JP2011059279A - 空間光変調器 - Google Patents

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Abstract

【課題】画素を構成する光変調素子が、単独でも階調表示を行うことが可能な空間光変調器を提供する。
【解決手段】磁気光学効果により光の変調を制御する磁気光学型の空間光変調器10であって、空間光変調器10を構成する画素20が、光変調素子13を備え、光変調素子13は、画素20のサイズよりも小さく、かつ、光変調素子13の上面および下面が、それぞれ直径100nmの円の面積以上の面積を有し、光変調素子13は、光変調素子13に流れる電流の大きさにより、磁区の状態を単磁区状態または多磁区状態として、当該単磁区状態および多磁区状態を光の階調に割り当てることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気光学効果により光の変調を制御する空間光変調器に係り、特に、光変調の階調を制御する空間光変調器に関する。
従来、空間光変調器(SLM;Spatial Light Modulator)として、液晶を画素として用いたものが知られている。このような液晶を用いたSLMでは、例えば「1」で示す明状態と「0」で示す暗状態との間の光の階調を、印加電圧の大きさにより制御している。しかし、液晶を用いたSLMでは、画素サイズ(画素ピッチ)を数μm以下とする微細化が困難であり、また、印加電圧に対する応答時間が数十μs程度と比較的長いために、近時、SLMに対して要望されている画素サイズの微細化と応答時間の短縮(つまり、応答性の向上)への対応が困難であるという問題がある。
これに対して、画素サイズの微細化と応答時間の短縮を可能とする磁気光学SLM(MOSLM;Magneto-optic SLM)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このMOSLMでは、磁性薄膜で素子が構成されており、磁気光学効果(ファラデー効果)を利用するものである。MOSLMでは、磁化方向の向き(所定方向とその反対方向)に対応した2状態を、印加磁界の向きによって回転させたり、圧電素子によって回転させたりすることによって、相互に変化させる。
このような磁気光学効果により光の変調を制御する磁気光学型の空間光変調器は、磁化反転を利用することから、超高速動作が可能である。また、磁化反転にスピン注入磁化反転を適用することで、超高精細化も期待できる。さらに、磁性体が持つヒステリシス特性により、画素自体がメモリ機能を持つため、明暗状態の保持に電力が必要ないという特徴もある。
しかしながら、このMOSLMでは、1画素は磁化方向の向きに対応した2状態しか取ることができず、1画素の光の階調が例えば「1」で示す明状態と「0」で示す暗状態との2階調となるために、映像等の精密な階調表示は困難である。そこで、このような問題を解決するために、1画素内に形状の異なる複数の素子(磁性薄膜を備えた素子)を配置することで、明状態と暗状態との中間状態を作り出すことができるMOSLMが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2006−84871号公報(段落0002、0003、図5等) 特開2008−64825号公報(段落0006、0007、図6、図7等)
しかしながら、光の明暗を割り当てる素子の磁化状態は2値(2状態)が基本となり、前記のような複数の素子により1画素を構成した面積階調(複数の素子による磁化状態を階調に割り当てる階調表示手法)であっても、それぞれの素子は、2値の磁化状態を取ることしかできない。そのため、階調表示を実現するには、時間分割が必要となる。また、素子構造が複雑となるという問題や、表示可能な階調数の増加を期待することができないという問題がある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、画素を構成する光変調素子が、単独でも階調表示を行うことが可能な空間光変調器を提供することを目的とする。
本発明に係る空間光変調器は、磁気光学効果により光の変調を制御する磁気光学型の空間光変調器であって、前記空間光変調器を構成する画素が、光変調素子を備え、前記光変調素子は、前記画素のサイズよりも小さく、かつ、前記光変調素子の上面および下面が、それぞれ直径100nmの円の面積以上の面積を有し、前記光変調素子は、当該光変調素子に流れる電流の大きさにより、磁区の状態を単磁区状態または多磁区状態として、当該単磁区状態および多磁区状態を光の階調に割り当てることを特徴とする。
このような空間光変調器の構成によれば、画素を構成する1つの光変調素子が、当該光変調素子に流れる電流の大きさにより、単磁区状態および多磁区状態を光の階調に割り当てることができるため、1つの光変調素子が、単独で階調表示を行うことができる。これにより、1画素を単一素子により構成した場合であっても、階調表示を実現することができる。
なお、単磁区状態とは、光変調素子に形成される磁区が1つのみ状態をいい、多磁区状態とは、光変調素子に形成される磁区が複数ある状態をいう。
本発明に係る空間光変調器は、前記光変調素子において、前記上面および下面のそれぞれの形状において、長軸と短軸が、それぞれ100nm以上であることが好ましい。また、前記上面および下面のそれぞれの形状において、長軸と短軸とのアスペクト比が、それぞれ1.2以上であることが好ましい。さらには、前記長軸側の側面に、前記上面と下面とを貫くように、ノッチが形成されていることが好ましい。
このような空間光変調器の構成によれば、光変調素子が多磁区状態となりやすくなる。すなわち、光変調素子の磁区状態を、単磁区状態から多磁区状態へと、変移させやすくなる。
本発明に係る空間光変調器は、前記画素内に、複数の光変調素子を備えることが好ましい。
このような空間光変調器の構成によれば、開口率が向上し、また、割り当て可能な階調数が増加する。
本発明に係る空間光変調器は、前記光変調素子が、スピン注入磁化反転素子であることが好ましい。
このような空間光変調器の構成によれば、スピン注入磁化反転素子を用いることにより、高精細でしかも高速駆動が可能になる。
本発明に係る空間光変調器によれば、所定の画素においてその光状態を決める光変調素子が、当該光変調素子に流れる電流の大きさにより、単独で階調表示を行うことができるため、時間分割動作なしで、階調表示を行うことが可能となる。また、複数の素子による磁化状態を階調に割り当てる階調表示手法と比べて、表示可能な階調数の増加を図ることができる。また、1画素に1つの光変調素子を用いることで、素子構造の単純化を図ることができる。
さらに、1画素に複数の光変調素子を用いることで、開口率を向上させることができ、また、割り当て可能な階調数の増加を図ることができる。
そして、画素が具備する光変調素子としてスピン注入磁化反転素子を用いることで、高速変調が可能となり、また、画素の微細化により高精細な映像や画像を表現することができるようになる。そして、これらにより、映像等の精密な階調表現が可能となる。
本発明の一実施形態に係る空間光変調器を用いて構成された映像表示装置の概略構成図である。 空間光変調器の構造を模式的に示す平面図である。 (a)は画素の構成を示す平面図であり、(b)は(a)の矢視B−B断面図であり、(c)は(a)の矢視C−C断面図である。 (a)〜(f)は、光変調素子の上面形状および配置を示す模式図である。 (a)〜(i)は、所望の形状の光変調素子の製造方法の一例についての説明図である。 光変調素子による光変調の形態(空間光変調器の動作の形態)を模式的に示す説明図であり、(a)は明状態を示し、(b)は暗状態を示す。 光変調素子が多磁区状態を取る場合の光変調の形態(空間光変調器の動作の形態)について、中間状態を示す場合を模式的に示す説明図である。 (a)〜(c)は、光変調素子の磁化の回転を説明するための説明図である。 (a)は、実施例の光変調素子におけるパルス電流の大きさと、素子抵抗変化率(MR比)の関係を示すグラフであり、(b)は、実施例の光変調素子におけるパルス電流の大きさと、カー楕円率の関係を示すグラフである。
以下、本発明の空間光変調器を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、ここでは本発明に係る空間光変調器を用いて構成された映像表示装置を例に挙げて、図面を参照して詳細に説明する。
≪映像表示装置の概略構造≫
図1に本発明の一実施形態に係る空間光変調器を用いて構成された映像表示装置の概略構成図を示し、図2に図1に示した空間光変調器の構造を模式的に表した平面図を示す。映像表示装置1は、レーザ光源2と、スクリーン3と、偏光フィルタ4a,4bと、空間光変調器10とを備えている。空間光変調器10は、その駆動制御を行うための制御部18を備えている。
空間光変調器10は、磁気光学効果により光の変調を制御する磁気光学型の空間光変調器であり、空間光変調器10を構成する画素20が、光変調素子13を備えている。そして、空間光変調器10は、ここでは反射型変調器であり、映像表示装置1では、レーザ光源2から照射された光が偏光フィルタ4aを介して空間光変調器10に入射し、その反射光が偏光フィルタ4bを介してスクリーン3に出射されることで、スクリーン3に映像が表示される。
空間光変調器10では、光変調素子13として、スピン注入磁化反転素子(磁気光学素子)を用いることが好ましく、これによりスクリーン3に映し出される映像の高精細化と高速表示が可能となる。空間光変調器10は、磁気光学素子のカー効果を利用する場合には、空間光変調器10のように反射型変調器となり、磁気光学素子のファラデー効果を利用する場合には透過型(図示せず)となる。したがって、本発明の別の実施形態に係る空間光変調器として、透過型のものを用いて映像表示装置を構成することができる。なお、本実施形態では、光変調素子13として、スピン注入磁化反転素子を用い、かつ磁化方向が垂直方向(層表面と直交する方向)の場合について説明する。
≪空間光変調器の概略構造≫
図1に示すように、空間光変調器10は、図示しない基板上に設けられた下部電極12と、下部電極12上に一定の間隔で設けられた光変調素子13と、光変調素子13上に設けられた上部電極11とを備えている。
[下部電極]
下部電極12は、光変調素子13を駆動するための一対の電極のうちの一方であり、図2に示すように、短冊状の形状を有し、その幅方向に一定間隔で平行に配置されている。下部電極12は、例えば、Ta,Cr,Au,Pt,Al,Cu等の一般的な電極用金属材料で構成することができる。
[上部電極]
上部電極11は、光変調素子13を駆動するための一対の電極のうちの他方であり、図2に示すように、短冊状の形状を有し、その幅方向に一定間隔で平行に、かつ、その長手方向が下部電極12の長手方向と直交するように、配設されている。上部電極11には、入射光が光変調素子13に効率よく到達できるように、酸化インジウム錫(Indium Tin Oxide;ITO)、酸化インジウム亜鉛(Indium Zinc Oxide;IZO)等の透明電極材料が用いられる。なお、空間光変調器を透過型とする場合には、下部電極12としても、透明電極材料を用いる。
[画素]
空間光変調器10は、図2に示すように、一例として、4本の下部電極12と4本の上部電極11とをそれぞれ直交させた構造を有しており、図2の平面視における下部電極12と上部電極11とが交差する16カ所の領域部がそれぞれ、画素20となる。すなわち、空間光変調器10は、16個の画素20が、互いに直交する行方向(4行)と列方向(4列)とに一定間隔で配置された二次元マトリックスパターンで配置された構造を有しており、1つの画素20が、レーザ光源2から入射する光を変調して出射する1つのユニットとなっている。なお、後記するように、光変調素子13の上面および下面の平面視形状を、長方形、角のない長方形、楕円形等の形状とする場合、これらの形状に合わせて、下部電極12の幅と上部電極11の幅とに差を設け、画素20の形状が平面視で長方形となるようにしてもよい。
[光変調素子]
図3(a)に画素の構成を表した平面図を示し、図3(b)に図3(a)の矢視B−B断面図を示し、図3(c)に図3(a)の矢視C−C断面図を示す。ここで、画素20内の光変調素子13は、1つでもよいし、複数であってもよい。ここでは、1つの画素20内に、2つの光変調素子13a,13bを備えるものとする。なお、図3では、光変調素子13a,13bはそれぞれ、実質的に同じ形状および構造を有しており、ここでは平面視で長方形のものを例示している。
各画素20には、1組の光変調素子13a,13bが配設されており、1つの画素20において、光変調素子13a,13bは、上部電極11および下部電極12に対して並列接続された状態となっている(適宜、図1,2参照)。
光変調素子13はスピン注入磁化反転素子であり、具体的には、CPP(Current Perpendicular to the Plane)−GMR(Giant MagnetoResistance)素子およびTMR(Tunneling MagnetoResistance)素子が挙げられる。そして、光変調素子13a,13bはそれぞれ、下部電極12上に設けられた固定層(磁化固定層)101と、固定層101上に設けられた中間層102と、中間層102上に設けられた反転層(磁化反転層)103とを備えており、反転層103上に上部電極11が設けられている。画素20の領域内において光変調素子13a,13bが形成されている空間以外の空間は、絶縁体(封止材)104で占有されている。
(固定層)
固定層101は、強磁性材料からなり、磁化方向が所定方向(高さ方向と平行な方向(垂直な方向)の一方の向き)に固定されている。
固定層101には、例えば、遷移金属と希土類金属との磁性合金であるGd−FeやTe−Fe−CoやTb−Fe−Co等が好適に用いられる。また、これらにCo−Fe磁性合金を積層した積層構造としてもよい。Co−Fe磁性合金は、中間層102と固定層101界面におけるスピン偏極率を増大させるために用いるものであるが、必ずしも必要ではない。その他、例えば、遷移金属と非磁性金属の積層による人工格子多層膜であるCo/PtやCo/PdやFe/Pt等(左側から記載の材料から順に積層)、あるいは、ホイスラー合金(CoFeSi、CuMnAl等)等の磁性合金を用いることもでき、これとIr−Mn等のスピン固着層とを組み合わせた積層構造としてもよい。
(中間層)
中間層102は、非磁性材料からなる非磁性層または絶縁材料からなる絶縁層であり、光変調素子13をCPP−GMR素子で構成する場合には、中間層102は非磁性層であり、TMR素子で構成する場合には、中間層102は絶縁層である。
光変調素子13がCPP−GMR素子である場合には、中間層102には、Au,Al,Cu,Cu合金等の非磁性金属または合金が好適に用いられる。このうちCuは電気抵抗が小さくバリア効果が高いので、特に好適に用いられる。光変調素子13がTMR素子である場合には、中間層102は、例えば、アルミナ(Al)やマグネシア(MgO)等の絶縁材料から構成され、その厚さは、スピン偏極電子がトンネルできる程度の厚さである数nm以下とされる。
(反転層)
反転層103は、上部電極11と下部電極12との間に印加される電圧の向きに応じて(つまり、光変調素子13を流れる電流の向きに応じて)、注入される電子のスピンと反転層103内の電子スピンとの相互作用により反転層103内の磁化の向きが反転するものである。すなわち、反転層103は、固定層101によって弁別された偏極スピンによって自身の磁化の向きを反転させることができる。反転層103は、固定層101と同じ材料で構成することもできるが、スピン注入により容易に磁化方向が反転することができる材料であって、磁気光学カー効果の大きい材料(偏極率が比較的高い強磁性材料)を選択することが好ましい。なお、偏極率が低いほど磁化反転に必要な電流の値が大きくなるため、偏極率は50%以上であることが好ましい。反転層103としては、固定層101で示した材料の他、例えば、Co、Ni等を用いることができる。
なお、基板としては、シリコン(Si)基板、プラスチック基板、石英(SiO)基板、ガラス基板、セラミックス基板、マグネシア(MgO)基板等を用いることができる。また、空間光変調器10は反射型構造であるため、反転層103は透光性の高い材料で構成されることが好ましく、固定層101および中間層102は、入射光に対する反射率の大きい材料で構成されることが好ましい。また、空間光変調器を透過型とする場合には、固定層101、中間層102および反転層103のみならず、これらを支持する基板についても、透光性の高い材料で構成することが好ましい。
[光変調素子の形状]
光変調素子13は、画素20のサイズよりも小さく、かつ、光変調素子13の上面および下面が、それぞれ直径100nmの円の面積以上の面積を有する。適切なサイズは材料により異なるが、一般的に強磁性体薄膜は、その上下面の面積が、円とした場合に直径数十nm程度で単磁区状態(単磁区構造)となるため、光変調素子13を多磁区状態(多磁区構造)とするために、それよりも大きくて、画素サイズよりも小さい、上面および下面が、それぞれ直径100nmの円の面積以上の面積を有する大きさの任意形状とする。
すなわち、光変調素子13は、立体構造(立体形状)をとるが、ここでは、その上面の面積および下面の面積で、その大きさを規定し、多磁区状態を形成できる多磁区状態形成形状とし、画素20内に収まる大きさとする。なお、通常、光変調素子13において、上面と下面の面積および形状は、同じであるが、前記した条件を満たすものであれば、上面と下面の面積および形状が、多少異なっても、多磁区状態を形成できるものであれば、本発明の趣旨を逸脱するものではない。また、光変調素子13の高さや、反転層103の厚みは特に限定されるものではなく、通常用いられる光変調素子13のサイズでよい。
光変調素子13の大きさをこのように規定することで、光変調素子13に流れる電流の大きさにより、1つの光変調素子13において、単独に、磁区の状態を単磁区状態または多磁区状態に制御することができる。なお、上下面の面積は、画素20のサイズ等を考慮し、それぞれ直径500nmの円の面積以下するのが好ましい。
ここで、光変調素子13は、前記上面および下面のそれぞれの形状において、長軸と短軸が、それぞれ100nm以上であることが好ましい。
すなわち、光変調素子13の上面の形状をおよび下面の形状を、それぞれ、長軸と短軸の長さで規定する。これにより、長軸(縦方向)と短軸(横方向)がともに所定の長さを有する大きさの光変調素子13とすることができる。なお、この場合、長軸は、画素20の長辺よりも短い長さとし、短軸は、画素20の短辺よりも短い長さとし、また、上下面それぞれの面積が、直径500nmの円の面積以下の面積となるような長さとするのが好ましい。例えば、長軸と短軸が、それぞれ400nm以下である。
なお、画素20のサイズは、一辺の長さが、110〜1000nm程度である。
また、光変調素子13は、その上面および下面のそれぞれの形状において、長軸と短軸とのアスペクト比が、それぞれ1.2以上とするのが好ましい。
すなわち、光変調素子13の上面の形状において、長軸(長手方向)と短軸(幅方向)の比において、短軸を1としたとき、長軸を1.2以上とする。光変調素子13の下面の形状についても同様である。このような形状とすることで、多磁区状態(多磁区構造)をとりやすくする。なお、より多磁区状態をとりやすくするため、長軸と短軸とのアスペクト比は、好ましくは、2以上、より好ましくは、2.5以上である。また、アスペクト比は、画素20のサイズ等を考慮し、5以下とするのが好ましい。なお、この場合も、長軸は、画素20の長辺よりも短い長さとし、短軸は、画素20の短辺よりも短い長さとする。
ここで、図4を参照して、光変調素子13の形状および配置の具体例について説明する。なお、前記した空間光変調器10では、1つの画素20に、2つの光変調素子13a,13bを配置した場合について説明したが、ここでは、1つの画素20に、1つの光変調素子13を配置した場合も取り上げて説明する。また、制御部18については後記する。
図4(a)〜(f)に、光変調素子の上面形状および配置の模式図を示す。
光変調素子13の形状としては、その上下面の形状(ここでは上面の形状を説明する)において、具体的には、図4(a)に示すような長方形(すなわち、光変調素子13の形状は、立方体ではない直方体)や、図4(b)に示すような角のない長方形や、図4(c)に示すような楕円形が挙げられる。また、図4(d)に示すように、長軸側の側面に、上面と下面とを貫くように、ノッチPが形成されていることが好ましい。このように、上面から下面まで、側面の一部が凹むように、ノッチPを形成することも、多磁区状態の制御には効果的であり、より多磁区状態をとりやすくなる。
このように、アスペクト比を所定にしたり、ノッチPを形成したりすることで、多磁区状態をとりやすくなるのは、光変調素子13が円形の場合に比べ、光変調素子13に流れる電流の流れ方が、不均一になるためと考えられる。なお、光変調素子13の形状は、前記のような多磁区状態をとることができる形状であれば、画素20の形状に応じて、適宜、好適な形状を選択することができる。
図4(a)〜(d)では、1つの画素20内に、1つの光変調素子13を備える場合について図示しているが、図4(e)、(f)に示すように、1つの画素20内に複数の光変調素子13a,13bを備えてもよい(図4(e)、(f)では2つ)。これにより、開口率を向上させることができ、また、割り当て可能な階調数を増加させることができる。
ここで、画素20内に同一形状の複数の光変調素子13a,13bを配置してもよいが(図4(e))、反転特性を調整した複数の光変調素子13a,13bを配置してもよい(図4(f))。このように、形状の異なる2種類の光変調素子13a,13bを用いることにより、光の階調数をさらに増やすことができる。例えば、図4(f)に示すように、長方形のもの(13b)と、長方形で、かつ側面にノッチPを有するもの(13a)を配置した場合、所定条件下、どちらか一方の光変調素子13のみが多磁区状態をとることにより、1つの画素20で、階調数を4つにすることができる。さらに、両方の光変調素子13a,13bが異なる条件で多磁区状態をとることにより、1つの画素20で、階調数を5つにすることができる。なお、画素20内に複数の光変調素子13を配置する場合にも、複数の光変調素子13が画素20内に収まるように、光変調素子13のサイズを、画素20のサイズよりも小さくする。
なお、光変調素子13の形状は、前記したように、その上下面が、それぞれ直径100nmの円の面積以上の面積を有する大きさであれば、上下面が円形(すなわち、光変調素子13の形状は、円柱)であっても構わない。
[空間光変調器の製造方法]
次に、空間光変調器の製造方法の一例について説明する。
まず、例えば、シリコン(Si)、石英または石英ガラス(SiO)、マグネシア(MgO)等の基板上に、下部電極12としての金属層(例えば、Cu等)を、蒸着法やスパッタリング法等により成膜する。次に、この金属層をフォトリソグラフィ法と、イオンビームミリングやドライエッチング法等によって、短冊状(図2参照)にパターニングし、その後、下部電極12間をSiO等の絶縁材料で埋める。なお、この下部電極12の形成には、所謂、リフトオフ法を用いてもよい。
続いて、下部電極12上に、固定層101、中間層102および反転層103を逐次成膜し、素子膜91(図5参照)を形成する。ここでは、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法やスパッタリング法等を用いることができる。なお、光変調素子13の特性を向上させ、また、後のプロセス中における光変調素子の特性変化を抑制するため、必要に応じて加熱処理等を行ってもよい。
こうして反転層103が形成された後に、光変調素子13を形成すべき領域を電子線描画によるレジストパターン等でマスクし、露出面を下部電極12の上面の高さまでドライエッチング等により掘り下げる。こうして形成された溝(空間)をSiO等の絶縁材料にて封止することで、絶縁体104を形成する。続いて、レジストパターンを除去し(リフトオフ)、必要に応じてCMP等の平坦化処理を施す。その後、上部電極11を成膜することにより、16カ所に画素20が形成される。上部電極11間には、下部電極12間と同様に、SiO等の絶縁材料が充填される。
光変調素子13の形状については、例えば、レジストを所定の形状にすることで調整すればよい。図5(a)〜(i)に、所望の形状の光変調素子の製造方法の一例についての説明図を示す。
例えば、図5(a)〜(c)に示すように、光変調素子13の上下面の形状を長方形にする場合には、素子膜91上に配置されるレジスト90の上下面形状を長方形とし(図5(a))、このレジスト90のパターンにしたがって、露出面を下部電極12の上面の高さまでドライエッチングを行い(図5(b))、その後、絶縁体104の堆積、リフトオフ等を順次行えばよい(図5(c))。また、図5(d)〜(f)に示すように、光変調素子13の上下面の形状を楕円形にする場合には、レジスト90の上下面の形状を楕円形とし(図5(d))、このレジスト90のパターンにしたがって、ドライエッチングを行い(図5(e))、その後、絶縁体104の堆積、リフトオフ等を順次行えばよい(図5(f))。また、図5(g)〜(i)に示すように、光変調素子13を、側面にノッチPを有する形状にする場合には、ノッチPを形成したレジスト90を使用し(図5(g))、このレジスト90のパターンにしたがってドライエッチングを行い(図5(h))、その後、絶縁体104の堆積、リフトオフ等を順次行えばよい(図5(i))。
[制御部]
次に、図2を参照して、制御部について説明する。
制御部18は、4本の上部電極11から電流を流す上部電極を選択する上部電極選択部14と、4本の下部電極12から電流を流す下部電極を選択する下部電極選択部15と、上部電極選択部14および下部電極選択部15に電流を供給する電流源16と、上部電極選択部14、下部電極選択部15および電流源16を制御する電流制御手段17とを備えている。
上部電極選択部14は、電流制御手段17からの指令(信号)を受けて、16カ所の画素20の中から図2に示した縦方向に配置された画素を選択し、下部電極選択部15は、電流制御手段17からの指令(信号)を受けて、横方向に配置した画素を選択する。これら上部電極選択部14および下部電極選択部15によって、1個の画素20が特定されることとなる。電流源16は、電流制御手段17からの指令(信号)を受けて、画素20にパルス電流(または直流電流)を供給する。電流制御手段17は、所謂、コンピュータであり、各画素20に流れる電流の方向および大きさを決定し、制御する。
[光変調素子による光変調(空間光変調器の動作)]
図6に光変調素子による空間光変調の形態(空間光変調器の動作の形態)を模式的に表した説明図を示す。ここで、図6(a)は明状態を示し、図6(b)は暗状態を示している。「明状態」とは、光変調素子13からの反射光が偏光フィルタ4bを通過してスクリーン3に照射される状態をいい、このとき「光変調素子13が明状態にある」ということとする。また、「暗状態」とは、光変調素子13からの反射光が偏光フィルタ4bによって遮光されて、スクリーン3に照射されない状態をいい、このとき「光変調素子13が暗状態にある」ということとする。
レーザ光源2から照射された光は様々な偏光成分を含んでいるが、偏光フィルタ4aによって、ある方向の偏光成分だけを含むようにフィルタリングされる。こうしてフィルタリングされた光が透明な上部電極11を透過して光変調素子13に入射し、光変調素子13で反射される。光変調素子13の固定層101における磁化方向は、図6(a),(b)に示すように、上向き矢印で示される向きに固定されているとする。また、反転層103における磁化方向は、初期状態としては、ここでは上向き矢印で示される向きであるものとする。電流制御手段17は光変調素子13に流す電流の大きさや向きを変えることで、光変調素子13にスピン注入を行い、反転層103の磁化方向の向きを制御する。
図6(a)に示す明状態では、光変調素子13には、電流源16によって、上部電極11から光変調素子13を通して下部電極12へ向かう方向にパルス電流もしくは直流電流が流される。この状態では、反転層103の磁化方向は上向きの矢印で示される向きとなっており、反射光は偏光面を変えることなく、光変調素子13で反射され、偏光フィルタ4b(偏光フィルタ4aと同特性)を通過して、スクリーン3に到達する。その結果、スクリーン3には明るい映像が表示されることとなる。
一方、図6(b)に示す暗状態では、電流源16によって、下部電極12から光変調素子13を通して上部電極11へ向かう方向にパルス電流もしくは直流電流が流される。この電流によって、上部電極11から反転層103と中間層102を介して固定層101に流れる電子は、スピンの方向が固定層101の磁化と同じ方向に揃えられるため、反転層103の磁化と電子のスピンの間でトルクの受け渡しが行われることにより、反転層103の磁化方向は、固定層101と逆の下向きの矢印の向きとなるように回転(反転)する。この反転状態では、反転層103の磁化方向(下向きの矢印)にしたがう磁気光学的カー効果により、反射光の偏光面が回転する。こうして、反射光は入射光とは異なる偏光成分を有することとなるために、偏光フィルタ4bを通過することができない。その結果、スクリーン3は暗くなることとなる。
また、反転層103における磁化方向を、初期状態として、下向き矢印で示される向きであるものとした場合には、光変調素子13に、電流源16によって、上部電極11から光変調素子13を通して下部電極12へ向かう方向にパルス電流もしくは直流電流が流されると、この電流によって、固定層101から中間層102を介して反転層103へ電子がスピンを保ったまま注入される。そのため、反転層103の磁化方向は、固定層101と同じ上向きの矢印の向きとなるように回転(反転)する。この状態では、図6(a)に示す明状態とすることができる。一方、電流源16によって、下部電極12から光変調素子13を通して上部電極11へ向かう方向にパルス電流もしくは直流電流が流されると、反転層103の磁化方向は下向きの矢印で示される向きのままである。この状態では、図6(b)に示す暗状態とすることができる。
このように、下部電極12と上部電極11との間で流す電流の向きを切り替えることによって、光変調素子13における、光を検出可能な明状態と光を検出不能な暗状態とを切り替えることができる。
また、後記するように、電流の大きさを大きくすることでも、反転層103の磁化方向を反転させることができる。
次に、光変調素子の多磁区状態について説明する。なお、ここでは、一例として、反転層103が上向きおよび下向きの2つの磁区を形成している場合について、説明する。図7に、光変調素子が多磁区状態(ここでは、2つの磁区)を取る場合の光変調の形態(空間光変調器の動作の形態)について、中間状態を示す場合の模式的な説明図を示す。
図7に示すように、光変調素子13は、その上面および下面が長方形である立体形状(立方体ではない直方体)をとることにより、電流源16から供給される電流の大きさや向きによって、反転層103において、上向きの磁化を有する部位(反転層103の一側)Lと、下向きの磁化を有する部位(反転層103の他側)Rとが形成されている。この状態において、レーザ光源2から照射され、偏光フィルタ4aによってフィルタリングされて光変調素子13に入射した光は、反転層103の一側Lでは、反射光は偏光面を変えることなく、光変調素子13で反射され、偏光フィルタ4b(偏光フィルタ4aと同特性)を通過する。一方、反転層103の他側Rでは、反射光の偏光面が回転し、反射光は入射光とは異なる偏光成分を有することとなるために、偏光フィルタ4bを通過することができない。そのため、このような状態の光変調素子13では、明状態と暗状態との中間状態を作り出すことができる。すなわち、この中間状態では、スクリーン3に表示される映像の明るさは、上向きの磁化のみを有する単磁区状態の場合に比べ、1/2になる。
このように、画素を構成する1つの光変調素子13が、単独で単磁区状態または多磁区状態を作り出すことで、光変調素子13に流れる電流の大きさにより、画素20を構成する光変調素子13が、単独で、このような単磁区状態および多磁区状態を光の階調に割り当てることができる。
[光変調素子の磁区状態の変移]
次に、光変調素子の磁区状態の変移について、図8を参照して説明する。
図8(a)〜(c)に、光変調素子の磁化の回転を説明するための説明図を示す。
前記したように、初期状態で、反転層103の磁化方向が、固定層101の磁化方向と同じ方向(平行:Parallel)(上向きの方向)であるときに、逆方向のスピンを持つ電子を注入することにより、すなわち電流を下部電極12から光変調素子13を通って上部電極11へ供給することにより、反転層103の磁化方向を反転(スピン注入磁化反転)させて、反転層103の磁化方向を、180°異なる方向(反平行:Anti−Parallel)にすることができる(図6(b))。一方、初期状態で、固定層101と反転層103の磁化方向が反平行であるときに、電流を上部電極11から光変調素子13を通って下部電極12へ供給することにより、反転層103の磁化方向を反転(スピン注入磁化反転)させて、反転層103の磁化方向を、固定層101の磁化と平行にすることができる(図6(a))。
また、電流の大きさを大きくすることにより、反転層103の磁化方向を、固定層101の磁化方向と平行または反平行にすることができる。
ここで、例えば、下部電極12から光変調素子13を通って上部電極11へ流れる電流の向きを正方向として「+I」で示し、逆に、上部電極11から光変調素子13を通って下部電極12へ流れる電流の向きを負方向として「−I」で示すこととする。また、電流の大きさは、「−I」の場合は、「−I1〜−I6」、「+I」の場合は、「+I1〜+I6」の順に大きくなるものとする。
図8(a)に示すように、電流の大きさが、「−I6〜+I2」の場合は、光変調素子13は、磁化反転せずに反転層103の磁化方向が上向きの単磁区状態を示す。そして、このような磁化が平行な状態の光変調素子13に、電流を正方向に次第に大きくしながら供給すると、電流の大きさが「+I3〜+I4」になった時点で、反転層103の片側(他側R)のみ磁化方向が180°回転して、図8(c)に示すように、反転層103の他側Rにおいて、磁化が反転する。このとき、反転層103の一側Lにおいて、磁化はそのままである。そして、さらに電流を大きくしていき、電流の大きさが「+I5〜+I6」になると、反転層103の一側Lにおいても、磁化が反転して、図8(b)に示すように光変調素子13の固定層101と反転層103の磁化方向は、反平行になる。反対に、図8(b)に示すように、電流の大きさが、「−I2〜+I6」の場合は、光変調素子13は、反転層103の磁化方向が下向きの単磁区状態を示す。そして、このような磁化方向が反平行な状態の光変調素子13に、電流の大きさを負方向に次第に大きくしながら供給すると、電流の大きさが「−I4〜−I3」になった時点で、反転層103の片側(一側L)のみ磁化方向が180°回転して、図8(c)に示すように、反転層103の一側Lにおいて、磁化が反転する。このとき、反転層103の他側Rにおいて、磁化はそのままである。そして、さらに電流を大きくしていき、電流の大きさが「−I6〜−I5」になると、反転層103の他側Rにおいても、磁化が反転して、図8(a)に示すように光変調素子13の固定層101と反転層103の磁化方向は、平行になる。このような磁化反転は、電流を次第に大きくするだけではなく、単一のパルス電流もしくは直流電流を光変調素子13に印加することで制御することができる。
このように、磁区状態は、光変調素子13に流す電流の大きさや向きを変化させることで変移(変化)させることができる。そのため、光変調素子13は、光変調素子13に流れる電流の大きさにより、単独に磁区の状態を単磁区状態または多磁区状態として、この単磁区状態および多磁区状態を光の階調に割り当てることがでる。これにより、画素20を1つの光変調素子13で構成しても、階調表示することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した形態に限定されるものではない。例えば、空間光変調器10を構成する光変調素子13の多磁区状態として、上方向および下方向の2つの磁化を有する場合について取り上げたが、さらに多くの磁区が形成されるようにしてもよい。例えば、4つの磁区が形成されるようにした場合、4つの磁区のうち、2つの磁区が上向きの磁化を有する場合(固定層101と磁化方向が平行の場合)には、スクリーン3に表示される映像の明るさは、上向きの磁化のみを有する単磁区状態の場合に比べ、1/2になる。また、4つの磁区のうち、1つの磁区が上向きの磁化を有する場合には、スクリーン3に表示される映像の明るさは、上向きの磁化のみを有する単磁区状態の場合に比べ、1/4になる。
なお、このような磁区の数は、アスペクト比を大きくするか、ノッチの数を増やすことにより、増加させることができる。
また、空間光変調器10を構成する画素20として、2個の光変調素子13a,13bを備えたものを取り上げたが、1画素は、さらに多くの光変調素子13を備えていてもよく、各画素20を、光変調素子13に流す電流の向きと大きさにしたがって、明状態から暗状態(または暗状態から明状態)へと段階的に変化させることで、複数の異なる中間状態を作り出すことが可能となる。このような画素20を備えた空間光変調器10を用いて構成された映像表示装置1では、映像等の階調表示の精密さを、さらに高めることができる。また、開口率をさらに向上させることができる。
さらに、前記した光変調素子13としては、磁化方向が垂直方向(層表面と直交する方向)のものを示したが、磁化方向が平行方向(層表面に平行な方向)であるスピン注入磁化反転素子を用いてもよい。また、図6では、図6(a)に示す状態を明状態とし、図6(b)に示す状態を暗状態としたが、偏光フィルタ4a,4bの特性を変更することにより、光変調素子13が図6(a)に示した状態にあるときに、反射光が偏光フィルタ4bを通過できないようにして暗状態とすることができ、光変調素子13が図6(b)に示した状態にあるときに、反射光が偏光フィルタ4bを通過できるようにして明状態とすることができる。
その他、必要に応じて、反転層103の上側、すなわち、反転層103と上部電極11との間に、保護層を設けてもよい。保護層は、反転層103の酸化等のダメージを防止する役割を担う層であり、特に、光変調素子13を形成する際の熱処理における反転層103の酸化を防止する。なお、保護層を構成する材料には、熱処理の際に反転層103を構成する材料と反応しない性質が求められる。さらに、保護層には、透光性に優れ、反転層103の磁気カー効果を低下させない特性(換言すれば、入射光と反射光の偏光面を散乱させない特性)を有していることが要求される。このような要求を満たす材料として、Ta、Ru等を用いることができる。特にRuは、それ自体が酸化されても抵抗率が増大しないため、光変調素子13に用いることが好ましい。
さらに、必要に応じて、固定層101の下側、すなわち、固定層101と下部電極12との間に、例えばPtからなる下地層を設けてもよい。固定層101の下地として下地層を挿入することで、固定層101の保磁力を増大させることができ、より安定したスピン注入磁化反転動作をさせることができる。
そして、本実施形態では、空間光変調器10は、光変調素子13に、さらに制御部18、すなわち、上部電極選択部14と、下部電極選択部15と、電流源16と、電流制御手段17とを備える構成としたが、これらの構成は、空間光変調器10と別の構成としてもよい。
次に本発明に係る空間光変調器の実施例について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
試験に供するサンプルの製造においては、前記記載の空間光変調器の製造方法に従った。まず、表面を熱酸化したシリコン基板上に、下部電極としてCu電極を形成し、この上に、固定層、中間層、反転層、の順に、スパッタリング法を用いて、真空中で一貫して製膜した。その後、上部にIZOからなる透明電極を、上部電極として形成した。
固定層は、Tb−Fe−Co(10nm)/Co−Fe(1nm)(左側から記載の材料から順に積層)とし、中間層は、Cu(6nm)とした。反転層は、Co(0.2nm)/Ni(0.6nm)(左側から記載の材料から順に積層)を4組積層し、その上に、さらに、Gd−Fe(7nm)を積層した。光変調素子の形状は、上下面を、それぞれ100nm×280nmの長方形とした直方体とした。
そして、1画素1素子として、作製したサンプルについて、光変調素子のスピン注入磁化反転による、素子抵抗変化率(MR比)のパルス電流依存性、および、カー楕円率のパルス電流依存性を調べた。
なお、素子抵抗変化率は、反転層の磁化状態を反映するものであり、カー楕円率は、磁気光学型の光変調素子において、光の変調度(明るさ)に比例的に相関するパラメータである。
MR比については、4端子法による測定で、ロックインアンプにより微小な交流電流(0.05mA)を印加して出力電圧を測定し、そこから算出される素子抵抗および素子抵抗変化からMR比を算出した。カー楕円率測定については、マイクロ極カー効果測定装置(ネオアーク社製)を使用し、円偏光変調法により測定したカー楕円率に比例するロックインアンプの電圧出力を規格化したものをグラフとした。なお、初期状態では、反転層の磁化方向が固定層の磁化方向と反平行な状態とし、パルス電流は、下部電極側から、素子を通って上部電極側へ、素子の垂直方向に流す方向を正として、負の電流の大きさを徐々に大きくしていった。
これらの結果を図9に示す。図9(a)は、光変調素子におけるパルス電流の大きさと、素子抵抗変化率(MR比)の関係を示すグラフであり、(b)は、光変調素子におけるパルス電流の大きさと、カー楕円率の関係を示すグラフである。なお、図9(b)の右側に、これらのグラフに対応する光変調素子の磁区状態を示す。
図9(a)に示すように、MR比においては、明瞭な2段階の遷移を示している。これは、反転層の磁化方向が固定層の磁化方向と反平行な状態、反転層の磁化の一部が反転している状態、反転層の磁化の全てが反転して、固定層の磁化方向と平行な状態が、パルス電流により制御されていることを示している。また、図9(b)に示すように、カー楕円率の変化は、パルス電流により素子抵抗変化と同様に変化しており、多磁区状態の制御により、光の階調表示を行うことが可能であることを示している。
1 映像表示装置
2 レーザ光源
3 スクリーン
4a,4b 偏光フィルタ
10 空間光変調器
11 上部電極
12 下部電極
13(13a,13b) 光変調素子
14 上部電極選択部
15 下部電極選択部
16 電流源
17 電流制御手段
18 制御部
20 画素
90 レジスト
91 素子膜
92 基板
101 固定層
102 中間層
103 反転層
104 絶縁体(封止材)
P ノッチ

Claims (6)

  1. 磁気光学効果により光の変調を制御する磁気光学型の空間光変調器であって、
    前記空間光変調器を構成する画素が、光変調素子を備え、
    前記光変調素子は、前記画素のサイズよりも小さく、かつ、前記光変調素子の上面および下面が、それぞれ直径100nmの円の面積以上の面積を有し、
    前記光変調素子は、当該光変調素子に流れる電流の大きさにより、磁区の状態を単磁区状態または多磁区状態として、当該単磁区状態および多磁区状態を光の階調に割り当てることを特徴とする空間光変調器。
  2. 前記光変調素子は、前記上面および下面のそれぞれの形状において、長軸と短軸が、それぞれ100nm以上であることを特徴とする請求項1に記載の空間光変調器。
  3. 前記光変調素子は、前記上面および下面のそれぞれの形状において、長軸と短軸とのアスペクト比が、それぞれ1.2以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空間光変調器。
  4. 前記光変調素子は、前記長軸側の側面に、前記上面と下面とを貫くように、ノッチが形成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の空間光変調器。
  5. 前記画素内に、複数の光変調素子を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の空間光変調器。
  6. 前記光変調素子は、スピン注入磁化反転素子であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の空間光変調器。
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