JP7208841B2 - 空間光変調器およびホログラフィ装置 - Google Patents

空間光変調器およびホログラフィ装置 Download PDF

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Description

本発明は、入射した光を磁気光学効果により光の位相や振幅等を空間的に変調して出射する空間光変調器、およびこの空間光変調器を用いたホログラフィ装置に関する。
空間光変調器は、画素として光学素子(光変調素子)を用い、これをマトリクス状に2次元配列して光の位相や振幅等を空間的に変調するものであって、ディスプレイ技術や記録技術等の分野で広く利用されている。その一つとして、干渉縞を記録するホログラムに空間光変調器を用いることによって所望の立体像を再生する電子ホログラフィ装置がある。電子ホログラフィ装置(以下、ホログラフィ装置)においては、画素(ピッチ)が再生光の波長に対して大きいほど視域角が狭くなる。そのため、使用される空間光変調器は、従来、半導体素子を搭載した可動式の微小鏡面をアレイ状に配置したDMD(Digital Micromirror Device)や液晶が適用されていたが(例えば、特許文献1~3)、近年では画素のいっそうの微細化が容易で、さらに立体像を動画で再生するために、高速処理の可能性が期待される磁気光学材料を用いた磁気光学式空間光変調器の開発が進められている。
磁気光学式空間光変調器においては、磁性体に入射した光が透過または反射する際にその偏光の向きを変化(旋光)させて出射するファラデー効果(反射の場合はカー効果)を利用している。すなわち磁気光学式空間光変調器(以下、適宜、空間光変調器)は、磁性膜を備える光変調素子の磁化方向を画素毎に異なる向きに変化させて、それぞれの磁化方向の光変調素子によって、偏光の向きの異なる光に変調され、出射光のうちの特定の向きの偏光の光を偏光フィルタで取り出す。このような磁気光学式空間光変調器に搭載される光変調素子の磁化方向を変化させる方法として、光変調素子にその周囲に設けられた配線に供給される電流で発生させた磁界を印加する磁界印加方式(例えば、特許文献4)や、光変調素子にその上下に接続した一対の電極(配線)から電流を供給することによりスピンを注入するスピン注入磁化反転方式(例えば、特許文献5)がある。さらに、スピン注入磁化反転方式の変形といえる磁壁移動方式の空間光変調器(例えば、特許文献6)がある。
特許文献6に記載された磁壁移動方式の空間光変調器は、特許文献4,5に記載された、画素毎に分離した磁性膜(光変調素子)を2次元配列した空間光変調器と異なり、細線状の磁性体(磁性細線)を並設して、磁性細線のそれぞれを一列に連続して配列した光変調素子とする。幅300nm程度以下の磁性細線は、細線方向に区切るように磁区が生成し易く、そして、両端を電源に接続して直流電流を供給されると、その逆方向に注入される電子のスピンによって磁区同士を仕切る磁壁が移動するため、すべての磁区がシフト移動する。磁壁移動方式の空間光変調器においては、磁性細線の一端近傍で所望の磁化方向に生成した磁区を、電流供給によって所定の画素の位置まで移動させて、磁性細線に一列に配列されたすべての画素のそれぞれを所望の磁化方向にする。そのため、特許文献4,5に記載された磁気光学式空間光変調器のように画素毎に配線を設ける必要がなく、さらに磁性細線の細線方向においては光変調素子同士の間の間隙がないので、画素の開口率(光を変調させる有効領域)を特に高くすることができる。
これらの磁気光学式空間光変調器は、単色光の明暗を表示する。そこで、空間光変調器、特に磁気光学式空間光変調器を使用したカラーホログラフィ装置は、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色のレーザー光毎の専用の空間光変調器を備えて、これら3枚の空間光変調器からの各出射光を一つに合成する3枚方式(例えば、特許文献1)や、1フレームの時間を3分割して、各色のレーザー光を交互に1枚の空間光変調器へ入射し、同期してこの空間光変調器の画素の明暗を赤色用、緑色用、青色用に切り替える時分割方式(例えば、特許文献2,3)でフルカラー表示を実現している。
特許第4963477号公報 特許第5811570号公報 特開2012-242513号公報 特開2009-115916号公報 特許第5054636号公報 特許第5782334号公報
特許文献1に記載された3枚方式によるホログラフィ装置は、3枚の空間光変調器が各色のレーザー光を個別に入射され、かつそれぞれの出射光を重ね合わせるために、3枚の空間光変調器が互いに離間して配置されたり、反射鏡等の光学系を多数備えるために、構造が複雑になり、大型化する。特許文献2,3に記載された時分割方式によるホログラフィ装置は、時分割により、再生像が、光量の少ない暗いものになり、色調の不意の変化やぼやけ等を生じ易い。また、時分割方式によるホログラフィ装置は、特に高速応答のスピン注入磁化反転方式の空間光変調器であっても、フレームレートの高速化が困難である。
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、明るく鮮明な像を再生することができ、高フレームレート化が容易で、大型化しないフルカラーホログラフィ装置を構成することのできる、磁気光学式単板型フルカラー空間光変調器を提供することを課題とする。
本発明者らは、特許文献4~6に記載されている磁気光学式空間光変調器の中でも、特に画素の微細化が容易な上、画素毎の配線(電極)の不要な磁壁移動方式の空間光変調器を適用することで、この空間光変調器に光を色(波長域)によって選択的に反射、透過させることに想到した。
本発明に係る空間光変調器は、複数の波長域の光を入射光とし、画素がx方向とy方向とに二次元配列した画素アレイを前記入射光の入射方向に複数重ねて備え、前記入射光の偏光方向を前記波長域毎に2値の角度に変化させて反射して出射するものであり、前記画素アレイのそれぞれが、x方向に延伸した磁性細線を並設して前記磁性細線のそれぞれにその細線方向に一列に配列した画素が区画され、前記入射光における互いに異なる固有の波長域の光を前記磁性細線によって旋光して反射する。そして、この空間光変調器は、前記画素アレイのそれぞれが、前記固有の波長域の中心波長の定数倍のピッチで前記磁性細線を並設していることを特徴とする。または、空間光変調器は、前記画素アレイのそれぞれにおいて、前記画素のx方向長が前記固有の波長域の中心波長の定数倍であり、前記磁性細線が、前記画素のそれぞれがさらに細線方向に2つに区画されてその同じ側の1つの領域において前記2値の角度の所定の一方に旋光することを特徴とする。
かかる構成により、空間光変調器は、一列に配列した画素が磁性細線で構成された画素アレイを備えるので、画素の微細化が容易で、また、画素毎の配線がなく、複数の波長域の光を個別に光変調させる画素アレイを重ねて配置することができて小型なものとなり、また、画素アレイ毎に光の波長に対応した画素ピッチであるため、出射光の視域角が揃ったものとなる。
本発明に係るホログラフィ装置は、前記空間光変調器と、その画素アレイの磁性細線を前記画素の一つとして2値の磁化方向にする磁化手段と、前記磁性細線に当該磁性細線に生成している磁区を細線方向に移動させるパルス電流を供給する電流供給手段と、前記空間光変調器へ複数の波長域の光を照射する多波長光源と、前記空間光変調器からの出射光が入射する偏光フィルタと、を備える。
かかる構成により、ホログラフィ装置は、空間光変調器に複数の波長域の光をまとめて同時に入射することができ、かつ出射光も略同一の光路であるので、構造が複雑でなく、大型化しない。
本発明に係る空間光変調器によれば、高フレームレートで、明るく鮮明なフルカラーの像を、広い視域角で表示することが可能な小型なホログラフィ装置が得られる。本発明に係るホログラフィ装置によれば、高フレームレートで、明るく鮮明なフルカラーの像を、広い視域角で表示することができる。
本発明に係る空間光変調器の構造を説明する模式図である。 本発明の第1実施形態に係る空間光変調器の構造を模式的に説明する斜視断 面図である。 図2に示す空間光変調器のY方向から見た側面図である。 本発明に係る空間光変調器の磁性細線の動作を模式的に説明するための、画 素アレイの外観図である。 本発明に係るホログラフィ装置の構造を説明する模式図である。 本発明の第1実施形態に係る空間光変調器における光路を模式的に説明する ための、YZ面での部分断面図である。 本発明の第1実施形態に係る空間光変調器による光変調動作および立体像の 再生を模式的に説明するための、画素アレイのYZ面での断面図である。 本発明の第1実施形態の変形例に係る空間光変調器を構成する単色空間光変 調器の構造を模式的に説明する一部切欠き斜視断面図である。 本発明の第2実施形態に係る空間光変調器の構造を模式的に説明する斜視断 面図である。 図10に示す空間光変調器のY方向から見た側面図である。 本発明の第2実施形態に係る空間光変調器における光路を模式的に説明す るための、YZ面での部分断面図である。 本発明の第2実施形態に係る空間光変調器による光変調動作および立体像 の再生を模式的に説明するための、画素アレイのXZ面での断面図である。
本発明に係る空間光変調器およびホログラフィ装置を実施するための形態について、図を参照して説明する。図面に示す空間光変調器およびその要素は、説明を明確にするために、大きさや位置関係等を誇張していることや、形状を単純化していることがあり、また、複数個設けられた要素については個数を少なくしていることかある。
〔空間光変調器〕
本発明に係る空間光変調器は、一面に光を入射されて反射させて同じ面から光を出射する反射型の空間光変調器であり、画素毎に、入射光の偏光方向を2値の角度に変化(旋光)させて出射する。画素とは、空間光変調器による表示の最小単位での情報(明/暗)を表示する手段を指す。さらに、本発明に係る空間光変調器は、複数の波長域の光を入射されて、波長域毎に旋光した光を出射するものである。このような空間光変調器は、後記するように、ホログラフィ装置の表示デバイスとして使用され、フルカラーの立体像の表示を可能とする。以下、本発明に係る空間光変調器の実施形態を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態に係る空間光変調器10は、図1に示すように、光LWiを入射される側から順に、第1層空間光変調器11、第2層空間光変調器12、および第3層空間光変調器13(適宜まとめて、単色空間光変調器11,12,13)を重ねて備える。単色空間光変調器11,12,13のそれぞれは、水平(H)方向と垂直(V)方向とに画素を二次元配列した画素アレイを有し、この画素アレイを設けられた領域を画素領域IA1,IA2,IA3と称する。空間光変調器10は、単色空間光変調器11,12,13の画素数が多いほど高精細な像を再生することができ、一例として、それぞれ画素を1920(H)×1080(V)で配列する。
入射光LWiは波長域の異なる3つの光LBi,LGi,LRiを含み、空間光変調器10に入射した光LBiは、反射して、偏光の向きが画素毎に2通りに変化した光LBoとなって出射する。同様に、空間光変調器10に入射した光LGi,LRiは、それぞれ光LGo,LRoとなって出射する。本明細書および図面においては、光LBiと光LBoについて、偏光の向き(偏光成分)を特定しない場合等に光LBと称する。同様に、光LGiと光LGoを光LG、光LRiと光LRoを光LR、とそれぞれ称する。また、入射光LBi,LGi,LRiについて、波長を特定しない場合等に入射光Liと称する。同様に、出射光LBo,LGo,LRoを出射光Loと称する。
光LB,LG,LRは、この順に波長が短く、また、それぞれの波長域が互いに重複しないものとする。ここでは、光LBが中心波長λB=408nmの青色光、光LGが中心波長λG=530nmの緑色光、光LRが中心波長λR=708nmの赤色光とする。なお、本願において、中心波長とは、その波長域に含まれる値であればよく、光量の最も多い波長(ピーク波長)であることが好ましい。
単色空間光変調器11,12,13は、それぞれ、単色光LB,LG,LRの空間光変調器である。空間光変調器10の最上層に設けられた第1層空間光変調器11は、画素領域IA1において、入射した光LBiの偏光の向きを所定の2値の角度に回転させた光LBoに変調して反射する。第1層空間光変調器11と第3層空間光変調器13の間に設けられている第2層空間光変調器12は、画素領域IA2において、入射した光LGiの偏光の向きを所定の2値の角度に回転させた光LGoに変調して反射する。空間光変調器10の最下層に設けられた第3層空間光変調器13は、画素領域IA3において、入射した光LRiの偏光の向きを所定の2値の角度に回転させた光LRoに変調して反射する。また、第1層空間光変調器11は光LG,LRを透過してかつ変調させず、第2層空間光変調器12は光LRを透過してかつ変調させない。空間光変調器10においては、下(光LWiを入射される側から遠い側)に設けられている第3層空間光変調器13が、媒体に比較的深く進入し易い長波長の光LRを変調させる構造とすることで、光LB,LG,LRの減衰が抑制される。以下、単色空間光変調器11,12,13の各要素について説明する。
図2および図3に示すように、第1層空間光変調器11は、基板61、基板61上にピッチp1yで並設されたX方向に延伸する磁性細線41、磁性細線41毎にその両端に接続する電極51nと電極51p(適宜まとめて、電極51)、および磁性細線41,41間を埋める絶縁層64を備える。第2層空間光変調器12は、基板62、基板62上にピッチp2yで並設されたX方向に延伸する磁性細線42、磁性細線42毎にその両端に接続する電極52nと電極52p(図示省略、適宜まとめて、電極52)、および磁性細線42,42間を埋める絶縁層64を備える。第3層空間光変調器13は、基板63、基板63上にピッチp3yで並設されたX方向に延伸する磁性細線43、磁性細線43毎にその両端に接続する電極53nと電極53p(図示省略、適宜まとめて、電極53)、および磁性細線43,43間を埋める絶縁層64を備える。単色空間光変調器11,12,13は、磁性細線41,42,43を、画素アレイのY方向における画素数と同数本備え、例えばY方向の画素数1920に設計する場合には、各1920本備える。なお、図2では、簡潔に表すために、磁性細線41,42,43を各16本備える構成で例示される。また、図2および図3では、絶縁層64は透明として、輪郭線のみを破線で表す。
空間光変調器10において、X,Y方向は、画素の配列方向であり、表示デバイスとしたときに、一方が水平(H)方向、他方が垂直(V)方向となる(図1参照)。本実施形態においては、X方向すなわち磁性細線41,42,43の細線方向を垂直方向にすることが好ましい。また、単色空間光変調器11,12,13の積層方向であるZ方向(上下方向)は、奥行き(D)方向となる。なお、光LWiを入射される側を上として説明する。
単色空間光変調器11,12,13は、平面(XY面を指す)視における寸法を除いて概ね同じ構造であり、特定しない場合に単色空間光変調器1と称する。そして、磁性細線41,42,43の単色空間光変調器1に設けられたものを磁性細線4と称し、その幅W1,W2,W3をW、ピッチすなわち画素のY方向長p1y,p2y,p3yをpy、また、画素のX方向長p1x,p2x,p3xをpxと称する。同様に、電極51n,52n,53nを電極5n、電極51p,52p,53pを電極5p、基板61,62,63を基板6、画素領域IA1,IA2,IA3を画素領域IAとそれぞれ称する。
図2、図3、および図4に示すように、磁性細線4(41,42,43)は、X方向に沿った直線状に成形された磁性体であり、磁区が細線方向に分割されて生成することにより、1本が画素アレイのX方向における1列に配列された複数の画素(光変調素子)を構成する。例えばX方向の画素数1080に設計する場合には、磁性細線41,42,43はそれぞれ、細線方向に画素を1080個連続して備える。なお、図4では、簡潔に表すために、単色空間光変調器1について、磁性細線4および電極5n,5pのみを示す。また、図3および図4では、磁性細線4(41,42,43)内に付した矢印は磁化方向を表し、さらに、磁化方向の異なる磁区を網掛けの有無で表す。磁性細線4は、前記複数の画素(画素列と称する)を構成する領域と、画素列の外側の、電極5nに接続した側の書込領域4w(41w,42w,43w)と、両端の電極5n,5pに接続した領域とを有する。書込領域4wは、細線方向(X方向)における磁区の最小長さlc以上の磁区であり、単色空間光変調器1において、ここでは図4に示すように、X方向における位置を揃えて設けられる。最小長さlcは、書込みの単位長であり、画素のX方向長pxに設定される(lc=px)。
磁性細線4は、単色空間光変調器1が変調する波長域の光に磁気光学効果を示すように、幅Wが前記光の半波長λ/2以上に設計される。一方で、磁性細線4は、細線方向のみに磁区が分割され易いように、厚さ(膜厚)が70nm程度以下であることが好ましく、幅Wが300nm程度以下であることが好ましい。さらに、磁性細線4は、細線方向のみに磁区を分割され易いように、磁区の最小長さlcすなわち画素長pxに対して幅Wが大き過ぎないことが好ましく、具体的には、幅Wが2px以下であることが好ましく、px以下であることがより好ましい。ただし、このような寸法でなくても、磁性細線4は、予め外部磁界を印加されることによって、細線方向のみに磁区が分割された状態にすることができる。また、隣り合う磁性細線4,4同士は、間隙を、互いの磁化の影響を受け難い程度に空けることが好ましい。さらに後記するように、磁性細線4(41,42,43)の幅Wおよびピッチpyは、単色空間光変調器11,12,13でそれぞれ固有の値に設計される。また、磁性細線4は、旋光角(カー回転角)を大きくして反射させるために、材料にもよるが、厚さ4nm以上であることが好ましい。一方で、第1、第2層空間光変調器11,12の磁性細線41,42は、後記するように一部の波長域の光を透過し易いように、厚さ30nm以下であることがより好ましく、20nm以下であることがさらに好ましい。
磁性細線4は、公知の強磁性材料を適用することができ、垂直磁気異方性材料であることが好ましく、さらに磁気光学効果(カー効果)の高い材料であることが好ましい。このような材料として、例えば、Co/Pd多層膜のような遷移金属とPd,Pt,Cuとを繰り返し積層した多層膜、ならびに、Tb-Fe-Co,Gd-Fe等の希土類金属と遷移金属との合金(RE-TM合金)またはTb/Co多層膜のような多層膜が挙げられる。磁性細線4はさらに、最上層に強磁性材料の酸化等を防止するための保護膜、最下層に密着性を確保するための下地膜を、Ru,Ta,Cu,Pt,Au,W等の厚さ1~10nmの非磁性金属膜で備えてもよい(図示せず)。あるいは磁性細線4は、保護膜や下地膜にMgO,SiO2,Si34等の光を透過する絶縁膜を適用してもよく、ただし、電極5n,5pと接続する界面においては除去される。磁性細線4は、これらの材料をスパッタリング法等の公知の方法により連続して成膜し、フォトリソグラフィ、エッチング、リフトオフ、化学機械研磨(CMP)法、ダマシン法等を用いて、細線形状に成形されてなる。
磁性細線4は、書込領域4wにおいて、この領域に限定して所望の磁化方向に磁化手段8によって変化させる(磁化する)ために、磁化方法(書込方式)に対応した構造とする。具体的には、図4に示すように、書込領域4wに対向させた磁化手段8の磁気ヘッドから磁界MFを垂直に印加されるように、磁性細線4の下側(磁化手段8を対向させる側の反対側)に非磁性層を介して軟磁性層が設けられた積層構造とする(特許文献6参照)。
さらに、磁性細線41は、第1層空間光変調器11が変調する波長域の光LBについて、反射率および磁気光学効果が高いことが好ましく、また、光LBよりも長波長域の光LG,LRについて透過率が高いことが好ましく、このような光学的特性が得られるように材料や厚さを選択する。同様に、磁性細線42は、第2層空間光変調器12が変調する波長域の光LGについて反射率および磁気光学効果が高いことが好ましく、また、光LGよりも長波長域の光LRについて透過率が高いことが好ましい。そして、磁性細線43は、第3層空間光変調器13が変調する波長域の光LRについて反射率および磁気光学効果が高いことが好ましい。磁性細線41,42,43は、反射率および透過率を、磁性体のみの材料や厚さによらず、例えば下地膜の材料によっても制御することができる。磁性細線41による光LBのカー回転角をθk1、磁性細線42による光LGのカー回転角をθk2、磁性細線43による光LRのカー回転角をθk3と表し、θk1,θk2,θk3のいずれかを特定しない場合にカー回転角θkと称する。
電極5nと電極5pは、外部の電源(パルス電流源7)から磁性細線4に電流を細線方向に供給するために、磁性細線4の端子として一端と他端に接続する。電極5nはパルス電流源7の負極に、電極5pは正極に、それぞれ接続される。図4では、電極5n,5pは磁性細線4の両端近傍の上面に接続しているが、これに限られず、例えば下面に接続してもよい。電極5n,5pは、Cu,Al,Au,Ag,Ta,Cr,Co等の金属やその合金のような一般的な金属電極材料で形成される。なお、電極51,52,53は、同一の材料や寸法でなくてよく、接続する磁性細線41,42,43の幅W等に合わせて設計することができる。
基板6は、磁性細線4を形成するための土台である。基板6は、公知の基板材料が適用でき、光の反射率の低い材料が好ましく、基板61,62についてはさらに光の透過率の高い材料が好ましい。具体的には、SiO2(酸化ケイ素、ガラス)、MgO(酸化マグネシウム)、サファイア、GGG(ガドリニウムガリウムガーネット)、SiC(シリコンカーバイド)、Ge(ゲルマニウム)単結晶基板の他、各種透明プラスチック基板等が挙げられる。なお、基板61,62,63は、同一の材料や厚さでなくてよい。具体的には、最下層の基板63は、光を透過しなくてもよいので空間光変調器10全体を平坦に支持するような十分な厚さとして、磁性細線41,42間、磁性細線42,43間の各層間に設けられる基板61,62が、光を十分に透過するように薄肉化したものとすることができる。また、基板61は光LG,LRの透過率が高ければよく、基板62は光LRの透過率が高ければよい。
絶縁層64は、基板6上に磁性細線4と共に設けられて、隣り合う磁性細線4,4間を絶縁し、また、磁性細線4の側面および上面を保護する。図2および図3では、絶縁層64は、磁性細線4およびその上に接続する電極5n,5pの合計の厚さに設けられて、電極5n,5pの上面を露出させている。なお、書込領域4wにおいては、書込方式に応じて、磁性細線4と磁化手段8の磁気ヘッドとの距離が適切な範囲となるように、絶縁層64の厚さを設計することが好ましい。絶縁層64は、公知の無機絶縁材料が適用でき、さらに光(光LB,LG,LR)の透過率の高い材料が好ましく、具体的には、SiO2やAl23等の酸化膜やSi34やMgF2等が挙げられる。また、絶縁層64は、屈折率が基板6と同一またはそれに近いことが好ましい。このような材料を選択することで、隣り合う磁性細線4,4間を進行する光LB,LG,LRが絶縁層64と基板6の界面で反射し難く、光変調されない光Liが出射されることを抑制する。また、磁性細線4,4間においては、絶縁層64に代えて基板6が設けられるように、基板6を加工して形成された平行な直線状の溝に磁性細線4が埋め込まれてもよい。絶縁層64は、基板6と同様、単色空間光変調器11,12,13で同一の材料や厚さでなくてよい。例えば、第2層空間光変調器12の絶縁層64は光LG,LRの透過率が高ければよく、第3層空間光変調器13の絶縁層64は光LRの透過率が高ければよい。
空間光変調器10は、図3に示すように、第1層空間光変調器11、第2層空間光変調器12、第3層空間光変調器13の順にX方向長が長くなるように設計され、X方向両端が階段状に形成される。すなわち、第2、第3層空間光変調器12,13は、上層の第1、第2層空間光変調器11,12と比較して、画素領域IA2,IA3に対してX方向に外側へ張り出して大きく形成される。空間光変調器10は、このような構造によって、最上層の第1層空間光変調器11の磁性細線41の両端に接続した電極51だけでなく、その下の、第2層空間光変調器12の電極52および第3層空間光変調器13の電極53が、上面に露出して外部の電源(パルス電流源7)と接続することができる。さらに、磁性細線42の書込領域42w、磁性細線43の書込領域43wも、その上の第1、第2層空間光変調器11,12(基板61,62)のX方向外側に配置されて、上に絶縁層64のみが設けられているので、同じく外部の磁化手段8を対向させて磁界を印加されることができる。また、第1層空間光変調器11は、下層の第2、第3層空間光変調器12,13の画素領域IA2,IA3に入出射する光LGi,LGoおよび光LRi,LRoを磁化手段8や電極51で遮らないように、書込領域41wの位置および磁性細線41の長さを設計する。同様に、第2層空間光変調器12は、第3層空間光変調器13の画素領域IA3に入出射する光LRi,LRoを遮らないように、書込領域42wの位置および磁性細線42の長さを設計する。
また、後記するように、磁性細線41,42,43は、ピッチp1y,p2y,p3yと波長λB,λG,λRの比が等しくなるように並設される。したがって、ピッチp1y,p2y,p3yの順に長くなり、すなわち、Y方向長が画素領域IA1,IA2,IA3の順に長くなる。ただし、基板61,62,63は、最長の画素領域IA3に合わせて同じY方向長に形成されている。また、画素領域IA1,IA2,IA3からの出射光LBo,LGo,LRoの各中心が一致するように、第1、第2、第3層空間光変調器11,12,13が配置されて積層していることが好ましく、ここでは、平面視で画素領域IA1,IA2,IA3の各中心が一致するように配置されている。したがって、第1、第2層空間光変調器11,12は、Y方向両端(両縁)近傍には磁性細線41,42が設けられず、基板61,62上に絶縁層64のみが設けられる。
次に、第1、第2、第3層空間光変調器11,12,13の画素サイズ等について、詳細に説明する。前記したように、空間光変調器10はホログラフィ装置の表示デバイスである。そのために、第1層空間光変調器11は、磁性細線41に入射した光LBiが磁化方向に応じて旋光すると共に、反射した出射光LBoが回折光となるように、磁性細線41のピッチp1yおよび幅W1を、光LBの中心波長λBに基づいて下式(1)、(2)の範囲に設計される。同様に、第2層空間光変調器12は、磁性細線42のピッチp2yおよび幅W2を、光LGの中心波長λGに基づいて下式(3)、(4)の範囲に設計される。そして、第3層空間光変調器13は、磁性細線43のピッチp3yおよび幅W3を、光LRの中心波長λRに基づいて下式(5)、(6)の範囲に設計される。
λB/2≦W1<λB ・・・(1)
p1y-W1≧λB/2 ・・・(2)
λG/2≦W2<λG ・・・(3)
p2y-W2≧λG/2 ・・・(4)
λR/2≦W3<λR ・・・(5)
p3y-W3≧λR/2 ・・・(6)
さらに、第1層空間光変調器11が光LG,LRに、透過した際に光学的作用を与え難いように、磁性細線41の幅W1が、W1<λG/2であることが好ましく、W1<λGmin/2であることがより好ましい。同様に、第2層空間光変調器12が光LRに、透過した際に光学的作用を与え難いように、磁性細線42の幅W2が、W2<λR/2であることが好ましく、W2<λRmin/2であることがより好ましい。λGminは光LGの最小波長(≦λG)、λRminは光LRの最小波長(≦λR)であり、ただし、再生像への実質的な影響のない、光LG,LRのそれぞれにおいて相対的な強度の低い波長域は除くものとする。空間光変調器10のこのような構造により、光LG,LRは、第1層空間光変調器11のY方向に交互に配置された磁性細線41と絶縁層64を、絶縁層64からなる一体の媒体として磁気光学的に透過するので、磁性細線41によって旋光しない。同様に、光LRは、第2層空間光変調器12のY方向に交互に配置された磁性細線42と絶縁層64を、絶縁層64からなる一体の媒体として磁気光学的に透過するので、磁性細線42によって旋光しない。
ここで、画素長pの空間光変調器を用いたホログラフィ装置において、画素から出射する波長λの光の回折角φは、下式(7)で表される。空間光変調器10において、単色空間光変調器11,12,13は、それぞれの出射光LBo,LGo,LRoの回折角φが一致するように、画素のY方向長すなわち磁性細線41,42,43のピッチp1y,p2y,p3yが、それぞれの変調する光LB,LG,LRの中心波長λB,λG,λRに対する比で一致する(下式(8))。このような構成によって、詳しくは後記するように、それぞれに割り当てられた単色空間光変調器11,12,13で反射した光のみを有効な出射光LBo,LGo,LRoとして、立体像を結像することができる。したがって、入射光LBi,LGi,LRiを一体の白色光LWiとして、空間光変調器10に入射することができる。また、ホログラフィ装置において、画素長pが波長λの半波長の倍数であるとき、画素毎の出射光同士が特に強く干渉し合う。したがって、単色空間光変調器11,12,13は、画素のY方向長p1y,p2y,p3yがそれぞれの変調する光LB,LG,LRの半波長λB/2,λG/2,λR/2の倍数であることが好ましい。
φ=sin-1(λ/2p) ・・・(7)
p1y/λB=p2y/λG=p3y/λR ・・・(8)
また、下式(9)で表されるように、ホログラフィ装置における波長λの光の視域角Ψは、回折角φの2倍(Ψ=2φ)であり、画素長pが小さい(短い)ほど視域角Ψが広くなり、理想的には、Ψ=180°となる、p=λ/2である。したがって、空間光変調器10は、画素長(磁性細線41,42,43のピッチ)p1y,p2y,p3yが小さいほど、Y方向に視域角Ψy(図7参照)が広くなる。空間光変調器10の画素数やホログラフィ装置20の用途等にもよるが、Y方向を水平(H)方向として観察者が両眼で立体像の全体を視認することができるように、画素長pyが入射光Liの中心波長λの4倍以下(Ψy≧14.36°)であることが好ましく、2倍以下(Ψy≧28.95°)であることがより好ましい。なお、式(1)~(6)より、画素長pyが最小となるのは、p1y=λB、W1=λB/2、p2y=λG、W2=λG/2、p3y=λR、W3=λR/2であり、このとき、Ψy=60°となる。
Ψ=2sin-1(λ/2p) ・・・(9)
なお、単色空間光変調器1からの出射光Loは、X方向に連続した磁性細線4で反射した光であるので、X方向には回折せず、各磁性細線4に沿って軸がX方向に平行な円筒波(柱面波)となる。この出射光Loは、磁性細線4に生成した特定の磁化方向の磁区で反射した光のみが偏光子PFoを透過して、X方向に分断される。その結果、画素のパターンによっては磁性細線4の磁区長が小さく、偏光子PFoを透過した出射光Loが、部分的にX方向への回折光になる場合がある。そこで、画素のパターンにかかわらず偏光子PFoを透過した出射光LBo,LGo,LRoの挙動が安定するように、第1層空間光変調器11のX方向の画素長p1xは、光LBの中心波長λB以上に設定される(p1x≧λB)ことが好ましく、最大波長λBmax以上(p1x≧λBmax)であることがさらに好ましい。同様に、第2層空間光変調器12のX方向の画素長p2xは、p2x≧λGに設定されることが好ましく、p2x≧λGmaxであることがさらに好ましい。第3層空間光変調器13のX方向の画素長p3xは、p3x≧λRに設定されることが好ましく、p3x≧λRmaxであることがさらに好ましい。本実施形態においては、第1、第2、第3層空間光変調器11,12,13で画素長を揃えて、p1x=p2x=p3x=pX≧λRに設定される。画素のX方向長p1x,p2x,p3x、および磁性細線41,42,43のそれぞれにおける画素のX方向の配置は、後記の空間光変調器の駆動方法で説明するように、画素の書込み時に設定される。
(空間光変調器の製造方法)
本実施形態に係る空間光変調器10は、単色空間光変調器11,12,13のそれぞれを個別に、従来の磁壁移動方式の空間光変調器(特許文献6参照)や磁気記録媒体と同様の方法で製造し、必要に応じて基板61,62,63、特に基板61,62の裏面を研削、研磨して所望の厚さに薄肉化した後、重ね合わせて得られる。単色空間光変調器11,12,13を重ね合わせる手段は、光LG,LRの透過を妨げないものであれば特に限定されない。具体的には、透光性樹脂からなる接着剤や、積層型半導体装置に適用される表面活性化接合や原子拡散接合等で全面を貼り合わせる方法や、周縁部(画素領域IA3外)を治具で把持して互いを固定する方法を適用することができ、その際、互いの間に一定の間隙(空気や不活性ガス等の気体または真空)を含んでいてもよい。また、空間光変調器10は、使用(書込)前に初期設定として、外部磁界を印加されて、すべての磁性細線41,42,43の磁化方向を所定の向き(垂直磁気異方性材料からなる場合は、例えば下向き)に揃えられる。この初期設定は、完成した空間光変調器10に対して行ってもよいし、重ね合わされる前の単色空間光変調器11,12,13に対して個別に行ってもよく、さらには単色空間光変調器11,12,13のそれぞれの製造工程途中において磁性細線41,42,43を形成する磁性材料を成膜した後以降であれば、どの段階であっても実施することができる。
〔ホログラフィ装置〕
本発明の実施形態に係る空間光変調器をホログラムとして用いるホログラフィ装置について、図5を参照して説明する。本実施形態に係るホログラフィ装置20は、空間光変調器10、多波長光源装置2、出力光学系3、ならびに、空間光変調器10への画素アレイの書込手段として第1駆動部91、第2駆動部92、および第3駆動部93を備える。ホログラフィ装置20は水平視差型であり、そのために、空間光変調器10は、X方向(磁性細線41,42,43の細線方向)が垂直(V)方向を表示するように配置される。
多波長光源装置2は、波長域の互いに異なる入射光LBi,LGi,LRiを、一つの光(白色光)LWiとして空間光変調器10に照射する。多波長光源装置2は、レーザー光源21,22,23と、合成光学系DPと、コリメータレンズCLと、偏光子PFiと、を備える。レーザー光源21は、中心波長λBの光LBを照射する。レーザー光源22は、中心波長λGの光LGを照射する。レーザー光源23は、中心波長λRの光LRを照射する。合成光学系DPは、例えばフィリップスタイプのダイクロイックプリズムであり、3方向から入射された光を、前記3方向のうちの一方向に光軸を集約して合成する。そのため、この光軸が空間光変調器10に向くように合成光学系DPが配置され、また、同方向に光LGを入射されるようにレーザー光源22が配置される。コリメータレンズCLは、空間光変調器10に向けて照射される光LB,LG,LRを、第3層空間光変調器13の画素領域IA3以上の幅(径)の平行光線束とする。偏光子PFiは、平行光にされた光LB,LG,LRを、特定の1つの偏光成分の光(偏光)LBi,LGi,LRiにする。コリメータレンズCL、あるいはさらに偏光子PFiは、レーザー光源21,22,23毎に備えられて、合成光学系DPで合成される前の光LB,LG,LRを透過させる配置としてもよい。また、合成光学系DPとして、クロスダイクロイックプリズムや、光LGを反射しかつ光LBを透過するダイクロイックミラー(ビームスプリッタ)と、光LRを反射しかつ光LB,LGを透過するダイクロイックミラーとを組み合わせてもよい。光LB,LG,LRは、それぞれの波長域の幅が、前記したように互いに重複しないものであれば特に規定されないが、それぞれの波長域が狭いほどホログラフィ装置20で再生される像VIの色調が鮮明になる。そのために、レーザー光源21,22,23から照射したレーザー光を、カラーフィルタを透過させて光LB,LG,LRを得てもよい。
出力光学系3は、空間光変調器10から出射された出射光LBo,LGo,LRoを、所望の大きさの立体像VIに出力する。出力光学系3は、出射光LBo,LGo,LRoの入力側から順に、偏光子(検光子)PFoと、拡大光学系31と、を備える。偏光子PFoは、特定の向きの偏光を遮光し、空間光変調器10から出射された出射光LBo,LGo,LRoのうち、入射光LBi,LGi,LRiに対して特定の向きに旋光した光を透過させる。偏光子PFoは、出射光LBo,LGo,LRoが各色の像vIB,vIG,vIRを結像する位置よりも入力側に配置される(図7参照)。拡大光学系31は、空間光変調器10の画素領域IA1,IA2,IA3の寸法や再生する像VIの寸法等に応じて、レンズやマイクロレンズを二次元配列したレンズアレイを1ないし複数備える(図5では2つのレンズを示す)。拡大光学系31のレンズは、必要に応じてシリンドリカルレンズやトロイダルレンズを含んで、立体像VIのアスペクト比を調整する。
ホログラフィ装置20においては、入射光LWiの光路上に偏光子PFoが配置されないように、かつ出射光LBo,LGo,LRoの光路上に偏光子PFiが配置されないように、多波長光源装置2および出力光学系3が配置される。具体的には、多波長光源装置2の配置によって入射光LWiの入射角α(0°≦α<90°)を調整するか、必要に応じて、多波長光源装置2または出力光学系3がビームスプリッタ(ハーフミラー)を備えて、入射光LWiまたは出射光LBo,LGo,LRoを反射させる。磁性細線4が垂直磁気異方性材料からなる場合、その磁気光学効果は、入射光Liの入射角αが0°に近いほど高く、α=0°すなわち入射面(XY面)に垂直に入射光Liが入射するときに最大となる。具体的には、α≦30°であることが好ましい。なお、出射光Loの出射角は、Y方向においては、入射角に加えて、画素長pyの波長λに対する比に依存する。
第1駆動部91は第1層空間光変調器11の、第2駆動部92は第2層空間光変調器12の、第3駆動部93は第3層空間光変調器13の書込手段であり、それぞれパルス電流源7、磁化手段8(図4参照)、画像データの受信手段および処理手段(図示省略)を備える。第1駆動部91のパルス電流源7は、第1層空間光変調器11のすべての磁性細線41に、その両端の電極51n,51pに接続して、電極51pから電極51nへ直流パルス電流を供給する。同様に、第2駆動部92のパルス電流源7は、第2層空間光変調器12のすべての磁性細線42に、その両端の電極52n,52pに接続して直流パルス電流を供給する。また、第3駆動部93のパルス電流源7は、第3層空間光変調器13のすべての磁性細線43に、その両端の電極53n,53pに接続して直流パルス電流を供給する。パルス電流源7は、図4に示すように、単色空間光変調器1のすべての磁性細線4に並列にパルス電流を供給するように接続していてもよいし、選択的に磁性細線4に接続することができる構造であってもよい。
第1駆動部91の磁化手段8は、第1層空間光変調器11の磁性細線41を、書込領域41wにおいて、第1駆動部91に入力された信号に基づいた2値(上向きまたは下向き)の磁化方向とする。第2駆動部92の磁化手段8は、第2層空間光変調器12の磁性細線42を、書込領域42wにおいて、第2駆動部92に入力された信号に基づいた磁化方向とする。第3駆動部93の磁化手段8は、第3層空間光変調器13の磁性細線43を、書込領域43wにおいて、第3駆動部93に入力された信号に基づいた磁化方向とする。磁化手段8は、例えば、磁気記録媒体の記録(書込)ヘッドと同様の構造の磁気ヘッド、およびこの磁気ヘッドのコイルに向きを選択して電流を供給する電流源を備え、磁気ヘッドが磁性細線4の書込領域4wに対向して配置される。磁化手段8は、それぞれが電流源を備えなくてもよく、例えば、駆動部91,92,93のそれぞれにおいて、順方向電流源と逆方向電流源との2つの電流源および切換器(マトリクススイッチャ)を備えて、切換器が、入力される信号に基づいて、各磁性細線4に対向する磁気ヘッドを順方向電流源または逆方向電流源に接続する。また、磁化手段8の磁気ヘッドは、磁性細線4(書込領域4w)との距離が近いことが好ましいので、単色空間光変調器1に固定されて設けられて、電流源を外部から磁気ヘッドに接続する構成としてもよい。また、磁化手段8は、磁気ヘッドの代わりにハーフターンコイルやワンターンコイルのような電流磁界発生機構を備え、電流源が同機構に2方向の磁界を選択して発生させる構成としてもよい。
(空間光変調器の駆動方法)
空間光変調器10の単色空間光変調器11,12,13のそれぞれの画素を、画像データに基づいた磁化方向にする(書込みをする)方法は、従来の磁壁移動方式の空間光変調器(特許文献6参照)と同様である。第1駆動部91は外部(接続したパーソナルコンピュータ等)から画像データの青色のデジタル信号を受信し、第2駆動部92は緑色のデジタル信号を受信し、第3駆動部93は赤色のデジタル信号を受信する。第1駆動部91は、受信した画像データの1フレーム分を、垂直(V)方向に1列に配列された画素の群(画素列)毎に分割し、画素列のデータをそれぞれ、当該画素列に対応する第1層空間光変調器11の磁性細線41に配置した磁化手段8へ出力する。そして、第1駆動部91は、パルス電流源7が供給するパルス電流に同期して磁化手段8を制御して、パルスの停止時間(ベース期間)に、信号に対応した向きの磁界を発生させる。例えば、信号‘1’が「明」を示す場合には上向きの磁界とし、‘0’が「暗」を示すから下向きの磁界とする。第2、第3層空間光変調器12,13においても同様に、第2、第3駆動部92,93は、それぞれ受信した画像データを画素列のデータに分割して、画素列に対応する磁性細線42,43に配置した磁化手段8に出力して、磁化手段8に磁界を発生させる。
パルス電流源7が供給するパルス電流は、電流値、パルス幅(ピーク期間)および停止時間(ベース期間)が、駆動部91,92,93のそれぞれにおいて設定される。パルス電流の電流値は、磁性細線4の材料および断面積(幅Wと厚さの積)等に基づいて、磁性細線4を細線方向に区切る磁壁を移動させる電流密度以上に設定される。また、パルス電流は、パルス幅(ピーク期間)が、前記電流値から算出される磁性細線4における磁壁移動速度に基づいて、磁壁を画素長pXだけ移動させる時間に設定され、一方、停止時間(ベース期間)が、磁化手段8による磁性細線4の書込領域4wへの書込みに要する時間以上に設定される。このようなパルス電流をX方向の画素数のパルス数供給し、パルスのベース期間毎に磁化手段8が磁界を発生させる。また、単色空間光変調器11,12,13毎に、磁性細線4の書込領域4wから画素領域IAまでの距離に応じて、画素列における最後の画素の書込み後のパルス数を設定する。なお、2以上のパルス数で磁壁を画素長pXだけ移動させるように、パルス幅が設定されてもよい。
空間光変調器10においては、単色空間光変調器11,12,13のそれぞれの書込みは、駆動部91,92,93によって並列に実行してもよいし、一つずつ順番に実行してもよく、また、単色空間光変調器1における奇数列と偶数列等、複数回に分けて実行してもよい。また、上向きの磁化方向とする書込みと下向きの磁化方向とする書込みとを、1パルス毎に交互に行ってもよい。この場合、パルス電流源7は、各磁性細線4と選択的に接続可能な構成とし、書込み直後のピーク期間に、書込みを行った磁性細線4に限定してパルス電流を供給して磁区を移動させる。ただし、いずれの手順による書込みにおいても、1フレーム分の画像の書込みに要する時間が十分に短くなるように実行し、具体的には、1/60秒間(≒16.7ms)の1/2以下であることが好ましく、さらにより短いことが好ましい。1フレームにおける画像の書込(書換)時間が短いほど、画像を表示する実時間の比率を高くすることができ、再生像VIが明るいものとなる。なお、書込みを、駆動部91,92,93で並列に実行する場合、それぞれの処理は互いに独立(非同期)していてもよいし、パルス電流源7のパルス電流のパルス周期を一致させて同期させてもよい。
(ホログラフィ装置の動作)
第1実施形態に係る空間光変調器を使用したホログラフィ装置によるフルカラーの立体像の再生を、空間光変調器の光変調動作を含めて図6、図7、および図5を参照して説明する。図6では、単色空間光変調器11,12,13は、それぞれ磁性細線41,42,43のみを示し、基板61,62,63および絶縁層64を省略する。図7では、簡潔に表すために、単色空間光変調器1は磁性細線4を8本備える構成で例示され、絶縁層64を省略し、また、磁性細線4内に付した矢印は磁化方向を表す。
多波長光源装置2から入射光LWiが上方から空間光変調器10に照射されると、図6に示すように、入射光LWiのうちの光LBiが、最上層の第1層空間光変調器11の磁性細線41で反射して、出射光LBoとなって空間光変調器10の上方へ出射される。また、入射光LWiのうちの光LGi,LRiは、第1層空間光変調器11(磁性細線41、絶縁層64、基板61)を透過し、第2層空間光変調器12に到達する。光LGiは、磁性細線42で反射して、出射光LGoとなって上方へ出射される。出射光LGoは、入射光LGiと同様に第1層空間光変調器11を透過して空間光変調器10の上方へ出射される。一方、光LRiは、第2層空間光変調器12(磁性細線42、絶縁層64、基板62)をさらに透過し、第3層空間光変調器13に到達する。そして、光LRiは、磁性細線43で反射して、出射光LRoとなって上方へ出射される。出射光LRoは、第2層空間光変調器12、第1層空間光変調器11を順次透過して空間光変調器10の上方へ出射される。なお、図6においては、入射光LBi,LGi,LRiは、ハッチングを付した、または白抜きの矢印で表す。一方、出射光LBo,LGo,LRoは、以下に説明するように回折光が干渉した光であり、それぞれの一部を太矢印で表す。
ここで、本実施形態に係る空間光変調器の光変調動作、および単色空間光変調器による単色光の立体像の再生を、図7を参照して説明する。磁性細線4は、空間光変調器の駆動方法で説明した書込みによって、その細線方向に磁区が分割され、磁区毎に上向きまたは下向きの磁化方向を示している。図7に示す断面においては、左から5、6本目の磁性細線4に下向きの磁化方向の磁区、それ以外の磁性細線4に上向きの磁化方向の磁区が生成している。この単色空間光変調器1に、1つの偏光成分かつ平行光である光Liが上方から入射すると、磁性細線4で反射して出射光Loを上方へ出射する。波長λに対して幅Wが小さい磁性細線4から反射することによって、出射光Loは、磁性細線4の幅方向すなわちY方向に回折して拡がり、磁性細線4に沿った円筒波(柱面波)となる。また、出射光Loは、磁気光学効果によって、磁性細線4の入射した領域における磁化方向に応じて、偏光の向きが変化し、磁化方向が上向きの磁区では角度+θk、下向きの磁区では角度-θkで回転する。図7では、入射光Liは、直線状の矢印で表し、さらに偏光の向きを表す両矢印を付す。同様に、出射光Loは、磁性細線4から発散して出射する直線状の矢印で表し、一部に偏光の向きを表す両矢印を付し、また、入射光Liに対して角度-θkで回転した偏光の方向をY方向(最長の両矢印で表す)とする。
単色空間光変調器1においては、磁性細線4が入射光Liの波長λの数倍以下のピッチpyで並設されているので、磁性細線4のそれぞれから発散して出射した光Loは、干渉によって同位相で強め合う。図7では、この複数の光が干渉した光の波面を波線で表す。また、干渉した出射光Loは、入射光Liに対して角度+θkで回転した偏光と角度-θkで回転した偏光とを含んでいる。そして、空間光変調器10(単色空間光変調器1)の上方には、偏光子PFoがY方向の偏光を遮光するように配置されている。したがって、出射光Loは、偏光子PFoを通過後、磁性細線4の磁化方向が下向きの磁区から出射した光を含む部分が弱くなり、またはさらに消失して、明暗のパターンを形成する。そして、偏光子PFoを透過した出射光Loは、単色空間光変調器1の出射面から所定の距離の位置に、単色光の像vIを結像する。単色空間光変調器1の出射面とは、光の反射面、すなわち磁性細線4の表面であり、この面がホログラフィ装置20のホログラム面Pとなる。
空間光変調器10から出射した出射光LBo,LGo,LRoは、空間光変調器10の上方に配置された出力光学系3の偏光子PFoを通過して、前記したように、それぞれ画素毎に磁化方向に応じた明暗(青と黒、緑と黒、赤と黒)のパターンに形成される。偏光子PFoを透過した出射光LBo,LGo,LRoは、それぞれの光色の像vIB,vIG,vIR(図7のvI)を結像する。これら3つの像vIB,vIG,vIRは、出力光学系3の拡大光学系31によって所望の寸法やアスペクト比に拡大または縮小されて同じ位置で結像し、混色してフルカラーの立体像VIとなる。
ホログラフィ装置20は、空間光変調器10の出射光LBo,LGo,LRoによるそれぞれの像vIB,vIG,vIRを同じ位置、同じ寸法に揃えて結像しなくてもよく、出力光学系3の出力側で結像位置および寸法が揃うように、拡大光学系31によって補正されればよい。空間光変調器10による像vIB,vIG,vIRの結像位置や寸法は、単色空間光変調器11,12,13のそれぞれの画素毎の明暗のパターンで調整してもよいし、ホログラム面P1,P2,P3の位置で調整してもよい。また、X方向のずれは、パルス電流源7により、磁性細線41,42,43における画素列の移動や画素長p1x,p2x,p3xの調整で補正することができる。
なお、光LBiが磁性細線41,41間の絶縁層64に入射して、または磁性細線41で完全には反射せずに一部が透過することによって第1層空間光変調器11を透過し、第2層空間光変調器12の磁性細線42で反射して出射しても、このような光LBは磁性細線41で反射した出射光LBoとピッチが揃わず干渉しないので、像vIBに影響しない。第1層空間光変調器11および第2層空間光変調器12を透過して第3層空間光変調器13の磁性細線43で反射して出射した光LB,LGも同様である。このように、空間光変調器10は、下式(8)の画素長p1y,p2y,p3yの単色空間光変調器11,12,13を積層して備えることにより、光LBi,LGi,LRiをまとめて積層方向に入射して、光LBiを第1層空間光変調器11で、光LGiを第2層空間光変調器12で、光LRiを第3層空間光変調器13で、それぞれ光変調させた出射光LBo,LGo,LRoのみを有効な光として、ホログラフィ装置20でフルカラーの立体像VIを得ることができる。
p1y/λB=p2y/λG=p3y/λR ・・・(8)
(空間光変調器の変形例)
空間光変調器10は、「明」の画素を下向きの磁化方向の磁区とし、「暗」の画素を上向きの磁化方向の磁区としてもよく、この場合にはホログラフィ装置20において、偏光子PFoが、磁化方向が上向きの磁区から出射した光を遮光するように配置される。また、偏光子PFoを透過する偏光方向の出射光LBo,LGo,LRoを出射する磁区の磁化方向が単色空間光変調器11,12,13で異なっていてもよく、この場合には、単色空間光変調器11,12,13で個別に、明/暗の画素の磁化方向を設定する。また、磁性細線41,42,43の各カー回転角θk1,θk2,θk3の大きさが互いに異なっていてもよい。これらの場合には、出射光LBo,LGo,LRoそれぞれの、偏光子PFoで遮光される方の偏光が同じ向きに揃うように、入射光LBi,LGi,LRiの偏光の向きを個別に調整する。そのために、多波長光源装置2が、偏光子PFiをレーザー光源21,22,23毎に備えて、合成光学系DPで合成される前の光LB,LG,LRをそれぞれ所定の偏光のLBi,LGi,LRiにする。
空間光変調器10は、後記第2実施形態(図9、図11参照)と同様に、第1、第2層空間光変調器11,12間に光LBを吸収して光LG,LRを透過する第1光学フィルタLF1を備えてもよく、また、第2、第3層空間光変調器12,13間に光LGを吸収して光LRを透過する第2光学フィルタLF2を備えてもよい。磁性細線41,42の層間に第1光学フィルタLF1を設けることによって、第1層空間光変調器11を透過した光LBiが、磁性細線42や磁性細線43で反射して出射することを防止することができる。同様に、磁性細線42,43の層間に第2光学フィルタLF2を設けることによって、第2層空間光変調器12を透過した光LGiが、磁性細線43で反射して出射することを防止することができる。光学フィルタLF1,LF2の構成については、第2実施形態で説明する。なお、光学フィルタLF1,LF2が入射角依存性を有する場合には、空間光変調器10への入射光LWiの入射角αは、対応した入射角α(>0°)に設定する。空間光変調器10は、このような構造とすることにより、出射光LBo,LGo,LRo以外の、所定の磁性細線41,42,43で変調されない光が出射して像に色滲み等を生じることを抑制することができる。
前記したように、磁性細線41,42,43は、反射率および透過率を、下地膜によって制御してもよい。詳しくは、第1層空間光変調器11は、磁性細線41の下地に、光LBを反射して光LG,LRを透過する誘電体多層膜を備える。第2層空間光変調器12は、磁性細線42の下地に、光LGを反射して光LRを透過する誘電体多層膜を備える。第3層空間光変調器13は、磁性細線43の下地に、光LRを反射する誘電体多層膜を備えるか、光LRを透過する絶縁膜を設けて、さらにこの絶縁膜の下に光LRを反射する金属膜を備える。誘電体多層膜は、公知の反射型光学フィルタと同様に、屈折率の異なる2種類以上の絶縁膜(誘電体膜)を交互に繰り返し積層して得られる。空間光変調器10は、このような構造とすることにより、出射光LBo,LGo,LRoの光量を多くすることができる。なお、誘電体多層膜の反射率は、入射角依存性を有するので、空間光変調器10への入射光LWiの入射角αは、対応した入射角α(>0°)に設定する。
単色空間光変調器1(11,12,13)は、電極5nおよび電極5pがそれぞれ、図2では単列配列されているが、千鳥配列されていてもよい。特に、比較的画素が小さく磁性細線41が狭ピッチで並設されている第1層空間光変調器11は、電極51n,51pが千鳥配列されることで、パルス電流源7と接続し易い。また、単色空間光変調器1は、磁性細線4が、画素領域IAにおいて直線状かつX方向に平行に並設されていればよく、それ以外では、パルス電流による磁区のシフト移動に影響のない程度に緩やかな曲率であれば曲線状であってもよい。例えば、第1層空間光変調器11は、磁性細線41が画素領域IA1外で隣り合う磁性細線41との間隔を広げるようにY方向に外側へ向けて曲げられて、両端に接続した電極51n,51pや書込領域41wのピッチを広くすることができる。第1層空間光変調器11は、このような構造とすることで、比較的画素が小さくても、電極51n,51pにパルス電流源7を接続し易く、また、すべての磁性細線41の書込領域41wのそれぞれに磁化手段8(磁気ヘッド)を対向させ易く、書込みの際に、隣の磁性細線41に影響し難い。
単色空間光変調器1は、画素毎に磁性体が分離した空間光変調器(例えば、特許文献4,5)と同様に、磁化手段8の電流源以外を備える構成としてしてもよい。例えば、スピン注入磁化反転方式で書込みを行うために、単色空間光変調器1は、磁性細線4が書込領域4wにおいて磁化自由層となるTMR素子構造およびその上下に接続した一対の電極を備える。具体的には、書込領域4wにおいて、磁性細線4の上または下にMgO,Al23,MgAl24等の絶縁膜を挟んで磁性細線4よりも保磁力の大きい磁性膜(磁化固定層)を積層し、磁性細線4を形成する前と磁化固定層を形成した後とに金属電極材料で電極を形成する(特許文献6参照)。また、磁性細線4は、スピン注入磁化反転が可能となるように、厚さが10nm以下に形成され、書込領域4wの一辺の長さ、すなわち細線方向長および磁性細線4の幅Wが500nm以下に、好ましくは300nm以下に形成される。この場合、磁化手段8の電流源は、前記一対の電極に接続して、磁性細線4を書込領域4wにおいてスピン注入磁化反転させる電流を供給する。単色空間光変調器1は、このような構造とすることにより、狭ピッチに並設された磁性細線4の各書込領域4wに対して的確に磁化(書込み)することができる。
また、磁界印加方式においては、平面視で書込領域4wを囲うように導線を配置し、この導線に電流を流して磁界を発生させる構成とすることができる。ただし、磁界が磁性細線4の書込領域4w外までに、特に画素列の側に印加されないように、この領域において磁性細線4の上に磁性膜で磁気シールド層を設けることが好ましい。さらに、より簡易な構造として、単色空間光変調器1のすべての磁性細線4の書込領域4wにわたって磁界を同じ向きに印加するように、2本の導線をY方向に延伸してもよい。2本の導線に互いに逆向きに電流を流すことによって、書込領域4wにおいて、磁界を上向きまたは下向きに発生させる。また、パルス電流源7は、各磁性細線4と選択的に接続可能な構成とし、直前のベース期間に磁化手段8が発生させた磁界の向きとする磁性細線4に限定してパルス電流を供給して磁区を移動させる。なお、空間光変調器10は、単色空間光変調器11,12,13が同じ書込方式でなくてもよい。例えば、磁性細線41の幅W1およびピッチp1yが狭く、書込領域41wの面積が小さな第1層空間光変調器11はスピン注入磁化反転方式として、それ以外の第2、第3層空間光変調器12,13は磁界印加方式とすることができる。
空間光変調器10は、単色空間光変調器11,12,13がそれぞれ、隣り合う磁性細線4,4を互いに絶縁し、また磁気的に影響し合うことを抑制するために、間隔を空けて並設する。ここで、1画素を1bitに置き換えて、磁性細線を連続した記録領域(トラック)とする光磁気ディスク等の光磁気記録媒体の分野で、記録密度を高くするために、基板に形成した平行な多数の溝の内側(底部)と頂部との両方に記録領域を設けたランド&グルーブ記録方式が知られている。同様の構造を磁壁移動方式の空間光変調器に適用すると、平面視において間隙なく磁性細線が並設するので、画素の開口率を1とすることができる。以下、本発明の実施形態の変形例に係る空間光変調器について、図8を参照して説明する。前記実施形態(図1~7参照)と同一の要素については同じ符号を付し、説明を省略する。
本発明の実施形態の変形例に係る空間光変調器10Aは、光LWiを入射される側(上)から順に、第1層空間光変調器11A、第2層空間光変調器12A、および第3層空間光変調器13A(適宜まとめて、単色空間光変調器11A,12A,13A)を重ねて備える。第1層空間光変調器11Aは、前記実施形態に係る空間光変調器10の第1層空間光変調器11と同様に、入射光LWiのうちの光LBiを反射、変調させて出射する。第2層空間光変調器12Aは、第2層空間光変調器12と同様に、入射光LWiのうちの光LGiを反射、変調させて出射する。そして、第3層空間光変調器13Aは、第3層空間光変調器13と同様に、入射光LWiのうちの光LRiを反射、変調させて出射する。単色空間光変調器11A,12A,13Aは、第1実施形態の単色空間光変調器11,12,13と同様、平面視における寸法を除いて概ね同じ構造であり、特定しない場合に単色空間光変調器1Aと称する。
図8に示すように、単色空間光変調器1Aは、基板6、基板6上に設けられたX方向に延伸する複数の磁性細線4、磁性細線4毎にその両端に接続する電極5nと電極5p、磁性細線4を被覆する絶縁層64を備える。磁性細線4の本数は画素アレイのY方向における画素数であり、ただし、図8では簡潔に表すために、8本備える構成で例示される。また、単色空間光変調器1Aにおいては、Y方向に奇数本目の磁性細線4が基板6の表面に形成され、偶数本目の磁性細線4が基板6上に厚さhに堆積した絶縁層64の表面に形成されている。すなわち、単色空間光変調器1Aは、磁性細線4が1本ずつ交互に段違いで配置されている。磁性細線4は、単色空間光変調器11A,12A,13Aのそれぞれにおいて磁性細線41,42,43であり、配置や寸法等を除いて前記実施形態と同様の構成である。電極5n,5p、基板6、および絶縁層64についても、前記実施形態と同様の構成である。
単色空間光変調器1Aにおいて、平面視で隣り合う下段の磁性細線4と上段の磁性細線4とのY方向における間隔は特に規定されず、0以上すなわち重複しなければよい。単色空間光変調器1Aは、このような構成とすることで、磁性細線4同士が互いに(h-t)以上または(2py-W)以上の間隙を有して並設しつつ(t:磁性細線4の厚さ)、平面視において幅Wと同値まで狭ピッチとすることができる(py≧W)。特に、図8に示すように、py=W、すなわち平面視において磁性細線4が間隙なく並設することにより、後記するように磁性細線4を形成し易い。
また、単色空間光変調器1Aは、下段の磁性細線4が上段の磁性細線4よりも両方向へ延伸して長く形成され、上段の磁性細線4のX方向における外側(磁性細線4に接続した電極5nの外側)に下段の磁性細線4の書込領域4wが設けられている。そして、上段だけでなく下段の磁性細線4に接続する電極5n,5pの上面も露出し、かつ書込領域4wへの磁界印加が妨げられないように、絶縁層64がX方向両端において階段状に薄肉化されている。このような構造により、単色空間光変調器1Aは、上段、下段のそれぞれの磁性細線4について、電極5n,5pにパルス電流源7を容易に接続することができ、それぞれの書込領域4wに磁化手段8を近接して対向させて書込みをすることができる。
ここで、入射光Liの、上段の磁性細線4の高さ位置から下段の磁性細線4の高さ位置までの経路の長さは、入射光Liの進入角をαi(0°≦αi<90°)とすると、(h/cosαi)と表される。さらに、絶縁層64の屈折率をniと表すと、光学的距離(光路長)は(ni×d/cosαi)であるから、上段の磁性細線4で反射した出射光Lo’と下段の磁性細線4で反射した出射光Lo’とで、光路長の差はその2倍となる。このことから、下式(10)が成立するとき(N:自然数)、上下段の磁性細線4,4で反射した出射光Loは位相が揃い、互いに光量を強め合って出射する。なお、進入角αiは、絶縁層64を進行する入射光Liの角度であるから、外部(空気中、屈折率1とする)からの入射角α0(0°≦α0<90°)に対して、下式(11)で表される。したがって、式(10)は、下式(12)で表すことができる。
h=N/2×λ×cosαi/ni ・・・(10)
αi=sin-1(sinα0/ni) ・・・(11)
h=N/2×λ×√(ni 2-sin2α0)/ni 2 ・・・(12)
したがって、第1層空間光変調器11Aにおける磁性細線41の段差h1、第2層空間光変調器12Aにおける磁性細線42の段差h2、第3層空間光変調器13Aにおける磁性細線43の段差h3は、それぞれ下式(13)、(14)、(15)で表され、絶縁層64が同じ材料からなる場合、変調させる光の波長に比例して互いに異なる。なお、下式(13)、(14)、(15)におけるNは、自然数であれば特に規定されず、また、同一の値でなくてよいが、小さいことが好ましく、N=1が最も好ましい。Nが大きいと、段差h1,h2,h3が大きくなって、後記製造方法で磁性細線4を形成し難くなり、また、絶縁層64が厚くなって光が減衰するので、磁性細線4からの反射光が上段と下段とで光量の差を生じる。
h1=N/2×λB×√(ni 2-sin2α0)/ni 2 ・・・(13)
h2=N/2×λG×√(ni 2-sin2α0)/ni 2 ・・・(14)
h3=N/2×λR×√(ni 2-sin2α0)/ni 2 ・・・(15)
なお、第1層空間光変調器11Aにおける磁性細線41の幅W1およびピッチp1y、第2層空間光変調器12Aにおける磁性細線42の幅W2およびピッチp2y、第3層空間光変調器13Aにおける磁性細線43の幅W3およびピッチp3yは、前記実施形態と同様、式(1)、(3)、(5)、および式(8)とする。したがって、本変形例において最も好ましいのは、W1=p1y=λB/2、W2=p2y=λG/2、W3=p3y=λR/2であり、このとき、式(9)より、Ψy=180°となる。このように、空間光変調器10Aは、前記実施形態に係る空間光変調器10よりも視域角Ψyを大きくすることができる。
λB/2≦W1<λB ・・・(1)
λG/2≦W2<λG ・・・(3)
λR/2≦W3<λR ・・・(5)
p1y/λB=p2y/λG=p3y/λR ・・・(8)
Ψ=2sin-1(λ/2p) ・・・(9)
一方、単色空間光変調器11A,12A,13AのX方向の画素長p1x,p2x,p3xは、前記実施形態と同様に、p1x≧λB、p2x≧λG、p3x≧λRの範囲に設定されることが好ましく、画素長を揃えて、p1x=p2x=p3x=pX≧λRに設定されてもよい。
本変形例に係る空間光変調器10Aは、空間光変調器10(図2、図3参照)と同様に、単色空間光変調器11A,12A,13Aが、この順にX方向に長くなるように形成され、X方向両端が階段状に形成される。さらに前記したように、単色空間光変調器11A,12A,13Aのそれぞれが上段と下段の磁性細線4,4により2段の階段状に形成されているので、合計6段となる。
本変形例に係る空間光変調器10Aは、空間光変調器10と同様に、単色空間光変調器11A,12A,13Aのそれぞれを製造して、重ね合わせて得られる。単色空間光変調器11A,12A,13Aは、ランド&グルーブ記録方式の光磁気記録媒体と同様の方法で製造することができる。一例として、基板6上に厚さhの絶縁膜(絶縁層64)を成膜し、フォトリソグラフィとエッチングで、幅py、ピッチ2pyで磁性細線4の本数の半数の溝(畝)を形成する。この上から磁性膜を成膜すると、上段と下段の磁性細線4が同時に形成される。または、基板6をエッチングして、深さhの溝を形成してもよい。溝は、上段と下段の各磁性細線4の下地面(頂面、底面)が平坦、平滑に形成され、また、側面が磁性膜を付着させないように略垂直、特に逆テーパ寄りであることが好ましい。なお、下段の磁性細線4と上段の磁性細線4とを分けて形成してもよく、この場合、磁性細線4をW<pyに形成することも容易である。
空間光変調器10Aの単色空間光変調器11A,12A,13Aのそれぞれの画素を、画像データに基づいた磁化方向にする(書込みをする)方法は、前記実施形態と同様であり、磁界印加方式、スピン注入磁化反転方式のいずれでも行うことができる。なお、磁界印加方式の場合には、上段の磁性細線4の書込領域4wに磁界を印加するための磁化手段8から下段の磁性細線4にまで磁界が印加されないように、上段の書込領域4wの直下およびその近傍の、上段の磁性細線4と下段の磁性細線4との間に、磁気シールド層を設けることが好ましい。
本変形例に係る空間光変調器10Aは、光変調動作が前記実施形態に係る空間光変調器10と同様であり(図6、図7参照)、空間光変調器10に代えてホログラフィ装置20(図5参照)に使用することができる。ここで、単色空間光変調器1Aの下段の磁性細線4に入射、反射する光Li,Loが上段の磁性細線4に遮られないように、空間光変調器10Aへの入射光LWiは、Y方向に垂直に入射する、すなわち非垂直に入射する場合にはX方向にのみ傾斜させることが好ましい。
空間光変調器10および空間光変調器10A(以下、まとめて空間光変調器10)は、単色空間光変調器11,12,13(11A,12A,13A)を、前記したように治具で把持して固定する場合に、この治具に圧電アクチュエータを備えて、互いの位置をY方向に、あるいはさらにX方向やZ方向に変更可能な構造としてもよい。空間光変調器10は、このような構造とすることにより、各色の像vIB,vIG,vIRのずれを補正することができる。機械的にX方向に調整自在な構造とした場合、パルス電流源7による磁性細線4における画素列の移動によらずに補正することができるので、空間光変調器10は、磁性細線4における各画素の位置を固定して設定することができる。そこで、隣り合う画素同士の区切りに磁壁をトラップするノッチ(凹み)等を磁性細線4に形成して、パルス電流による磁区の移動において、予め設定された位置に的確に画素を配列することができる(特許文献6参照)。
空間光変調器10は、単色空間光変調器11,12,13がそれぞれ基板61,62,63を下に向けて重ね合わされているが、それぞれ上下反転して基板61等を光の入射側に向けてもよい。さらにこの場合に、空間光変調器10は、単色空間光変調器11,12,13が、この順にX方向に短くなるように形成されていることが好ましい。このような空間光変調器10は、下側(光の入射側の反対側)に電極51,52,53が露出し、下側から磁化手段8を対向させることができる。
また、空間光変調器10は、単色空間光変調器11,12,13が基板61,62,63をそれぞれ上または下の同じ側に備えていなくてもよい。例えば、第1、第2層空間光変調器11,12は基板61,62が上に、第3層空間光変調器13は基板63が下に、それぞれ設けられていてもよい。このような空間光変調器10は、第2層空間光変調器12と第3層空間光変調器13とを、それぞれの基板62,63を外側にして貼り合わされ、その後に基板62を薄肉化し、薄肉化した基板62上に、基板61を上に向けて第1層空間光変調器11を貼り合わされて得られる。なお、第2層空間光変調器12と第3層空間光変調器13が互いに貼り合わされる前に、それぞれ表面(絶縁層64上)に、第2層空間光変調器12は磁化手段8を形成され、第3層空間光変調器13は第2層空間光変調器12の電極52と接合する引出し用配線の金属パターンを、Au,Cu,Co,Al,Ta,Ag等またはそれらの多層膜で形成される。同様に、第2層空間光変調器12は、薄肉化した基板62上に電極51と接合する引出し用配線の金属パターンを形成され、第1層空間光変調器11は磁化手段8を形成される。
また、空間光変調器10は、単色空間光変調器11,12,13のすべてがそれぞれ基板6を備えていなくてもよい。具体的には、空間光変調器10は、基板61,62を除いた構造で、磁性細線43と磁性細線42の間、磁性細線42と磁性細線41の間(層間)に、それぞれ絶縁層64のみを備える。このような空間光変調器10は、まず、第3層空間光変調器13を製造し、その上面の絶縁層64をCMP法等で平坦化する。平坦化した絶縁層64上に、磁性細線42を形成し、同様に絶縁層64を平坦化して、磁性細線41、絶縁層64を形成する。その後、X方向両端の絶縁層64を階段状にエッチングして、磁性細線42,43上の電極52,53を露出させると共に書込領域42w,43w上の絶縁層64を薄肉化して得られる。あるいは上下反転して、第1層空間光変調器11に、磁性細線42、磁性細線43を、間に絶縁層64を形成しながら形成する。このように、空間光変調器10は、最上面または最下面に基板61または基板63の1枚のみを備えたり、磁性細線41,42間、磁性細線42,43間の基板6を十分に薄肉化したりすることで、ホログラム面P1,P2,P3の位置の差が抑制される。
空間光変調器10は、単色空間光変調器1が3つに限られず、2または4以上重ね合わされて備えられてもよい。空間光変調器10は、単色空間光変調器1毎に異なる波長域の光を変調することができるので、単色空間光変調器1を多数備えることで、表示する像の色域を大きくすることができる。このような空間光変調器10には、多波長光源装置2が、単色空間光変調器1と同じ数のレーザー光源を備えて、異なる波長域の光を合成して照射する。
ホログラフィ装置20は、より高精細な立体像を得るために、空間光変調器10(10A)をX方向やY方向に2以上配列して備えてもよい。例えば8K(画素:7680×4320)の像を再生するためには、画素を1920×1080で配列した空間光変調器10をXY方向に4×4=16配列する。隣り合う空間光変調器10,10間の継ぎ目で像が途切れないように、例えば出力光学系3は、空間光変調器10毎に拡大光学系(レンズ)を対向させて配列し、継ぎ目に対向させて遮光板を設けて、遮光板のそれぞれの間隙を通過した出射光を拡大して一つの像に継ぎ合わせる(特許文献3参照)。
以上のように、本発明の第1実施形態およびその変形例に係る空間光変調器によれば、高精細かつ小型であり、複数の波長域の光をまとめて同時に入射されてそれぞれを個別に変調して出射することができる単板型フルカラー空間光変調器を構成できる。そして、前記空間光変調器を使用したホログラフィ装置によれば、明るいフルカラーの再生像が広い視域角で得られる。
〔第2実施形態〕
第1実施形態およびその変形例に係る空間光変調器は、磁性細線の細線幅方向に視差を有するホログラフィ装置の表示デバイスであるが、細線方向に視差を有するホログラフィ装置の表示デバイスとすることもできる。以下、本発明の第2実施形態に係る空間光変調器について説明する。第1実施形態(図1~8参照)と同一の要素については同じ符号を付し、説明を省略する。
図9および図10に示すように、本発明の第2実施形態に係る空間光変調器10Bは、第1実施形態に係る空間光変調器10(図1参照)と同様に、光LWiを入射される側(図9、図10における上)から順に、第1層空間光変調器11B、第2層空間光変調器12B、および第3層空間光変調器13B(適宜まとめて、単色空間光変調器11B,12B,13B)を重ねて備える。空間光変調器10Bはさらに、第1層空間光変調器11Bと第2層空間光変調器12Bの間に第1光学フィルタLF1を備え、第2層空間光変調器12Bと第3層空間光変調器13Bの間に第2光学フィルタLF2を備える。単色空間光変調器11B,12B,13Bのそれぞれは、水平(H)方向と垂直(V)方向とに画素を二次元配列した画素アレイを有し、この画素アレイを設けられた領域を画素領域IA1,IA2,IA3(図1参照)と称する。第1層空間光変調器11Bは、入射光LWiのうちの光LBiを反射、変調させて出射する。第2層空間光変調器12Bは、入射光LWiのうちの光LGiを反射、変調させて出射する。そして、第3層空間光変調器13Bは、入射光LWiのうちの光LRiを反射、変調させて出射する。すなわち、単色空間光変調器11B,12B,13Bは、第1実施形態の単色空間光変調器11,12,13と同様、それぞれ、単色光LB,LG,LRの空間光変調器である。以下、単色空間光変調器11B,12B,13Bの各要素について説明する。
第1層空間光変調器11Bは、基板61、基板61上に並設されたX方向に延伸する磁性細線41B、磁性細線41B毎にその両端に接続する電極51nと電極51p(適宜まとめて、電極51)、および磁性細線41B,41B間を埋める絶縁層64を備える。第2層空間光変調器12Bは、基板62、基板62上に並設されたX方向に延伸する磁性細線42B、磁性細線42B毎にその両端に接続する電極52nと電極52p(図示省略、適宜まとめて、電極52)、および磁性細線42B,42B間を埋める絶縁層64を備える。第3層空間光変調器13Bは、基板63、基板63上に並設されたX方向に延伸する磁性細線43B、磁性細線43B毎にその両端に接続する電極53nと電極53p(図示省略、適宜まとめて、電極53)、および磁性細線43B,43B間を埋める絶縁層64を備える。単色空間光変調器11B,12B,13Bは、磁性細線41B,42B,43Bを、画素アレイのY方向における画素数と同数本備え、例えばY方向の画素数1080に設計する場合には、各1080本備える。また、空間光変調器10Bにおいては、磁性細線41B,42B,43Bが互いに平面視で重ならないように細線幅方向(Y方向)にずらして配置され、単色空間光変調器11B,12B,13Bがそれぞれ磁性細線41B,42B,43Bを共通のピッチpYで並設する。なお、図9では、簡潔に表すために、磁性細線41B,42B,43Bを各8本備える構成で例示される。また、図9および図10では、絶縁層64は透明として、輪郭線のみを破線で表す。
単色空間光変調器11B,12B,13Bは、平面(XY面を指す)視における寸法を除いて概ね同じ構造であり、特定しない場合に単色空間光変調器1Bと称する。そして、磁性細線41B,42B,43Bの単色空間光変調器1Bに設けられたものを磁性細線4Bと称し、その幅W1,W2,W3をW、また、画素のX方向長p1x,p2x,p3xをpxと称する。同様に、電極51n,52n,53nを電極5n、電極51p,52p,53pを電極5p、基板61,62,63を基板6、画素領域IA1,IA2,IA3を画素領域IAとそれぞれ称する。
磁性細線4Bは、第1実施形態に係る空間光変調器10の磁性細線4(図4参照)と同様、X方向に沿った直線状に成形された磁性体であり、磁区が細線方向に分割されて生成することにより、1本が画素アレイのX方向における1列に配列された複数の画素(光変調素子)を構成する。例えばX方向の画素数1920に設計する場合には、磁性細線41B,42B,43Bはそれぞれ、細線方向に画素を1920個連続して備える。なお、図10では、磁性細線41B,42B,43B内に付した矢印は磁化方向を表し、さらに、磁化方向の異なる磁区を網掛けの有無で表す。磁性細線4Bは、前記複数の画素(画素列と称する)を構成する領域と、画素列の外側の、電極5nに接続した側の書込領域4w(41w,42w,43w)と、両端の電極5n,5pに接続した領域とを有する。磁性細線4Bは、書込みにより、各画素が、一部の領域に特定の磁化方向の磁区Dg(図12参照)を有し、ここでは、下向きの磁化方向で、また、各画素における電極5pの側に設けられる。なお、画素における磁区Dg以外の領域を開口部と称する。したがって、磁性細線4Bは、磁化方向が上向きと下向きの2つの磁区に細線方向に分割された画素と、磁化方向が下向きの1つの磁区からなる画素とを有し、磁化方向が上向きの磁区はすべて、X方向長が画素の開口部のX方向長(開口長)sx(s1x,s2x,s3x)である。このような構成により、後記するように、磁性細線4Bで反射した出射光Loは、画素の開口部で反射した光のみが偏光子PFoを透過して回折する。書込領域4wは、X方向長が、画素の開口長sx以上かつ磁区DgのX方向長(px-sx)以上に設定される。
磁性細線4Bは、単色空間光変調器1Bが変調する波長域の光に磁気光学効果を示すように、幅Wが前記光の半波長λ/2以上に設計される。さらに、磁性細線41Bは、反射した出射光LBoが実質的に回折しないことが好ましく、そのために、幅W1は、W1≧λBであることが好ましく、W1≧λBmaxであることがさらに好ましい。同様に、磁性細線42Bの幅W2は、W2≧λGであることが好ましく、W2≧λGmaxであることがさらに好ましい。そして、磁性細線43Bの幅W3は、W3≧λRであることが好ましく、W3≧λRmaxであることがさらに好ましい。一方で、磁性細線4Bは、細線方向のみに磁区が分割され易いように、厚さ(膜厚)が70nm程度以下であることが好ましく、幅Wが300nm程度以下であることが好ましい。さらに、磁性細線4Bは、細線方向のみに磁区を分割され易いように、磁区の最小長さ、すなわち画素の開口部のX方向長sxまたは磁区DgのX方向長(px-sx)に対して幅Wが大き過ぎないことが好ましく、具体的には、幅Wが前記最小長さの2倍以下であることが好ましい。ただし、このような寸法でなくても、磁性細線4Bは、予め外部磁界を印加されることによって、細線方向のみに磁区が分割された状態にすることができる。また、隣り合う磁性細線4B,4B同士は、間隙を、互いの磁化の影響を受け難い程度に空けることが好ましい。また、磁性細線4Bは、旋光角(カー回転角)を大きくして反射させるために、厚さ4nm以上であることが好ましく、材料に応じて設計することがより好ましく、磁性細線41B,42B,43Bが互いに異なる厚さであってもよい。
磁性細線4Bは、第1実施形態の磁性細線4と同様に、公知の強磁性材料、好ましくは垂直磁気異方性材料を適用することができ、また、保護膜や下地膜を備えてもよい。また、磁性細線4Bは、書込領域4wにおいて、この領域に限定して所望の磁化方向に磁化手段8によって変化させる(磁化する)ために、磁化方法(書込方式)に対応した構造とする。書込方式およびそのための構造は、第1実施形態およびその変形例で説明した通りである
さらに、磁性細線41Bは、第1層空間光変調器11Bが変調する光LBについて、反射率および磁気光学効果が高いことが好ましく、また、光LBよりも長波長域の光LG,LRについて反射率が低い、すなわち透過率または吸収率が高いことが好ましく、このような光学的特性が得られるように材料や厚さを選択する。同様に、磁性細線42Bは、第2層空間光変調器12Bが変調する光LGについて反射率および磁気光学効果が高いことが好ましく、光LGよりも長波長域の光LRについて反射率が低いことが好ましい。そして、磁性細線43Bは、第3層空間光変調器13Bが変調する光LRについて反射率および磁気光学効果が高いことが好ましい。磁性細線41B,42B,43Bは、反射率を、磁性体のみの材料や厚さによらず、例えば下地膜の材料によっても制御することができ、第1実施形態の変形例で説明したように、誘電体多層膜で特定の波長域の光の反射率を高めることができる。磁性細線41Bによる光LBのカー回転角をθk1、磁性細線42Bによる光LGのカー回転角をθk2、磁性細線43Bによる光LRのカー回転角をθk3と表し、θk1,θk2,θk3のいずれかを特定しない場合にカー回転角θkと称する。
電極5nと電極5pは、外部の電源(パルス電流源7)から磁性細線4Bに電流を細線方向に供給するために、磁性細線4Bの端子として一端と他端に接続し、その構成は、第1実施形態で説明した通りである。基板6(61,62,63)および絶縁層64は、それぞれ第1実施形態で説明した通りである。
空間光変調器10Bは、後記するように、X方向において、第1層空間光変調器11B、第2層空間光変調器12B、第3層空間光変調器13Bの順に、画素長p1x,p2x,p3xが長くなり、したがって、画素領域IA1,IA2,IA3の順にX方向長が長くなる。すなわち、磁性細線41B,42B,43Bの順に画素列の細線長が長くなるように形成される。さらに、第2、第3層空間光変調器12B,13Bは、上層の第1、第2層空間光変調器11B,12Bと比較して、画素領域IA2,IA3に対してX方向に余分に大きく形成され、空間光変調器10Bは、X方向両端が階段状に形成される。このような構造によって、最上層の第1層空間光変調器11Bの磁性細線41Bの両端に接続した電極51だけでなく、その下の、第2層空間光変調器12Bの電極52および第3層空間光変調器13Bの電極53が、上面に露出して外部の電源(パルス電流源7)と接続することができる。さらに、磁性細線42Bの書込領域42w、磁性細線43Bの書込領域43wも、その上の第1、第2層空間光変調器11B,12B(基板61,62)のX方向外側に配置されて、上に絶縁層64のみが設けられているので、同じく外部の磁化手段8を対向させて磁界MFを印加されることができる(図4参照)。また、第1、第2層空間光変調器11B,12Bは、X方向長が最大の第3層空間光変調器13Bの画素領域IA3に入出射する光LRi,LRoを磁化手段8や電極51,52で遮らないように、書込領域41w,42wの位置および磁性細線41,42の長さを設計する。
また、磁性細線42Bに入射する光LGiおよび磁性細線42Bから反射した光LGoが上層の第1層空間光変調器11Bを透過する際に、磁性細線41Bに遮られないように、または磁性細線41Bを透過して光学的作用を受けないように、これらの光LGi,LGoの光路上に磁性細線41Bが配置されないように、磁性細線41Bと磁性細線42Bの平面視における位置関係を設計する。同様に、磁性細線43Bに入射する光LRiおよび磁性細線43Bから反射した光LRoの光路上に磁性細線41B,42Bが配置されないように、磁性細線41B,42Bと磁性細線43Bの位置関係を設計する。具体的には、光LGi,LRi(光LWi)のY方向における入射角が0°の場合において、磁性細線41B,42B,43Bが互いに平面視で重ならないように、Y方向にずらして配置する。したがって、単色空間光変調器11B,12B,13Bは、それぞれ磁性細線41B,42B,43Bを、共通のピッチpYで並設し、pY≧W1+W2+W3に設計される。前記入射角が大きいほど、磁性細線41B,42B,43Bの平面視での(Y方向の)間隙を広く設けて、ピッチpYを大きくする。言い換えると、空間光変調器10Bは、画素のY方向長を小さくし、また、開口率を高くするために、入射光LWiのY方向における入射角が小さいことが好ましく、0°すなわちY方向に垂直に入射することが最も好ましい。また、画素領域IA1,IA2,IA3からの出射光LBo,LGo,LRoの各中心が略一致するように、第1、第2、第3層空間光変調器11B,12B,13Bが配置されて積層していることが好ましく、ここでは、X方向において画素領域IA1,IA2,IA3の各中心が一致するように配置されている。
次に、第1、第2、第3層空間光変調器11B,12B,13Bの画素サイズ等について、詳細に説明する。空間光変調器10Bは、第1実施形態に係る空間光変調器10と同様に、ホログラフィ装置の表示デバイスである。そのために、第1層空間光変調器11Bは、磁性細線41Bに入射した光LBiが画素の開口部や磁区Dgの磁化方向に応じて旋光すると共に、開口部で反射した出射光LBoが偏光子(検光子)PFoを透過すると回折光となるように、画素の開口部および磁区DgのX方向長s1x、p1x-s1xを、光LBの中心波長λBに基づいて下式(16)、(17)の範囲に設定される。同様に、第2層空間光変調器12Bは、画素の開口部および磁区DgのX方向長s2x、p2x-s2xを、光LGの中心波長λGに基づいて下式(18)、(19)の範囲に設定される。そして、第3層空間光変調器13Bは、画素の開口部および磁区DgのX方向長s3x、p3x-s3xを、光LRの中心波長λRに基づいて下式(20)、(21)の範囲に設定される。
λB/2≦s1x<λB ・・・(16)
p1x-s1x≧λB/2 ・・・(17)
λG/2≦s2x<λG ・・・(18)
p2x-s2x≧λG/2 ・・・(19)
λR/2≦s3x<λR ・・・(20)
p3x-s3x≧λR/2 ・・・(21)
また、画素長pの空間光変調器を用いたホログラフィ装置において、画素から出射する波長λの光の回折角φは、下式(7)で表される。空間光変調器10Bにおいて、単色空間光変調器11B,12B,13Bは、偏光子PFoを透過したそれぞれの出射光LBo,LGo,LRoの回折角φが一致するように、画素の開口部のピッチすなわち画素長p1x,p2x,p3xが、それぞれの変調する光LB,LG,LRの中心波長λB,λG,λRに対する比で一致する(下式(22))。このような構成によって、詳しくは後記するように、それぞれに割り当てられた単色空間光変調器11B,12B,13Bで反射した光のみを有効な出射光LBo,LGo,LRoとして、立体像を結像することができる。したがって、入射光LBi,LGi,LRiを一体の白色光LWiとして、空間光変調器10Bに入射することができる。また、ホログラフィ装置において、画素長pが波長λの半波長の倍数であるとき、画素毎の出射光同士が特に強く干渉し合う。したがって、単色空間光変調器11B,12B,13Bは、画素のX方向長p1x,p2x,p3xがそれぞれの変調する光LB,LG,LRの半波長λB/2,λG/2,λR/2の倍数であることが好ましい。
φ=sin-1(λ/2p) ・・・(7)
p1x/λB=p2x/λG=p3x/λR ・・・(22)
また、下式(9)で表されるように、ホログラフィ装置における波長λの光の視域角Ψは、画素長pが小さい(短い)ほど広くなる。したがって、空間光変調器10Bは、画素長p1x,p2x,p3xが小さいほど、X方向に視域角Ψx(図12参照)が広くなる。空間光変調器10Bの画素数やホログラフィ装置20の用途等にもよるが、X方向を水平(H)方向として観察者が両眼で立体像の全体を視認することができるように、画素長pxが入射光Liの中心波長λの4倍以下(Ψx≧14.36°)であることが好ましく、2倍以下(Ψx≧28.95°)であることがより好ましい。なお、式(16)~(21)より、画素長pxが最小となるのは、p1x=λB、s1x=λB/2、p2x=λG、s2x=λG/2、p3x=λR、s3x=λR/2であり、このとき、Ψx=60°となる。
Ψ=2sin-1(λ/2p) ・・・(9)
第1光学フィルタLF1は、光LBを吸収して光LG,LRを透過する。第2光学フィルタLF2は、光LGを吸収して光LRを透過する。光学フィルタLF1,LF2は、公知の吸収型光学フィルタを適用することができ、波長選択性を有する光吸収物質を分散させたガラスや、誘電体多層膜等からなる。第1光学フィルタLF1は、磁性細線41Bと磁性細線42Bの層間に配置され、第1層空間光変調器11Bの磁性細線41B,41B間の絶縁層64に入射した光LBiを、磁性細線42Bや磁性細線43Bに入射させないために設けられる。第2光学フィルタLF2は、磁性細線42Bと磁性細線43Bの層間に配置され、第2層空間光変調器12Bの磁性細線42B,42B間の絶縁層64に入射した光LGiを、磁性細線43Bに入射させないために設けられる。したがって、光学フィルタLF1,LF2は、最下層の第3層空間光変調器13Bの画素領域IA3に入射する光LWiの光路全体に設けられるような平面視サイズおよび配置とする。例えば、入射光LWiの入射角αが0°であれば、光学フィルタLF1,LF2は、平面視で画素領域IA3全体と重複していればよい。空間光変調器10Bは、光学フィルタLF1,LF2を備えることにより、光LBが磁性細線42B,43Bに、光LGが磁性細線43Bに、それぞれ到達(透過、反射)して出射することを防止する。
(空間光変調器の製造方法)
本実施形態に係る空間光変調器10Bは、第1実施形態に係る空間光変調器10と同様に、単色空間光変調器11B,12B,13Bのそれぞれを製造して、間に光学フィルタLF1,LF2を挟んで重ね合わせて得られる。また、第1光学フィルタLF1は、第2層空間光変調器12B上または第1層空間光変調器11Bの基板61裏面上に、誘電体多層膜を積層して形成してもよく、同様に、第2光学フィルタLF2は、第3層空間光変調器13B上または第2層空間光変調器12Bの基板62裏面上に形成してもよい。
〔ホログラフィ装置〕
本実施形態に係る空間光変調器10Bは、第1実施形態に係る空間光変調器10に代えて、図5に示すホログラフィ装置20に使用することができる。ホログラフィ装置20は水平視差型であり、そのために、空間光変調器10Bは、X方向(磁性細線41B,42B,43Bの細線方向)が水平(H)方向を表示するように配置される。また、磁性細線4Bが垂直磁気異方性材料からなる場合、空間光変調器10Bへの入射光LWiの入射角α(0°≦α<90°)は、α≦30°であることが好ましい。一方、光学フィルタLF1,LF2が入射角依存性を有する場合には、それに対応した入射角α(>0°)に設定する。なお、前記したように、空間光変調器10Bにおいては、Y方向に垂直に入射すること、すなわち非垂直に入射する場合にはX方向にのみ傾斜させることが好ましい。
(空間光変調器の駆動方法)
空間光変調器10Bの単色空間光変調器11B,12B,13Bのそれぞれの画素を、画像データに基づいた磁化方向にする(書込みをする)方法は、第1実施形態と同様であり、磁界印加方式、スピン注入磁化反転方式のいずれでも行うことができる。ただし、本実施形態においては、各画素に下向きの磁化方向の磁区Dgを生成するため、1画素あたり2パルスで書込みをし、1パルスおきに、入力された信号に基づいて画素の開口部の書込みをする。なお、「暗」の画素を開口部において磁区Dgと同じ下向きの磁化方向に設定し、「明」の画素を開口部において上向きの磁化方向に設定する。また、画素の開口部と磁区DgのX方向長は、パルス電流源7が供給するパルス電流のパルス幅(ピーク期間)によって設定され、X方向長が互いに異なる場合には、1パルスずつ交互にパルス幅を変える。
(ホログラフィ装置の動作)
第2実施形態に係る空間光変調器を使用したホログラフィ装置によるフルカラーの立体像の再生を、空間光変調器の光変調動作を含めて図11、図12、および図5を参照して説明する。図11においては、光LBi,LBo、光LGi,LGo、および光LRi,LRoは、ハッチングを付した、または白抜きの矢印で表す。図12では、簡潔に表すために、単色空間光変調器1Bは磁性細線4Bの画素列部分のみを示し、X方向に8画素を備える構成で例示され、また、図10と同様に、磁性細線4B内に付した矢印は磁化方向を表し、さらに、磁化方向の異なる磁区を網掛けの有無で表す。
多波長光源装置2から入射光LWiが上方から空間光変調器10Bに照射されると、図11に示すように、最上層の第1層空間光変調器11Bに入射し、入射光LWiのうちの光LBiが磁性細線41Bで反射して、出射光LBoとなって空間光変調器10Bの上方へ出射される。また、磁性細線41B,41B間の絶縁層64に入射した入射光LWiは、絶縁層64およびその下の基板61を透過し、第1光学フィルタLF1に入射する。第1光学フィルタLF1に入射した入射光LWiのうちの光LBiは第1光学フィルタLF1に吸収され、光LGi,LRiは透過してその下の第2層空間光変調器12Bに入射する。光LGiは磁性細線42Bで反射して、出射光LGoとなって上方へ出射される。出射光LGoは、入射光LGiと同様に第1光学フィルタLF1、第1層空間光変調器11Bを順次透過して空間光変調器10Bの上方へ出射される。また、磁性細線42B,42B間の絶縁層64に入射した光LGi,LRiは、絶縁層64およびその下の基板62を透過し、第2光学フィルタLF2に入射する。第2光学フィルタLF2に入射した光LGiは第2光学フィルタLF2に吸収され、光LRiは透過してその下の第3層空間光変調器13Bに入射する。光LRiは磁性細線43Bで反射して、出射光LRoとなって上方へ出射される。出射光LRoは、入射光LRiと同様に第2光学フィルタLF2、第2層空間光変調器12B、第1光学フィルタLF1、第1層空間光変調器11Bを順次透過して空間光変調器10Bの上方へ出射される。一方、磁性細線43B,43B間の絶縁層64に入射した光LRiは、絶縁層64を透過し、さらにその下の基板63を透過して裏面から出射するか基板63に吸収される。
次に、本実施形態に係る空間光変調器の光変調動作、および単色空間光変調器による単色光の立体像の再生を、図12を参照して説明する。磁性細線4Bは、空間光変調器の駆動方法で説明した書込みによって、その細線方向に磁区が分割され、磁区毎に上向きまたは下向きの磁化方向を示している。図12に示す断面においては、左から5、6番目の画素の開口部に下向きの磁化方向の磁区、それ以外の画素の開口部に上向きの磁化方向の磁区が生成している。したがって、磁性細線4Bは、左から4番目の画素から6番目の画素の領域にかけて、磁化方向が下向きの1つの長い磁区が生成され、それ以外の領域においては、磁化方向が上向きと下向きの短い磁区が交互に生成されている。この単色空間光変調器1Bに、1つの偏光成分かつ平行光である光Liが上方から入射すると、磁性細線4Bで反射して、Y方向長が磁性細線4Bの幅Wの出射光Loを上方へ出射する。出射光Loは、磁気光学効果によって、磁性細線4Bの入射した領域における磁化方向に応じて、偏光の向きが変化し、磁化方向が上向きの磁区では角度+θk、下向きの磁区では角度-θkで回転する。図12では、入射光Liは、直線状の矢印で表し、さらに偏光の向きを表す両矢印を付す。また、出射光Loは、磁性細線4Bの各磁区から出射する直線状の矢印で表し、偏光の向きを表す両矢印を付し、また、入射光Liに対して角度-θkで回転した偏光の方向をY方向とする。
空間光変調器10B(単色空間光変調器1B)の上方には、偏光子PFoが、磁化方向が下向きの磁区Dgから出射したY方向の偏光を遮光するように配置されている。したがって、出射光Loは、画素の開口部の磁化方向が上向きの磁区から出射した光のみが偏光子PFoを透過する。上向きの磁区のX方向長sxは波長λよりも小さいので、偏光子PFoを透過した出射光Loは、X方向に回折して拡がり、Y方向に沿った円筒波(柱面波)となる。図12では、出射光Loは、偏光子PFoから発散して出射する直線状の矢印で表す。磁性細線4Bにおいては、上向きの磁区が下向きの磁区Dgを挟んで入射光Liの波長λの数倍以下のピッチpxで配列されているので、偏光子PFoで発散した光Loは、干渉によって同位相で強め合う。図12では、この複数の光が干渉した光の波面を波線で表す。そして、偏光子PFoを透過した出射光Loは、偏光子PFoの出射面から所定の距離の位置に、単色光の像vIを結像する。
このように、本実施形態に係る空間光変調器10Bを使用したホログラフィ装置20においては、偏光子PFoは、入射光Liの波長λ未満の幅のスリットが波長λの数倍以下のピッチで形成された一次元の回折格子として作用する。このスリットの幅およびピッチは磁性細線4Bに生成した磁区に依存するので、空間光変調器10Bから出射した出射光LBo,LGo,LRoのそれぞれについて、1つの偏光子PFoを透過した光は回折角φが揃い、また、それぞれの光色の像vIB,vIG,vIRを結像することができる。また、偏光子PFoの出射面が、像vIB,vIG,vIRの共通のホログラム面となる。これら3つの像vIB,vIG,vIRは、出力光学系3の拡大光学系31によって所望の寸法やアスペクト比に拡大または縮小されて同じ位置で結像し、混色してフルカラーの立体像VIとなる。したがって、第1実施形態と同様、ホログラフィ装置20は、空間光変調器10Bの出射光LBo,LGo,LRoによるそれぞれの像vIB,vIG,vIRを同じ位置、同じ寸法に揃えて結像しなくてもよく、出力光学系3の出力側で結像位置および寸法が揃うように、拡大光学系31によって補正されればよい。
本実施形態に係る空間光変調器10Bは、磁性細線41B,42B,43Bを互いに細線幅方向にずらして配置し、さらに、磁性細線41Bと磁性細線42Bの層間、磁性細線42Bと磁性細線43Bの層間に、それぞれ光学フィルタLF1,LF2を設けることにより、磁性細線41Bによってのみ変調した光LBo、磁性細線42Bによってのみ変調した光LGo、および磁性細線43Bによってのみ変調した光LRoを取り出すことができる。なお、磁性細線41Bが光LGや光LRを反射させる場合、幅W1をW1<λGに、より好ましくはW1<λGminに設計して、その反射光を磁性細線42Bで反射した光LGoよりも弱くすることができる。同様に、磁性細線42Bが光LRを反射させる場合、幅W2をW2<λRに、より好ましくはW2<λRminに設計する。あるいは、磁性細線41Bに入射する光LWiの光路上に、具体的には磁性細線41Bの上面に、光LBを透過し、かつ光LG,LRを吸収する誘電体多層膜を形成してもよい。同様に、磁性細線42Bの上面に、光LGを透過し、かつ光LRを吸収する誘電体多層膜を形成してもよい。
(変形例)
第1光学フィルタLF1は、磁性細線42B,43Bのそれぞれの上面に限定して設けられてもよく、磁性細線42B上には、光LGを透過し、かつ光LBを吸収する誘電体多層膜を、磁性細線43B上には、光LRを透過し、かつ光LBを吸収する誘電体多層膜を、それぞれ形成する。さらに、磁性細線43B上の前記誘電体多層膜は、光LGも吸収する構造として、第2光学フィルタLF2とすることができる。
磁性細線43Bが光LGを反射しない、すなわち透過または吸収するのであれば、空間光変調器10Bは第2光学フィルタLF2を設けなくてよい。また、磁性細線42Bが光LBを反射しないのであれば、空間光変調器10Bは、第1光学フィルタLF1を、磁性細線41B,42Bの層間ではなく、磁性細線42B,43Bの層間に配置してもよい。さらに、磁性細線42B,43Bが共に光LBを反射しないのであれば、空間光変調器10Bは第1光学フィルタLF1を設けなくてよい。
磁性細線41Bが、光LG,LRを透過しかつその際に変調させず、また、磁性細線42Bが、光LRを透過しかつその際に変調させないのであれば、空間光変調器10Bは、平面視で磁性細線41B,42B,43Bが重なって配置されていてもよい。このような構成であれば、画素のY方向長pYを細線幅の合計(W1+W2+W3)よりも小さく設計して、Y方向に高精細化することができる。さらに、単色空間光変調器11B,12B,13Bで、互いに異なる画素長p1y,p2y,p3yに設計することができる。また、第1実施形態の変形例に係る空間光変調器10Aの単色空間光変調器1A(図8参照)のように、磁性細線4Bが1本ずつ交互に段違いで配置された構造とすることができる。
空間光変調器10Bは、磁区Dgを上向きの磁化方向に設定してもよく、この場合には「明」の画素を下向きの磁化方向の磁区とし、また、ホログラフィ装置20において、偏光子PFoが、磁化方向が上向きの磁区から出射した光を遮光するように配置される。また、偏光子PFoを透過する偏光方向の出射光LBo,LGo,LRoを出射する磁区の磁化方向が単色空間光変調器11B,12B,13Bで異なっていてもよく、この場合には、単色空間光変調器11B,12B,13Bで個別に、磁区Dgおよび明/暗の画素の磁化方向を設定する。また、磁性細線41B,42B,43Bの各カー回転角θk1,θk2,θk3の大きさが互いに異なっていてもよい。これらの場合には、出射光LBo,LGo,LRoそれぞれの、偏光子PFoで遮光される方の偏光が同じ向きに揃うように、入射光LBi,LGi,LRiの偏光の向きを個別に調整する。そのために、多波長光源装置2が、偏光子PFiをレーザー光源21,22,23毎に備えて、合成光学系DPで合成される前の光LB,LG,LRをそれぞれ所定の偏光のLBi,LGi,LRiにする。
前記したように、本実施形態においては、偏光子PFoの出射面が、像vIB,vIG,vIRの共通のホログラム面となる。ただし、出射光LBo,LGo,LRoのそれぞれのための偏光子を出射方向に並べて配置してもよく、像vIB,vIG,vIRでホログラム面をずらして、出力光学系3の出力側で結像位置および寸法を揃えることができる。このような偏光子は、波長選択性を有して、特定の波長域以外の光は、偏光方向にかかわらず透過させる。あるいは、出射光LBo,LGo,LRoで遮光する偏光方向を異なるものとして、それぞれの前記偏光方向に合わせて偏光子を配置する。この場合には、透過させる偏光(「明」の画素の開口部からの出射光Lo)が他の偏光子で遮光されないように設定する。
本実施形態に係る空間光変調器10Bは、第1実施形態に係る空間光変調器10と同様に、基板61等を光の入射側に向けて重ね合わされていてもよく、また、基板61または基板63の1枚の基板6のみを備える構造とすることができる。また、空間光変調器10Bは、単色空間光変調器1Bが3つに限られず、2または4以上重ね合わされて備えられてもよい。ホログラフィ装置20は、空間光変調器10BをX方向やY方向に2以上配列して備えてもよい。
以上のように、本発明の第2実施形態およびその変形例に係る空間光変調器によれば、第1実施形態と同様に、高精細かつ小型であり、複数の波長域の光をまとめて同時に入射されてそれぞれを個別に変調して出射することができる単板型フルカラー空間光変調器を構成できる。そして、前記空間光変調器を使用したホログラフィ装置によれば、明るいフルカラーの再生像が広い視域角で得られる。
以上、本発明の空間光変調器を実施するための各実施形態について述べてきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。
10,10A,10B 空間光変調器
11,11A,11B 第1層空間光変調器(画素アレイ)
12,12A,12B 第2層空間光変調器(画素アレイ)
13,13A,13B 第3層空間光変調器(画素アレイ)
1,1A,1B 単色空間光変調器
20 ホログラフィ装置
2 多波長光源装置
3 出力光学系
4,4B 磁性細線
41,41B 磁性細線
42,42B 磁性細線
43,43B 磁性細線
5n,5p 電極
51n,51p 電極
52n,52p 電極
53n,53p 電極
6 基板
61 基板
62 基板
63 基板
64 絶縁層
7 パルス電流源
8 磁化手段
91 第1駆動部
92 第2駆動部
93 第3駆動部

Claims (10)

  1. 複数の波長域の光を入射光とし、画素がx方向とy方向とに二次元配列した画素アレイを前記入射光の入射方向に複数重ねて備え、前記入射光の偏光方向を前記波長域毎に2値の角度に変化させて反射して出射する空間光変調器であって、
    前記画素アレイのそれぞれは、x方向に延伸した磁性細線を並設して前記磁性細線のそれぞれにその細線方向に一列に配列した画素が区画され、前記入射光における互いに異なる固有の波長域の光を前記磁性細線によって旋光して反射し、前記固有の波長域の中心波長の定数倍のピッチで前記磁性細線を並設していることを特徴とする空間光変調器。
  2. 複数の波長域の光を入射光とし、画素がx方向とy方向とに二次元配列した画素アレイを前記入射光の入射方向に複数重ねて備え、前記入射光の偏光方向を前記波長域毎に2値の角度に変化させて反射して出射する空間光変調器であって、
    前記画素アレイのそれぞれは、x方向に延伸した磁性細線を並設して前記磁性細線のそれぞれにその細線方向に一列に配列した画素が区画され、前記入射光における互いに異なる固有の波長域の光を前記磁性細線によって旋光して反射し、前記画素のx方向長が前記固有の波長域の中心波長の定数倍であり、
    前記磁性細線は、前記画素のそれぞれがさらに細線方向に2つに区画されてその同じ側の1つの領域において前記2値の角度の所定の一方に旋光することを特徴とする空間光変調器。
  3. 前記画素アレイのそれぞれは、前記磁性細線を同一ピッチで並設し、
    前記画素アレイの前記固有の波長域の光が、当該画素アレイの前記磁性細線に入射する前および反射した後に、前記入射光の入射する側に配置された他の前記画素アレイの前記磁性細線に入射しないことを特徴とする請求項2に記載の空間光変調器。
  4. 前記画素アレイは、前記入射光の入射する側の反対側に配置された他の前記画素アレイのそれぞれの前記固有の波長域の光を透過することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空間光変調器。
  5. 前記画素アレイは、前記並設した磁性細線が1本ずつ交互に段差を設けて段違いで配置され、前記段差における前記入射光の光路長が、当該画素アレイの前記固有の波長域の光の中心波長の1/2の倍数であることを特徴とする請求項4に記載の空間光変調器。
  6. 前記定数倍の定数は、1/2の倍数であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の空間光変調器。
  7. 前記画素アレイは、前記磁性細線が、中心波長λ1の第1の波長域の光を旋光して反射する磁性体で形成された第1の画素アレイと、
    前記第1の画素アレイの光の入射面に対面して配置されて前記第1の波長域の光を透過し、前記磁性細線が、中心波長λ2の第2の波長域の光を旋光して反射する磁性体で形成された第2の画素アレイと、
    前記第2の画素アレイの光の入射面に対面して配置されて前記第2の波長域の光および前記第1の波長域の光を透過し、前記磁性細線が、中心波長λ3の第3の波長域の光を旋光して反射する磁性体で形成された第3の画素アレイと、であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の空間光変調器。
  8. 前記画素アレイは、前記入射光の入射する側から配置された順に、短波長から長波長へそれぞれの波長域の光を旋光して反射することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の空間光変調器。
  9. 前記画素アレイ同士の間に、光学フィルタをさらに備え、
    前記光学フィルタは、前記入射光の入射する側に対面する前記画素アレイの前記固有の波長域の光を吸収または反射し、前記入射光の入射する側の反対側に配置されたすべての前記画素アレイのそれぞれの前記固有の波長域の光を透過することを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の空間光変調器。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の空間光変調器と、
    前記空間光変調器の画素アレイの磁性細線を、前記画素の一つとして2値の磁化方向にする磁化手段と、
    前記磁性細線に、当該磁性細線に生成している磁区を細線方向に移動させるパルス電流を供給する電流供給手段と、
    前記空間光変調器へ複数の波長域の光を照射する多波長光源と、
    前記空間光変調器からの出射光が入射する偏光フィルタと、を備えるホログラフィ装置。
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