこれらの混合物であり、具体的にはSiO、SiO、Al、GeO、In、Ta、TeO、TiO、MoO、WO、ZrO、Si、AlN、BN、TiN、ZnS、CdS、CdSe、ZnSe、ZnTe、AgF、PbF、MnF、NiF、SiCなどの単体あるいはこれらの混合物である。これらの材料の中から透明磁性体と屈折率を異にする種類を選択すればよい。各膜厚は5〜200nm好ましくは、5〜30nmの範囲にするのがよい。誘電体膜は複数の層構成としても良い。膜は各種のPVD、CVD法を用いて作製される。
上記で述べたような多層膜構造とするによって、直線偏光の偏光面回転角が増大するように設計できる。
【0080】
反射層としては、PVD法で設けられたAl、Cu、Ag、Au、Pt、Rh、Al、SiO、TeC、SeAs、TiN、TaN、CrNなどの薄膜が用いられる。また誘電体多層膜を用いた反射膜なども利用することができる。厚みは0.1〜1μmの範囲で選択される。
【0081】
偏光子層としては、各種の市販の偏光フィルム等を用いることができる。偏光フィルムには大別して多ハロゲン偏光フィルム、染料偏光フィルム、金属偏光フィルムなどがある。
【0082】
また次のような偏光子も利用できるが、これらに制限されるものではない。
(1)特開平01−93702(トヨタ自動車(株))
強磁性体微粒子からなる多数の棒状素子を含む偏光層基板表面に、一定方向に配列して固着形成することにより、製造が容易でかつ光学的特性の優れた偏光板。
【0083】
(2)ワイヤグリッド偏光子
東京農工大学 佐藤勝昭著「現代人の物理−光と磁気」(朝倉書店)1988年出版、第103頁に記載。
透明基板に微小な間隔で金やアルミニウムの線をひいたもの。この場合線の間隔d、波長をλとすると、λ≫dの波長の光に対して、透過光は線に垂直な振動面を持つほぼ完全な直線偏光に成ることを利用している。偏光度は97%程度と言われている。
【0084】
(3)コーニング社製「ポーラコア」
長く延伸させた金属銀をガラス自身の中に一方向に配列させることにより、偏光特性を持たせたガラスで、従来の有機物偏光素子と異なり耐熱性、耐湿性、耐化学薬品性、レーザーに対する耐性に非常に優れている。赤外線用が主であるが、特殊仕様として可視光用がある。
【0085】
(4)積層型偏光子
東北大学電気通信研究所の川上彰二郎教授が1991年頃に発表したもので、可視光用にはRFスパッタリング法で、6〜8nmの厚みのGe(ゲルマニウム)と、1μm厚みのSiOを交互に60μm厚みになるまで積層して作製している。0.6μmの波長で測定した性能指数αTE/αTM(TE波とTM波に対する消衰定数の比)は400近く、0.8μmの波長で測定した消光比は35dB、挿入損失は0.18dBであり、可視光に対して十分なものである。
【0086】
(5)反射型偏光子
住友3M株式会社が販売している。屈折率の異なる薄膜を、何百層も重ねて積層し、層間で反射・透過を繰り返し、偏光を取り出す。SとP偏光の内一方を反射して、一方を通過させるために、反射型という。全厚みは100μm程度である。吸収タイプに比較して、反射するので画像が明るく感じられる。また米国Moxtek社のアルミニウム細線を周期的に並べた、ワイヤグリッドタイプの反射型偏光子も有る。
【0087】
(6)偏光ビームスプリッター
光束を2本以上のビームに分割または合成する光学素子をビームスプリッターという。その中でも分岐された2光波の偏光方向が異なるように分割するものを偏光ビームスプリッターという。2個の直角プリズムを接着した面に誘電体多層膜コートしたものが一般的であり、P偏光成分は透過し、S偏光成分は90度反射するようになっている。透過率、反射率ともに98%以上のものが得られる。他には特殊なグレーティングを用いたようなものもある。
【0088】
(7)偏光プリズム
1軸性結晶は、光学軸方向に垂直に振動する常光線と光学軸を含む主断面内に振動方向をもつ異常光線では異なった屈折率をもつので、1軸性結晶はから切り出した2つのプリズムを組み合わせると、振動面の異なる光を分離する偏光子を作ることが出きる。ニコルプリズム、グラントムソンプリズム、グランフーコープリズム、グランテーラープリズム、ロションプリズム、ウォーラストンプリズムなどがある。
【0089】
(8)回折格子
回折格子はピッチを小さくしていけば、TE波とTM波の透過率が異なり、偏光子として機能する。偏光子とは呼ばないが機能は偏光子機能を有するので、本発明に偏光子として用いることが可能である。住友3M株式会社が販売している、薄膜を何層も重ねて作製した反射タイプ(SとP偏光の内一方を反射して、一方を通過させる)偏光子も用いることができる。
【0090】
他には、入射光を収束させるマイクロレンズアレイと、構造的に複屈折性を付与された高複屈折膜と、波長板が1つおきに等間隔に配列している偏光変換機能層とからなる高透過率偏光変換偏光子がある。これは本発明者が既に提案している(特開平10−348027号公報など)。複屈折膜の屈折率Δnは0.2以上で、薄膜で作製されS波とP波に分離する。このうちのどちらかの偏波を1/2波長板で偏光変換するものである。マイクロレンズアレイにはプラスチック製とガラス製等があるが、変形が容易なプラスチック製が選ばれる。薄い構造で、上記の偏光子等よりも吸収や反射が少ない為に、透過率が高く、本発明には好適である。いずれの偏光子を用いた場合でも、厚みは50〜150μmの中で選択される。
【0091】
【実施例】
以下に実施例によって詳しく説明するが、本願発明は以下で示す具体例によってその範囲が限定されるものではない。
【0092】
[実施例1]
50×50×1mmの石英基板の上に、図8に示すような配線を次のようにして形成した。なお、図8においては図6及び図7に図示したものと対応させるために、Y配線を横方向の配線で、また、X配線を縦方向の配線でそれぞれ示した。そして、図6、図7に示した配線形状とするよりも図8に示したような配線形状とすることにより、コイルで発生した磁界を磁気光学効果を有する層へ効率良く伝達することができる。また、このような構成にすると、テレビジョンで採用しているインターレース方式の画像生成方法の画像を表示する場合、忠実に表示をすることができる。
まず、石英基板を洗浄した後、スパッタ法を用いて1μmの厚みに金膜を形成した。ついで図3の内の横配線(X配線)を線幅10μm、線間隔が10μmとなるようにエッチングして形成した。四角形の辺の長さは100μmとした。配線領域は約10mmとした。次にこの上にスパッタ法を用いてSiOを約1μmの厚みで絶縁層として形成した。
【0093】
次いで磁気光学効果を有する透明磁性層としてCe置換希土類鉄ガーネット膜を銀反射膜の上に、スパッタ法を用いて作製した。Ce置換希土類鉄ガーネット膜の膜厚は100nm、基板温度は650℃、投入電力200W、ガス圧力は7.0Pa(Ar:O=9:1)であった。Ce置換希土類鉄ガーネット膜はX線回折法を用いて調べると結晶化しており、膜の組成はCeFe12であった。また、磁気光学効果測定装置(日本分光株製K250、ビーム径2mm角)で測定した500nmのファラデー回転角は2.2度/μmであった。VSMで磁界を膜面に垂直に印加して測定した保磁力は17 Oeであった。
【0094】
ついで電子線を用いてCrマスクを形成し、Ce置換希土類鉄ガーネット膜上にスピンコート法でレジストを形成し、露光した後、CFガスを用いてドライエッチング法によって図16に示すように、400nm周期で且つ幅が40nmの周期構造を形成した。ついでこの上にスパッタ法を用いてSiOを約1μmの厚みで絶縁層として形成した。
次いでスパッタ法を用いて、上記で作製したX配線の上に、縦配線(Y配線)を上記と同様にして形成した。X配線とY配線の各端子にはそれぞれ周期的に電流が流せるように電気回路を形成した。
【0095】
次いで該透明磁性膜上に市販の多ハロゲン偏光子を設け、偏光子層/Y配線層/磁気光学効果を有する層/X配線層/支持体という構成の空間光変調器を作製した。XとY配線に同時に同一電流(各270mA)をプラス方向に流して合成磁界が足し合わされる場合には、図3のほぼ中心部の磁界強度は約200 Oeであった。X配線には上から下へ100m秒づつ、Y配線には100m秒ずつ、スタートを同一にして電流を流した。この方法で特定の交点に磁界を発生することができた。磁気光学効果を有する層が磁化されて光が偏光子を通過して明るく見え、マイナス方向に逆向きに流した場合に、保磁力90 Oe以上の磁界が印加されて、偏光子を通過できずに黒く見えるように偏光軸を回転させて固定した。
【0096】
[実施例2]
実施例1と同様にして空間光変調器を作製した。X配線に電流を150mA流した場合には、各磁界発生部のZ部には保磁力相当の90 Oeの磁界が発生した。X配線には150mAをG−J、H−K、I−L・・・・・・・の順で100m秒づつ流し、Y配線には電流を70mA、150mA、210mAと3段階で同様に100m秒づつ流した。各電流値に対応して光透過率を変化させることができた。
【0097】
[実施例3]
実施例1と同様にして空間光変調器を作製した。X及びY配線に合計で電流を350および430mA流した場合には、各磁界発生部のZ部にはともに260、320 Oeの磁界が発生した。しかし磁気光学効果を有する層の磁化は増大せず、磁化が飽和していることがわかった。X及びY配線の合計電流がまず400mAとし各配線の交点(磁界発生部)を磁化した。ついで逆方向に400mAの電流を流して磁化した。この場合の磁界発生部に対応する部位のコントラスト比率は12であった。
次に電流を逆方向に400mA流した後に、これと同方向に200mAの電流を流して磁化した。逆方向に400mA流して飽和磁化した場合には、しない場合に比較してコントラスト比率は16%高く、再現性があったが、しない場合にはコントラスト比率率の再現性はなかった。
【0098】
[実施例4]
X配線の寸法を次のように変更した以外は実施例1と同様にして空間光変調器を作製した。磁界発生部の外形寸法を508μmとし、線幅や間隔は20μmとした。Y配線はX配線の約四分の1とし、XとY配線の周期を一致させて光スイッチを作製した。X配線の電流駆動周期を50m秒として、実施例1の磁界発生部の範囲を4分割して光透過率を制御することができ、4段階の階調性をえることができた。
【0099】
[実施例5]
実施例1のY配線の上に絶縁層を設け、更にその上に第二のX配線を実施例1と同様にして設けた。
磁化がほぼゼロに戻る初期磁化曲線の低磁界印加部分の影響を除くために、上記第二のX配線に40mAの定常的電流を流した。この電流方向は基板上にあらかじめ設けてあったXとY配線と常に同方向となるように設定した。XとY配線および第二のX配線の合計電流によって、保磁力以上になる点は他の実施例と同様である。この第二のX配線によって流す電流のために、XとY配線の電流値によらず、耐えず初期磁化曲線の低磁界印加部分の影響即ち比例性(直線性)が低い磁化強度を意識することなく除くことができる。
【0100】
[実施例6]
実施例5で作製した第二のX配線の代わりに、次のようにして高透磁率層を設けた他は実施例1と同様にして空間光変調器を作製した。透明高透磁率材料としてはFeZn1−xO(X=0.4)を用いた。酸化亜鉛の作製には硝酸亜鉛と還元剤となるジメチルアミンボランを含む水溶液を用いた。酸化亜鉛膜作製後鉄を含む水溶液に浸漬させることによって膜中の亜鉛を鉄と置換した。膜厚は約500nm、飽和磁化は110emu/cmで保磁力は60Oeであった。
X配線に電流を200mA流した場合には、各磁界発生部のZ部には実施例1の光スイッチでは130Oeの磁界が発生したが、透明高透磁率層を設けた場合には、163Oeと約25%大きな磁界強度が得られた。
【0101】
【発明の効果】
本発明の空間光変調器は光スイッチングを簡単な配線で可能としたので、低コストでかつ、例えば電子ペーパーのような大面積で、更にフレキシブルであり、その上薄い画像表示装置にも用いることができる。
以下、本発明(1)〜(21)についての効果を述べる。
【0102】
(1)本発明(1)〜(5)の効果
本発明(1)〜(5)の構成により、連続した磁性体の特定の一部分を強い磁界強度によって選択的に磁化し、明暗のコントラストが大きく光の強度を連続的に変調させることができる空間光変調器を得ることができる。
【0103】
(2)本発明6の効果
配線層を複数層から構成し、縦または横配線の内の1層によって形成された磁界発生部にあらかじめバイアス電流を流しておくようにしたので、電流値と磁化の大きさに線形性を持たせることができる。
【0104】
(3)本発明7の効果
いずれかの配線の磁界の強さを保磁力と同等程度の一定の値とする電流駆動手段をもちいることにより、他の配線の磁界を制御するのみで、配線の交点の磁界を保磁力以上とすることができる。
【0105】
(4)本発明8の効果
磁気光学効果を用い、縦と横の配線で画像表示を行う光スイッチにおいて、磁界発生部から発生する磁性体への磁界強度が、磁性体の保磁力以上としたので、大きな残留磁化の差異を得ることができ、磁気光学効果を有する層での偏光面の回転角を反転によって2倍に利用することもできて有効である。
【0106】
(5)本発明9の効果
縦または横配線によって形成された磁界発生部により発生する磁界強度の、両方を合わせた磁界強度が磁性体の飽和磁化以上となる強度にしたので、消し残しが懸念されることもなくなった。
【0107】
(6)本発明10の効果
縦または横配線によって形成された磁界発生部により発生する磁性体への磁界強度が異なり、いずれか一方の配線による磁界強度が、磁性体の保磁力と同等の磁界強度としたので、一方は反転と消去、もう一方は必要な磁化の大きさを与えることができ、画像濃度を変えて階調性を与えたりすることができるようになった。
【0108】
(7)本発明11の効果
縦方向の配線によって区画される領域の幅と横配線によって区画される領域の幅とがそれぞれ異なるようにしたので、発生磁界を集中させることができ、また目的により配線幅を変えて、一方は保磁力と同等磁界発生用とし、一方は飽和磁界発生用とするなどとしたり、またX配線によるコイル1つに対して、Y配線による複数コイルを対応させると、1つの画素を複数コイルで制御してカラー化や3D(立体画像)画像用として用いることもできる。
【0109】
(8)本発明12の効果
縦または横配線によって形成された磁界発生部により発生する磁界方向が正負の逆転をすることによって光をスイッチするようにしたので、偏光面の回転角を大きくとることができて、スイッチとしてのS/Nを大きく取れるようになった。
【0110】
(9)本発明13の効果
配線によって形成された磁界発生部に面して、透明な高透磁率層を配したので、同一電流値における磁界発生効率が向上して、装置の耐久性が向上し、省エネルギーとすることができた。
【0111】
(10)本発明14の効果
配線に流す電流値を変化させることにより、光強度を変調させるようにしたので、画像濃度を変えて階調性を与えたりすることができるようになった。
【0112】
(11)本発明15の効果
配線を金属で形成したので、電気抵抗が大幅に低減して装置の耐久性が向上し、省エネルギーとすることができる。また、配線の外観を黒色とすることにより画像が明瞭になるという効果がある。
【0113】
(12)本発明16の効果
本発明16の構成により、各画素毎の明暗表示を高いコントラストでできるので2値画像をくっきりと表示することができる。
(13)本発明17の効果
本発明17の構成により、各画素毎の明暗表示を高いコントラストでできるので2値画像をくっきりと表示することができるだけでなく、電光掲示板のような使い方や、変化の遅い画像表示の場面では電力消費を極端に少なくでき、静止画表示の場合には内容を書き換える以外では何も電力を必要としない。
(14)本発明18、20の効果
本発明18、20の構成により、各画素毎に諧調を制御できるので一般の諧調を持った画像を素直に表示することができる。
(15)本発明19、21、22の効果
本発明19、21、22の構成により、各画素毎に諧調を制御できるので一般の諧調を持った画像を素直に表示することができるだけでなく、変化の遅い画像表示の場面では電力消費を極端に少なくでき、静止画表示の場合には内容を書き換える以外では何も電力を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空間光変調器の層構成例を模式的に表す図である。
【図2】磁界発生層の(a)全体図、(b)配線の断面形状、(c)配線の正面図及び(d)配線部の部分拡大図をそれぞれ示す図である。
【図3】磁界発生層のX−Y配線を示す概略図である。
【図4】複数巻きコイルを磁界発生層の配線として用いた場合の例を示す図である。
【図5】本発明のX−Y配線を用いた画素選択法を説明するための図である。
【図6】磁界発生層の1巻コイルを駆動してON/OFF制御する方法を説明する図である。
【図7】磁界発生層の1巻コイルを駆動して中間調表示する方法を説明する図である。
【図8】磁界発生層の配線の具体的な形状の例を示す図である。
【図9】図6で示したラインドライバの詳細を示す図である。
【図10】ラインドライバの入力信号と出力信号との関係を示した真理値表である。
【図11】磁気光学効果を有する層にかけられた磁場の強さ(Hm)と偏光面回転角(θ)との関係を表す図である。
【図12】磁気光学効果を有する層の各磁区を制御する方法を説明するためのタイムチャートである。
【図13】図7中のアナログ増幅器Ampの具体的な回路構成を示す図である。
【図14】 図7中のアナログスイッチSy1、Sy2・・・Symの具体的な回路構成を示す図である。
【図15】磁気光学効果を有する層に用いる表面に周期構造を有する磁性体の一例を示す模式図である。
【図16】磁気光学効果を有する層に用いる表面に周期構造を有する磁性体の他の例を示す模式図である。
【符号の説明】

Claims (11)

  1. 少なくとも磁気光学効果を有する層と磁界発生層とを有する空間光変調器であって、磁気光学効果を有する層に複数の磁区を定義し、該磁界発生層は各磁区に対して磁界を与える縦方向配線を設けた配線層(縦配線層)と横方向配線を設けた配線層(横配線層)のそれぞれを少なくとも一層備えており、該配線のそれぞれに順方向あるいは逆方向に電流を供給したり停止したりする電流駆動手段を持っており、該磁界発生層は複数設けられ、磁気光学効果を有する層の両側に配置されていることを特徴とする空間光変調器。
  2. 前記縦配線層及び横配線層のそれぞれに磁界を与える配線を複数列配置してそれぞれに電流駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の空間光変調器。
  3. 磁界発生層が縦方向配線層/絶縁材/横方向配線層の層構造を有することを特徴とする請求項1又は2記載の空間光変調器。
  4. 縦方向配線層及び横方向配線層の数を3層以上としたことを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の空間光変調器。
  5. 配線層の内の一つにあらかじめバイアス電流を流しておくことを特徴とする請求項1〜のいずれかに空間光変調器。
  6. いずれかの配線に飽和磁界(h/2)以上で保磁力(h)未満の磁界の強さを磁気光学効果を有する層に生じるように電流を流す電流駆動手段を持つことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の空間光変調器。
  7. 配線によって形成された磁界発生部により発生する磁性体への磁界強度が磁性体の保磁力以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の空間光変調器。
  8. 配線によって形成された磁界発生部により発生する磁性体への磁界強度が磁性体の飽和磁化以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の空間光変調器。
  9. 縦方向配線と横方向配線の磁性体への磁界強度が異なり、いずれかの配線によって形成される実効磁界強度が磁性体の保磁力と同等程度であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の空間光変調器。
  10. 縦方向配線の間隔と横方向配線の間隔とが異なることを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載の空間光変調器。
  11. 配線に流す電流値を変化させることにより、光強度を変調させることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の空間光変調器。
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