JPH0641632A - Ni低減型調質鋼の製造方法 - Google Patents

Ni低減型調質鋼の製造方法

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JPH0641632A
JPH0641632A JP19991092A JP19991092A JPH0641632A JP H0641632 A JPH0641632 A JP H0641632A JP 19991092 A JP19991092 A JP 19991092A JP 19991092 A JP19991092 A JP 19991092A JP H0641632 A JPH0641632 A JP H0641632A
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Japan
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less
toughness
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JP19991092A
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Inventor
Daisuke Fujita
大輔 藤田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Ni含有量が1%程度である通常の高張力鋼と
同等の強度、靱性さらには溶接性を有するNi低減型調質
鋼を低コストで製造する。 【構成】 重量%で、C:0.08〜0.18%、Si:0.05〜0.
15%、Mn:0.60〜1.30%、Ni:0.30〜0.70%、Cr:0.50
〜1.00%、Mo:0.10〜0.50%、Nb:0.005 〜0.025 %、
Ti:0.005 〜0.025 %、Mn+Cr+Mo≦2.50%、Cr/Mo≧
1.5 を有し、さらに、溶接割れ感受性指数PCMが0.28
(%) 以下、炭素当量Ceqが0.60 (%) 以下の鋼に、圧
延加熱温度:1150〜1200℃、および圧延仕上げ温度:90
0 ℃以上の条件で熱間圧延を行って冷却し、Ac3 点以上
で焼入れを行った後、Ac1 点以下で焼戻しを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Ni低減型調質鋼の製造
方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、Ni含有量が
1% (以下、本明細書においては特にことわりがない限
り「%」は「重量%」を意味するものとする) 程度であ
る従来の高張力鋼と同等の強度、靱性さらには溶接性を
有するNi低減型調質鋼の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の傾向として、溶接構造物が大型化
するに伴って、その軽量化や部品運搬・組立作業性の向
上さらには各構造部材の薄肉化による溶接施工性の向上
等を目的に、高張力鋼板が多用されるようになってき
た。
【0003】例えば、揚水式発電所における水圧管 (ペ
ンストック) を初めとして、圧力容器、橋梁さらには海
洋構造物等の溶接構造物は年々大型化されており、これ
に伴って、これらの溶接構造物に使用される高張力鋼板
もより一層高強度化されるようになってきた。
【0004】従来よりこの種の高張力鋼板として、例え
ば、(i) 特公昭56−21807 号公報には、C:0.03〜0.07
%、Si:0.05〜0.80%、Mn:0.50〜2.00%、P:0.03%
以下、S:0.03%以下、Mo:0.05〜0.80%、V:0.01〜
0.10%、sol.Al:0.03〜0.10%、N:0.004 〜0.15%、
Nb:0.015 〜0.05%、残部Feおよび不可避的不純物から
なり、かつ式
【0005】
【数3】
【0006】で表されるPCM (溶接割れ感受性指数) が
0.20 (%) 以下である鋼を、圧延加熱温度を1200℃以
上、圧延仕上温度を 900℃以上とし、圧延仕上後(20+
300Nb)℃/min 以上の冷却速度で冷却した後、Ac3 以上
に再加熱して焼入れを行い、さらにAc1 点以下で焼戻す
ことにより、PCM値低減による継手靱性向上効果と、Nb
添加による結晶粒微細化および強度上昇効果とを利用し
て、溶接性に優れたNb含有調質型高張力鋼を製造する方
法が、(ii)特公昭56−33449 号公報には、C:0.05〜0.
3 %、Si:0.10〜1.50%、Mn:0.50〜2.00%、Mo:2.00
%以下、Ni:2.00%以下、Cr:3.00%以下、残部Feおよ
び不可避的不純物からなる鋼において、鋼中N量:0.00
4 〜0.02%、sol.N/sol.Al (酸可溶窒素/酸可溶アル
ミニウム)0.40以上に調整し、AlとNが過飽和に固溶す
る温度以下に冷却した後熱処理を行うことにより、切欠
き靱性に優れた調質鋼を製造する方法が、(iii) 特公昭
57−40891 号公報には、C:0.20%以下、Si:1.0 %以
下、Mn:2.0 %以下、Nb:0.015 〜0.10%、sol.Al:0.
015 〜0.10%、残部Feおよび不可避的不純物から成る鋼
を、1200℃以上に加熱してから一次圧延を行い中間板厚
に達したところで圧延を中断し、Ar1 変態点以下に冷却
し、次いでAc3 変態点より上であって 850〜950 ℃の温
度に加熱した後、仕上板厚に対して65%以上の圧下率で
二次圧延を行い、その際少なくとも 800℃以下において
圧下率の50%以上の圧延を行い、かつ圧延終了温度を 7
50〜680 ℃として二次圧延を終了し、一旦室温または室
温近くまで冷却した後Ac3 点直上に加熱し焼入れ、およ
び焼戻しを行うことにより、低温靱性に優れた調質型高
張力鋼板を製造する方法が、(iv)特公昭57−40892 号公
報には、C:0.10〜0.18%、Si:0.20〜0.70%、Mn:0.
20〜0.45%、P:0.020 %以下、S:0.015 %以下、C
r:0.70〜1.50%、Mo:0.05〜0.50%、V:0.01〜0.10
%、sol.Al:0.010 〜0.10%、必要に応じてNi:0.10〜
0.80%を含み残部は実質的にFeよりなり、かつMnとCrと
の和が1.00〜1.90%、Ceqが0.40〜0.48 (%) の範囲で
ある組成の鋼を、1200℃以上の加熱温度、1050℃以上の
仕上温度で熱間加工を行って厚鋼板とし、該厚鋼板をAc
3 以上の温度から焼入れし、Ac1 点以下の温度で焼戻す
ことにより、Mn適量添加による板厚方向の延性確保とS
低減による圧延条件制御およびFeS の抑制とを図り、板
厚方向の延性が優れた溶接性極厚高張力鋼板を製造する
方法が、さらに(v) 特公平1−25371 号公報には、C:
0.07〜0.15%、Si:0.15%以下、Mn:0.40〜1.20%、N
i:1.00〜3.50%、Cr:0.40〜1.20%、Mo:0.40〜0.80
%、V:0.01〜0.06%、Nb:0.005 〜0.030 %、B:0.
0020%以下、sol.Al:0.01〜0.10%、N:0.0040%以
下、P:0.010 %以下、S:0.003 %以下、残部Feおよ
び不可避的不純物からなり、かつPCMが0.28%以下であ
る鋼を、1050℃以上に加熱した後、熱間圧延を行い、続
いて Ac3変態点〜1050℃の温度域に再加熱した後、焼入
れを行い、次いで Ac1変態点以下で焼戻しを行った後水
冷を行うことにより、Nb添加による結晶粒微細化効果と
Si低減による溶接継手靱性向上効果とを利用して、降伏
点883N/mm2以上、引張強さ951N/mm2以上、衝撃破面遷移
温度−60℃以下の溶接性に優れた調質型高張力厚鋼板を
製造する方法がそれぞれ提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの従来
の方法にはそれぞれ問題があり、通常の高張力鋼と同等
の強度、靱性さらには溶接性を有する調質型高張力鋼を
低コストで製造することはできない。
【0008】(i) 特公昭56−21807 号公報により提案さ
れた方法では、溶接性を確保するためPCMを低下してい
るため、強度を確保することができない。
【0009】(ii)特公昭56−33449 号公報により提案さ
れた方法では、sol.N/sol.Al≧0.40が要求される。例え
ばsol.N:0.0040%のとき、sol.Al≦0.01%以下に管理し
なければならないためコストが上昇する。
【0010】(iii) 特公昭57−40891 号公報により提案
された方法では、圧延加熱温度を1200℃以上としている
ので、高温加熱によりスラブのスケールが多くなり歩留
が低下する問題がある。
【0011】(iv)特公昭57−40892 号公報により提案さ
れた方法では、現実には、Niを0.1 %以上添加するため
にスラブのスケール剥離性が低下するとともに、1200℃
以上の高温域に加熱するためスケール処理が面倒になる
という問題がある。さらに、強度の低下も懸念される。
【0012】(v) 特公平1−25371 号公報により提案さ
れた方法では、強度と靱性とをともに高いレベルで両立
させるためにNiを多量に添加する必要があり、コスト高
になるという問題がある。
【0013】ここに、本発明の目的は、通常の高張力鋼
と同等の強度、靱性さらには溶接性を有する調質型高張
力鋼を低コストで製造することにあり、特公平1−2537
1 号公報により提案された方法により得られる調質鋼の
コスト高の原因であるNiの含有量を抑制し、Ni含有量が
1%程度である通常の高張力鋼と同等の強度、靱性さら
には溶接性を有するNi低減型調質鋼を製造する方法を提
供することにある。強度、靱性、溶接性の具体的な目標
値は、TS:780N/mm2以上、 vTs:−60℃以下、溶接性:
Y割れ停止温度≦100 ℃である。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため鋭意検討を重ねた結果、以下に列記する内
容の極めて重要な知見を得た。 Niを0.70%以下に低減しても、他の組成および製造条
件を適正に選定することにより、HT80クラス(780N/mm2
級) 以上のNi低減型調質鋼を製造することができる。
【0015】組成では、コスト高の原因となるNi含有
量を低減するとともに、Mn含有量、Cr含有量さらにはMo
含有量を適正化することにより、Ni低減による焼入れ性
および低温靱性の劣化を防止できる。
【0016】製造条件では、圧延加熱温度および焼入
れ前加熱温度が重要であり、圧延加熱温度を1150〜1200
℃とすることにより一旦Nbを固溶させ、焼入れ前にAc3
点以上に加熱することにより再度Nbを炭化物または窒化
物として析出させることにより、オーステナイト粒の粗
大化を抑制できる。したがって、強度および靱性に優れ
た鋼板を製造できる。
【0017】したがって、コスト高の原因となるNiの
含有量を抑制でき、また圧延加熱温度の適正化によりNb
およびTiを有効に活用でき、経済的に低温靱性および溶
接性に優れたNi低減型調質鋼を製造できる。
【0018】本発明者は、これらの知見に基づいてさら
に検討を重ね、 I. Ni含有量を、0.30〜0.70%と低減すること、 II. Mn添加量を0.60〜1.30%、Cr添加量を0.50〜1.00
%、Mo添加量を0.10〜0.50%とするとともに、Mn+Cr+
Mo≦2.50%とし、さらにCr/Mo比を1.5 以上とするこ
と、 III. Nb添加量を0.005 〜0.025 %、Ti添加量を0.005
〜0.025 %とするとともに、圧延加熱温度を1150〜1200
℃とし、焼入れ温度をAc3 点以上とすることにより、Nb
の固溶を促進すること、および VI. Si含有量を0.05〜0.15%として低Si化を図ること
により継手靱性を確保することにより、上記課題を解決
できることを知り、本発明を完成した。
【0019】ここに、本発明の要旨とするところは、
C:0.08〜0.18%、Si:0.05〜0.15%、Mn:0.60〜1.30
%、P≦0.03%、S≦0.03%、Ni:0.30〜0.70%、Cr:
0.50〜1.00%、Mo:0.10〜0.50%、Nb:0.005 〜0.025
%、Ti:0.005 〜0.025 %、Mn+Cr+Mo≦2.50%、Cr/
Mo≧1.5 、残部Feおよび不可避的不純物から成る鋼組成
を有し、さらに、
【0020】
【数4】
【0021】で表される溶接割れ感受性指数PCMが0.28
(%) 以下であって、
【0022】
【数5】
【0023】で表される炭素当量Ceqが0.60 (%) 以下
である鋼に、圧延加熱温度:1150〜1200℃、および圧延
仕上げ温度:900 ℃以上の条件で熱間圧延を行って冷却
し、Ac3 点以上で焼入れを行った後、Ac1 点以下で焼戻
しを行うことを特徴とするNi低減型調質鋼の製造方法で
ある。
【0024】上記の本発明において、前記鋼は、さら
に、Cu≦0.50%、B:0.0005〜0.0020%およびV:0.01
〜0.06%からなる群から選ばれた1種または2種以上を
含有してもよい。本発明により得られる鋼は、例えば、
揚水発電所におけるペンストック用鋼板を初めとして、
圧力容器用鋼板や橋梁用鋼板等に適用できる。
【0025】
【作用】以下、本発明を作用効果とともに詳述する。ま
ず、本発明で用いる鋼の組成を上述のように限定する理
由を説明する。
【0026】C:Cは、焼入れ性および強度を確保する
ために添加される。C含有量が0.08%未満であると焼入
れ性および強度がともに不足し、一方C含有量が0.18%
超であると溶接割れおよび低温割れが発生する。そこ
で、本発明では、C含有量は0.08%以上0.18%以下と限
定する。
【0027】Si:Siは、脱酸および強度確保のために添
加される。調質鋼において低Si化を図ると焼入れ性が低
下するものの、母材靱性および強度を劣化させずに溶接
継手靱性を向上させることができ、後述するNi低減によ
る溶接性の低下を補うことができる。Si含有量が0.05%
未満では、脱酸および強度確保を図ることができず、一
方Si含有量が0.15%超であると溶接割れおよび低温割れ
が発生する。そこで、本発明では、Si含有量は0.05%以
上0.15%以下と限定する。
【0028】Mn:Mnは、焼入れ性確保のために添加され
る。Mn含有量が0.60%未満では焼入れ性が不足し、一方
Mn含有量が1.30%超であると溶接性および母材靱性がと
もに劣化する。そこで、本発明では、Mn含有量は0.60%
以上1.30%以下と限定する。
【0029】P、S:P、Sは、焼戻し脆性防止および
靱性向上の観点から、ともに可及的に低減することが望
ましい。しかし、極端に低減することはコスト高とな
り、またP、Sともに0.03%程度までの含有は許容され
る。そこで、本発明では、P含有量、S含有量はそれぞ
れ0.03%以下と限定する。
【0030】Ni:Niは、特公平1−25371 号公報におい
ても開示されているように、焼入れ性確保、強度および
母材靱性向上さらには溶接継手性能向上のために添加さ
れるが、高価であるためにコスト高の原因となる。そこ
で、本発明では、他の添加元素、特にMn、CrおよびMoの
含有量を適正化して十分な靱性および溶接性を確保しな
がら、可及的に低減する。しかし、Ni含有量が0.30%未
満では焼入れ性および靱性がともに不足する。一方、Ni
含有量が0.70%超では効果が飽和し、本発明が目的とす
るコスト低減を図ることができない。そこで、本発明で
は、Ni含有量は0.30%以上0.70%以下と限定する。
【0031】Cr:Crは、焼入れ性確保および強度確保の
ために添加される。Cr含有量が0.50%未満では焼入れ性
および強度がともに不足し、一方1.00%超では溶接性お
よび母材靱性がともに劣化する。そこで、本発明では、
Cr含有量は0.50%以上1.00%以下と限定する。
【0032】Mo:Moは、焼入れ性確保および強度確保の
ために添加される。Mo含有量が0.10%未満では焼入れ性
および強度がともに不足し、一方Mo含有量が0.50%超で
は溶接性および母材靱性がともに劣化する。そこで、本
発明では、Mo含有量は0.10%以上0.50%以下と限定す
る。
【0033】Nb:Nbは、結晶粒の微細化を図るために添
加される。Nbによる結晶粒の微細化により、鋼の表面か
ら中心までの強度および靱性を均一に向上させることが
できるため、低Si化による焼入れ性の低下を補うことが
できる。Nb含有量が0.005 %未満では結晶粒が微細化さ
れず、一方Nb含有量が0.025 %超では溶接性が劣化す
る。そこで、本発明では、Nb含有量は0.005 %以上0.02
5 %以下と限定する。
【0034】Ti:Tiは、継手靱性および熱間圧延性の改
善のために添加される。Ti含有量が0.005 %未満では継
手靱性および熱間圧延性が改善されず、一方Ti含有量が
0.025 %未満では母材靱性が劣化する。そこで、本発明
では、Ti含有量は0.005 %以上0.025 %以下と限定す
る。
【0035】Mn+Cr+Mo:Mn、CrおよびMoの総含有量が
2.50%超であると、低温靱性が低下する。そこで、本発
明では、Mn+Cr+Moは2.50%以下と限定する。下限は1.
50%である。
【0036】Cr/Mo比:CrおよびMoは、前述のようにと
もに焼入れ性を向上させる。Moは焼戻し時の析出硬化の
ために強度を上昇させるが、逆に靱性を劣化させる。靱
性劣化を防止するためにCr/Mo比が1.5 以上となるよう
にCr量を限定する。Cr/Mo比が増加すると若干強度が低
下するものの、靱性が向上し、また焼戻し温度によらず
靱性が安定する。Cr/Mo比が1.5 未満であると焼戻し軟
化抵抗のため、強度が上昇するものの靱性が低下する。
そこで、本発明では、Cr/Mo比は1.5 以上と限定する。
【0037】N:Nは、析出物の粗大化防止のために可
及的に低減することが望ましい。しかし、極端に低減す
ることはコスト高となり、一方0.0060%程度までは許容
される。そこで、本発明では、N含有量は0.0060%以下
と限定することが望ましい。
【0038】上記以外は、Feおよび不可避的不純物であ
るが、さらにこれらの添加元素について、PCM値および
Ceq値を以下のように限定する。 PCM
【0039】
【数6】
【0040】で表されるPCM (溶接割れ感受性指数)
は、溶接時の低温割れ性を示す指数である。PCMが0.28
(%) 超であると、低温割れの発生が著しい。そこで、
本発明では、PCMは0.28 (%) 以下と限定する。 Ceq:
【0041】
【数7】
【0042】で表されるCeq (炭素当量) は0.60 (%)
以下である。Ceqが0.60%超であると溶接性が劣化す
る。そこで、本発明では、Ceqは0.60 (%) 以下と限定
する。
【0043】さらに、本発明では得られる鋼の強度をさ
らに高める場合には、Cu、BおよびVからなる群から選
ばれた一種または二種以上を、それぞれ下記の範囲で含
有してもよい。
【0044】Cu:Cuは、強度および耐食性を向上させる
ため、必要に応じて、0.50%以下添加される。Cu含有量
が0.50%超では熱間加工性、靱性および溶接性が劣化す
るおそれがある。そこで、本発明では、Cuを添加する場
合の含有量は0.50%以下とすることが望ましい。
【0045】B:Bは、焼入れ性および強度の向上のた
め、必要に応じて、0.0005%以上0.0020以下添加され
る。B含有量が0.0005%未満では焼入れ性を確保するこ
とができないおそれがあり、一方0.0020%超では靱性が
劣化するおそれがある。そこで、本発明では、Bを添加
する場合の含有量は0.0005%以上0.0020以下とすること
が望ましい。
【0046】V:Vは、強度の向上のため、必要に応じ
て、0.01%以上0.06%以下添加される。V含有量が0.01
%未満では強度を確保することができないおそれがあ
り、一方V含有量が0.06%超では靱性が劣化するおそれ
がある。そこで、本発明では、Vを添加する場合の含有
量は0.01%以上0.06%以下とすることが望ましい。
【0047】本発明では、以上の組成を有する鋼に、圧
延加熱温度:1150〜1200℃、および圧延仕上げ温度:90
0 ℃以上の条件で熱間圧延を行う。
【0048】圧延加熱温度を1150℃以上1200℃以下に限
定するのは、圧延時には鋼中へNbを固溶させておき、圧
延後の焼入れ加熱時に微細に析出させるためと、加熱し
過ぎた場合に生じるスラブの表面荒れを防止するためで
ある。
【0049】すなわち、本発明が適用の対象とするのは
Ti添加鋼であるため、基本的に継手靱性および熱間圧延
性に優れるため連続鋳造法に適しており、コスト低減の
面で有利な方法である。しかし、鋼へTiを添加するとNb
の固溶が阻害される。そこで、本発明では、Nbの固溶を
確実にするために、圧延加熱温度を1150℃以上と充分な
高温とする。圧延加熱温度が1150℃未満ではNbを十分に
固溶させることができず靱性が不足し、一方1200℃超で
はスラブの表面荒れが発生してしまう。そこで、本発明
では、圧延加熱温度は1150℃以上1200℃以下と限定す
る。
【0050】圧延時の圧下率等の圧延条件は、本発明で
は何ら限定を要さない。製造する鋼板の諸元に応じて適
宜決定すればよい。本発明では、圧延仕上温度は900 ℃
以上と限定する。圧延仕上温度が900 ℃未満であると、
鋼中へのNbの固溶が阻害され、焼入れ時におけるNbの析
出・強度上昇を図ることができなくなるからである。
【0051】このようにして熱間圧延を終了した後、一
旦冷却し、焼入れ焼戻しを施す。焼入れ焼戻しの条件
は、Nbの析出を図るため、焼入れ温度:Ac3 点以上、焼
戻し温度:Ac1 点以下とする。
【0052】以上のように、本発明は、例えば特公平1
−25371 号公報により提案された、Ni含有量が1%程度
である従来の高張力鋼において、Ni含有量を低減するこ
とによりコスト低減を図る。従来の高張力鋼におけるNi
添加の効果、すなわち(a) 焼入れ性の向上、(b) 強度お
よび母材靱性の向上および(c) 溶接継手性能の向上を補
償するため、本発明では、(d) Mn、CrおよびMo含有量の
適正化による焼入れ性の確保、(e) Cr/Mo比の適正化に
よる靱性の向上、(f) 低Si化による溶接継手靱性の向
上、(g) Nbの微量添加による靱性確保および強度向上、
および(h) Tiの添加および圧延条件の適正化による、Nb
による結晶粒微細化および溶接継 手靱性向上を図る。
【0053】さらに、本発明を実施例を参照しながら詳
述するが、これは本発明の例示であり、これにより本発
明が限定されるものではない。
【0054】
【実施例】表1に示す組成、PCM値、Ceq値、Ac1 点お
よびAc3 点を有する鋼に、表2に示す圧延加熱温度、圧
延仕上温度で熱間圧延を行い、200 ℃以下に冷却した
後、再加熱して、表2に示す温度で焼入れ焼戻しを行う
ことにより、試料No.1ないし試料No.20 の調質鋼を製造
した。これらの調質鋼について、YS(N/mm2) 、TS(N/m
m2) およびvTs(℃) を測定した。結果を表2にまとめて
示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】表2から、本発明の条件を満足する試料(N
o.1 〜No.11)は、強度および靱性に優れ、さらにPCM
が0.28以下であったことから溶接性にも優れていた。し
たがって、例えば、揚水発電所におけるペンストック用
鋼板を初めとして、圧力容器用鋼板や橋梁用鋼板等に使
用するのに好適である。
【0058】適用できる。
【0059】これに対し、試料No12は、圧延加熱温度は
本発明の範囲の下限を下回っているため、圧延時におけ
るNbの固溶を充分に行うことができず、焼入れ焼戻し後
の靱性が不足した。試料No.13 は、Cr/Mo が本発明の範
囲の下限を下回っているため、焼戻し軟化抵抗のため、
強度が上昇するものの靱性が低下した。
【0060】試料No.14 は、C含有量が本発明の範囲の
上限を上回っているため、溶接割れおよび低温割れが発
生した。試料No.15 は、C含有量が本発明の範囲の下限
を下回っているため、強度が不足した。試料No.16 は、
Ni含有量が本発明の範囲の下限を下回っているため、靱
性が不足した。
【0061】試料No.17 は、Cr含有量が本発明の範囲の
下限を下回っているため、強度が不足した。試料No.18
は、Nb含有量が本発明の範囲の下限を下回っているた
め、結晶粒が微細化されず、靱性が不足した。試料No.1
9 は、Ti含有量が本発明の範囲の下限を下回っているた
め、靱性が不足した。
【0062】試料No.20 は、圧延加熱温度が本発明の範
囲の上限を上回っているため、発生したスケールにより
スラブに表面荒れが発生した。なお、図1には、試料N
o.5、7 および13について、Cr/Moを変化させた場合に
おける、引張強さと靱性との関係をグラフで示す。同図
から、Cr/Mo 1.7 以上と大きくなると、TS:780N/mm2
上であって、vTs :−60℃以下となることがわかる。
【0063】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明により、Ni
含有量が1%程度である通常の高張力鋼と同等の強度、
靱性さらには溶接性を有するNi低減型調質鋼を低コスト
で製造することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例において、Cr/Moを変化させた場合に
おける、引張強さと靱性との関係を示すグラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年8月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】削除

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C:0.08〜0.18%、Si:0.05〜0.15%、Mn:0.60〜1.30
    %、P≦0.03%、 S≦0.03%、Ni:0.30〜0.70%、Cr:0.50〜1.00%、M
    o:0.10〜0.50%、 Nb:0.005 〜0.025 %、Ti:0.005 〜0.025 %、 Mn+Cr+Mo≦2.50%、Cr/Mo≧1.5 、 残部Feおよび不可避的不純物から成る鋼組成を有し、さ
    らに、 【数1】 で表される溶接割れ感受性指数PCMが0.28 (%) 以下で
    あって、 【数2】 で表される炭素当量Ceqが0.60 (%) 以下である鋼に、
    圧延加熱温度:1150〜1200℃、および圧延仕上げ温度:
    900 ℃以上の条件で熱間圧延を行って冷却し、Ac3 点以
    上で焼入れを行った後、Ac1 点以下で焼戻しを行うこと
    を特徴とするNi低減型調質鋼の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記鋼は、さらに、Cu≦0.50%、B:0.
    0005〜0.0020%およびV:0.01〜0.06%からなる群から
    選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とす
    る請求項1記載のNi低減型調質鋼の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103290339A (zh) * 2013-06-29 2013-09-11 首钢总公司 800MPa级水电站压力管道用高强钢板及生产方法
CN112501395A (zh) * 2020-11-16 2021-03-16 新兴铸管股份有限公司 一种合金钢40Cr热处理方法

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