JP3754557B2 - 磁気光学素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁化により光の偏光面が回転するファラデー効果を利用して画像表示等を行う磁気光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、基板面に垂直に磁化した磁性体において、磁化方向に対して平行に直線偏光を入射させた場合に、その直線偏光の偏光面は、磁性体を通過することにより回転することがファラデー効果として知られている。そして、そのファラデー効果を有する材料を用いて、磁気記録媒体、光変調素子等が作製されている。
ファラデー効果を有する材料を利用した磁気記録媒体や光変調素子等としては、例えば、特開昭56−15125号公報には、イットリウム及び希土類鉄ガーネットとその誘導体を用いた磁気記録媒体が示され、特開昭61−89605号公報には、六方晶フェライトを用いた磁気記録媒体が示され、特開昭62−119758号公報には、イットリウム鉄ガーネット粒子を用いた塗布型磁気記録媒体が示され、特開平4−132029号公報には、希土類鉄ガーネット微粒子を用いた塗布型磁気記録媒体が示されている。
上記した各公開公報に提案されている磁気記録媒体は、いずれも磁気光学素子の偏光面の回転角は小さく、各公開公報におけるように磁気記録媒体(メモリー)として用いる場合には十分な回転角を得ていたが、液晶ディスプレイ(LCD)のように、偏光子と組み合わせて十分なコントラストを得る画像表示素子としては、偏光面の回転角は不十分であった。
LCDのような画像表示素子に使用される磁気光学素子としては、数度以上の偏光面回転角が高透過率と共に得られれば、最低限の画像の表示は可能であるが、液晶ディスプレイ等に用いる画像のコントラストは十分とは言えなかった。具体例としては、希土類鉄ガーネットの場合、波長520nmでの偏光面回転角がピークを示し、7度程度(1μm厚)の偏光面の回転角であった。LCDのような偏光子と組み合わせたディスプレイにおいては、入力光の偏光面に対して出力光の偏光面が垂直になるように、磁気光学素子の偏光面回転角は90度が得られることが望ましいので、この7度程度の場合でも偏光子と組み合わせることによって画像を得ることはできるが、コントラストが十分とはいえない。
【0003】
又、ファラデー効果は、例えば、光の透過する磁性体の厚みを大きくする、即ち、光の透過する長さを長くすれば、その磁性体の厚みに比例して偏光面の回転角も増大するが、同時に、透過する長さが増えることにより光の透過率は低下する。従って、いたずらに磁性体の厚みを増やすことにより偏光面の回転角を増やすことはできない。
上記の偏光面の回転角と光の透過率の問題を解決するために、本発明者は、「溝構造とその上の透明磁性膜で構成された素子」に関する磁気光学素子について数件の特許出願を行った。
従来の本発明者による磁気光学素子は、透明基板上の溝構造と、その上の透明磁性膜で構成されており、その磁気光学素子の溝表面にほぼ垂直に入射する光は、巨大な磁気光学効果(磁化による光の偏光面の回転)を示す。そして、その磁気光学素子と偏光子層と組み合わせることにより、高コントラストが得られる画像表示デバイスを得ることができる。
例えば、本発明者による磁気光学素子は、透明基板上に溝構造を作製し、その上に透明磁性膜として100nm厚の鉄超微粒子膜を設けて巨大な磁気光学効果(ゼロガウスで20度程度、10Kガウスで60度程度)を示すことから、偏光子層と組み合わせて、高コントラストが得られる画像表示デバイスとして提示した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、透明磁性材料として一般的な希土類鉄ガーネットを、本発明者の従来の磁気光学素子における磁性体として用いた場合には、上記のように、回転角のピークを示す波長520nmにおいて偏光面回転角を増大することは困難であった。
本発明の目的は、磁気光学素子の磁性材料に特有なファラデー回転角のピーク波長における、ファラデー回転角を増大させると共に、可視光の透過率を上げ、コントラストが高い画像表示が可能なディスプレイ用の磁気光学素子を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的を達成するために、請求項1の本発明の磁気光学素子は、ファラデー効果を有する透明磁性体材料を透明基板上に配置して構成され、前記透明基板の表面と裏面の両面に偏光層が配置された表示装置に用いられる磁気光学素子であって、前記透明基板の一方の表面上に、前記透明磁性体材料から成る複数の細線を互いに平行になるように形成し、前記透明磁性体細線の各々の幅、及び、前記透明磁性体細線間の各々の間隔は、0.2〜2.0μmの等しい周期であり、前記透明磁性体細線の高さは、0.1〜5μmである透明磁性体材料を通過したピーク波長の光を干渉効果によってファラデー回転を増大させて可視光に対するコントラストを高めることを特徴とする。
請求項2の本発明は、請求項1の磁気光学素子において、前記透明磁性体細線は、直線状、且つ、相互に直交するように形成されて格子状を成すことを特徴とする。
請求項3の本発明は、請求項1の磁気光学素子において、前記透明磁性体細線は、同型状であるが異寸法の複数パターンが同心上に等しい間隔で繰り返すように形成された複合パターンとなるように形成され、該複合パターンは、更に、所定間隔毎に前記基板上に複数配置されるように形成され、前記磁性体細線の各々の幅、及び、各前記透明磁性体細線間の間隔は、0.2〜2.0μm、高さ0.1〜5μmであることを特徴とする。
請求項4の本発明は、請求項1〜3の何れか1項の磁気光学素子において、各前記透明磁性体細線間の間隙は、可視光に対して透明な材料によって埋められていることを特徴とする。請求項5の本発明は、請求項1〜4の何れか1項の磁気光学素子において、前記透明基板と前記透明磁性体材料との間に反射膜を設けたことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る磁気光学素子につき図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る磁気光学素子を用いた表示装置の一実施形態の側面図である。
図1の表示装置1は、磁気光学素子2の両面に偏光子3と4が配置されて構成されている。偏光子3と4の偏光面は、磁気光学素子によるファラデー回転角分だけ異なっている。透明基板5の上に透明磁性材料6により複数の細線が形成され、その間隙は空間7(又は透明材料で充填)である。図1の透明磁性材料6の内で、ハッチング表示されていないものは非磁化部位8を示し、ハッチングされているものは磁化部位9を示す。入射光10は、偏光子3により偏光方向が揃えられ、磁気光学素子2の非磁化部8ではファラデー回転されず、磁化部9ではファラデー回転され、偏光子4を通過できる部位とできない部位に分かれて出射光11として出力されるため、磁化部位9と非磁化部位8の画像表示が可能になる。
本実施形態の磁気光学素子2は、透明基板5の一方の表面に、直線状に0.2〜2.0μmの等しい間隔で、高さ0.1〜5μmの互いに平行な可視光に透明な複数の磁性体細線を形成した基本的な構成を有する。
この場合、光は磁気光学素子2を通過し、用いた透明磁性材料6のピーク波長のファラデー回転角が大きく増大する。この原理を以下に説明する。
透明磁性材料6のファラデー回転角のピーク波長の光は、透明磁性材料6を通過し、透明磁性材料6のない空間7(又は充填透明材料)を通過した光と干渉をおこす。
この現象は、透過型グレーティングに一般的に見られる現象である。干渉の結果として光の回折が生ずる。本実施形態の場合は、単なるグレーティングと異なり、透明磁性材料6を通過したピーク波長の光は、ファラデー回転をしている。この回転角は干渉効果によって増大する。
【0007】
又、図1には、上記の基本構成を有する磁気光学素子2の両面に、偏光子層3、4の2枚が接合するように配置されている。入射光10はこの偏光子3を通過した直線偏光となり、磁気光学素子2の磁化部位9を通過してファラデー回転をする。このため、あらかじめ偏光吸収面を回転して設けられた偏光子4を通過することが出来ず、磁化部位9の画像は暗くなる。非磁化部位8を通過した直線偏光は、そのまま偏光子4を通過することが出来る。従って、この非磁化部位8の画像は明るく見える。このため磁化部位9と非磁化部位8ではコントラストが生じる。
これらの原理は、透明磁性材料6により形成される細線が、格子状に交差して形成された場合にも適用できる。但し、細線、及び、細線間の寸法L1、L2が波長程度(0.2〜2.0μm)でなければならない。
これは、細線、及び、細線間の寸法が、波長程度(0.2〜2.0μm)より短くなるか長くなると、上述したような干渉によるファラデー回転角の増大効果がほとんど見られないためである。
また、透明磁性材料6により形成される細線の厚みHは、0.1μm〜5μmでなければならず、0.1μmより薄くなると、回転角が小さすぎて画像のコントラストが不十分であり、また、5μmより厚くては、光が透過せず画像が見えない。
【0008】
図2は、同一パターンが等しい間隔で繰り返す第2の実施形態を示す平面図である。
図2には、透明磁性材料6により形成される磁性体細線の幅及び間隔が0.2〜2.0μm、高さ0.1〜5μmの同一パターンが等しい間隔で繰り返す様子を示す。尚、図2では同形で異寸法の角形22〜24を同心上に形成したパターン21であるが、この角形は、丸であっても、楕円であっても良く、磁性体細線の幅及び間隔が周期的であれば形状は制限されない。
この図2の場合も、図1の場合と同様にファラデー効果の増大が生じる。このようにすると繰り返しパターンがない場所であるL5(パターン間隔)の幅の中では回折が生ずることなく、透過率が向上しているので、全体としても透過率は向上するし、また実際に目で見たコントラストが低下しないというメリットがある。
ところで、上記した本実施形態の基本構成において、磁性体細線の間は空隙である。これは、磁性体細線とその間において屈折率が異なることが、回折を生ぜしめるためには必要だからである。このことから、磁性体細線とその間の屈折率が異なればどちらの屈折率が大きくても良いことがわかるので、磁性体細線間に可視光に透明で、磁性体細線と屈折率が異なる材料を埋めることができる。この磁性体細線の間を埋めることにより、表面が平らになり、実用上扱いやすくなるというメリットが有る。
【0009】
図3は、基板上に反射膜を設け、その上に上記の各種透明磁性細線を設けた第3の実施形態を示した側面図である。
この図3の表示装置31の場合は、入射した光40は、一度、偏光子33、磁気光学素子32の透明磁性材料6にて形成された層を通過した後、基板34上に形成された反射膜35により反射して、再度、同一の透明磁性材料6の層を通過し、偏光子33を通過して出射する。透明磁性材料6の層(磁性膜)を2度通過するので、ファラデー回転角は2倍となりコントラストが向上して好ましい結果となる。
ここで、上記した本発明の実施形態に用いられる透明基板の材料について説明する。透明基板材料としては、石英ガラス、サファイア,結晶化透明ガラス、パイレックスガラス、Al2 O3 、MgO、BeO、ZrO2 、Y2 O3 、ThO2 ・CaO、GGG(ガドリニウム・ガリウム・ガーネット)等の無機透明材料や、MMA、PMMA、ポリカーボネート、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ABS樹脂、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、エポキシ樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、フッ素化ポリイミド、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ナイロン樹脂等の透明プラスチックフィルムが用いられる。この透明プラスチックフィルムを用いると、軽い、曲げやすい等の利点が有るので利用しやすい。
また、上記第3の実施形態で説明したように反射層を基板上に設ける場合は、基板材料は透明でなくても良く、各種の有機または無機材料を適宜用いることができ、反射層としては、PVD法で設けられたAl、Cu、Ag、Au、Pt、Rh、Al2 O3 、SiO2 、TeC、SeAs、TeAs、TiN、TaN、CrN等が用いることができる。
【0010】
偏光子層に用いる材料としては、各種の市販の偏光フィルムや、ビームスプリッターを用いた偏光変換素子等を用いることができる。偏光フィルムには大別して多ハロゲン偏光フィルム、染料偏光フィルム、金属偏光フィルム等がある。多ハロゲン偏光フィルムは、2色性物質にヨウ素を用いているために、可視領域全般についてフラットな特性を有するが、湿度、高温等に弱いという欠点を有する。また染料偏光フィルムは、偏光性能はヨウ素より劣るものの、熱、光、湿度に対して耐性が大きいという特徴を有している。偏光子層の露出面には、キズが付きやすいので保護膜を設けることが好ましい。本発明は、このような各種の偏光子も利用出来るが、これらに制限されるものではない。
透明磁性層の材料としては、従来から一般に用いられている磁気光学効果を示す透明磁性材料で良いが、ファラデー効果が大きくて、透明性の大きい所謂性能指数の大きい磁性材料が好ましい。例えば50nm以下の粒子径を有する、鉄、コバルト、Ni等強磁性金属の超微粒子膜が用いられる。この場合の金属超微粒子以外の膜組成としては、酸素、炭素等を挙げることができる。鉄、コバルト、Ni等強磁性金属は、大きな磁気光学効果を示すが、光の吸収も大きいためにそのままの薄膜では用いることができなかったが、超微粒子膜とすることにより薄膜で用いることができ、大きな性能指数を有するようになる。また、粒子径の制御によって、適当な保磁力を得ることができる。
その他に、希土類鉄ガーネットやコバルトフェライト、Baフェライト等の酸化物、FeBO3 、FeF3 、YFeO3 、NdFeO3 等の複屈折が大きな材料、MnBi、MnCuBi、PtCo等がある。
磁気光学効果は、光の進行方向とスピンの方向とが平行の場合に最も大きな効果が得られるので、これらの材料は膜面に垂直に磁気異方性を有する膜が好ましい。これらの透明磁性材料は、一般的なスパッタ法、真空蒸着、MBE等のPVD法やCVD法、メッキ法等が用いられる。
本実施形態の磁気光学素子は、基板上に透明磁性層を0.1〜5μmの厚さにして設け、該磁性層をフォトリソグラフィーを用いてエッチングすることで得ることができるが、電子線やイオンを用いて直接エッチングしたり、機械的に削りとる方法も使用が可能であり、特に上記の方法に制限されるものではない。
【0011】
以下に実施例によって詳しく説明する。
〈実施例1〉
(請求項1の本発明に対応する実施例)
1mm厚の石英基板の片面に、図1でH=0.65μmとなるように、スパッタ法を用いてBi置換希土類鉄ガーネットの透明磁性膜を作製した。ターゲット組成は、Bi2Gd1Fe3.8Al1.2O12であった。基板温度は、400℃として作製したのち、680℃で3時間空気中加熱した。VSMを用いて、膜に垂直に磁界を印加して測定した膜の保磁力は、600エールステッドで、また、ヒステリシスからは、強い垂直磁気異方性を有していることがわかった。
磁気旋光角度を測定すると、520nm付近に旋光角度のピークを有していた。波長を520nm、最大印加磁界10Kガウスとして、ファラデー回転角のヒステリシスを測定した。角型比は0.92で、ゼロガウスのファラデー回転角は4.2度であった。波長520nmの光の透過率は61%であった。
更に、この上にポジ型レジストを設けた。このレジスト上に電子線描画装置で作製したフォトマスクを配置し、UV光を用いて、図1におけるL1=L2=1.0μmとなるように露光した。
次いで、ウェットエッチング手法を用いて、上記レジスト層をエッチングし、更に、ガスを用いてBi置換希土類鉄ガーネット膜を、細線が並行に並んだパターンとなるようにエッチングした後、レジスト層を剥離して磁気光学素子を作製した。
このエッチング後の磁気旋光角度を測定すると、上記ベタ膜(全面均一膜厚)の時と同様に520nm付近に旋光角度のピークを有していた。波長を520nm、最大印加磁界10Kガウスとして、ファラデー回転角のヒステリシスを測定した。角型比は0.80で、ゼロガウスのファラデー回転角は8.3度であった。波長520nmの光の透過率は79%であった。
次いで、上記磁気光学素子の裏と表面に、市販の偏光子を接着した上から、表面磁束密度3Kガウスの永久磁石を先端に設けた磁気ペンで文字を書いた。文字のコントラストは3.4で明確に読むことが出来た。
上記ベタ膜(全面均一膜厚)の場合と、直線状透明磁性細線を等間隔に複数設けた本実施例の場合と比較すると、磁気旋光を示す角度に変化はないが、ゼロガウスのファラデー回転角は約2倍に向上し、波長520nmの光の透過率は18%向上した。
【0012】
〈実施例2〉
(請求項2の本発明に対応する実施例)
フォトマスクのパターンが、図4のように透明磁性体細線51が、直線状、且つ、相互に直交するように形成されて格子状を成すように作製した以外は、実施例1とまったく同様にして磁気光学素子を作製した。上記のように、図4は、直線状、且つ、相互に直交するように形成されて格子状を成すこと第4の実施形態を示す平面図である。L51=L52=L53=L54=1μmとした。厚みは実施例1と同じである。磁気旋光角度を測定すると、ベタ膜と同様に520nm付近に旋光角度のピークを有していた。波長を520nm、最大印加磁界10Kガウスとして、ファラデー回転角のヒステリシスを測定した。角型比は、0.77で、ゼロガウスのファラデー回転角は8.9度であった。波長520nmの光の透過率は73%であった。
次いで、実施例1と同様にして、磁気ペンで文字を書いた。文字のコントラストは3.0で明確に読むことが出来た。
【0013】
〈実施例3〉
(請求項3の本発明に対応する実施例)
フォトマスクのパターンが、図2のように磁性体細線の幅及び間隔が0.6μm、高さ0.65μmの同一パターンが、等しい間隔L5=2μmで繰り返すように設けた以外は、実施例1とまったく同様にして磁気光学素子を作製した。磁気旋光角度を測定すると、ベタ膜と同様に520nm付近に旋光角度のピークを有していた。波長を520nm、最大印加磁界10Kガウスとして、ファラデー回転角のヒステリシスを測定した。角型比は0.78で、ゼロガウスのファラデー回転角は9.6度であった。波長520nmの光の透過率は82%であった。
次いで実施例1と同様にして、磁気ペンで文字を書いた。文字のコントラストは4.1で明確に読むことが出来た。
〈実施例4〉
(請求項4の本発明に対応する実施例)
エッチングした透明磁性材料6による細線間に、Bi置換希土類鉄ガーネットの屈折率2.6より、小さい屈折率1.5を有するアセチルセルロースの、アセトン溶液を流し込み、乾燥させた以外は、実施例1とまったく同様にして磁気光学素子を作製した。磁気旋光角度を測定すると、ベタ膜と同様に520nm付近に旋光角度のピークを有していた。波長を520nm、最大印加磁界10Kガウスとして、ファラデー回転角のヒステリシスを測定した。角型比は0.76で、ゼロガウスのファラデー回転角は6.5度であった。波長520nmの光の透過率は88%であった。
次いで、実施例1と同様にして、磁気ペンで文字を書いた。文字のコントラストは2.4で低下したが、文字は明確に読むことが出来た。
【0014】
〈実施例5〉
(請求項5の本発明に対応する)
石英基板の片面上に真空蒸着法を用いて、250nmのアルミニウム膜を設け、その上に透明磁性材料6による細線を設けた以外は、実施例1とまったく同様にして磁気光学素子を作製した。反射光の磁気旋光角度を測定すると、ベタ膜と同様に520nm付近に旋光角度のピークを有していた。波長を520nm、最大印加磁界10Kガウスとして、ファラデー回転角のヒステリシスを測定した。角型比は0.76で、ゼロガウスのファラデー回転角は12.5度であった。
次いで、偏光子1枚を透明磁性層の上に接合した。実施例1と同様にして、偏光子の上から磁気ペンで文字を書いた。文字のコントラストは4.4で、明確に読むことが出来た。
【0015】
〈比較例1〉
(請求項1の本発明に対応する比較例)
実施例1で作製したべタ膜(全面均一膜厚)に、直線状透明磁性細線を等間隔に複数設けた本発明品と同様に偏光子を接合し、偏光子の上から磁気ペンで文字を書いた。文字のコントラストは2.0であり、実施例1の直線状透明磁性細線を等間隔に複数設けた本発明品の3.4に比較して大幅に低下した。
〈比較例2〉
(請求項2の本発明に対応する比較例)
実施例1で作製したべタ膜(全面均一膜厚)に偏光子を接合し、偏光子の上から磁気ペンで書いた文字のコントラストは2.0であり、該べタ膜を用いて透明磁性細線が格子状に直交(図4)するように作製した本発明品(実施例2)のコントラスト3.0に比較して、大幅に低下した。
〈比較例3〉
(請求項3の本発明に対応する比較例)
実施例1で作製したべタ膜(全面均一膜厚)に偏光子を接合し、偏光子の上から磁気ペンで書いた文字のコントラストは2.0であり、フォトマスクのパターンが、磁性体細線の幅及び間隔が0.6μm、高さ0.65μmの同一パターン(図2)が、等しい間隔L5=2で繰り返すように設けて作製した本発明品(実施例3)の、コントラスト4.1に比較して大幅に低下した。
【0016】
〈比較例4〉
(請求項4の本発明に対応する比較例)
実施例1で作製したべタ膜(全面均一膜厚)に偏光子を接合し、偏光子の上から磁気ペンで書いた文字のコントラストは2.0であり、磁性体細線間が可視光に透明な材料アセチルセルロースによって埋められている本発明品(実施例4)の、コントラストは2.4であり、大きな変化はなかった。しかし波長520nmの光の透過率は88%であり、ベタ膜の61%に比較して大幅に向上した。
〈比較例5〉
(請求項5の本発明に対応する比較例)
石英基板の片面上に真空蒸着法を用いて、250nmのアルミニウム膜を設けた上に、Bi置換希土類鉄ガーネット膜を設け、細線が並行に並んだパターンとなるようにエッチングした実施例5の磁気光学素子のコントラスト4.4に比較して、250nmのアルミニウム膜を設けなかった実施例1の磁気光学素子のコントラストは、3.4であり、基板上に反射膜を設ける効果は明らかである。尚、本実施形態による磁気光学素子は、表示装置に用いるものとして説明したが、上記の効果を利用して、例えば、磁気ヘッドを用いて記録再生する高密度磁気メモリーとしても用いることができる。
【0017】
【発明の効果】
上記のように、請求項1の本発明の磁気光学素子によれば、透明基板の一方の表面に、幅と間隔が等しい周期で、高さは制限して、互いに平行になるように、透明磁性細線を複数形成したので、ファラデー回転角および透明性を向上させることができた。
請求項2の本発明では、請求項1の磁気光学素子において、磁性体細線が相互に直交して格子状になるように設けたので、ファラデー回転角および透明性が向上し、画像コントラストを向上させることができた。
請求項3の本発明では、請求項1の磁気光学素子において、磁性体細線の同一パターンが、等しい間隔で繰り返すように設けたので、ファラデー回転角および透明性が向上し、画像コントラストを向上させることができた。
請求項4の本発明では、請求項1〜3の何れか1項の磁気光学素子において、磁性体細線間を可視光に透明な材料によって埋めたので、ファラデー回転角および透明性が向上し、画像コントラストを向上させることができた。
請求項5の本発明では、請求項1〜4の何れか1項の磁気光学素子において、基板上に反射膜を設けたので、ファラデー回転角および透明性が向上し、画像コントラストを向上させることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気光学素子を用いた表示装置の一実施形態の側面図である。
【図2】同一パターンが等しい間隔で繰り返す第2の実施形態を示す平面図である。
【図3】基板上に反射膜を設け、その上に上記の各種透明磁性細線を設けた第3の実施形態を示した側面図である。
【図4】直線状、且つ、相互に直交するように形成されて格子状を成す第4の実施形態を示す平面図である。
【符号の説明】
1、31・・・表示装置、2、32・・・磁気光学素子、3、4、33・・・偏光子、5、34・・・透明基板、6、36・・・透明磁性材料(細線)、7、37・・・空間(又は充填透明材料)、8・・・透明磁性材料の非磁性部位、9・・・透明磁性材料の磁性部位、10、40・・・入射光、11、41・・・出射光、21・・・パターン、22〜24・・・角形、34・・・基板、51・・・透明磁性体細線、H・・・細線厚み、L1、L51、L54・・・細線寸法、L2、L52、L53・・・細線間寸法、L5パターン・・・間隔細線
Claims (5)
- ファラデー効果を有する透明磁性体材料を透明基板上に配置して構成され、
前記透明基板の表面と裏面の両面に偏光層が配置された表示装置に用いられる磁気光学素子であって、前記透明基板の一方の表面上に、前記透明磁性体材料から成る複数の細線を互いに平行になるように形成し、前記透明磁性体細線の各々の幅、及び、前記透明磁性体細線間の各々の間隔は、0.2〜2.0μmの等しい周期であり、前記透明磁性体細線の高さは、0.1〜5μmである透明磁性体材料を通過したピーク波長の光を干渉効果によってファラデー回転を増大させて可視光に対するコントラストを高めることを特徴とするディスプレイ用の磁気光学素子。 - 前記透明磁性体細線は、直線状、且つ、相互に直交するように形成されて格子状を成すことを特徴とする請求項1に記載の磁気光学素子。
- 前記透明磁性体細線は、同型状であるが異寸法の複数パターンが同心円状に等しい間隔で繰り返すように形成された複合パターンとなるように構成され、該複合パターンは、更に、所定間隔毎に前記基板上に複数配置されるように構成され、前記磁性体細線の各々の幅、及び、各前記透明磁性体細線間の間隔は、0.2〜2.0μm、高さ0.1〜5μmであることを特徴とする請求項1に記載の磁気光学素子。
- 各前記透明磁性体細線間の間隙は、可視光に対して透明な材料によって埋められていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の磁気光学素子。
- 前記透明基板と前記透明磁性体材料との間に反射膜を設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の磁気光学素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10863998A JP3754557B2 (ja) | 1998-04-03 | 1998-04-03 | 磁気光学素子 |
Applications Claiming Priority (1)
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