JPH111728A - チタンの精製法及びチタンの精製装置 - Google Patents

チタンの精製法及びチタンの精製装置

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JPH111728A
JPH111728A JP16352897A JP16352897A JPH111728A JP H111728 A JPH111728 A JP H111728A JP 16352897 A JP16352897 A JP 16352897A JP 16352897 A JP16352897 A JP 16352897A JP H111728 A JPH111728 A JP H111728A
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titanium
chamber
reaction
vapor
chloride
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JP16352897A
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Shigenori Okudaira
成教 奥平
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、低級塩化チタンを中
間体として、粗チタンから精製チタンを得るに至る一貫
した体系化した技術を得ることであり、従来法に比べよ
り高生産性で、かつより低原価のチタンの精製法及びチ
タンの精製装置を提供する。 【解決手段】 反応関与物質と不活性ガスを除くすべ
ての気体が排除された雰囲気中で原料粗チタンとプロセ
ス外から供給される四塩化チタンとを高温において反応
させ、低級塩化チタンを得た後、この低級塩化チタンを
熱分解して精製チタンを製造する方法である。気密の反
応容器内において、所定温度・圧力・所定平衡系で低級
塩化チタンを生成する生成工程、低級塩化チタンから四
塩化チタンを蒸気として分離する分離工程及び低級塩化
チタンを熱分解する熱分解工程から成るプロセスで構成
され、プロセス全体としての総合的な物量収支としては
プロセス外から生成工程に供給された四塩化チタンに相
当する量の四塩化チタンを分離工程から排出し、プロセ
ス内では生成工程で反応消費した粗チタンに相当する量
の精製チタンを熱分解工程で得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は低級塩化チタンの生成及
び熱分解によるチタンの精製法及びチタンの精製装置に
係り、特に低級塩化チタンを中間体とするチタンの精製
法及びチタンの精製装置に関する。
【0002】
【従来の技術】チタンの精製法として、例えば半導体デ
バイス製造用ターゲット材等の高純度チタンの工業的生
産に実用されている技術には、溶融塩電解法と沃度法が
知られており、何れも99.9999wt%程度の高純
度の製品が得られる極めて精製効率の高い技術である
[例えば特開平2−213490号公報、特開平3−2
13490号公報、特開平3−215633号公報、特
開平6−173065号公報、特開平7−252551
号公報等]。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記溶融塩電解法は高
温の溶融塩の中で電解を行うもので、設備規模に対する
生産量が小さく、また浴中に粉粒状で析出する製品を取
り出す際、浴が随伴する等生産性が低く、従ってコスト
は高いという不都合がある。
【0004】また沃度法は古くから知られた方法であ
り、近年改良が行われたが、なお1100〜1300℃
の高温と10-3〜10-1Torrの真空を要し、製品の
形状、生産設備の規模に制約があり、前者同様に生産効
率が低くコストは高いという不都合がある。
【0005】本発明の低級塩化チタンを中間体とする精
製法に類する技術で、工業的に実用化されたものは、発
明者の知る限りでは知見することができない。
【0006】また文献上では、例えば特開昭47−23
308号公報、特開昭47−22814号公報、特開昭
47−42515号公報で、二塩化チタンより金属チタ
ンを製造する技術が提供されている。
【0007】しかし、いずれも粗チタンから低級塩化チ
タンを経て精製チタンを得るまでの一貫した体系化され
た技術を開示するものではない。
【0008】本発明の目的は、低級塩化チタンを中間体
として、粗チタンから精製チタンを得るに至る一貫した
体系化した技術を得ることであり、従来法に比べより高
生産性で、かつより低原価のチタンの精製法及びチタン
の精製装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
チタンの精製法であって、反応関与物質即ち四塩化チタ
ン、三塩化チタン、二塩化チタン及びチタンを除くすべ
ての気体が排除された雰囲気中、または反応関与物質と
不活性ガスを除くすべての気体が排除された雰囲気中で
原料粗チタンとプロセス外から供給される四塩化チタン
とを高温において反応させ、低級塩化チタンを得た後、
該低級塩化チタンを熱分解して精製チタンを製造する方
法であって、気密の反応容器内において、低級塩化チタ
ンを生成する生成工程、低級塩化チタンから四塩化チタ
ンを分離する分離工程及び低級塩化チタンを熱分解する
熱分解工程から成るプロセスを構成し、前記生成工程で
は、チタンと四塩化チタンとが反応した結果形成される
諸不均一気相平衡系のうち固相としてチタンのみが安定
に存在しうる平衡系、即ち次の2平衡;
【化1】
【化2】により表される平衡系が形成されるべき温度及
び反応関与物質の蒸気の和として規定される圧力の領域
内から選定される温度及び圧力の下において、前記平衡
に略到達するまで充分に反応させて得られる低級塩化チ
タン蒸気及び四塩化チタン蒸気から成る混合蒸気を生成
させ、前記分離工程では、前記混合蒸気を冷却すること
により、混合蒸気中の低級塩化チタンは固体として、四
塩化チタンは蒸気として、相互に分離させ、前記四塩化
チタン蒸気はプロセス外に排出し、前記熱分解工程では
前記分離工程において得られた低級塩化チタン固体を前
記固相としてチタンのみが安定に存在しうる平衡系が形
成されるべき温度及び圧力の領域内から選定される温度
及び圧力の下に置くことにより、次の熱分解反応;
【化3】
【化4】を行わせ、精製チタンを得ると共に、この反応
に随伴して不可避的に形成される前記2平衡:
【化1】
【化2】により発生する低級塩化チタン蒸気及び四塩化
チタン蒸気から成る混合蒸気を前記生成工程で生成した
混合蒸気同様に分離工程で再び冷却し、低級塩化チタン
固体と四塩化チタン蒸気を分離し、前記四塩化チタンは
プロセス外に排出し前記低級塩化チタン固体は熱分解工
程で再び熱分解するという操作を繰返すことにより、両
工程の総合的な物量収支として生成工程から供給された
低級塩化チタンの殆んどすべてを、次の2反応;
【化5】
【化6】にしたがって、定量的に精製チタンと四塩化チ
タンとに変換し、プロセス全体としての総合的な物量収
支としてはプロセス外から生成工程に供給された四塩化
チタンに相当する量の四塩化チタンを前記分離工程から
排出し、プロセス内では生成工程で反応消費した粗チタ
ンに相当する量の精製チタンを熱分解工程で得ることを
特徴とする。
【0010】請求項2に係る発明は、チタンの精製法で
あって、反応関与物質を除くすべての気体が排除された
雰囲気中または反応関与物質と不活性ガスとを除くすべ
ての気体が排除された雰囲気中で原料粗チタンとプロセ
ス外から供給される四塩化チタンとを高温において反応
させ、低級塩化チタンを得た後、該低級塩化チタンを熱
分解して精製チタンを製造する方法であって、気密の反
応容器内において、低級塩化チタンを生成する生成工
程、低級塩化チタンから四塩化チタンを分離する分離工
程及び低級塩化チタンを熱分解する熱分解工程から成る
プロセスを構成し、これら3工程の運転を同時併行的に
行い、前記生成工程では、チタンと四塩化チタンとが反
応した結果形成される諸不均一気相平衡系のうち固相と
してチタンのみが安定に存在しうる平衡系、即ち次の2
平衡;
【化1】
【化2】により表される平衡系が形成されるべき温度及
び反応関与物質の蒸気の分圧の和として規定される圧力
の領域内から選定される温度及び圧力の下において、前
記平衡に略到達するまで充分に反応させて得られる低級
塩化チタン蒸気及び四塩化チタン蒸気から成る混合蒸気
を生成させ、該混合蒸気を前記分離工程を移送すると同
時に、前記熱分解工程では前記分離工程から供給される
低級塩化チタン固体を前記固相としてチタンのみが安定
に存在しうる平衡系が形成されるべき温度及び圧力の領
域内から選定される温度及び圧力の下に置くことによ
り、次の熱分解反応;
【化3】
【化4】を行わせ、精製チタンを得ると共に、この反応
に随伴して不可避的に形成される前記2平衡;
【化1】
【化2】により発生する低級塩化チタン蒸気及び四塩化
チタン蒸気から成る混合蒸気を前記分離工程へ移送する
と同時に、前記分離工程では、生成工程から移送される
混合蒸気及び熱分解工程から移送される前記混合蒸気を
併合して冷却することにより、両混合蒸気中の低級塩化
チタンは固体として、四塩化チタンは蒸気として、相互
に分離させ、前記低級塩化チタン固体は、前記熱分解工
程へ供給し、前記四塩化チタン蒸気はプロセス外に排出
し、前記分離工程と前記熱分解工程との間において、相
互に行われる低級塩化チタン固体、熱分解混合蒸気の授
受を繰返し行うことにより、両工程の総合的な物量収支
として生成工程から供給された低級塩化チタンの殆んど
すべてを、次の2反応;
【化5】
【化6】にしたがって、定量的に精製チタンと四塩化チ
タンとに変換し、プロセス全体としての総合的な物量収
支としてはプロセス外から生成工程に供給された四塩化
チタンに相当する量の四塩化チタンを前記分離工程から
排出し、プロセス内では生成工程で反応消費した粗チタ
ンに相当する量の精製チタンを前記熱分解工程に生成蓄
積することを特徴とする。
【0011】請求項3に係る発明は、請求項1または2
記載のチタンの精製法であって、前記熱分解工程におい
て、熱分解反応が行われる雰囲気に不活性ガスをプロセ
ス外から供給し、前記不活性ガスを熱分解工程で発生す
る混合蒸気と共に分離工程へ排出し、更に前記不活性ガ
スを分離工程における低級塩化チタンから分離した四塩
化チタン蒸気と共にプロセス外へ排出する工程を有する
ことを特徴とする。
【0012】請求項4に係る発明は、請求項1、2、3
いずれか記載のチタン精製法であって、チタンと四塩化
チタンとが反応した結果形成される諸不均一気相平衡系
のうち固相としてチタンのみが安定に存在しうる平衡
系、即ち次の2平衡;
【化1】
【化2】により表される平衡系が形成されるべき温度及
び圧力の領域として、特に次の2式;
【化7】
【化8】を共に満足する温度t〔℃〕と反応関与物質の
蒸気の分圧の和として規定される圧力P〔Torr〕と
で示される領域内から選定される温度及び圧力の下にお
いて、生成工程及び熱分解工程を実施することを特徴と
する。
【0013】請求項5に係る発明は、低級塩化チタンの
生成及び熱分解によるチタンの精製装置であって、気密
の耐熱性反応容器内に、生成工程を行う生成室と、熱分
解工程を行う熱分解室と、分離工程を行う分離室を下方
から上方に向って生成室、熱分解室、分離室の順に配置
し、前記生成室と前記分離室との間に生成室で発生する
混合蒸気を生成室から分離室へ移送するための連通路を
形成し、前記熱分解室と分離室との間には、熱分解室で
発生する混合蒸気及び低級塩化チタン固体が互いに移送
可能な開口が形成され、前記分離室には該分離室内に固
化析出した低級塩化チタン固体をかき取り、熱分解室側
へ移送させるためのスクレーパーを形成してなることを
特徴とする。
【0014】請求項6に係る発明は、請求項5記載のチ
タンの精製装置であって、前記生成室と前記分離室との
間に生成室で発生する混合蒸気を生成室から分離室へ移
送するための連通路は、前記熱分解室を通過して形成さ
れていることを特徴とする。
【0015】請求項7に係る発明は、低級塩化チタンの
生成及び熱分解によるチタンの精製装置であって、加熱
炉内に設置される真空排気用管路が連結された気密の耐
熱性反応容器内に、生成工程を行う生成室と、熱分解工
程を行う熱分解室と、分離工程を行う分離室を下方から
上方に向って生成室、熱分解室、分離室の順に配置して
なるチタンの精製装置であって、前記生成室は四塩化チ
タン供給用管路と連結され、該生成室と前記分離室との
間に生成室で発生する混合蒸気を塩化室から分離室へ移
送するための連通路を形成し、前記熱分解室と分離室と
の間には、熱分解室で発生する混合蒸気及び低級塩化チ
タン固体が互いに移送可能な開口が形成され、前記分離
室には該分離室内に固化析出した低級塩化チタン固体を
かき取り、熱分解室側へ移送するためのスクレーパーが
形成され、前記分離室は分離室内に存在する四塩化チタ
ンを反応容器外に排出するための四塩化チタン排出用管
路と連結されてなることを特徴とする。
【0016】請求項8に係る発明は、請求項7記載のチ
タンの精製装置であって、前記熱分解室は底部及び側壁
に開口がなく、熱分解室と分離室との間に熱分解室で発
生する混合蒸気及び低級塩化チタン固体が互いに移送可
能な開口のみが形成され、不活性ガスを装置外部より熱
分解室内部へ供給するための不活性ガス供給用管路が形
成され、生成室で発生する混合蒸気を熱分解室を通過す
ることなく、生成室から分離室へ移送するための連絡通
路を形成されたことを特徴とする。
【0017】請求項9に係る発明は、チタンの精製装置
であって、水平に置かれた管状の反応管内の、反応管の
左右の端部に近い位置にそれぞれ左生成室と右生成室と
を設け、この両生成室に挟まれた空間であって、反応管
の長さ方向中心の左右の部分にそれぞれ左精製室と右精
製室を設け、反応管の左右の端部に連結された二つのガ
ス出入管と、該それぞれのガス出入管にバルブを介して
連結された二つの液溜と、該それぞれの液溜とバルブを
介して管路により連結されたコールドトラップと、該コ
ールドトラップとバルブを介して連結された真空ポンプ
と、前記液溜の一方に連結された四塩化チタン注入口
と、該四塩化チタン注入口が連結された液溜と異なる液
溜と連結される管路にバルブを介して連結された不活性
ガス供給管と、前記反応管の外周に配置された移動可能
な加熱装置とを備え、前記反応管内を流れる気流を、一
定期間ごとに逆転させて構成したことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】請求項1に係る発明であるチタン
の精製法は、反応関与物質即ち四塩化チタン、三塩化チ
タン、二塩化チタン及びチタンを除くすべての気体が排
除された雰囲気中、または反応関与物質と不活性ガスを
除くすべての気体が排除された雰囲気中で、原料粗チタ
ンと四塩化チタンとを高温において反応させ、低級塩化
チタンを得た後、該低級塩化チタンを熱分解して精製チ
タンを製造する方法である。この製造法は、気密の反応
容器内において、生成工程、分離工程及び熱分解工程か
ら成るプロセスを構成している。
【0019】生成工程では、チタンと四塩化チタンとが
反応した結果形成される諸不均一気相平衡系のうち固相
としてチタンのみが安定に存在しうる平衡系、即ち次の
2平衡;
【化1】
【化2】により表される平衡系が形成されるべき温度及
び反応関与物質の蒸気の分圧の和として規定される圧力
即ち雰囲気内に反応関与物質のみが存在する場合は雰囲
気の全圧、雰囲気内に反応関与物質と不活性ガスが存在
する場合は雰囲気の全圧から不活性ガスの分圧を差し引
いた圧力の領域内から選定される温度及び圧力の下にお
いて、前記平衡に略到達するまで充分に反応させて得ら
れる低級塩化チタン蒸気及び四塩化チタン蒸気から成る
混合蒸気を生成させ、該混合蒸気を前記分離工程へ移送
する。
【0020】この生成工程における平衡式;
【化1】
【化2】は、詳細には次の3式;
【化9】
【化10】
【化11】 で示される平衡が共存して形成される系であって、固相
としてはチタンのみが安定に存在しうる系である。(従
って上記平衡系の気相部分には四塩化チタン蒸気、低級
塩化チタン蒸気の他にチタン蒸気も存在する。この存在
は理論的には無視できないが、量的には他の蒸気に比べ
無視できる程に小であるので、本明細書の記述において
は必要なき限り省略する。)
【0021】この系の温度、圧力条件が変ると二塩化チ
タン(固相)のみが安定に存在しうる系、即ち;
【化9】に代えて;
【化12】 と前記
【化10】
【化11】とで示される平衡が共存して形成される系、
または同様に三塩化チタン(固相)のみが安定に存在す
る系が形成される。
【0022】熱分解工程も生成工程と同じく前記のチタ
ン(固相)のみが安定に存在しうる系の領域における温
度圧力条件下において、反応を進行させることとなる
が、生成工程では;
【化1】
【化2】の左辺から右辺に向かう反応が行われ、熱分解
工程では;
【化3】
【化4】で示される反応が行われる。
【0023】図2にチタン(固相)、二塩化チタン(固
相)または三塩化チタン(固相)のみがそれぞれ安定に
存在しうる系の領域S0、S2またはS3を示す。線L02
またはL23はそれぞれS0とS2またはS2とS3の境界線
である。平衡3及び4が形成される条件は境界線L02
右下の領域S0内の任意の点によって示される温度と圧
力の組合せで示され、境界線L02の位置は化学平衡論の
示すところにより一般に近似式;
【化13】 で示され、従って領域S0の範囲は
【化14】 で示されるので、その具体的な位置は;
【化13】
【化14】中のA、Bに具体的数値を代入すれば定めら
れる。しかしこの数値については多くの研究者の測定値
があるが良い一致を見ていない。本発明者は多くの実験
を重ねた結果、真のS0よりも稍狭い範囲とはなるが、
平衡式;
【化1】
【化2】が確実に形成できる条件として、A=20.1
58、B=21859、即ち、
【化8】を満足する温度t[℃]、反応関与物質の蒸気
の分圧の和として規定される圧力P[Torr]の組合
わせ条件を提案するものであり、これを請求項4に記載
した。L23については、本発明と無関係であるため、図
2には正確な位置ではなくL02との定性的な相対関係の
みを記載した。
【0024】生成工程では系S0の条件下において四塩
化チタン蒸気が送り込まれるためまず平衡式;
【化10】の、左辺から右辺へ向う反応が進行し、従っ
てチタン(気相)が減少、二塩化チタン(気相)が増加
するため、平衡式;
【化9】
【化11】の左辺から右辺に向う反応が進行する結果と
して最終的には平衡が成立する。従って平衡に達した状
態において、生成した低級塩化チタン蒸気の他に四塩化
チタン蒸気も残存し、これらの混合蒸気が分離工程へ排
出される。
【0025】生成工程を系S0の条件下に置く理由は生
成低級塩化チタンが全量蒸気となるため移送が容易であ
ること、若し系S2またはS3に置かれた場合、生成する
低級塩化チタンは蒸気としてのみでなく固体として存在
しうるからチタンの表面が低級塩化チタンで覆われ反応
速度が低下したり、反応が平衡に達せず、生成工程から
排出される混合蒸気中の四塩化チタン及び三塩化チタン
分が増加するため、分離工程及び熱分解工程の収率を低
下し、また極端な場合反応に関与する蒸気の流路を閉塞
するような障害を起すこと等による。
【0026】熱分解工程では前記分離工程から供給され
る低級塩化チタン固体を前記固相としてはチタンのみが
安定に存在しうる平衡系が形成されるべき温度及び圧力
の領域内から選定される温度及び圧力の下に置くことに
より、次の熱分解反応;
【化3】
【化4】を行わせ、この反応に随伴して不可避的に形成
される前記2平衡;
【化1】
【化2】によって低級塩化チタン蒸気及び四塩化チタン
蒸気から成る混合蒸気が発生するので、該混合蒸気を前
記分離工程へ供給する。
【0027】更に詳しく述べれば熱分解工程では、分離
工程より低級塩化チタン(固相)が供給されて系S0
条件即ちチタン(固相)のみが安定に存在し低級塩化チ
タン(固相)は安定に存在し得ない条件下に置かれるか
ら直ちに;
【化3】
【化4】で示される熱分解反応を起しチタン(固相)と
四塩化チタン(気相)を発生し、四塩化チタン(気相)
が増加するため、平衡式;
【化10】
【化11】は左辺より右辺に移動し四塩化チタン(気
相)、三塩化チタン(気相)及び二塩化チタン(気相)
から成る混合蒸気が形成され、分離工程へ排出される。
【0028】ここで重要なことは、熱分解工程において
は、チタン(固相)の上の気相部分では四塩化チタン、
低級塩化チタン及びチタンの混合蒸気が互に;
【化10】
【化11】で示される平衡を保ちこの気相部分と生成し
たチタン(固相)とも
【化9】に従う平衡を保持していることであり、従って
従来技術で示されるような生成したチタン固相が平衡
式;
【化9】
【化10】
【化11】が形成される状態を超えて逆反応を起し、消
失するようなことはない。しかし分離工程で低級塩化チ
タンから分離された後の前記混合蒸気よりも濃度の高い
四塩化チタン蒸気が対流などで逆流し熱分解工程へ流入
した場合は必ず逆反応が起り精製チタンは元の低級塩化
チタンとなるので好ましくない。
【0029】生成工程で発生する混合蒸気は、少くとも
生成工程の温度が熱分解工程の温度より高い限り熱分解
工程に流入しても、または熱分解工程を経由して分離工
程へ移送されても問題ない。この場合、生成工程で発生
する混合蒸気は熱分解工程で発生する混合蒸気より還元
性に富むからである。
【0030】そしてここで重要なことは熱分解、分離の
両工程を組合せ低級塩化チタンの授受を繰返し行うこと
により総合収支として低級塩化チタンを略定量的にチタ
ンと四塩化チタンとに分解することにある。
【0031】分離工程では、生成工程で発生する混合蒸
気及び熱分解工程で発生する混合蒸気を約150℃から
600℃程度の温度範囲まで冷却することにより、両混
合蒸気中の低級塩化チタンは固体として、四塩化チタン
は蒸気として、相互に分離させる。そして低級塩化チタ
ン固体は、熱分解工程へ供給し、四塩化チタン蒸気はプ
ロセス外に排出する。
【0032】分離工程と熱分解工程との間において、相
互に行われる低級塩化チタン固体、熱分解混合蒸気の授
受を繰返し行うことにより、両工程の総合的な物量収支
として生成工程から供給された低級塩化チタンの殆んど
すべてを、次の2反応;
【化5】
【化6】にしたがって、定量的に精製チタンと四塩化チ
タンに変換する。
【0033】そしてプロセス全体としての総合的な物量
収支としては、プロセス外から生成工程に供給された四
塩化チタンに相当する量の四塩化チタンを分離工程から
排出し、プロセス内では生成工程で反応消費した粗チタ
ンに相当する量の精製チタンを熱分解工程に生成蓄積す
る。
【0034】以上のような発明をするに当って、本発明
者は条件を種々変更して試験・実験を行いかつ理論的な
考察を行った結果、低級塩化チタンの熱分解における精
製チタンの収率は、前記S0系の範囲内の温度、圧力条
件下において低温、低圧が良いが反応速度は当然低温、
低圧で遅くなり、工業的・経済的に要求される反応速度
を得るためには;
【化7】で示されるとおり、少くとも750℃以上が必
要であることを見出した。
【0035】このような良好な温度、圧力条件の下にお
ける1回の熱分解反応においても、低級塩化チタンの熱
分解率は40%程度で実用的な値ではないが、例えばこ
れを7回繰返せば{1−(1−0.4)7}×100≒
97%が熱分解されることとなり、充分に実用的な値と
なることも見出した。
【0036】本発明によるチタンの精製法は、粗チタン
中に含まれる不純分のうち、塩素との親和力がチタンよ
り小なる不純分は生成工程における粗チタンと四塩化チ
タンとの反応の際反応せずに生成工程で発生する混合蒸
気から分離され、塩素との親和力がチタンより大なる不
純分は、生成工程においてチタンと同様に反応して塩化
物となり、その大部分は生成工程で発生する混合蒸気に
随伴して挙動するが、熱分解工程において、低級塩化チ
タンが熱分解されて精製チタンを生成する際には、熱分
解しないため精製チタンから分離される。従って塩素に
対する親和力がチタンより小なる不純分も大なる不純分
も精製チタンから除かれることになる。
【0037】これは溶融塩電解法において電溶圧がチタ
ンより小なる不純分は、粗チタンを陽極として電解浴中
へ溶出させる際に溶出せず、電溶圧がチタンより大なる
不純分は陽極においてチタンと共に溶出するが、陰極に
おいてチタンが析出する際には析出しないと同様の精製
原理であり、溶融塩電解においては、精製チタンの電解
浴自体または浴を介しての装置及び不溶残渣による汚染
が問題となるが、本発明の場合、このような浴は不要で
この問題がない。
【0038】また本発明の場合、生成工程において粉粒
状の粗チタンを積層状に配置し、その底部から上部へ四
塩化チタンを通過させることにより、いわゆるカラム効
果により、四塩化チタン中の不純分を除くことができ
る。またチタン中の不純分によって生ずる反応残渣によ
る精製チタンの汚染も防ぐことができる。
【0039】以上のように本発明では、精製効果の高い
チタン精製が容易に実施できる。また構造が簡単な単一
容器内で全プロセスを実施することができて、設備規模
拡大上の制約もないので一度に大容量の精製が可能であ
り、生産量当りの設備費は安価で、設備面積または容積
当りの生産量即ち設備生産性が極めて高い。また温度、
圧力等の運転条件は実現容易な範囲であり、設備材質等
の制約も厳しくなく、運転に伴う物量損失は少なく、運
転操作は簡易で労務工数も低いという顕著な作用効果を
奏することができる。
【0040】
【実施例】次に図1によって本発明の製造方法の一例を
説明する。本例では、図1で示すように、電気炉8に中
に円筒状反応容器1が配設されており、この円筒状反応
容器1の上面には反応容器蓋5が設けられている。この
反応容器蓋5の底から立ち上るように、管状部を設けて
おり、この管状部を分離工程を実施する分離室6として
いる。この分離室6には、分離室6の内壁面に析出した
低級塩化チタンをかきとるスクレーパー7を装着してい
る。
【0041】本例の円筒状反応容器1の下半部を生成工
程を実施する生成室2として用いている。そして、生成
室2内に粗チタン粒16を層状に充填し上半部を熱分解
工程を実施する熱分解室3として用いている。この熱分
解室3には、熱分解容器4が設置されている。以上の装
置の構造材としては汎用的な鉄、ステンレス鋼等を用
い、反応関与物質と接触する部分はこれ等構造材表面を
チタンでライニングし、またはチタン自体を用いる。ま
た、四塩化チタン供給管9、生成室2及び反応関与物質
の蒸気のみが接触する部分はチタンに代えて、チタンよ
りも塩素との親和性の低い材質、例えばニッケルのライ
ニングまたはニッケル自体を用いることができる。
【0042】円筒状反応容器1を囲む電気炉8の電熱線
は上下方向に数分割され、また、反応容器蓋5の底部に
も電熱線が設置されている。そして、電気炉8の電熱線
によって生成室2、及び熱分解室3を所定の温度に保持
する。分離室6の外壁は熱媒体により適温まで冷却す
る。また本例では、製造装置の各部、特にフランジ部な
どの局所は四塩化チタン蒸気が凝縮しないように保温し
ている。
【0043】四塩化チタン蒸気を円筒状反応容器1の底
部に取りつけられた四塩化チタン供給管9から生成室2
に連続的に一定流量で供給し、分離室6から四塩化チタ
ン排出管10を通って排出される四塩化チタン蒸気の流
量を調節することにより装置内部を所定の圧力に保持す
る。
【0044】生成室2に供給された四塩化チタン蒸気
は、粗チタン片16の間隙を通過しつつ粗チタンと反応
し粗チタン粒充填層の上面に達するまでに平衡に達した
混合蒸気となる。この混合蒸気は円筒状反応容器1の内
壁と熱分解容器4の外壁との間隙11及び熱分解容器4
の底部の多数の小孔12を流路として分離室6内に供給
され、分離室6内で冷却されて含有する低級塩化チタン
を内壁面に析出し、蒸気のまま残った四塩化チタンは四
塩化チタン排出管10より器外へ排出する。
【0045】分離室6内壁に析出した低級塩化チタンは
スクレーパー7によって連続的にかき取られ下方の熱分
解室3へ落下する。
【0046】熱分解室3においては、分離室6から連続
的に落下する低級塩化物が熱分解して精製チタン17が
生成されると共に、この反応に随伴して不可避的に発生
する低級塩化チタン蒸気及び四塩化チタン蒸気から成る
混合蒸気が連続的に発生する。この混合蒸気は生成工程
で生成した混合蒸気と共に分離室6に供給され、連続的
に低級塩化チタンを析出し残留四塩化チタン蒸気は器外
へ連続的に排出される。
【0047】以上の連続運転は、分離室6と熱分解室3
との低級塩化チタンの授受が繰返し連続的に行われる過
程において、熱分解によって低級塩化物が消費される速
度に相当する速度で生成工程よりの低級塩化チタンを補
給することによって定常化される。
【0048】これは分離室6からプロセス外に排出され
る四塩化チタン流量に等しい流量で生成室2への四塩化
チタン供給を行うことによって達成され、この場合、例
えば低級塩化チタンが二塩化チタン1モルに対し三塩化
チタン0.2モルの組成である場合精製チタンは四塩化
チタンの供給量または排出量1モルに対し約0.5モル
強が生成され熱分解室3に蓄積されることとなる。
【0049】以上のように、本発明によれば、精製効果
の高いチタン精製が容易に実施でき、構造簡単な単一容
器内で全プロセスを実施することができ、設備規模拡大
上の制約もないので一度に大容量の精製が可能であり、
従って生産量当りの設備費は安価となる。また例えばK
roll法のコマーシャルチタン製錬用還元または分離
設備を若干改造することにより本発明の実施に転用する
こともできる。このように設備面積または容積当りの生
産量即ち設備生産性が極めて高い。
【0050】さらに温度、圧力等の運転条件は実現容易
な範囲であり設備材質等の制約も厳しくなく、製法の装
置運転に伴う物量損失は少なく、運転操作は簡易で労務
工数も低い。以上の利点により高生産性、低原価で高純
度のチタン精製を行うことができる。
【0051】
【実施例1】図1においてステンレス鋼製円筒状反応容
器1の内径約16cm、生成室2の高さ約40cm、熱
分解室3の高さ約60cm、チタン製熱分解容器4の外
径約14cm高さ55cm、分離室6の内径約8.5c
m高さ約100cmで円筒状反応容器1の胴部内壁(底
部を除く)、反応容器蓋5の反応蒸気に接する側の壁及
び分離室6内壁にはチタン板をライニングした装置を使
用した。
【0052】本例における分離室6内のスクレーパー7
は、直径約2cmのチタン製シャフトと、このシャフト
の先端部に直角に取り付けた直径約1cm長さ8.5c
m弱のチタン製の棒状の内壁かきとり羽根14とから構
成されており、スクレーパー7を回転と同時に上下運
動、即ち螺旋運動させて、内壁かきとり羽根14の先端
を内壁面と摺動させることにより分離室6の内壁に析出
する低級塩化チタンを全面的にかきとる。
【0053】同時にスクレーパー7の螺旋運動の上限に
おける内壁かきとり羽根の位置の直上に、内壁に対し内
壁の直径方向に取りつけた直径約1cm長さ3cm強の
2ヶのチタン製チップ即ちシャフトかきとり羽根15の
先端がスクレーパーの螺旋運動に伴いシャフト表面と摺
動することによりシャフトに析出する低級塩化チタンを
かきとる機構を採用している。
【0054】生成室2内には、市販のコマーシャルスポ
ンジチタン10kgを挿入した。円筒状反応容器1の内
部を排気管13を介して真空ポンプで約10-3Torr
まで排気し、生成室2の底面から上方30cmまでの外
壁温度を約960℃、熱分解室3の底面の上方10cm
より上端までの外壁温度及び反応容器蓋5の底面温度を
約940℃に保持し、分離室6の外壁に巻いた熱媒体パ
イプに150℃の熱媒体を流し、また装置局所のすべて
を150℃以上に保持した。
【0055】四塩化チタン供給管9から四塩化チタン液
を400g/hrの一定流量で生成室2に供給した(四塩化
チタンを定量供給するには液体の方が容易であり、供給
された液は生成室2で反応するまでに気化するから蒸気
で供給したのと本質的に同じである。)。四塩化チタン
排出管から排出される蒸気流量を調節する事によって円
筒状反応容器1の内圧を20Torrに保持し、スクレ
ーパー7は連続的に作動させた。
【0056】上記条件下で60時間の反応を行い、次い
で四塩化チタンの供給を停止し、スクレーパー7の作動
をその後約1時間続行し、四塩化チタンの排出が止まる
のを確認し、更に装置各部を反応時の温度に保持したま
ま、真空ポンプで約1時間排気を行い、反応容器1内の
真空度を10-3Torr以下として、円筒状反応容器1
を密閉し、更に、得られた精製チタンの結晶状態の安定
化のため約3時間装置各部を保温した後、装置を室温ま
で冷却した。
【0057】そして熱分解室3に蓄積された精製チタン
2.91kgを採取した。四塩化チタンの供給量は合計
24.6kgで、排出された四塩化チタン蒸気を冷却液
化して計量したところ24.2kgが回収された。
【0058】理論的には供給量と同量が回収されるべき
であって、四塩化チタン損失量は24.6kg−24.
2kg=0.4kg、即ち供給量の約1.6%であるが
装置を分解した際、円筒状反応容器1と反応容器蓋5の
間隙、分離室6の頭部、スクレーパー7のシャフト先端
部などに低級塩化チタンが付着していたのでこの四塩化
チタンの損失は低級塩化チタンの形で損失となったと推
定される。原料粗チタンと精製チタンの分析値を表1に
示す。
【0059】
【実施例2】スクレーパー7として直径6cm長さ10
0cmの右ネジ廻りと左ネジ廻りのスクリュー各1本を
互に噛み合わせたもの、即ちダブルスクリューコンベア
を断面がまゆ形の筒状の分離室6内に納め二本のスクリ
ューの送りが共に下方に向くよう互に逆方向の回転を行
わせることにより、分離室6の内壁に析出した低級塩化
チタンをかき落すと同時にスクリュー自体に析出した低
級塩化チタンを相互にかき落す機構を持った分離室6及
びスクレーパー7を用いた。
【0060】また原料粗チタンとしてKroll法の特
殊高品質グレードのスポンジチタン粒10.0kgを用
いた。その他は実施例1と同様な実験を行った。そして
精製チタン2.89kgを採取した。四塩化チタン供給
量は24.9kg、四塩化チタン排出量は24.0kg
であり、従って四塩化チタン損失量0.9kgは上記同
様低級塩化チタンの形で損失となったと推定される。原
料粗チタンと精製チタンの分析値を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【実施例3】本例では図3で示すように、不活性ガスを
熱分解室3の底部に導入するための不活性ガス供給管2
1を反応容器蓋5の底部を貫通して設置した。その先端
は熱分解室3の底面に沿った水平のループ状に形成し
た。ループ状の管の下面に多数の細孔22を穿ち、不活
性ガスを均一に分散噴出させた。熱分解室3の底面には
穴を設けず、塩化混合蒸気は熱分解室3の外壁と円筒状
反応容器1の内壁の間隙を通って分離室6へ導かれるよ
うに構成した。その他は図1と同じ構成である。
【0063】次に本例の装置の運転方法について説明す
る。先ず(a)不活性ガスとしてアルゴンを用い、装置
外部から不活性ガス供給管21を通して熱分解室3底部
へ、供給流量2.11Mol/hr(四塩化チタン供給流量:
400g/hr=2.11Mol/hrと同じ)で供給する。
【0064】(b)熱分解室3の底の上方10cmより
上端までの外壁温度及び反応容器蓋5の底部温度を88
0℃とし、反応容器内圧力は実施例1と同じく20To
rrに調節した。
【0065】(c)以上の他の装置の運転方法は実施例
1と同じである。熱分解室の温度880℃を;
【化8】の右辺に代入して計算すると logP<20.158−{21859/(t+27
3)}=20.158−{21859/(880+27
3)}=1.200 即ち、P<15.8Torr で、若しアルゴンを導入しない場合、反応関与物質の分
圧の和即ち全圧が15.8Torr以下とならないと、
熱分解は起り難いことを示す。
【0066】しかしながら本例においては、熱分解室に
アルゴンを導入した結果、全圧即ち反応関与物質の分圧
の和とアルゴンの分圧との合計を20Torrとしたに
もかかわらず熱分解反応は円滑に行われ、精製チタンを
得ることができた。
【0067】これは、熱分解室にアルゴンを導入した結
果、全圧は20Torrであっても、この値から熱分解
室のアルゴン分圧を差引いた値、即ち反応関与物質の分
圧の和が上記15.8Torrを下回ったため、熱分解
反応が進行したことを示すものである。
【0068】上記例における結果は、 四塩化チタン供給量=23.8kg 四塩化チタン回収量=23.3kg 四塩化チタン損失量=0.5kg(2.1%) 精製チタン採取量=2.87kg であった。
【0069】
【実施例4】図4及び図5により本発明の精製法の更に
他の一例を説明する。図4は装置の全体構成を示すもの
であり、図5は図4の要部拡大図である。図4で示すよ
うに、透明石英製の反応管31(外径24mm、内径2
1mm、長さ500mm)を水平に設置する。本装置で
精製を実施する場合、反応管31内を流れる気流を、図
4において左から右へまたは右から左へ、と一定期間ご
とに逆転させる。
【0070】従って、チタンと四塩化チタンの反応を行
う生成室は二室必要で、反応管31の左右の端部寄りの
位置でかつ反応管31の軸方向の中心面32に対し互に
対稱の位置に、左生成室33と右生成室34(それぞれ
中心より70〜130mm)を設ける。
【0071】図5で示すように、左及び右生成室33,
34には、原料粗チタンとして、チタンブリゲットを旋
盤で切削して得られる切粉を1室当たり約14gを密に
充填し、各々の端部に石英ウール35を栓状に詰めこ
む。この石英ウール35は左及び右生成室33、34の
両端に僅かでも差圧がある場合には気流が通過しうる
が、差圧はないが対流が起る場合、その対流が左及び右
生成室33、34内外に出入するのを遮ぎる機能、即ち
左及び右生成室33、34を貫通する気流がない限り、
室内のガスを閉じこめる機能を果すものである。
【0072】左及び右生成室33、34に挟まれる反応
管31内の空間は、左及び右生成室33、34から排出
される低級塩化チタンと四塩化チタンの混合蒸気を冷却
し、低級塩化チタン固体を反応管31の内壁に沈着さ
せ、四塩化チタン蒸気と分離する分離室の機能と、反応
管31の内壁に沈積した低級塩化チタンを加熱し熱分解
させる熱分解室の機能を併せて果す精製室として用いる
が、これを左右に分け、左精製室36と右精製室37
(それぞれ中心より70mm)としている。
【0073】図4及び図5で左から右への気流の場合、
左精製室36が熱分解室、右精製室37が分離室の機能
を、右から左への気流の場合、右精製室37が熱分解
室、左精製室36が分離室の機能を果す。
【0074】反応管31の外周には左右に移動可能な管
状の電気炉38(内径34mm、長さ220mm)を設
置し、左から右への気流の場合、図4に示す左寄りの位
置(右端面は中心より右40mm、左端面は中心より左
180mm)、右から左への気流の場合、反応管31の
中心に対し、上記と対称の右寄りの位置に移動する。
【0075】この電気炉38は、発熱体の特殊配置によ
り、950℃程度に加熱したとき±5℃の範囲内で炉温
が等しくなる部分、即ち均温部39の長さは120mm
あり、例えば左寄り位置に置いた時、左生成室33及び
左精製室36の殆んどが均温部39でカバーでき、逆の
場合は逆の室がカバーされる。
【0076】電気炉38の内壁と反応管31の外壁との
間隙には、電気炉38の中心位置とその左右に30mm
間隔で熱接点を配置した7対のクロメル、アルメル熱電
対40、41、42、43、44、45、46を挿入
し、それぞれメーターに接続する。図4には熱接点位置
のみを示す。また上記間隙の両端部には断熱材47を挿
入し、保温している。
【0077】反応管31の左端、右端は、それぞれ左ガ
ス出入管48、右ガス出入管49に連結され、その連結
部は、それぞれ弗素ゴム製の栓でシールされ、それぞ
れ、バルブ50、51を介して、四塩化チタン液を貯
え、またはその気化、液化を行うべき左液溜52、右液
溜53(それぞれ、内径21mm、全長250mm、貯
液可能量約60g)に連結されている。
【0078】左及び右液溜52、53は、それぞれバル
ブ54、55を介し、管路56によりコールドトラップ
57(内径30mm、全長300mm、貯液可能量約1
20g)に連結され、更にコールドトラップ57を経
て、バルブ58を介し排気管59によって真空ポンプ6
0に連結されている。
【0079】また、左液溜52には、バルブ61を有す
る四塩化チタン注入口62が設けられ、右ガス出入管4
9には、バルブ63を介してU字管圧力計64及び装置
内にアルゴン、空気等を導入するためのバルブ65を有
するガス供給口66が連結されている。上記左及び右液
溜52、53は、それぞれ温度調節機能を備えたウオー
ターバスポット67、68中に浸され、コールドトラッ
プ57は保冷機能を持つ冷却剤ポット69中に浸され
る。
【0080】以上の装置によりチタンの精製を行うに
は、先ずバルブ61を除く全バルブを閉じ、左液溜52
に四塩化チタン液を、例えば約40gを注入し、バルブ
61を閉じる。次に装置の排気を行うため、コールドト
ラップ57以外の装置は、室温の儘、冷却剤ポット69
中にメタノール及びドライアイスを入れ、コールドトラ
ップ57を−20℃以下に冷却し、真空ポンプ60を作
動させ、バルブ58、55、63を順次開き、左液溜5
2を除く全装置を0.1Torr以下まで排気する。次
にバルブ55を閉じ、バルブ54の開閉を数回繰返すこ
とにより、左液溜52を排気した後、バルブ54を閉じ
る。
【0081】以上により全装置の排気終了後、バルブ5
5を開とし、左液溜52の温度θLを約50℃(四塩化
チタンの飽和蒸気圧:41.5Torr)、右液溜53
の温度θRを0〜10℃(四塩化チタンの飽和蒸気圧:
3.3〜5.8Torr)、かつ電気炉38の均温部温
度tを約100℃に保持して、バルブ50を開き、左及
び右液溜52、53の温度差による四塩化チタンの蒸気
圧差を利用して、左液溜52の四塩化チタン液の約半量
を右液溜53へ移送する。
【0082】移送開始当初は、四塩化チタン蒸気が左液
溜52から反応管31を通り右液溜53で液化するまで
の通路に若干の空気が残存するが、この空気は四塩化チ
タン気流によって掃き寄せられ右液溜53の空間に溜る
ため、この部分の空気分圧は徐々に上昇し、液化速度は
低下するから、時々バルブ55を開閉し、この空気を排
気しなければならない。このようにして右液溜53の液
化速度低下が認められなくなれば、装置内は空気が完全
に排除され四塩化チタン蒸気のみにより満たされている
ことが保証される。液移送終了後バルブ50、51を閉
じる。
【0083】以上により精製反応実施の準備ができる
が、運転に先立ちその反応条件即ち、チタン固体のみが
安定に存在しうる平衡系S0の温度圧力条件を以下のよ
うにして確認する。
【0084】次に、四塩化チタン蒸気を反応管31の左
から右へ流す場合について述べる。バルブ50、51を
閉じた儘、左液溜52の温度θLを室温、例えば20℃
(四塩化チタンの飽和蒸気圧:7.7Torr)に保持
し、電気炉38は左寄り定位置に置き、この均温部温度
tを900℃に昇温し保持する。
【0085】バルブ51は閉じた儘、バルブ50を開
く。左液溜52から四塩化チタン蒸気が発生し、20℃
における飽和蒸気圧7.7Torrの圧力で反応管31
内に充満する。900℃に加熱された左生成室33の粗
チタンと、この四塩化チタン蒸気とが反応する筈である
が、左液溜52の四塩化チタン液面レベルhtは、バル
ブ50を開いた時若干低下するのみで、その後の低下は
殆んど認められない。
【0086】これによりチタンと四塩化チタン蒸気の反
応が進行していないことが判る。この状態は、左生成室
33内が既に系S0の温度、圧力条件下にあることを示
している。何故ならば、反応管31に四塩化チタンが
7.7Torrの圧力で供給された時、その四塩化チタ
ン蒸気は左生成室33内にも充満し、チタンとその四塩
化チタン蒸気は当然反応するが、左生成室33内が系S
0の条件下にある時は、平衡式;
【化1】
【化2】が形成され、左生成室33の気相部分には、そ
の平衡に達した混合蒸気が充満する。
【0087】若し、この混合蒸気が左生成室33から排
出されれば反応は更に進行するが、排出されなければ進
行しない。しかし、今の状態ではバルブ51は閉じてお
り、左生成室33を通過する気流はなく、また前述のよ
うに、左生成室33の両端に施された石英ウール35に
よって室内外を通過する対流も遮断されているから、生
成室内の平衡に達した混合蒸気は、室内に充満するのみ
で他に行き場はない。従って、反応は進行せず、四塩化
チタンの消費も起らないこととなる。
【0088】これを確認するために、右液溜53の温度
θRを30℃(四塩化チタン飽和蒸気圧16.6Tor
r)とし、バルブ51をU字管圧力計65の読みPが
7.7Torrより余り上昇しない程度に僅かに開けて
見る。左液溜52の圧力は略7.7Torr、右液溜5
3の圧力は略16.6Torrであるから、四塩化チタ
ン蒸気が右液溜53から反応管31を通り左液溜52に
溜出して来ると同時に電気炉38の左端付近の反応管3
1に紫赤色の三塩化チタン粉が沈着するのが認められ
る。
【0089】二塩化チタンも生成している筈であるが、
これは黒色で凝固温度が高いから電気炉38で覆われて
見えない部分に沈着する。左液溜52の四塩化チタンの
増加量は、右液溜53の減少量の略半分程度であり、こ
れによっても反応管31内で反応が起り、低級塩化チタ
ンが反応管31内に沈着していることが判る。生成室を
通過する気流によって、生成室で平衡に達した混合蒸気
が次々に排出されるから反応が進行するのである。
【0090】以上により、900℃、7.7Torrの
条件は系S0にあることが判った。この条件を用い、精
製反応を実施することもできるが、反応速度を増すため
に7.7Torrより高い圧力範囲の系S0の条件を求
める。
【0091】バルブ50は開、バルブ51は閉とし、電
気炉38の均温部温度tを900℃に保持した儘左液溜
52の温度θLを20℃から徐々に上昇する。θLが約5
0℃(四塩化チタン飽和蒸気圧:41.5Torr)と
なり、U字管圧力計65の読みが37Torrを超えた
時点から、左液溜52の液面上方の内壁が乾き、液面レ
ベルhTは徐々に低下し始めた。明かに反応管31内で
反応が進行している事が認められる。
【0092】これは左生成室33の条件が系S0より二
塩化チタン固体のみが安定に存在する系S2に移行した
ことを示す。何故ならば系S0にある時はチタンのみが
固体で存在し、四塩化チタンと生成する低級塩化チタン
は蒸気としてのみ存在できるから、僅かの反応でその蒸
気が左生成室33内に充満してしまうと、その後の反応
は進行しないが、系S2では生成した低級塩化チタンの
うち二塩化チタンは左生成室33内で固化し得るから生
成室33内では、平衡式;
【化1】
【化2】の左辺から右辺への反応が進行し、同時に;
【化15】 の変化が進み、TiCl2(気相)濃度が減少するか
ら;
【化1】は右方へ進行し、従ってチタンの表面が完全に
二塩化チタン固体で覆われない限りチタンと四塩化チタ
ンの反応は進行するのである。以上により温度t=90
0℃においては圧力P<37Torrで系S0、圧力P
>37Torrで系S2の条件となることが判る。
【0093】次に精製反応を実施する。温度t=900
℃では圧力P=37Torrが、系S0の上限であるか
ら、実施に際する温度、圧力の多少の誤差や変動があっ
ても系S0の条件から外れない為、例えば温度t=95
0℃、圧力P=27Torr(この蒸気圧を示す四塩化
チタン液の温度は約40℃)を、チタンと四塩化チタン
蒸気の反応及び低級塩化チタンの熱分解反応の条件とす
る。
【0094】左液溜52の温度θLを45℃、右液溜5
3の温度θRを0〜10℃、電気炉38を左寄り位置と
し、その均温部温度tを900℃として、バルブ50を
全開とし、圧力計の読みPが27Torrとなるよう調
節し、気流が反応管31の左から右へ流れる状態で反応
を開始する。
【0095】θLを理論値の40℃でなく、45℃まで
上げたのは、液溜の蒸発面積は充分でなく、反応管31
内の圧損もあるため、理論値通りではPの値を27To
rrまで上昇できないためであり、更にPを一定に保持
しかつ所定の四塩化チタン供給速度を得るには、液溜の
液面レベルhLの低下速度を見ながらθLとバルブ51の
開度を調節しなければならない。
【0096】四塩化チタン供給速度は、この装置規模で
は0.1g/min程度が適当である。この状態で運転を続
けると反応管31内に供給された四塩化チタン蒸気は左
生成室33に充填された粗チタンの左端から反応し、充
填層を通過して、右端から排出されるまでに、平衡式;
【化1】
【化2】に到達して低級塩化チタン蒸気と四塩化チタン
蒸気との混合蒸気となる。
【0097】反応は極めて速かで、チタン充填層の反応
消費された部分と未反応部分との境界が明瞭に分別でき
る程である。左生成室33から排出された混合蒸気は、
左精製室36を通過し、更に電気炉38の右端部に位置
し、左端温度約700℃、右端温度約200℃の右精製
室37に流入すると、ここで低級塩化チタンは固化し、
反応管31内壁に沈積して四塩化チタン蒸気から分離さ
れ、この四塩化チタン蒸気は右生成室34を通過して、
右液溜53で液化溜出する。
【0098】低級塩化チタン固体は、右反応室の長さ方
向の略中央部の反応管31内壁に、径方向の中心部は空
洞のリング状で、その軸方向断面はレンズ状の形で沈着
する。左から右への気流方向で四塩化チタン供給量約5
gに達したならば、バルブ50、51を一旦閉じ、右液
溜53の温度θRを45℃、左液溜52の温度θLを0〜
10℃とし、バルブ50を一旦全開とした後、電気炉3
8を徐々に右寄り位置へ移動する。電気炉38の移動
中、右精製室37が電気炉38の加熱部内に入ると速く
も低級塩化チタンの熱分解反応が始まる。
【0099】電気炉38の移動終了後均温部温度tを9
00℃に調整し、バルブ50の開度を調節しつつ、バル
ブ51を開き、圧力P=17Torr、四塩化チタン供
給流量0.1g/minの運転条件に調整し、右から左への
気流での運転を開始する。
【0100】右生成室34における反応、左精製室36
での低級塩化チタンの固化沈着、四塩化チタン蒸気との
分離等は、左から右への気流の場合と同様であり、異な
るのは上記の反応分離等と併行して、右精製室37で低
級塩化チタンの熱分解が行われる事である。
【0101】熱分解反応は速かに進行するので、この段
階の初期に終了し、右精製室37には精製チタンが存在
する状態で右生成室34での反応が進行し、右生成室3
4から流出する混合蒸気は右精製室37の精製チタンの
中を通過するが、この混合蒸気は右生成室34で粗チタ
ンと既に平衡に達しており、精製チタンの存在する右精
製室37と同一温度、圧力条件にあるから逆反応を起し
たり、汚染されることはない。
【0102】右から左への気流方向での運転で、四塩化
チタン約5gの供給を終了したならば再び左から右への
気流での運転に切替える。切替の手順方法、運転条件等
は上記同様であるが、異なるのは、この運転では右精製
室37における低級塩化チタンの固化沈着は既に生成し
ている精製チタンの上に起ることであり、この部分の反
応管31中心部の空洞、即ち気流の通路は狭められる。
【0103】電気炉38の左寄りまたは右寄り位置を毎
回10mm程度変更することにより、ある程度の閉塞防
止効果はあるが、数回の運転を行えば、気流の通路は閉
塞する。これは精製室の収容能力限度まで運転した事と
なるので、閉塞した低級塩化チタンを熱分解して運転終
了とする。
【0104】先ずバルブ50、51を一旦閉じ左右のウ
オーターバスポット68、69に氷を投入し、左右液溜
52、53を0℃付近まで冷却した後、バルブ50、5
1を開く。反応管31及び配管中の四塩化チタンを可能
な限り左及び右液溜52、53に吸収し、圧力を下げ最
後の熱分解を完結させるためである。
【0105】次いで電気炉38を均温部温度t=950
℃の儘、徐々に反応管31の中心部に移動し、左及び右
精製室36、37の殆んどを均温部でカバーし、左及び
右液溜52、53への熱分解四塩化チタンの溜出が停止
するまで閉塞した低級塩化チタンの熱分解を行った後、
バルブ50、51を閉じ、更に3時間、均温部温度t=
950℃に保持した後、電気炉38の電源を切り、運転
終了とする。
【0106】最後に限り、電気炉38を、反応管31の
中心に置くのは、例えば左精製室36に閉塞した低級塩
化チタンを、左寄りの電気炉38位置で熱分解すると、
この熱分解に伴い発生する低級塩化チタンが右精製室3
7の精製チタンの上に固化沈着するからであり、電気炉
38を反応管31の中心に置けば、この低級塩化チタン
は炉両端に位置する左及び右生成室33、34付近に固
化沈着し、左及び右精製室36、37の精製チタンは低
級塩化チタンの汚染から保護される。
【0107】反応管31が室温まで冷却できたならば、
ガス供給口66よりアルゴンまたは空気を徐々に反応管
31内に導入し、反応管31を切断して精製チタンを採
取する。採取された精製チタンはきめの細いスポンジ状
であり、微量の低級塩化物の付着の可能性があるので
0.5規定程度の稀塩酸で洗浄後純水で洗浄し、乾燥し
て使用するのが好ましい。
【0108】
【発明の効果】本発明の効果は次の通りである。 (1)精製効果の高いチタン精製が容易に実施できる。 (2)構造簡単な単一容器内で全プロセスを実施するこ
とができ、設備規模拡大上の制約もないので一度に大容
量の精製が可能であり従って生産量当りの設備費は安価
である。 (3)設備面積または容積当りの生産量即ち設備生産性
が高い。 (4)圧力、温度等の運転条件は実現容易な範囲であ
り、設備材質等の制約も厳しくない。 (5)運転に伴う物量損失は少い。 (6)運転操作は簡易で労務工数も低い。 (7)以上の利点により高生産性、低原価で高純度のチ
タン精製を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る装置の一実施例を示す概略構成説
明図である。
【図2】チタン及びチタン塩化物の不均一気相平衡図で
ある。
【図3】本発明に係る装置の他の実施例を示す概略構成
説明図である。
【図4】本発明に係る装置の他の実施例を示す概略構成
説明図である。
【図5】図4の要部拡大図である。
【符号の説明】
0 チタン(固層)のみが安定に存在しうる系の領
域 S2 二塩化チタン(固層)のみが安定に存在しうる
系の領域 S3 三塩化チタン(固層)のみが安定に存在しうる
系の領域 L020とS2の境界線 L232とS3の境界線 t[℃]温度 P[Torr]反応関与物質の蒸気の分圧の和 1 円筒状反応容器 2 生成室 3 熱分解室 4 熱分解容器 5 反応容器蓋 6 分離室 7 スクレーパー 8 電気炉 9 四塩化チタン供給管 10 四塩化チタン排出管 11 間隙 12 小孔 13 排気管 14 内壁かきとり羽根 15 シャフトかきとり羽根 16 粗チタン粒 17 精製チタン 21 不活性ガス供給管 22 細孔 31 反応管 32 中心面 33 左生成室 34 右生成室 35 石英ウール 36 左精製室 37 右精製室 38 電気炉 39 均温部 40、41、42、43、44、45、46 クロメ
ル、アルメル熱伝対 47 断熱材 48 左ガス出入管 49 右ガス出入管 50、51、54、55、58、61、63、65 バ
ルブ 52 左液溜 53 右液溜 56 管路 57 コールドトラップ 59 排気管 60 真空ポンプ 62 四塩化チタン注入口 64 U字管圧力計 66 ガス供給口 67、68 ウオーターバスポット 69 冷却剤ポット

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応関与物質即ち四塩化チタン、三塩化
    チタン、二塩化チタン及びチタンを除くすべての気体が
    排除された雰囲気中、または反応関与物質と不活性ガス
    を除くすべての気体が排除された雰囲気中で原料粗チタ
    ンとプロセス外から供給される四塩化チタンとを高温に
    おいて反応させ、低級塩化チタンを得た後、該低級塩化
    チタンを熱分解して精製チタンを製造する方法であっ
    て、 気密の反応容器内において、低級塩化チタンを生成する
    生成工程、低級塩化チタンから四塩化チタンを分離する
    分離工程及び低級塩化チタンを熱分解する熱分解工程か
    ら成るプロセスを構成し、 前記生成工程では、チタンと四塩化チタンとが反応した
    結果形成される諸不均一気相平衡系のうち固相としてチ
    タンのみが安定に存在しうる平衡系、即ち次の2平衡; 【化1】 【化2】 により表される平衡系が形成されるべき温度及び反応関
    与物質の蒸気の分圧の和として規定される圧力の領域内
    から選定される温度及び圧力の下において、 前記平衡に略到達するまで充分に反応させて得られる低
    級塩化チタン蒸気及び四塩化チタン蒸気から成る混合蒸
    気を生成させ、 前記分離工程では、前記混合蒸気を冷却することによ
    り、混合蒸気中の低級塩化チタンは固体として、四塩化
    チタンは蒸気として、相互に分離させ、前記四塩化チタ
    ン蒸気はプロセス外に排出し、 前記熱分解工程では前記分離工程において得られた低級
    塩化チタン固体を前記固相としてチタンのみが安定に存
    在しうる平衡系が形成されるべき温度及び圧力の領域内
    から選定される温度及び圧力の下に置くことにより、次
    の熱分解反応; 【化3】 【化4】 を行わせ、精製チタンを得ると共に、この反応に随伴し
    て不可避的に形成される前記2平衡; 【化1】 【化2】により発生する低級塩化チタン蒸気及び四塩化
    チタン蒸気から成る混合蒸気を前記生成工程で生成した
    混合蒸気同様に分離工程で再び冷却し、低級塩化チタン
    固体と四塩化チタン蒸気を分離し、前記四塩化チタンは
    プロセス外に排出し前記低級塩化チタン固体は熱分解工
    程で再び熱分解するという操作を繰返すことにより、両
    工程の総合的な物量収支として生成工程から供給された
    低級塩化チタンの殆んどすべてを、次の2反応; 【化5】 【化6】 にしたがって、定量的に精製チタンと四塩化チタンとに
    変換し、 プロセス全体としての総合的な物量収支としてはプロセ
    ス外から生成工程に供給された四塩化チタンに相当する
    量の四塩化チタンを前記分離工程から排出し、プロセス
    内では生成工程で反応消費した粗チタンに相当する量の
    精製チタンを熱分解工程で得ることを特徴とするチタン
    の精製法。
  2. 【請求項2】 反応関与物質を除くすべての気体が排除
    された雰囲気中または反応関与物質と不活性ガスとを除
    くすべての気体が排除された雰囲気中で原料粗チタンと
    プロセス外から供給される四塩化チタンとを高温におい
    て反応させ、低級塩化チタンを得た後、該低級塩化チタ
    ンを熱分解して精製チタンを製造する方法であって、気
    密の反応容器内において、低級塩化チタンを生成する生
    成工程、低級塩化チタンから四塩化チタンを分離する分
    離工程及び低級塩化チタンを熱分解する熱分解工程から
    成るプロセスを構成し、これら3工程の運転を同時併行
    的に行い、 前記生成工程では、チタンと四塩化チタンとが反応した
    結果形成される諸不均一気相平衡系のうち固相としてチ
    タンのみが安定に存在しうる平衡系、即ち次の2平衡; 【化1】 【化2】により表される平衡系が形成されるべき温度及
    び反応関与物質の蒸気の分圧の和として規定される圧力
    の領域内から選定される温度及び圧力の下において、 前記平衡に略到達するまで充分に反応させて得られる低
    級塩化チタン蒸気及び四塩化チタン蒸気から成る混合蒸
    気を生成させ、該混合蒸気を前記分離工程へ移送すると
    同時に、 前記熱分解工程では前記分離工程から供給される低級塩
    化チタン固体を前記固相としてチタンのみが安定に存在
    しうる平衡系が形成されるべき温度及び圧力の領域内か
    ら選定される温度及び圧力の下に置くことにより、次の
    熱分解反応; 【化3】 【化4】を行わせ、精製チタンを得ると共に、この反応
    に随伴して不可避的に形成される前記2平衡; 【化1】 【化2】により発生する低級塩化チタン蒸気及び四塩化
    チタン蒸気から成る混合蒸気を前記分離工程へ移送する
    と同時に、 前記分離工程では、生成工程から移送される混合蒸気及
    び熱分解工程から移送される前記混合蒸気を併合して冷
    却することにより、両混合蒸気中の低級塩化チタンは固
    体として、四塩化チタンは蒸気として、相互に分離さ
    せ、 前記低級塩化チタン固体は、前記熱分解工程へ供給し、
    前記四塩化チタン蒸気はプロセス外に排出し、 前記分離工程と前記熱分解工程との間において、相互に
    行われる低級塩化チタン固体、熱分解混合蒸気の授受を
    繰返し行うことにより、両工程の総合的な物量収支とし
    て生成工程から供給された低級塩化チタンの殆んどすべ
    てを、次の2反応; 【化5】 【化6】にしたがって、定量的に精製チタンと四塩化チ
    タンとに変換し、 プロセス全体としての総合的な物量収支としてはプロセ
    ス外から生成工程に供給された四塩化チタンに相当する
    量の四塩化チタンを前記分離工程から排出し、プロセス
    内では生成工程で反応消費した粗チタンに相当する量の
    精製チタンを前記熱分解工程に生成蓄積することを特徴
    とするチタンの精製法。
  3. 【請求項3】 前記熱分解工程において、熱分解反応が
    行われる雰囲気に不活性ガスをプロセス外から供給し、
    前記不活性ガスを熱分解工程で発生する混合蒸気と共に
    分離工程へ排出し、更に前記不活性ガスを分離工程にお
    ける低級塩化チタンから分離した四塩化チタン蒸気と共
    にプロセス外へ排出する工程を有する請求項1または2
    記載のチタンの精製法。
  4. 【請求項4】 チタンと四塩化チタンとが反応した結果
    形成される諸不均一気相平衡系のうち固相としてチタン
    のみが安定に存在しうる平衡系、即ち次の2平衡; 【化1】 【化2】により表される平衡系が形成されるべき温度及
    び圧力の領域として、特に次の2式; 【化7】 【化8】 を共に満足する温度t〔℃〕及び反応関与物質の蒸気の
    分圧の和として規定される圧力P〔Torr〕で示され
    る領域内から選定される温度及び圧力の下において、生
    成工程及び熱分解工程を実施する請求項1、2、3いず
    れか記載のチタン精製法。
  5. 【請求項5】 気密の耐熱性反応容器内に、生成工程を
    行う生成室と、熱分解工程を行う熱分解室と、分離工程
    を行う分離室を下方から上方に向って生成室、熱分解
    室、分離室の順に配置し、 前記生成室と前記分離室との間に生成室で発生する混合
    蒸気を生成室から分離室へ移送するための連通路を形成
    し、 前記熱分解室と分離室との間には、熱分解室で発生する
    混合蒸気及び低級塩化チタン固体が互いに移送可能な開
    口が形成され、 前記分離室には該分離室内に固化析出した低級塩化チタ
    ン固体をかき取り、熱分解室側へ移送させるためのスク
    レーパーを形成してなることを特徴とする低級塩化チタ
    ンの生成及び熱分解によるチタンの精製装置。
  6. 【請求項6】 前記生成室と前記分離室との間に生成室
    で発生する混合蒸気を生成室から分離室へ移送するため
    の連通路は、前記熱分解室を通過して形成されているこ
    とを特徴とする請求項5記載のチタンの精製装置。
  7. 【請求項7】 加熱炉内に設置される真空排気用管路が
    連結された気密の耐熱性反応容器内に、生成工程を行う
    生成室と、熱分解工程を行う熱分解室と、分離工程を行
    う分離室を下方から上方に向って生成室、熱分解室、分
    離室の順に配置してなるチタンの精製装置であって、 前記生成室は四塩化チタン供給用管路と連結され、該生
    成室と前記分離室との間に生成室で発生する混合蒸気を
    塩化室から分離室へ移送するための連通路を形成し、 前記熱分解室と分離室との間には、熱分解室で発生する
    混合蒸気及び低級塩化チタン固体が互いに移送可能な開
    口が形成され、 前記分離室には該分離室内に固化析出した低級塩化チタ
    ン固体をかき取り、熱分解室側へ移送するためのスクレ
    ーパーが形成され、 前記分離室は分離室内に存在する四塩化チタンを反応容
    器外に排出するための四塩化チタン排出用管路と連結さ
    れてなることを特徴とする低級塩化チタンの生成及び熱
    分解によるチタンの精製装置。
  8. 【請求項8】 前記熱分解室は底部及び側壁に開口がな
    く、熱分解室と分離室との間に熱分解室で発生する混合
    蒸気及び低級塩化チタン固体が互いに移送可能な開口の
    みが形成され、不活性ガスを装置外部より熱分解室内部
    へ供給するための不活性ガス供給用管路が形成され、生
    成室で発生する混合蒸気を熱分解室を通過することな
    く、生成室から分離室へ移送するための連絡通路を形成
    されたことを特徴とする請求項7記載のチタンの精製装
    置。
  9. 【請求項9】 水平に置かれた管状の反応管内の、反応
    管の左右の端部に近い位置にそれぞれ左生成室と右生成
    室とを設け、この両生成室に挟まれた空間であって、反
    応管の長さ方向中心の左右の部分にそれぞれ左精製室と
    右精製室を設け、反応管の左右の端部に連結された二つ
    のガス出入管と、該それぞれのガス出入管にバルブを介
    して連結された二つの液溜と、該それぞれの液溜とバル
    ブを介して管路により連結されたコールドトラップと、
    該コールドトラップとバルブを介して連結された真空ポ
    ンプと、前記液溜の一方に連結された四塩化チタン注入
    口と、該四塩化チタン注入口が連結された液溜と異なる
    液溜と連結される管路にバルブを介して連結された不活
    性ガス供給管と、前記反応管の外周に配置された移動可
    能な加熱装置とを備え、前記反応管内を流れる気流を、
    一定期間ごとに逆転させて構成したことを特徴とするチ
    タンの精製装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008231509A (ja) * 2007-03-20 2008-10-02 Toho Titanium Co Ltd 高純度金属およびその製造方法
CN104928721A (zh) * 2015-06-12 2015-09-23 中南大学 一种低价钛氯化物熔盐电解质的制备及精炼装置

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