JP2000054067A - 耐候性および耐疲労特性に優れた圧延鋼材およびその製造方法 - Google Patents

耐候性および耐疲労特性に優れた圧延鋼材およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 海塩粒子の飛散による鋼の腐食および継手部
疲労が懸念される海浜および融雪塩使用地区に施設され
る橋梁、鉄塔などの鋼構造物部材として使用される耐候
性および耐疲労特性に優れた圧延鋼材を低コストで、し
かも簡易な製造方法で提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.02〜0.20%を
含有し、更に微量Ni,CuおよびMoを必須元素とし
て添加した建築用鋼材であって、Ni/Cuの濃度比が
0.8以上、鋼材表面の内部酸化層が2μm以下、前記
内部酸化層上に厚さ2μm以上のNi,Cu,Moの濃
化層を有することを特徴とする耐候性および耐疲労特性
に優れた圧延鋼材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海塩粒子の飛散に
よる鋼の腐食および継手部疲労が懸念される海浜および
融雪塩使用地区に施設される橋梁、鉄塔などの鋼構造物
部材として使用される耐候性および耐疲労特性に優れた
圧延鋼材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】橋梁、鉄塔などの鋼構造物の耐用年数
は、鋼の腐食と疲労によって決定されるが、防食と疲労
により著しい長寿命化が可能となる。しかし、現状の耐
候性鋼と言えども、塩素濃度の高い海浜近接地域や融雪
塩使用地区では無被服での防食は困難であり、定期的な
塗装、メッキなどの防食処理を施すことが必須となって
いる。また、溶接継手部などの接合部には長期間の車走
行時の振動により金属疲労が発生し、大規模な補修作業
は必要になってくるという問題がある。
【0003】図1に日本における炭素鋼および耐候性鋼
の大気暴露試験の結果を示す。このデータは、特に腐食
の大きい臨海工業地帯における前記大気暴露試験結果で
あり、10年間の長期にわたる試験期間において、大気
中のSOX 濃度の上昇に伴い、その腐食量としての目安
となる板厚減少量が、炭素鋼の場合には片面当たりの板
厚減少量が0.5mmにまで達しているのに対し、耐候
性鋼においては、0.2mm以下という優れた結果を示
しており、この種の鋼材のニーズが益々増加しており、
更なる改善が求められている。
【0004】これらの問題を解決するために種々の提案
がなされている。その代表的な例として、特開平8−1
34587号公報および特開平9−165647号公報
には、C:0.15%以下を含有し、更にMn、Ni、
Mo等の強化元素を添加しNi+3Mo≧1.2%、或
いはNi+Cu+3Mo≧1.2%、Ceq:0.5以
下に調整した耐候性に優れた溶接構造用鋼が開示されて
いる。また、特開平8−277439号公報には、ラス
状フェライトとセメンタイトからなる鋼で、面積率0.
5%以上5%以下の変態ままのマルテンサイトを含む金
属組織とすることで高疲労強度を有する溶接熱影響部が
開示されている。更に、特開平9−249915号公報
には、Mn,TiおよびBを適量添加することによって
組織を冷却速度に依存することなく、ベイナイト単相と
し、またこの組織によって組織の強化を図ると共に、C
uの析出および固溶強化に利用することで、引っ張り強
さを高めて耐疲労性を向上させ、更に、未再結晶の低温
域或いは2相域の温度範囲で圧下率30%以上の圧延を
施すことで疲労限を上昇させることが開示されている。
【0005】しかしながら、これら先行例のいずれの技
術においても塩素濃度の高い海浜近接地域や融雪塩使用
地区では無被服での使用に耐えることができず、依然と
して溶接継手部などの接合部には長期間の車走行時の振
動により金属疲労が発生し、定期的な大規模な補修作業
が必要とされていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解決すべくなされたもので、海塩粒子の飛散による鋼の
腐食および継手部疲労が懸念される海浜および融雪塩使
用地区に施設される橋梁、鉄塔などの鋼構造物部材とし
て使用される鋼材において、耐候性および耐疲労特性に
優れた圧延鋼材およびその製造方法を提供することを目
的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の海塩粒
子の飛散による鋼の腐食および継手部疲労が懸念される
海浜および融雪塩使用地区に施設される橋梁、鉄塔など
の鋼構造物部材として使用される鋼材において、腐食を
起点として作用する内部酸化層の生成を抑制し、粒界酸
化を防止するために、Ni,Cu,Moを微量添加し、
Ni/Cuの濃度比を調整し、更に、鋼材表面の内部酸
化層の厚み、内部酸化層上に形成されるNi,Cu,M
oの濃化層の厚み、これらの元素濃度の総量を制御する
ことにより耐候性と耐疲労特性に優れた圧延鋼材を開発
することに成功したものであり、その要旨は次の通りで
ある。
【0008】1)重量%で、C:0.02〜0.20%
を含有し、更に微量Ni,CuおよびMoを必須元素と
して添加した建築用鋼材であって、Ni/Cuの濃度比
が0.8以上、鋼材表面の内部酸化層が2μm以下、前
記内部酸化層上に厚さ2μm以上のNi,Cu,Moの
濃化層を有することを特徴とする耐候性および耐疲労特
性に優れた圧延鋼材。
【0009】2)重量%で、C :0.02〜0.20
%、Mn:≦0.1%、Si:≦0.1%、Cr:≦
0.1%、Al:≦0.1%、Ti:≦0.1%、N
i:0.8〜3.0%、Cu:0.8〜2.0%、M
o:0.4〜0.7%、N :0.001〜0.01
%、P :≦0.1%、S :≦0.006%、を含有
し、かつNi/Cuの濃度比が0.8以上であり、残部
がFeおよび不可避的不純物からなり、更に、鋼材表面
の内部酸化層が2μm以下で、前記内部酸化層上に厚さ
2μm以上のNi,Cu,Moの濃化層を有し、これら
の元素濃度の総量が7.0重量%以上であることを特徴
とする耐候性および耐疲労特性に優れた圧延鋼材。
【0010】3)更に、重量%で、Nb:0.005〜
0.10%、V:0.01〜0.20%、B:0.00
03〜0.0030%のいずれか1種または2種以上、
更に必要に応じて、Ca:0.0005〜0.0050
%、Mg:0.0005〜0.010%、REM:0.
0005〜0.010%のいずれか1種または2種以上
を含有することを特徴とする上記2)記載の耐候性およ
び耐疲労特性に優れた圧延鋼材。
【0011】4)更に、上記成分を有し、Ni/Cuの
濃度比が0.8以上に調整した鋳片を1100〜130
0℃の温度域に再加熱した後に熱延を開始し、950℃
以下の累積圧下率が40%以上となる圧延を行い、90
0℃以上で熱延を終了し、熱延ままで鋼材表面の内部酸
化層が2μm以下で、前記内部酸化層上に厚さ2μm以
上のNi,Cu,Moの濃化層を有し、これらの元素濃
度の総量が7.0重量%以上であることを特徴とする耐
候性および耐疲労特性に優れた圧延鋼材の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明者らは、400〜700M
Pa級のH形鋼の粒界酸化のメカニズムを鋭意研究を重
ねた結果、内部酸化層と強化元素として添加されるN
i,Cu,Mo等の微量元素が大きく影響していること
が判明した。すなわち、地鉄表層部に形成される内部酸
化層は、Si,Mn,Cr,Feの単独および複合した
酸化物、すなわち、FeとMnO,SiO等の粒子とが
混合した脱合金層で形成されていることが分かり、これ
らの元素が空気中の酸素と結合してファイヤライト(2
SiO2 FeO)を生成し、これが腐食の起点となって
粒界酸化が発生すること、また、Mnの存在によりMn
Sが生成して孔食の起点となって耐候性を著しく阻害す
ることも判明した。
【0013】そこで、耐候性を向上させるための種々の
要因を検討し、前述の内部酸化層の生成を抑制するため
には、鉄(FeO)より酸化し易いSi,Mn,Crの
それぞれの量を低減させることによって腐食に起点とし
て作用する内部酸化層の生成を著しく抑制することがで
きる。図2aに通常の高張力H形鋼に含有されるSi,
Mn,Crの量(Si:0.35%、Mn:1.3%、
Cr:0.3%)を低減させない場合の内部酸化層の生
成状態を示した。一方、図2bには本発明によるSi,
Mn,Crの量(Si:0.05%、Mn:0.04
%、Cr:0.01%)を低減した場合の内部酸化層の
生成状態を示した。図2bから明らかなように、Si,
Mn,Crの量を低減した本発明鋼においては内部酸化
層が2μm以下と厚みが極端に薄くなっていることがわ
かる。更に、本発明においては前述したように、Mnの
量も低減しているために、孔食の起点となり耐候性を著
しく阻害するMnSの生成が少ないために、耐孔食性お
よび耐候性に優れた高張力H形鋼が得られる。また、本
発明においては含有S量の低減に加え、Ca,Mg,R
EMを添加することで硫化物生成により固溶S量も併せ
て低減可能になるものである。
【0014】更に、本発明においては、前述の耐候性向
上の要因を製造プロセスの観点から探索し、Ni,C
u,Moが添加された高張力H形鋼の場合には、内部酸
化層上にNi,Cu,Moの濃化層が形成され、その濃
化層形成量がスラブ加熱温度の高低に非常に左右される
ことを知見し、特に、スラブ加熱が1100℃〜130
0℃、好ましくは1300℃で4.5時間、という高温
で行われる場合には図3bに示すように、前述のNi,
Cu,Moの濃化層が2μm以上の厚みで形成されてい
ることも知見した。一方、従来のような1100℃以下
という低温スラブ加熱の場合では、図3aに示すよう
に、前記濃化層は、生成されないか、生成しても極めて
薄い濃化層であることが分かり、このために、腐食およ
び孔食深さも抑制され、安定錆の生成速度上昇効果によ
る耐候性向上が図れるものである。
【0015】一方、耐疲労強度という観点からみると、
前述したように、鉄(FeO)より酸化し易いSi,M
n,Crのそれぞれの量を低減させることによって腐食
を起点として作用する内部酸化層の生成を著しく抑制す
ることにより、内部酸化層の生成に伴う軟化層・粒界酸
化層による疲労強度低下を防止することができる。な
お、前記粒界酸化層はノッチ効果による応力集中を生
じ、同様に疲労強度低下させる原因ともなっている。ま
た、Si量を低減させることによって、粒界酸化ファイ
ヤライト層の生成抑制作用から疲労強度を上昇させるこ
とができる。更に、前述したような1100℃〜130
0℃、好ましくは1300℃で4.5時間、という高温
スラブ加熱により、酸化による内部酸化層上へのNi,
Cu,Moの濃化層が2μm以上の厚みで形成されるた
め、表面層内部酸化層の軟化抑制効果によって疲労強度
が上昇する。また、この疲労強度は、降伏強度および引
張強度とほぼ直線的な関係にあるため、降伏強度および
引張強度の上昇に伴い疲労強度も上昇することになる。
【0016】次に、本発明による耐候性および耐疲労特
性に優れた圧延鋼材の合金成分範囲とその製造方法につ
いて詳細に説明する。炭素(C)は、400〜700M
Pa級のH形鋼の母材の降伏強度および引張強度を確保
するために、0.02〜0.20%の範囲で添加する。
珪素(Si)は、母材の強度確保、溶鋼の予備脱酸など
に必要であるが、0.1%以上の添加は、MnSi・O
を形成し、内部酸化層増加、および粒界酸化を促す2S
iO 2FeOを形成する傾向を強めることになるので少
ない程好ましく、上限を0.1%とする。
【0017】マンガン(Mn)は、母材の強度確保に必
要な元素であるが、母材および溶接部の靱性および割れ
性に対する許容濃度、およびMnSを生成し、孔食の起
点となり耐候性を著しく阻害するため、出来るだけ少な
い方が望ましく、その上限を0.1%とする必要があ
る。クロム(Cr)は、焼き入れ性向上により母材強化
寄与する元素であるが、0.1%を超えるとCr・Oと
なって内部酸化層を形成して腐食の起点となるため、そ
の上限を0.1%とする。
【0018】アルミニウム(Al)は、強力な脱酸元素
であり、脱酸と鋼の清浄化およびAlNを析出させ固溶
Nを固定し、靱性を向上させるために0.1%を上限と
して添加される。しかし、Ca,Mg,REM等を添加
し、これらの微細酸化物を積極的に利用する場合には、
多量のAl量添加ではCa,Mg,REM等の微細酸化
物形成を阻害するために、できるだけ少ない方が好まし
い。
【0019】チタン(Ti)は、TiNを析出し、固溶
Nを低減することにより島状マルテンサイトの生成を抑
制し、微細析出したTiNはγ相の微細化に寄与する。
これらのTiの作用により組織を微細化し強度・靱性を
向上させる。しかし、0.1%以上の過剰な添加は、T
iCを析出し、その析出効果により母材および溶接熱影
響部の靱性を劣化させるので上限を0.1%とした。
【0020】次に、本発明ではNi,Cu,Moの添加
が必須となる。これらの元素は共に高強度化元素とし
て、いずれも母材の靱性を高め、しかも内部酸化層上に
2μm以上のNi,Cu,Moを濃化層を形成する重要
な元素である。Niの添加量は、0.8〜3.0%、C
uは0.8〜2.0%の範囲で添加される。Moは母材
強度および高温強度確保に有効な元素であるが、過剰な
添加はMo炭化物を析出して固溶Moとして焼き入れ性
向上効果が飽和するので0.4〜0.7%の範囲で添加
する必要がある。
【0021】ニオブ(Nb)およびバナジウム(V)
は、焼き入性を上昇させ、強度を増加させる目的から、
Nb:0.005〜0.10%、V:0.01〜0.2
0%がそれぞれ添加される。しかし、Nbの場合には
0.005%、Vの場合には0.20%を超えるとNb
炭窒化物或いはV炭窒化物の析出量が増加し、固溶Nb
或いは固溶Vとしての効果が飽和するためNb:0.1
0%、V:0.20%を上限とし、また、焼き入れ性、
母材の強度確保の点からは下限をNb:0.005%、
V:0.01%とした。
【0022】ボロン(B)は、鋼材の焼き入れ性に重要
な元素であり、0.0003〜0.0030%添加され
る。窒素(N)は、窒化物を形成し、γ粒の結晶化に寄
与するが、過剰な固溶Nは靱性を劣化させるのでNの含
有量は0.001〜0.010%添加される。マグネシ
ウム、Ca、REMは孔食の起点となり耐候性を低下さ
せるMnSの生成を防止する目的で、より高温安定性の
高いMg,Ca,REMの硫化物を形成させイオウを固
定するために添加するものである。マグネシウム(M
g)は、合金化によりMg含有濃度を低減し、溶鋼への
添加時の脱酸反応を抑制し、添加時の安全確保とMgの
歩留まりを向上させ、更にMgOの微細酸化物を生成さ
せ、これらを微細分散させることにより鋼の強度および
靱性向上に寄与させる目的で0.0005〜0.010
%添加する。また、Ca、REMは、いずれもスラブ割
れ防止の目的からそれぞれ0.0005〜0.005
%、0.0005〜0.010%の範囲で添加される。
【0023】Ni/Cuの濃度比を0.8以上にする理
由は、Cu添加鋼の高温加熱による表面割れを防止する
ためである。この割れは、1100℃以上の高温加熱に
より内部酸化層上にCuが濃縮し、溶融Cuがγ粒界に
侵入しCu溶融割れを生じる。この防止には、1100
℃以下の低温加熱をするか、Ni/Cu≧0.8のNi
添加し高融点化することにより防止できる。
【0024】鋼材表面の内部酸化層の厚さを2μm以下
とする理由は、実際に、20μm厚さの内部酸化層存在
はおよそ20倍の200μm深さまで表面軟化層を形成
させる。内部酸化層厚さ2μmでは表面軟化層深さ20
μmとなり疲労および腐食の防止には限界の厚さである
ことから内部酸化層2μm以下とした。Ni,Cu,M
oの濃化層の厚さを2μm以上とする理由は、EPMA
での測定結果から、Ni,Cu,Mo濃化層厚さが2μ
m以下では耐候性効果が小さいことが塩水噴霧試験によ
り確認されたためである。
【0025】また、Ni,Cu,Moの元素濃度の総量
を7.0重量%以上とする理由は、1250℃の加熱実
験によると、内部酸化層上へのCu,Niの濃化度は、
およそ5〜10倍であり、Moは2〜5倍であった。し
かも、これらの濃度の総和が7.0重量%以下では目標
の耐候性・疲労特性が達成できないためである。次に、
本発明における製造方法について説明する。
【0026】本発明において重要なプロセスは、スラブ
加熱温度を1100〜1300℃の高温スラブ加熱を行
う必要がある。これは、前述の高温スラブ加熱におい
て、高温加熱酸化により内部酸化層上へのNi,Cu,
Moの濃化層を2μm以上の厚さで形成させるものであ
る。高温加熱酸化において、内部酸化層上へNi,C
u,Moが2μm以上濃化する理由は、これら金属の酸
化物の生成エネルギーは鉄酸化物(FeO)より高いた
め、酸化物を生成できず内部酸化層上に取り残され濃化
するためである。
【0027】1250℃加熱結果では、Ni,Cu,M
oの濃化層が、およそ30μm厚さほど形成される。こ
れが圧延により延伸され、延伸比に対応しほぼ比例して
薄くなる。すなわち、厚さが1/10になった場合は、
ほぼその厚さは3μmとなる。更に、前述のように、高
温で加熱されたスラブは熱間圧延に付されるが、この熱
間圧延においては、950℃以下での累積圧下率が40
%以上となる圧延を行う必要がある。
【0028】950℃以下での累積圧下率が40%以上
で熱延するのは、圧延温度と圧下条件を制御する制御圧
延により組織微細化を達成するには、オーステナイトの
再結晶・未再結晶温度域において、40%以上の圧下を
加える必要があるためである。
【0029】
【実施例】<実施例1>試作H形鋼として、表1に示す
本発明鋼と比較鋼についての化学成分値を有する鋼を転
炉溶製し、合金を添加後、予備脱酸処理を行い、溶鋼の
酸素濃度を調整後、次いでCa,Mg合金、REMを添
加し、連続鋳造により250〜300mm厚鋳片に鋳造
した。
【0030】
【表1】
【0031】鋳片の冷却はモールド下方の二次冷却帯の
水量と鋳片の引き抜き速度の選択により制御した。この
ようにして得た鋳片を1280℃の高温で加熱し、粗圧
延工程を経て図4に示すユニバーサル圧延装置列でH形
鋼に圧延した。この時の圧延・加速冷却条件を表2に示
した。
【0032】
【表2】
【0033】この圧延で得られたH形鋼の機械的特性を
表3に示した。特に疲労特性については図5に示したと
おりである。図6にH形鋼の断面形状および機械試験片
の採取位置を示した。図6において、フランジ2の板厚
2 の中心部(1/2t2 )でフランジ幅全長(B)の
1/4(1/4B)から採取した試験片を用い前述の機
械的特性を求めた。これらの部位について機械的特性を
求めた理由は、フランジ1/4F部はH形鋼の平均的な
機械的特性を示し、H形鋼の機械的特性を代表できると
判断したものである。
【0034】このように、本発明による鋼組成と製造方
法の両者の条件が全て満足された時に表3および図5に
示されるH形鋼、すなわち、本発明鋼A〜Dのように、
耐候性、耐疲労性能にすぐれた、高い耐久性を有する圧
延形鋼の生産が可能になる。
【0035】
【表3】
【0036】なお、本発明が対象とする圧延形鋼は、上
記実施例のH形鋼に限らずI形鋼、山形鋼、溝形鋼、不
等辺不等厚山形鋼等のフランジを有する形鋼にも適用で
きることは勿論である。
【0037】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は、海塩粒子
の飛散による鋼の腐食および継手部疲労が懸念される海
浜および融雪塩使用地区に施設される橋梁、鉄塔などの
鋼構造物部材として使用される耐候性および耐疲労特性
に優れた圧延鋼材を低コストで、しかも簡易な製造方法
で提供できることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】日本における炭素鋼および耐候性鋼の大気暴露
試験の結果を示す図。
【図2】aは、従来の形鋼における内部酸化層の生成状
態を示す図、bは本発明による内部酸化層の生成状態を
示す図。
【図3】aは、従来の形鋼におけるNi,Cu,Moの
濃化層の生成状態を示す図、b,cは本発明によるN
i,Cu,Moの濃化層の生成状態を示す図。
【図4】本発明において使用されるユニバーサル圧延装
置列を示す図。
【図5】引張強さと疲労限の関係を示す図。
【図6】H形鋼の断面形状および機械試験片の採取位置
を示す図。
フロントページの続き Fターム(参考) 4E001 CC04 QA02 4K032 AA00 AA01 AA02 AA04 AA05 AA08 AA11 AA14 AA15 AA16 AA19 AA21 AA22 AA23 AA24 AA27 AA29 AA31 AA35 AA36 AA40 BA00 CA02 CA03 CC04 CD02 CD05

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.02〜0.20%を
    含有し、更に微量Ni,CuおよびMoを必須元素とし
    て添加した圧延鋼材であって、Ni/Cuの濃度比が
    0.8以上、鋼材表面の内部酸化層が2μm以下、前記
    内部酸化層上に厚さ2μm以上のNi,Cu,Moの濃
    化層を有することを特徴とする耐候性および耐疲労特性
    に優れた圧延鋼材。
  2. 【請求項2】 重量%で、C :0.02〜0.20
    %、 Mn:≦0.1%、 Si:≦0.1%、 Cr:≦0.1%、 Al:≦0.1%、 Ti:≦0.1%、 Ni:0.8〜3.0%、 Cu:0.8〜2.0%、 Mo:0.4〜0.7%、 N :0.001〜0.01%、 P :≦0.1%、 S :≦0.006%、 を含有し、かつNi/Cuの濃度比が0.8以上であ
    り、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、更に、
    鋼材表面の内部酸化層が2μm以下で、前記内部酸化層
    上に厚さ2μm以上のNi,Cu,Moの濃化層を有
    し、これらの元素濃度の総量が7.0重量%以上である
    ことを特徴とする耐候性および耐疲労特性に優れた圧延
    鋼材。
  3. 【請求項3】 重量%で、更に、Nb:0.005〜
    0.10%、V:0.01〜0.20%、B:0.00
    03〜0.0030%のいずれか1種または2種以上を
    含有することを特徴とする請求項2記載の耐候性および
    耐疲労特性に優れた圧延鋼材。
  4. 【請求項4】 重量%で、更に、Ca:0.0005〜
    0.0050%、Mg:0.0005〜0.010%、
    REM:0.0005〜0.010%のいずれか1種ま
    たは2種以上を含有することを特徴とする請求項2また
    は3記載の耐候性および耐疲労特性に優れた圧延鋼材。
  5. 【請求項5】 重量%で、C :0.02〜0.20
    %、 Mn:≦0.1%、 Si:≦0.1%、 Cr:≦0.1%、 Al:≦0.1%、 Ti:≦0.1%、 Ni:0.8〜3.0%、 Cu:0.8〜2.0%、 Mo:0.4〜0.7%、 N :0.001〜0.01%、 P :≦0.1%、 S :≦0.006%、 を含有し、かつNi/Cuの濃度比が0.8以上であ
    り、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋳片を1
    100〜1300℃の温度域に再加熱した後に熱延を開
    始し、950℃以下の累積圧下率が40%以上となる圧
    延を行い、900℃以上で熱延を終了し、熱延ままで鋼
    材表面の内部酸化層が2μm以下で、前記内部酸化層上
    に厚さ2μm以上のNi,Cu,Moの濃化層を有し、
    これらの元素濃度の総量が7.0重量%以上であること
    を特徴とする耐候性および耐疲労特性に優れた圧延鋼材
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 重量%で、更に、Nb:0.005〜
    0.10%、V:0.01〜0.20%、B:0.00
    03〜0.0030%のいずれか1種または2種以上を
    含有することを特徴とする請求項4記載の耐候性および
    耐疲労特性に優れた圧延鋼材の製造方法。
  7. 【請求項7】 重量%で、更に、Ca:0.0005〜
    0.0050%、Mg:0.0005〜0.010%、
    REM:0.0005〜0.010%のいずれか1種ま
    たは2種以上を含有することを特徴とする請求項4また
    は5記載の耐候性および耐疲労特性に優れた圧延鋼材の
    製造方法。
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