JP5054595B2 - レーザプロジェクタ - Google Patents

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Description

本発明は、スピン注入型磁化反転素子を用いた回折格子、画像表示装置、レーザプロジェクタ、ゾーンプレート、ズームレンズおよび立体画像表示装置に関する。
従来の分光器などに用いられてきた回折格子は、鏡面加工した金属板に1mm幅あたり数千本の溝を平行に形成し、この溝による反射光が干渉し合うことを利用して光を回折させる。そして、この回折格子、あるいは光路上に設けたミラーを回転して入射角と反射角を選択することによって、所望の波長の光を取り出す仕組みになっている。
また、従来のカラーディスプレイでは、液晶に白色光を入射し、カラーフィルタでRGB三色に分解してカラー表示する方式、RGB用LEDバックライトを1フレーム内で時間分割で照射するフィールド色順次液晶ディスプレイ、白色光からRGBに色分解した光を画素毎のマイクロミラーで反射してスクリーンに投射する方式、RGB三色のレーザービームを合成して投射する方式、RGB用紫外線励起蛍光体を用いたプラズマディスプレイ、RGB三色に応じたそれぞれの発光材料を電圧印加等により自発光させる電場発光ディスプレイ、RGB三色それぞれに応じた電子線励起蛍光体を用いたCRTや冷陰極ディスプレイなどがある。
また、従来のレーザープロジェクタでは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)によるミラー(DMD)を2個使用してXY走査する方式がある。
また、平面型のレンズとして、同心円輪帯状に光を透過する輪帯状スリットを周期的に設けたゾーンプレートが用いられている。さらに電圧駆動で焦点を可変できる平面型レンズとして液晶を用いる方法が研究されている(特許文献1)。これは、電圧印加により液晶分子の配向に基づく屈折率変化を応用するもので、例えば、同心円状に配設された輪帯状の電極間に異なる電圧を印加して直径方向に屈折率勾配が形成されることを利用して焦点距離を調節するものである。また、ポリマーによりレンズ状に湾曲した表面と液晶を接触させ、同様に液晶に分子配向を制御して焦点距離を調節する場合もある(例えば、非特許文献1、非特許文献2等参照)。
また、立体表示方式の中で、比較的視覚疲労の少ない実像型として、リアルタイムホログラフィー、リアルタイムインテグラルフォトグラフィーなどの方式がある。
特開平10−239676号公報 L. G. Commander, S. E. Day and D. R. Selviah, EOS Fourth Microlens Arrais Conference, Topical meeting digest series: 13, p.48, NPL(1997). Y. S. Hwang, T. H. Yoon, and J. C. Kim: IDW’03, pp.1449-1452(2003).
ところで、回折格子による光の回折は、次の(1)式の関係を有する。
sinα±sinβ=Nmλ (1)
ここで、波長λ、入射光が回折格子面法線と成す角α(入射角)、回折光が回折格子面法線と成す角β(回折角)、回折次数m、Nは1mmあたりのスリット(溝)数である。(N=1/d,d:回折格子周期)
そして、金属板表面に溝加工を施して形成される従来の回折格子は、Nが固定であるので、回折格子への入射光の入射角αが固定ならば、回折格子の回折角βは波長λによって異なる。したがって、従来の分光器では、回折格子やミラーを回転する精密な機構系によって出力側のスリットに回折光を透過させるか、波長分散して波長毎に異なる回折角で回折した回折光を一度に検出できるマルチチャンネル検出器を必要としてきた。
また、従来のゾーンプレートでは、同心円輪帯状のスリットが基板に作り込まれているため、波長毎に焦点距離も固定で、集光・結像などのために複雑な機構系が必要となる。
さらに、従来のカラーディスプレイでは、投射型および直視型もRGBのカラーフィルタや、RGBのLEDバックライト、あるいはRGBの発光材料からの発色光で決まる色域しか再現できない難点があった。
また、レーザープロジェクタでは、回転ミラーなどの機構系を用いるので、コンパクト化が困難であった。
また、実像型の立体表示装置では、視域、画面サイズ、立体感それぞれを満足するカラーディスプレイがこれまでになかった。
そこで、本発明の課題は、回折格子周期dや回折格子の回折角β(回折方向)を電気的に任意に可変とすることにより、異なる波長に対して機構部を必要とすることなく任意の回折角βを得ることができるとともに、異なる入射角で入射する光ビームに対しても、回転機構等の機構を必要とすることなく回折できる回折格子用いたレーザプロジェクタ提供することにある。
前記課題を解決するため、請求項に記載のレーザプロジェクタは、スピン注入により磁化方向が反転されることによって、入射したレーザ光ビームの偏光軸を、磁化反転しないスピン注入型磁化反転素子による反射光と反対方向に回転させて反射する複数のスピン注入型磁化反転素子が、基板上にアレイ状に配設された第1回折反射部と第2回折反射部と、前記第1回折反射部に直線偏光したレーザ光ビームを入射させる光ビーム入射手段と、前記第1回折反射部の複数のスピン注入型磁化反転素子の中から、磁化方向を反転させるスピン注入型磁化反転素子を選択して回折格子周期を制御する第1素子選択手段と、前記第2回折反射部の複数のスピン注入型磁化反転素子の中から、磁化方向を反転させるスピン注入型磁化反転素子を選択して回折格子周期を制御する第2素子選択手段と、を備え、前記第1素子選択手段は、前記第1回折反射部から磁化方向を反転させるスピン注入型磁化反転素子を選択して回折格子周期を制御して、前記第1回折反射部によって回折反射される第1反射回折光を、第1方向に走査し、前記第2素子選択手段は、前記第2回折反射部から磁化方向を反転させるスピン注入型磁化反転素子を選択して回折格子周期を制御して、前記第1回折反射部によって第1方向に走査された第1反射回折光を、前記第1方向に直交する第2方向に走査するようにしたことを特徴とする。
本発明において、「アレイ状」とは、相互に直交する複数の直線に沿って格子状に配列されていることをいう。
このレーザプロジェクタでは、前記第1素子選択手段は、前記第1回折反射部から磁化方向を反転させるスピン注入型磁化反転素子を選択して回折格子周期を制御することによって、第1回折部による第1反射回折光を、第1方向に走査し、前記第2素子選択手段は、前記第2回折反射部から磁化方向を反転させるスピン注入型磁化反転素子を選択して回折格子周期を制御することによって、前記第1回折反射部から第1方向に走査された第1回折光を、前記第1方向に直交する第2方向に走査するようにしたことによって、第1方向(X方向)と第2方向(Y方向)に走査される所望の波長の回折光で構成される画像を形成することができる。
請求項2に記載のレーザプロジェクタは、前記レーザプロジェクタにおいて、前記第1回折反射部に直線偏光した光ビームを入射させる光ビーム入射手段をさらに備え、前記第1および第2素子選択手段は、前記スピン注入型磁化反転素子の上部に設けられた上部電極と、前記スピン注入型磁化反転素子の下部に設けられた下部電極との間に電圧を印加することにより、前記複数のスピン注入型磁化反転素子の中から磁化方向を反転させるスピン注入型磁化反転素子を選択することを特徴とする。
請求項3に記載のレーザプロジェクタは、前記レーザプロジェクタにおいて、前記上部電極と、前記下部電極とは、相互に直交配置されたX−Y電極線に接続されていることを特徴とする。
このレーザプロジェクタでは、第1および第2素子選択手段によって、相互に直交配置されたX−Y電極線に接続されている上部電極と、下部電極との間に電圧を印加して、その上部電極と下部電極の間に挟まれたスピン注入型磁化反転素子にスピンを注入することによって、スピン注入型磁化反転素子の磁化方向を反転させることができる。
請求項4に記載のレーザプロジェクタは、前記レーザプロジェクタにおいて、前記上部電極は、前記光ビーム入射手段から入射する直線偏光した光ビームの波長領域で透明であることを特徴とする。
このレーザプロジェクタでは、スピン注入型磁化反転素子の上部に設けられる上部電極が、光ビーム入射手段から入射する直線偏光した光ビームの波長領域で透明であることによって、光ビーム入射手段から入射する光のほとんどが前記スピン注入型磁化反転素子に入射することが可能となる。
本発明において、光ビームに対して透明である、とは、光ビーム入射手段から入射する直線偏光した光ビームが上部電極を透過してスピン注入磁化反転素子に入射できることを言う。
請求項5に記載のレーザプロジェクタは、前記レーザプロジェクタにおいて、前記スピン注入型磁化反転素子は断面柱状に形成され、相隣接するスピン注入型磁化反転素子同士は、相互に電気的および磁気的に絶縁されていることを特徴とする。
このレーザプロジェクタでは、スピン注入型磁化反転素子が断面柱状に形成され、相隣接するスピン注入型磁化反転素子同士が、相互に電気的および磁気的に絶縁されていることによって、各スピン注入型磁化反転素子が独立にスピン注入により磁化反転して、入射する光ビームの偏光軸を磁化反転していないスピン注入型磁化反転素子による反射光の偏光軸と反対方向に回転された反射光を得ることができる。
請求項6に記載のレーザプロジェクタは、前記レーザプロジェクタにおいて、前記第1素子選択手段は、入射する光ビームの波長および入射角に応じて、前記第1回折反射部の前記スピン注入型磁化反転素子の中から、前記上部電極および下部電極によって電圧を印加してスピン注入する前記スピン注入型磁化反転素子を、周期的かつ帯状に選択することを特徴とする。
このレーザプロジェクタでは、素子選択手段が、入射する光ビームの波長および回折方向に応じて、スピン注入用電極によって、第1回折反射部の前記スピン注入型磁化反転素子を、周期的かつ帯状に選択して回折格子周期を制御することによって、所望の回折角または波長で回折反射光を得ることができる。
本発明のレーザプロジェクタは、第1方向(X方向)と第2方向(Y方向)に所望の波長の回折光で構成される画像を機構部を必要とすることなく形成することができる。
以下、本発明の参考例の回折格子、画像表示装置、本発明のレーザプロジェクタ、本発明の参考例のゾーンプレート、ズームレンズおよび立体画像表示装置について詳細に説明する。
図1は、本発明の参考例の回折格子の基本構成を示す模式断面図、図2(a)は本発明の参考例の回折格子の実施形態を示す模式平面図、図2(b)は、図2(a)に示すA−A’線断面図である。図3(a)は、本発明の参考例の回折格子の他の実施形態を示す模式平面図、図3(b)は、図3(a)に示すB−B’線断面図である。図4(a)は、本発明の参考例に係る投射型画像表示装置の基本構成と動作原理を説明する模式断面図、図4(b)は、その投射型画像表示装置における画素配列を示す模式平面図、図4(c)は、投射型画像表示装置の画素を構成するスピン注入型磁化反転素子の構成を示す模式断面図である。図5は、本発明のレーザプロジェクタの基本構成を示す概念図である。図6(a)および(b)は、本発明の参考例に係る焦点可変反射型ゾーンプレートの基本構成および動作原理を説明する模式平面図および模式断面図、図6(c)は、その焦点可変反射型ゾーンプレートの動作を説明する概念図である。図7(a)および(b)は、本発明の参考例に係る立体画像表示装置の基本構成および動作を説明する模式断面図および模式平面図である。
図1に示す回折格子1は、基板2の上に、複数のスピン注入型磁化反転素子(以下、「素子」と略記する)4が、各素子4の間に介設された絶縁層3によって電気的および磁気的に絶縁された状態で、アレイ状に配設された回折反射部5を有する。この回折反射部5において、素子4は、図2(a)および図3(a)に示すように、基板2上に、直交するX軸方向およびY軸方向に沿ってマトリックス状に配置されている。各素子4の下部には下部電極6が配置され、上部には上部透明電極7が配設されている。そして、下部電極6は、図1中、紙面に対して垂直な方向に直列に接続され、上部透明電極7は、図1中、紙面に沿った方向に直列に接続されている。すなわち、下部電極6と、上部透明電極7とは、図2(a)および図3(a)に示すように、X軸およびY軸に沿って、相互に直交するように配置されている。また、素子4の上部には、素子4に入射する光の光路上に光ビーム入射手段9が配設され、素子4によって反射された反射光の光路上に偏光手段10が配設されている。上部透明電極は、光透過率が可能な限り大きい方が良いが、回折格子1の用途によっても異なる。
基板2としては、シリコン(Si)、酸化シリコン(SiO)、酸化マグネシウム(MgO)、ガラス等が用いられる。
素子4は、下部電極6の側から、上部透明電極7に向けて、スピン固定強磁性層41、非磁性中間層42およびスピンフリー強磁性層43の順に積層された断面柱状の構成を有する。
スピン固定強磁性層41は、強磁性材料からなり、磁化方向が固定されている層である。強磁性材料としては、金属系ハーフメタルなどスピン分極率の高い材料を用いることが好ましい。例えば、Co2MnAl、Co2MnSi、Co2Cr0.6Fe0.4Al、CoFeB、MiMnSbなどの大きなスピン偏極率を有する材料が挙げられる。また、酸化物系ハーフメタルとしては、La0.7Sr0.3Mn 3、Sr2Fe(W0.4Mo0.6)O6、Sr2FeReO6、CrO2、Fe34などが挙げられる。これらの中でも、強磁性材料として、スピン分極率が高いことが好ましい。さらに、スピン固定強磁性層41は、これらの材料の組成の異なる層やIrMnなどのスピン固着層と組み合わせた2〜3層構造であってもよい。このスピン固定強磁性層41の膜厚は、数〜数十nm程度である。このスピン固定強磁性層41は、分子線エピタキシー(MBE)法やスパッタ法などによって、下部電極の上に形成される。
非磁性中間層42は、スピンフリー強磁性層43に進入した光を入射面側に反射させる必要があるため、入射光(例えばRGB光)に対する反射率の大きい材料を用いることが望ましく、例えば、Cu等で形成することができる。この非磁性中間層42の膜厚は、偏極スピン電子がトンネルできる厚さ(2〜3nm)とすることが好ましい。この非磁性中間層42は、MBE法やスパッタ法などによって、スピン固定強磁性層41の上に形成することができる。
スピンフリー強磁性層43は、偏極スピン電子の注入により磁化方向が反転して、磁気光学効果(カー効果)によって、入射光の偏光軸を磁化反転しない素子と反対方向に回転させて反射する役割を有する層である。このスピンフリー強磁性層43を形成する強磁性材料としては、例えば、CoFe、NiFeなどが挙げられる。スピン注入磁化反転に要する電流を低減できる点では、低飽和磁化および低ダンピング定数でスピン歳差運動の緩和時間が大きく、スピン流が大きくなるような特性を持つものが好ましい。また、大きな磁気光学効果を実現するという点では、PtMnSb、MnBi、あるいはPt/Co、Pt/Fe、 Pd/Co、FePt/Pt、TbFeCo/Ptなどの人工格子でもよい。このスピンフリー強磁性層43の膜厚は、2〜数nm程度である。このスピンフリー強磁性層43は、非磁性中間層42の上にMBE法やスパッタ法などによって形成することができる。
また、基板2と、スピン固定強磁性層41との間に設けられる下部電極6は、スピンフリー強磁性層43の上に設けられる上部透明電極7とともに、スピンフリー強磁性層43に偏極スピン電子を注入するためのスピン注入用電極を構成する。この下部電極6と上部透明電極7の間に下部電極6を負に、上部透明電極を正に電圧を印加することによって、スピンフリー強磁性層43にスピン偏極電子が注入される。スピン注入による磁化反転後、正負逆方向に電圧を印加すれば、スピンフリー強磁性層43の磁化方向はスピン注入前の状態に戻る。
この下部電極6は、基板2の上に、TaやCrなどの金属材料をスパッタ法などで堆積し、リソグラフィー法などで所望のサイズの電極母線に加工して形成することができる。また、基板2としてSiやMgOを用いる場合には、電極材料をエピタキシャル成長させて形成することもできる。
また、上部透明電極7は、スピンフリー強磁性層43に効率よく光を進入させるため、入射光に対して透明な材料を用いることが望ましい。例えば、IZOあるいはITOなどを用いることができる。
素子選択手段8は、下部電極6と、上部透明電極7とに接続され、素子4への電圧の印加を制御する。この素子選択手段8によって選択され、下部電極6と、上部透明電極7との間に、下部電極6を負に、上部透明電極7を正に電圧が印加された素子4におけるスピンフリー強磁性層43の磁化方向が反転される。
この素子選択手段8において、スピン注入により磁化方向を反転する素子4の選択は、図2(a)および図3(a)に示すように、図中垂直方向の下部電極列X1,X2,X3、X4,X5,X6,X7,X8,X9,X10,・・・・Xnと、図中水平方向の上部電極列Y1,Y2,Y3,Y4,Y5,Y6,Y7,Y8,Y9,Y10,・・・Ynにおいて、電圧を印加する電極を選択することによって行うことができる。下部電極X1,X2,X3、X4,X5,X6,X7,X8,X9,X10,・・・・Xnと、上部電極Y1,Y2,Y3,Y4,Y5,Y6,Y7,Y8,Y9,Y10,・・・Ynとからそれぞれ選択された電極の間に電圧を印加すると、その選択された両電極が交差する位置の素子4に電圧が印加され、スピンが注入されて磁化方向が反転される。すなわち、電圧を印加する電極の選択によって、マトリクス状に配列された素子4のアレイの中から磁化反転する素子4を選択することができる。例えば、図2(a)では、下部電極X3と、上部電極Y1、・・・Ynとの間、また、下部電極X6と、上部電極Y1、・・・Ynとの間、下部電極X9と、上部電極Y1、・・・Yn、・・・との間に電圧を印加することによって、それぞれの交点に該当する素子4に電圧を印加することができる。これによって、図2(a)に白抜きで示すように、磁化方向が反転された素子を、図中水平方向に磁化反転されない素子2つを挟む間隔(回折格子周期d=D,D:素子周期(素子4の図中水平方向の配列間隔)で図中垂直方向一列で並んだ状態で形成することができる。
また、光ビーム入射手段9は、直線偏光した光ビームを入射するものであり、例えば、光源(図示せず)から放出される光ビームを直線偏光とするものである。光源としては、白色LED光、レーザー光等の発光機器、あるいは画像情報を付与された光ビームを生成するための機器などが挙げられる。また、この光ビーム入射手段9としては、液晶偏光素子、偏光板などを用いることができる。
さらに、偏光手段10は、回折反射部5を構成するスピン注入型磁化反転素子によって反射された反射光のうち、スピン注入により磁化方向が反転された素子4によって偏光軸が回転された反射光を透過させる。そして、この偏光手段10においては、スピン注入されず磁化方向が反転されていない素子4によって偏光軸が回転された反射光は、透過しない。そして、スピン注入により磁化方向が反転された素子4によって、磁化方向が反転されていない素子4による反射光の偏光軸と反対方向に偏光軸が回転された反射光が透過する。そのため、スピン注入により磁化方向が反転された素子4によって偏光軸が回転され、この偏光手段10を透過した反射光のみが干渉して、回折格子1による回折光となる。この偏光手段10としては、液晶偏光素子、偏光板などを用いることができる。
次に、回折格子1における光ビームの回折について説明する。
この回折格子1においては、光ビーム入射手段9から回折反射部5に、直線偏光した光ビームλ1が入射され、上部透明電極7を透過して、回折反射部5にアレイ状に配設された素子4のスピンフリー強磁性層43に入射される。
そして、素子4における磁化方向による光の偏光軸のカー回転効果を利用して入射した光ビームの偏光軸が回転する。一般に、カー回転効果においては、同一の方向に一様に磁化された材料中を光が進行すると、その磁化方向を形成するのに必要な電流の方向に沿ってその偏光軸が回転する。そして、材料の一部領域のみ磁化の方向を反転させると、その領域を通過または反射する光の偏光軸は他の領域のそれと逆向きに回転する。そこで、回折格子1においては、この部分的な磁化反転が、回折反射部5にアレイ状に配設された素子4で実現される。すなわち、素子選択手段8によって選択された、下部電極6と上部透明電極7の間に電圧を印加すると、その電圧が印加された下部電極6と上部透明電極7の間の素子4に、スピン偏極電子(スピン)が注入され、その素子4のスピンフリー強磁性層43の磁化方向が反転される。例えば、図1に示す回折格子1では、電圧が印加されず磁化方向が反転されていない素子4(非磁化反転素子4B:図1中、スピンフリー強磁性層43を黒く塗り潰した素子)では、スピンフリー強磁性層43の磁化方向は、スピン固定強磁性層41の磁化方向に対して反対方向となっている。これに対して、下部電極6と上部透明電極7によって電圧が印加された素子4(磁化反転素子4A:図1中、スピンフリー強磁性層43を白抜きした素子)では、スピン固定強磁性層41からスピンフリー強磁性層43にスピンが注入される。これによって、スピンフリー強磁性層43の磁化方向が反転され、磁化方向がスピン固定強磁性層41の磁化方向と同一方向となる。
このとき、回折反射部5に入射する、直線偏光した光ビームλ1の偏光軸の角度をLとし、非磁化反転素子4Bの磁化方向が反転されていないスピンフリー強磁性層43によって反射され、偏光軸が回転された反射光λ1(−)の偏光軸の角度をL−δとすると、磁化反転素子4Aでは、磁化方向が反転されたスピンフリー強磁性層43で反射された反射光λ(+)の偏光軸の角度は、非磁化反転素子4Bによる反射光λ1(−)の偏光軸(角度L−δ)と反対方向となり、L+δとなる。そして、偏光手段10において、偏光軸の角度がL+δの光λ1(+)のみを透過するようにすれば、偏光手段10を透過して干渉して回折光となる。
ここで、前記式(1)において、N=1/d(d:回折格子周期)とすれば、下記式(2)となる。
sinα±sinβ=mλ/d (2)
式(2)中、波長λ、入射光が回折格子面法線と成す角α(入射角)、回折光が回折格子面法線と成す角β(回折角)、回折次数m、dは回折格子周期である。
したがって、図1に示す回折格子1の回折反射部5では、隣接する反転素子4Aの間の間隔をd(回折格子周期)とすれば、入射角αで反転素子4Aに入射した波長λの光ビームは、回折角(反射角)βで反射したものが干渉して回折光となることが分かる。そこで、例えば、入射する光ビームが波長λで入射角αで回折反射部5に入射する場合、素子選択手段8によって下部電極6と上部透明電極7の間に電圧を印加してスピン注入により磁化方向が反転される素子4、すなわち、磁化反転素子4Aの間隔をd(回折格子周期)に設定すれば、回折角(反射角)βで反射する反射光が干渉によって回折光となる。また、入射角αおよび回折角(反射角)βを一定の値とすれば、磁化反転素子4Aの間隔(回折格子周期)を変更することによって、回折する光ビームの波長λを変えることができる。したがって、素子選択手段8によって、下部電極6と上部透明電極7の間に電圧を印加してスピン注入により磁化方向が反転される素子4、すなわち、磁化反転素子4Aの間隔(回折格子周期)を制御すれば、回折される光ビームの回折角または波長を選択することができる。
次に、この回折格子1における光ビームの回折について、図2(a)および(b)、ならびに図3(a)および(b)に基づいて説明する。
図2(a)に示すように、回折格子1の回折反射部5において、X軸およびY軸方向に沿ってアレイ(格子)状に配設されている素子4の中から、素子選択手段8(図1参照)によって、下部電極X1,X2,X3、X4,X5,X6,X7,X8,X9,X10,・・・・Xnと、上部電極Y1,Y2,Y3,Y4,Y5,Y6,Y7,Y8,Y9,Y10,・・・Ynとにおいて、電圧を印加する電極が選択される。下部電極X1,X2,X3、X4,X5,X6,X7,X8,X9,X10,・・・・Xnと、上部電極Y1,Y2,Y3,Y4,Y5,Y6,Y7,Y8,Y9,Y10,・・・Ynとからそれぞれ選択された電極の間に電圧を印加すると、その選択された両電極が交差する位置の素子4に電圧が印加され、スピンが注入されて磁化方向が反転される。すなわち、電圧を印加する電極の選択によって、マトリクス状に配列された素子4のアレイの中から磁化反転する素子4を選択することができる。この図2(a)に示す回折格子1では、下部電極X3と、上部電極Y1、・・・Ynとの間、また、下部電極X6と、上部電極Y1、・・・Ynとの間、下部電極X9と、上部電極Y1、・・・Yn、・・・との間に電圧を印加することによって、それぞれの交点に該当する素子4に電圧を印加することができる。これによって、図2(a)に白四角で示すように、磁化反転素子4Aを、X軸方向に非磁化反転素子4B(図2(a)に示す黒四角)2つを挟む間隔(回折格子周期d=3D,D:素子周期(素子4の図中水平方向の配列周期)で図中垂直方向に一列で並んだ状態で形成することができる。
そして、図2(b)に示すように、磁化方向が反転された磁化反転素子4Aによって形成される領域を「反射光ON」の領域とし、磁化方向が反転されていない非磁化反転素子4Bで形成される領域を「反射光OFF」の領域とすれば、素子選択手段8(図1参照)によって、反射光ONの領域と、反射光OFFの領域を空間的に電気的に選択できることになる。そして、この回折格子1では、図1において説明したとおり、直線偏光した光ビームλ1が入射すると、反射光ONの領域で反射された反射光λ1()の偏光軸は、反射光OFFの領域で反射された反射光λ1()の偏光軸の回転方向と反対方向となる。すなわち、直線偏光した光ビームλ1の偏光軸の角度をLとし、非磁化反転素子4Bの磁化方向が反転されていないスピンフリー強磁性層43によって反射され、偏光軸が回転された反射光λ1(−)の偏光軸の角度をL−δとすると、磁化反転素子4Aでは、磁化方向が反転されたスピンフリー強磁性層43で反射された反射光λ(+)の偏光軸の角度は、非磁化反転素子4Bによる反射光λ1(−)の偏光軸(角度L−δ)と反対方向となり、L+δとなる。そして、偏光手段10において、偏光軸の角度がL+δの光λ1(+)のみを透過するようにすれば、偏光手段10を透過して干渉して回折光となる。したがって、この反射光ONの領域を形成する素子4を、素子選択手段8(図1参照)によって従来の回折格子の帯状溝のように周期的に設定すれば、式(2)で表される関係にある波長λ、入射角α、回折角(反射角)β、回折格子周期d=3D,(D:素子周期(素子4の図中水平方向の配列周期)である反射光オンの領域からの反射光は、偏光手段10(図1参照)によって選択されて透過し、相互に干渉して回折光(偏光軸の角度:L+δ)となる。これによって、素子選択手段8(図1参照)によって、回折格子周期dを電気的に任意に可変できることになる。
また、図3(a)に示す回折格子1の回折反射部5では、下部電極X5と、上部電極Y1、・・・Ynとの間、また、下部電極X10と、上部電極Y1、・・・Ynとの間、下部電極X15と、上部電極Y1、・・・Yn、・・・との間に電圧を印加することによって、それぞれの交点に該当する素子4に電圧を印加することができる。これによって、図3(a)に白四角で示す磁化反転素子4Aを、図中水平方向に、非磁化反転素子4B(図3(a)に示す黒四角)4つを挟む間隔(回折格子周期d=5D,D:素子周期(素子4の図中水平方向の配列周期)で図中垂直方向に一列で並んだ状態で形成することができる。
そして、図3(b)のB−B’線断面図に示すように、磁化方向が反転された磁化反転素子4Aによって形成される領域を「反射光ON」の領域とし、磁化方向が反転されていない非磁化反転素子4Bで形成される領域を「反射光OFF」の領域とすれば、素子選択手段8(図1参照)によって、反射光ONの領域と、反射光OFFの領域を空間的に電気的に選択できることになる。そして、この回折格子1では、直線偏光した光ビームλ1の偏光軸の角度をLとし、非磁化反転素子4Bの磁化方向が反転されていないスピンフリー強磁性層43によって反射され、偏光軸が回転された反射光λ1(−)の偏光軸の角度をL−δとすると、磁化反転素子4Aでは、磁化反転素子4Aによる反射光λ(+)の偏光軸の角度は、非磁化反転素子4Bによる反射光λ1(−)の偏光軸(角度L−δ)と反対方向となり、L+δとなる。ここで、偏光手段10において、偏光軸の角度がL+δの光λ1(+)のみを透過するようにすれば、偏光手段10を透過して干渉して回折光となる。したがって、式(2)で表される関係にある波長λ、入射角α、回折角(反射角)β、回折格子周期d=5D,(D:素子周期(素子4の図中水平方向の配列周期)である回折格子を構成し、偏光手段10(図1参照)を介して、偏光軸の回転角度:L+δの回折光が得られる。
以上、図1、図2(a)および(b)、ならびに図3(a)および(b)について説明したとおり、素子選択手段8によって、アレイ状に配設された素子4の中から、下部電極6と、上部透明電極7との間に電圧を印加して形成される「反射光ON」の領域と、電圧を印加していない「反射光OFF」の領域を、電圧の印加の有無によって任意に選択することができる。そして、図2(a)および(b)に示す回折格子1では、波長λの直線偏光した光ビーム(偏光軸の角度:L)が入射角αで入射すると、回折格子周期d=3D(D:素子周期(素子4の図中水平方向の配列周期)を有する回折格子によって、式(2)で決定される所定の回折角β1で反射光(偏光軸の角度:L+δ)が、偏光手段10(図1参照)を透過して干渉して回折光が得られることになる。また、図3(a)および(b)に示す回折格子1では、波長λの直線偏光した光ビーム(偏光軸の角度:L)が入射角αで入射すると、回折格子周期d=5D(D:素子周期(素子4の図中水平方向の配列周期)を有する回折格子によって、式(2)で決定される所定の回折角β1で反射光(偏光軸の角度:L+δ)が、偏光手段10(図1参照)を透過して干渉して回折光が得られることになる。さらに、入射角α、回折角(反射角)βを所定の値に固定すれば、素子選択手段8により電圧を印加する素子4を選択して、非磁化反転素子4Bを挟んで、図中垂直方向に一列に並んだ磁化反転素子4Aの間の間隔、すなわち回折格子周期を可変して回折する光の波長を選択することができる。すなわち、回折格子1においては、素子選択手段8は、回折反射部5を構成する素子4の中から、下部電極6と、上部透明電極7とによって電圧を印加する素子4を周期的かつ帯状に選択することによって、入射する直線偏光した光ビームの波長または回折方向に応じて、回折光の回折角または波長を制御できる。
ここで、前記式(2)により、用いる波長(入射する直線偏光光ビームおよび回折光(反射光)の波長)が長い場合には、回折格子周期、すなわち、磁化反転素子4Aの配列周期を大きく、波長が短い場合は回折格子周期、すなわち、磁化反転素子4Aの配列周期を小さくするように、素子選択手段8(図1参照)によって電圧を印加する素子4の間隔を制御することにより、同じ入射角αと回折角βで回折させることができる。例えば、図1に示す回折格子1において、α=β=30度、緑色光(λ=550nm)を入射する直線偏光光ビームとすれば、回折格子周期d=550nm(従来の回折格子における溝本数1818本/mmに相当)で回折光が得られる。また、同じ入射角αと回折角βで、青色光(λ=450nm)では回折格子周期d=450nm(溝本数2222本/mmに相当)で回折光が得られる。さらに、赤色光(λ=650nm)では回折格子周期d=650nm(溝本数1538本/mmに相当)となる。このように、RGB色分解して各波長の光に応じて回折光を得る場合は、個々の素子4の配列周期Dのサイズを、100nm以下とする必要があり、さらに小さいサイズとすることにより波長分解能が向上する。このとき、必要となる素子4のサイズは、入射角α、回折角βが小さくなるにしたがって、大きくなる。そして、現状の半導体微細加工技術は、超高精細電子線リソグラフィーなどを用いて、8インチウエーハに対して20nmの加工精度を有しているので、このようなサイズのスピン注入型磁化反転素子は、数十nmのスケールで作製できる。そのため、本発明の参考例の回折格子は、従来の回折格子の溝本数〜数1000本/mmと同等の実効溝本数に相当する回折格子周期を実現でき、また、素子4における磁化反転はナノ秒オーダの高速で起こるので、回折格子周期を高速で可変制御できる。
この回折格子1の製造は、MBE法やスパッタ法、あるいはエピタキシャル成長法によって、基板2上に、下部電極6、スピン固定強磁性層41、非磁性中間層42、スピンフリー強磁性層43および上部透明電極7の順に形成することによって行うことができる。このとき、回折格子1においては、図1に示すように、下部電極6、スピン固定強磁性層41、非磁性中間層42、スピンフリー強磁性層43および上部透明電極7の順に柱状に積層されて形成される複数の素子4が、アレイ状に配設され、相隣接する素子4同士は、絶縁層3を設けて、相互に電気的および磁気的に絶縁するため、スピンフリー強磁性層43などをリソグラフィーなどによるメサエッチングで加工してもよいし、窒素などの局所的イオン注入によって絶縁層3を形成してもよい。
次に、図4(a)〜(c)は、本発明の参考例に係る投射型画像表示装置21の基本構成を示す概念図である。
この投射型画像表示装置21は、図4(a)に示すように、基板22上に画素23がアレイ状に配設された画素アレイ部24と、光ビーム入射手段25と、画素23毎に設けられた下部電極選択機構26aと上部透明電極選択機構26bで構成される波長選択手段26と、変調手段27と、偏光手段28と、スクリーン(画像表示部)29とを備える。
画素アレイ部24は、図4(b)に示すように、複数の画素23がアレイ状に配設されて構成されているものである。そして、各画素23は、図4(c)に示すように、複数のスピン注入型磁化反転素子4がアレイ状に配設されて構成されているものである。スピン注入型磁化反転素子4は、スピン注入により磁化方向が反転されることによって、入射する直線偏光された白色光ビームの偏光軸を、磁化反転しないスピン注入型磁化反転素子による反射光の偏光軸と反対方向に回転させて反射する素子である。このスピン注入型磁化反転素子4は、図4(c)に示すように、下部電極46の側から、上部透明電極47に向けて、スピン固定強磁性層41、非磁性中間層42およびスピンフリー強磁性層43の順に積層された断面柱状の構造を有する。
光ビーム入射手段25は、直線偏光した白色光ビームWLを画素23に入射させるものであり、光源(図示せず)から放出される光ビームを直線偏光とするものである。光源としては、白色LED光、レーザー光等の発光機器、あるいは画像情報を付与された光ビームを生成するための機器などが挙げられる。また、この光ビーム入射手段25としては、液晶偏光素子、偏光板などを用いることができる。
波長選択手段26は、図4(b)および図4(c)に示すように、スピン注入型磁化反転素子4の下部に設けられた下部電極46に電気的に接続される下部電極選択機構26aと、スピン注入型磁化反転素子4の上部に設けられた上部透明電極47に電気的に接続された上部透明電極選択機構26bに電気的に接続されている。下部電極46は、図4(c)中、紙面に対して垂直な方向に直列に接続され、上部透明電極47は、図4(c)中、紙面に沿った方向に直列に接続されている。すなわち、下部電極6と、上部透明電極7とは、X軸およびY軸に沿って、相互に直交するように配置されている。
この波長選択手段26は、下部電極選択機構26aと上部透明電極選択機構26bによって、画素アレイ部24の各画素23において、各画素を構成するスピン注入型磁化反転素子4の上部に設けられた上部透明電極47と、スピン注入型磁化反転素子4の下部に設けられた下部電極46との間に電圧を印加することにより、スピン注入により磁化方向が反転される前記スピン注入型磁化反転素子を選択する。そして、下部電極46と上部透明電極47の間に電圧が印加され素子4(磁化反転素子4A:図4(c)中、スピンフリー強磁性層43を白抜きした素子)では、スピン固定強磁性層41からスピンフリー強磁性層43にスピンが注入される。これによって、スピンフリー強磁性層43の磁化方向が反転され、磁化方向がスピン固定強磁性層41の磁化方向と同一方向となる。一方、下部電極46と上部透明電極47の間に電圧が印加されず磁化方向が反転されていない素子4(非磁化反転素子4B:図1中、スピンフリー強磁性層43を黒く塗り潰した素子)では、スピンフリー強磁性層43の磁化方向は、スピン固定強磁性層41の磁化方向に対して反対方向となっている。
このとき、画素23に入射する直線偏光した白色光ビームWLにおいて、前記回折格子1について図2(a)および図3(a)によって説明したとおり、直線偏光した白色光ビームWLの偏光軸の角度をLとし、非磁化反転素子4Bの磁化方向が反転されていないスピンフリー強磁性層43によって反射され、偏光軸が回転された反射光の偏光軸の角度をL−δとすると、磁化反転素子4Aでは、磁化方向が反転されたスピンフリー強磁性層43で反射された反射光の偏光軸の角度は、非磁化反転素子4Bによる反射光の偏光軸(角度L−δ)と反対方向となり、L+δとなる。そして、偏光手段28において、偏光軸の角度がD+δの光のみを透過するようにすれば、式(2)回折条件を満足する波長の光は偏光手段28を透過して干渉して回折光となる。
そして、画素23に入射する白色光ビームWLの入射角をα、回折角(反射角)βを一定の値とすれば、隣接する磁化反転素子4Aの間の間隔をd(回折格子周期)を変更することによって、回折する光ビームの波長λを変えることができる。したがって、素子選択手段8によって、下部電極6と上部透明電極7の間に電圧を印加してスピン注入により磁化方向が反転される素子4、すなわち、前記式(2)から、磁化反転素子4Aの間隔(回折格子周期)を制御すれば、回折される光ビームの波長を選択することができる。したがって、この磁化反転素子4Aを、波長選択手段26によって従来の回折格子の帯状溝のように周期的に設定して、回折格子周期dを選択すれば、所定の入射角αおよび回折角(反射角)βで、式(2)で表される関係にある波長λの反射光を選択して反射することができる。これによって、波長選択手段26によって、回折格子周期dを電気的に任意に可変して、所定の回折角で回折反射される光の波長を選択することができる。
変調手段27は、波長選択手段26によって上部透明電極47と下部電極46の間に電圧を印加して、画素23を構成するスピン注入型磁化反転素子4の中から、スピンを注入するスピン注入型磁化反転素子4を選択する。これによって、各画素23で反射(回折)される反射光(回折光)の波長を選択する動作をパルス状に行い、そのパルスのパルス幅、パルス数およびパルス間隔から選ばれる少なくとも1種を制御することによって、画素アレイ部24を構成する各画素による反射光(回折光)の強度を変調するものである。
偏光手段28は、スピン注入により磁化方向が反転された前記スピン注入型磁化反転素子によって偏光軸が回転された反射光を透過させるものであり、画素23毎に選択された波長の反射光を、スクリーン等の画像表示部29に投射するものである。この偏光手段28として、例えば、種々の迷光等が画像表示部29に投射されないよう、磁化反転素子4Aによって偏光軸が回転された回折光のみを透過する偏光板を用いることができる。
この投射型画像表示装置21においては、光ビーム入射手段25から直線偏光した白色光ビームWLが、画素アレイ部24の画素23に入射する。各画素23においては、各画素毎に波長選択手段26によって選択された波長に応じて、図1、図2(a)および図3(a)について説明したとおり、電圧を印加するスピン注入型磁化反転素子4を選択して、その波長に応じた回折格子周期を形成するように、スピン注入型磁化反転素子4を、周期的かつ帯状に選択して回折格子を形成する。これによって、画素23によって反射される光の波長が選択される。したがって、図1、図2(a)および図3(a)について説明したとおり、例えば、α=β=30度の場合には、赤色光(λ=650nm)では溝本数1538本/mm(回折格子周期d=650nm)、緑色光(λ=550nm)では、溝本数1818本/mm(回折格子周期d=550nm)、青色光(λ=450nm)では溝本数2222本/mm(回折格子周期d=450nm)となるように、画素23のそれぞれにおける回折格子周期を制御することができる。これによって、画素23のそれぞれを、赤色光の画素、緑色光の画素、および青色光の画素とすることができる。そして、各画素23から、偏光軸が回転された反射光(回折光)RLが、同一の回折角βで反射され、偏光手段28を介して、スクリーン(画像表示手段)29に投射される。これによって、スクリーン(画像表示手段)29上に画像を投射することができる。
この図に示す投射型画像表示装置21では、従来の液晶でのカラーフィルタやプラズマディスプレイや電場発光ディスプレイにおけるRGB蛍光体からの発色光を混合する方式に比べて、色再現範囲を任意に大きくとることができる。また、ナノ秒オーダの高速でスピン注入磁化反転が可能であるので、高速のカラー表示ができる利点がある。
また、図に示す投射型画像表示装置21に限らず、本発明の参考例の回折格子を用いて、直視型の画像表示装置を構成することもできる。この場合、白色LEDバックライトと画素用スピン回折格子をスクリーンの裏面に画素毎あるいは、複数画素毎にアレイ状に配設する。
次に、本発明のレーザプロジェクタについて説明する。
図5は、本発明のレーザプロジェクタ31の基本構成を示す概念図である。
このレーザプロジェクタ31は、第1回折反射部32と、第2回折反射部33と、光ビーム入射手段34と、第1素子選択手段35と、第2素子選択手段36とを備える。
第1回折反射部32と、第2回折反射部33とは図1、図2(a)および(b)、ならびに図3(a)および(b)に示す回折格子1の回折反射部5と同様の構成を有する。
光ビーム入射手段34は、第1回折反射部32に直線偏光した光ビームを入射する役割を有するものであり、所定の単一波長のレーザ光を第1回折反射部32に入射させるものである。この光ビーム入射手段34は、レーザ光源と、その光源から放出されるレーザ光を直線偏光とする偏光手段(例えば、偏光板等の偏光素子)とから構成される。
第1素子選択手段35と第2素子選択手段36は、第1回折反射部32または第2回折反射部33に入射するレーザ光を所定の回折角で回折するものである。この第1素子選択手段35と第2素子選択手段36は、図1に示す回折格子1における素子選択手段8と同様の機能を有するものである。このとき、第1素子選択手段35と第2素子選択手段36は、各回折反射部に入射して反射する光の波長に応じて所定の回折角になるように、下部電極6と、上部透明電極7によって電圧を印加するスピン注入型磁化反転素子4を選択するものである。すなわち、第1素子選択手段35は、入射するレーザ光の波長に応じて、下部電極6、上部透明電極7によって電圧を印加する素子4を選択して、所定の回折角になるように、回折格子周期を形成する。そして、この回折格子周期を変化させて回折角を連続的に変化させる制御を連続的に行うことによって、第1回折反射部32による第1反射回折光FL1を、第1方向(図5中のX方向)に走査することができる。このように走査された第1反射回折光FL1を、さらに、第2回折反射部33において、第2素子選択手段36によって、電圧を印加する素子4を選択して、所定の回折角になるように、回折格子周期を連続的に変化させる。そして、この回折角を変化させる制御を連続的に行うことによって、第2回折反射部3による第2反射回折光FL2を、第2方向(図中のY方向)に走査することができる。これによって、光ビーム入射手段34から入射したレーザ光BLを、投射面37上に、第1方向(X方向)および第2方向(Y方向)に走査しながら投射することができる。
次に、本発明の参考例に係る焦点可変反射型ゾーンプレートについて説明する。
図6(a)、(b)および(c)は、焦点可変反射型のゾーンプレート61の基本構成および動作を説明する概念図である。
図6(a)、(b)および(c)に示すゾーンプレート61は、図6(a)に示すように、アレイ状に素子64が配設された回折反射部65と、図6(c)に示すように、素子選択手段68と、光ビーム入射手段69、偏光手段70とを備えるものである。
回折反射部65は、図1、図2(a)および図3(a)に示す回折格子1と同様に、スピン注入により磁化方向が反転されることによって、入射した光ビームの偏光軸を回転させて反射する複数の素子64がX軸方向およびY軸方向に沿って、マトリクス(アレイ)状に配設されて構成されている。素子64の下部には下部電極66が配置され、上部には上部透明電極67が配設されている。そして、図6(a)に示すとおり、下部電極66と、上部透明電極67とは、図中、水平方向および垂直方向に沿って、相互に直交するように配置されている。また、回折反射部65の上部には、図6(c)に示すように、素子64に入射する光の光路上に光ビーム入射手段69が配設され、素子4によって反射された反射光の光路上に偏光手段70が配設されている。
素子64は、図1に示す素子4と同様に、下部電極66の側から、上部透明電極67に向けて、スピン固定強磁性層、非磁性中間層およびスピンフリー強磁性層の順に積層された断面柱状の構成を有するものである。そして、スピン固定強磁性層、非磁性中間層およびスピンフリー強磁性層、下部電極66および上部透明電極67、素子選択手段68、光ビーム入射手段69、偏光手段70は、それぞれ図1に示すスピン固定強磁性層41、非磁性中間層42およびスピンフリー強磁性層43、下部電極6および上部透明電極7、素子選択手段8、光ビーム入射手段9、偏光手段10と同様の構造および構成を有するものである。したがって、これらの素子64、下部電極66および上部透明電極67、素子選択手段68、光ビーム入射手段69、偏光手段70等に関する説明は省略する。
このゾーンプレート61において、素子選択手段68は、下部電極X1,X2,X3、X4,X5,X6,X7,X8,X9,X10,・・・・Xnと、上部電極Y1,Y2,Y3,Y4,Y5,Y6,Y7,Y8,Y9,Y10,・・・Ynにおいて、電圧を印加する電極を選択することによって、スピン注入により磁化方向を反転する素子64を選択することができる。すなわち、下部電極X1,X2,X3、X4,X5,X6,X7,X8,X9,X10,・・・・Xnと、上部電極Y1,Y2,Y3,Y4,Y5,Y6,Y7,Y8,Y9,Y10,・・・Ynとからそれぞれ選択された電極の間に電圧を印加すると、その選択された両電極が交差する位置の素子4に電圧が印加され、スピンが注入されて磁化方向が反転される。したがって、電圧を印加する電極の選択によって、マトリクス状に配列された素子4のアレイの中から磁化反転する素子4を選択することができる。
そして、図6(a)および(b)に白四角で示す磁化反転素子64Aに対応する位置の下部電極66および上部透明電極67に電圧が印加されるように、電圧を印加する下部電極X1,X2,X3、X4,X5,X6,X7,X8,X9,X10,・・・・Xnと、上部電極Y1,Y2,Y3,Y4,Y5,Y6,Y7,Y8,Y9,Y10,・・・Ynとを選択することによって、回折円輪帯を形成することができる。例えば、(下部電極,上部電極)を、(X11〜X13,Y9)、(X10〜X14,Y10)、(X9〜X15,Y11)、(X9〜X15,Y12)、(X9〜X15,Y13)、(X10〜X14,Y14)および(X11〜X13,Y15)の組合せで選択して電圧を印加すれば、中心に磁化反転素子64Aからなる円形状の第1回折円輪帯71(直径:M1)を形成することができる。また、(X10〜X14,Y)、(X〜X1,Y)、(X〜X10,Y)、(X1〜X1,Y)、(X〜X,Y10)、(X1〜X1,Y10)、(X〜X,Y11)、(X1〜X1,Y11)、(X〜X,Y1)、・・・・・のように、上部電極および下部電極に電圧を印加すれば、第2回折円輪帯72(直径:M2)を形成することができる。さらに、同様にして、第3回折円輪帯73(直径:M3)を形成することができる。
そして、図6(c)に示すように、回折反射部65にマトリクスアレイ状に配設された素子64の中で、従来の透過型ゾーンプレートの同心円状の光透過領域に匹敵する領域と同様に、同心円状に形成される回折円輪帯(第1回折円輪帯71、第2回折円輪帯72、第3回折円輪帯73・・・)の直径を制御して、回折反射部65に光ビーム入射手段69から入射する直線偏光した光ビームλ1(偏光軸の角度:L)の波長および入射角αに応じて、反射光λ2が所定の焦点に集光する回折角βとなるようにすることができる。
また、図6に示すゾーンプレート61では、回折円輪帯が同心円状に形成されるため、入射光は等方的に集束・反射されるが、回折円輪帯を、同心円輪帯状ではなく、楕円、あるいは非対称な異方性を有する形態などとすることにより、収束ビームの断面形状を任意に変えることができる。すなわち、素子選択手段68が、回折反射部65を構成する素子64の中から、スピン注入により磁化方向が反転される複数のスピン注入型磁化反転素子64を楕円状、または回折格子周期を異方性を有する周期構造とすることにより、集光ビームの断面形状を制御することが可能となる。
さらに、前記の焦点変反射型のゾーンプレート61を2枚以上組合せ、各ゾーンプレートにおいて、素子64を、素子選択手段68を介して選択することによりそれぞれのゾーンプレートによる焦点を制御可能にすることもできる。これによって、焦点距離が可変可能なゾーンプレートを2枚以上組み合わせてズームレンズを構成することができる。
ここで、従来研究されてきた電圧駆動で焦点を可変できる液晶型平面レンズや、ポリマーによりレンズ状に湾曲した表面と液晶を接触させ、同様に液晶の分子配向を制御して焦点距離を調節する場合では、いずれも液晶分子の配向変化を応用するので、応答速度は数ミリ秒と遅いばかりでなく、アクティブ素子として薄膜トランジスタ(TFT)が必要となる。従って、光の利用効率が低下し、微細化が困難である。これに対して、本発明の参考例のスピン注入型磁化反転素子を用いるゾーンプレートはパッシブ駆動でTFTが不要であり、しかも高速応答が期待できる利点がある。
次に、本発明の参考例の立体画像表示装置について説明する。
図7(a)および(b)は、本発明の参考例に係る立体画像表示装置81の基本構成および動作を説明する概念図である。
この立体画像表示装置81は、図7(a)に示すように、動画像を表示する二次元画像表示部82と、画素ビーム入射部83と、ハーフミラー84と、焦点距離可変ゾーンプレートアレイ部85と、焦点距離制御部86とを備えるものである。
二次元画像表示部82は、基板82aにアレイ状に配設された画素82bを有し、各画素82bの発光によって二次元画像を形成して、その二次元画像の情報を有する画素光ビームPLを生成するものである。この二次元画像表示部82は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)、有機EL(Electroluminescent)ディスプレイ、無機ELディスプレイ、冷陰極ディスプレイ(FED:Field Emission Display)などの平面型ディスプレイや、投射型ディスプレイの画像投射系を用いることができる。この場合、焦点距離可変ゾーンプレートアレイ部85を投射型ディスプレイにおけるスクリーンと見立てて、画像を投射する。
画素ビーム入射部83は、焦点距離可変ゾーンプレートアレイ部85に画像を形成するための偏光画素ビームPL1を入射させるものであり、二次元画像表示部82からの画素光ビームを直線偏光とする偏光手段(例えば、液晶偏光板など)で構成される。
また、ハーフミラー84は、画素ビーム入射部83から入射する偏光画素ビームPL1を透過させ、焦点距離可変ゾーンプレートアレイ部85に入射させるとともに、焦点距離可変ゾーンプレートアレイ部85で反射された反射光PL2を反射して、各反射光PL2を、焦点距離制御86によって選択された焦点距離の焦点F1、F2,・・・F5等に集光させるものである。
焦点距離可変ゾーンプレートアレイ部85は、図7(b)に示すように、図6に示す焦点変反射型のゾーンプレート61が、二次元画像表示部82を構成する画素の画素数と同じ個数および同じ配列で配置された構成を有するものである。この焦点距離可変ゾーンプレートアレイ部85を構成する各ゾーンプレート61は、二次元画像表示部82で形成された二次元画像の情報を有する画素光ビームPLが直線偏光されてなる偏光画素ビームPL1を、ハーフミラー84を通して受光して反射し、反射光PL2をハーフミラー84を介して、所定の焦点距離に結像させる役割を有する。
焦点距離制御部86は、焦点距離可変ゾーンプレートアレイ部85にアレイ状に配設された各ゾーンプレート61に、二次元画像表示部82の各画素82bに対応する被写体の奥行き画像情報(立体情報)を入力して、各ゾーンプレート61による反射光PL2の焦点距離を制御するものである。この焦点距離制御部86は、前記図4に示す投射型画像表示装置21と同様に、焦点距離可変ゾーンプレートアレイ部85に配設された各ゾーンプレート61において、ゾーンプレート61を構成する素子4(図6参照)の下部に設けられる下部電極66(図6参照)に電気的に接続される下部電極選択機構86aと、素子4の上部に設けられる上部透明電極67(図6参照)に電気的に接続された上部透明電極選択機構86bとで構成される。そして、この焦点距離制御部86によって、下部電極と上部透明電極の間に電圧を印加して、ゾーンプレート61を構成する素子4(図6参照)の中から、スピン注入により磁化方向を反転させる素子4(図6参照)を選択して、前記回折円輪帯(図6参照)を形成するものである。この焦点距離制御部86は、ハーフミラー84を通って入射する偏光画素ビームPL1を、焦点距離可変ゾーンプレートアレイ部85を構成する各ゾーンプレート61によって反射された反射光PL2が、ハーフミラー84を介して所定の焦点F1,F2,F3,F4・・・に集光するように、各ゾーンプレート61に形成する回折円輪帯(図6参照)の直径および周期を制御する。これによって、各ゾーンプレート61からの反射光PL2の焦点が、前記の奥行き情報(立体情報)に基づいて調整され、所定の焦点に結像して、立体感を知覚させるように、画像が表示される。
すなわち、図6に示すゾーンプレート61の素子選択手段68と同様に、ゾーンプレート61を構成する複数のスピン注入型磁化反転素子の中から、磁化方向を反転させるスピン注入型磁化反転素子を選択する。すなわち、焦点距離制御部86によって、ゾーンプレートを構成するスピン注入型磁化反転素子の中から、スピン注入により磁化方向が反転される複数のスピン注入型磁化反転素子を同心円状に選択して回折円輪帯87を形成する。そして、ゾーンプレート61を構成するスピン注入型磁化反転素子に入射する光ビームの波長および入射角に応じて、反射光PL2が所定の焦点F(F1,・・・F4・・・)に集光するように、反射光の回折角を制御するものである。このとき、焦点距離制御部86は、各スピン注入型磁化反転素子によって反射される反射光(回折光)が、所定の回折角になるように、スピン注入用電極(下部電極、上部透明電極)によって電圧を印加するスピン注入型磁化反転素子を選択して、回折円輪帯87の同心円の直径および周期を選択する。これによって、所望の焦点距離を設定し、偏光画素ビームPL1を反射して所望の焦点距離となるように反射光PL2を出射する。
この立体画像表示装置81においては、画素ビーム入射部83からハーフミラー84を介して、焦点距離可変ゾーンプレートアレイ部85に、二次元画像の情報を有する画素光ビームPLを直線偏光した偏光画素ビームPL1を入射する。このとき、焦点距離制御部86は、焦点距離可変ゾーンプレートアレイ部85を構成する各ゾーンプレート61に、二次元画像表示部82で形成した二次元画像の各画素82bごとの奥行き距離情報を入力して、各ゾーンプレート61による反射光PL2の焦点距離を制御する。すなわち、焦点距離可変ゾーンプレートアレイ部85を構成する各ゾーンプレート61に入射した偏光画素ビームPL1は、各ゾーンプレート61に焦点距離制御部86によって適宜形成された回折円輪帯87の直径および周期によって決定される回折角で反射され、ハーフミラー84で反射されて、所定の焦点距離に集光して結像する。この焦点距離制御部86による各ゾーンプレート61からの反射光(回折光)は、前記回折円輪帯87の直径と周期によって決定される焦点距離の焦点F1、F2、F3、F4・・・等に集光される。これによって、焦点距離制御部86は、二次元画像表示部82で形成した二次元画像の各画素82bごとの奥行き立体情報(例えば、カメラから被写体までの距離)に基づいて、異なる深さ方向(焦点距離)に集光結像させることにより立体表示を行うことができる。
本発明の参考例の回折格子の基本構成を示す模式断面図である。 (a)は、本発明の参考例の回折格子の実施形態を示す模式平面図、(b)は、(a)に示すA−A’線断面図である。 (a)は、本発明の参考例の回折格子の他の実施形態を示す模式平面図、(b)は、(a)に示すB−B’線断面図である。 (a)は、本発明の参考例に係る投射型画像表示装置の基本構成と動作原理を説明する模式断面図、(b)は、その投射型画像表示装置における画素配列を示す模式平面図、(c)は、投射型画像表示装置の画素を構成するスピン注入型磁化反転素子の構成を示す模式断面図である。 本発明のレーザプロジェクタの基本構成を示す概念図である。 (a)本発明の参考例に係る焦点可変反射型ゾーンプレートの模式平面図、(b)は、その焦点可変反射型ゾーンプレートの模式断面図、(c)は、その焦点可変反射型ゾーンプレートの動作を説明する概念図である。 (a)は、本発明の参考例に係る立体画像表示装置の模式断面図、(b)は、その立体画像表示装置の模式平面図である。
符号の説明
1 回折格子
2 基板
3 絶縁層
4 スピン注入型磁化反転素子(素子)
41 スピン固定強磁性層
42 非磁性中間層
43 スピンフリー強磁性層
4A 磁化反転素子
4B 非磁化反転素子
5 回折反射部
6 下部電極
7 上部透明電極
8 素子選択手段
9 光ビーム入射手段
10 偏光手段
X1,X2,X3、X4,X5,X6,X7,X8,X9,X10,・・・・Xn
下部電極
Y1,Y2,Y3,Y4,Y5,Y6,Y7,Y8,Y9,Y10,・・・Yn
上部電極
21 投射型画像表示装置
22 基板
23 画素
24 画素アレイ部
25 光ビーム入射手段
26 波長選択手段
26a 下部電極選択機構
26b 上部透明電極選択機構
27 変調手段
28 偏光手段
29 スクリーン(画像表示部)
31 レーザプロジェクタ
32 第1回折反射部
33 第2回折反射部
34 光ビーム入射手段
35 第1素子選択手段
36 第2素子選択手段
FL1 第1反射回折光
FL2 第2反射回折光
BL レーザ光
37 投射面
61 焦点可変反射型のゾーンプレート
64 素子
65 回折反射部
66 下部電極
67 上部透明電極
68 素子選択手段
69 光ビーム入射手段
70 偏光手段
71 第1回折円輪帯
72 第2回折円輪帯
73 第3回折円輪帯
81 立体画像表示装置
82 二次元画像表示部
82a 基板
82b 画素
83 画素ビーム入射部
84 ハーフミラー
85 焦点距離可変ゾーンプレートアレイ部
86 焦点距離制御部
PL1 偏光画素ビーム
PL2 反射光
F1、F2,・・・F4 焦点

Claims (6)

  1. スピン注入により磁化方向が反転されることによって、入射したレーザ光ビームの偏光軸を、磁化反転しないスピン注入型磁化反転素子による反射光と反対方向に回転させて反射する複数のスピン注入型磁化反転素子が、基板上にアレイ状に配設された第1回折反射部と第2回折反射部と、
    前記第1回折反射部に直線偏光したレーザ光ビームを入射させる光ビーム入射手段と、
    前記第1回折反射部の複数のスピン注入型磁化反転素子の中から、磁化方向を反転させるスピン注入型磁化反転素子を選択して回折格子周期を制御する第1素子選択手段と、
    前記第2回折反射部の複数のスピン注入型磁化反転素子の中から、磁化方向を反転させるスピン注入型磁化反転素子を選択して回折格子周期を制御する第2素子選択手段と、
    を備え、
    前記第1素子選択手段は、前記第1回折反射部から磁化方向を反転させるスピン注入型磁化反転素子を選択して回折格子周期を制御して、前記第1回折反射部によって回折反射される第1反射回折光を、第1方向に走査し、
    前記第2素子選択手段は、前記第2回折反射部から磁化方向を反転させるスピン注入型磁化反転素子を選択して回折格子周期を制御して、前記第1回折反射部によって第1方向に走査された第1反射回折光を、前記第1方向に直交する第2方向に走査するようにしたことを特徴とするレーザプロジェクタ。
  2. 前記第1回折反射部に直線偏光した光ビームを入射させる光ビーム入射手段をさらに備え、
    前記第1および第2素子選択手段は、
    前記スピン注入型磁化反転素子の上部に設けられた上部電極と、前記スピン注入型磁化反転素子の下部に設けられた下部電極との間に電圧を印加することにより、前記複数のスピン注入型磁化反転素子の中から磁化方向を反転させるスピン注入型磁化反転素子を選択することを特徴とする請求項1に記載のレーザプロジェクタ。
  3. 前記上部電極と、前記下部電極とは、相互に直交配置されたX−Y電極線に接続されていることを特徴とする請求項2に記載のレーザプロジェクタ。
  4. 前記上部電極は、前記光ビーム入射手段から入射する直線偏光した光ビームの波長領域で透明であることを特徴とする請求項3に記載のレーザプロジェクタ。
  5. 前記スピン注入型磁化反転素子は断面柱状に形成され、相隣接するスピン注入型磁化反転素子同士は、相互に電気的および磁気的に絶縁されていることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のレーザプロジェクタ。
  6. 前記第1素子選択手段は、入射する光ビームの波長および入射角に応じて、前記第1回折反射部の前記スピン注入型磁化反転素子の中から、前記上部電極および下部電極によって電圧を印加してスピン注入する前記スピン注入型磁化反転素子を、周期的かつ帯状に選択することを特徴とする請求項〜請求項のいずれか1項に記載のレーザプロジェクタ。
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