JPH111740A - 耐海水腐食性と溶接性に優れた高靭性鋼及びその製造 方法 - Google Patents

耐海水腐食性と溶接性に優れた高靭性鋼及びその製造 方法

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JPH111740A
JPH111740A JP16354097A JP16354097A JPH111740A JP H111740 A JPH111740 A JP H111740A JP 16354097 A JP16354097 A JP 16354097A JP 16354097 A JP16354097 A JP 16354097A JP H111740 A JPH111740 A JP H111740A
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Japan
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steel
less
corrosion resistance
weldability
seawater
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JP16354097A
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Inventor
Masatoshi Tanaka
賢逸 田中
Toshiya Nishimura
俊弥 西村
Shinichi Suzuki
伸一 鈴木
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 海洋環境において耐海水腐食性と溶接性に優
れた高靭性鋼を課題とする。 【解決手段】 重量%で、C : 0.15%以下、Si : 0.7%以
下、Mn : 0.20 〜1.50%、P : 0.03〜0.15%、S : 0.020%
以下、Al : 0.010〜0.10%、Cr : 0.10%以下、Ni : 0.4
〜4.0%、Cu : 0.4%以下、Mo : 0.10 〜1.50%を含有し、
さらに、Ti : 0.005〜0.1%、V : 0.005〜0.1%、Nb : 0.
005〜0.1%、B : 0.0003〜0.001%の1種または2種以上
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であることを
特徴とする。上記組成の鋼を、連続鋳造または分解圧延
後、得られた鋼片を再加熱した後の熱間圧延において、
950℃以下における累積圧下率を20%以上とし、か
つ熱間圧延を750℃以上900℃以下の温度範囲で終
了することにより上記高靭性鋼の製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、桟橋や護岸、又は
船舶など、海水に直接暴露される環境において使用され
る溶接鋼構造物の建造に適した、高耐食性・高溶接性を
有する、高靭性の低合金鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】桟橋や護岸、又は船舶などの鋼製の構造
物は、海水に繰り返し暴露されるため、鋼構造の部分が
きわめて腐食されやすい。特に、海洋環境においては、
海水中よりも、海水の付着ー乾燥が繰り返される潮の干
満帯や海水の飛沫の付着ー乾燥が繰り返される飛沫帯に
おいて腐食が極めて大きい。
【0003】したがって、こうした環境で使用される海
洋構造物に、数十年に及ぶ耐久性を付与するためには、
使用する鋼材にポリエチレンライニングなどの耐久性に
優れた被覆を施すか、鋼板表面にチタンなどの高耐食金
属で被覆したチタン・クラッド鋼などを使用する必要が
ある。しかしながら、こうした防食方法は、使用される
材料自体が特に高価であるばかりでなく、溶接施工もい
ちじるしく困難であり、建設費用を高騰させる原因とな
る。
【0004】一方、安価でかつ溶接施工の比較的容易な
耐食鋼材としては、いわゆる耐海水鋼がある。耐海水鋼
は、銅、りん、クロム、ニッケル、タングステン、アル
ミニウムなどの、海水腐食に対して有効な元素を適量含
有することにより、海水中および海上における耐食性を
高めた鋼材である。しかしながら、市販されている耐海
水鋼は通常の炭素鋼に比べて、耐食性の効果は認められ
るものの、その腐食速度は炭素鋼の腐食速度のたかだが
1/2程度に抑えられる程度であり、長期間の耐久性の点
では十分とはいえない。
【0005】耐食性をさらに向上させるためには、これ
らの有効な元素をさらに多量に含有することが必要であ
る。こうした耐海水鋼については、たとえば特開平2-13
8441号公報では、5 〜6 %程度の Al 、Crを含有した鋼
が、また特開平5-117812号公報では、5 〜45%のMnある
いは同量のMnとCrを同時に含有する鋼が開示されてい
る。
【0006】しかしながら、海水腐食に対して有効な元
素を大量に含有することは、溶接性にとっては好ましい
方向ではなく、含有成分量を増やすことによって、十分
な耐食性を鋼材に付与しようとすると、溶接欠陥が生じ
易くなり、溶接部の検査と補修に多大な労力とコストが
かかる。
【0007】また、鋼材の基本的な性質である靭性につ
いても、耐海水鋼では、必然的に海水耐食性に有効な元
素を多く含有するために、靭性に好ましくない組織を生
じやすく、必ずしも十分ではなかった。すなわち、従来
の技術によっては、海洋環境において十分な耐海水腐食
性を有し、かつ施工しやすく破壊に対する安全性の高い
鋼材を経済的に製造することは、困難であった。
【0008】
【解決しようとする課題】本発明の目的は、このような
事情に鑑みてなされたものあり、その目的とするところ
は、海洋環境において十分な耐海水腐食性を有するとと
もに、溶接性に優れ、かつ、靭性の高い鋼材を提供する
ことにある。これにより、鋼構造物の施工を容易とし、
かつ、靭性が良好なために破壊に対する安全性を高める
ことが可能となる。
【0009】発明者らは、上記目的を達成すべく、鋼材
の成分組成について鋭意検討した。本発明者らは、先に
海岸地域に建設される橋梁や鉄塔などの、飛来する塩分
が関与する腐食環境の溶接構造物材料に適した、高耐食
性を有する耐候性鋼を発明した(特開平8ー134587号公
報)。しかし、海洋環境における耐食性は、海岸地域に
使用される鋼材に要求される耐候性よりも、一段と過酷
な環境であるため、上記耐候性鋼はかならずしも満足す
べきものではない。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、上記発明を発展
させ、より高い耐食性と溶接性を両立させ、併せて靭性
の良好な鋼材の製造が可能であることを見出し、下記発
明をするに至った。第1の発明は、重量%にて、C : 0.
15%以下、Si : 0.7%以下、Mn : 0.20 〜1.50%、P : 0.0
3〜0.15%、S : 0.020%以下、Al : 0.010〜0.10%、Cr :
0.10%以下、Ni : 0.4〜4.0%、Cu : 0.4%以下、Mo : 0.1
0 〜1.50% を含有し、さらに、Ti : 0.005〜0.1%、V :
0.005〜0.1%、Nb : 0.005〜0.1%、B : 0.0003〜0.001%
の1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避
的不純物であることを特徴とする、耐海水腐食性と溶接
性に優れた高靭性鋼である。本発明は、鋼材の耐海水腐
食性を向上することができる基本発明である。
【0011】第2の発明は、前記NiとMoが、更にNi+3Mo
≧1.2%なる関係を満たし、かつ下記に示す炭素当量(Ce
q):0.4%以下、溶接割れ感受性指数(Pcm):0.20%以
下であることを特徴とする、耐海水腐食性と溶接性に優
れた高靭性鋼である。 Ceq=C+Si/24+Mn/6+Cr/5+Ni/40+Mo/4+V/14 Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B 本発明により、鋼材の耐海水腐食性と溶接性を同時にさ
らに改善することができる。
【0012】第3の発明は、前記MnとMoが、更にMn×Mo
≦0.4(%)なる関係を満たすことを特徴とする、耐海水腐
食性と溶接性に優れた高靭性鋼である。本発明により、
耐海水腐食性に優れた鋼材の靭性をさらに向上すること
ができる。
【0013】第4の発明は、前記Ni、MnおよびMoが、更
にNi+3Mo≧1.2%及びMn×Mo≦0.4(%)なる関係を満たし、
かつ下記に示す炭素当量(Ceq):0.4%以下、溶接割れ
感受性指数(Pcm):0.20%以下であることを特徴とす
る、耐海水腐食性と溶接性に優れた高靭性鋼である。 Ceq=C+Si/24+Mn/6+Cr/5+Ni/40+Mo/4+V/14 Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B 本発明により、耐海水腐食性、溶接性、靭性を兼ね備え
た鋼材を得ることができる。
【0014】第5の発明は、第1から第4の発明のいず
れか一つの化学成分を有する鋼を、連続鋳造または分解
圧延後、得られた鋼片を再加熱し、熱間圧延するに際し
て、950℃以下における累積圧下率を20%以上と
し、かつ熱間圧延を750℃以上900℃以下の温度範
囲で終了することを特徴とする、耐海水腐食性と溶接性
に優れた高靭性鋼の製造方法である。本発明により、前
記の鋼材の靭性を安定して高めることができるので、製
作された鋼構造物の破壊に対する安全性を高めることが
できる。
【0015】
【発明の実施の形態】発明の技術的な骨子は以下の3点
にある。 (1)Cr は、鋼の耐食性を向上させる効果があるため、従
来製造されてきた耐海水鋼には、しばしば添加されてき
た。しかし、Crによる耐食性改善には限界があり、むし
ろ溶接時の低温割れ感受性を高め、溶接性を損なう。こ
のため、Crを添加は行わず、不可避的に含まれる量も抑
制し、Ni、Moによって耐食性を確保する。
【0016】(2) Ni、Moは単独でも耐海水腐食性を向上
する効果が認められるが、図5に示すように、適量のN
i、Moを同時に含有すると、鋼材の耐食性が著しく向上
することを見出した。このことから、NiおよびMoの含有
量を限定し、かつCr含有量を0.1%以下に抑制するこ
とで、耐海水腐食性を向上するとともに、溶接割れ感受
性を実用的な範囲に維持することができる。
【0017】(3) 鋼材の靭性については、Ti、Nb、V 、
B の微量元素を含有させることで、熱間圧延に際しての
オーステナイトの微細化を図るとともに、Mn及びMoの含
有量を限定し、併せて、熱間圧延を適切な温度で終了す
ることにより、鋼材に良好な靭性を付与しうる。
【0018】次に、本発明において、鋼材の化学成分及
び製造方法の限定理由を説明する。C は、所定の強度を
確保するために含有するが、0.15% を越えると溶接性お
よび靭性が劣化するので、その上限を0.15%とする。
【0019】Siは、製鋼段階の脱酸剤および鋼材の強度
向上元素として含有するが、過剰に含有すると靭性が著
しく低下するので、その上限を0.7%とする。
【0020】Mnは、所定の強度を確保するために0.20%
以上含有しなければならないが、過剰に含有すると、ベ
イナイト組織が生じやすくなり、機械的特性、特に靭性
が劣化するので、その上限を1.5%とする。
【0021】Pは、本発明において重要な元素であり、
鋼の強度を向上させる作用があるとともに、耐食性を向
上させる効果があるので、必要量含有する。しかし0.03
%未満の含有では耐食性の向上に効果がなく、また含有
量が0.15%を越えると、溶接性が劣化するので、その範
囲を0.03〜0.15%とする。
【0022】Sは、耐食性に有害な元素であるので、そ
の上限を0.02%とする。Alは、製鋼段階の脱酸剤として
0.01%以上含有するが、過剰に含有すると腐食の起点と
なる介在物が生じやすくなるので、その上限を0.02% と
する。
【0023】Crは、塩分の多い環境においては、耐海水
腐食性の改善を期待することはできず、むしろ溶接時の
低温割れ感受性を高める。したがって、その含有量の上
限を0.1%とする。
【0024】Niは、本発明において重要な元素であり、
Moとの共存により塩分の多い環境における耐食性を向上
させる効果がある。しかし0.4%未満の含有では効果がな
い。一方含有量が4.0%を超えると、経済性の点で不利で
あり、また、ベイナイト組織が生じやすくなるため、機
械的特性、特に靭性が劣化するので、その範囲を0.4〜
4.0%とする。
【0025】Cuは、耐食性を向上させる効果があり、必
要量含有するが、含有量が0.4%を超えると効果が飽和
し、また、熱間圧延時に疵を生じやすくなり、経済性の
点で不利であるので、その上限を0.4%とする。
【0026】Moは、本発明において重要な元素であり、
Niとの共存により塩分の多い環境における耐食性を向上
させる効果がある。しかし0.1%未満の添加では効果がな
い。一方1.5%を超える含有では、経済性の点で不利であ
り、また、ベイナイト組織が生じやすくなり、機械的特
性、特に靭性が劣化するので、その範囲を0.1%〜1.5%と
する。
【0027】本発明においては、さらに、Ti、Nb、V、B
の1種または2種以上含有する。その限定理由は、次の
通りである。Tiは、圧延前加熱時のオーステナイト粒の
微細化と析出硬化によりより、鋼の強度を向上させ、あ
わせて母材と溶接継手部の靭性を向上させる。しかし、
その含有量が0.005%未満では効果がなく、0.1%を超える
と靭性を損ないまた経済性の点で不利であるので、その
範囲を0.005〜0.1%とする。
【0028】Vは、析出強化を利用して鋼を強化する
が、その量が0.005%未満では効果がなく、0.1%を超える
と経済性の点で不利であるので、0.005〜0.1%の範囲と
する。
【0029】Nbは、圧延前加熱時のオーステナイト粒を
微細化するとともに圧延中に微細に析出することによ
り、鋼の強度を向上させ、あわせて靭性を向上させる。
しかし、その含有量が0.005%未満では効果がなく、0.1%
を超えると経済性の点で不利であるので、0.005〜0.1%
の範囲とする。
【0030】Bは、粒界を強化する作用があり、耐二次
加工割れ性を改善するので、必要に応じて添加する。し
かし、その含有量が0.0003%未満では効果がなく、0.001
%を超えると効果が飽和するので、0.0003〜0.001%の範
囲とする。
【0031】Ni+3Mo≧1.2%とする。Moは適切量のNiとと
もに含有することにより、耐食性をいちじるしく改善す
る。海水耐食性に与えるNiおよびMoの効果の詳細は、明
らかではないが、次のように考えられる。Moは錆の地鉄
界面付近において富化し、地鉄界面付近の錆の緻密性を
高めるため、水分や塩分等の腐食因子が鋼表面に接触す
るのを妨げる効果があると考えられる。
【0032】一方、Moは錆を脆くする性質があり、クラ
ックなどの欠陥が生じやすくなるが、Niはこの錆の性質
を改善し、クラックなどの欠陥を生じにくくする性質が
ある。これら2つの異なる性質による相乗効果が発揮さ
れるため、適切な量のMoをNiとともに含有することによ
り、耐食性が著しく改善すると考えられる。耐食性の観
点からは、0.1%以上のMoを0.4%以上のNiとともに含有す
ると効果が現れるが、Ni+3Moの量が1.2%未満では効果が
十分でないので、その範囲を1.2%以上とする。
【0033】炭素等量(Ceq):0.4%以下、溶接割れ感受
性指数(Pcm):0.20%以下とする。ここで、Ceq及びPcmは
次式で示される。 Ceq=C+Si/24+Mn/6+Cr/5+Ni/40+Mo/4+V/14 Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B 鋼構造物の施工において、溶接低温割れを防止する溶接
予熱温度を実用的水準、すなわち50℃以下とするた
め、炭素当量(Ceq)と溶接割れ感受性指数(Pcm)の上
限を、それぞれ0.4%と0.2%としたものである。
【0034】Mn×Mo≦0.4%とする。NiおよびMoは、いず
れも鋼の焼入れ性を高めるため、通常の熱間圧延の条件
では、ベイナイト組織が生成しやすくなり、靭性が不十
分なものとなる。本発明鋼は、NiおよびMoを同時に含有
する鋼であり、かかる欠点を排除するため、Mn含有量の
上限を1.50%とし、かつMoを、Mn×Mo≦0.4(%)なる関係
を満たす範囲で含有させる。
【0035】次に、上記特性を有する鋼の製造方法を説
明する。本発明鋼は、転炉または電気炉で溶製し、つい
で連続鋳造によりまたは鋼塊を分塊圧延により鋼片とし
たのち、鋼片を再加熱して熱間圧延により鋼板または形
鋼とする方法により製造することができる。このとき、
鋼材の靭性を向上させるために、熱間圧延は、950℃
以下における累積圧下率を20%以上とし、かつ熱間圧
延の終了温度を750℃以上900℃以下と比較的低温
に抑制する。
【0036】これにより、靭性を損なう粗いベーナイト
組織の生成を抑制して、パーライト組織の生成を促進
し、かつ組織を微細化することができる。この結果、微
細なフェライト−パーライト組織を得ることができ、良
好な靭性を実現する。
【0037】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。図6とし
て示す表1に、本発明鋼および比較鋼に係る各供試材の
化学組成と斜めy型溶接割れ試験による割れ防止予熱温
度及び複合サイクル腐食試験による最大孔あき腐食深さ
を示す。ここで、複合サイクル試験は、海洋の干満帯お
よび飛沫帯を想定した条件としている。
【0038】本実施例では、表1に示す成分組成の鋼塊
を溶製し、1200℃に加熱して熱間圧延を開始し、9
50℃以下で30%の累積圧下率にて850℃で圧延を
終了し、厚さ25mmの鋼板とした。圧延終了後は、室
温まで空冷した。得られた鋼板は、JIS Z 315
8に定められる斜めy型溶接割れ試験および図2に示す
複合サイクル腐食試験を実施した。
【0039】図1は、複合サイクル腐食試験による供試
材の最大孔あき深さの値を、割れ防止予熱温度とともに
示したものである。比較鋼 a〜j とmおよび nは、最大
孔あき深さが0.45mm以上あり、耐海水腐食性が劣る。ま
た、比較鋼 k , l , o , pは、最大孔あき深さは比較的
に小さく、耐海水腐食性に優れるが、割れ防止予熱温度
がそれぞれ100℃、150℃、100℃、150℃であり、溶接性
が良好とはいえない。
【0040】一方、発明鋼 A , B , D , E , G , J , K
は、最大孔あき深さが0.40mm以下であり、また割れ防止
予熱温度も室温である。したがって、耐海水腐食性およ
び溶接性がともに良好である。発明鋼 C , F , H , I
は、溶接割れ防止のための予熱温度が50℃以下である
が、最大孔あき深さがいずれも0.30mm以下であり、比較
鋼の同等の溶接性を有するd , i , j よりも、耐食性が
著しく優れることを示す。 また、Cuを本発明の範囲内
で含有した鋼 Hは他の発明鋼よりも、最大孔あき深さが
小さく、Cu含有の効果が認められる。
【0041】図7として示す表2は、発明鋼 Gと比較鋼
aを1年間海水に暴露試験し、試験片表面の錆を落とし
後、その孔あき深さを測定した結果である。供試鋼板の
製造方法は、前記と同様である。海水暴露試験片は、幅
40mm、長さ6000mmに切断して用いた。これ
を、瀬戸内海の海水暴露試験場に、長手方向を垂直に立
て、試験片の長手方向の中央部分が平均海水面の高さと
なるように暴露した。暴露期間は1年間である。
【0042】図3は、海水暴露試験の結果を、平均海水
面からの距離と穴あき深さの関係として示す。腐食は、
いわゆる飛沫帯で最も激しく、孔あき深さは比較鋼 aで
は0.91mmに達するのに対して、発明鋼 Gではわずか0.35
mmであり、発明鋼 Gは耐食性が著しく優れている。ま
た、発明鋼 Gは、比較鋼 aに比して、海中部、干満帯の
いずれにおいても優れた耐食性を示している。
【0043】図9として示す表3は、各供試材の化学成
分とその圧延条件および靭性の関係を示す。本発明鋼 G
-0-0からG-5-3は、化学成分を同一とし、圧延条件が靭
性に与える影響を調査したものである。また、発明鋼 G
-2-2 およびHからRまでと比較鋼qからuまでは、圧延条
件を一定とし、成分組成が靭性に与える影響を調査した
ものである。靭性は、シャルピー衝撃試験における破面
遷移温度(vTrs)およびエネルギ遷移温度(vTre)で評価し
た。
【0044】仕上げ圧延温度が900℃を超える鋼 G-0-0
と鋼 G-1-0は、エネルギ遷移温度(vTre)が0℃を超え、
靭性が十分でない。また、仕上げ圧延温度が900℃以下
であっても、950℃以下における累積圧下率が20%未満で
ある鋼 G-2-1と鋼 G-3-1は、vTreが0℃を超え、靭性が
十分でない。
【0045】仕上げ圧延温度が900℃以下であり、950℃
以下の累積圧下率が20%を超える鋼 G-2-2 ,鋼 G-3-2 ,
鋼 G-4-2 ,鋼 G-4-3 は、いずれもvTreが-30℃以下であ
り、靭性が優れている。一方、比較鋼q〜uは、いずれも
vTreが0℃を越え、靭性が十分でない。発明鋼 G〜I とL
〜Rは、いずれもvTreがー10℃以下で、靭性が優れてい
る。
【0046】図4は、MnとMoの含有量が靭性に与える影
響を示したものである。図中の数字は、シャルピー試験
のエネルギ遷移温度(vTre)である。Mnが0.2%〜1.5%かつ
Moが0.1%〜1.5%の範囲において、vTreが0℃以下であ
り、特にMn×Mo≦0.4(%)の範囲では、vTreが-30℃以下
で、特に優れた靭性を有することが明確である。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、桟橋や護岸、または船
舶など、海水に直接晒される環境において高い耐食性を
有し、かつ実用的な溶接性を有する高靭性鋼が、経済的
に製造することができる。また、本発明は熱間圧延まま
の状態で鋼材を製造するものであり、熱間圧延のプロセ
スは、一般的な厚板圧延プロセスのみならず、形鋼圧延
プロセス、さらには、薄板熱間圧延プロセスであるホッ
トストリップミル圧延においても適用可能である。
【0048】
【図面の簡単な説明】
【図1】発明鋼及び比較鋼の、斜めy型溶接割れ試験に
よる割れ防止予熱温度と複合サイクル腐食試験により生
じた孔あき腐食の最大深さを示す図である。
【図2】複合サイクル腐食試験の試験条件を示す図であ
る。
【図3】1年間海水中に暴露した発明鋼Gと比較鋼aの腐
食量の比較を示す図である。
【図4】発明鋼及び比較鋼の、Mn及び Mo含有量とシャ
ルピー衝撃試験におけるエネルギ遷移温度の関係を示す
図である。
【図5】複合サイクル腐食試験により生じた穴あき腐食
の最大深さに及ぼす、Ni及びMo含有量の影響を示す図で
ある。
【図6】発明鋼及び比較鋼の化学成分、割れ防止予熱温
度、複合サイクル腐食試験により生じた穴あき腐食の最
大深さの結果を、表1として示す図である。
【図7】発明鋼及び比較鋼の1年間の海水暴露試験の結
果を表2として示す図である。
【図8】発明鋼及び比較鋼の化学成分、熱間圧延条件及
びシャルピ衝撃試験における遷移温度の結果を、表3と
して示す図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C : 0.15wt%以下、Si : 0.7%
    以下、Mn : 0.20 〜1.50%、P : 0.03〜0.15%、S : 0.02
    0%以下、Al : 0.010〜0.10%、Cr : 0.10%以下、Ni : 0.
    4〜4.0%、Cu : 0.4%以下、Mo : 0.10 〜1.50%を含有
    し、さらに、Ti : 0.005 〜0.1%、V : 0.005〜0.1%、Nb
    : 0.005〜0.1%、B : 0.0003〜0.001%の1種または2種
    以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であるこ
    とを特徴とする耐海水腐食性と溶接性に優れた高靭性
    鋼。
  2. 【請求項2】 前記 Ni とMoが、Ni+3Mo≧1.2%なる関係
    を満たし、かつ下記に示す炭素当量(Ceq):0.4%以
    下、溶接割れ感受性指数(Pcm):0.20%以下であること
    を特徴とする、請求項1記載の耐海水腐食性と溶接性に
    優れた高靭性鋼。 Ceq=C+Si/24+Mn/6+Cr/5+Ni/40+Mo/4+V/14 Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B
  3. 【請求項3】 前記 Mn とMoが、Mn×Mo≦0.4(%)なる関
    係を満たすことを特徴とする、請求項1記載の耐海水腐
    食性と溶接性に優れた高靭性鋼。
  4. 【請求項4】 前記 Ni 、MnおよびMoが、Ni+3Mo≧1.2%
    及びMn×Mo≦0.4(%)なる関係を満たし、かつ下記に示す
    炭素当量(Ceq):0.4%以下、溶接割れ感受性指数(Pc
    m):0.20%以下であることを特徴とする、請求項1記載
    の耐海水腐食性と溶接性に優れた高靭性鋼。 Ceq=C+Si/24+Mn/6+Cr/5+Ni/40+Mo/4+V/14 Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B
  5. 【請求項5】 請求項1から4のいずれかひとつに記載
    の組成の鋼を、連続鋳造または分解圧延後 得られた鋼
    片を再加熱した後の熱間圧延において、950℃以下に
    おける累積圧下率を20%以上とし、かつ熱間圧延を7
    50℃以上900℃以下の温度範囲で終了することを特
    徴とする、耐海水腐食性と溶接性に優れた高靭性鋼の製
    造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020036270A (ko) * 2000-11-09 2002-05-16 이구택 내해수 부식성이 우수한 열연강재
CN100460550C (zh) * 2006-08-22 2009-02-11 武汉钢铁(集团)公司 一种耐海水腐蚀性能的海洋钻采平台用钢及其制造方法

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