JP5054636B2 - 光変調素子、光変調器、表示装置、ホログラフィ装置及びホログラム記録装置 - Google Patents

光変調素子、光変調器、表示装置、ホログラフィ装置及びホログラム記録装置 Download PDF

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Description

本発明は、磁化方向の変化を利用した光変調素子、この光変調素子を用いた光変調器、この光変調器を用いた表示装置、ホログラフィ装置及びホログラム記録装置に関する。
光変調器としては、液晶や、MEMS(Micro-Electromechanical System)と呼ばれる半導体の微細加工技術を応用して作製されるDMD(Digital Micro-Mirror Device)を用いたものが知られている(例えば、非特許文献1、2参照)。液晶方式は、一般に、液晶分子の配向を電圧印加により反転(回転)させて光の透過をコントロールしている。また、DMD方式は、画素に対応した10μm程度のミラーアレイを機械的に動かすことにより、光を変調している。
しかしながら、液晶方式は、ホログラフィ装置やホログラム記録装置への応用を考えた場合に、画素の精細さや動作の高速応答性の点で問題がある。具体的には、高速型液晶と呼ばれているOCB(Optically Compensated Bend)液晶でも、応答速度は数ミリ秒に止まっている。また、液晶方式では、画像保持のためにTFT(薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)が必要で、高コントラストを確保するために液晶層として少なくとも2μm程度の厚さが必要であり、しかも、このような液晶層を2枚の透明板材で挟む必要があるために、最小の画素サイズとしては数ミクロン角が限度と言われている。他方、DMD方式では、応答速度は数マイクロ秒と速いものの、画素の大きさはMEMSの精度で決まり、十数ミクロン角程度が限界であるという問題がある。
そこで、磁性膜における磁化の向きの変化を用いた光変調素子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に開示された光変調素子は、磁化の向きをスピン注入磁化反転によって反転させ、入射光の偏光面をカー効果により回転させることによって光を変調するものであり、数ナノ秒という高速応答性と、サブミクロンサイズの画素による高精細な光変調を可能とするものである。
特開2008−83686号公報 H.Kawai,M.Miyasaka,A.Miyazaki,S.Nebashi&T.Shimada,"Flexible Active-Matrix Electrophoretic Displays for Electronic Paper Applications", Proc. IDW2005, pp883-886(2005) J. Grimmett and J. Huffman, "Advancements in DLP Technology: The New 10.6μm Pixel and Beyond", Proc. IDW2005, pp1879-1882(2005)
しかしながら、特許文献1に開示された光変調方法では、光変調の大きさが大きくはない、つまり磁気光学効果が小さいという問題がある。この問題を解決する1つの方法としては、磁性膜の膜厚を厚くして磁気光学効果を高める方法があるが、このような方法を用いると、反転電流が大きくなってしまう問題が生じる。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、スピン注入磁化反転素子構造を有し、大きな磁気光学効果を示す光変調素子、この光変調素子を用いて構成される光変調器、この光変調器を用いて構成される表示装置、ホログラフィ装置及びホログラム記録装置を提供することを目的とする。
本発明に係る光変調素子は、固定磁化膜層と、非磁性中間膜層と、自由磁化膜層とがこの順序で積層されたスピン注入磁化反転素子構造を有し、前記固定磁化膜層と前記自由磁化膜層における磁化の方向が膜面に垂直な方向であり、前記自由磁化膜層における磁化状態を変化させることによって前記自由磁化膜層へ入射する光の偏光軸に対してその反射光の偏光軸を回転させる光変調素子であって、前記自由磁化膜層は、コバルト膜層と白金膜層とが交互に積層された構造を有することを特徴とする。
前記した特許文献1に開示されたスピン注入磁化反転素子では、自由磁化膜層の磁化方向が膜面と平行な方向であるために、磁気光学効果(ファラデー効果及びカー効果)を大きくするためには、入射角を大きくしなければならない。しかし、入射角を大きくしすぎると全反射が生じて自由磁化膜層に光が入射できなくなる。これに対して、本発明に係る光変調素子では、自由磁化膜層の磁化方向を膜面に対して垂直にしているために、入射角を小さくして光の入射方向と磁化の方向とを平行に近付けることが容易となるため、大きな磁気光学効果を得ることができる。さらに自由磁化膜層をコバルト膜層と白金膜層とが交互に積層された構造とすることで、さらに大きな磁気光学効果が得られる。これにより光変調によって得られる光のコントラストを高めることができるため、より鮮明な画像や映像等の表現が可能となる。
本発明に係る光変調素子においては、前記自由磁化膜層の保磁力が前記固定磁化膜層の保磁力よりも小さいことが好ましい。
このような構成により、固定磁化膜層の磁化が安定するため、スピン注入磁化反転動作(自由磁化膜層における磁化の向きの反転と維持)を安定して行うことができるようになる。
また、本発明に係る光変調素子においては、前記固定磁化膜層もまた、コバルト膜層と白金膜層とが交互に積層された構造を有することが好ましい。
このような構成により、自由磁化膜層の保磁力に対する固定磁化膜層の保磁力の設定が容易となる。なお、光変調素子を構成するコバルト膜層と白金膜層とは連続して成膜することができるため、製造が容易である。
前記自由磁化膜層を構成するコバルト層の1層の厚さが、前記固定磁化膜層を構成するコバルト層の1層の厚さよりも薄いことを特徴とする。
このような構成により、自由磁化膜層の保磁力が固定磁化膜層の保磁力よりも小さい光変調素子の製造が容易となる。
本発明に係る光変調器は、このような光変調素子が二次元アレイ状に配置されてなることを特徴とする。
本発明に係る光変調素子は、微細化が可能で高速応答性を有するため、このような構成によれば、高精細な光変調を高速で行うことができる。
本発明に係る表示装置は、前記した光変調器と、この光変調器から出射した光を投影するスクリーンとを備えたことを特徴とする。
このような構成によれば、速い表示速度で高精細な画像・映像表現が可能となる。
本発明に係るホログラフィ装置は、物体光と参照光とによって形成された干渉縞を撮像する撮像手段と、前記撮像手段に記録された画像信号を前記した光変調器を用いて再生する画像再生手段と、を具備することを特徴とする。
このような構成によれば、速い表示速度で高精細な立体画像を再現することができる。
本発明に係るホログラム記録装置は、所定の情報を信号光と参照光の2系統の光を用いて記録媒体に記録するホログラム記録装置であって、前記した光変調器と、前記2系統の光が前記記録媒体に入射する際の当該記録媒体での状態変化を位相情報として検出する撮像手段と、を備え、前記撮像手段が検出した前記位相情報に基づき、前記2系統の光のうちの少なくとも1系統の光変調を、前記光変調器を用いて行うことを特徴とする。
このような構成によれば、記録の多重度を格段に向上させることができ、前記2系統の光の光変調をそれぞれ前記光変調器を用いて行うことにより、この効果をさらに向上させることができる。
本発明に係る光変調素子によれば、スピン注入磁化反転素子構造を用い、その自由磁化膜層をその磁化の方向を膜面に対して垂直な方向とすると共にコバルト膜層と白金膜層とが交互に積層された構造とすることで、大きな磁気光学効果を得ることができる。また、固定磁化膜層の保磁力と自由磁化膜層の保磁力の設定が容易であり、これらの保磁力を適切に設定することにより、安定したスピン注入磁化反転動作が可能になる。本発明によれば、このような光変調素子の特性に起因する高速応答性と高精細かつ高コントラストな光変調特性とを備えた光変調器や表示装置、ホログラフィ装置、ホログラム記録装置を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
《光変調器−第1実施形態》
<全体構造>
図1(a)に本発明の第1実施形態に係る光変調器の概略構成を表した平面図を示し、図1(b)に図1(a)のA−A断面図を示し、図1(c)に光変調器に用いられている光変調素子の概略構造を表した断面図を示す。また、図2に光変調素子による光変調の一形態を模式的に表した図を示す。
図1(a),(b)に示すように、光変調器10は、基板14と、基板14上に一定間隔で平行に設けられた帯状の下部電極13と、下部電極13上に一定間隔で設けられた光変調素子11と、下部電極13とで光変調素子11を挟むように一定間隔で平行に設けられた帯状の上部透明電極12と、を備えている。光変調素子11間には、図1(b)に示すように、絶縁体15(図1(a)に図示せず)が設けられている。図2に示すように、光変調器10の上空には、偏光フィルタ17,18が配置されている。
図1(a)に示されるように、光変調器10の駆動(動作)は制御装置80によって制御され、実行される。制御装置80は、複数の下部電極13の中から電圧を印加する電極を選択する下部電極選択部82と、複数の上部透明電極12の中から電圧を印加する電極を選択する上部電極選択部83と、下部電極選択部82と上部電極選択部83とに電力を供給する電源81と、下部電極選択部82と上部電極選択部83及び電源81の動作制御を司る制御部84とを備えている。
次に、光変調器10を構成する各構成要素について説明する。ここでは光変調器10として、図2に示されるように、磁気光学効果の1つであるカー効果を利用するものを示している。すなわち、光変調器10では、上部透明電極12を通して光変調素子11に入射した光を光変調素子11で光変調し、その反射光が検出される。そこで、以下における光変調器10の各構成要素についての説明では、カー効果を利用するに好ましい形態に絞って説明することとする。なお、磁気光学効果としてファラデー効果を利用する光変調器の一実施形態については後記する。
<基板>
基板14は、下部電極13、光変調素子11及び上部透明電極12を形成するための土台となるものである。光変調器10では光変調素子11に入射した後に反射される光を利用するため、基板14に透光性は要求されず、下部電極13、光変調素子11及び上部透明電極12を形成(成膜)する際の成膜環境に耐えられるものであればよい。したがって、基板14としては、Siウエハ、ガラス基板、セラミックス基板等を用いることができる。
<下部電極>
下部電極13は、光変調素子11に電圧を印加するための一対の電極の片方の電極である。光変調器10では、光変調素子11を縦横に一定間隔で二次元配置する構成としているため、下部電極13は、帯状の形状を有し、一定幅かつ一定間隔で基板14上に設けられている。光変調器10では光変調素子11に入射した後に反射される光を利用するため、下部電極13に透光性は要求されず、下部電極13を構成する材料としては、安価で導電性に優れた銅(Cu)が好適に用いられる。但し、これに限定されるものではなく、金(Au)や白金(Pt)等の貴金属を用いてもよい。下部電極13の幅は、下部電極13上に形成する光変調素子11の形状に合わせて、適宜、定められる。
<上部透明電極>
上部透明電極12は、光変調素子11に電圧を印加するための一対の電極の片方の電極である。光変調器10では、縦横に一定間隔で二次元配置された光変調素子11の中から選ばれる任意の素子に電圧を印加することができるように、上部透明電極12は、一定幅の帯状形状を有し、その長手方向が下部電極13の長手方向と直交するように、一定間隔で平行に配置されている。上部透明電極12としては、IZOやITO、ZnO、SiO、TiO、導電性高分子材料等の透明電極材料が好適に用いられる。
<光変調素子>
光変調素子11は、下部電極13と上部透明電極12との間に一定の電圧を印加したときに、光変調素子11に入射した入射光の偏光面をカー効果により一定角度回転させて反射する役割を担う。光変調素子11の平面視〔図1(a)〕での大きさは、例えば、100nm×300nmとすることができる。光変調器10では、光変調素子11は二次元マトリックス状(縦横に一定間隔で二次元配置された状態)に配置されており、1個の光変調素子11が1画素となっているが、1画素を2個以上の光変調素子11から構成することも可能である。光変調素子11の形状は長方形(矩形)に限定されるものではない。光変調素子11同士の間隔は、上部透明電極12、下部電極13及び光変調素子11の成膜技術(後述するように、半導体製造プロセスが好適に用いられる)の精度に依存し、適宜、定められる。
光変調素子11としては、所謂、スピン注入磁化反転素子構造を有するもの、より具体的には、CPP−GMR型、スピンバルブ型またはトンネル電流型の磁化反転素子が用いられる。図1(c)に示されるように、光変調素子11は、下部電極13側から、固定磁化膜層22、非磁性中間膜層23、自由磁化膜層24が逐次積層された構造を有しており、自由磁化膜層24の表面に上部透明電極12が設けられている。光変調器10は、このような光変調素子11を二次元マトリックス状に配置することにより、メサ構造を有している。
固定磁化膜層22と自由磁化膜層24には、垂直磁化材料が用いられる。これにより光変調素子11への光の入射角を小さくして、光の入射方向と磁化の方向とを平行に近付けることが容易となり、大きな磁気光学効果を得ることができる。図2において、固定磁化膜層22と自由磁化膜層24にそれぞれ示されている矢印は、磁化の向き(スピンの向き)を表しており、各膜層における磁化方向は膜面に垂直な方向となっている。固定磁化膜層22における磁化方向は固定されているが、自由磁化膜層24における磁化方向は、上部透明電極12と下部電極13との間に流す電流の向きに応じて変化(反転)する。光変調器10では、自由磁化膜層24における磁化の向きによってカー回転の方向が逆になることを利用して光変調を行う。
自由磁化膜層24によるカー効果を最大限に得ることができる入射光の入射方向は、自由磁化膜層24の磁化の方向と平行である。図2では、自由磁化膜層24の膜面に垂直な方向に対して一定角度ずれた方向から光を入射させているが、この入射角を小さくして光の入射方向と自由磁化膜層24における磁化の方向とを平行に近付けることが容易となるため、大きなカー効果を得ることができる。固定磁化膜層22、非磁性中間膜層23及び自由磁化膜層24の詳細な構成については後に詳細に説明する。
<制御装置>
下部電極選択部82は、複数の下部電極13にそれぞれ対応して設けられた複数のスイッチング素子から構成される。上部電極選択部83もこれと同様に、複数の上部透明電極12にそれぞれ対応して設けられた複数のスイッチング素子から構成される。各スイッチング素子へは電源81から一定電圧が供給されており、駆動対象となる光変調素子11に下部電極13を介して接続されているスイッチング素子及び上部透明電極12を介して接続されているスイッチング素子が、制御部84からの指令(動作信号)を受けて導通動作を行うことにより、その光変調素子11に電圧が印加される。駆動対象となっている光変調素子11の選択と、この光変調素子11を駆動するためにスイッチング素子の動作制御は、制御部84によって行われる。
電源81は電圧反転機能を備えている。つまり、下部電極13に正電圧を印加すると共に、上部透明電極12に負電圧を印加することができ、逆に、下部電極13に負電圧を印加すると共に、上部透明電極12に正電圧を印加することもできるようになっている。この電源81の電圧反転機能の制御もまた制御部84により行われる。制御部84は、所謂、コンピュータであり、図示しない中央演算装置がROM等に格納されたプログラムを実行することにより、電源81、下部電極選択部82及び上部電極選択部83の動作制御が行われる。
<偏光フィルタ>
図2において、偏光軸70で示される光では、偏光軸はランダムな方向に向いている。偏光フィルタ17は、光変調素子11へ入射する光が偏光軸71で示される所定方向となるように、偏光軸を揃える役割を果たす。偏光フィルタ18は、光変調素子11からの反射光を、その偏光軸の角度によって透過させたり遮光したりする役割を果たす。この図2に示されている状態についてより詳細に以下に説明する。
<光変調素子の駆動>
図2には上部透明電極12と下部電極13とに印加する電圧の正負を逆にした2通りの形態、すなわち、光変調素子11を流れる電流の向きが逆となっている2通りの形態が示されている。図2の左側に示すように、上部透明電極12から光変調素子11を通って下部電極13へと膜面に垂直に電流が流れるようにした場合には、自由磁化膜層24における磁化(スピン)の向きは、固定磁化膜層22の磁化の向きと同じになる。一方、図2の右側に示すように、下部電極13側から光変調素子11を通して上部透明電極12側へと膜面に垂直に電流が流れるようにした場合には、自由磁化膜層24における磁化の向きは、固定磁化膜層22における磁化の向きとは逆になる。このように、上部透明電極12と下部電極13との間で流す電流の向きによって、自由磁化膜層24における磁化の状態が変化する。この磁化の状態変化は、数ns〜数十ns(ns:ナノ秒)と極めて高速である。
偏光フィルタ17を通過することにより偏光軸71で示される所定の偏光軸を有する入射光が、図2に示す各光変調素子11へ入射すると、自由磁化膜層24によるカー効果により、偏光軸が所定角度回転した反射光となって、各光変調素子11から射出される。ここでは、カー回転角について、図2の左側の光変調素子11の場合のように、偏光軸72で示される右回転が生じる方向を「正方向(+方向、+θ)」とし、図2右側の光変調素子11の場合のように、偏光軸73で示される左回転が生じる方向を「負方向(−方向、−θ)」とする。
そこで、反射光の進行方向に偏光フィルタ18として偏光軸72と平行な偏光軸を有するものを配置すると、図2左側の場合の反射光は偏光フィルタ18を通過することができるが、図2右側の場合の反射光は偏光フィルタ18を通過することができない状態を作り出すことができる。光変調器10は、前記の通りに上部透明電極12と下部電極13とを選択的に駆動(電圧印加)して所望の光変調素子11に電流を流すことができるようになっているため、光変調素子11毎に(画素毎に)自由磁化膜層24の磁化の向きを電流の向きによって制御し、偏光フィルタ18を通過可能な反射光とするか通過不能な反射光とするかによって、反射光の強弱(コントラスト)を制御することができる。
自由磁化膜層24によるカー効果の大きさ(カー回転角の大きさ)によって反射光のコントラストの強弱比が決まる。図2に示すように、反射光を透過するかまたは遮光するかの状態の場合(つまり、カー回転角が一定角度以上ある場合)には、高いコントラストを得ることができるが、カー回転角が小さい場合には、例えば、完全に遮光することができずに、一部の光が偏光フィルタ18から漏れることによって、低コントラストとなる。光変調器10では、次に説明する通り、自由磁化膜層24をコバルト(Co)膜層と白金(Pt)膜層との積層構造とすることにより、大きなカー効果を得ることができる。
<光変調素子の詳細構造>
[自由磁化膜層]
自由磁化膜層24は、上部透明電極12と下部電極13との間に印加される電圧の極性に応じて(つまり、光変調素子11を流れる電流の向きに応じて)磁化の向きが反転する垂直磁化材料で構成されており、具体的には、コバルト(Co)膜層と白金(Pt)膜層とを交互に積み重ねた多層膜構造を有するもの(以下「Co/Pt多層膜」という)が用いられる。
Co/Pt多層膜は、所謂、人工格子膜の1つであり、Co単層では磁化は面内に向くのに対し、Co/Pt多層膜ではCo膜層の磁化が膜面と垂直な方向に向く。また、Co膜層とPt膜層との界面近傍では、Co原子とPt原子の近接効果によって、界面近傍のPt原子もまた磁化を持つようになると考えられる。自由磁化膜層24にこのようなCo/Pt多層膜を用いることにより、後述する実施例に示されるように、従前より垂直磁化材料として知られているGd30Fe70等の遷移金属元素−希土類元素の金属間化合物よりも、大きなカー効果が得られる。
図3(a)〜(d)に自由磁化膜層の具体的な構成例を示す。自由磁化膜層24は、Co膜層75とPt膜層76が交互に積層されていれば、積層方向の下端と上端にCo膜層75とPt膜層76のどちらが配置されていてもよい。したがって、自由磁化膜層24の具体的な構造としては、Co膜層75を「Co」、Pt膜層76を「Pt」とそれぞれ略記して、図3(a)に示すCo/Pt/Co/・・・/Pt/Co/Pt、図3(b)に示すCo/Pt/Co/・・・/Co/Pt/Co、図3(c)に示すPt/Co/Pt/・・・/Co/Pt/Co、図3(d)に示すPt/Co/Pt/・・・/Pt/Co/Ptがあり、これらのうちいずれの構造を用いてもよい。
図4に、1層のPt膜層の厚さを1nmとしたときのCo/Pt多層膜の保磁力HcをCo膜層の1層の厚さの関数として表したグラフを示す。ここで、Co膜層とPt膜層の層数は同じとしている。図4に示されるように、Co膜層の厚さが薄い方が保磁力Hcは小さく、Co膜層の厚さを厚くすると保磁力Hcが大きくなることがわかる。自由磁化膜層24の保磁力Hcは、印加する電流の向きを変えたときの磁化の向きの反転が容易に起こるように、小さい方がよい。また、自由磁化膜層24に磁化反転を生じさせる電流の大きさは、自由磁化膜層24の厚さに比例する。したがって、自由磁化膜層24においては、Co膜層75の厚さを薄くすることが好ましい。
具体的には、自由磁化膜層24の全厚さを20nm以下とし、Co膜層75の1層の厚さを0.2〜0.5nmとし、Pt膜層76の1層の厚さを0.8〜1.5nmとすることが好ましい。なお、自由磁化膜層24の全厚さを20nm以下とするのは、自由磁化膜層24の全厚さが厚すぎると、磁化反転し難くなるという問題が生じるからである。後記するように、固定磁化膜層22の保磁力Hcを自由磁化膜層24の保磁力Hcよりも大きくするため、自由磁化膜層24を構成するCo膜層75の1層の厚さは、固定磁化膜層22を構成するCo膜層75の1層の厚さに対して、相対的に定められる。Pt膜層76は、厚さが0.8〜1.5nmの範囲ではカー回転角がほぼ一定になる性質を有するため、光変調器10において、各光変調素子11の特性を一定に制御することが容易となる。
[非磁性中間膜層]
光変調素子11がスピンバルブ型の磁化反転素子の場合には、非磁性中間膜層23として非磁性金属であるCuやAl等が用いられる。この場合、下部電極13と上部透明電極12との間に電圧を印加したときに、非磁性中間膜層23を流れる電子が固定磁化膜層22による磁場の影響を受けることで非磁性中間膜層23の抵抗値が変化し、自由磁化膜層24の磁化の向きを変化させる。非磁性中間膜層23に金属材料を用いる場合には、その厚さは、スピン編極した電子がスピン状態を保ったまま流れるように、1〜10nmの範囲とすることが好ましい。
また、非磁性中間膜層23としては、マグネシア(MgO)やアルミナ(Al)等の絶縁体を用いることができる。その場合、光変調素子11の構造はトンネル電流型の磁化反転素子(TMR素子)となる。非磁性中間膜層23の厚さは、スピン偏極電子がトンネルできる程度の厚さである数nm以下とされる。
[固定磁化膜層−第1形態]
固定磁化膜層22の第1形態として、自由磁化膜層24と同様に、コバルト(Co)膜層と白金(Pt)膜層とを交互に積み重ねた構造のものを用いることができる。固定磁化膜層22を自由磁化膜層24と同様の構造とすることにより、固定磁化膜層22と自由磁化膜層24との特性調整(保磁力Hcの調整等)を容易に行うことができる共に、光変調素子11の成膜プロセスを簡単にすることができる。固定磁化膜層22にCo/Pt多層膜を用いる場合の具体的な構造は、自由磁化膜層24の構造として示した図3(a)〜(d)に準じ、これら図3(a)〜(d)のいずれの構造を用いてもよい。
自由磁化膜層24における磁化の向きの反転を確実に生じさせるために、固定磁化膜層22の保磁力Hcは自由磁化膜層24の保磁力Hcよりも大きいことが好ましく、かつ、500〔Oe〕以上とすることが好ましい。先に図4を参照して説明したように、Co/Pt多層膜の保磁力HcはCo膜層75が厚くなると大きくなるため、例えば、自由磁化膜層24と固定磁化膜層22とでPt膜層76の1層の厚さを同じとした場合には、固定磁化膜層22におけるCo膜層75の厚さを、自由磁化膜層24におけるCo膜層75の厚さよりも厚くすることで、固定磁化膜層22の保磁力Hcを自由磁化膜層24の保磁力Hcよりも大きくすることができる。逆に言えば、自由磁化膜層24の保磁力Hcを固定磁化膜層22の保磁力Hcをよりも小さくするためには、自由磁化膜層24を構成するCo膜層75の厚さを、固定磁化膜層22を構成するCo膜層75の厚さよりも薄くすればよい。
前記した保磁力Hcを確保する観点から、固定磁化膜層22の全厚さを10〜30nmとし、このときにPt膜層76の1層の厚さを0.8〜1.5nmとし、Co膜層75の1層の厚さを0.4〜1.5nmとすることが好ましい。固定磁化膜層22の全厚さが10nm未満であると、磁化方向が反転するおそれがある。一方、固定磁化膜層22の全厚さが厚すぎることのデメリットとしては、固定磁化膜層22の形成が困難になることや、光変調素子11の抵抗値が大きくなるために、スピン注入のための印加電圧の値が大きくなることが挙げられる。固定磁化膜層22を構成するPt膜層76の厚さは、自由磁化膜層24を構成するPt膜層76の厚さと同様に定められる。固定磁化膜層22を構成するCo膜層75の厚さは、前記したように、自由磁化膜層24を構成するCo膜層75との相対的な関係で定められる。
[固定磁化膜層−第2形態]
固定磁化膜層22の第2形態として、第1ピンド膜層(下部電極13側)と第2ピンド膜層(非磁性中間膜層23側)からなる2層構造のものが挙げられる。例えば、第1ピンド膜層は、反強磁性を示すTbFeCo等の垂直磁化材料(磁化の方向が膜面に垂直な方向となる材料)からなり、第2ピンド膜層は、強磁性を示すCoFe等の垂直磁化材料からなる。このような構造では、第2ピンド膜層における磁化の向きが第1ピンド膜層との交換結合により固定される。この磁化の向きを保持するために、固定磁化膜層22の保磁力Hcは、500〔Oe〕以上であることが好ましい。
<光変調器の製造方法>
図5に光変調器の製造方法を模式的に示す。最初に、基板14の表面にCuまたはAl等からなる下部電極13を形成する〔図5(a)〕。この下部電極13の形成は、例えば、基板14の表面に一様にスパッタ法等によりCu膜等を形成し、Cu膜等上に下部電極13と同じ線幅のレジストパターンを形成し、このレジストパターンをエッチングマスクとして基板14の表面が露出するまでCu膜等をドライエッチング等した後、レジストパターンを剥離することにより、行うことができる。また、下部電極13を形成する領域を溝としたレジストパターンを先に形成し、スパッタ法によりCu膜を埋め込み形成した後、レジスト膜を剥離するリフトオフ法によって下部電極13を形成してもよい。
続いて、下部電極13間の溝をアルミナ等の絶縁材料で埋め、絶縁体15を形成する〔図5(b)〕。アルミナ膜の形成は、反応性スパッタ法やCVD法、ゾル−ゲル法等により行うことができ、必要に応じて、CMP処理等により下部電極13を含む表面を平滑にする。こうして形成された表面に、固定磁化膜層22、非磁性中間膜層23、自由磁化膜層24(図5では各層ごとの表示を省略する)を、この順番で各層ごとに所定の膜厚でスパッタ法(例えば、マグネトロンスパッタリング)等により逐次成膜し、光変調素子11の層を形成する〔図5(c)〕。前記したように、固定磁化膜層22と自由磁化膜層24の成膜では、例えば、CoスパッタターゲットとPtスパッタターゲットとが装着可能で、これらのターゲットに選択的にスパッタ電圧を印加することができる構造のスパッタ装置を用いることで、Co/Pt多層膜を容易に形成することができる。また、マグネトロンスパッタリングやイオンビームスパッタリングの他、1原子層をコントロール可能なMBE法等も使用できる。
次に、基板14上に形成された光変調素子11に対して、必要に応じて、熱処理を施す。この熱処理は、光変調素子11の特性を向上させ、また、後に行われるフォトリソグラフィプロセス中における光変調素子11の特性変化を抑制するために行われる。この熱処理における光変調素子11の特性低下を抑制する観点から、自由磁化膜層24の表面に、耐酸化性に優れるRu膜等を保護膜層として設けておくことも好ましい。
続いて、熱処理された光変調素子11の層上に、例えば、100nm×300nmのレジストパターン91をメサパターンとなるように、EB露光法等により形成する〔図5(d)〕。このレジストパターン91をエッチングマスクとして用いて、光変調素子11の層をエッチングし、その後、レジストパターン91を除去する〔図5(e)〕。これにより光変調素子11が形成される。次いで、CVD法等により、光変調素子11間をアルミナ等の絶縁材料(絶縁体15)で埋め、必要に応じてCMP処理等により光変調素子11を含む表面を平滑にする〔図5(f)〕。または、光変調素子11の層をエッチングした後に、このエッチングにより形成された溝をアルミナ等の絶縁材料(絶縁体15)で埋め、その後にリフトオフ(レジストパターン91の剥離)またはCMPを行う方法を用いてもよい。
なお、CMP処理等を行う場合には、光変調素子11の最上部に形成されている自由磁化膜層24の最上層(Co膜層75とPt膜層76のいずれか一方)の厚さが、CMP処理後に所定値となるように、その最上層を成膜時に研磨厚さ分だけ厚く形成しておいてもよい。
上部透明電極12を、光変調素子11が覆われるように、かつ、下部電極13のラインパターンと直交するように、所定間隔で形成する〔図5(g)〕。この上部透明電極12の形成は、下部電極13の形成方法と同様にして行うことができる。このような製造方法を用いれば、微細な光変調素子11を高密度に配置した光変調器10を製造することができる。
《光変調素子よる光変調の第1変形例》
前記した通り、図2に示した光変調素子11による光変調は、一定の入射角で光を光変調素子11へ入射させ、その反射光を、偏光フィルタ18を通して検出する構成とした。この場合、光の入射方向及び反射方向と自由磁化膜層24における磁化の向きとが完全に平行とはならないために、自由磁化膜層24によるカー効果は最大とはならない。そこで自由磁化膜層24によるカー効果を最大限に引き出す構成として、図6(a),(b)に光変調素子11による光変調の別の形態を模式的に表した図を示す。
図6(a)、(b)に共通して、ここでは、光源27から出射する光を、光変調素子11の固定磁化膜層22及び自由磁化膜層24の磁化の方向と平行となるように光変調素子11へ入射させ、その反射光をハーフミラー16で所定方向に取り出す構成としている。より詳しくは、まず、レーザ光源等の光源27から出射した光は、その偏光軸70がランダムな方向に向いているために偏光フィルタ17によって偏光軸71に揃えられ、その後、ハーフミラー16を透過して、入射方向が光変調素子11の固定磁化膜層22及び自由磁化膜層24の磁化の方向と平行となるようにして、光変調素子11に入射する。
その反射光には、自由磁化膜層24の磁化の向きに応じて、+方向または−方向にカー回転が生じる。図6(a)には偏光軸72で示される+方向(+θ)のカー回転が生じた形態が示されており、図6(b)には偏光軸73で示される−方向(−θ)のカー回転が生じた形態が示されている。反射光は、入射光と同じ方向に光変調素子11から出射するため、ハーフミラー16を用いて所定方向(例えば、入射光の進行方向と直交する方向)に取り出される。ハーフミラー16により屈折した反射光は、例えば、偏光軸72で示される+θのカー回転角が得られた反射光を透過する偏光フィルタ18によって検出器26に検出され〔図6(a)〕、偏光軸73で示される−θのカー回転角が得られた反射光は偏光フィルタ18により遮光される〔図6(b)〕。この図6に示す形態では、大きなカー効果が得られるために、検出器26によって検出される反射光のコントラストが大きくなる。
《光変調素子よる光変調の第2変形例》
前記した図2及び図6には、光変調素子11のカー効果を利用した光変調の形態を示したが、光変調素子11の下部電極13と基板14に透光性を持たせることにより、ファラデー効果を利用した光変調が可能となる。図7に光変調素子のファラデー効果を利用した光変調の形態を模式的に表した図を示す。なお、光変調素子11のファラデー効果を利用する場合には、基板14〔図7に図示せず、図1(c)参照〕としては、石英ガラス等の透光性に優れた材料からなる基板が用いられる。また、下部電極13としては、上部透明電極12と同様に透光性を有するIZOやITOを用いてもよいし、Cu等の金属膜も、薄膜であれば一定の透光性が得られるので、用いることが可能である。
図7(a)、(b)に共通して、レーザ光源等の光源27から出射した光は、その偏光軸70がランダムな方向に向いているために偏光フィルタ17によって偏光軸71に揃えられ、その後、入射方向が光変調素子11の固定磁化膜層22及び自由磁化膜層24の磁化の方向と平行となるようにして、光変調素子11に入射する。その透過光には、自由磁化膜層24の磁化の向きに応じて、+方向または−方向にファラデー回転が生じ、このとき、自由磁化膜層24の磁化の方向と入射光の入射方向とが平行であるため、大きなファラデー効果が得られる。図7(a)には偏光軸72で示される+方向(+θ)のファラデー回転が、図7(b)には偏光軸73で示される−方向(−θ)のファラデー回転が生じた形態が示されている。光変調素子11、下部電極13及び基板14(図示せず)を透過して、基板14から出射された透過光は、例えば、偏光軸72で示される+θのファラデー回転角が得られた反射光を透過する偏光フィルタ18によって検出器26に検出され〔図7(a)〕、偏光軸73で示される−θのファラデー回転角が得られた反射光は偏光フィルタ18により遮光される〔図7(b)〕。
《表示装置》
図8に本発明の実施形態に係る光変調器を用いた表示装置の概略構成図を示す。この表示装置30は、光変調器10を用いたカラー対応の表示装置であり、光変調器10と、RGB時分割照明器19と、偏光フィルタ17,18と、スクリーン29を備えている。
RGB時分割照明器19は、光の三原色であるR,G,B光をそれぞれ放射する発光ダイオードや半導体レーザ等の光源を備えており、R,G,Bにそれぞれ対応する各光源が1フィールド期間内で順次点灯する構造になっている。例えば、図示しない映像信号送信装置からの信号を受けてRGB時分割照明器19を駆動させる。RGB時分割照明器19から射出された光は、偏光軸を揃えるための偏光フィルタ17を通して光変調器10に入射し、その際に入射光に対応する光変調素子11を駆動(電流印加)してカー効果による反射光の偏光軸制御を行う。そして、偏光フィルタ18は、所定の偏光軸の反射光を強く透過し、この偏光軸と角度の異なる偏光軸の光の透過を、その角度に応じて制限する。こうして、所定のコントラストを有する映像がスクリーン29に投影される。
前記した通り、光変調器10は、高速応答性を有し、微細な光変調素子11を高密度に配置した構造を有しているため、表示装置30では、速い表示速度で高精細な画像・映像表現が可能となる。
《ホログラフィ装置》
図9に本発明の実施形態に係る光変調器を用いた立体動画対応のホログラフィ装置の概略構造を示す。なお、図9では光変調器10の詳細な構造は省略しており、また、制御装置80の図示を省略している。
ホログラフィ装置40は、大別して、画像入力系と画像再生系とに分けられる。画像入力系は、レーザ光源31と、ビーム拡大器32と、レンズ33,36と、ハーフミラー34,37と、ミラー35と、撮像手段たるCCDカメラ38とを備えている。一方、画像再生系は、レーザ光源41と、ビーム拡大器42と、レンズ45と、偏光板43,44と、光変調器10とを備えている。レーザ光源31とレーザ光源41とは同等のものであり、例えば、前記した表示装置30に用いられているRGB時分割照明器19であって、半導体レーザ光源を備えたものが用いられる。
ホログラフィ装置40では、まず、画像入力にあたって、レーザ光源31から発するレーザ光をビーム拡大器32で拡大した後、レンズ33により並行光とする。このレーザ光(平行光)をハーフミラー34により、被写体に照明して物体光とするための光と、参照光とに分ける。被写体からは反射光たる物体光は、レンズ36とハーフミラー37を介して、CCDカメラ38側へ出射する。一方、参照光は、ミラー35とハーフミラー37によって反射される。こうして、ハーフミラー37から出射する物体光と参照光とが合成されて干渉縞が形成される。この干渉縞のパターンをCCDカメラ38により撮像する。なお、図9では、レンズ33から射出された光の光路を1本線で簡単に示している。
ホログラフィ装置40での画像の再生にあたっては、まず、レーザ光源41から出射したレーザ光をビーム拡大器42で拡大し、その光をレンズ45により平行にして、この平行光を光変調器10に入射させる。他方、CCDカメラ38から干渉縞パターンを記録した画像信号が光変調器10の制御装置80(図9に図示せず)に入力される。制御装置80が入力信号にしたがって光変調素子11を駆動することによって、干渉縞パターンの画像信号に対応した光変調が行われ、立体画像を再生することができる。ホログラフィ装置40では、光変調器10が用いられていることによって、速い表示速度で高精細な立体画像を再現することができる。
《ホログラム記録装置》
図10に本発明の実施形態に係る光変調器を用いたホログラム記録装置の概略構造を示す。なお、図10では光変調器10の詳細な構造は省略している。また、図10では、光の進行方向のみを示すものとし、レンズ等による光の空間的な幅の変更等の図示を省略する。
ホログラム記録装置50では、レーザ光源51(前記したレーザ光源31,41等と同等)から発するレーザ光を、ビーム拡大器52で拡大した後、レンズ53により並行光とする。この平行光(レーザ光)は、ハーフミラー54によって、信号光と参照光とに分けられる。信号光は、光変調器10により2次元ページデータに対応した光変調がなされて、記録媒体55に到達する。一方、参照光は、ミラー57を介して別の光変調器10に入射され、そこで光変調された後、ミラー58を介して記録媒体55に到達する。記録媒体55での状態変化たる波面の乱れは、位相情報として撮像手段たるCMOSカメラ56によってリアルタイムに検出される。こうしてCMOSカメラ56によって検出された位相情報に基づいて、別の光変調器10が参照光の光変調を行うことによって、記録媒体55での波面の乱れの影響をキャンセルすることができ、これにより、多重記録の精度を向上させることができる。
例えば、従来のフォトポリマー記録媒体を用いた体積ホログラム記録の場合、空気の流れ等によるシステムの温度変動や書き込み時の光重合によるフォトポリマーの収縮、収差等の光学系の不完全性等に起因して、記録媒体の波面が乱れることが、記録の多重化を妨げる要因となる場合がある。
そこで、ホログラム記録装置50では、この波面の乱れをCMOSカメラ56等の撮像手段でリアルタイムに検出し、その乱れをキャンセルするように参照光を空間的に変調する。この場合、参照光の変調は高速で行われることが好ましく、光変調器10はその用途に適する。また、ページデータの書き込みにも光変調器10を用いることができる。こうして、ホログラム記録装置50では、光の波長程度の分解能で記録媒体55での波面の乱れを制御できるため、記録の多重度を格段に向上させることができる。なお、ホログラム記録装置50に用いる2つの光変調器のうち、いずれか一方に本発明に係る光変調器10を用いた構成としてもよい。
次に本発明に係る光変調器を構成する光変調素子の実施例について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
Si基板上に下部電極としてのCu膜を形成し、このCu膜上に、表1に示す構造を有する光変調素子を成膜形成した。光変調素子の熱処理を行わず、かつ、上部透明電極を設けずに、直接に光変調素子に磁界を印加して自由磁化膜層の磁化の向きを調整することにより、自由磁化膜層の磁気光学効果(カー効果)によるカー回転角を、カー効果測定装置(レーザ波長:780nm)を用い、外部磁界±1kOeを印加して行った。結果を表1に併記する。表1に示されるように、自由磁化膜層をCo/Pt多層膜とすることで、比較例としてのGdFe単層膜やCoSiFe単層膜に比べて、カー回転角は極めて大きな値を示すことが確認された。
Figure 0005054636
以上、本発明の実施の形態及び実施例について説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。例えば、光変調素子11として、固定磁化膜層22と、非磁性中間膜層23と、自由磁化膜層24とを備えた構造のものを取り上げたが、自由磁化膜層24と上部透明電極12との間にさらに、耐酸化性に優れた金属からなる保護膜層が設けられていてもよい。この保護膜層は、光変調素子11の特性を向上させるために、積層成膜された固定磁化膜層22、非磁性中間膜層23及び自由磁化膜層24を熱処理する際に、これらの膜を酸化から保護する役割を果たし、これにより光変調素子11の特性向上を図ることができる。この保護膜層としては、ルテニウム(Ru)膜やタンタル(Ta)膜が好適に用いられる。
(a)は本発明の一実施形態に係る光変調器の概略構成を示す平面図であり(b)は(a)のA−A断面図であり、(c)は光変調器に用いられている光変調素子の概略構造を示す断面図である。 光変調素子への電圧印加形態と自由磁化膜層のカー効果との関係を模式的に示す図である。 (a)〜(d)はそれぞれ、自由磁化膜層(固定磁化膜層)の具体的な構成例を示す断面図(固定磁化膜層についても同様)である。 1層のPt膜層の厚さを1nmとしたときのCo/Pt多層膜の保磁力HcをCo膜層の1層の厚さの関数として示したグラフである。 光変調器の製造方法を模式的に示す図であり、(a)〜(g)はそれぞれ所定の製造段階での構成を示した模式図である。 光変調素子による光変調の別の形態を模式的に示す図であり、(a),(b)はそれぞれ下部電極と上部透明電極とに印加する電圧の正負を逆にした場合の模式図である。 光変調素子による光変調のさらに別の形態を模式的に示す図であり、(a),(b)はそれぞれ下部電極と上部透明電極とに印加する電圧の正負を逆にした場合の模式図である。 本発明に係る光変調器を用いた表示装置の概略構造図である。 本発明に係る光変調器を用いた立体動画対応のホログラフィ装置の概略構造図である。 本発明に係る光変調器を用いたホログラム記録装置の概略構造図である。
符号の説明
10 光変調器
11 光変調素子
12 上部透明電極
13 下部電極
14 基板
16 ハーフミラー
17 偏光フィルタ
18 偏光フィルタ
19 GRB時分割照明器
22 固定磁化膜層
23 非磁性中間膜層
24 自由磁化膜層
29 スクリーン
30 表示装置
40 ホログラフィ装置
50 ホログラム記録装置
75 コバルト(Co)膜層
76 白金(Pt)膜層

Claims (9)

  1. 固定磁化膜層と、非磁性中間膜層と、自由磁化膜層とがこの順序で積層されたスピン注入磁化反転素子構造を有し、前記固定磁化膜層と前記自由磁化膜層における磁化の方向が膜面に垂直な方向であり、前記自由磁化膜層における磁化状態を変化させることによって前記自由磁化膜層へ入射する光の偏光軸に対してその反射光の偏光軸を回転させる光変調素子であって、
    前記自由磁化膜層は、コバルト膜層と白金膜層とが交互に積層された構造を有することを特徴とする光変調素子。
  2. 前記自由磁化膜層の保磁力が前記固定磁化膜層の保磁力よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の光変調素子。
  3. 前記固定磁化膜層が、コバルト膜層と白金膜層とが交互に積層された構造を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光変調素子。
  4. 前記自由磁化膜層を構成するコバルト層の1層の厚さが、前記固定磁化膜層を構成するコバルト層の1層の厚さよりも薄いことを特徴とする請求項3に記載の光変調素子。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光変調素子が二次元アレイ状に配置されてなることを特徴とする光変調器。
  6. 請求項5に記載の光変調器と、
    前記光変調器から出射した光を投影するスクリーンと、を備えたことを特徴とする表示装置。
  7. 物体光と参照光とによって形成された干渉縞を撮像する撮像手段と、
    前記撮像手段に記録された画像信号を前記請求項5に記載の光変調器を用いて再生する画像再生手段と、を具備することを特徴とするホログラフィ装置。
  8. 所定の情報を信号光と参照光の2系統の光を用いて記録媒体に記録するホログラム記録装置であって、
    前記請求項5に記載の光変調器と、
    前記2系統の光が前記記録媒体に入射する際の当該記録媒体での状態変化を位相情報として検出する撮像手段と、を備え、
    前記撮像手段が検出した前記位相情報に基づき、前記2系統の光のうちの少なくとも1系統の光変調を前記光変調器を用いて行うことを特徴とするホログラム記録装置。
  9. 前記2系統の光の光変調をそれぞれ前記光変調器を用いて行うことを特徴とする請求項8に記載のホログラム記録装置。
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