JP4057712B2 - 耐候性および耐疲労特性に優れた圧延鋼材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、海塩粒子の飛散による鋼の腐食および継手部疲労が懸念される海浜および融雪塩使用地区に施設される橋梁、鉄塔などの鋼構造物部材として使用される耐候性および耐疲労特性に優れた圧延鋼材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
橋梁、鉄塔などの鋼構造物の耐用年数は、鋼の腐食と疲労によって決定されるが、防食と疲労により著しい長寿命化が可能となる。しかし、現状の耐候性鋼と言えども、塩素濃度の高い海浜近接地域や融雪塩使用地区では無被服での防食は困難であり、定期的な塗装、メッキなどの防食処理を施すことが必須となっている。また、溶接継手部などの接合部には長期間の車走行時の振動により金属疲労が発生し、大規模な補修作業は必要になってくるという問題がある。
【0003】
図1に日本における炭素鋼および耐候性鋼の大気暴露試験の結果を示す。このデータは、特に腐食の大きい臨海工業地帯における前記大気暴露試験結果であり、10年間の長期にわたる試験期間において、大気中のSOX 濃度の上昇に伴い、その腐食量としての目安となる板厚減少量が、炭素鋼の場合には片面当たりの板厚減少量が0.5mmにまで達しているのに対し、耐候性鋼においては、0.2mm以下という優れた結果を示しており、この種の鋼材のニーズが益々増加しており、更なる改善が求められている。
【0004】
これらの問題を解決するために種々の提案がなされている。その代表的な例として、特開平8−134587号公報および特開平9−165647号公報には、C:0.15%以下を含有し、更にMn、Ni、Mo等の強化元素を添加しNi+3Mo≧1.2%、或いはNi+Cu+3Mo≧1.2%、Ceq:0.5以下に調整した耐候性に優れた溶接構造用鋼が開示されている。また、特開平8−277439号公報には、ラス状フェライトとセメンタイトからなる鋼で、面積率0.5%以上5%以下の変態ままのマルテンサイトを含む金属組織とすることで高疲労強度を有する溶接熱影響部が開示されている。更に、特開平9−249915号公報には、Mn,TiおよびBを適量添加することによって組織を冷却速度に依存することなく、ベイナイト単相とし、またこの組織によって組織の強化を図ると共に、Cuの析出および固溶強化に利用することで、引っ張り強さを高めて耐疲労性を向上させ、更に、未再結晶の低温域或いは2相域の温度範囲で圧下率30%以上の圧延を施すことで疲労限を上昇させることが開示されている。
【0005】
しかしながら、これら先行例のいずれの技術においても塩素濃度の高い海浜近接地域や融雪塩使用地区では無被服での使用に耐えることができず、依然として溶接継手部などの接合部には長期間の車走行時の振動により金属疲労が発生し、定期的な大規模な補修作業が必要とされていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、海塩粒子の飛散による鋼の腐食および継手部疲労が懸念される海浜および融雪塩使用地区に施設される橋梁、鉄塔などの鋼構造物部材として使用される鋼材において、耐候性および耐疲労特性に優れた圧延鋼材およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の海塩粒子の飛散による鋼の腐食および継手部疲労が懸念される海浜および融雪塩使用地区に施設される橋梁、鉄塔などの鋼構造物部材として使用される鋼材において、腐食を起点として作用する内部酸化層の生成を抑制し、粒界酸化を防止するために、Ni,Cu,Moを微量添加し、Ni/Cuの濃度比を調整し、更に、鋼材表面の内部酸化層の厚み、内部酸化層上に形成されるNi,Cu,Moの濃化層の厚み、これらの元素濃度の総量を制御することにより耐候性と耐疲労特性に優れた圧延鋼材を開発することに成功したものであり、その要旨は次の通りである。
【0009】
1)質量%で、C :0.02〜0.20%、
Mn:≦0.1%、
Si:≦0.1%、
Cr:≦0.1%、
Al:≦0.1%、
Ti:≦0.1%、
Ni:0.8〜3.0%、
Cu:0.8〜2.0%、
Mo:0.4〜0.7%、
N :0.001〜0.01%、
P :≦0.1%、
S :≦0.006%、
を含有し、かつNi/Cuの濃度比が0.8以上であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、更に、鋼材表面の内部酸化層が2μm以下で、前記内部酸化層上に厚さ2μm以上のNi,Cu,Moの濃化層を有し、これらの元素濃度の総量が7.0重量%以上であることを特徴とする耐候性および耐疲労特性に優れた圧延鋼材。
【0010】
2)更に、質量%で、Nb:0.005〜0.10%、V:0.01〜0.20%、B:0.0003〜0.0030%のいずれか1種または2種以上、更に必要に応じて、Mg:0.0005〜0.010%を含有することを特徴とする上記1)記載の耐候性および耐疲労特性に優れた圧延鋼材。
【0011】
3)更に、上記成分を有し、Ni/Cuの濃度比が0.8以上に調整した鋳片を1100〜1300℃の温度域に再加熱した後に熱延を開始し、950℃以下の累積圧下率が40%以上となる圧延を行い、900℃以上で熱延を終了し、熱延ままで鋼材表面の内部酸化層が2μm以下で、前記内部酸化層上に厚さ2μm以上のNi,Cu,Moの濃化層を有し、これらの元素濃度の総量が7.0重量%以上であることを特徴とする耐候性および耐疲労特性に優れた圧延鋼材の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、400〜700MPa級のH形鋼の粒界酸化のメカニズムを鋭意研究を重ねた結果、内部酸化層と強化元素として添加されるNi,Cu,Mo等の微量元素が大きく影響していることが判明した。すなわち、地鉄表層部に形成される内部酸化層は、Si,Mn,Cr,Feの単独および複合した酸化物、すなわち、FeとMnO,SiO等の粒子とが混合した脱合金層で形成されていることが分かり、これらの元素が空気中の酸素と結合してファイヤライト(2SiO2 FeO)を生成し、これが腐食の起点となって粒界酸化が発生すること、また、Mnの存在によりMnSが生成して孔食の起点となって耐候性を著しく阻害することも判明した。
【0013】
そこで、耐候性を向上させるための種々の要因を検討し、前述の内部酸化層の生成を抑制するためには、鉄(FeO)より酸化し易いSi,Mn,Crのそれぞれの量を低減させることによって腐食に起点として作用する内部酸化層の生成を著しく抑制することができる。図2aに通常の高張力H形鋼に含有されるSi,Mn,Crの量(Si:0.35%、Mn:1.3%、Cr:0.3%)を低減させない場合の内部酸化層の生成状態を示した。一方、図2bには本発明によるSi,Mn,Crの量(Si:0.05%、Mn:0.04%、Cr:0.01%)を低減した場合の内部酸化層の生成状態を示した。図2bから明らかなように、Si,Mn,Crの量を低減した本発明鋼においては内部酸化層が2μm以下と厚みが極端に薄くなっていることがわかる。更に、本発明においては前述したように、Mnの量も低減しているために、孔食の起点となり耐候性を著しく阻害するMnSの生成が少ないために、耐孔食性および耐候性に優れた高張力H形鋼が得られる。また、本発明においては含有S量の低減に加え、Ca,Mg,REMを添加することで硫化物生成により固溶S量も併せて低減可能になるものである。
【0014】
更に、本発明においては、前述の耐候性向上の要因を製造プロセスの観点から探索し、Ni,Cu,Moが添加された高張力H形鋼の場合には、内部酸化層上にNi,Cu,Moの濃化層が形成され、その濃化層形成量がスラブ加熱温度の高低に非常に左右されることを知見し、特に、スラブ加熱が1100℃〜1300℃、好ましくは1300℃で4.5時間、という高温で行われる場合には図3bに示すように、前述のNi,Cu,Moの濃化層が2μm以上の厚みで形成されていることも知見した。一方、従来のような1100℃以下という低温スラブ加熱の場合では、図3aに示すように、前記濃化層は、生成されないか、生成しても極めて薄い濃化層であることが分かり、このために、腐食および孔食深さも抑制され、安定錆の生成速度上昇効果による耐候性向上が図れるものである。
【0015】
一方、耐疲労強度という観点からみると、前述したように、鉄(FeO)より酸化し易いSi,Mn,Crのそれぞれの量を低減させることによって腐食を起点として作用する内部酸化層の生成を著しく抑制することにより、内部酸化層の生成に伴う軟化層・粒界酸化層による疲労強度低下を防止することができる。なお、前記粒界酸化層はノッチ効果による応力集中を生じ、同様に疲労強度低下させる原因ともなっている。また、Si量を低減させることによって、粒界酸化ファイヤライト層の生成抑制作用から疲労強度を上昇させることができる。更に、前述したような1100℃〜1300℃、好ましくは1300℃で4.5時間、という高温スラブ加熱により、酸化による内部酸化層上へのNi,Cu,Moの濃化層が2μm以上の厚みで形成されるため、表面層内部酸化層の軟化抑制効果によって疲労強度が上昇する。また、この疲労強度は、降伏強度および引張強度とほぼ直線的な関係にあるため、降伏強度および引張強度の上昇に伴い疲労強度も上昇することになる。
【0016】
次に、本発明による耐候性および耐疲労特性に優れた圧延鋼材の合金成分範囲とその製造方法について詳細に説明する。
炭素(C)は、400〜700MPa級のH形鋼の母材の降伏強度および引張強度を確保するために、0.02〜0.20%の範囲で添加する。
珪素(Si)は、母材の強度確保、溶鋼の予備脱酸などに必要であるが、0.1%以上の添加は、MnSi・Oを形成し、内部酸化層増加、および粒界酸化を促す2SiO 2FeOを形成する傾向を強めることになるので少ない程好ましく、上限を0.1%とする。
【0017】
マンガン(Mn)は、母材の強度確保に必要な元素であるが、母材および溶接部の靱性および割れ性に対する許容濃度、およびMnSを生成し、孔食の起点となり耐候性を著しく阻害するため、出来るだけ少ない方が望ましく、その上限を0.1%とする必要がある。
クロム(Cr)は、焼き入れ性向上により母材強化寄与する元素であるが、0.1%を超えるとCr・Oとなって内部酸化層を形成して腐食の起点となるため、その上限を0.1%とする。
【0018】
アルミニウム(Al)は、強力な脱酸元素であり、脱酸と鋼の清浄化およびAlNを析出させ固溶Nを固定し、靱性を向上させるために0.1%を上限として添加される。しかし、Ca,Mg,REM等を添加し、これらの微細酸化物を積極的に利用する場合には、多量のAl量添加ではCa,Mg,REM等の微細酸化物形成を阻害するために、できるだけ少ない方が好ましい。
【0019】
チタン(Ti)は、TiNを析出し、固溶Nを低減することにより島状マルテンサイトの生成を抑制し、微細析出したTiNはγ相の微細化に寄与する。これらのTiの作用により組織を微細化し強度・靱性を向上させる。しかし、0.1%以上の過剰な添加は、TiCを析出し、その析出効果により母材および溶接熱影響部の靱性を劣化させるので上限を0.1%とした。
【0020】
次に、本発明ではNi,Cu,Moの添加が必須となる。これらの元素は共に高強度化元素として、いずれも母材の靱性を高め、しかも内部酸化層上に2μm以上のNi,Cu,Moを濃化層を形成する重要な元素である。Niの添加量は、0.8〜3.0%、Cuは0.8〜2.0%の範囲で添加される。Moは母材強度および高温強度確保に有効な元素であるが、過剰な添加はMo炭化物を析出して固溶Moとして焼き入れ性向上効果が飽和するので0.4〜0.7%の範囲で添加する必要がある。
【0021】
ニオブ(Nb)およびバナジウム(V)は、焼き入性を上昇させ、強度を増加させる目的から、Nb:0.005〜0.10%、V:0.01〜0.20%がそれぞれ添加される。しかし、Nbの場合には0.005%、Vの場合には0.20%を超えるとNb炭窒化物或いはV炭窒化物の析出量が増加し、固溶Nb或いは固溶Vとしての効果が飽和するためNb:0.10%、V:0.20%を上限とし、また、焼き入れ性、母材の強度確保の点からは下限をNb:0.005%、V:0.01%とした。
【0022】
ボロン(B)は、鋼材の焼き入れ性に重要な元素であり、0.0003〜0.0030%添加される。
窒素(N)は、窒化物を形成し、γ粒の結晶化に寄与するが、過剰な固溶Nは靱性を劣化させるのでNの含有量は0.001〜0.010%添加される。
マグネシウムは孔食の起点となり耐候性を低下させるMnSの生成を防止する目的で、より高温安定性の高いMgの硫化物を形成させイオウを固定するために添加するものである。マグネシウム(Mg)は、合金化によりMg含有濃度を低減し、溶鋼への添加時の脱酸反応を抑制し、添加時の安全確保とMgの歩留まりを向上させ、更にMgOの微細酸化物を生成させ、これらを微細分散させることにより鋼の強度および靱性向上に寄与させる目的で0.0005〜0.010%添加する。
【0023】
Ni/Cuの濃度比を0.8以上にする理由は、Cu添加鋼の高温加熱による表面割れを防止するためである。この割れは、1100℃以上の高温加熱により内部酸化層上にCuが濃縮し、溶融Cuがγ粒界に侵入しCu溶融割れを生じる。この防止には、1100℃以下の低温加熱をするか、Ni/Cu≧0.8のNi添加し高融点化することにより防止できる。
【0024】
鋼材表面の内部酸化層の厚さを2μm以下とする理由は、実際に、20μm厚さの内部酸化層存在はおよそ20倍の200μm深さまで表面軟化層を形成させる。内部酸化層厚さ2μmでは表面軟化層深さ20μmとなり疲労および腐食の防止には限界の厚さであることから内部酸化層2μm以下とした。
Ni,Cu,Moの濃化層の厚さを2μm以上とする理由は、EPMAでの測定結果から、Ni,Cu,Mo濃化層厚さが2μm以下では耐候性効果が小さいことが塩水噴霧試験により確認されたためである。
【0025】
また、Ni,Cu,Moの元素濃度の総量を7.0重量%以上とする理由は、1250℃の加熱実験によると、内部酸化層上へのCu,Niの濃化度は、およそ5〜10倍であり、Moは2〜5倍であった。しかも、これらの濃度の総和が7.0重量%以下では目標の耐候性・疲労特性が達成できないためである。
次に、本発明における製造方法について説明する。
【0026】
本発明において重要なプロセスは、スラブ加熱温度を1100〜1300℃の高温スラブ加熱を行う必要がある。これは、前述の高温スラブ加熱において、高温加熱酸化により内部酸化層上へのNi,Cu,Moの濃化層を2μm以上の厚さで形成させるものである。
高温加熱酸化において、内部酸化層上へNi,Cu,Moが2μm以上濃化する理由は、これら金属の酸化物の生成エネルギーは鉄酸化物(FeO)より高いため、酸化物を生成できず内部酸化層上に取り残され濃化するためである。
【0027】
1250℃加熱結果では、Ni,Cu,Moの濃化層が、およそ30μm厚さほど形成される。これが圧延により延伸され、延伸比に対応しほぼ比例して薄くなる。すなわち、厚さが1/10になった場合は、ほぼその厚さは3μmとなる。
更に、前述のように、高温で加熱されたスラブは熱間圧延に付されるが、この熱間圧延においては、950℃以下での累積圧下率が40%以上となる圧延を行う必要がある。
【0028】
950℃以下での累積圧下率が40%以上で熱延するのは、圧延温度と圧下条件を制御する制御圧延により組織微細化を達成するには、オーステナイトの再結晶・未再結晶温度域において、40%以上の圧下を加える必要があるためである。
【0029】
【実施例】
<実施例1>
試作H形鋼として、表1に示す本発明鋼と比較鋼についての化学成分値を有する鋼を転炉溶製し、合金を添加後、予備脱酸処理を行い、溶鋼の酸素濃度を調整後、次いでMg合金を添加し、連続鋳造により250〜300mm厚鋳片に鋳造した。
【0030】
【表1】
【0031】
鋳片の冷却はモールド下方の二次冷却帯の水量と鋳片の引き抜き速度の選択により制御した。このようにして得た鋳片を1280℃の高温で加熱し、粗圧延工程を経て図4に示すユニバーサル圧延装置列でH形鋼に圧延した。この時の圧延・加速冷却条件を表2に示した。
【0032】
【表2】
【0033】
この圧延で得られたH形鋼の機械的特性を表3に示した。特に疲労特性については図5に示したとおりである。図6にH形鋼の断面形状および機械試験片の採取位置を示した。図6において、フランジ2の板厚t2 の中心部(1/2t2 )でフランジ幅全長(B)の1/4(1/4B)から採取した試験片を用い前述の機械的特性を求めた。これらの部位について機械的特性を求めた理由は、フランジ1/4F部はH形鋼の平均的な機械的特性を示し、H形鋼の機械的特性を代表できると判断したものである。
【0034】
このように、本発明による鋼組成と製造方法の両者の条件が全て満足された時に表3および図5に示されるH形鋼、すなわち、本発明鋼A〜Dのように、耐候性、耐疲労性能にすぐれた、高い耐久性を有する圧延形鋼の生産が可能になる。
【0035】
【表3】
【0036】
なお、本発明が対象とする圧延形鋼は、上記実施例のH形鋼に限らずI形鋼、山形鋼、溝形鋼、不等辺不等厚山形鋼等のフランジを有する形鋼にも適用できることは勿論である。
【0037】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明は、海塩粒子の飛散による鋼の腐食および継手部疲労が懸念される海浜および融雪塩使用地区に施設される橋梁、鉄塔などの鋼構造物部材として使用される耐候性および耐疲労特性に優れた圧延鋼材を低コストで、しかも簡易な製造方法で提供できることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】日本における炭素鋼および耐候性鋼の大気暴露試験の結果を示す図。
【図2】aは、従来の形鋼における内部酸化層の生成状態を示す図、bは本発明による内部酸化層の生成状態を示す図。
【図3】aは、従来の形鋼におけるNi,Cu,Moの濃化層の生成状態を示す図、b,cは本発明によるNi,Cu,Moの濃化層の生成状態を示す図。
【図4】本発明において使用されるユニバーサル圧延装置列を示す図。
【図5】引張強さと疲労限の関係を示す図。
【図6】H形鋼の断面形状および機械試験片の採取位置を示す図。
Claims (6)
- 質量%で、C :0.02〜0.20%、
Mn:≦0.1%、
Si:≦0.1%、
Cr:≦0.1%、
Al:≦0.1%、
Ti:≦0.1%、
Ni:0.8〜3.0%、
Cu:0.8〜2.0%、
Mo:0.4〜0.7%、
N :0.001〜0.01%、
P :≦0.1%、
S :≦0.006%、
を含有し、かつNi/Cuの濃度比が0.8以上であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、更に、鋼材表面の内部酸化層が2μm以下で、前記内部酸化層上に厚さ2μm以上のNi,Cu,Moの濃化層を有し、これらの元素濃度の総量が7.0重量%以上であることを特徴とする耐候性および耐疲労特性に優れた圧延鋼材。 - 質量%で、更に、Nb:0.005〜0.10%、V:0.01〜0.20%、B:0.0003〜0.0030%のいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の耐候性および耐疲労特性に優れた圧延鋼材。
- 重量%で、更に、Mg:0.0005〜0.010%を含有することを特徴とする請求項2記載の耐候性および耐疲労特性に優れた圧延鋼材。
- 重量%で、C :0.02〜0.20%、
Mn:≦0.1%、
Si:≦0.1%、
Cr:≦0.1%、
Al:≦0.1%、
Ti:≦0.1%、
Ni:0.8〜3.0%、
Cu:0.8〜2.0%、
Mo:0.4〜0.7%、
N :0.001〜0.01%、
P :≦0.1%、
S :≦0.006%、
を含有し、かつNi/Cuの濃度比が0.8以上であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋳片を1100〜1300℃の温度域に再加熱した後に熱延を開始し、950℃以下の累積圧下率が40%以上となる圧延を行い、900℃以上で熱延を終了し、熱延ままで鋼材表面の内部酸化層が2μm以下で、前記内部酸化層上に厚さ2μm以上のNi,Cu,Moの濃化層を有し、これらの元素濃度の総量が7.0重量%以上であることを特徴とする耐候性および耐疲労特性に優れた圧延鋼材の製造方法。 - 重量%で、更に、Nb:0.005〜0.10%、V:0.01〜0.20%、B:0.0003〜0.0030%のいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項4記載の耐候性および耐疲労特性に優れた圧延鋼材の製造方法。
- 重量%で、更に、Mg:0.0005〜0.010%を含有することを特徴とする請求項4または5記載の耐候性および耐疲労特性に優れた圧延鋼材の製造方法。
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